JP7024083B2 - 正極、非水電解質電池、及び電池パック - Google Patents

正極、非水電解質電池、及び電池パック Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、正極、非水電解質電池、及び電池パックに関する。
非水電解質電池は、高充電状態にすると、電極の表面において自己放電が起こることで、電解液の分解反応が生じる。例えば、正極の表面では酸化反応が生じて酸化性ガス(例えば二酸化炭素)が発生する。ガスが発生すると、電池が膨張し、内部抵抗が上昇する。このようなガス発生は、電池の安全性を低下させる要因となり得るという問題がある。
特開2010-232001号公報 特開2016-48671号公報
本発明が解決しようとする課題は、ガス発生が抑制された正極と、この正極を含む非水電解質電池及び電池パックとを提供することである。
実施形態によれば、正極が提供される。正極は、正極活物質含有層を含む。正極活物質含有層は、正極活物質を含む。正極活物質は、リチウムマンガン複合酸化物とコバルト酸リチウムとを含む。正極活物質含有層は、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有する。正極活物質含有層は、0<H/(G+H)≦0.1の関係式を満たす。ここで、Gは、正極活物質中のリチウムマンガン複合酸化物の重量比率である。Hは、正極活物質中のコバルト酸リチウムの重量比率である。正極は、下記式(2)を更に満たす。
0.3≦(B-C)/(A-C)≦2 (2)
ここで、Aは、Alの結合エネルギーの70eV以上75eV未満の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さであり、Bは、Alの結合エネルギーの75eV以上78eV以下の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さであり、Cは、Alの結合エネルギーの65eV以上70eV未満の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの平均ピーク高さである。
他の実施形態によれば、非水電解質電池が提供される。非水電解質電池は、実施形態の正極と、負極と、非水電解質とを備える。
他の実施形態によれば、電池パックが提供される。電池パックは、実施形態の非水電解質電池を備える。
図1は、第2の実施形態に係る非水電解質電池の一例の一部切欠斜視図である。 図2は、図1に示す非水電解質電池のA部の拡大断面図である。 図3は、第2の実施形態に係る非水電解質電池の別の例の分解斜視図である。 図4は、第3の実施形態に係る電池パックの一例の分解斜視図である。 図5は、図4に示す電池パックの電気回路を示すブロック図である。 図6は、実施例7の正極の正極活物質含有層についての1つのXPSスペクトルである。 図7は、実施例7の正極の正極活物質含有層についての別のXPSスペクトルである。
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によれば、正極が提供される。正極は、正極活物質含有層を含む。正極活物質含有層は、正極活物質を含む。正極活物質は、リチウムマンガン複合酸化物とコバルト酸リチウムとを含む。正極活物質含有層は、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有する。正極活物質含有層は、下記式(1)を満たす。
0<H/(G+H)≦0.1 (1)
ここで、Gは、正極活物質中のリチウムマンガン複合酸化物の重量比率である。Hは、正極活物質中のコバルト酸リチウムの重量比率である。
リチウムマンガン複合酸化物とコバルト酸リチウムとを含む正極活物質は、非水電解質及び不可避不純物である微量の水分が反応することで発生する化合物、例えばフッ酸(HF)などと接触することにより、例えば、水素や一酸化炭素などのガスを発生する。このようなガス発生により、例えば、上記の正極活物質を含む正極を備える非水電解質電池では、非水電解質電池が膨張することによって内部抵抗が上昇する。これにより、非水電解質電池の安全性が低下する可能性がある。
そこで、正極活物質含有層が、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有するようにする。この表面は、上記の正極活物質と、非水電解質及び水分の反応により発生する化合物とが直接接触するのを防止することができる。その結果、ガス発生を抑制することができる。
また、正極活物質含有層は、式(1)を満たす。この正極活物質含有層は、ガスを吸収することができるコバルト酸リチウムを所定量含んでいるため、発生したガスを吸収することができる。
よって、正極活物質含有層が、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有すると共に、式(1)を満たすことにより、ガス発生を抑制することができる。
正極活物質含有層は、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが、70eV以上75eV未満の範囲内及び75eV以上78eV以下の範囲内にそれぞれ少なくとも1つある表面を有することが望ましい。
これを満たす表面を有する正極活物質含有層は、AlとOとの結合及びAlとFとの結合を含む表面を有しているため、正極活物質と、非水電解質及び水分の反応により発生する化合物とが直接接触するのを防止する効果がより高い。その結果、ガス発生を抑制することができる。
正極は、下記式(2)を満たすことが望ましい。
0.3≦(B-C)/(A-C)≦2 (2)
ここで、Aは、Alの結合エネルギーの70eV以上75eV未満の範囲内におけるX線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さである。Bは、Alの結合エネルギーの75eV以上78eV以下の範囲内におけるX線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さである。Cは、Alの結合エネルギーの65eV以上70eV未満の範囲内におけるX線光電子分光スペクトルの平均ピーク高さである。
これを満たす表面を有する正極活物質含有層は、AlとOとの結合及びAlとFとの結合を所定の割合で含む表面を有しているため、正極活物質と、非水電解質及び水分の反応により発生する化合物とが直接接触するのを防止する効果が一層高い。その結果、ガス発生を抑制することができる。
正極は、下記式(3)を満たすことが望ましい。
0.004≦(B-C)/(D-E)≦0.04 (3)
ここで、Dは、Mnの結合エネルギーの638eV以上645eV以下の範囲内におけるX線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さである。Eは、Mnの結合エネルギーの635eV以上638eV未満の範囲内におけるX線光電子分光スペクトルの平均ピーク高さである。
これを満たす表面を有する正極活物質含有層は、MnとOとの結合に対するAlとFとの結合を所定の割合で含む表面を有する。そのため、正極のLiイオンの伝導性が大きく低下することなく、正極活物質と、非水電解質及び水分の反応により発生する化合物とが直接接触するのを防止することができる。その結果、ガス発生を抑制することができる。
リチウムマンガン複合酸化物の組成式がLiMn2-xであり、ここで、添字xは0.1≦x≦0.7の範囲内にあり、Mは、Mg、Ti、Cr、Fe、Co、Zn、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素であることが望ましい。
上記組成のリチウムマンガン複合酸化物を含み、かつ上述した表面を有する正極活物質含有層は、正極活物質と、非水電解質及び水分の反応により発生する化合物とが直接接触するのを防止する効果がより一層高く、ガス発生の抑制効果が非常に高い。その結果、ガス発生を大幅に抑制することができる。
第1の実施形態に係る正極について、以下に詳細に説明する。
第1の実施形態に係る正極は、正極集電体と、正極集電体の片面又は両面に担持された正極活物質含有層とを備える。正極活物質含有層は、正極活物質を含む。また、正極活物質含有層は、導電剤及び結着剤をさらに含んでいてもよい。
正極活物質は、リチウムマンガン複合酸化物及びコバルト酸リチウムを含む。
