JP7042748B2 - おねじ及びねじ締結構造 - Google Patents

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Description

本発明は、耐ゆるみ性及び耐疲労強度の高いおねじ、及びそれを用いたねじ締結構造に関し、特にねじ山の形状に関する。
従来のこの種のおねじとして、本出願人は、既に、特許文献1に記載のようなねじ山形状を提案している。
すなわち、特許文献1に記載のおねじのねじ山は、ねじ有効径近傍より山頂側の角度を、底辺側(根元側)の角度より小さくしたものである。底辺側の角度は、めねじのねじ山の角度と同じであり、おねじのねじ山の山頂部を、めねじのねじ山のフランク面に対して線接触させ、弾性変形させることにより、耐ゆるみ性を高めている。さらに、締め付け荷重を、めねじのねじ山に嵌合する複数の嵌合ねじ山に分散させることで、耐疲労強度の高いねじを実現していた。
特許第3344747号公報
しかしながら、近年、安全性に対する要求が高まっており、ねじ締結部の耐ゆるみ性、おねじの耐疲労強度については、さらなる向上が要請されている。本発明者等は、この要請に応えるべく、鋭意研究を重ねた結果、新たなねじ山形状についての知見を得た。
本発明は、耐ゆるみ性が高く、さらなる耐疲労強度の向上を図り得るおねじ及びねじ締結構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のおねじは、ねじ山の圧力側フランク面の山頂側の角度を、おねじが螺合するめねじのねじ山の圧力側フランク面と同等とし、根元側の角度を、山頂側の角度より大きく設定し
前記おねじのねじ山のピッチを、前記めねじのねじ山のピッチより、おねじのねじ山とめねじのねじ山との嵌合クリアランスの許容範囲内で、小さく設定したことを特徴とする。前記ねじ山の圧力側フランク面の山頂側の角度を30°、根元側の角度を30°を超え35°以下とすることができる。
また、他の発明は、おねじのねじ山が、めねじのねじ山に螺合して締め付けられるねじ締結構造であって、
前記おねじのねじ山の圧力側フランク面の山頂側の角度を、前記おねじが螺合する前記めねじのねじ山の圧力側フランク面と同等とし、根元側の角度を、山頂側の角度より大きく設定し、
前記めねじのねじ山の圧力側フランク面は、山頂側から根元側まで一定角度であり、前記おねじのねじ山の圧力側フランク面の根元側部分に、前記めねじ側の圧力側フランク面の山頂側角部が当接し、締め付け荷重によって前記山頂側角部を支点にしてめねじのねじ山が弾性変形してめねじのねじ山の圧力側フランク面が前記おねじのねじ山の圧力側フランク面に面接触する構成となっていることを特徴とする。
前記おねじのねじ山の圧力側フランク面の山頂側の角度を30°、根元側の角度を31°~35°とすることができる。
また、前記おねじのねじ山の遊び側フランク面についても、圧力側フランク面と同じく、根元側の角度が山頂側の角度より大きく設定することができる。
さらに、ねじ山のピッチを、前記めねじのねじ山のピッチより、おねじのねじ山とめねじのねじ山との嵌合クリアランスの許容範囲内で、小さく設定してもよい。
本発明によれば、おねじとめねじの締結部において、外部荷重の変動によっておねじの軸力が低下し、めねじのねじ山の圧力側フランク面と、おねじのねじ山の圧力側フランク面の山頂側部分との間に隙間が開いたとしても、めねじのねじ山の山頂側角部の弾性変形分で、接触面圧を確保することができ、弛み止めを図ることができる。
一方、おねじのねじ山の圧力側フランク面の根元側部分に、めねじ側の圧力側フランク面の山頂側角部が当接して弾性変形する構成となっているので、弾性変形によって、めねじに係合する嵌合ねじ山の内、めねじの座面側の第1嵌合ねじ山だけでなく、複数の嵌合ねじ山にもめねじのねじ山が当接し、締め付け荷重を複数の嵌合ねじ山に分散させることができる。
また、めねじの圧力側フランク面の山頂側角部の当接部は、おねじのねじ山の圧力側フランク面の根元側部分なので、おねじの第1嵌合ねじ山の付け根に位置する第1谷部との距離が短く、第1谷部に作用する引張応力が小さくなり、前記軸力の分散と相まって、おねじの第1谷部に作用する応力を低下させることができ、耐疲労強度を増大させることができる。
