JP7043885B2 - 分光装置、温度特性導出装置、分光システム、分光方法、及び温度特性導出方法 - Google Patents

分光装置、温度特性導出装置、分光システム、分光方法、及び温度特性導出方法 Download PDF

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Description

本発明は、分光装置、温度特性導出装置、分光システム、分光方法、及び温度特性導出方法に関する。
従来、一対の反射膜を有する干渉フィルターを備えた分光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の分光装置(可変干渉装置)では、干渉フィルター(ファブリーペロー干渉部)の反射膜の間の静電容量を容量検出回路(静電容量検出回路)で測定し、反射膜間のギャップ寸法が所望の目標値となるようにフィードバック制御する。
特開平1-94312号公報
上記特許文献1に記載のような分光装置では、使用環境によって干渉フィルターや容量検出回路の温度が変化する場合がある。
干渉フィルターは、通常、干渉フィルターを収納するパッケージや基板の固定対象に、接着剤等の固定部材を介して固定される。このため、干渉フィルターの周囲の温度が変動すると、干渉フィルター、固定部材、及び固定対象の線膨張係数の差に応じた応力が干渉フィルターに加わる。このような応力によって、反射膜に撓みや傾斜が生じる場合があり、反射膜間のギャップ寸法が変動し、干渉フィルターを透過する光の波長もシフトする。
ここで、干渉フィルターの透過光の波長は、反射膜間のギャップ寸法に比例する。よって、温度変化によって反射膜間のギャップ寸法が変動した場合、反射膜間のギャップ寸法の平均値が、透過光の目標波長に応じた寸法となるように反射膜間のギャップ寸法を制御すればよい。
しかしながら、干渉フィルターの反射膜の間の静電容量は、反射膜の間のギャップ寸法に対して反比例する。この場合、容量検出回路から出力される信号値の平均が、反射膜間のギャップ寸法の平均となるわけではない。これに加え、容量検出回路自体にも温度特性が存在し、反射膜間のギャップ寸法が同じ寸法であっても、温度が異なることで、異なる値が検出される。
したがって、特許文献1の分光測定装置のように、容量検出回路で検出される静電容量(検出容量)に基づいて、干渉フィルターの反射膜間のギャップ寸法を目標波長に対応する目標寸法に合わせ込むフィードバック制御をする場合、検出容量が目標寸法に対応する容量となるように制御しても、干渉フィルターから目標波長の光が透過されない。
本発明は、目標波長の光を精度よく分光可能な分光装置、当該分光装置で用いる温度特性を導出する温度特性導出装置、前記分光装置及び前記温度特性導出装置を備えた分光システム、分光方法、及び温度特性導出方法を提供することを目的とする。
本発明に係る一適用例の分光装置は、分光モジュールと、前記分光モジュールの温度を検出する温度検出部と、前記分光モジュールを制御するモジュール制御部と、を備え、前記分光モジュールは、一対の反射膜、及び、電圧の印加により前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有する干渉フィルターと、前記一対の反射膜の間の静電容量に応じた検出信号を出力する容量検出回路と、を含み、前記モジュール制御部は、前記分光モジュールの温度特性と、前記温度検出部により検出される検出温度とに基づいて前記容量検出回路から出力される検出信号の目標値を補正し、前記容量検出回路から出力される検出信号が補正された前記目標値となるように前記ギャップ変更部に印加する前記電圧を制御することを特徴とする。
本適用例では、温度検出部は、干渉フィルター及び容量検出回路が含まれる分光モジュールの温度(検出温度)を検出する。そして、モジュール制御部は、ギャップ変更部に電圧を印加して、干渉フィルターから目標波長の光を透過させる際に、容量検出回路から出力される検出信号に基づいて、ギャップ変更部に印加する電圧をフィードバック制御する。この際、モジュール制御部は、分光モジュールの温度特性と、検出温度とに基づいて補正された目標値を用いる。
つまり、本適用例では、干渉フィルターと容量検出回路とを含む分光モジュール全体の温度特性に基づいて目標値を補正し、容量検出回路から出力される検出信号が目標値となるようにギャップ変更部に印加する電圧が調整する。よって、干渉フィルターに加え、容量検出回路の温度が変動した場合でも、その温度の対応する目標値が設定されることになる。これにより、分光装置において入射光から目標波長の光を精度良く分光させることができる。
本適用例の分光装置において、前記分光モジュールの温度特性は、前記分光モジュールの温度に対する補正係数を含み、前記モジュール制御部は、前記補正係数と前記温度とを含む補正値算出関数に、前記検出温度に対応する前記補正係数及び前記検出温度を入力して前記目標値を補正することが好ましい。
本適用例では、分光モジュールの温度特性は、分光モジュールの温度と補正係数との関係を含む。そして、モジュール制御部は、検出温度に対応する補正係数と検出温度とを、補正値算出関数に入力することで電圧を補正する。これにより、容易に、精度の高い目標値を設定することができる。
また、検出温度に対する目標値をテーブルデータとして保持する場合も考えられる。しかしながら、工場で製造される干渉フィルターは、例えば製造ばらつき等の要因により、個々の干渉フィルターで形状特性や光学特性に固体差が生じ、容量検出回路においても固体差が生じる。したがって、テーブルデータを保持する場合、個々の分光モジュール毎にテーブルデータを生成する必要がある。これに対して、補正値算出関数を用いて電圧を補正する場合では、個々の分光モジュール毎に応じて上記のようなテーブルデータを生成する必要がなく、製造コストを大幅に低減できる。
本適用例の分光装置において、前記補正係数は、前記分光モジュールを複数の温度に変化させ、かつ各温度において前記ギャップ寸法を変化させた際の、前記干渉フィルターを透過した光の中心波長の実測値に基づいて導出されていることが好ましい。
本適用例では、分光装置から光を分光させる分光処理を実施する前に、予め、分光モジュールを複数の温度に変化させ、かつ、各温度で一対の反射膜間のギャップ寸法を変化させる。そして、干渉フィルターを透過した光の中心波長の実測値を、各温度、各ギャップ寸法のそれぞれで取得して、例えば単位温度あたりの中心波長の変化量から補正係数を導出する。したがって、分光モジュールにおける実測値に基づいた信頼度の高い温度係数を用いて、元指令電圧を補正した補正電圧を算出でき、分光装置における分光精度を向上できる。
本適用例の分光装置において、前記補正係数は、所定の基準温度における前記中心波長の実測値、及び、前記基準温度よりも低い第一温度における前記中心波長の実測値、に基づいて導出された低温側補正係数と、前記基準温度における前記中心波長の実測値、及び、前記基準温度よりも高い第二温度における前記中心波長の実測値に基づいて導出された高温側補正係数と、を含むことが好ましい。
なお、基準温度としては、例えば、分光装置を通常用いる使用環境における温度を設定することができ、例えば室温に近い23度を設定する。
本適用例では、分光モジュールの温度が基準温度よりも低い場合の低温側補正係数と、分光モジュールの温度が基準温度よりも高い場合の高温側補正係数とのいずれかを用いて電圧を補正する。この場合、3つ以上の補正係数を用いる場合に比べて、補正係数の導出が容易であり、分光装置の製造コストを低減できる。
本適用例の分光装置において、前記モジュール制御部は、所定の基準温度において前記干渉フィルターから目標波長の光を透過させるために前記ギャップ変更部に印加する基準電圧値をVtini、前記容量検出回路の出力信号のゲインをACV、前記一対の反射膜の間の誘電率をε、前記反射膜の面積をS、所定の基準温度をTini、前記基準温度Tiniにおける前記ギャップ寸法をGmTini、前記補正係数をCtemp、前記検出温度をTとして、次式(1)(2)に示す前記補正値算出関数を用いて補正電圧Vtcaliを算出することが好ましい。
Figure 0007043885000001
本適用例では、モジュール制御部は、式(2)に基づいて、簡易に補正量ΔVを算出することができる。また、上述したように、工場の製造される干渉フィルターは、面積Sや基準温度Tiniにおけるギャップ寸法(初期ギャップGmTini)等がそれぞれ固有の値となるので、各検出温度Tに対する補正量ΔVや補正電圧Vtcaliをテーブルデータに保持する場合、製造コストが高くなり、且つ、そのデータサイズも大きくなる。これに対して、式(1)(2)に示すような補正値算出関数を用いることで、製造コストの低減を図ることができ、メモリー等の記録領域の容量も小さくできる。
本適用例の分光装置において、前記温度特性は、前記分光モジュールの特性であるモジュール特性を入力とし、前記温度特性を出力とした機械学習モデルに対して、前記分光モジュールの前記モジュール特性を入力することで導出されていることが好ましい。
本適用例では、モジュール特性を入力、温度特性を出力とした機械学習モデルに対して、分光モジュールのモジュール特性を入力することで、温度特性が導出されている。
なお、このモジュール特性は、例えば干渉フィルターにおける透過率特性等を含む光学特性、干渉フィルターのサイズや重量等を含む形状特性、干渉フィルターの一対の反射膜間のギャップ寸法をギャップ変更部により変化させた際の駆動特性等を含むものである。
このような機械学習モデルは、例えば、モジュール特性及び温度特性が既知となる多数の分光モジュールに基づいて、機械学習によって生成されるものである。このような機械学習モデルを用いて温度特性を生成する場合、各分光モジュールの温度を変化させて、分光モジュールから出力される光の各波長のシフト量を測定する、といった温度特性の測定工程が不要となるので、分光装置の製造コストを大幅に低減できる。
本適用例の分光装置において、前記モジュール特性は、前記干渉フィルターの光学特性を含むことが好ましい。
干渉フィルターの光学特性は、一対の反射膜のギャップ寸法を変化させた際の干渉フィルターの形状の差と関連性がある。例えば、干渉フィルターを透過させる光の波長を短波長側にシフトさせる場合、反射膜間のギャップ寸法を小さくする。この際、例えば反射膜を保持する基板を撓ませてギャップ寸法を変更する構成とした場合、ギャップ寸法を小さくする程基板の撓みが大きくなるため、半値幅が広がり、透過率が減少する。
一方、分光モジュールの温度が変化した場合、分光モジュールに含まれる干渉フィルターも温度変化の影響を受け、例えば干渉フィルターと干渉フィルターを保持する部材との線膨張係数の差による応力によって、干渉フィルターの形状が変形し、これによって、干渉フィルターを透過する光の波長もシフトする。すなわち、干渉フィルターの光学特性と分光モジュールの温度特性とには相関がある。
本適用例では、モジュール特性として、干渉フィルターの光学特性を含むモジュール特性が含まれ、機械学習モデルは、干渉フィルターの光学特性を含むモジュール特性と、分光モジュールの温度特性とにより生成されている。このような機械学習モデルに対して、干渉フィルターの光学特性を含むモジュール特性を入力することで、分光モジュールの温度特性を高精度に導出することが可能となる。
本適用例の分光装置において、前記光学特性は、前記干渉フィルターから各波長の光を透過させる際の各波長に対する透過率を含むことが好ましい。
上述したように、干渉フィルターの反射膜間のギャップ寸法を小さくすると、反射膜の撓みによって反射膜間のギャップ寸法のバラつきが大きくなり、透過中心波長の光の透過率も小さくなる。また、温度変化によって干渉フィルターが撓んだ際も同様に透過中心波長の光の透過率が小さくなる。本適用例では、このような透過率特性を光学特性として含み、機械学習モデルは、干渉フィルターの各波長に対する透過率を光学特性として含むモジュール特性と、分光モジュールの温度特性とにより生成されている。このような機械学習モデルに対して、干渉フィルターの各波長の透過率を含むモジュール特性を入力することで、分光モジュールの温度特性を高精度に導出することが可能となる。
本適用例の分光装置において、前記モジュール特性は、前記干渉フィルターの形状特性を含むことが好ましい。
この形状特性としては、干渉フィルターの平面寸法や厚み等のサイズ情報の他、反射膜を保持する可動部をダイアフラムによって保持する構成の干渉フィルターでは、当該ダイアフラムの形状やダイアフラムの厚み、可動部の形状や平面寸法や厚み等も含まれる。また、干渉フィルターを構成する反射膜の膜材や膜厚、基板の材質やヤング率、線膨張係数等も形状特性として含ませてもよい。
