JP7079704B2 - 圧電センサ - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟でMEMSにも適用可能な圧電センサに関する。
MEMS(微小電気機械システム)は、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化などに欠かせない技術であり、幅広い分野でその実用化が進められている。圧電材料は、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換が可能であることから、マイクロセンサ、マイクロアクチューエータなど、MEMSへの適用が期待されている。圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などのセラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリ乳酸などの高分子、高分子マトリックス中に圧電粒子が充填された複合体などが知られている。なかでも、PZT、PVDFなどは、圧電歪み定数が大きい。このため、加えられた荷重により発生する電荷が大きくなり、高感度なセンサを構成することができる。
例えば、健康管理や病気の発見、治療を目的として、あるいはドライバーモニタリングシステムにおいてドライバーの健康状態を推定するために、圧電センサにより呼吸状態や心拍数を測定する技術の開発が進められている。
特許文献1、2には、金属またはプラスチック製の敷き板に歪みゲージが配置された生体情報計測用パネルが記載されている。当該生体情報計測用パネルは、被検者の体の下に敷いて使用される。このため、敷き板の上下両面には、被検者に柔らか感を与えるために弾性シート材が配置されている。特許文献3には、歪みゲージ、圧電素子などの検出部が配置され面方向に連結されてなる複数の起歪板と、該起歪板を支持するゴム製のベースシートと、を有する生体情報計測センサが記載されている。特許文献4には、二枚のシリコーンゴム製の敷き板の間に圧電フィルムセンサを挟んだ生体情報計測用パネルが記載されている。
特開2008-067979号公報 特開2009-112646号公報 特開2012-205803号公報 特開2014-124310号公報
特許文献1~3に記載されている生体情報計測センサは、弾性を有するゴム製のシート材などを有するものの、硬い歪みゲージに加えて硬い起歪板を有するため、全体として柔軟性に乏しい。このため、その上に被検者が横になると、硬さやごわつきなどの違和感を感じやすい。一方、特許文献4に記載されている生体情報計測センサにおいては、金属製の起歪板に代えてシリコーンゴム製の敷き板を採用している。そして、二枚の敷き板の間に圧電センサを被検者に重ならないように配置して、被検者の生体活動により生じる敷き板の歪みを圧電センサで検出している。この場合、被検者の生体活動により生じる振動は、敷き板を伝わり圧電センサに到達する。しかし、シリコーンゴム製の敷き板は粘弾性を有するため、被検者の生体活動により生じる振動は、圧電センサに伝わるまでの間に大きく減衰する。このため、呼吸および心拍といった微弱な振動を精度良く検出することは難しい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、所望の感度を有し、人が接しても違和感を感じにくい圧電センサを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の圧電センサは、圧電層および該圧電層の表裏両面に配置される一対の電極層を有し、面方向に離間して配置される複数の圧電素子と、弾性率が10MPa以下の弾性体からなり、複数の該圧電素子の表裏方向の少なくとも片側に配置される弾性体層と、を備えることを特徴とする。
本発明の圧電センサにおいては、複数の圧電素子が面方向に離間して配置されると共に、その少なくとも片側に、弾性率が10MPa以下の弾性体層が配置される。面方向に圧電素子が連続せず、比較的柔軟な弾性体層で被覆されることにより、圧電層として硬いセラミックスや樹脂を用いても、これらの硬さが現れにくく、人が接しても硬さや異物感などの違和感を感じにくい。また、面方向に連続した一つの圧電素子を配置する場合と比較して、使用する圧電材料を減らすことができるため、コストを削減することができる。また、圧電素子間の隙間で折り畳むことも可能であるため、コンパクト化も容易である。
本発明の圧電センサによると、振動数に対する依存性、耐熱性など、用法や使用環境に適した圧電材料を選定して圧電層に用いることにより、用法や使用環境に応じたセンサの性能を得ることができる。例えば、呼吸および心拍による微弱な振動でも、室内や車内などにおける高温、高湿などの過酷な環境においても、高精度な検出が可能になる。