さらに、おねじのねじ山のピッチを、めねじに対してピッチ差を設けることで、おねじの第1谷部にかかる最大主応力の低減と共に、各ねじ山の接触面圧の均一化を図ることができる。
図1は本発明の実施形態1に係るねじ締結構造を示すもので、(A)はおねじのねじ山を示す断面図、(B)は締結初期状態を示す図、(C)は締結完了状態を示す図、(D)は全体構造を示す概略図である。 図2(A)、(C)、(E)は本発明の実施形態1、比較例1及び比較例2のおねじのねじ山を示す図、図2(B)、(D)、(F)は、それぞれ(A)、(C)、(E)のおねじとJIS標準ねじ山のめねじとの初期当接状態を模式的に示す図である。 (A),(B)は、本発明の実施形態1のねじ締結構造のおねじとめねじに作用する最大主応力の解析結果、(C),(D)は、比較例1のねじ締結構造のおねじとめねじに作用する最大主応力の解析結果、(E),(F)は比較例2のねじ締結構造のおねじとめねじに作用する最大主応力の解析結果を示すグラフである。 (A)は、図1のねじ山角度を変えた場合の、おねじの谷部に作用する最大主応力の解析結果を示すグラフ、(B)は、本発明の実施形態2のピッチ差を設ける場合の嵌合クリアランスの説明図である。 (A)は、ピッチ変化率と山角度を変えた場合のねじ谷部にかかる最大主応力を示すグラフ、(B)は、(A)の各ピッチ変化率に対応する最大主応力と基準ピッチの最大主応力の比較結果を示す図である。
以下に本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1(D)は、本発明の実施形態1に係るねじ締結構造を示している。
すなわち、このねじ締結構造は、被締め付け部材100を、ボルト等のおねじ10と、ナット等のめねじ20とによって締結する構成となっている。
おねじ10は、ねじ軸部11の一端に頭部12が設けられ、ねじ軸部11外周には螺旋状のねじ山13が形成されている。めねじ20は、ねじ穴22が貫通形成され、ねじ穴22内周におねじのねじ山13が螺合する複数のねじ山23が形成されている。
図1(A)には、おねじ10のねじ山13を拡大して示している。
この発明では、おねじ10のねじ山13の圧力側フランク面14の根元側の角度β2(ねじの軸線Nを含む断面形においてフランク面が軸線Nに直角なねじ山13の中心線Mとなす角)を、山頂側の角度β1より大きく設定している。圧力側フランク面14の山頂側部分141と根元側部分142とは、有効径d近傍が境界となっている。また、遊び側フランク面15は、ねじ山13の山頂部16を通る中心線Mに対して線対称となっており、圧力側フランク面14と同様に、根元側部分152の角度β4(=β2)が、山頂側部分151の角度β3(=β1)より大きく設定されている。
一方、図1(B)に示すように、めねじ20のねじ山23の圧力側フランク面24の角度β5は、山頂部26から根元まで一定で、おねじ10のねじ山13の圧力側フランク面14の山頂側部分141の角度β1と同一角度に設定されている。また、めねじ20のねじ山23の遊び側フランク面25も圧力側フランク面14と線対称でその角度は同一角度であり、めねじ20のピッチPiはおねじ10のピッチPmと同一ピッチである(図1(D)参照)。
この実施形態では、ねじ山13の形状寸法については、ねじ山13の根元側部分142の角度β2以外は、もっとも一般的なJISB0205のメートル並目ねじに準拠するもので、ねじ山13の山頂側部分141の山角度α1(圧力側フランク面14と遊び側フランク面15とのなす角)は60°に設定され、根元側部分142の山角度α2が60°を超えて70°以下、より好ましくは62°以上70°以下、より好ましくは62°以上63°以下に設定される。
圧力側フランク面14の角度では、山頂側部分141の角度β1は、山角度の半角で30°、根元側部分142の角度β2は、30°を超えて35°以下、好ましくは31°以上35°以下、より好ましくは31°以上31.5°以下程度である。
一方、めねじ20のねじ山23の形状寸法については、一般的なメートル並目ねじであり、山角度α5は60°であり、圧力側フランク面24の角度β5は、山角度の半角で30°である。