分光フィルターの温度が変動した際の干渉フィルターの形状変化は、その形状特性の影響を大きく受ける。本適用例では、モジュール特性が干渉フィルターの形状特性を含み、機械学習モデルは、干渉フィルターの形状特性を含むモジュール特性と、分光モジュールの温度特性とにより生成されている。このような機械学習モデルに対して、干渉フィルターの形状特性を含むモジュール特性を入力することで、分光モジュールの温度特性を高精度に導出することが可能となる。
本適用例の分光装置において、前記モジュール特性は、前記ギャップ変更部に電圧を印加した際の前記干渉フィルターの駆動特性を含むことが好ましい。
この干渉フィルターの駆動特性としては、例えば干渉フィルターのギャップ変更部に電圧を印加させた際の応答性(所望のギャップ寸法に到達するまでの時間)や、所望のギャップ寸法に到達した後、ギャップ寸法の変動が収束するまでの時間、干渉フィルターに生じる振動周波数等が含まれる。
干渉フィルターの駆動特性は、干渉フィルターの形状に影響される。また、上述したように、干渉フィルターの温度が変化した場合の干渉フィルターの形状変化は、干渉フィルターの形状特性に影響される。すなわち、干渉フィルターの駆動特性と、分光モジュールの温度特性との間には強い相関がある。本適用例では、モジュール特性が干渉フィルターの駆動特性を含み、機械学習モデルは、干渉フィルターの駆動特性を含むモジュール特性と、分光モジュールの温度特性とにより生成されている。このような機械学習モデルに対して、干渉フィルターの駆動特性を含むモジュール特性を入力することで、分光モジュールの温度特性を高精度に導出することが可能となる。
本適用例の分光装置において、前記干渉フィルター、前記容量検出回路、及び前記温度検出部が同一の基板上に設けられていることが好ましい。
本適用例では、干渉フィルター、容量検出回路、及び温度検出部が、同一の基板上に設けられているので、干渉フィルター及び容量検出回路の温度変化を温度検出部により好適に検出することができる。
本発明の一適用例に係る温度特性導出装置は、一対の反射膜、及び、電圧の印加により前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有する干渉フィルターと、前記一対の反射膜の間の静電容量を検出する容量検出回路と、を含む分光モジュールの温度特性を導出する温度特性導出装置であって、複数の前記分光モジュールのモジュール特性と前記温度特性の実測値とを関連付けた特性データを記憶部に記憶して蓄積するデータ蓄積部と、前記特性データから、前記モジュール特性を入力とし、前記温度特性を出力とした機械学習モデルを生成するモデル生成部と、温度特性の導出対象の前記分光モジュールの前記モジュール特性を対象モジュール特性として取得する対象モジュール特性取得部と、前記機械学習モデルに前記対象モジュール特性を入力して前記温度特性を得る温度特性取得部と、を備えることを特徴とする。
本適用例では、上述したような分光装置において用いる温度特性を導出する温度特性導出装置である。この温度特性導出装置では、データ蓄積部が複数の分光モジュールの基準温度におけるモジュール特性と温度特性の実測値とを関連付けた特性データを記憶部に蓄積する。なお、このモジュール特性は、例えば干渉フィルターにおける透過率特性等を含む光学特性、干渉フィルターのサイズや重量等を含む形状特性、干渉フィルターの一対の反射膜間のギャップ寸法をギャップ変更部により変化させた際の駆動特性等を含むものである。
そして、モデル生成部は、この蓄積部に蓄積された特性データを用いた機械学習によって、モジュール特性を入力、温度特性を出力とする機械学習モデルを生成する。
そして、対象モジュール特性取得部は、温度特性が不明である分光モジュールのモジュール特性(対象モジュール特性)を取得し、温度特性取得部は、取得された対象モジュール特性を機械学習モデルに入力して、出力された温度特性を取得する。
工場において分光モジュールを製造する場合、通常、工場出荷前に各分光モジュールのモジュール特性が検査される。この検査結果を蓄積部に蓄積していくことで、多くの特性データを教師データとした機械学習モデルを生成することができ、モジュール特性から、精度良く分光モジュールの温度特性を推定することが可能となる。したがって、本適用例では、基準温度における分光モジュールのモジュール特性のみから、容易に温度特性を得ることができる。
本適用例の温度特性導出装置において、前記モジュール特性は、前記干渉フィルターの光学特性を含むことが好ましい。
工場等において製造される干渉フィルターは、製造上の都合によって若干の光学特性のばらつきを含む。すなわち、個々の干渉フィルターの反射膜の膜厚や基板の平面度等の誤差によって、各波長の光を透過させる際の光透過率、透過光の光量を示す透過スペクトルにおける半値幅等がそれぞれ固有の値となる。
このような光学特性は、一対の反射膜のギャップ寸法を変化させた際の干渉フィルターの形状と関連性がある。例えば、干渉フィルターを透過させる光の波長を短波長側にシフトさせる場合、反射膜間のギャップ寸法を小さくする。この際、例えば反射膜を保持する基板を撓ませてギャップ寸法を変更する構成とした場合、ギャップ寸法を小さくする程基板の撓みが大きくなるため、半値幅が広がり、透過率が減少する。
一方、分光モジュールの温度が変化した場合、分光モジュールに含まれる干渉フィルターも温度変化の影響を受け、例えば干渉フィルターと干渉フィルターを保持する部材との線膨張係数の差による応力によって、干渉フィルターの形状が変形し、これによって、干渉フィルターを透過する光の波長もシフトする。すなわち、干渉フィルターの光学特性と分光モジュールの温度特性とには相関関係がある。
そこで、本適用例では、干渉フィルターの光学特性を含むモジュール特性を測定し、特性データとして蓄積し、このような特性データに基づいて機械学習モデルを生成する。これにより、分光モジュールの温度特性を高精度に予測可能な機械学習モデルを生成することができる。
本適用例の温度特性導出装置において、前記光学特性は、前記干渉フィルターから各波長の光を透過させる際の各波長に対する透過率を含むことが好ましい。
上述したように、干渉フィルターの反射膜間のギャップ寸法を小さくすると、反射膜の撓みによって反射膜間のギャップ寸法のバラつきが大きくなり、透過中心波長の光の透過率も小さくなる。また、温度変化によって干渉フィルターが撓んだ際も同様に透過中心波長の光の透過率が小さくなる。本適用例では、このような透過率特性を光学特性として含むため、干渉フィルターの光学特性に応じた温度特性を精度よく出力可能な機械学習モデルを生成することができる。
本適用例の温度特性導出装置において、前記モジュール特性は、前記干渉フィルターの形状特性を含むことが好ましい。
この形状特性としては、干渉フィルターの平面寸法や厚み等のサイズ情報の他、反射膜を保持する可動部をダイアフラムによって保持する構成の干渉フィルターでは、当該ダイアフラムの形状やダイアフラムの厚み、可動部の形状や平面寸法や厚み等も含まれる。また、干渉フィルターを構成する反射膜の膜材や膜厚、基板の材質やヤング率、線膨張係数等も形状特性として含ませてもよい。
分光フィルターの温度が変動した際の干渉フィルターの形状変化は、その形状特性の影響を大きく受ける。このため、分光モジュールのモジュール特性として、干渉フィルターの形状特性を含ませることで、干渉フィルターの形状特性に応じた温度特性を精度よく導出可能な機械学習モデルを生成することができる。
本適用例の温度特性導出装置において、前記モジュール特性は、前記ギャップ変更部に電圧を印加した際の前記干渉フィルターの駆動特性を含むことが好ましい。
この干渉フィルターの駆動特性としては、例えば干渉フィルターのギャップ変更部に電圧を印加させた際の応答性(所望のギャップ寸法に到達するまでの時間)や、所望のギャップ寸法に到達した後、ギャップ寸法の変動が収束するまでの時間(安定化時間)、干渉フィルターに生じる振動周波数等が含まれる。
干渉フィルターの駆動特性は、干渉フィルターの形状に影響される。また、上述したように、干渉フィルターの温度が変化した場合の干渉フィルターの形状変化は、干渉フィルターの形状特性に影響される。すなわち、干渉フィルターの駆動特性と、分光モジュールの温度特性との間には強い相関がある。したがって、干渉フィルターの駆動特性を含むモジュール特性と温度特性とに基づいて、干渉フィルターの駆動特性に応じた温度特性を精度よく導出可能な機械学習モデルを生成することができる。
本発明に係る一適用例の分光システムは、上述したような分光装置と温度特性導出装置とを含み、これらの分光装置と温度特性導出装置とが通信可能に接続された分光システムであって、前記分光装置は、前記分光モジュールの所定の基準温度におけるモジュール特性を測定するモジュール特性測定部と、前記モジュール特性を前記温度特性導出装置に送信し、前記温度特性導出装置から送信される前記温度特性を受信する通信部と、を備え、前記対象モジュール特性取得部は、前記分光装置から送信された前記モジュール特性を前記対象モジュール特性として取得し、前記温度特性取得部は、前記機械学習モデルから出力された前記温度特性を前記分光装置に送信することを特徴とする。
本適用例では、分光装置は、モジュール特性測定部によりモジュール特性を測定し、その測定されたモジュール特性を対象モジュール特性として温度特性導出装置に送信する。そして、温度特性導出装置において、モジュール特性取得部により分光装置から対象モジュール特性を取得されると、温度特性取得部は、当該対象モジュール特性を機械学習モデルに入力させて温度特性を取得し、分光装置に送信する。これにより、分光装置において、分光モジュールのモジュール特性が経年変化した場合でも、変化したモジュール特性に対応する温度特性を容易に取得することができる。これにより、分光装置の分光精度を長期に亘って高精度に維持することができる。
本発明の一適用例に係る分光方法は、分光モジュールと、前記分光モジュールの温度を検出する温度検出部と、を備え、前記分光モジュールが、一対の反射膜、及び、電圧の印加により前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有する干渉フィルターと、前記一対の反射膜の間の静電容量を検出する容量検出回路とを含む分光装置の分光方法であって、前記温度検出部により前記分光モジュールの温度を検出する工程と、前記分光モジュールの温度特性と、前記温度検出部により検出される検出温度とに基づいて前記容量検出回路から出力される検出信号の目標値を補正する工程と、前記容量検出回路から出力される検出信号が補正された前記目標値となるように前記ギャップ変更部に印加する前記電圧を制御する工程と、を実施することを特徴とする。
本適用例では、上述した分光装置の適用例と同様、干渉フィルター及び容量検出回路を含む分光モジュールの温度を検出し、干渉フィルターと容量検出回路とを含む分光モジュール全体の温度特性に基づいて、ギャップ変更部に印加する電圧を補正する。このため、容量検出回路の温度が変動した場合でも、分光装置において入射光から目標波長の光を精度良く分光させることができる。
本発明の一適用例に係る温度特性導出方法は、コンピューターを用いて、一対の反射膜、及び、電圧の印加により前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有する干渉フィルターと、前記一対の反射膜の間の静電容量を検出する容量検出回路と、を含む分光モジュールの温度特性を導出する温度特性導出方法であって、前記コンピューターは、複数の前記分光モジュールにおける、所定の基準温度におけるモジュール特性と前記温度特性の実測値とを関連付けた特性データを蓄積する蓄積部から、前記特性データを読み出し、前記モジュール特性を入力とし、前記温度特性を出力とした機械学習モデルを生成するモデル生成工程と、温度特性の導出対象の前記分光モジュールの前記モジュール特性を対象モジュール特性として取得する対象モジュール特性取得工程と、前記機械学習モデルに前記対象モジュール特性を入力し、前記機械学習モデルから出力される前記温度特性を得る温度特性取得工程と、を実施することを特徴とする。
本適用例では、上述した温度特性導出装置の適用例と同様、蓄積部に蓄積された特性データを用いた機械学習によって、モジュール特性を入力、温度特性を出力とする機械学習モデルを生成する。このため、基準温度における分光モジュールのモジュール特性のみから、容易に温度特性を得ることができる。