第一実施形態の圧電センサの上面図である。 図2のII-II断面図である。 感圧部の設定例を示す模式図である。 実施例1の圧電センサの上面図である。 圧電歪み定数の測定方法の説明図である。
まず、本発明の圧電センサの一実施形態を説明し、その後に他の実施形態を説明する。
<第一実施形態>
[圧電センサの構成]
まず、本実施形態の圧電センサの構成を説明する。図1に、本実施形態の圧電センサの上面図を示す。図2に、図1のII-II断面図を示す。図1においては、圧電素子を透過して示す。図1、図2中、上下方向は部材の表裏方向、厚さ方向、積層方向に対応し、前後左右方向は部材の面方向に対応する。
図1、図2に示すように、圧電センサ1は、二つの圧電素子10と、表側弾性体層20と、裏側弾性体層30と、配線40と、を備えている。
二つの圧電素子10は、表側弾性体層20と裏側弾性体層30との間に介装されている。二つの圧電素子10は、左右方向に間隔dをあけて並置されている。二つの圧電素子10の構成、形状、大きさは同じである。二つの圧電素子10は、各々、圧電層11と、一対の電極層12a、12bと、を有している。
圧電層11は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる。圧電層11は、縦10mm、横10mm、厚さ1mmの正方形薄板状を呈している。圧電層の厚さは、圧電センサ全体の厚さを100%とした場合の約20%である。電極層12aは、圧電層11の上面全体に配置され、電極層12bは、圧電層11の下面全体に配置されている。電極層12a、12bは、いずれも焼き付け法により形成された厚さ7μmの銀薄膜である。電極層12aの左右両端部には、配線40が接続されている。同様に電極層12bの左右両端部には、配線40が接続されている。隣り合う圧電素子10の電極層同士(12a-12a、12b-12b)は、配線40により電気的に接続されている。
二つの圧電素子10間の最短距離(間隔d)は2mmである。二つの圧電素子10は、圧電層11の最小長さ(1mm)以上の間隔をあけて配置されている。図1中、点線ハッチングを施して示すように、圧電センサ1を上方から見て、二つの圧電素子10の最外縁を結んで区画される長方形の領域(二つの圧電素子10とその隙間を含む領域)が、感圧部Sになる。感圧部Sの面積に占める二つの圧電素子10の総面積割合は、約91%である。
表側弾性体層20は、圧電素子10の上面側に配置されている。表側弾性体層20は、二つの圧電素子10とその隙間とを上方から被覆している。表側弾性体層20は、厚さ方向に積層される第一弾性体層21と第二弾性体層22とからなる。第一弾性体層21は圧電素子10側、すなわち内側に配置され、第二弾性体層22は外側に配置されている。第一弾性体層21と第二弾性体層22とは、異なる弾性率を有している。第一弾性体層21は、厚さ1mmのシリコーンゴムからなる。当該シリコーンゴム(第一弾性体層21)の弾性率は0.1MPaである。第二弾性体層22は、厚さ1mmのシリコーンゴムからなる。当該シリコーンゴム(第二弾性体層22)の弾性率は1.25MPaである。内側の第一弾性体層21は、外側の第二弾性体層22よりも弾性率が小さい。表側弾性体層20の厚さは、圧電層11の厚さの2倍である。
裏側弾性体層30は、圧電素子10の下面側に配置されている。裏側弾性体層30は、二つの圧電素子10とその隙間とを下方から被覆している。裏側弾性体層30は、厚さ方向に積層される第一弾性体層31と第二弾性体層32とからなる。第一弾性体層31は圧電素子10側、すなわち内側に配置され、第二弾性体層32は外側に配置されている。第一弾性体層31と第二弾性体層32とは、異なる弾性率を有している。第一弾性体層31は、厚さ1mmのシリコーンゴムからなる。当該シリコーンゴム(第一弾性体層31)の弾性率は0.1MPaである。第二弾性体層32は、厚さ1mmのシリコーンゴムからなる。当該シリコーンゴム(第二弾性体層32)の弾性率は1.25MPaである。内側の第一弾性体層31は、外側の第二弾性体層32よりも弾性率が小さい。裏側弾性体層30の厚さは、圧電層11の厚さの2倍である。表側弾性体層20および裏側弾性体層30の厚さの合計は、圧電層11の厚さの4倍である。
[圧電センサの動き]
次に、本実施形態の圧電センサの動きを説明する。電極層12a、12bは、配線40により、図示しない制御回路部と電気的に接続されている。圧電センサ1に荷重が加わると、圧電層11に電荷が発生する。発生した電荷(出力信号)は、制御回路部にて電圧や電流の変化として検出される。
[作用効果]