リチウムマンガン複合酸化物は、組成式がLiMn2-xであるとよい。ここで、添字xは0.1≦x≦0.7の範囲内にあり、Mは、Mg、Ti、Cr、Fe、Co、Zn、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素であることが好ましい。MはAlであることがより好ましい。リチウムマンガン複合酸化物は、スピネル型結晶構造を有することがより好ましい。
コバルト酸リチウムは、組成式がLiCoOであるとよい。ここで、添え字xは0<x≦1の範囲内であることが好ましい。
正極活物質含有層は、次の式を満たすことが好ましい。
0<H/(G+H)≦0.1 (1)
ここで、Gは、正極活物質中のリチウムマンガン複合酸化物の重量比率である。Hは、正極活物質中のコバルト酸リチウムの重量比率である。
上述したように、正極活物質含有層は式(1)を満たすことでガス発生を抑制することができる。下記にその理由について述べる。H/(G+H)が0.1より大きいと、高電位に弱いコバルト酸リチウムの量が多く、充放電によりコバルト酸リチウムの結晶構造が破壊されると考えられる。そのため、ガス発生を抑制できないことに加えて、充放電サイクル性能が低下する。H/(G+H)が0の場合、すなわち、正極活物質中にコバルト酸リチウムを含まない場合、例えば、正極活物質が、非水電解質及び水分の反応により不可避的に発生するガスを吸収できないため、ガス発生を抑制することができない。
正極活物質は、例えば、粒子状である。粒子状である場合には、正極活物質は、一次粒子であってもよいし、又は一次粒子の凝集した二次粒子であってもよい。
リチウムマンガン複合酸化物の粒子は、一次粒子、一次粒子が凝集した二次粒子のいずれであってもよいが、二次粒子を含むことが好ましい。リチウムマンガン複合酸化物の二次粒子の平均粒子径(二次粒子径)は4μm以上15μm以下であることが好ましい。
コバルト酸リチウムの粒子は、一次粒子、一次粒子が凝集した二次粒子のいずれであってもよいが、一次粒子を主体とすることが好ましい。コバルト酸リチウムの粒子の一次粒子の平均粒子径は6μm以上12μm以下であることが好ましい。
正極活物質の種類は、1種類又は2種類以上とすることができる。また、正極活物質は、リチウムマンガン複合酸化物及びコバルト酸リチウム以外の正極活物質を含んでもよい。
導電剤は、電子導電性を高め、集電体との接触抵抗を抑え得る。導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー又はカーボンナノチューブなどの炭素材料が含まれる。使用する導電剤の種類は、1種又は2種以上にすることができる。
結着剤は、活物質と導電剤とを結着させ得る。結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、又はフッ素系ゴムが含まれる。使用する結着剤の種類は、1種又は2種以上にすることができる。
正極活物質含有層は、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有する。この表面は、例えば、正極活物質含有層の上に形成される被膜であり得る。Alの結合エネルギーのピークは、70eV以上78eV以下の範囲内に2つあっても又は3つ以上あってもよい。ここで、正極活物質含有層の表面とは、正極活物質含有層と正極集電体とが互いに接する面に対向する正極活物質含有層の主面であって、正極集電体と接していない主面を表す。
正極活物質含有層は、Alの結合エネルギーにおいて、70eV以上75eV未満の範囲内及び75eV以上78eV以下の範囲内にそれぞれ少なくとも1つピークを持つことが好ましい。70eV以上75eV未満の範囲内におけるAlの結合エネルギーのピークはAlとOとの結合が存在することを示す。75eV以上78eV以下の範囲内におけるAlの結合エネルギーのピークはAlとFとの結合が存在することを示す。70eV以上75eV未満及び75eV以上78eV以下のそれぞれの範囲内に、ピークは1つあっても2つ以上あってもよい。各範囲に存在するピークの数は、同じでも異なっていてもよい。
上述したように、上記範囲内にそれぞれ少なくとも1つピークをもつことにより、ガス発生を抑制することができる。これは、正極活物質含有層の表面がAlとFとの結合を含むことで、正極活物質と、非水電解質及び水分の反応により発生する化合物との接触を避けることができるためであると考えられる。
正極活物質含有層は、次の式を満たすことが好ましい。
0.3≦(B-C)/(A-C)≦2 (2)
ここで、Aは、Alの結合エネルギーの70eV以上75eV未満の範囲内におけるX線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さである。Bは、Alの結合エネルギーの75eV以上78eV以下の範囲内におけるX線光電子スペクトルの最大ピーク高さである。Cは、Alの結合エネルギーの65eV以上70eV未満の範囲内におけるX線光電子分光スペクトルの平均ピーク高さである。70eV以上75eV未満の範囲内及び75eV以上78eV以下の範囲内それぞれでの最大ピーク高さは、X線光電子分光スペクトルのその範囲内の連続的なスペクトルデータにおいて、最もピーク高さが高いスペクトルデータのピーク高さである。平均ピーク高さは、65eV以上70eV未満の範囲内の連続的なX線光電子分光のスペクトルデータのピーク高さを平均したピーク高さである。
上述したように、式(2)を満たすことで、ガス発生を抑制することができる。下記にその理由について述べる。(B-C)/(A-C)の値が0.3以上2以下である場合、正極活物質含有層の表面の被膜にAlとFとの結合が適度に含まれているため、充放電性能を維持したまま、非水電解質及び水分の反応で不可避的に発生する化合物と正極活物質含有層との反応を抑制することができる。その結果、内部抵抗の上昇とガス発生とを抑制することができると考えられる。
正極活物質含有層は、次の式を満たすことがより好ましい。
0.004≦(B-C)/(D-E)≦0.04 (3)
ここで、Dは、Mnの結合エネルギーの638eV以上645eV以下の範囲内におけるX線光電子スペクトルの最大ピーク高さである。Eは、Mnの結合エネルギーの635eV以上638eV未満の範囲内におけるX線光電子スペクトルの平均ピーク高さである。638eV以上645eV以下の範囲内のMnの結合エネルギーのピークはMnとOとの結合が存在することを示す。638eV以上645eV以下の範囲内の最大ピーク高さは、X線光電子分光スペクトルのその範囲内の連続的なスペクトルデータにおいて、最もピーク高さが高いスペクトルデータのピーク高さである。平均ピーク高さは、635eV以上638eV未満の範囲内の連続的なX線光電子分光のスペクトルデータのピーク高さを平均したピーク高さである。
上述したように、式(3)を満たすことで、ガス発生を抑制することができる。下記にその理由について述べる。(B-C)/(D-E)の値が0.004以上0.04以下である場合、正極活物質含有層に含まれるMnとOとの結合に対して、正極活物質含有層上の被膜にAlとFとの結合が十分に存在する。この被膜は、正極のLiイオンのイオン伝導性を維持したまま、すなわち充放電性能を維持したまま、非水電解質及び水分の反応で不可避的に発生する化合物と正極活物質含有層との反応を抑制することができると考えられる。
正極集電体は、アルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔から形成されることが望ましい。アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔の平均結晶粒径は50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、30μm以下である。更に好ましくは5μm以下である。平均結晶粒径が50μm以下であることにより、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の強度を飛躍的に増大させることができ、正極を高いプレス圧で高密度化することが可能になり、電池容量を増大させることができる。
