JP7083396B2 - 有機薄膜トランジスタ、および、有機薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents
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Description
このように半導体として有機半導体を用いることで、有機薄膜トランジスタにフレキシブル性を持たせることが多数提案されている。しかしながら、有機薄膜トランジスタにフレキシブル性を持たせるためには、有機薄膜トランジスタを構成する他の材料も屈曲性を持ちつつ性能を発現する必要がある。
[1] ゲート電極と、
ゲート電極を覆って形成される絶縁膜と、
絶縁膜上に形成される有機半導体層と、
有機半導体層上に形成されるソース電極、および、ドレイン電極を有し、
絶縁膜は、SiNHからなる無機膜を含む有機薄膜トランジスタ。
[2] 無機膜中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hが、1:0.7~2である[1]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[3] 無機膜の厚みが1nm~100nmである[1]または[2]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[4] 無機膜のゲート電極側に有機層を有する[1]~[3]のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
[5] 有機層の厚みが0.01μm~1μmである[4]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[6] 有機層のガラス転移温度が200℃以上である[4]または[5]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[7] 無機膜の有機半導体層側の表面にSiO2をからなる第2の無機膜を有する[1]~[6]のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
[8] ゲート電極、絶縁膜、有機半導体層、ソース電極、および、ドレイン電極を支持する支持体を有する[1]~[7]のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
支持体上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
ゲート電極の上に絶縁膜を積層する絶縁膜積層工程と、
絶縁膜の上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と
有機半導体層の上にソース電極およびドレイン電極を形成するソースドレイン電極形成工程とを有し、
絶縁膜は、SiNHからなる無機層を含む有機薄膜トランジスタの製造方法。
[10] 絶縁膜積層工程は、
基板と、基板上に形成された無機層を含む転写層とを有する転写型積層フィルムをゲート電極の上に積層した後に、
転写層から基板を剥離することで、ゲート電極の上に絶縁膜を積層する[9]に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
以下の説明において、「厚み」とは、後述する支持体、ゲート電極、絶縁膜および有機半導体層等が並ぶ(積層される)方向(以下、厚み方向)における長さを意味する。
本発明の有機薄膜トランジスタは、
ゲート電極と、
ゲート電極を覆って形成される絶縁膜と、
絶縁膜上に形成される有機半導体層と、
有機半導体層上に形成されるソース電極、および、ドレイン電極を有し、
絶縁膜は、SiNHからなる無機膜を含む有機薄膜トランジスタである。
図1は、本発明の有機薄膜トランジスタの主面に垂直な方向の断面を模式的に示す断面図である。主面とは、シート状物(フィルム、板状物)の最大面である。
なお、以下の説明において、便宜的に支持体12側を下側、ソース電極26およびドレイン電極28側を上側として説明を行う。
SiNHからなる無機膜(以下、SiNH膜ともいう)22は、従来の有機薄膜トランジスタで絶縁膜として用いられているSiO(酸化ケイ素)膜、SiN(窒化ケイ素)膜等の無機膜と比較して柔軟性に優れている。また、SiNH膜は、柔軟性に優れており割れにくいためクラック等による絶縁性の低下も起きにくい。そのため、本発明の有機薄膜トランジスタは、絶縁膜として、SiNHからなる無機膜22を用いることで、絶縁膜を絶縁性に優れ、かつ、柔軟性に優れるものとすることができる。これによって、有機薄膜トランジスタとして屈曲性を高くすることができ、また、絶縁膜のピンホールおよび平面性等に起因するキャリア移動度の低下を抑制できる。