第一実施形態の分光装置の概略構成を示すブロック図。 第一実施形態の分光装置の概略構成を示す平面図。 第一実施形態の光学デバイスの概略構成を示す断面図。 第一実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図。 第一実施形態の温度係数の導出工程を示すフローチャート。 第一実施形態におけるステップS1で測定された分光モジュールの温度特性の一例を示す図。 第一実施形態の分光装置の分光方法を示すフローチャート。 第一実施形態における目標電圧(目標値)の補正方法を説明する図。 第二実施形態の温度特性導出装置の概略構成を示す図。 波長可変干渉フィルターの可動部を第一基板側に撓ませた際のギャップの寸法変動を示す模式図。 波長可変干渉フィルターの光学特性の一つである各波長の透過率の一例を示す図。 本実施形態の温度特性導出方法を示すフローチャート。 第三実施形態の分光システムの概略構成を示す図。 補正量の他の算出方法を示す図。
[第一実施形態]
以下、第一実施形態に係る分光装置について説明する。
図1は、本実施形態の分光装置100の概略構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態の分光装置100の概略構成を示す平面図である。
[分光装置100の全体構成]
分光装置100は、測定対象から入力された入射光から所望の目標波長の光を分光して出力する装置である。この分光装置100は、図1及び図2に示すように、電源110(図2参照)と、波長可変干渉フィルター5(干渉フィルター)を備えた光学デバイス120と、容量検出回路130と、温度センサー140(温度検出部)と、制御器150(モジュール制御部)と、を含んで構成されている。本実施形態では、これらの電源110、光学デバイス120、容量検出回路130、温度センサー140、及び制御器150は、同一の回路基板101(図2参照)上に配置されている。
ここで、光学デバイス120及び容量検出回路130により本発明の分光モジュール160が構成される。図2に示すように、光学デバイス120、容量検出回路130、及び温度センサー140は、回路基板101上において近接位置に配置される。
以下、各構成について詳細に説明する。
[電源110]
電源110は、例えば二次電池等のバッテリー、配線用差込接続器、パーソナルコンピュータ等の電力供給源に接続される。また、電源110は、電力供給源から供給される電力を、分光装置100の各構成に適した電力に変換する電源回路を有し、変換された電力を各構成に供給する。
[光学デバイス120]
図3は、本実施形態の光学デバイス120の概略構成を示す断面図である。
図3に示すように、光学デバイス120は、波長可変干渉フィルター5(干渉フィルター)と、当該波長可変干渉フィルター5を収納した筐体6とを備える。また、筐体6は、ベース61と、リッド62と、を備える。これらのベース61及びリッド62が接合されることで、内部に収容空間が形成され、この収容空間内に波長可変干渉フィルター5が収納される。筐体6の収納空間は減圧下(例えば真空)に維持されていることが好ましい。
[波長可変干渉フィルター5]
図4は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図4に示すように、例えば矩形板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、第一基板51および第二基板52を備えている。これらの第一基板51及び第二基板52は、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜等の接合膜53により接合されて、一体的に構成されている。
第一基板51には、一対の反射膜の一方を構成する第一反射膜54が設けられ、第二基板52には、一対の反射膜の他方を構成する第二反射膜55が設けられている。これらの第一反射膜54および第二反射膜55は、ギャップGを介して対向配置されている。また、波長可変干渉フィルター5には、ギャップGの寸法を変更する静電アクチュエーター56(ギャップ変更部;図4に示す斜線部分)を備えている。
以下、各部の構成を詳細に説明する。
[第一基板51の構成]
第一基板51は、第二基板52に対向する面に、例えばエッチングにより形成された電極配置溝511および反射膜設置部512を備える。第一基板51の一端側(例えば、図4における辺C5-C6は、第二基板52の一端側(辺C1-C2)よりも突出する固定端514を備える。固定端514は、図3に示すように、固定部材63を介して筐体6に固定される。
電極配置溝511は、第一基板51を基板厚み方向から見た平面視(以降、単に平面視と称する)において、所定のフィルター中心軸Oを中心とした略環状に形成されている。反射膜設置部512は、平面視において、電極配置溝511の中心部から第二基板52側に突出して形成されている。そして、電極配置溝511の溝底面は、静電アクチュエーター56を構成する第一電極561が配置され、反射膜設置部512の突出先端面には、第一反射膜54が配置されている。
また、第一基板51には、電極配置溝511から、辺C7-C8に向かって延設される電極引出溝(図示略)が設けられている。
第一電極561は、電極配置溝511の溝底面のうち、後述する可動部521の第二電極562に対向する領域に設けられている。第一電極561は、例えば略環状に形成され、辺C7-C8に近接する一部に、環内外を連通する切欠部561Aが設けられている。
また、第一電極561には、電極引出溝に沿って辺C7-C8側に延設される第一引出電極563が接続されている。この第一引出電極563は、電極引出溝において、第二基板52側に設けられた第一接続電極565に接続される。
なお、本実施形態では、1つの第一電極561が設けられる構成を示すが、例えば、フィルター中心軸Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
第一反射膜54は、図3に示すように、反射膜設置部512の先端面に設けられる。この第一反射膜54は、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、第一反射膜54には、第一電極561の切欠部561Aを通って、電極引出溝まで延設される第三引出電極541が接続されている。この第三引出電極541は、電極引出溝において、第二基板52側に設けられた第三接続電極542に接続される。
なお、第一反射膜54としては、例えば高屈折層をTiO、低屈折層をSiOとした誘電体多層膜を用いてもよい。この場合、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)等の導電性の膜を積層し、第三引出電極541を当該導電性の膜に接続すればよい。
第一基板51の第二基板52に対向する面のうち、エッチングにより、電極配置溝511、反射膜設置部512、及び電極引出溝が形成されない面は、第二基板52に接合される接合部513を構成する。
[第二基板52の構成]
第二基板52は、図4に示すような平面視において、フィルター中心軸Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522(ダイアフラム)と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。また、第二基板52の一端側(辺C3-C4側)は、第一基板51の辺C7-C8よりも外側に突出し、電装部524を構成する。
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、基板外周部525の厚み寸法と同一寸法に形成されている。この可動部521は、平面視において、少なくとも反射膜設置部512の外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。そして、この可動部521には、第二電極562及び第二反射膜55が設けられている。
第二電極562は、第一電極561に対向し、第一電極561と同一形状となる略環状に形成される。この第二電極562も、第一電極561と同様、辺C3-C4側の一部に切欠部562Aを備えている。
そして、第二電極562には、第二電極562の外周縁から第一基板51の電極引出溝に対向する領域を通り、電装部524まで延設される第二引出電極564を備えている。この第二引出電極564は、電装部524において、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)やリード線等の配線が接続されることで、制御器150に電気接続される。
第二反射膜55は、可動部521の中心部に、第一反射膜54とギャップGを介して対向して設けられる。この第二反射膜55としては、上述した第一反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
第二反射膜55には、第二電極562の切欠部562Aを通って、電極引出溝に対向する領域を通り、電装部524まで延設される第四引出電極551が接続されている。この第四引出電極551は、電装部524において、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)やリード線等の配線が接続されることで、容量検出回路130に電気接続される。
また、第二基板52には、電極対向溝に対向する領域から電装部524に亘って設けられる第一接続電極565、及び第三接続電極542を備えている。
第一接続電極565は、電極対向溝まで延設された第一引出電極563と、例えばバンプ電極を介して接続されている。また、第一接続電極565は、電装部524において、FPC等の配線が接続されることで、制御器150に電気接続される。
第三接続電極542は、電極対向溝まで延設された第三引出電極541と、例えばバンプ電極を介して接続されている。また、第三接続電極542は、電装部524において、FPC等の配線が接続されることで、容量検出回路130に接続される。
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく形成されている。保持部522は、第二基板52の第一基板51とは反対側の面をエッチングして凹溝を形成することで、当該凹溝の底部により構成される。このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、可動部521を第二反射膜55の膜厚方向に沿って第一基板51側に変位させることが可能となる。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、フィルター中心軸Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
基板外周部525は、平面視において保持部522の外側に設けられている。この基板外周部525は、第一基板51に接合されている。
以上のような波長可変干渉フィルター5では、制御器150により第一電極561及び第二電極562の間に電圧が印加されることで、電極間に静電引力が作用して可動部521が第一基板51側に変位する。これにより、ギャップGの寸法(ギャップ寸法)を所定量に変更することが可能となる。
また、第一反射膜54及び第二反射膜55が容量検出回路130に接続されることで、第一反射膜54及び第二反射膜55の間のギャップGの静電容量を容量検出回路により検出することが可能となる。
[筐体6]
筐体6は、上述したように、ベース61及びリッド62により構成される。ベース61は、例えばセラミック等により構成され、台座部611及び側壁部612を備える。
台座部611は、フィルター平面視において例えば矩形状の外形を有する平板状に構成されており、この台座部611の外周部から筒状の側壁部612がリッド62に向かって立ち上がる。
台座部611は、波長可変干渉フィルター5のフィルター中心軸Oに沿って、厚み方向に貫通する開口部613を備えている。この開口部613は、筐体6に波長可変干渉フィルター5を収容した状態で、台座部611を厚み方向から見た平面視において、第一反射膜54及び第二反射膜55と重なる領域を含むように設けられている。
また、台座部611のリッド62とは反対側の面(ベース外側面611B)には、開口部613を覆う透光部材617が接合されている。
台座部611のリッド62に対向する内面(ベース内側面611A)には、内側端子部614が設けられている。内側端子部614は、波長可変干渉フィルター5の電装部524に設けられた各電極(第一接続電極565、第二引出電極564、第三接続電極542、及び第四引出電極551)のそれぞれに対応して設けられており、リード線やFPC等の配線により対応する電極に接続されている。
