定義
本明細書において使用される場合、「投与」という用語は典型的には対象または系への組成物の投与を指す。当分野の当業者であれば、適切な環境下で、たとえばヒト対象などの対象への投与に利用され得る様々な経路を認識するであろう。例えば一部の実施形態において、投与は、眼内、経口、非経口、局所などであってもよい。一部の特定の実施形態において、投与は、気管支(たとえば気管支点滴による)、口腔、皮膚(たとえば真皮、皮内、皮間、経皮などへの局所のうちの一か所以上であってもよく、またはそれらを含んでもよい)、腸、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、特定の臓器内(たとえば肝内)、粘膜、鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(たとえば気管内点滴による)、膣、硝子体などであってもよい。一部の実施形態において、投与は、断続的な投与(たとえば、時間で分けられた複数回の投与)、および/または定期的な投与(たとえば共通の期間により分けられた個々の投与)を含んでもよい。一部の実施形態において、投与は、少なくとも選択された期間にわたる継続的な投与(たとえばかん流)を含んでもよい。
本明細書において使用される場合、「剤型」または「単位剤型」という用語は、対象への投与用の、物理的に別個の活性剤(たとえば治療用剤または診断用剤)の単位を指す。典型的には、そのような各単位は、所定量の活性剤を含有する。一部の実施形態において、かかる量は、関連集団に投与されたときに望ましい、または有益な転帰と相関するよう決定されたレジメンに従う(すなわち、治療レジメンに従う)、投与に適した単位用量(またはその全画分)である。当分野の当業者であれば、特定の対象に投与される治療用組成物または剤の総量は、一人以上の担当医により決定され、および複数の剤型の投与を含んでもよいことを認識する。
本明細書において使用される場合、「レジメン」という用語は、典型的には、一つ以上の期間により分けられる、対象に個別に投与される一組の単位用量(多くの場合、二つ以上)を指す。一部の実施形態では、所与の治療剤は、一つ以上の投与を含み得るレジメンに従い投与される。一部の実施形態では、レジメンは複数の投与を含み、それら各々は、他の投与とは時間で分けられる。一部の実施形態では、個々の投与は、同じ長さの期間で互いに分けられる。一部の実施形態では、レジメンは複数の投与を含み、当該投与は、異なる長さの期間で分けられる。一部の実施形態では、レジメンは、同じ量の投与を含む。一部の実施形態では、レジメンは、異なる量の投与を含む。一部の実施形態では、レジメンは少なくとも一回の投与を含み、当該投与は、一単位用量の治療剤を含む。一部の実施形態では、レジメンは少なくとも一回の投与を含み、当該投与は、二以上の単位用量の治療剤を含む。たとえば250mgの投与は、250mgの単回単位用量として投与されてもよく、または125mgの二回の単位用量として投与されてもよい。一部の実施形態では、レジメンは、関連集団全体に投与されたとき、望ましい、もしくは有益な転帰と相関する、または望ましい、もしくは有益な転帰を生じさせる(すなわち、治療レジメンである)。
本明細書において使用される場合、「患者」、「対象」、または「被験対象」という用語は、たとえば実験目的、診断目的、予防目的、および/または治療目的に対して、本明細書に記載される提供される化合物が本発明に従い投与される任意の生物体を指す。典型的な対象としては、動物(たとえば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒトなどの哺乳類;昆虫;蠕虫;他など)が挙げられる。好ましい実施形態において、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、および/または状態(たとえば、卵巣癌、卵管の癌、腹膜癌、および乳癌などの癌)に罹患し得る、および/または罹り易い場合がある。一部の実施形態では、患者は、一個以上の女性生殖器を保有するヒトである。一部の実施形態では、患者は、婦人科系の癌(たとえば卵巣癌、卵管の癌、腹膜癌、および乳癌などの癌)と診断されたヒトの雌(すなわち女性)である。本明細書において使用される場合、「患者集団」または「対象の集団」とは、複数の患者または対象を指す。