集電体の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99重量%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛及びケイ素よりなる群から選択される1種類以上の元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は1重量%以下にすることが好ましい。
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質80~95重量%、導電剤3~18重量%、結着剤2~7重量%の範囲にすることが好ましい。
正極活物質含有層は、20%以上50%以下の気孔率を有することが好ましい。このような気孔率を有する正極活物質含有層を備えた正極は高密度で、かつ非水電解質との親和性に優れる。より好ましい気孔率は、25%以上40%以下である。
正極活物質含有層の密度は、2.5g/cm以上にすることが好ましい。
次いで、式(1)においてG、Hで示す正極活物質の重量割合、及び正極活物質含有層についてのX線光電子分光の測定方法を説明する。まず、正極の取り出し方法を説明する。
<正極の取り出し方法>
電池を完全放電して充電状態(State of charge(SOC))を0%にする。この電池を解体し、正極を2cm角程度切り出す。切り出した正極を50cc(cm)のエチルメチルカーボネートに浸漬し、1時間放置する。その後、正極を乾燥するため、1時間真空乾燥し、測定試料を得る。ここまでの操作は、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行う。
<重量割合の測定方法>
上述の方法により得た測定試料上の正極活物質含有層からスパチュラなどを使用して測定サンプルとして粉末を採取する。得られた粉末をアセトンで洗浄し乾燥する。得られた粉末を塩酸で溶解し、導電剤をろ過して除いた後、イオン交換水で希釈して誘導結合プラズマ発光分光分析法により含有金属比を算出する。同時に、X線回折法及びSEM-EDXによりリチウムマンガン複合酸化物及びコバルト酸リチウムの存在を確認する。求めた金属比からリチウムマンガン複合酸化物及びコバルト酸リチウムそれぞれの化学式及び式量を算出し、採取した所定重量の正極活物質含有層に含まれるリチウムマンガン複合酸化物及びコバルト酸リチウムの重量比率を求める。得られた値をG、Hとする。
<正極活物質含有層についてのX線光電子分光測定>
次に、正極活物質含有層についてのX線光電子分光測定の手順を説明する。
上述した正極の取り出し方法により、測定用試料を得る。得られた測定用の試料を、アルゴン雰囲気に封入したまま、X線光電子分光器に装入する。分光器としては、例えば、XPS測定装置(Thermo Fisher Scientific社製VG Theta Probe)又はこれと等価な機能を有する装置を用いることができる。
励起X線源としては、単結晶分光AlKα線(単色性をよりよくするために、AlKα線を単結晶で分光した光)を用いる。この励起X線源を、X線スポットが800×400μmの楕円形になるように照射して、X線光電子スペクトルを得る。
XPS測定では、サンプルの実表面からの例えば0~10nmの深さまでの領域を測定できる。そのため、XPS測定によると、正極活物質含有層の表面から0~10nmの深さまでの情報を得ることができる。言い換えると、正極活物質含有層についてのX線光電子分光スペクトルは、正極活物質含有層の表面についてのスペクトルであるということもできる。
得られたX線光電子スペクトルから、70eV以上75eV未満の結合エネルギー領域に現れる、Alの2p軌道に帰属されるピークの最大ピーク高さA、75eV以上78eV以下の結合エネルギー領域に現れる、Alの2p軌道に帰属されるピークの最大ピーク高さBを決定し、65eV以上70eV未満の結合エネルギー領域のピークから平均ピーク強度Cを算出する。
また、得られたX線光電子スペクトルから、638eV以上645eV未満の結合エネルギー領域に現れる、Tiの2p3/2軌道に帰属されるピークの最大ピーク高さDを決定し、635eV以上638eV未満の結合エネルギー領域のピークから平均ピーク強度Eを算出する。
<正極の製造方法>
正極の製造では、まず、例えば正極活物質、正極導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁させ、得られたスラリーを正極集電体に塗布して乾燥させることにより正極活物質含有層を作成した後、プレスを施す。その他、正極活物質、正極導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、正極活物質含有層として用いてもよい。
正極の表面、すなわち、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある正極活物質含有層の表面の有する効果は、例えば、エージングにより正極活物質含有層の表面に形成される被膜によっても実現することができる。以下では、正極活物質含有層の表面に形成される被膜の組成調製方法について述べる。
上述したように作製した正極を用いて、例えば、負極と、非水電解質とを含む非水電解質電池を作製する。正極の表面に所定の被膜を形成するため、非水電解質、正極活物質、及び正極集電体のうち少なくともいずれかがAlを含むことが望ましい。非水電解質は、四フッ化アルミニウムリチウムを含むことが好ましい。四フッ化アルミニウムリチウムの濃度は、0.001mol/L以上0.1mol/L以下が好ましく、0.002mol/L以上0.03mol/L以下がより好ましい。また、正極活物質は、組成式がLiMn2-xであるリチウムマンガン複合酸化物を含むことが好ましい。正極集電体は、アルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔から形成されることが好ましい。
作製した非水電解質電池に、例えば、初充電後、充電状態で、高温(例えば70℃)で長時間(例えば24時間)にわたりエージングを行う。これらの調整の一例として、実施例に示すエージングの条件が挙げられる。このようにすることで、正極活物質含有層の表面に形成される被膜の組成を調製することができる。
以上説明した第1の実施形態によれば、正極が提供される。正極は、リチウムマンガン複合酸化物とコバルト酸リチウムとを含む正極活物質含有層を含む。正極活物質含有層は、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有する。正極活物質含有層は、0<H/(G+H)≦0.1の関係式を満たす。
このような構成を有するため、第1の実施形態に係る正極では、ガス発生を抑制することができると共に、抵抗上昇を抑えることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、正極と、負極と、非水電解質と、外装部材とを具備する。
正極には、例えば、第1実施形態の正極が用いられる。正極集電体は、表面に正極活物質含有層を担持していない部分を含むことができる。この部分は、正極タブとして働くことができる。或いは、正極は、正極集電体とは別体の正極タブを含むこともできる。
負極は、負極活物質含有層を含む。負極は、負極集電体を更に含むこともできる。負極活物質含有層は、負極集電体の少なくとも一方の表面に担持されることができる。すなわち、負極集電体は、片面又は両面に負極活物質含有層を担持することができる。また、負極集電体は、表面に負極活物質含有層を担持していない部分を含むことができる。この部分は、負極タブとして働くことができる。或いは、負極は、負極集電体とは別体の負極タブを含むこともできる。
正極と負極とは、電極群を構成することができる。電極群においては、正極活物質含有層と負極活物質含有層とが、例えば、セパレータを介して対向することができる。
電極群は、様々な構造を有することができる。例えば、電極群は、スタック型の構造を有することができる。スタック型構造の電極群は、例えば、複数の正極及び複数の負極を、正極活物質含有層と負極活物質含有層との間にセパレータを挟んで交互に積層することによって得ることができる。或いは、電極群は、捲回型の構造を有することができる。捲回型の電極群は、例えば、一枚のセパレータと、一枚の負極と、もう一枚のセパレータと、一枚の正極とをこの順で積層させて積層体を作り、この積層体を捲回することによって得ることができる。