SiNH膜22中のHの比率が高いと膜の緻密さが低下するため屈曲性は高くなる。一方、Hの比率が高すぎると膜の緻密さが低くなりすぎて、絶縁性が低くなるおそれがある。これに対して、SiNとHとの原子数の比率SiN:Hを上記範囲とすることで、屈曲性と絶縁性を両立することができる。
具体的には、RBS/HFS法によって、SiNH膜22の厚さ方向の全域においてケイ素、水素、および、窒素の各原子の量(数)を検出して、原子数の比率を算出すればよい。
あるいは、XPS測定(X線光電子分光測定)により、SiNH膜22の表面におけるSi、N、Hの原子数を測定し、これからSiNとH原子の比率として算出することもできる。
例えば、図2に示す有機薄膜トランジスタ10bは、支持体12の表面に形成されたゲート電極20と、ゲート電極20を包含するように形成された有機層21と、有機層21の上に形成されたSiNH膜22と、SiNH膜22上に形成された有機半導体層24と、有機半導体層24上にそれぞれ離間して形成されるソース電極26およびドレイン電極28と、を有する。
同様に、接着層30は、SiNH膜22を含む転写層をゲート電極20上に貼合することができればよく、絶縁性は有していなくてもよい。
例えば、図4に示す有機薄膜トランジスタ10dは、絶縁膜として、SiNHからなる無機膜22と、第2の無機膜23とを有する。なお、有機薄膜トランジスタ10dは第2の無機膜23を有する以外は、図1に示す有機薄膜トランジスタ10aと同様の構成を有する。
なお、第2の無機膜23としてSiO2膜、および、SiN膜等のケイ素化合物膜を形成する場合には、SiNH膜22と第2の無機膜23とは明確な界面を有するように別の層として形成されていてもよいし、SiNH膜22の表層においてSiO2の割合が高くなるように、一つの層として形成されていてもよい。
<支持体>
支持体12は、各種の有機薄膜トランジスタにおいて支持体として利用される、公知のシート状物(フィルム、板状物)を用いることができる。
プラスチック材料としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリイミドフィルムが例示される。また、これらプラスチックフィルムをガラスに貼り合わせたものを用いることもできる。
ゲート電極20は、有機薄膜トランジスタのゲート電極として用いられている従来公知の電極を用いることができる。
ゲート電極を構成する導電性材料(電極材料ともいう)としては、特に限定されない。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、モリブデン、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、パラジウム、鉄、マンガン等の金属;InO2、SnO2、インジウム・錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等の導電性高分子;塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加した上記導電性高分子、並びに、カーボンブラック、グラファイト粉、金属微粒子等を分散した導電性の複合材料等が挙げられる。これらの材料は、1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ゲート電極は、上記導電性材料からなる1層でもよく、2層以上を積層してもよい。
塗布法では、上記材料の溶液、ペースト又は分散液を調製、塗布し、乾燥、焼成、光硬化又はエージング等により、膜を形成し、又は直接電極を形成できる。
また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、(反転)オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、熱転写印刷、マイクロコンタクトプリンティング法等は、所望のパターニングが可能であり、工程の簡素化、コスト低減、高速化の点で好ましい。
スピンコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法、ディップコート法を採用する場合も、下記フォトリソグラフィー法等と組み合わせてパターニングすることができる。
他のパターニング方法として、上記材料に、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して、研磨し、又は材料の導電性を変化させる方法も挙げられる。
さらに、支持体以外の基板に印刷したゲート電極用組成物を転写させる方法も挙げられる。