このように設定すれば、締め付け時に、まず、めねじ20のねじ山23の圧力側フランク面24の山頂側角部24a(山頂部26との角部)が、おねじ10のねじ山13の圧力側フランク面14の根元側部分142に接触し(図1(B))、締め付け荷重の増大とともに山頂側角部24a付近から弾性変形して接触面積が増大し、最終的に根元側まで隙間なく密接して締め付けが完了する(図1(C))。この締付け時には、図1(C)に誇張して示すように、おねじ10の根元部は剛性が高いので、めねじ20のねじ山23の山頂部26近傍が撓み変形する。
したがって、外部荷重の変動によっておねじ10の軸力が低下し、めねじ20のねじ山23の圧力側フランク面24と、おねじ10のねじ山13の圧力側フランク面14の山頂側部分141との間に隙間が開いたとしても、めねじ20のねじ山23の山頂側角部24a側の弾性変形分で、接触面圧を確保することができ、弛み止めを図ることができる。
一方、ねじ締結部において、おねじ10のねじ軸部11は、頭部12からめねじ20との嵌合部までの間が軸力によって伸びるので、めねじ20のねじ山23に嵌合するおねじ10の嵌合ねじ山のうち、めねじ20の締め付け座面20a側の第1嵌合ねじ山131に、めねじ20のねじ山23が片当たりする傾向となる。
本発明では、おねじ10のねじ山13の圧力側フランク面14の根元側部分142に、めねじ20の圧力側フランク面24の山頂側角部24aが当接して弾性変形する構成となっているので、弾性変形によって、第1嵌合ねじ山131だけでなく複数の嵌合ねじ山、たとえば、図1(D)に示すように、第2嵌合ねじ山132、第3嵌合ねじ山133、・・にもめねじ20のねじ山23が当接し、軸力は複数の嵌合ねじ山に分散させることができる。
また、めねじ20の圧力側フランク面24の山頂側角部24aの当接部は、おねじ10のねじ山23の圧力側フランク面24の根元側部分142なので、ねじ山23の付け根に位置する谷部17との距離が短く、谷部17に作用する曲げ応力を小さくすることができる。しかも、おねじ10のねじ山13の圧力側フランク面14の根元側部分の角度β2は大きいので、剛性が高く、谷部17に作用する応力はより一層小さくすることができる。
特に、本実施形態では、遊び側フランク面15の根元側部分の角度β4も大きく、根元部の断面積がさらに大きくなって、応力をより一層小さくすることができる。したがって、前記軸力の複数の嵌合ねじ山への分散と相まって、おねじ10の第1嵌合ねじ山131の付け根に位置する第1谷部171に作用する応力を低下させることができ、耐疲労強度を増大させることができる。
次に、本実施形態1のねじ締結構造の最大主応力の解析結果について、従来例と比較して説明する。
図2(A)は、本発明のおねじのねじ山、図2(C)は、比較例1として、従来のおねじの標準的なねじ山103(JIS標準ねじ山)、図2(E)は、比較例2として、従来技術で記載の山頂部分の山角度を小さくしたおねじのねじ山203を示している。
図2(B)、(D)、(F)は、それぞれ本発明のねじ山13のおねじ10と、比較例1,2のおねじ110、120を既存のJIS標準ねじ山のめねじ20に締結した締結構造を示している。
ねじサイズは、M10×1.25であり、本発明のねじ山13の山角度は、山頂部側が60°(圧力側フランク面の角度は30°)、根元側が63°(圧力側フランク面の角度は31.5°)、比較例1のねじ山103の山角度は山頂側から根元側まで一定で60°(圧力側フランク面の角度は30°)、比較例2のねじ山203の山角度は、山頂部側が50°(圧力側フランク面の角度は25°)、根元側が60°(圧力側フランク面の角度は30°)である。
図3には、これらのねじ締結構造について、同一荷重を負荷した(弾性締付けを想定)場合の、各ねじ山に作用する最大主応力の解析結果を示している。負荷荷重は、ボルト保証荷重の20%程度の荷重を負荷している。それぞれ、嵌合ねじ山数は6山とし、測定ポイントを、おねじについては、第1谷部から第6谷部をP1~P6とし、めねじについては、Pn1~Pn6としている。おねじのP0については、頭部から第1谷部までの間のねじの谷部に対応し、軸力の引張荷重による応力集中を示している。