次に、本実施形態の圧電センサの作用効果を説明する。圧電センサ1によると、二つの圧電素子10が左右方向に離間して配置されると共に、その両側に、二つの圧電素子10とその隙間を連続して被覆する柔軟な表側弾性体層20および裏側弾性体層30(本実施形態においてはまとめて弾性体層20、30と称す)が配置されている。これにより、圧電層11が硬いPZTから形成され、電極層12a、12bが硬い銀から形成されていても、硬さが現れにくく、人が接しても硬さや異物感などの違和感を感じにくい。また、感圧部S全体に一つの圧電素子を配置する場合と比較して、使用する圧電材料を減らすことができるため、コストを削減することができる。また、二つの圧電素子10間の隙間で折り畳むことも可能であるため、コンパクト化も容易である。
圧電センサ1においては、圧電歪み定数が比較的大きいPZTを使用するため、センサの感度が高い。よって、呼吸および心拍による微弱な振動であっても、精度良く検出することができる。
圧電素子10間の間隔dは、圧電層11の厚さ(最小長さ)以上の長さである。表側弾性体層20および裏側弾性体層30の厚さを合計すると、圧電層11の厚さの2倍以上である。圧電層11の厚さは圧電センサ1全体の厚さの33%以下である。これらは、違和感の低減に効果的である。また、感圧部Sの面積に占める二つの圧電素子10の総面積割合は、80%以上である。これにより、柔軟性と感度とが両立されている。
弾性体層20、30は、いずれも弾性率が異なる二つの弾性体層から構成されている。表側電極層20で説明すると、表側電極層20は、第一弾性体層21と第二弾性体層22とからなり、弾性率が小さい方の第一弾性体層21が圧電素子10側に配置されている。このように、比較的硬い第二弾性体層22を外側に配置すると、広範囲に刺激を受けることができ、その刺激が柔軟な第一弾性体層21から圧電層11に伝わりやすいため、柔軟性を付与しつつ感度を向上させることができる。
<他の実施形態>
本発明の圧電センサの実施の形態は、上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。本発明の圧電センサは、複数の圧電素子と、弾性体層と、を備える。以下、各構成部材について詳しく説明する。
[圧電素子]
圧電素子の数は二つ以上であればよい。圧電素子の形状は、正方形、長方形、菱形などの多角形の他、円、楕円などでもよく、大きさも特に限定されない。圧電素子の形状、大きさは全て同じである必要はない。複数の圧電素子は、面方向(圧電層および電極層の積層方向に対して略垂直な方向)に離間して配置される。配置形態は、規則性的でも不規則的でも構わない。
圧電素子間の距離(圧電素子の間隔)は、人が接しても違和感が少なくなる程度に圧電センサを柔軟にできれば特に限定されない。圧電素子の間隔としては、隣接する圧電素子の最短距離を採用すればよい。例えば、圧電素子の間隔を、圧電層の最小長さ以上にすることが望ましい。大きさが異なる圧電層が含まれている場合には、全ての圧電層のうちの最小長さを基準にすればよい。なお、圧電素子の間隔は、全て同じである必要はない。
感圧部における圧電素子と隙間との比率は、特に限定されない。柔軟性と感度との両立を図るため、例えば、感圧部の面積に占める圧電素子の総面積割合を80%以上98%以下にすることが望ましい。85%以上98%以下にするとより好適である。ここで、感圧部は、圧電センサの表裏方向(構成部材の積層方向)から見て、複数の圧電素子の最外縁を結んで区画される領域である。図3に、感圧部の設定例を模式的に示す。図3は、弾性体層200の上面に、形状や大きさが異なる複数の圧電素子100a~100dが配置されている形態を示している。この形態においては、図3中、太線で示すように、圧電素子100a~100dの最外縁を結んで、感圧部S(点線ハッチングを施した領域)を設定すればよい。
(1)圧電層
圧電層の材質は、特に限定されない。チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ビスマスランタン(BLT)、タンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)ニオブ酸カリウム(KN)、チタン酸バリウム(BT)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)などの圧電性セラミックス、その他ペロブスカイト構造を持ち圧電性を有するセラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ乳酸、ポリ尿素などの高分子、ポリマーに圧電粒子を配合した複合体などを用いればよい。また、多孔性ポリプロピレン、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、などの樹脂のエレクトレット、石英、水晶、シリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(SiN)などの無機のエレクトレットを用いることもできる。