ソース電極26は、有機薄膜トランジスタにおいて、配線を通じて外部から電流が流入する電極である。また、ドレイン電極28は、配線を通じて外部に電流を送り出す電極であり、通常、有機半導体層24に接して設けられる。
ソース電極及びドレイン電極の材料としては、従来の有機薄膜トランジスタに用いられている導電性材料を用いることができ、例えば、上記ゲート電極で説明した導電性材料等が挙げられる
特に、ソース電極及びドレイン電極はエッチング法でも好適に形成することができる。エッチング法は、導電性材料を成膜した後に不要部分をエッチングにより除去する方法である。エッチング法によりパターニングすると、レジスト除去時に下地に残った導電性材料の剥がれ、レジスト残渣や除去された導電性材料の下地への再付着を防止でき、電極エッジ部の形状に優れる。この点で、リフトオフ法よりも好ましい。
有機半導体層24は、半導体性を示し、キャリアを蓄積可能な層である。有機半導体層24は、有機半導体を含有する層であればよい。
有機半導体としては、特に限定されず、有機ポリマー及びその誘導体、低分子化合物等が挙げられる。
本発明において、低分子化合物は、有機ポリマー及びその誘導体以外の化合物を意味する。すなわち、繰り返し単位を有さない化合物をいう。低分子化合物は、このような化合物である限り、分子量は特に限定されるものではない。低分子化合物の分子量は、好ましくは300~2000であり、さらに好ましくは400~1000である。
SiNH膜22は、ゲート電極20と有機半導体層24との間に積層され、ゲート電極20と有機半導体層24とを絶縁する層である。
例えば、CCP(Capacitively Coupled Plasma)-CVDおよびICP(Inductively Coupled Plasm)-CVD等のプラズマCVD、原子層堆積法(ALD(Atomic Layer Deposition))、マグネトロンスパッタリングおよび反応性スパッタリング等のスパッタリング、ならびに、真空蒸着などの各種の気相成膜法が好適に挙げられる。
中でも、CCP-CVDおよびICP-CVD等のプラズマCVDは、好適に利用される。
第2の無機膜23は、無機化合物を含む薄膜である。第2の無機膜23は、絶縁性を発現する。また、第2の無機膜23を有することで、表面性状をSiNH膜とは異なるものとすることができ、有機半導体を形成する面に対して行われている従来公知の表面処理を行うことができる。
第2の無機膜23の材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等、の無機化合物が挙げられる。また、これらの2種以上の混合物も、利用可能である。
第2の無機膜23の厚さは、50nm以下が好ましく、5~50nmがより好ましく、10~30nmがさらに好ましい。
第2の無機膜23の厚さを2nm以上とすることにより、十分な目的とする絶縁性および表面性状得られる点で好ましい。また、第2の無機膜23は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れ、ヒビ、および、剥がれ等を生じる可能性が有り屈曲性が低下するが、第2の無機膜23の厚さを50nm以下とすることにより、割れが発生することを防止して屈曲性の低下を抑制できる。
例えば、CCP(Capacitively Coupled Plasma)-CVDおよびICP(Inductively Coupled Plasm)-CVD等のプラズマCVD、原子層堆積法(ALD(Atomic Layer Deposition))、マグネトロンスパッタリングおよび反応性スパッタリング等のスパッタリング、ならびに、真空蒸着などの各種の気相成膜法が好適に挙げられる。
中でも、CCP-CVDおよびICP-CVD等のプラズマCVDは、好適に利用される。
有機層21は、SiNH膜22を適正に形成するための下地層となる層である。
有機層21の表面に形成されるSiNH膜22は、好ましくは、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。そのため、SiNH膜22を形成する際に、有機層21がプラズマによってエッチングされて、有機層21とSiNH膜22との間には、有機層21の成分とSiNH膜22の成分とを有する、混合層のような層が形成される。その結果、有機層21とSiNH膜22とは、非常に強い密着力で密着される。
なお、有機層21の厚さとは、上述の混合層を含まない、有機層21の形成成分のみからなる層の厚さである。
上述のとおり、SiNH膜22をプラズマCVDによって形成する場合には、有機層21がプラズマによってエッチングされて、混合層が形成され、有機層21とSiNH膜22との密着力は、非常に高くなる。従って、有機層21とSiNH膜22との密着力は、基板32と有機層21との密着力よりも、遥かに強く、有機層21から基板32を剥離しても、有機層21とSiNH膜22とが剥離することは無い。