また、台座部611は、内側端子部614が設けられる位置に、貫通孔615が形成されている。内側端子部614は、貫通孔615を介して、台座部611のベース外側面611Bに設けられた外側端子部616に接続されている。外側端子部616は、筐体6を回路基板101上に配置する際に、回路基板101に設けられた配線端子(図示略)に、例えば半田等によって接続される。これにより、上述したように、波長可変干渉フィルター5の第一反射膜54及び第二反射膜55は、電装部524から、内側端子部614、外側端子部616、回路基板101上の配線を介して容量検出回路130に接続される。また、第一電極561及び第二電極562は、電装部524から、内側端子部614、外側端子部616、回路基板101上の配線を介して、制御器150に接続される。
側壁部612は、台座部611の縁部から立ち上がり、ベース内側面611Aの周囲を囲って設けられる側壁部612の端面は、例えばベース内側面611Aに平行な平坦面となり、リッド62が接合される。リッド62は、例えば、平面視において矩形状の外形を有する透明部材であり、例えばガラス等により構成される。
そして、波長可変干渉フィルター5は、筐体6の例えば側壁部612に対して、固定部材63を介して固定される。なお、本実施形態では、側壁部612に波長可変干渉フィルター5が固定される例を示すが、これに限定されず、例えば、台座部611に対して固定されていてもよい。
また、波長可変干渉フィルター5は、第一基板51の固定端514の1か所で、筐体6に接続される。これにより、波長可変干渉フィルター5への応力の伝達が抑制され、第一反射膜54や第二反射膜55の撓みや傾斜を効果的に抑制することが可能となる。
[容量検出回路130]
容量検出回路130は、図1に示すように、例えば、回路基板101上の光学デバイス120に近い位置に配置される。
この容量検出回路130は、上述したように、第一反射膜54及び第二反射膜55に電気接続されており、第一反射膜54及び第二反射膜55の間の静電容量を検出する。また、容量検出回路130は、検出した静電容量に応じた検出信号(電圧信号)を制御器150に出力する。
[温度センサー140]
温度センサー140は、図1に示すように、回路基板101上において、光学デバイス120及び容量検出回路130と近い位置に配置されている。これにより、温度センサー140は、回路基板101上の光学デバイス120及び容量検出回路130を含む分光モジュール160の温度を検出する。なお、本実施形態では、同一の回路基板101上に制御器150及び電源110も配置される。したがって、分光モジュール160を中心とした分光装置100全体の温度が温度センサー140により検出されることになる。
温度センサー140は、検出した温度(検出温度)に応じた温度信号を制御器150に出力する。
[制御器150]
制御器150は、分光装置100の全体動作を制御するコントローラーであり、本発明のモジュール制御部を構成する。
この制御器150は、図1に示すように、波長設定部151、温度補償部152、フィードバック制御部153、アクチュエーター駆動部154、及びメモリー155を備える。また、制御器150は、分光装置100と外部機器とを接続するインターフェース(図示略)に接続され、外部機器からの信号を受信することも可能である。外部機器からの信号としては、例えば分光装置100により分光させる光の目標波長を指定する信号等が例示できる。なお、分光装置100が、ユーザーによる入力操作を受け付ける操作部を有する構成としてもよく、この場合、操作部からの操作信号が制御器150に入力されるように構成する。
[メモリー155に記憶される各種データ]
メモリー155は、分光モジュール160の温度(温度センサー140にて検出される温度)が所定の基準温度(例えば室温である23℃)である場合の駆動テーブルを記憶する。この駆動テーブルは、容量検出回路130から出力される検出信号の電圧値と、分光装置100で分光させる光の中心波長との関係を示すV-λデータである。また、駆動テーブルとして、分光装置100で分光させる光の中心波長に対する静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧がさらに記録されていてもよい。分光装置100で分光させる波長に替えて、第一反射膜54と第二反射膜55との間のギャップ寸法が記録されていてもよい。
なお、分光装置100で分光される光は、分光モジュール160から出力される光であり、すなわち、波長可変干渉フィルター5を透過した光である。
さらに、メモリー155は、温度補償部152において、電圧補正を行う際に用いる分光モジュール160の温度特性を記憶する。具体的には、メモリー155には、分光モジュール160の各温度に対する温度係数(補正係数)を、例えばテーブルデータ形式で記憶する。
[波長設定部151]
波長設定部151は、分光装置100により分光させる光の波長を設定する。例えば、波長設定部151は、外部機器や操作部から分光装置100で分光させる光の波長が入力された場合、当該波長を目標波長として設定する。
また、波長設定部151は、メモリー155に記憶された駆動テーブルから、目標波長に対する電圧を読み出し、元指令電圧Vtini(補正前の目標値)として設定する。
[温度補償部152]
温度補償部152は、温度センサー140により検出された温度と、メモリー155に記憶される分光モジュール160の温度特性とに基づいて、元指令電圧Vtiniを補正した目標値(補正電圧Vtcali)を算出する。ここで、温度補償部152は、後述のフィードバック制御部153がアナログ回路により構成されている場合、目標値の電圧値を補正する。また、温度補償部152は、後述のフィードバック制御部153がデジタル回路により構成されている場合、目標値のデジタル値を補正する。
[フィードバック制御部153]
フィードバック制御部153は、容量検出回路130により検出される静電容量に基づいて、波長可変干渉フィルター5を透過する光が目標波長となるように、静電アクチュエーター56に印加する電圧をフィードバック制御する。
具体的には、フィードバック制御部153は、容量検出回路130から出力される検出信号の電圧値を参照し、当該検出信号の電圧値が温度補償部152で算出された目標値(補正電圧Vtcali)となるように、静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧を調整する。
[アクチュエーター駆動部154]
アクチュエーター駆動部154は、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56を駆動させる駆動回路(ドライバー回路)であり、フィードバック制御部153の制御に基づいて、所定の電圧値の駆動電圧を生成して静電アクチュエーター56に印加する。
[分光装置100における動作]
[温度係数の導出]
次に、上述したような分光装置100を用いた分光方法について説明する。
本実施形態の分光装置100では、例えば工場での製造時に実施される検査工程により、温度特性が測定され、温度係数が導出される。
図5は、温度係数の導出工程を示すフローチャートである。
検査工程では、まず、製造された分光モジュール160の温度特性を測定する(ステップS1)。
このステップS1では、分光装置100は恒温槽内に保持され、恒温槽の温度を調整されることで、分光モジュール160が所定の温度に設定される。そして、例えば分光スペクトルが既知のリファレンス光を分光装置100に入射させ、静電アクチュエーター56に印加する電圧を変化させる。そして、分光装置100で分光された光を、別途用意した基準分光測定器に入射させ、分光モジュール160で分光された光の中心波長(以降、分光中心波長と称す)を測定する。
ステップS1の処理では、恒温槽の温度を複数の温度に変化させる。例えば、本実施形態では、分光モジュール160の温度が基準温度(例えば室温(23℃))、基準温度よりも低い第一温度(例えば5℃)、及び基準温度よりも高い第二温度(例えば50℃)となるように、恒温槽の温度を順次変化させる。そして、各温度において、静電アクチュエーター56に印加する電圧を変化させた際の、分光モジュール160での分光中心波長を測定する。
次に、波長可変干渉フィルター5の駆動テーブルを生成する(ステップS2)。駆動テーブルの生成は、例えば、工場等に設けられた制御装置により生成される。制御装置は、記憶回路及び演算回路を有するコンピューターであり、ステップS1で測定される温度特性の実測値から駆動テーブルを生成する。
駆動テーブルの生成では、制御装置は、分光モジュール160を基準温度に設定した際の実測値に基づいて生成する。例えば、予め設定された対象波長域(例えば380nm~700nmの可視光域)に対し、予め設定された分光装置100の分解能に応じた波長間隔(例えば20nm間隔)となる各波長の光が波長可変干渉フィルター5から透過された際の、容量検出回路130の検出信号の電圧値を取得する。
そして、制御装置は、ステップS1の実測値から分光モジュール160の温度係数を導出する(ステップS3)。
図6は、ステップS1で測定された分光モジュールの温度特性の一例を示す図である。
図6では、各温度において波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に所定の駆動電圧を印加した際の分光中心波長のシフト量を示している。
分光モジュール160の温度が変化すると、筐体6、固定部材63、及び波長可変干渉フィルター5の各部の線膨張係数差に応じた応力によって、第一反射膜54や第二反射膜55に撓みや傾斜が生じる場合がある。また、容量検出回路130から出力される検出信号の信号値は、ギャップGの寸法が同一であっても、温度が変化することで、異なる値を出力する場合がある。このため、図6に示すように、分光モジュール160の温度を変化させると、静電アクチュエーター56に印加する電圧が一定であっても、分光モジュール160により分光される光の波長がシフトする。
そこで、本実施形態では、制御装置は、図6に示すような実測値から、単位温度毎の波長シフト量を温度係数として算出する。つまり、制御装置は、分光モジュール160の温度が基準温度よりも低い場合の低温側温度係数Ct1(低温側補正係数)を、分光モジュール160を第一温度にした時の実測値(分光中心波長)と、分光モジュール160を基準温度にした時の実測値とにより算出する。また、制御装置は、分光モジュール160の温度が基準温度よりも高い場合の高温側温度係数Ct2(高温側補正係数)を、分光モジュール160を第二温度(例えば50℃)にした時の実測値と、分光モジュール160を基準温度にした時の実測値とにより算出する。
制御装置は、駆動テーブルに設定される各波長に対してそれぞれ温度係数を導出する。例えば380nm~700nmの可視光域に対して、20nm間隔の16バンドの波長に対する駆動テーブルが生成される場合、16バンドの各波長における温度特性(波長シフト量)から、各波長のそれぞれに対する温度係数が導出される。
そして、制御装置は、導出したこれらの各波長の温度係数を分光装置100のメモリー155に記憶する。
[分光方法]
次に、工場出荷された分光装置100が、入射光から目標波長の光を分光させる際の分光方法(分光処理)について説明する。
図7は、本実施形態の分光装置100の分光方法を示すフローチャートである。
分光装置100は、分光処理を実施する際、まず、温度センサー140により分光モジュール160の温度を測定する(ステップS11)。
次に、波長設定部151は、分光モジュール160から出力させる分光波長(波長可変干渉フィルター5を透過させる光の波長)を設定する(ステップS12)。ステップS12では、波長設定部151は、例えば、ユーザーによって分光装置100の操作部が操作されることで入力される分光波長の設定指令、又は分光装置100と通信可能に接続された外部機器から入力される分光波長の設定指令に基づいて目標波長を設定する。
また、波長設定部151は、メモリー155に記憶される駆動テーブルから、目標波長に対応する元指令電圧Vtiniを読み出す(ステップS13)。
この後、温度補償部152は、ステップS11により検出された検出温度Tに対応する温度係数Ctempをメモリー155から読み出し、検出温度T及び温度係数Ctempを、下記式(2)に示す補正値算出関数に入力して、補正量ΔVを算出する。さらに、温度補償部152は、下記式(1)に基づいて、補正電圧Vtcaliを算出する(ステップS14)。
Figure 0007043885000002
なお、式(2)に示す補正値算出関数において、ACVは、容量検出回路130におけるCV変換ゲインである。εは、第一反射膜54及び第二反射膜55の間の誘電率である。Sは、図4に示すような平面視で第一反射膜54及び第二反射膜55が重なり合う領域の面積である。GmTiniは、基準温度におけるギャップGの初期寸法、つまり、静電アクチュエーター56に電圧を印加していない場合のギャップGの寸法である。Tiniは、基準温度である。
図8は、本実施形態における目標電圧(目標値)の補正方法を説明する図である。