薄膜状の圧電センサにおいては、圧電層の引張方向に垂直な断面積が小さい方が、加えられた荷重に対する感度が大きくなるという知見によると、一つの圧電素子における圧電層の厚さは、2mm以下であることが望ましい。一方、耐久性を考慮すると、圧電層の厚さは、10μm以上、さらには20μm以上であることが望ましい。また、柔軟性を高めるという観点から、圧電層の厚さは、圧電センサ全体の厚さの33%以下、さらには25%以下であることが望ましい。
(2)電極層
電極層の材質は、特に限定されない。圧電層に応じて、銀、金、銅、ニッケルなどの金属の導電材料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、薄層化黒鉛などの炭素系の導電材料、導電性ポリマー、導電性布、ポリマーに導電材を分散した複合体などを用いればよい。柔軟性、製造容易性、コストを考慮すると、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどのエラストマーに導電材を分散した複合体が好適である。電極層を複合体から形成する場合、ポリマー、導電材などを含んだ導電塗料を、基材または圧電層に塗布、乾燥して形成すればよい。電極層を金属から形成する場合、圧電層に金属を焼き付けたり蒸着したりして形成すればよい。
[弾性体層]
弾性体層は、弾性率が10MPa以下の弾性体からなる。弾性体の弾性率が5MPa以下、さらには1MPa以下の場合には、柔軟性がより向上する。一方、応力の減衰を抑制するという理由から、弾性体の弾性率を0.03MPa以上、さらには0.1MPa以上にするとよい。本明細書において、弾性率は、JIS K6251:2014に規定される引張試験により得られる応力-伸び曲線の線形領域の傾きから算出する。引張試験は、ダンベル状3号形の試験片(平行部分の厚さ5mm、初期の標線間距離20mm)を用い、引張速度を50mm/minとして行うものとする。
例えば、圧電層を、エラストマーに圧電粒子を配合するなどした比較的柔軟な材料から構成した場合、圧電センサの表裏方向から力を加えると(圧電センサを圧縮すると)、弾性体層が面方向に伸張して、圧電層にせん断力が作用する。これにより、圧電層には、表裏方向の押圧力に加えて面方向の引張力が加わることになり、圧電層の歪みが増大する。結果、圧電層で発生する電荷量が増大し、センサの感度が向上する。
弾性体の種類は、特に限定されない。例えば、弾性率が比較的小さいエラストマーとして、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ウレアゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴムなどが好適である。特に、人の生体情報を測定する用途に用いる場合には、生体との親和性が良好なシリコーンゴム、ウレタンゴムが望ましく、可塑剤などの経時的に抽出される物質を含まないことが望ましい。弾性体としてエラストマーを採用した場合、エラストマーのポアソン比は略0.5であるため、厚さ方向に加えられた力がそのまま面方向の力として作用する。したがって、圧電層を、エラストマーに圧電粒子を配合するなどした比較的柔軟な材料から構成した場合には、弾性体層による圧電層の歪み増大効果が大きくなり、センサの感度を向上させることができる。
弾性体層は、複数の圧電素子の表裏方向の片側あるいは両側に配置される。弾性体層は、複数の圧電素子を被覆していればどのように配置されてもよい。例えば、複数の圧電素子と、該圧電素子間の隙間と、を被覆するように連続して配置すると、圧電センサの柔軟性向上に効果的である。一方、圧電センサにおいて、弾性体層は必ずしも連続している必要はない。例えば、圧電素子ごと、または数個の圧電素子ごとに、弾性体層を別々に積層してもよい。すなわち、弾性体層と圧電素子の積層体を、所定の間隔をあけて面方向に並べてもよい。弾性体層の材質は、面方向で同じでも異なっていてもよい。弾性体層が複数の層から構成される場合には、各層の材質は同じでも異なっていてもよい。
弾性体層の厚さは、柔軟性と感度とのバランスを考慮して、適宜決定すればよい。例えば、弾性体層の厚さは、圧電層の厚さの2倍以上10倍以下であることが望ましい。弾性体層を圧電素子の両側に配置した場合には、それらの合計厚さと圧電層の厚さとを比較すればよい。弾性体層の厚さが小さすぎると、所望の柔軟性が得られない。反対に、弾性体層の厚さが大きすぎると、センサの感度が低下する。本明細書における弾性体層の厚さとは、圧電素子に積層される部分の厚さである。