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、正極端子及び負極端子を更に具備することができる。正極端子は、その一部が正極の一部に電気的に接続されることによって、正極と外部端子との間で電子が移動するための導体として働くことができる。正極端子は、例えば、正極集電体、特に正極タブに接続することができる。同様に、負極端子は、その一部が負極の一部に電気的に接続されることによって、負極と外部端子との間で電子が移動するための導体として働くことができる。負極端子は、例えば、負極集電体、特に負極タブに接続することができる。
外装部材は、電極群及び非水電解質を収容する。非水電解質は、外装部材内で、電極群に含浸され得る。正極端子及び負極端子のそれぞれの一部は、外装部材から延出させることもできる。
以下、正極、負極、非水電解質、セパレータ及び外装部材を、より詳細に説明する。
<正極>
正極には、例えば、第1の実施形態の正極が用いられる。
<負極>
負極は、負極集電体と、負極集電体の片面もしくは両面に担持され、負極活物質、負極導電剤及び結着剤を含む負極活物質含有層とを有する。
負極活物質は、チタン含有酸化物を含む。負極活物質の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
チタン含有酸化物の例には、リチウムチタン複合酸化物、アナターゼ型のチタン含有酸化物、ルチル型のチタン含有酸化物、ブロンズ型のチタン含有酸化物、斜方晶型チタン含有酸化物、単斜晶型ニオブチタン含有酸化物、並びにTiとP、V、Sn、Cu、Ni、Nb及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物が含まれる。
リチウムチタン複合酸化物には、リチウムチタン酸化物、リチウムチタン酸化物の構成元素の一部を異種元素で置換したリチウムチタン複合酸化物が含まれる。リチウムチタン酸化物には、例えば、スピネル型構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi4+xTi12(xは充放電により変化する値で、0≦x≦3))、ラムスデライト型のチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi(yは充放電により変化する値で、0≦y≦3))等を挙げることができる。一方、酸素のモル比についてはスピネル型Li4+xTi12では、12、ラムスデライト型Li2+yTiでは7と形式的には示しているが、酸素ノンストイキオメトリーなどの影響によってこれらの値は変化し得る。
Tiと、P、V、Sn、Cu、Ni、Nb及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO-P、TiO-V、TiO-P-SnO、TiO-P-MeO(Meは、Cu、Ni及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素である)などを挙げることができる。この金属複合酸化物は、結晶性が低く、結晶相とアモルファス相とが共存もしくは、アモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。このようなミクロ構造であることによりサイクル性能を大幅に向上させることができる。
アナターゼ型、ルチル型、ブロンズ型のチタン含有酸化物の組成は、TiOで表すことができる。
斜方晶型チタン含有酸化物としては、一般式Li2+wNa2-xM1Ti6-zM214+δで表され、M1はCs及び/又はKであり、M2はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Fe,Co,Mn,及びAlのうち少なくとも1つを含む化合物が挙げられ、0≦w≦4、0≦x≦2、0≦y≦2、0≦z<6、-0.5≦δ≦0.5である。
単斜晶型ニオブチタン含有酸化物としては、一般式LiTi1-yM3Nb2-zM47+δで表され、M3はZr、Si、Sn、Fe、Co、Mn及びNiから成る群から選択される少なくとも1つであり、M4はV,Nb,Ta,Mo,W及びBiから成る群から選択される少なくとも1つである化合物が挙げられ、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z≦2、-0.3≦δ≦0.3である。
好ましい負極活物質は、リチウムチタン複合酸化物を含むものである。
リチウムチタン複合酸化物のようなチタン含有酸化物を含む負極は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li)以上であるため、大電流での入出力を繰り返した際の負極表面上での金属リチウムの析出を防止することができる。負極活物質には、リチウムチタン複合酸化物以外の活物質が含まれていてもよいが、その場合、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li)以上の活物質を使用することが望ましい。
結着剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド、ポリアミドなどを挙げることができる。結着剤の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
負極導電剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンなどを挙げることができる。導電剤の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
負極活物質含有層における負極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、負極活物質70重量%以上96重量%以下、導電剤2重量%以上28重量%以下および結着剤2重量%以上28重量%以下にすることが好ましい。導電剤は、2重量%以上の割合で配合することにより高い集電性能による優れた大電流特性が得られる。また、結着剤量を2重量%以上にすることにより、負極活物質含有層と負極集電体の結着性を高くしてサイクル特性を向上することができる。一方、高容量化の観点から、負極導電剤および結着剤はそれぞれ28重量%以下であることが好ましい。
集電体は、1.0Vよりも貴である電位範囲において電気化学的に安定であるアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔であることが好ましい。
負極は、例えば負極活物質、負極導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、得られたスラリーを、負極集電体に塗布し、乾燥し、負極活物質含有層を作製した後、プレスを施すことにより作製される。その他、負極活物質、負極導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、負極活物質含有層として用いてもよい。
負極活物質含有層は、20%以上50%以下の気孔率を有することが好ましい。このような気孔率を有する負極活物質含有層は、非水電解質との親和性に優れ、かつ高密度化を図ることが可能になる。より好ましい気孔率は、25%以上40%以下である。
負極活物質含有層の密度は、2.0g/cm以上にすることが好ましい。
<非水電解質>
非水電解質は、電解質を非水溶媒に溶解し調整される液状非水電解質、液状非水電解質と高分子材料を複合化したゲル状非水電解質等が挙げられる。
電解質は、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CFSO]、四フッ化アルミニウムリチウム(LiAlF)などのリチウム塩を挙げることができる。これらの電解質は、単独または2種類以上を混合してもよい。電解質は、六フッ化リン酸リチウム又は四フッ化アルミニウムリチウムを含むものが好ましく、六フッ化リン酸リチウム及び四フッ化アルミニウムリチウムを含むものがより好ましい。
電解質は、非水溶媒に対して0.5mol/L以上2.5mol/L以下の範囲で溶解させることが好ましい。
非水溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)などの環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)などの鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(BL)などの環状エステル;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの鎖状エステル;アセトニトリル(AN);スルホラン(SL)等の有機溶媒を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。