基板32を剥離可能にする有機層21にSiNH膜22を形成することにより、基板32が剥離可能な転写型積層フィルムを実現している。
上述のように、有機層21の表面に形成されるSiNH膜22は、好ましくは、プラズマCVDによって形成される。有機層21のTgを175℃以上とすることにより、SiNH膜22を形成する際における、プラズマによる有機層21のエッチングおよび揮発を好適に抑制して、適正な有機層21およびSiNH膜22を好適に形成できる等の点で好ましい。
有機層21のTgの上限には、制限はないが、500℃以下であるのが好ましい。
具体的には、有機層21を形成する樹脂は、分子量(重量平均分子量(Mw))が500以上であるのが好ましく、1000以上であるのがより好ましく、1500以上であるのがさらに好ましい。
以上の点に関しては、後述する接着層30も同様である。
有機層21は、例えば、熱可塑性樹脂および有機ケイ素化合物等を含有する。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、メタクリル酸-マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、および、アクリル化合物等が挙げられる。有機ケイ素化合物は、例えば、ポリシロキサンが挙げられる。
有機層21は、有機層21の屈折率を低くする観点から、好ましくは、(メタ)アクリレートのモノマー、オリゴマー等の重合体を主成分とする(メタ)アクリル樹脂を含む。有機層21は、屈折率を低くすることにより、透明性が高くなり、光透過性が向上する。
有機層21は、好ましくは、ビスフェノール構造を含む樹脂を主成分とする。有機層21は、より好ましくは、ポリアリレート(ポリアリレート樹脂(PAR))を主成分とする。周知のように、ポリアリレートとは、ビスフェノールAに代表されるビスフェノールなどの2価フェノールと、フタル酸(テレフタル酸、イソフタル酸)などの2塩基酸との重縮合体からなる芳香族ポリエステルである。
有機層21をビスフェノール構造を含む樹脂を主成分とすることにより、特に、有機層21をポリアリレートを主成分とすることにより、基板32と有機層21との密着力が適正で、かつ、容易に基板32を剥離可能とすることができる。また、適度な柔軟性を有するので基板32を剥離する際のSiNH膜22の損傷(割れおよびヒビ等)を防止できる、耐熱性が高いため適正なSiNH膜22を安定して形成できる、転写後の性能劣化を防止できる、有機薄膜トランジスタとしての伸縮性を高くすることができる等の点で好ましい。
なお、主成分とは、含有する成分のうち、最も含有質量比が大きい成分をいう。
有機層21の形成に利用可能な市販品の樹脂としては、ユニチカ株式会社製のユニファイナー(unifiner:登録商標)およびUポリマー(登録商標)、ならびに、三菱ガス化学株式会社製のネオプリム(登録商標)等が例示される。
例えば、有機層21は、有機層21となる樹脂(有機化合物)等を溶剤に溶解した組成物(樹脂組成物)を調製して、基板32に塗布し、組成物を乾燥させる、塗布法で形成できる。塗布法による有機層21の形成では、必要に応じて、さらに、乾燥した組成物に、紫外線を照射することにより、成物中の樹脂(有機化合物)を重合(架橋)させてもよい。
有機層21を形成するための組成物は、有機化合物に加え、好ましくは、有機溶剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤などを含む。
以上の観点から、有機層21の厚みは、0.01μm~1μmの範囲とするのが好ましく、0.03μm~0.8μmの範囲とするのがより好ましく、0.05μm~0.5μmの範囲とするのがさらに好ましい。
接着層30は、SiNH膜22を転写にてゲート電極20上に積層する場合に、SiNH膜22と有機層21とを有する転写層をゲート電極20上に貼り合わせるためのものである。接着層30は、SiNH膜22とゲート電極20および支持体12との間に、ゲート電極20を包埋するように形成される。
また、接着層30は、絶縁性を発現するSiNH膜22を保護する保護層としても作用する。
接着層30が常温で流動して接着性を発現する場合には、転写型積層フィルムの切断時および転写時に、上述した箔引きが生じやすく、絶縁性能の低下等を生じる。
また、流動して接着性を発現する温度が高すぎると、貼着対象への貼着時に必要な加熱温度が高くなってしまい、基板32、有機層21および貼着対象に熱ダメージを与えてしまう。
接着層30のTgを130℃以下とすることにより、熱流動性が得やすいため、加熱による接着性および転写性を向上して上述した箔引きを防止できる、低温で接着でき生産性を向上できる等の点で好ましい。