弾性体層は、一層でも二層以上でもよい。弾性体層を圧電素子の両側に配置した場合、各々の構成は同じでも異なっていてもよい。弾性体層を複数の層から構成する場合には、各々の弾性率が10MPa以下になるようにする。弾性体層は、厚さ方向に積層され弾性率が異なる第一弾性体層と第二弾性体層とを有することが望ましい。弾性率が異なる複数の弾性体層を積層することで、柔軟性と感度とのバランスを取りやすくなる。弾性率の違いは、2倍以上であるとよい。例えば、圧電素子側(内側)に配置される方を第一弾性体層とした場合、第一弾性体層の弾性率は、外側の第二弾性体層のそれよりも小さい方が望ましい。こうすることにより、上記第一実施形態のように、柔軟性を付与しつつ感度を向上させることができる。反対に、内側の第一弾性体層の弾性率を、外側の第二弾性体層のそれよりも大きくすると、すなわち、より柔軟な弾性体層を外側に配置すると、柔軟性がより向上し、違和感の低減に効果的である。
[圧電センサ]
本発明の圧電センサにおいて、電極層に接続される配線は、直線状に形成されても蛇行して形成されてもよい。例えば、隣接する圧電素子同士を接続する配線を蛇行配線とすることにより、圧電素子間の隙間で屈曲された場合などにおける断線、導電性の低下を抑制することができる。
本発明の圧電センサを、呼吸や心拍などの微弱な振動を検出する生体情報センサとして使用する場合には、センサの感度が高いことが望ましい。例えば、圧電センサの圧電歪み定数が、50pC/N以上であるとよい。
本発明の圧電センサは、圧電素子と弾性体層とを重ねて圧着することにより製造することができる。この際、圧電素子と弾性体層との間や、複数層からなる弾性体層間を、接着剤などにより接着してもよい。弾性体層が二層からなる場合、圧電素子を浮かせた状態で、内側の弾性体層用材料を注入して架橋し、さらに外側の弾性体層用材料を注入して架橋して、弾性体層を形成することができる。さらには、これらを圧着してもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<圧電センサの製造>
[実施例1]
(1)圧電素子の製造
正方形薄膜状の圧電層の厚さ方向の両面(表裏両面)に電極層を配置し、ラミネーター(フジプラ(株)製「LPD3223」)を用いて圧着させて、圧電素子を二つ製造した。圧電層としては、(株)クレハ製のポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂製フィルム「KFピエゾ40μm」を用いた。当該PVDF樹脂製フィルムの弾性率は3000MPaである。電極層は、次のようにして製造した。まず、エラストマーとしてのエポキシ基含有アクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「Nipol(登録商標)AR51」)100質量部を、メチルエチルケトンに溶解して、ポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、導電性カーボンブラック(ライオン(株)製「ケッチェンブラックEC600JD」)10質量部を添加して、ビーズミルにて分散させて導電塗料を調製した。続いて、導電塗料を離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム上にバーコート法により塗布した。これを150℃で1時間加熱して、厚さ0.015mm(15μm)の電極層を製造した。圧電層および電極層の寸法などは、後出の表1にまとめて示す(以下のサンプルについても同じ)。
(2)圧電センサの製造
製造した二つの圧電素子を、弾性体層の上面に0.5mmの間隔をあけて直列状に並べた。弾性体層としては、シリコーンゴム(信越化学工業(株)製「LIMシリコーン KE1950-5」、弾性率0.1MPa)を用いた。弾性体層は、縦(短辺)30mm、横(長辺)60mm、厚さ3mmの長方形薄板状を呈している。図4に、実施例1の圧電センサの上面図を示す。図4に示すように、圧電センサ50は、弾性体層51と、弾性体層51の上面に並置された二つの圧電素子52と、からなる。二つの圧電素子52は、いずれも一辺が20mmの正方形状を呈している。二つの圧電素子52の間隔dは、0.5mmである。二つの圧電素子52の最外縁を結んで区画される長方形の領域(二つの圧電素子52とその隙間を含む領域)を感圧部Sとすると(以下同じ)、感圧部Sの面積に占める二つの圧電素子52の総面積割合は97.6%である。