図8において、実線は、基準温度(23℃)におけるギャップGの寸法と、目標電圧V23caliとの関係を示している。また、破線は、温度TxにおけるギャップGの寸法と、目標電圧Vtxcaliとの関係を示している。
図8に示す例では、分光モジュール160が基準温度の場合、分光モジュール160から目標波長の光を出力するために目標値を元指令電圧Vt23とする。これにより、ギャップGが寸法Gm23となり目標波長の光が分光モジュール160から出力される。
ここで、分光モジュール160の温度が基準温度から温度Txに変化すると、図8に示すように、ギャップGは、ΔGだけシフトして寸法Gmxとなる。つまり、フィードバック制御を実施する際に目標値を補正せず、元指令電圧Vt23を用いると、分光モジュール160から寸法Gmxに対応する波長の光が出力されてしまう。
これに対して、本実施形態では、目標値として、元指令電圧Vt23を補正した目標電圧Vtxを用いる。このため、静電アクチュエーター56への印加電圧は、ギャップGの寸法が目標波長に対応したGm23となるように調整されることになり、分光モジュール160から精度よく目標波長の光が分光される。
この後、フィードバック制御部153は、ステップS14で算出した目標電圧Vtcaliを目標値として、アクチュエーター駆動部154を制御して波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に電圧を印加する。つまり、容量検出回路130から出力される検出信号が目標電圧Vtcali(図8の例ではVtx)となるように、静電アクチュエーター56に印加する電圧を調整して、フィードバック駆動させる(ステップS15)。
なお、本実施形態では、フィードバック制御部153がアナログ回路により構成されている例であり、元指令電圧Vt23を補正した目標電圧Vtxを目標値としたが、フィードバック制御部153がデジタル回路により構成されている場合では、目標電圧VtxをAD変換したデジタル値を目標値として用いればよい。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の分光装置100は、波長可変干渉フィルター5及び容量検出回路130を含む分光モジュール160と、分光モジュール160の温度を検出する温度センサー140(温度検出部)と、制御器150(モジュール制御部)と、を備える。そして、制御器150の温度補償部152は、分光モジュール160の温度特性と、温度センサー140により検出される検出温度と、に基づいて、容量検出回路130からの検出信号の目標値を補正して、容量検出回路130からの検出信号が目標値となるように、静電アクチュエーター56への印加電圧を調整する。
本実施形態では、波長可変干渉フィルター5と容量検出回路130とを含む分光モジュール160全体の温度特性に基づいて目標値が補正されることになる。よって、波長可変干渉フィルター5の温度特性のみに基づいて目標値を変更する場合に比べて、分光装置100の分光精度を高精度にできる。
本実施形態では、分光モジュール160の温度特性として、分光モジュール160の温度に対する温度係数Ctemp(補正係数)を含む。そして、制御器150は、式(1)(2)に示す補正値算出関数に、この温度係数Ctempと検出温度Tとを入力して元指令電圧Vtiniを補正し、補正された補正電圧Vtcaliを得る。
これにより、式(1)(2)に基づいて、容易に、且つ、精度の高い目標電圧Vtcaliを設定することができる。
また、検出温度Tに対する目標電圧Vtcaliをテーブルデータとして保持してもよいが、この場合、温度毎、波長毎の目標電圧Vtcaliが必要となるので、メモリー155の記憶容量が圧迫される。また、工場で製造される波長可変干渉フィルター5は、製造ばらつき等の要因により固体差があり、容量検出回路130にも固体差が有る。したがって、テーブルデータを保持する場合、個々の分光モジュール160毎にテーブルデータを生成する必要がある。これに対して、本実施形態では、個々の分光モジュール160に応じたテーブルデータを生成する必要がなく、製造コストを大幅に低減できる。
本実施形態では、温度係数Ctempは、工場での分光モジュール160の製造時における検査工程において導出される。この検査工程では、分光モジュール160を複数の温度に変化させ、かつ各温度においてギャップGの寸法を変化させた際の、波長可変干渉フィルター5を透過した光の中心波長の実測値に基づいて導出されている。したがって、分光モジュール160における実測値に基づいた信頼度の高い温度係数を用いて、元指令電圧Vtiniを補正した補正電圧Vtcaliを算出でき、分光装置100における分光精度を向上できる。
本実施形態では、温度係数は、基準温度における分光中心波長の実測値と、第一温度における分光中心波長の実測値とに基づいて導出された低温側温度係数Ct1、及び、基準温度における分光中心波長の実測値と、第二温度における分光中心波長の実測値とに基づいて導出された高温側温度係数Ct2とを含む。
このため、3つ以上の温度係数を用いる場合に比べて、温度係数の導出が容易であり、分光装置100の製造コストを低減できる。また、検出温度Tが基準温度に対して大きいか小さいかの判定により、容易に温度係数Ctempを容易に選択することができる。また、温度係数が分光モジュール160の温度に対して非線形で変化する場合でも、基準温度に対して低温側及び高温側で温度係数を分けることで、非線形で変化する温度係数に対応することができる。
本実施形態では、波長可変干渉フィルター5が組み込まれた光学デバイス120と、容量検出回路130と、温度センサー140とが、同一の回路基板101上に配置されている。このため、波長可変干渉フィルター5及び容量検出回路130の温度変化を温度センサー140により好適に検出することができる。
さらに、回路基板101上において、光学デバイス120と容量検出回路130とが近接して設けられ、これらの光学デバイス120及び容量検出回路130に近接して温度センサー140が設けられている。このような配置では、回路基板101上で光学デバイス120及び容量検出回路130の温度相関が強くなる。したがって、温度センサー140で検出される温度に対して、波長可変干渉フィルター5の温度と、容量検出回路130の温度とが複数の組合せを採ることがない。よって、温度センサー140の検出温度Tから、最適な温度係数を設定でき、目標値を適正に補正できる。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
上述した第一実施形態では、本発明の温度特性である補正係数として、工場において製造される個々の分光モジュール160を恒温槽に設置し、恒温槽で分光モジュール160の温度を複数の温度に変化させ、かつ、各温度において静電アクチュエーター56に印加する電圧を変化させることで、各温度での温度特性を測定した。
しかしながら、分光装置100の製造では、通常、波長可変干渉フィルター5の製造時に、当該波長可変干渉フィルター5の特性を固体毎に検査する検査工程が実施され、これに加えて、分光モジュール160における温度特性を固体毎に実施すると、製造工程が煩雑で高コストとなる。
そこで、第二実施形態では、第一実施形態で説明したような分光装置100の温度特性を容易に導出する温度特性導出装置、及び方法について説明する。
[温度特性導出装置200の概略構成]
図9は、本実施形態に係る温度特性導出装置200の概略構成を示す図である。
温度特性導出装置200は、コンピューターにより構成され、メモリーやハードディスク等により構成される記憶部210、CPU(Central Processing Unit)等により構成される演算部220を備える。また、温度特性導出装置200は、分光モジュール160や波長可変干渉フィルター5の特性を測定する特性測定装置300や、分光装置100と通信可能に接続されている。温度特性導出装置200と特性測定装置300や分光装置100との通信方式は特に限定されず、有線による接続であってもよく、無線による接続であってもよい。
[記憶部210の記憶されるデータ]
温度特性導出装置200の記憶部210は、製造された個々の分光モジュール160のモジュール特性と温度特性とを関連付けた特性データを記憶する特性記憶領域を備える。なお、本実施形態では、温度特性導出装置200の記憶部210に、特性データ特性記憶領域が設けられる例を示すが、温度特性導出装置200と通信可能に接続されたデータサーバ等に特性記憶領域が設けられていてもよい。
また、記憶部210は、モジュール特性から温度特性を導出する機械学習モデルを記憶する。
さらに、記憶部210は、温度特性導出装置200を制御する各種プログラムを記憶する。
記憶部210に記憶される特性データは、上述したように、モジュール特性と、温度特性とを含む。ここで、モジュール特性とは、分光モジュール160の各種特性を示すものであり、波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、及び駆動特性が含まれる。
波長可変干渉フィルター5の形状特性としては、第一基板51や第二基板52の幅、奥行き、厚み等の寸法や平面視における面積、第一反射膜54や第二反射膜55の厚み、第一電極561や第二電極562の厚み、第二基板52の可動部521の厚みや平面視における径寸法や面積、保持部522の凹溝の深さや幅、可動部521や第一基板51、第二基板52等の各構成部材の重量等を含む。
波長可変干渉フィルター5の光学特性としては、例えばギャップGの寸法を変化させて各波長の光を透過させた際の透過率(又は基準となる波長の光の透過率を1とした際の各波長の光の透過率比)が含まれる。また、光学特性として、各波長の光を透過させた際の透過スペクトルにおける半値幅が含まれてもよい。
波長可変干渉フィルター5の駆動特性としては、例えば可動部521を駆動させた際に生じる可動部521の固有振動周波数や、ギャップ寸法を所定値に設定する際に可動部521の振動が静止するまでの係る時間(安定化時間)、干渉フィルターのギャップ変更部に電圧を印加させた際の応答性(所望のギャップ寸法に到達するまでの時間)等が含まれる。
また、モジュール特性として、光学デバイス120における筐体6や固定部材63の形状特性(寸法データ)等が含まれてもよく、筐体6や波長可変干渉フィルター5や固定部材63の線膨張係数等が含まれてもよい。さらに、波長可変干渉フィルター5の単体の温度特性、容量検出回路130の単体の温度特性や、温度センサー140の単体の温度特性等が含まれていてもよい。
このような分光モジュール160のモジュール特性は、分光モジュール160を構成する各部(波長可変干渉フィルター5や容量検出回路130のチップ等)が製造される各工程において実施される検査で測定される。
[演算部220の機能構成]
演算部220は、記憶部210に記憶される各種プログラムを読み込み実行することで、図9に示すように、データ蓄積部221、モデル生成部222、対象モジュール特性取得部223、及び温度特性取得部224として機能する。
データ蓄積部221は、特性測定装置300から入力される分光モジュール160のモジュール特性や温度特性の測定結果を受信して、特性データを生成し、記憶部210に記憶して蓄積する。
モデル生成部222は、記憶部210に蓄積された複数の特性データに基づいて、モジュール特性から温度特性を推定する機械学習モデルを生成する。
モデル生成部222による機械学習モデルの生成は、公知の機械学習モデルを利用することができ、例えば教師あり学習のアルゴリズム(ディープラーニングを利用したニューラルネットワーク等)を用いることができる。つまり、モデル生成部222は、記憶部210に蓄積される多くの特性データを教師データとして、モジュール特性に含まれる各特性(波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、駆動特性等)を入力とし、分光モジュール160の温度特性を出力とした機械学習モデルを生成する。
対象モジュール特性取得部223は、温度特性が未知である、温度特性の推測対象の分光モジュール160のモジュール特性を対象モジュール特性として取得する。
温度特性取得部224は、対象モジュール特性を機械学習モデルに入力し、出力された温度特性を分光モジュール160の温度特性として取得する。そして、この温度特性を、対象となる分光モジュール160が搭載された分光装置100のメモリー155に記憶する。
[モジュール特性と温度特性との関係]
本実施形態では、モジュール特性から温度特性を推定する機械学習モデルを生成する。この際、モジュール特性として含まれる各種特性として、分光モジュールの温度特性との関連性が深い特性をモジュール特性を用いて機械学習を行うことで、精度の高い温度特性を出力可能な機械学習モデルを生成することができる。