ゲル状非水電解質に用いる高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキシド(PEO)等を挙げることができる。
<セパレータ>
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、またはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布などを挙げることができる。
<外装部材>
外装部材は、ラミネートフィルムから形成しても金属製容器で構成してもよい。金属製容器を用いる場合、蓋は容器と一体または別部材にすることができる。金属製容器の肉厚は0.5mm以下、0.2mm以下であるとより好ましい。外装部材の形状としては、扁平型、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、積層型などが挙げられる。携帯用電子機器などに積載される小型電池の他、二輪ないしは四輪の自動車に積載される大型電池でもよい。
ラミネートフィルム製外装部材の肉厚は0.2mm以下であることが望ましい。ラミネートフィルムの例には、樹脂フィルムと樹脂フィルム間に配置された金属層とを含む多層フィルムが挙げられる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂フィルムは、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行って外装部材の形状に成形することができる。
金属製容器は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などから作られる。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金が好ましい。アルミニウムまたはアルミニウム合金において、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は100ppm以下にすることが高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上させる上で好ましい。
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製容器は、平均結晶粒径が50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは5μm以下であることが望ましい。平均結晶粒径を50μm以下とすることによって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属製容器の強度を飛躍的に増大させることができ、容器のより一層の薄肉化が可能になる。その結果、軽量かつ高出力で長期信頼性に優れた車載などに適切な非水電解質電池を実現することができる。
次に、実施形態に係る非水電解質電池の具体例を、図面を参照しながら説明する。
まず、図1及び図2を参照しながら、実施形態に係る第1の例の非水電解質電池を説明する。
図1は、第2の実施形態に係る非水電解質電池の一例の一部切欠斜視図である。図2は、図1に示す非水電解質電池のA部の拡大断面図である。
図1及び図2に示す非水電解質電池100は、扁平型の電極群1とラミネートフィルム製の外装部材7を具備する。扁平型の電極群1は、負極2と、正極3と、セパレータ4とを含む。扁平型の電極群1は、負極2と正極3とがその間にセパレータ4を介して扁平形状に捲回されたものである。
負極2は、図2に示すように、負極集電体21と、負極集電体21上に担持された負極活物質含有層22とを具備する。なお、図2に示すように、負極2の最外側に位置する部分では、負極集電体21の2つの主面のうち正極3と向き合わない主面上には、負極活物質含有層22が担持されていない。負極2のその他の部分では、負極集電体の両方の主面上に、負極活物質含有層22が担持されている。正極3は、図2に示すように、正極集電体31と、正極集電体31の2つの主面上に担持された正極活物質含有層32とを具備する。
負極2には帯状の負極端子5が電気的に接続されている。正極3には帯状の正極端子6が電気的に接続されている。
電極群1は、ラミネートフィルム製の外装部材7内に、負極端子5及び正極端子6の端部を外装部材7から延出させた状態で収容されている。ラミネートフィルム製外装部材7内には、図示しない非水電解質が収容されている。非水電解質は、電極群1に含浸されている。ラミネートフィルム製の外装部材7は、一端部に負極端子5と正極端子6とを挟んだ状態で、この端部及びこの端部と直交する二端部71それぞれを熱融着させることにより封止されている。
次に、図3を参照しながら、実施形態に係る第2の例の非水電解質電池を説明する。
図3は、第2の実施形態に係る非水電解質電池の別の例の分解斜視図である。
図3に示す非水電解質電池100は、容器本体7と、蓋体8と、電極群1とを具備する。
容器本体7は、金属製であり、開口部を有する有底角筒形状を有している。容器本体7の開口部には、蓋体8が配置されており、それによって塞がれている。容器本体7は、電極群1及び非水電解質(図示しない)を収容している。容器本体7と蓋体8とは、外装部材を構成している。
蓋体8は封口板81を備えている。封口板81は、容器本体7と同じ種類の金属からなることが望ましい。封口板81の周縁部は、容器本体7の開口部の周縁部に溶接されている。封口板81にはガス開放構造として作動できる安全弁82が設けられている。
安全弁82は、封口板81に設けられた矩形の凹部の底面に設けられた十字の溝83を含む。封口板81のうち溝83が設けられた部分は特に肉薄となっている。そのため、溝83は、容器本体7の内部圧力が上昇した際に、破断することによって容器本体7内のガスを外に放出することができる。
また、封口板81には、安全弁82の他に、注液孔81aが設けられている。封口板81には、正極端子84、負極端子85、2つの外部絶縁材86、図示しない2つの内部絶縁材及び2つの端子リード87が固定されている。
電極群1は、図示しない正極と、図示しない負極と、図示しないセパレータとを含む。扁平型の電極群1は、正極と負極とがその間にセパレータを介して扁平形状に捲回されたものである。電極群1には図示しない非水電解質が含浸されている。
正極は、帯状の正極集電体と、集電体の表面の一部に形成された正極活物質含有層とを備える。正極集電体は、表面に正極活物質含有層が形成されていない、複数の正極集電タブ33を備える。複数の正極集電タブ33は、電極群1の蓋体8に対向する端面から延出している。なお、図3では、複数の正極集電タブ33を集合体である1つの部材33として記載している。
負極は、帯状の負極集電体と、集電体の表面の一部に形成された負極活物質含有層とを備える。負極集電体は、表面に負極活物質含有層が形成されていない、複数の負極集電タブ23を備える。複数の負極集電タブ23は、電極群1の蓋体8に対向する端面から延出している。なお、図3では、複数の負極集電タブ23を集合体である1つの部材23として記載している。
2つの端子リード87は、正極端子84及び負極端子85、2つの外部絶縁材86、並びに2つの内部絶縁材と共に、封口板81に固定されている。
正極端子84及び負極端子85はそれぞれ封口板81から電気的に絶縁されている。また、2つの端子リード87も、封口板81から絶縁されている。
一方、正極端子84は、これと共に封口板81に固定された一方の端子リード87に電気的に接続されている。同様に、負極端子85は、これと共に封口板81に固定された他方の端子リード87に電気的に接続されている。
図3に示す非水電解質電池100において、封口板81に設けられた注液孔81aは、外部から非水電解質電池100の内部へと非水電解質を注入するための注液通路を構成している。注液孔81aは、金属製の封止蓋9によって塞がれている。封止蓋9はその周縁が封口板81に溶接されている。