[実施例2]
(1)圧電素子の製造
長方形薄板状の圧電層の厚さ方向の両面(表裏両面)に銀製の電極層を焼き付け法により形成して、圧電素子を二つ製造した。圧電層としては、PZT((株)富士セラミックス製「C6」)を用いた。当該PZTの弾性率は50000MPaである。
(2)圧電センサの製造
製造した二つの圧電素子を、実施例1と同じ弾性体層の上面に、長辺方向に2mmの間隔をあけて直列状に並べた。感圧部の面積に占める二つの圧電素子の総面積割合は90.9%である。
[実施例3]
圧電層の形状を正方形薄板状に変更し(長方形の長辺を10mmに短くした)、弾性体層を二層に変更した点以外は、実施例2と同様にして圧電センサを製造した。弾性体層のうち、圧電素子側に配置する内側弾性体層としては、実施例2と同じシリコーンゴムを、厚さ1mmに変更して用いた。内側弾性体層の外側に配置する外側弾性体層としては、シリコーンゴム(信越化学工業(株)製「LIMシリコーン KE1950-40」、弾性率1.25MPa、厚さ1mm)を用いた。外側弾性体層は、内側弾性体層と同じ大きさの長方形薄板状を呈している。
[実施例4]
二層の弾性体層の内外の配置を変更した点以外は、実施例3と同様にして圧電センサを製造した。
[実施例5]
二つの圧電素子の間隔を0.5mmに変更した点以外は、実施例2と同様にして圧電センサを製造した。感圧部の面積に占める二つの圧電素子の総面積割合は97.6%である。
[実施例6]
弾性体層の厚さを9mmに変更した点以外は、実施例2と同様にして圧電センサを製造した。
[比較例1]
圧電層の形状を長方形薄膜状に変更し(正方形の二辺を40mmに長くした)、圧電素子の数を一つに変更し、弾性体層の材料を変更した点以外は、実施例1と同様にして圧電センサを製造した。弾性体層としては、シリコーンゴム(信越化学工業(株)製「LIMシリコーン KE1950-20」、弾性率0.7MPa、厚さ1mm)を用いた。圧電素子が一つしか配置されないため、製造した圧電センサにおいては、感圧部の面積が圧電素子の面積と等しくなる。すなわち、感圧部の面積に占める圧電素子の総面積割合は100%である。
[比較例2]
弾性体層を備えない圧電素子のみを、比較例2の圧電センサとした。圧電素子としては、実施例2の圧電素子において、圧電層の形状を正方形薄板状に変更した(長方形の短辺を20mmに長くした)ものを使用した。本圧電センサの場合も、感圧部の面積に占める圧電素子の総面積割合は100%である。
<圧電センサの評価>
各圧電センサの感度および違和感の有無を評価した。評価方法は以下のとおりである。
[感度]
圧電センサの感度を評価するため、d33メータ(「Model ZJ-4B Piezo d33 meter」、輸入元:アルファ(株))により、圧電センサの圧電歪み定数(d33)を測定した。図5に、圧電歪み定数の測定方法の説明図を示す。図5における符号は、前出図4と対応している。図5に示すように、まず、圧電センサ50を圧電素子52を下にして、厚さ12mmのシリコーンゴム板53の上に載置した。なお、二つの圧電素子52は、プラス側電極層とマイナス側電極層とが、各々、図示しない配線によりd33メータに接続されている。次に、弾性体層51の上面に、直径20mm、厚さ3mmの円板状のベークライト板54(弾性率5GPa)を、二つの圧電素子52の中央部に載置した。そして、図5中、白抜き矢印で示すように、ベークライト板54の上方から4Nの荷重を加えて、圧電素子52における発生電荷量を測定した。圧電歪み定数(pC/N)は、測定された発生電荷量(pC/m)を加えた荷重(N/m)で除して算出される。
呼吸状態や心拍数などを測定する場合には、圧電歪み定数が20pC/N以上必要であり、50pC/N以上であることが望ましい。よって、圧電歪み定数が50pC/N以上である場合を、呼吸および心拍測定に適している(後出の表1中、〇印で示す)、20pC/N以上50pC/N未満である場合を適用可能であるがやや感度が劣る(同表中、△印で示す)と評価した。
[違和感の有無]
圧電歪み定数の測定方法と同じように、まず、圧電センサを圧電素子を下にして、厚さ12mmのシリコーンゴム板(弾性率0.1MPa)の上に載置した(前出図5参照)。次に、硬度計(高分子計器(株)製「アスカーゴム硬度計CS型」)を用いて、圧電センサ(弾性体層+圧電素子)の硬さを測定した。これとは別に、シリコーンゴム板の上に、圧電センサを構成する圧電体層のみを載置して、同硬度計を用いて弾性体層の硬さを測定した。そして、圧電センサの硬さから弾性体層の硬さを差し引いて、硬さの差を求めた。硬さの差が8未満の場合を違和感なし(後出の表1中、〇印で示す)、8以上の場合を違和感あり(同表中、×印で示す)と評価した。