本実施形態では、モジュール特性として、波長可変干渉フィルター5の光学特性、形状特性、及び駆動特性を含む。
図10は、波長可変干渉フィルター5の可動部521を第一基板51側に撓ませた際のギャップGの寸法変動を示す模式図である。図11は、波長可変干渉フィルター5の光学特性の一つである各波長の透過率を示す図である。
波長可変干渉フィルター5のギャップGの寸法は、静電アクチュエーター56に電圧を印加していない初期位置において、第一反射膜54と第二反射膜55とが平行となるように維持されている。一方、静電アクチュエーター56に電圧を印加して、可動部521を第一基板51側に移動させると、図10に示すように、可動部521の可動部521の保持部522との境界位置近傍に撓みが生じる。
このような撓みが生じると、図10に示すように、可動部521の中心から離れた位置におけるギャップ寸法は、可動部521の中心に比べてΔgだけ大きくなる。よって、波長可変干渉フィルター5を透過する光には、可動部の中心を透過する目標波長の光の他、可動部の撓み部分を透過した、目標波長からずれた波長成分の光が含まれることになる。この目標波長からずれた波長成分の光は、可動部521を第一基板51側に大きく変位させる程多くなる。したがって、波長可変干渉フィルター5を透過させる光の次数を固定した場合、波長可変干渉フィルター5の各波長の透過率は、図11に示すように、長波長側から短波長側にシフトさせるに従って小さくなる。例えば、波長可変干渉フィルター5を透過する光を、λ、λ、λ、λとし(λ>λ>λ>λ)、波長λ、λ、λ、λに対応する透過率をP,P,P,Pとすると、P>P>P>Pとなる。また、波長λ、λ、λ、λに対応する半値幅をW,W,W,WとするとW<W<W<Wとなる。
また、上述のような可動部521を第一基板51側に変位させた際の可動部521の撓みは、保持部522の凹溝の深さや幅、可動部521の厚みや大きさ、第一基板51や第二基板52の大きさ等の波長可変干渉フィルター5の形状特性によって変化する。例えば、保持部522の凹溝の深さが深く(保持部522の厚みが小さく)、幅が大きい場合では、保持部522が撓み易くなり、その分、可動部521の撓みが抑制される。また、可動部521の厚みが大きい場合、可動部521の撓みが抑制される。
さらに、波長可変干渉フィルター5を駆動させた際の駆動特性(振動周波数や、可動部521を駆動させた際の応答性、安定化時間等)は、波長可変干渉フィルターの形状特性によって決まる固有周期に影響される。
このように、波長可変干渉フィルター5の光学特性、形状特性、及び駆動特性は、互いに相関を有する。
一方、波長可変干渉フィルター5の温度が変動した場合、可動部521に応力が加わることで、可動部521の第一基板51に対する位置が変動する。よって、静電アクチュエーター56に電圧を印加した場合と同様に、可動部521に撓みが生じ、透過波長がシフトする。この透過波長のシフト量は、温度変化によって可動部521に加わる応力に対する、可動部521の変位量によって決まる。この応力が付与された際の可動部521の変位量は、上述したように、波長可変干渉フィルター5の形状特性の影響を強く受け、また、波長可変干渉フィルター5の光学特性及び駆動特性には相関がある。
したがって、波長可変干渉フィルター5の光学特性、形状特性、及び駆動特性を含むモジュール特性を用いることで、温度特性を高精度に予測する機械学習モデルを生成することが可能となる。
[温度特性導出方法]
図12は、本実施形態の温度特性導出方法を示すフローチャートである。
本実施形態の温度特性導出装置200は、教師データとなる特性データが所定の第一数以上、記憶部210に記憶されていることを前提として温度特性を導出する。
このため、本実施形態では、第一数以上の特性データが蓄積されるまでは、第一実施形態と同様に、各分光モジュール160の温度特性を測定して、測定した温度特性を分光装置100のメモリー155に記憶させる。
ここで、本実施形態では、波長可変干渉フィルター5が製造されると、波長可変干渉フィルター5の形状特性を測定する特性測定装置300、波長可変干渉フィルター5の光学特性を測定する特性測定装置300、及び、波長可変干渉フィルター5の駆動特性を測定する特性測定装置300により、波長可変干渉フィルター5の各特性が測定される。また、分光モジュール160の温度特性を測定する特性測定装置300から、分光モジュール160の温度特性が測定される。
なお、ここでは、モジュール特性として、波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、及び駆動特性を例示するが、上述したように、光学デバイス120の特性、容量検出回路130の特性や、温度センサー140の特性等が含まれてもよく、この場合、各特性に対応する特性測定装置300による測定が実施される。
これらの分光モジュール160のモジュール特性の測定は、分光モジュール160を構成する各部品が製造された際に、通常実施される検査工程により測定されるものである。
本実施形態では、各検査工程(温度特性の測定を除く)は、基準温度(例えば室温である23℃等)で実施されることが好ましい。
温度特性導出装置200のデータ蓄積部221は、これらの特性測定装置300から、波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、及び駆動特性を含む分光モジュール160のモジュール特性、及び分光モジュール160の温度特性を受信する(ステップS21)。
この後、データ蓄積部221は、分光モジュール160のモジュール特性と分光モジュール160の温度特性とを関連付けた特性データを生成し、記憶部210に蓄積する(ステップS22)。
なお、波長可変干渉フィルター5、容量検出回路130等の分光装置100を構成する各部品(波長可変干渉フィルター5等)には、それぞれ識別データ(ID)が付されている。したがって、分光モジュール160を組み立てた際に、組み込まれた各部品のIDを記憶しておくことで、各分光モジュール160を構成する各部品の特性を特定することができる。
そして、モデル生成部222は、記憶部210に蓄積された特性データが第一数以上であるか否かを判定する(ステップS23)。
ステップS23において、Noと判定された場合は、ステップS21に戻り、特性データの取得及び蓄積を継続する。
一方、ステップS23でYesと判定された場合、モデル生成部222は、記憶部210に蓄積された特性データを読み出し、機械学習により機械学習モデルを生成する(ステップS24)。この際、モデル生成部222は、記憶部210に記憶されている全ての特性データに基づいて機械学習モデルを生成してもよく、記憶部210に記憶されている特性データから所定数(例えば半数)をランダムに抽出して、機械学習モデルを生成してもよい。所定数の特性データから機械学習モデルを生成する場合、残りの特性データを用いて機械学習モデルの検証を行ってもよい。
次に、モデル生成部222は、生成した機械学習モデルの評価を行う(ステップS25)。
ここで、ステップS24で全ての特性データを用いて機械学習モデルを生成した場合、データ蓄積部221により新たに取得される所定の第二数の特性データを用いて、機械学習モデルの評価を行う。
また、ステップS24で所定数の特性データを用いて機械学習モデルを生成し、残りの特性データで検証を実施した場合、その検証結果に基づいて機械学習モデルを評価してもよく、新たに、第二数の特性データが取得された後に、機械学習モデルの評価を行ってもよい。
機械学習モデルの評価では、モデル生成部222は、例えば、評価用に取得された特性データのモジュール特性を機械学習モデルに入力する。そして、機械学習モデルから出力された温度特性と、正解の温度特性(評価用に取得された特性データの温度特性)とを比較し、機械学習モデルから出力された温度特性の所定割合(例えば99%)以上が、正解の温度特性と一致する場合に「可」とし、所定割合未満である場合に「不可」とする。
ステップS25での機械学習モデルの評価が「不可」である場合、ステップS21に戻り、さらに多くの特性データを取得して、機械学習モデルの生成を繰り返す。この場合、ステップS23において、即座にYesと判定されることになり、新たに取得された特性データを加えた複数の特性データに基づいて機械学習モデルが生成される。なお、ステップS25で「不可」と評価された場合、ステップS23における第一数を所定数増加させてもよい。
ステップS25での機械学習モデルの評価が「可」である場合、以降、分光モジュール160の温度特性の測定は周期的に実施される。つまり、全ての分光モジュール160に対する温度特性の測定を実施せず、周期的な測定のみとする。この場合、周期的に特性データが蓄積されることになり、モデル生成部222は、新たな特性データが蓄積される毎に、機械学習モデルを更新することができる。これにより、さらに多くの特性データに基づく機械学習モデルにより、温度特性の推定精度をさらに向上させることができる。
そして、ステップS25での機械学習モデルの評価が「可」である場合、対象モジュール特性取得部223は、温度特性を求めたい分光モジュール160のモジュール特性を対象モジュール特性として取得する(ステップS26)。
また、温度特性取得部224は、ステップS26で取得した対象モジュール特性を、機械学習モデルに入力し、出力された温度特性を取得する(ステップS27)。さらに、温度特性取得部224は、取得した温度特性を、対象となる分光モジュール160が組み込まれた分光装置100のメモリー155に記憶させる。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の温度特性導出装置200は、第一実施形態で示したような分光装置100の分光モジュール160の温度特性を導出する。この温度特性導出装置200では、工場で製造された複数の分光モジュール160のモジュール特性と、分光モジュール160の温度特性の実測値とが測定されると、これらのモジュール特性と温度特性とを関連付けた特性データを記憶部210に蓄積する。そして、モデル生成部222は、記憶部210に記憶される複数の特性データから、モジュール特性を入力とし、温度特性を出力とした機械学習モデルを生成する。そして、対象モジュール特性取得部223により、温度特性の導出対象の分光モジュール160の対象モジュール特性が取得されると、温度特性取得部224は、機械学習モデルに対象モジュール特性を入力して出力された温度特性を取得する。
本実施形態では、分光モジュール160のモジュール特性が測定されると、当該モジュール特性を機械学習モデルに入力するだけで、その分光モジュール160の温度特性を得ることができる。よって、蓄積される特性データが増えて、機械学習モデルの精度が向上すれば、個々の分光モジュール160の温度特性をそれぞれ測定する必要がなくなり、分光装置100の製造コストを低減させることができる。
本実施形態において、機械学習モデルに入力するモジュール特性には、波長可変干渉フィルター5の光学特性が含まれる。
波長可変干渉フィルター5は、製造ばらつきによって、固体毎に若干の光学特性のばらつきを含み、透過させる光の波長を変更した際の光学特性がそれぞれ異なる。この光学特性の差は、可動部521を第一基板51側に変位させた際の形状の差(形状特性の差)と関連性がある。また、分光モジュール160の温度が変化すると、線膨張係数の差等に起因する応力によって可動部521が撓むことで、波長可変干渉フィルター5を透過する光の波長がシフトする。つまり、波長可変干渉フィルター5の光学特性と、分光モジュール160の温度特性との間には相関がある。したがって、波長可変干渉フィルター5の光学特性を含むモジュール特性と温度特性とを用いた機械学習により、分光モジュール160の温度特性を高精度に予測可能な機械学習モデルを生成することができる。
また、光学特性としては、波長可変干渉フィルター5から透過される光の各波長の透過率比を含む。
波長可変干渉フィルター5を透過する光の透過率は、短波長に向かうにしたがって低下する。その低下率は、主にギャップGの寸法を変化させた際の可動部521の形状(撓み量)に起因し、温度特性に影響する。したがって、各波長の透過率比をモジュール特性とした機械学習モデルを生成することで、温度特性を精度よく求めることができる。
さらに、本実施形態では、モジュール特性として、波長可変干渉フィルター5の形状特性を含む。
上述のように、波長可変干渉フィルター5の温度変化による波長シフトは、波長可変干渉フィルター5に加わる応力による可動部521の変形に起因する。すなわち、分光モジュール160の温度特性と、波長可変干渉フィルター5の形状特性とには、強い相関がある。したがって、形状特性をモジュール特性とした機械学習モデルを生成することで、分光モジュール160の温度特性をより精度よく導出することができる。