接着層30のTgの下限にも制限はないが、-150℃以上であるのが好ましい。
ホットメルト接着剤を用いる場合は、接着層30は、非晶性樹脂を主成分とするのが好ましく、アクリル樹脂を主成分とするのがより好ましく、単一のアクリレートモノマーを重合してなる樹脂(アクリルホモポリマー(ホモアクリルポリマー))を主成分とするのがさらに好ましい。
接着層30の主成分を非晶性樹脂、特にアクリル樹脂とすることにより、透明性が高いガスバリアフィルムが得られる等の点で好ましい。
さらに、接着層30の主成分をアクリルホモポリマーとすることにより、上述した利点に加え、熱による転写性を良好にできる、箔引きを防止できる、硬化した後の巻き取り時にブロッキングしにくい等の点で好ましい。また、接着層30をアクリルホモポリマーで形成することにより、上述した利点に加え、接着層30を、比較的、低い温度で流動して接着性を発現する層にできる。従って、積層フィルムに高い耐熱性を要求されない場合には、アクリルホモポリマーからなる接着層30は、好適に利用される。
具体的には、大成ファインケミカル株式会社製の0415BA(アクリルホモポリマー)および#7000シリーズ等が例示される。
接着層30に、これらの成分を添加することで、接着層30のTgを向上できる。従って、用途等に応じて、有機薄膜トランジスタに耐熱性が要求される場合には、これらの成分を添加した接着層30は、好適に例示される。
また、接着層30にスチレンアクリル共重合体と添加することで、接着層30の硬さを調節できるので、貼着対象との硬さのバランスを調節できる。接着層30にウレタンアクリル共重合体を添加することにより、SiNH膜22との密着性を向上できる。
一例として、スチレンアクリル共重合体としては、大成ファインケミカル株式会社製の#7000シリーズ等が例示される。
ウレタンアクリル共重合体としては、大成ファインケミカル株式会社製のアクリット(登録商標)8UAシリーズ等が例示される。
ガラス転移点調節用のアクリル樹脂としては、PMMA(例えば、三菱化学株式会社製のダイヤナール(登録商標)など)等が例示される。
以上の観点から、接着層の厚みは、20μm~0.1μmの範囲とするのが好ましく、5μm~0.3μmの範囲とするのがより好ましく、2μm~0.5μmの範囲とするのがさらに好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法は、
支持体上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
ゲート電極の上に絶縁膜を積層する絶縁膜積層工程と、
絶縁膜の上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と
有機半導体層の上にソース電極およびドレイン電極を形成するソースドレイン電極形成工程とを有し、
絶縁膜は、SiNHからなる無機層を含む有機薄膜トランジスタの製造方法である。
まず、図6に示すように、ゲート電極20の上に接着層30を形成する。
例えば、絶縁膜積層工程において、ゲート電極20上に直接、SiNH膜22を形成する構成としてもよい。あるいは、ゲート電極20上に有機層21を形成し、この有機層21上にSiNH膜22を形成する構成としてもよい。
<有機薄膜トランジスタの作製>
支持体12として、厚み0.1mmのPEN(帝人フィルムソリューション株式会社製)を用い、以下のようにして図1に示すような有機薄膜トランジスタを作製した。
ガラス基板上に、金を真空蒸着し、ゲート電極20を形成した。ゲート電極20は幅10mm、厚さ50nmとした。
CVD装置を用いて、ゲート電極20が形成された支持体12上に、SiNH膜を形成した。
CVD装置は、CCP-CVDによる成膜装置、基板を巻き掛けて搬送する対向電極となるドラム、樹脂層に積層された保護フィルムを剥離するガイドローラ、剥離した保護フィルムを巻き取る回収ロール、長尺な保護フィルムを巻回したロールの装填部、および、成膜済の無機層の表面に保護フィルムを積層するガイドローラ等を有する。なお、CVD装置は2つ以上の成膜ユニット(成膜装置)を有するものを用いた。
下記に示す有機半導体bを0.5wt%濃度で溶解したトルエン溶液を調製した。この溶液をSiNH膜22の上にスピンコート(500回転で20秒及び1000回転で20秒)し、乾燥後の層厚が150nmとなるように有機半導体層24を形成した。
有機半導体層24の上に金を真空蒸着し、ソース電極26およびドレイン電極28を形成した。ソース電極26およびドレイン電極28はそれぞれ、チャネル長30μm、厚さ50nmとし、チャネル幅は10mmとした。
以上により有機薄膜トランジスタを作製した。