比較例1のねじ山103(JIS標準ねじ山)の場合、第1谷部(測定ポイントP1)が最大で312MPaであるところ(図3(C)参照)、比較例2の場合は359MPaと15%増大しているのに対して(図3(E)参照)、本発明では、第1谷部(測定ポイントP1)の主応力は低下して第2谷部(測定ポイントP2)が最大で、最大値は271MPaと、JIS標準品に対して13%低減している(図3(A)参照)。さらに、第3谷部の最大主応力(測定ポイントP3)がJIS標準品に比べて大きくなっており、荷重が第1谷部、第2谷部、第3谷部に分散していることが窺える。
一方、めねじ側は、比較例1(JIS標準ねじ山)の場合、第1谷部(測定ポイントPn1)で200MPa(図3(D)参照)、比較例の場合第1谷部(測定ポイントPn1)で201MPaのところ(図3(F)参照)、本発明の場合、第1谷部(測定ポイントPn1)では237MPaと、JIS標準品に対して19%増大しているものの(図3(B)参照)、おねじ10の第1谷部に作用する最大主応力(271MPa)よりも小さくなっている。
図4は、ねじ山角度を変えた場合の、ねじの谷部の最大主応力の解析結果である。
本発明のサンプルとしては、図1に示したように、遊び側フランク面15側も、圧力側フランク面14と対称的に、山頂側の角度β3よりも根元側の角度β4を大きくしており、ねじ山13の山角度(圧力側フランク面と遊び側フランク面との角度)をパラメータとし、山頂側の山角度α1(60°)に対して、根元側の山角度α2を、60°から70°まで、1°刻みで変えた場合について解析を行った。したがって、圧力側フランク面14の山頂側および根元側の角度β1,β2は、山頂側および根元側の山角度α1,α2の半角である。なお、根元側の山角度α2が60°のものはJIS規格のねじ山である。
ねじサイズは、M10×1.25であり、これらの山角度のねじ山13を有するおねじ10と、既存のJIS標準ねじ山のめねじ20に締結した状態で、ボルト保証荷重の40%付近の荷重をかけ、それぞれの山角度について、谷部に作用する最大主応力を求めた。
図4(A)に示す通り、第1谷部P1にかかる最大主応力は、60°から63°まで減少傾向にあり、63°を超えるとほぼ一定値となっている。この結果から、根元側の山角度α2が60°を超えると最大応力の軽減効果が期待できることが分かる。一方、あまり大きくすると、おねじの遊び側フランク面15がめねじ20のねじ山23の遊び側フランク面25と干渉するおそれがあるので、70°程度を上限とする。また、63°を超えるとほぼ一定となるので、最大主応力低減の観点では、63°程度までで充分である。
次に本発明の実施形態2について説明する。
実施形態2に係るおねじ及びねじ締結構造の基本的な構成は、図1と同じであるので、構成については、図1を参照し、実施形態1と異なる点について説明するものとする。
この実施形態2のおねじ10も、実施形態1と同じく、ねじ山13の圧力側フランク面14の山頂側の角度β1を、おねじ10が螺合するめねじ20のねじ山23の圧力側フランク面24と同等とし、根元側の角度β2を、山頂側の角度β1より大きく設定した点を基本構成とし、遊び側フランク面15についても、根元側の角度β4を山頂側の角度β3よりも大きく設定している。
本実施形態2では、実施形態1に加えて、おねじ10のねじ山13のピッチPmを、めねじ20のねじ山23のピッチPiに対して、おねじ10のねじ山13とめねじ20のねじ山23との嵌合クリアランスの許容範囲内で、小さく設定したものである。
このように、おねじ10のねじ山13のピッチPmを、めねじ20のねじ山23のピッチPiに対してピッチ差を設けることで、おねじ10の第1谷部にかかる最大主応力の低減と共に、各ねじ山の接触面圧の均一化を図ることができる。 めねじ20を標準ねじピッチ(基準ピッチ)とすると、めねじ20のピッチに対するおねじ10とめねじのピッチ差の比率であるピッチ変化率a(%)(a=[(Pi-Pm)/Pi]×100)は、0.1%~0.56%、好ましくは0.16%~0.32%の範囲とする。