本実施形態では、モジュール特性として、さらに、波長可変干渉フィルター5の駆動特性が含まれる。
波長可変干渉フィルター5の駆動特性は、波長可変干渉フィルター5の形状特性と強い相関がある。したがって、当該駆動特性は、形状特性に対して強い相関がある分光モジュール160の温度特性に対しても相関がある。したがって、駆動特性をモジュール特性とした機械学習モデルにより、分光モジュール160の温度特性を精度よく導出することができる。
本実施形態では、モジュール特性として、上述したような波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、及び駆動特性を含む。このように、複数の項目を入力として、温度特性を出力させる機械学習モデルでは、1つの項目のみで温度特性を出力する機械学習モデルと比較して精度よく温度特性を推定することが可能となる。また、モジュール特性としては、上記の他、光学デバイス120の形状特性や、波長可変干渉フィルター5のみの温度特性、容量検出回路130のみの温度特性等を加えてもよく、分光モジュール160の温度を計測する温度センサー140の温度特性等をも加えてもよい。このように、複数の項目を入力とすることで、機械学習モデルの温度特性の推定精度を更に向上させることができる。
また、機械学習モデルは、記憶部210に蓄積される特性データ(教師データ)の数が多くなるほど、その精度をさらに向上させることができる。本実施形態では、機械学習モデルを生成した後も、周期的に分光モジュール160の温度特性を測定して、特性データを取得し、機械学習モデルを更新する。これにより、温度特性の推定精度のさらなる向上を図れる。
[第三実施形態]
上述した第二実施形態では、工場において製造された分光装置100を対象として、温度特性導出装置200により温度特性を導出し、メモリー155に記憶させる例である。
これに対して、第三実施形態では、工場出荷後の分光装置100のメモリー155に記憶されている温度特性を更新する点で、第二実施形態と相違する。
図13は、本実施形態の分光システム400の概略構成を示す図である。
第三実施形態の分光システム400は、分光装置100Aと、温度特性導出装置200と、がネットワークを介して通信可能に接続されている。
また、本実施形態の分光装置100Aは、図4に示すように、第一実施形態の構成に加えてさらに、分光モジュール160のモジュール特性を測定するモジュール特性測定部170と、通信部180とを備えている。
本実施形態では、モジュール特性測定部170は、波長可変干渉フィルター5の光学特性を測定する。
例えば、波長可変干渉フィルター5に対して、各波長に対する光量が均一なリファレンス光を照射する光源部と、波長可変干渉フィルター5を透過した光を受光する受光部を備える構成とする。この場合、モジュール特性測定部170は、波長可変干渉フィルター5のギャップGの寸法を変化させて、リファレンス光から複数の波長の光成分を順次透過させ、受光部で受光された各波長の光の光量を測定することで、各波長に対する透過率比を測定することができる。
また、光源部と受光部とを有し、測定対象にリファレンス光を照射して、反射光を分光装置100Aで分光させ、分光された光を測定する分光測定器に分光装置100Aを組み込んでもよい。この場合、分光測定器の分光測定で用いる光源部及び受光部を、分光モジュール160の光学特性の測定において利用することができる。
また、モジュール特性測定部170は、波長可変干渉フィルター5の駆動特性を測定してもよい。例えば、モジュール特性測定部170は、静電アクチュエーター56に所定の駆動電圧を印加し、容量検出回路130から出力される検出信号に基づいて、波長可変干渉フィルター5の駆動特性を測定する。この場合、検出信号の変動周期から固有振動周波数を検出することができる。また、検出信号が一定値になるまでの時間に基づいて安定化時間を測定することができる。さらに、電圧を印加してから所定の信号値が検出信号が出力されるまでの時間により応答性を測定することができる。
そして、通信部180は、モジュール特性測定部170で測定されたモジュール特性を、ネットワークを介して温度特性導出装置200に送信し、温度特性導出装置200で導出された温度特性を受信する。これにより、メモリー155に記憶される温度特性を更新することができる。
また、本実施形態の温度特性導出装置200では、対象モジュール特性取得部223は、ネットワークを介して、分光装置100から送信されたモジュール特性を対象モジュール特性として受信する。
そして、温度特性取得部224は、受信した対象モジュール特性を機械学習モデルに入力し、出力された温度特性を送信元の分光装置100に返す。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の分光システム400は、分光装置100Aと、分光装置100Aにネットワークを介して通信可能に接続された温度特性導出装置200とを備える。そして、分光装置100Aは、分光モジュール160のモジュール特性を測定するモジュール特性測定部170と、測定されたモジュール特性を温度特性導出装置200に送信し、温度特性導出装置200から送信される温度特性を受信する通信部180と、を備える。また、温度特性導出装置200の対象モジュール特性取得部223は、分光装置100Aから送信されたモジュール特性を対象モジュール特性として取得する。そして、温度特性取得部224は、分光装置100Aから送信された対象モジュール特性を機械学習モデルに入力し、出力された温度特性を分光装置100Aに送信する。
このような分光システム400では、分光装置100Aにおいて、分光モジュール160のモジュール特性が経年変化した場合でも、変化したモジュール特性に対応する温度特性を温度特性導出装置200から容易に取得することができる。これにより、分光装置100Aの分光精度を長期に亘って高精度に維持することができる。
[変形例]
(変形例1)
第一実施形態において、温度特性として、分光モジュール160の温度に対する温度係数を含む例を示したが、これに限定されない。
例えば、温度特性として、分光モジュール160の温度に対する波長可変干渉フィルター5を透過する光の中心波長が記録されていてもよい。又は、分光モジュール160が基準温度である場合の波長可変干渉フィルター5を透過する光の中心波長を基準中心波長として、分光モジュール160の温度に対する波長可変干渉フィルター5を透過する光の中心波長の基準中心波長からの差が温度特性として記録されていてもよい。
或いは、温度特性として、分光モジュール160の温度に対するギャップ寸法が記録されていてもよい。又は、分光モジュール160が基準温度である場合のギャップ寸法を基準ギャップ寸法として、分光モジュール160の温度に対するギャップ寸法の基準ギャップ寸法からの差が温度特性として記録されていてもよい。
これらの場合、単位温度あたりの中心波長の変化量(又はギャップ寸法の変化量)を温度係数として算出することができる。
(変形例2)
第一実施形態では、基準温度、第一温度、及び第二温度の3つの温度に対応した温度特性に基づいて導出された低温側温度係数Ct1、及び高温側温度係数Ct2を例示したが、これに限定されない。例えば、分光モジュール160の温度を4つ以上の温度に変化させて、各々において、静電アクチュエーター56に印加する電圧を変化させた際の波長可変干渉フィルター5の透過波長を測定してもよい。
この場合、図6に示す例と同様に、横軸を温度、縦軸を分光中心波長として、各測定点をプロットし、各測定点を結ぶ線分の傾き(単位温度変化量に対する波長シフト量)を算出して温度係数とすることができる。
また、各測定点から例えば2次以上の多項近似式を導出してもよい。この場合、検出温度Tにおける傾きを算出して温度係数とすることができる。さらに、当該多項近似式の微分式をさらに導出してもよく、この場合、微分式に温度センサー140の検出温度Tを入力すれば、検出温度Tに対する温度係数を求めることができる。
(変形例3)
第一実施形態において、補正値算出関数の例として、式(2)を示したが、これに限定されない。
図14は、補正量の他の算出方法を示す図である。
本例では、温度特性として、変形例1にて説明したような、各温度における、分光中心波長と基準中心波長との差が記録される。この場合、温度補償部152は、温度特性から、検出温度Tに対応する分光中心波長と、基準中心波長との差を補正ギャップ量として算出する。
この際、温度特性として、図14の実線や破線して示される近似関数(温度特性関数)が記録されていてもよい。例えば、図14の実線は、温度特性が線形で変化する例であり、温度特性として1次式の温度特性関数が記録される。この場合、a,bを定数として、検出温度Tにおける補正ギャップ量Δdは、Δd=a×T+b(但し、基準温度をTiniとした場合、b=-a×Tini)により算出することができる。
また、図14の破線で示す例は、非線形で変化する温度特性を2次以上の多項式で近似した温度特性関数である。例えば温度特性関数が3次式で近似されている場合、補正ギャップ量Δdは、Δd=a×T+b×T+cT+d((但し、基準温度をTiniとした場合、a×Tini +b×Tini +cini+d=0)により算出することができる。
また、分光装置100のメモリー155に、補正ギャップ量Δdに対応する補正量ΔVを予め記憶しておく。これにより、補正ギャップ量Δdから補正量ΔVを求め、式(1)に基づいて、補正電圧Vtcaliを求めることが可能となる。
(変形例4)
第一実施形態において温度補償部152は、式(1)(2)に示す補正値算出関数に温度係数Ctempと検出温度Tとを入力することで、目標電圧Vtcaliを算出する例と示したが、これに限定されない。
例えば、分光モジュール160の各温度に対して、式(2)により算出される補正量ΔV又は式(1)で算出される目標電圧Vtcaliを予め算出しておき、テーブルデータとしてメモリー155に記憶しておいてもよい。
この場合、温度補償部152は、検出温度Tに対応する補正量ΔVや目標電圧Vtcaliとテーブルデータから読み出すだけでよく、処理負荷の軽減を図れる。
(変形例5)
第二実施形態において、温度特性導出装置200は、分光モジュール160のモジュール特性として、波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、及び駆動特性を少なくとも含む例を示したが、波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、及び駆動特性のうちの少なくとも1つの含まれていればよい。
上述したように、波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、及び駆動特性は、それぞれ、分光モジュール160の温度特性と相関があるため、波長可変干渉フィルター5の形状特性、光学特性、及び駆動特性のいずれか1つのみと、分光モジュール160の温度特性とから、機械学習モデルを生成することもできる。
(変形例6)
第一実施形態において、波長可変干渉フィルター5(光学デバイス120)と、容量検出回路130と、温度センサー140とが同一の回路基板101上に配置されている例を示したが、これに限定されない。
例えば、例えば内部空間が密閉されたケーシング内に波長可変干渉フィルター5と、容量検出回路130とを収納した分光モジュールでは、波長可変干渉フィルター5と容量検出回路130とが異なる基板に配置される構成としてもよく、波長可変干渉フィルター5と容量検出回路130とが離れて配置されていてもよい。この場合、閉空間内の所定位置に温度センサー140を配置する。閉空間内では、温度検出位置での温度と、波長可変干渉フィルター5の温度と、容量検出回路130の温度とが相関関係となる。よって、温度センサー140により検出される温度に対する分光モジュール160の温度特性を用いることで、第一実施形態と同様に、当該温度特性と、検出温度とに基づいて、波長可変干渉フィルター5をフィードバック駆動させるための適切な目標値(目標電圧)を設定することができる。
(その他の変形例)
波長可変干渉フィルター5のギャップ変更部として、静電アクチュエーター56を例示したが、これに限定されない。例えば、第一基板51と第二基板52との間のピエゾ素子等の圧電アクチュエーターを配置し、圧電アクチュエーターへの電圧印加によってギャップGの寸法を変化させてもよい。
第一実施形態から第三実施形態において例示した分光装置100,100Aは、各種光学装置に適用することができる。例えば、第三実施形態において説明したような分光測定器に分光装置100,100Aを適用することで、測定対象に対する分光測定を実施することができる。このような分光測定器は、さらに、プリンターやプロジェクター等に組み込むことができ、プリンターで印刷される画像や、プロジェクターで投射される画像の色測定を実施することが可能となる。