図3に示す非水電解質電池100では、正極端子84に電気的に接続された端子リード87は、正極集電タブ33に電気的に接続されている。また、負極端子85に電気的に接続された端子リード87は、負極集電タブ23に電気的に接続されている。
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、第1の実施形態に係る正極を備えているため、電池内のガス発生と電池抵抗の上昇を抑制することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態によれば、非水電解質電池を含む電池パックが提供される。非水電解質電池には、第1の実施形態に係る非水電解質電池が使用される。電池パックに含まれる非水電解質電池(単電池)の数は、1個または複数にすることができる。
複数の非水電解質電池は、電気的に直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて接続されて組電池を構成することができる。電池パックは、複数の組電池を含んでいてもよい。
電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、非水電解質電池の充放電を制御する機能を有する。また、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用することができる。
また、電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、非水電解質電池からの電流を外部に出力するため、及び非水電解質電池に電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車の動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、第3の実施形態に係る電池パックの一例を、図面を参照して説明する。
図4は、第3の実施形態に係る電池パックの一例の分解斜視図である。図5は、図4に示す電池パックの電気回路を示すブロック図である。
図4及び図5に示す電池パック200は、図1及び図2に示した構造を有する複数個の扁平型電池100を含む。
複数個の単電池100は、外部に延出した負極外部端子5及び正極外部端子6が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ122で締結されており、それにより組電池123を構成している。これらの単電池100は、図5に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
プリント配線基板124が、複数の単電池100の負極外部端子5及び正極外部端子6が延出している側面に対向して配置されている。プリント配線基板124には、図5に示すように、サーミスタ125、保護回路126及び外部機器への通電用端子127が搭載されている。なお、プリント配線基板124の組電池123と対向する面には、組電池123の配線と不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
組電池123の最下層に位置する単電池100の正極外部端子6に正極側リード128が接続されており、その先端はプリント配線基板124の正極側コネクタ129に挿入されて電気的に接続されている。組電池123の最上層に位置する単電池100の負極外部端子5に負極側リード130が接続されており、その先端はプリント配線基板124の負極側コネクタ131に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ129及び131は、プリント配線基板124に形成された配線132及び133をそれぞれ通して保護回路126に接続されている。
サーミスタ125は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路126に送信する。保護回路126は、所定の条件で保護回路126と外部機器への通電用端子127との間のプラス側配線134a及びマイナス側配線134bを遮断することができる。所定の条件の例は、例えばサーミスタ125から、単電池100の温度が所定温度以上であるとの信号を受信したときである。また、所定の条件の他の例は、単電池100の過充電、過放電、過電流等を検出したときである。この過充電等の検出は、個々の単電池100又は単電池100全体について行われる。個々の単電池100を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。図4及び図5の電池パック200では、単電池100それぞれに電圧検出のための配線135が接続されており、これら配線135を通して検出信号が保護回路126に送信される。
正極外部端子6及び負極外部端子5が突出する側面を除く組電池123の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート136がそれぞれ配置されている。
組電池123は、各保護シート136及びプリント配線基板124と共に収納容器137内に収納されている。すなわち、収納容器137の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート136が配置されており、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板124が配置されている。組電池123は、保護シート136及びプリント配線基板124で囲まれた空間内に位置する。蓋138は、収納容器137の上面に取り付けられている。
なお、組電池123の固定には粘着テープ122に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮チューブを周回させた後、熱収縮チューブを熱収縮させて組電池を結束させる。
図4及び図5に示した電池パック200は複数の単電池100を直列接続した形態を有するが、第3の実施形態に係る電池パックは、電池容量を増大させるために、複数の単電池100を並列に接続してもよい。或いは、第3の実施形態に係る電池パックは、直列接続と並列接続とを組合せて接続された複数の単電池100を備えてもよい。組み上がった電池パック200をさらに直列又は並列に接続することもできる。
また、図4及び図5に示した電池パック200は複数の単電池100を備えているが、第3の実施形態に係る電池パックは1つの単電池100を備えるものでもよい。
また、電池パック200の態様は用途により適宜変更される。電池パック200の用途としては、大電流特性でのサイクル特性が望まれるものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車載用が挙げられる。特に、車載用が好適である。
本実施形態に係る電池パックを搭載した自動車において、電池パックは、例えば、自動車の動力の回生エネルギーを回収するものである。
第3の実施形態の電池パックは、第1の実施形態の非水電解質電池を含む。したがって、第3の実施形態に係る電池パックは、電池内のガス発生及び電池抵抗の上昇を抑制することができる。
[実施例]
以下に例を挙げ、実施形態をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を超えない限り実施形態は以下に掲載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、以下の手順により、実施例1の正極及び非水電解質電池を作製した。
<正極の作成>
正極活物質として、組成式LiMn1.9Al0.1で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物(LMO)の粒子と、組成式LiCoOで表されるコバルト酸リチウム(LCO)の粒子とを準備した。LMOの粒子は二次粒子を含むもので、平均二次粒子径は10μmであった。LCOの一次粒子の平均粒子径は8μmであった。また、導電剤としてのアセチレンブラック及びグラファイトと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを準備した。これらを、LMOの粒子:LCOの粒子:アセチレンブラック:グラファイト:PVdFの混合比が重量比で90:10:4:1:4となるように、N-メチルピロリドン(NMP)に加えて混合した。かくして、正極スラリーを調製した。この正極スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥した後、プレスすることにより片面目付量80g/mの正極活物質含有層を備える正極を作製した。