基準ピッチは、おねじ10とめねじ20のねじピッチが等しい場合のねじピッチであり、たとえば、JISの並目ねじの場合、呼び径M6では1.0mmで、ピッチ変化率aは、この1.0mmに対する変化率、M8及びM10の場合は1.25mmで、ピッチ変化率aは、1.25mmに対する変化率である。

図5(A)は、M10のおねじ10のピッチPmを、基準ピッチ1.25mmに対して、1.249mm(ピッチ変化率a:0.08%)、1.248mm(ピッチ変化率a:0.16%),1.247mm(ピッチ変化率a:0.24%),1.246mm(ピッチ変化率a:0.32%)、1.245mm(ピッチ変化率a:0.4%)、1.243mm(ピッチ変化率a:0.56%)と、小さくし、さらに、根元側の山角度α2を、60°から65°まで、1°刻みで変えた場合の最大主応力について解析を行ったものである。
根元側の山角度α2が、60°を越えて65°までは、ピッチPmが、1.248mm~1.246mmのもの、すなわち、ピッチ変化率aが0.16~0.32%の場合、最大主応力の値が、ピッチ差を設けない場合(1.25mm)より小さくなっている。特に、60°を越えて63°までの範囲で顕著である。
ピッチPmが、1.249mm(ピッチ変化率a:0.08%)では、最大主応力は、ピッチ差を設けない場合(1.25mm)と同等か、若干高くなっており、効果が認められない。
ピッチPmが、1.243mm(ピッチ変化率a:0.4%)、1.245mm(ピッチ変化率a:0.56%)では、60°を越えて62°までは、1.25mmの場合よりも、最大主応力が小さくなっているが、63°では1.25mmよりも高くなっている。
図5(B)は、図5(A)の山角度とピッチ変化率に対応して、基準ピッチの1.25に対して最大主応力が低下した場合を(○)、同等の場合を(△)、最大主応力が増大した場合を(×)を付した図であり、図中、斜線で示した○と△の範囲とすることが好適である。
すなわち、根元側の山角度とピッチ変化率aの組み合わせが、根元側の山角度が、根元側の山角度が60°より大きく65°以下(圧力側フランク面14の根元側の角度β2では30°より大きく32.5°以下)で、かつ、ピッチ変化率aが0.16%~0.32%の範囲と、根元側の山角度が61°以上で62°以下(圧力側フランク面14の根元側角度β2では30°以上で31°以下)で、かつ、ピッチ変化率aが0.08%~0.56%の範囲とを、足し合わせた範囲に入るように設定することが好適である。特に、ピッチ変化率aが0.16%~0.32%では、全ての角度範囲で主応力が低下しており、ピッチ変化率aを0.16%~0.32%の範囲に設定することが好適である。特に、0.24%の場合に最大主応力を最も低くできる。また、山角度が63°を超えると、あまり変化はない傾向となるので、山角度は、60°より大きく63°以下(圧力側フランク面14の根元側角度β2では、31°より大きく31.5°以下)が好適で、特に63°が好ましい。
最大主応力は、図4(A)に示す通り、第1谷部に作用する最大主応力であり、第1谷部の最大主応力を低下させることは、他の谷部の最大主応力との差が小さくなり、各ねじ山の接触面圧の均一化を図ることができる。
なお、一山あたりに許容されるピッチPmの変化量(Pi-Pm)は、図4(B)に示すように、おねじのねじ山とめねじのねじ山をセンター合わせとした場合の、フランク面の嵌合クリアランスを(b)、ピッチを(Pi、Pm)、ナット高さを(h)、嵌合ねじ山数を(n)とすると、次式で示される。
ピッチの許容変化量(Pi-Pm)≦フランク面の嵌合クリアランス(b)×2(頭部側と先端側)÷嵌合ねじ山数(n)
ここで、嵌合ねじ山数(n)は、ナット高さ(h)÷ピッチ(Pi)で計算される。
上記例では、最大のピッチ変化率0.56%に対応させると、(Pi-Pm)は、(1.25-1.243)で、0.007mmである。
一方、ナット高さ(h)は6.5mmとすると、嵌合ねじ山数(n)は5.2であり、嵌合クリアランス(b)×2は、根元側の干渉が若干あるものの5.2×0.007mmで、0.036mm(bは0.019mm)あればよい。