また、分光装置100は、その他、所定波長の光を出力する光源装置等に適用することもできる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造などに適宜変更してもよい。
5…波長可変干渉フィルター(干渉フィルター)、54…第一反射膜、55…第二反射膜、56…静電アクチュエーター(ギャップ変更部)、100,100A…分光装置、101…回路基板(基板)120…光学デバイス、130…容量検出回路、140…温度センサー、150…制御器、151…波長設定部、152…温度補償部、153…フィードバック制御部、154…アクチュエーター駆動部、155…メモリー、160…分光モジュール、170…モジュール特性測定部、180…通信部、200…温度特性導出装置、210…記憶部、220…演算部、221…データ蓄積部、222…モデル生成部、223…対象モジュール特性取得部、224…温度特性取得部、300…特性測定装置、400…分光システム、Ct1…低温側温度係数、Ct2…高温側温度係数、Ctemp…温度係数、G…ギャップ。

Claims (19)

  1. 分光モジュールと、
    前記分光モジュールの温度を検出する温度検出部と、
    前記分光モジュールを制御するモジュール制御部と、を備え、
    前記分光モジュールは、一対の反射膜、及び、電圧の印加により目標波長の光を透過するように前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有する干渉フィルターと、
    前記一対の反射膜の間の静電容量に応じた検出信号を出力する容量検出回路と、を含み、
    前記モジュール制御部は、基準温度における前記検出信号と前記目標波長との関係を示す駆動テーブルと、前記分光モジュールの温度特性と、を保存するメモリーを含み
    前記モジュール制御部は、前記駆動テーブルから前記目標波長に対応する前記検出信号の目標値を読み出し、前記分光モジュールの温度特性と、前記温度検出部により検出される検出温度とに基づいて前記目標値を補正し、前記容量検出回路から出力される検出信号が補正された前記目標値となるように前記ギャップ変更部に印加する前記電圧をフィードバック制御する
    ことを特徴とする分光装置。
  2. 請求項1に記載の分光装置において、
    前記分光モジュールの温度特性は、前記分光モジュールの温度に対する補正係数を含み、
    前記モジュール制御部は、前記補正係数と前記温度とを含む補正値算出関数に、前記検出温度に対応する前記補正係数及び前記検出温度を入力して前記目標値を補正する
    ことを特徴とする分光装置。
  3. 請求項2に記載の分光装置において、
    前記補正係数は、前記分光モジュールを複数の温度に変化させ、かつ各温度において前記ギャップ寸法を変化させた際の、前記干渉フィルターを透過した光の中心波長の実測値に基づいて導出されている
    ことを特徴とする分光装置。
  4. 請求項3に記載の分光装置において、
    前記補正係数は、所定の基準温度における前記中心波長の実測値、及び、前記基準温度よりも低い第一温度における前記中心波長の実測値、に基づいて導出された低温側補正係数と、前記基準温度における前記中心波長の実測値、及び、前記基準温度よりも高い第二温度における前記中心波長の実測値に基づいて導出された高温側補正係数と、を含む
    ことを特徴とする分光装置。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の分光装置において、
    前記モジュール制御部は、所定の基準温度において前記干渉フィルターから目標波長の光を透過させるために前記ギャップ変更部に印加する基準電圧値をVtini、前記容量検出回路の出力信号のゲインをACV、前記一対の反射膜の間の誘電率をε、前記反射膜の面積をS、所定の基準温度をTini、前記基準温度Tiniにおける前記ギャップ寸法をGmTini、前記補正係数をCtemp、前記検出温度をTとして、次式(1)(2)に示す前記補正値算出関数を用いて前記目標値となる補正電圧Vtcaliを算出する
    Figure 0007043885000003
    ことを特徴とする分光装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の分光装置において、
    前記温度特性は、前記分光モジュールの特性であるモジュール特性を入力とし、前記温度特性を出力とした機械学習モデルに対して、前記分光モジュールの前記モジュール特性を入力することで導出されている
    ことを特徴とする分光装置。
  7. 請求項6に記載の分光装置において、
    前記モジュール特性は、前記干渉フィルターの光学特性を含む
    ことを特徴とする分光装置。
  8. 請求項7に記載の分光装置において、
    前記光学特性は、前記干渉フィルターから各波長の光を透過させる際の各波長に対する透過率を含む
    ことを特徴とする分光装置。
  9. 請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の分光装置において、
    前記モジュール特性は、前記干渉フィルターの形状特性を含む
    ことを特徴とする分光装置。
  10. 請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の分光装置において、
    前記モジュール特性は、前記ギャップ変更部に電圧を印加した際の前記干渉フィルターの駆動特性を含む
    ことを特徴とする分光装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の分光装置において、
    前記干渉フィルター、前記容量検出回路、及び前記温度検出部が同一の基板上に設けられている
    ことを特徴とする分光装置。
  12. 一対の反射膜、及び、電圧の印加により目標波長の光を透過するように前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有する干渉フィルターと、前記一対の反射膜の間の静電容量に応じた検出信号出力する容量検出回路と、を含む分光モジュールと、前記分光モジュールの温度を検出する温度検出部と、基準温度における前記検出信号と前記目標波長との関係を示す駆動テーブルと、前記分光モジュールの温度特性と、を保存するメモリーと、を備え、前記駆動テーブルから前記目標波長に対応する前記検出信号の目標値を読み出し、前記分光モジュールの温度特性と、前記温度検出部により検出される前記分光モジュールの検出温度と、に基づいて前記目標値を補正し、前記容量検出回路から出力される検出信号が補正された補正された前記目標値となるように前記ギャップ変更部に印加する前記電圧をフィードバック制御する分光装置で用いられる前記分光モジュールの前記温度特性を導出する温度特性導出装置であって、
    複数の前記分光モジュールのモジュール特性と前記温度特性の実測値とを関連付けた特性データを記憶部に記憶して蓄積するデータ蓄積部と、
    前記特性データから、前記モジュール特性を入力とし、前記温度特性を出力とした機械学習モデルを生成するモデル生成部と、
    温度特性の導出対象の前記分光モジュールの前記モジュール特性を対象モジュール特性として取得する対象モジュール特性取得部と、
    前記機械学習モデルに前記対象モジュール特性を入力して前記温度特性を得る温度特性取得部と、
    を備えることを特徴とする温度特性導出装置。
  13. 請求項12に記載の温度特性導出装置において、
    前記モジュール特性は、前記干渉フィルターの光学特性を含む
    ことを特徴とする温度特性導出装置。
  14. 請求項13に記載の温度特性導出装置において、
    前記光学特性は、前記干渉フィルターから各波長の光を透過させる際の各波長に対する
    透過率を含む
    ことを特徴とする温度特性導出装置。
  15. 請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の温度特性導出装置において、
    前記モジュール特性は、前記干渉フィルターの形状特性を含む
    ことを特徴とする温度特性導出装置。
  16. 請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の温度特性導出装置において、
    前記モジュール特性は、前記ギャップ変更部に電圧を印加した際の前記干渉フィルターの駆動特性を含む
    ことを特徴とする温度特性導出装置。
  17. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の分光装置と、
    請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の温度特性導出装置とが通信可能に接続された分光システムであって、
    前記分光装置は、
    前記分光モジュールの所定の基準温度におけるモジュール特性を測定するモジュール特性測定部と、
    前記モジュール特性を前記温度特性導出装置に送信し、前記温度特性導出装置から送信される前記温度特性を受信する通信部と、を備え、
    前記対象モジュール特性取得部は、前記分光装置から送信された前記モジュール特性を前記対象モジュール特性として取得し、
    前記温度特性取得部は、前記機械学習モデルから出力された前記温度特性を前記分光装置に送信する
    ことを特徴とする分光システム。
  18. 分光モジュールと、前記分光モジュールの温度を検出する温度検出部と、を備え、前記分光モジュールが、一対の反射膜、及び、電圧の印加により目標波長の光を透過するように前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有する干渉フィルターと、前記一対の反射膜の間の静電容量を検出する容量検出回路とを含む分光装置の分光方法であって、
    前記分光装置は、基準温度における前記検出信号と前記目標波長との関係を示す駆動テーブルと、前記分光モジュールの温度特性と、を保存するメモリーを備え、
    前記温度検出部により前記分光モジュールの温度を検出する工程と、
    前記駆動テーブルから前記目標波長に対応する前記検出信号の目標値を読み出し、前記分光モジュールの温度特性と、前記温度検出部により検出される検出温度とに基づいて前記目標値を補正する工程と、
    前記容量検出回路から出力される検出信号が補正された前記目標値となるように前記ギャップ変更部に印加する前記電圧を制御する工程と、を実施する
    ことを特徴とする分光方法。
  19. 一対の反射膜、及び、電圧の印加により目標波長の光を透過するように前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部を有する干渉フィルターと、前記一対の反射膜の間の静電容量に応じた検出信号を出力する容量検出回路と、を含む分光モジュールと、前記分光モジュールの温度を検出する温度検出部と、基準温度における前記検出信号と前記目標波長との関係を示す駆動テーブルと、前記分光モジュールの温度特性と、を保存するメモリーと、を備え、前記駆動テーブルから前記目標波長に対応する前記検出信号の目標値を読み出し、前記分光モジュールの温度特性と、前記温度検出部により検出される前記分光モジュールの検出温度と、に基づいて前記目標値を補正し、前記容量検出回路から出力される検出信号が補正された補正された前記目標値となるように前記ギャップ変更部に印加する前記電圧をフィードバック制御する分光装置で用いられる前記分光モジュールの前記温度特性を、コンピューターを用い導出する温度特性導出方法であって、
    前記コンピューターは、
    複数の前記分光モジュールにおける、所定の基準温度におけるモジュール特性と前記温度特性の実測値とを関連付けた特性データを蓄積する蓄積部から、前記特性データを読み出し、前記モジュール特性を入力とし、前記温度特性を出力とした機械学習モデルを生成するモデル生成工程と、
    温度特性の導出対象の前記分光モジュールの前記モジュール特性を対象モジュール特性として取得する対象モジュール特性取得工程と、
    前記機械学習モデルに前記対象モジュール特性を入力し、前記機械学習モデルから出力される前記温度特性を得る温度特性取得工程と、を実施する
    ことを特徴とする温度特性導出方法。
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