<負極の作成>
負極活物質として、組成式LiTi12で表されるスピネル型チタン酸リチウム(LTO)の粒子を準備した。また、導電剤としてのグラファイトと、結着剤としてのPVdFとを準備した。これらをLTOの粒子:グラファイト:PVdFの混合比が重量比で100:9:4となるように、NMPに加えて混合した。かくして、負極スラリーを調製した。この負極スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布し、乾燥した後、プレスすることにより片面目付量40g/mである負極活物質含有層を備える負極を作製した。
<電極群の作製>
上記のように作製した正極と、厚さが15μmの樹脂製セパレータと、上記のように作製した負極と、もう一枚のセパレータとをこの順で積層し、積層体を得た。この積層体を、負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して、電極群を作製した。巻き芯を抜いた後、捲回した積層体を90℃で加熱プレスに供した。かくして、幅が50mmであり、高さが95mmであり、厚さが10mmである偏平状電極群を作製した。
<非水電解液の調製>
エチルメチルカーボネート(EMC)とエチレンカーボネート(EC)とを体積比で1:1になるように混合して混合溶媒を調製した。この混合溶媒に1.0mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF)と0.01mol/Lの四フッ化アルミニウムリチウム(LiAlF)を溶解して、非水電解液を調製した。
<電池の作製>
上記のように作製した扁平状電極群を、厚さ0.3mmのアルミニウムからなる有底矩形筒形状の缶(外装容器)に挿入した。
封口板を取り付けた外装容器内の電極群を乾燥機に投入し、95℃で6時間真空乾燥した。乾燥後、露点-50℃以下に管理されたグローブボックスに運んだ。封口板の注液口から、先に調整した非水電解液を70ml注入した。非水電解液を注入した後、-90kPaの減圧環境下において注液口を封止蓋により封止した。
<エージング>
封止後のものを、25℃環境下1Cレートの充電によりSOC100%に調整した。次に、70℃の恒温槽に24時間にわたって放置し、エージングを行った。エージング後、外装容器を開封し、再度-90kPaの減圧環境下において封止した。
かくして、実施例1の非水電解質電池を作製した。
(実施例2)
実施例2では、表1に示すように、LiAlFを0.03mol/Lの濃度で溶解して非水電解質を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の非水電解質電池を作製した。
(実施例3)
実施例3では、表1に示すように、LiAlFを0.002mol/Lの濃度で溶解して非水電解質を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の非水電解質電池を作製した。
(実施例4)
実施例4では、表1に示すように、組成式LiMn1.8Al0.2で表されるLMOの粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の非水電解質電池を作製した。
(実施例5)
実施例5では、表1に示すように、組成式LiMn1.8Al0.2で表されるLMOの粒子を用いたこと、及びLiAlFを0.002mol/Lの濃度で溶解して非水電解質を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の非水電解質電池を作製した。
(実施例6)
実施例6では、表1に示すように、組成式LiMn1.6Al0.4で表されるLMOの粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の非水電解質電池を作製した。
(実施例7)
実施例7では、表1に示すように、組成式LiMn1.6Al0.4で表されるLMOの粒子を用いたこと、及びLiAlFを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の非水電解質電池を作製した。
(実施例8)
実施例8では、表1に示すように、LiAlFを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の非水電解質電池を作製した。
(実施例9)
実施例9では、表1に示すように、LiAlFを0.1mol/Lの濃度で溶解して非水電解質を調製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の非水電解質電池を作製した。
(実施例10)
実施例10では、実施例1と同様に注液、減圧封止した後、封止後のものを、25℃環境下1Cレートの充電により2.4Vに調整した。次に、70℃の恒温槽に24時間にわたって放置し、エージングを行った。エージング後、外装容器を開封し、再度-90kPaの減圧環境下において封止し、実施例10の非水電解質電池を作製した。
(実施例11)
実施例11では、表1に示すように、組成式LiMn1.6Al0.4で表されるLMOの粒子を用いたこと、LiAlFを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に注液、減圧封止した後、封止後のものを、25℃環境下1Cレートの充電により2.4Vに調整した。次に、70℃の恒温槽に24時間にわたって放置し、エージングを行った。エージング後、外装容器を開封し、再度-90kPaの減圧環境下において封止し、実施例11の非水電解質電池を作製した。
(比較例1)
比較例1では、表1に示すように、組成式LiMn1.9Al0.1で表されるLMOの粒子を用い、LCOの粒子を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の非水電解質電池を作製した。
(正極の表面についてのX線光電子分光測定)
実施例7の非水電解質電池が備える正極活物質含有層の表面を先に説明した方法に従うX線光電子分光測定に供した結果を図6及び図7に示す。図6及び図7に示すスペクトルは、実測のXPSスペクトルである。横軸は結合エネルギー(Binding energy)eVである。図6の縦軸はカウント/秒(残差×2)(Counts/s(Resid×2)であり、残差の縦軸の倍率は2倍である。図7の縦軸はカウント/秒(残差×5)(Counts/s(Resid×5))であり、残差の縦軸の倍率は5倍である。図6に示すスペクトルから、70eV以上78eV以下の範囲内の結合エネルギーの領域にAlの2p軌道の電子に帰属されるピークP1及びP2が2つ含まれることがわかる。
また、図6に示すスペクトルは、70eV以上75eV未満の範囲内における最大ピーク高さとなるピークP1のAlの結合エネルギーが73.6eVであり、75eV以上78eV以下の範囲内における最大ピーク高さとなるピークP2のAlの結合エネルギーが75.5eVであった。これより、70eV以上75eV未満の範囲内及び75eV以上78eV以下の範囲内の結合エネルギーの領域に、Alの2p軌道の電子に帰属されるピークP1及びP2がそれぞれ1つ含まれることがわかる。
さらに、図7に示すスペクトルは、638eV以上645eV以下の範囲内における最大ピーク高さとなるピークP3のMnの結合エネルギーが642.5eVであった。これより、638eV以上645eV以下の範囲内の結合エネルギーの領域に、Mnの2p3/2軌道の電子に帰属されるピークP3が1つ含まれることがわかる。
図示していないが、上記のX線光電子分光測定により、正極活物質含有層にLi、C、O、F、P、Ti、及びCoの各元素が含まれていることを確認した。
実施例1~6、8~11及び比較例1についても、Alの2p軌道の電子に帰属されるピークが70eV以上78eV以下の結合エネルギーの領域に2つ現れること、70eV以上75eV未満の範囲内及び75eV以上78eV以下の範囲内の結合エネルギーの領域に、Alの2p軌道の電子に帰属されるピークがそれぞれ1つ含まれること、638eV以上645eV以下の範囲内の結合エネルギーの領域に、Mnの2p3/2軌道の電子に帰属されるピークが1つ含まれること、及び正極活物質含有層にLi、C、O、F、P、Ti、及びCoの各元素が含まれていることを確認した。