なお、上記各実施形態では、遊び側フランク面15についても、圧力側フランク面14と同様に、根元側の角度β4(=β2)を、山頂側の角度β3(=β1)より大きく設定しているが、圧力側フランク面14についてのみ、2段階の角度を設ける構成とし、遊び側フランク面15については、山頂側から根元側まで、一定の角度としておいてもよい。
この一定の角度については、β3であってもよいし、β4であってもよい。
また、上記実施形態では、基本形状としてメートルねじを例にとって説明したが、ユニファイねじやインチねじ等にも適用可能である。
本願発明は種々の用途に適用可能であるが、現在、自動車の軽量化にはアルミ、チタンが有望であり、これら縦弾性率の小さい金属材料やGFRP、CFRPのような樹脂材料の場合、締め付け荷重を大きくできず、本願発明のように、締め付け荷重を複数のねじ山に分散させる分散効果が高く、しかも弛み止め機能を有し、耐疲労強度の高いおねじは有効である。
10 おねじ
11 ねじ軸部、12 頭部
13 ねじ山
14 圧力側フランク面
15 遊び側フランク面
20 めねじ
20a 座面
22 ねじ穴
23 ねじ山
24 圧力側フランク面
26 山頂部
100 被締め付け部材
141 山頂側部分
142 根元側部分
M 中心線
d 有効径
β1 圧力側フランク面の山頂側部分の角度
β2 圧力側フランク面の根元側部分の角度
β3 遊び側フランク面の山頂側部分の角度
β4 遊び側フランク面の根元側部分の角度

Claims (8)

  1. ねじ山の圧力側フランク面の山頂側の角度を、おねじが螺合するめねじのねじ山の圧力側フランク面と同等とし、根元側の角度を、山頂側の角度より大きく設定し
    前記おねじのねじ山のピッチを、前記めねじのねじ山のピッチより、おねじのねじ山とめねじのねじ山との嵌合クリアランスの許容範囲内で、小さく設定したことを特徴とするおねじ。
  2. ねじ山の圧力側フランク面の山頂側の角度を30°、根元側の角度を30°を超え35°以下としたとした請求項1に記載のおねじ。
  3. 前記おねじのねじ山の遊び側フランク面についても、圧力側フランク面と同じく、根元側の角度を山頂側の角度より大きく設定したことを特徴とする請求項1または2に記載のおねじ。
  4. おねじのねじ山が、めねじのねじ山に螺合して締め付けられるねじ締結構造であって、
    前記おねじのねじ山の圧力側フランク面の山頂側の角度を、前記おねじが螺合する前記めねじのねじ山の圧力側フランク面と同等とし、根元側の角度を、山頂側の角度より大きく設定し、
    前記めねじのねじ山の圧力側フランク面は、山頂側から根元側まで一定角度であり、前記おねじのねじ山の圧力側フランク面の根元側部分に、めねじ側の圧力側フランク面の山頂側角部が当接し、締め付け荷重によって前記山頂側角部を支点にしてめねじのねじ山が弾性変形してめねじのねじ山の圧力側フランク面が前記おねじのねじ山の圧力側フランク面に全面接触する構成となっていることを特徴とするねじ締結構造。
  5. 前記おねじのねじ山の圧力側フランク面の山頂側の角度を30°、根元側の角度を30°を超え35°以下としたとした請求項に記載のねじ締結構造。
  6. 前記おねじのねじ山の遊び側フランク面についても、圧力側フランク面と同じく、根元側の角度が山頂側の角度より大きく設定されている請求項又はに記載のねじ締結構造。
  7. おねじのピッチを、めねじのピッチより、おねじのねじ山とめねじのねじ山との嵌合クリアランスの許容範囲内で、小さく設定したことを特徴とする請求項乃至のいずれかの項に記載のねじ締結構造。
  8. 前記おねじのねじ山の圧力側フランク面の根元側の角度と、前記めねじのピッチに対する前記おねじとめねじのピッチ差の比率であるピッチ変化率が、前記ねじ山の根元側の角度が30°より大きく32.5°以下で、かつ、ピッチ変化率が0.16%~0.32%の範囲と、前記おねじのねじ山の根元側の角度が、30°以上31°以下で、かつ、ピッチ変化率が0.08%~0.56%の範囲とを、足し合わせた範囲に入るように設定されていることを特徴とする請求項に記載のねじ締結構造。
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