表1に、製造した圧電センサの構成、各部材の寸法などと共に評価結果を示す。表1中、弾性体層が一層からなる圧電センサについては、その一層を内側弾性体層として記載している。
Figure 0007079704000001
表1に示すように、圧電素子を二つ配置した実施例の圧電センサによると、違和感が少ないことが確認された。特に、実施例1~4、6の圧電センサのように、圧電素子を、圧電層の最小長さ以上の間隔をあけて配置すると、違和感の低減効果が高かった。実施例6の圧電センサのように、弾性体層の厚さを大きくすると、柔軟になり違和感の低減効果は大きいが、感度は低下した。なお、実施例6の圧電センサにおいて感度が低下したのは、感度の測定位置によるところが大きい。本実施例では、前出図5に示すように、離間した二つの圧電素子の中央部で感度を測定しているが、例えば一方の圧電素子上で感度を測定すれば、より大きい感度が得られる。
この点、実施例3、4のように、弾性体層を弾性率が異なる二層で構成すると、柔軟性を維持しつつ、弾性体層が一層の実施例2と比較して感度を向上させることができた。実施例3と実施例4とを比較すると、弾性率が小さい弾性体層を内側に配置した実施例3の方が、感度が高くなり、弾性率が小さい弾性体層を外側に配置した実施例4の方が、硬さの差が小さくなり違和感の低減効果が大きかった。
一方、圧電素子が一つしか配置されていない比較例1の圧電センサにおいては、弾性率が10MPa以下の弾性体層を備えているにも関わらず、硬さの差が8になり、違和感が生じた。
本発明の圧電センサは、医療、リハビリ、介護、健康管理、トレーニングの分野や、自動車のバイタルセンシングを行うドライバーモニタリングシステムなどにおいて、呼吸状態や心拍数などを測定する生体情報センサとして有用である。また、柔軟性が必要なセンサの用途、例えば、電車やエレベータ、店舗などの自動ドアの警告用途、床に敷いて人や物、動物の動作を検知する用途にも好適に用いられる。また、IOT(Internet of Things)家電、スマートハウスにおいて、人が触れるスイッチやパネル用センサなどにも好適に用いられる。
1:圧電センサ、10:圧電素子、11:圧電層、12a、12b:電極層、20:表側弾性体層、21:第一弾性体層、22:第二弾性体層、30:裏側弾性体層、31:第一弾性体層、32:第二弾性体層、40:配線、50:圧電センサ、51:弾性体層、52:圧電素子、53:シリコーンゴム板、54:ベークライト板、100a~100d:圧電素子、200:弾性体層、d:間隔、S:感圧部。

Claims (8)

  1. 圧電層および該圧電層の表裏両面に配置される一対の電極層を有し、面方向に離間して配置される複数の圧電素子と、
    弾性率が10MPa以下の弾性体からなり、複数の該圧電素子の表裏方向の少なくとも片側に配置される弾性体層と、を備え
    該弾性体層は、厚さ方向に積層され弾性率が2倍以上異なる第一弾性体層と第二弾性体層とを有することを特徴とする圧電センサ。
  2. 複数の前記圧電素子は、前記圧電層の最小長さ以上の間隔をあけて配置される請求項1に記載の圧電センサ。
  3. 前記弾性体層は、複数の前記圧電素子と、該圧電素子間の隙間と、を被覆するように連続して配置される請求項1または請求項2に記載の圧電センサ。
  4. 前記弾性体層は、エラストマーを有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧電センサ。
  5. 前記弾性体層の厚さは、前記圧電層の厚さの2倍以上10倍以下である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の圧電センサ。
  6. 前記第一弾性体層は、前記圧電素子側に配置され、前記第二弾性体層よりも弾性率が小さい請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の圧電センサ。
  7. 一つの前記圧電素子における前記圧電層の厚さは、圧電センサ全体の厚さの33%以下である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の圧電センサ。
  8. 表裏方向から見て、複数の前記圧電素子の最外縁を結んで区画される領域を感圧部とした場合、該感圧部の面積に占める該圧電素子の総面積割合は80%以上98%以下である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の圧電センサ。
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