また、上記X線光電子分光測定に供した結果から、先に説明した手順により、(B-C)/(A-C)及び(B-C)/(D-E)を算出した結果を表2に示す。
(0.2秒放電抵抗)
実施例1~11及び比較例1の非水電解質電池の電圧をSOC50%の電圧に調整した後、25℃環境下、1C及び10Cの電流をそれぞれ0.2秒、連続で流したときの電圧をV1、V2とする場合に、次の式で算出した0.2秒抵抗を表2に示す。
0.2秒抵抗(Ω)=(V1-V2)/(10-1)
(貯蔵後のセル厚み及び0.2秒放電抵抗)
実施例1~11及び比較例1のそれぞれの非水電解質電池をSOC100%に調整し、75℃で1週間貯蔵した。貯蔵後、25℃環境下でセル厚みを測定し、貯蔵前のセル厚みとの差分(mm)を算出した結果を表2に示す。
また、貯蔵後に25℃環境下で、実施例1~11及び比較例1のそれぞれの非水電解質電池の0.2秒放電抵抗を測定した結果を表2に示す。
Figure 0007024083000001
Figure 0007024083000002
表2に示すとおり、実施例1~11の非水電解質電池は、比較例1の非水電解質電池よりも貯蔵後セル厚みが小さかった。また、実施例1~11の非水電解質電池は、比較例1と同程度の0.2秒抵抗及び貯蔵後0.2秒抵抗を示した。
これらの結果から、実施例1~11の非水電解質電池は、比較例1の非水電解質電池と比べて、ガス発生が抑制されていることがわかる。これは、比較例1の非水電解質電池では、正極活物質中にLiCoOが含まれていないため、発生したガスを吸収することができなかったためと考えられる。
また、実施例1~7の非水電解質電池は、貯蔵後セル厚み、0.2秒放電抵抗、及び貯蔵後0.2秒抵抗がいずれも小さかった。これは、(B-C)/(A-C)が0.3以上2以下の範囲内にあること、及び、(B-C)/(D-E)が0.004以上0.04以下の範囲内にあることにより、正極のLiイオンの伝導性が正極活物質含有層上に形成された被膜により大きく低下することなく、ガス発生が抑制されたためと考えられる。
すなわち、以上に説明した少なくとも一つの実施形態及び実施例に係る正極は、リチウムマンガン複合酸化物とコバルト酸リチウムとを含む正極活物質を含有する正極活物質含有層を含み、正極活物質含有層は、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有し、0<H/(G+H)≦0.1の関係式を満たす。Gは、正極活物質中のリチウムマンガン複合酸化物の重量比率である。Hは、正極活物質中のコバルト酸リチウムの重量比率である。この正極を備える非水電解質電池は、抵抗値の上昇を抑えながら、ガス発生を抑制することができる。その結果、この非水電解質電池は、優れた入出力特性、優れた寿命特性、及び向上した安全性を示すことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
リチウムマンガン複合酸化物とコバルト酸リチウムとを含む正極活物質を含有する正極活物質含有層を含み、
前記正極活物質含有層は、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有し、
下記式(1)を満たす正極:
0<H/(G+H)≦0.1 (1)
ここで、Gは、前記正極活物質中の前記リチウムマンガン複合酸化物の重量比率であり、Hは、前記正極活物質中の前記コバルト酸リチウムの重量比率である。
[2]
前記正極活物質含有層は、前記X線光電子分光スペクトルにおける前記Alの結合エネルギーの前記複数のピークが70eV以上75eV未満の範囲内及び75eV以上78eV以下の範囲内にそれぞれ少なくとも1つ存在する前記表面を有する[1]に記載の正極。
[3]
下記式(2)を満たす[1]又は[2]に記載の正極:
0.3≦(B-C)/(A-C)≦2 (2)
ここで、Aは、Alの結合エネルギーの70eV以上75eV未満の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さであり、
Bは、Alの結合エネルギーの75eV以上78eV以下の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さであり、
Cは、Alの結合エネルギーの65eV以上70eV未満の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの平均ピーク高さである。
[4]
下記式(3)を満たす[1]~[3]の何れか1に記載の正極:
0.004≦(B-C)/(D-E)≦0.04 (3)
ここで、Dは、Mnの結合エネルギーの638eV以上645eV以下の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さであり、
Eは、Mnの結合エネルギーの635eV以上638eV未満の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの平均ピーク高さである。
[5]
前記リチウムマンガン複合酸化物の組成式がLiMn 2-x であり、ここで、添字xは0.1≦x≦0.7の範囲内にあり、Mは、Mg、Ti、Cr、Fe、Co、Zn、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素である[1]~[4]の何れか1に記載の正極。
[6]
[1]~[5]の何れか1に記載の正極と、負極と、非水電解質とを備える非水電解質電池。
[7]
[6]に記載の非水電解質電池を備える電池パック。

Claims (6)

  1. リチウムマンガン複合酸化物とコバルト酸リチウムとを含む正極活物質を含有する正極活物質含有層を含み、
    前記正極活物質含有層は、X線光電子分光スペクトルにおけるAlの結合エネルギーの複数のピークが70eV以上78eV以下の範囲内にある表面を有し、
    下記式(1)及び下記式(2)を満たす正極:
    0<H/(G+H)≦0.1 (1)
    ここで、Gは、前記正極活物質中の前記リチウムマンガン複合酸化物の重量比率であり、Hは、前記正極活物質中の前記コバルト酸リチウムの重量比率である。
    0.3≦(B-C)/(A-C)≦2 (2)
    ここで、Aは、Alの結合エネルギーの70eV以上75eV未満の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さであり、
    Bは、Alの結合エネルギーの75eV以上78eV以下の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さであり、
    Cは、Alの結合エネルギーの65eV以上70eV未満の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの平均ピーク高さである。
  2. 前記正極活物質含有層は、前記X線光電子分光スペクトルにおける前記Alの結合エネルギーの前記複数のピークが70eV以上75eV未満の範囲内及び75eV以上78eV以下の範囲内にそれぞれ少なくとも1つ存在する前記表面を有する請求項1に記載の正極。
  3. 下記式(3)を満たす請求項1又は2に記載の正極:
    0.004≦(B-C)/(D-E)≦0.04 (3)
    ここで、Dは、Mnの結合エネルギーの638eV以上645eV以下の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの最大ピーク高さであり、
    Eは、Mnの結合エネルギーの635eV以上638eV未満の範囲内における前記X線光電子分光スペクトルの平均ピーク高さである。
  4. 前記リチウムマンガン複合酸化物の組成式がLiMn2-xであり、ここで、添字xは0.1≦x≦0.7の範囲内にあり、Mは、Mg、Ti、Cr、Fe、Co、Zn、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素である請求項1~の何れか1項に記載の正極。
  5. 請求項1~の何れか1項に記載の正極と、負極と、非水電解質とを備える非水電解質電池。
  6. 請求項に記載の非水電解質電池を備える電池パック。
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