SiNH膜22を形成する前に下記の工程によって有機層21を形成した以外は実施例1と同様にして図2に示すような有機薄膜トランジスタを作製した。
TMPTA(ダイセル・オルネクス株式会社製)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE(登録商標) KTO46)を用意し、重量比率として95:5となるように秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度15%の塗布液とした。この塗布液を、スピンコーターを用いて、ゲート電極20を形成した支持体12上に塗布し、50℃で3分間乾燥した。その後、紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)し後にUV硬化にて硬化させた。有機層21の厚みは0.5μmとなった。
その後、有機層21の上に実施例1と同様にしてSiNH膜22を形成した。
SiNH膜22を転写によって積層した以外は実施例1と同様にして図3に示すような有機薄膜トランジスタを作製した。
基板32としてPETフィルム(東洋紡株式会社製 A4100、厚み100μm、幅1000mm、長さ100m)を用い、未下塗り面に以下の手順で有機層21およびSiNH膜22を形成し、転写型積層フィルム40を作製した。
ポリアリレート(ユニチカ社製ユニファイナ―(登録商標)M-2000H)とシクロヘキサノンを用意し、重量比率として5:95となるように秤量し、常温で溶解させ、固形分濃度5%の塗布液とした。使用したポリアリレートのTgは275℃(カタログ値)である。
この塗布液を、ダイコーターを用いてRtoRにより上記基板32に塗布し、130℃の乾燥ゾーンを3分間通過させた。最初の膜面タッチロールに触れる前に、PE(ポリエチレン)の保護フィルムを貼合し、後に巻き取った。基板32上に形成された有機層21の厚さは、0.5μmであった。
ドラムに基板を巻きかけて成膜を行う、RtoRの一般的なCVD装置を用いて、有機層21の表面にSiNH膜22を形成した。
CVD装置は、CCP-CVDによる成膜装置、基板を巻き掛けて搬送する対向電極となるドラム、樹脂層に積層された保護フィルムを剥離するガイドローラ、剥離した保護フィルムを巻き取る回収ロール、長尺な保護フィルムを巻回したロールの装填部、および、成膜済の無機層の表面に保護フィルムを積層するガイドローラ等を有する。なお、CVD装置は2つ以上の成膜ユニット(成膜装置)を有するものを用いた。
また、SiN:Hは、1:1.2であった。
上記で作製した転写型積層フィルム40から基板32を剥離して、SiNH膜22および有機層21をゲート電極20上に、有機層21をゲート電極側にして接着剤を用いて貼合した。
SiNH膜22を形成する際の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
SiNH膜22の膜厚は20nmであった。また、SiNH膜22中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hは、1:0.75であった。
SiNH膜22を形成する際の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
SiNH膜22の膜厚は20nmであった。また、SiNH膜22中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hは、1:1.8であった。
SiNH膜22を形成する際の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
SiNH膜22の膜厚は9nmであった。また、SiN:Hは、1:1.2であった。
SiNH膜22の上にSiO2膜23を有する構成とした以外は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
第3成膜ユニットにおける原料ガスの供給量は、シランガス150sccm、アンモニアガス300sccmおよび水素ガス0sccmとした。第3成膜ユニットにおいて、プラズマ励起電力は2.5kW、プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。大気に暴露して表面を酸化させ、SiO2膜を得た。
SiO2膜23の膜厚は2nmであった。
絶縁膜として、SiN膜を形成した以外は実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
ドラムに基板を巻きかけて成膜を行う、RtoRの一般的なCVD装置を用いて、有機層21の表面にSiN膜を形成した。
<キャリア移動度>
上記で作製した各実施例および比較例の有機薄膜トランジスタについて、キャリア移動度を下記方法により評価した。
ソース電極-ドレイン電極間に-40Vの電圧を印加し、ゲート電圧を40V~-40Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Idを表わす下記式を用いてキャリア移動度μを算出した。
Id=(w/2L)μCi(Vg-Vth)2
(式中、Lはゲート長、wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧)
各実施例および比較例の有機薄膜トランジスタを、φ8mmで10万回外曲げした後に、先と同様に、キャリア移動度(表1中、「移動度」)を測定し、曲げ試験前のキャリア移動度に対する比率を算出した。
結果を、下記の表に示す。
また、実施例1と実施例2との対比から、無機膜の下地層となる有機層を有するのが好ましいことがわかる。
また、実施例2と実施例3との対比から、無機膜を転写によって積層するのが好ましいことがわかる。
また、実施例1、実施例4、および実施例5の対比から、SiNとHとの原子数の比率SiN:Hは、1:0.9~1.5であるのがより好ましいことがわかる。
また、実施例1と実施例6との対比から無機膜の厚みは、10nm以上であるのが好ましいことがわかる。
また、実施例1と実施例7との対比から、第2の無機膜を有するのが好ましいことがわかる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
12 支持体
18 トランジスタ素子
20 ゲート電極
21 有機層
22 SiNH膜(無機膜、絶縁膜)
23 第2の無機膜(SiO2膜)
24 有機半導体層
26 ソース電極
28 ドレイン電極
30 樹脂層
32 基板
40 転写型積層フィルム
Claims (9)
- ゲート電極と、
前記ゲート電極を覆って形成される絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成される有機半導体層と、
前記有機半導体層上に形成されるソース電極、および、ドレイン電極とを有し、
前記絶縁膜は、SiNHからなる無機膜を含み、
前記無機膜中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hが、1:0.7~2である有機薄膜トランジスタ。 - 前記無機膜の厚みが1nm~100nmである請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記無機膜の前記ゲート電極側に有機層を有する請求項1または2のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記有機層の厚みが0.01μm~1μmである請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記有機層のガラス転移温度が200℃以上である請求項3または4に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記無機膜の前記有機半導体層側の表面にSiO 2 からなる第2の無機膜を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 前記ゲート電極、前記絶縁膜、前記有機半導体層、前記ソース電極、および、前記ドレイン電極を支持する支持体を有する請求項1~6のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
支持体上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記ゲート電極の上に絶縁膜を積層する絶縁膜積層工程と、
前記絶縁膜の上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
前記有機半導体層の上にソース電極およびドレイン電極を形成するソースドレイン電極形成工程とを有し、
前記絶縁膜は、SiNHからなる無機層を含み、
前記無機層中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hが、1:0.7~2である有機薄膜トランジスタの製造方法。 - 前記絶縁膜積層工程は、
基板と、基板上に形成された前記無機層を含む転写層とを有する転写型積層フィルムを前記ゲート電極の上に積層した後に、
前記転写層から前記基板を剥離することで、前記ゲート電極の上に前記絶縁膜を積層する請求項8に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
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