本明細書において使用される場合、「治療有効量」とは、投与された目的である望ましい効果を生じさせる治療剤の量を指す。一部の実施形態では、当該用語は、疾患、障害、および/または状態に罹患している、または罹り易い集団にレジメンに従い投与されたときに、当該疾患、障害、および/または状態を治療するのに充分である量を指す。一部の実施形態では、治療有効量は、当該疾患、障害、および/もしくは状態の一つ以上の症状の発生率ならびに/または重篤度を低下させる、ならびに/または発生を遅延させる量である。当分野の当業者であれば、「治療有効量」という用語は、実際には、特定の個体において治療達成の成功を必要としないことを認識するであろう。むしろ治療有効量は、かかる治療を必要としている患者に投与されたときに、対象の多くに特定の望ましい薬理反応をもたらす量であってもよい。一部の実施形態では、治療有効量への言及は、一つ以上の特定の組織(たとえば疾患、障害または状態により影響を受ける組織)または液体(たとえば血液、唾液、血清、汗、涙、尿など)において測定されたときの量への言及であり得る。当分野の当業者であれば、一部の実施形態において、特定の剤または療法の治療有効量は、単回投与で製剤化され得る、および/または投与され得ることを認識するであろう。一部の実施形態において、治療有効な剤は、たとえばレジメンの一部として、複数回の投与で製剤化され、および/または投与されてもよい。
本明細書において使用される場合、「化学療法剤」とは、癌細胞の増殖、成長、寿命、および/または転移活性を阻害する化学的な剤を指す。一部の実施形態において、化学療法剤は、プラチナ系製剤である。一部のかかる実施形態において、プラチナ系製剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンから選択される。
本明細書において使用される場合、「CA-125」とは、癌抗原125を意味する。CA-125テストを使用して、患者血液中のタンパク質CA-125の量が測定される。CA-125テストを使用して、治療中および治療後の特定の癌を監視してもよく、無増悪生存期間の延長の評価するための使用を含む。一部の症例では、CA-125テストを使用して、卵巣癌のリスクが非常に高い女性において、卵巣癌の初期兆候を探索してもよい。
本明細書において使用される場合、「相同組換え」とは、別個のDNA鎖の間でヌクレオチド配列が交換されるプロセスを指す。相同組換えは、多くの異なる生物プロセスに関与し、たとえば相同組換えは、DNA修復プロセスの一部として(たとえば二本鎖切断修復経路および合成依存型鎖アニーリング経路(synthesis-dependent strand annealing pathway))、および真核生物の減数分裂/配偶子形成のプロセス中に発生する。本明細書において使用される場合、「相同組換え異常(homologous recombination deficiency)」、「相同組換え修復異常(homologous recombination repair deficiency)」、「相同修復異常(homologous repair deficiency)」、または「HRD」とは、相同組換えプロセスの低下または機能障害を指す。学説に拘束されることは望まないが、相同組換えはDNA修復に関与するため、相同組換え欠損のサンプルは、たとえば二本鎖切断などのDNA損傷を修復できないであろう、または修復する能力が低下しているであろうと考えられている。従ってHRDのサンプルは、ゲノムエラーを蓄積するであろうこと、すなわち、染色体異常をHRDのバイオマーカーとして使用することができる。本明細書において使用される場合、「染色体異常(chromosomal aberration)」または「CA」とは、サンプルの染色体DNA中の検出可能な変動を指す。一部の実施形態において、CAは、以下の三つの重複するカテゴリーのうちの少なくとも一つに分類される:ヘテロ接合性の消失(LOH:loss of heterozygosity)、アレル不均衡(たとえば、テロメアのアレル不均衡(TAI:telomeric allelic imbalance))、または大規模な遷移(LST:large scale transition)。一部の実施形態において、「HRD状態」は、患者から取得されたサンプル(たとえば腫瘍サンプル)中のCAの検出により決定される。一部の実施形態において、陽性HRD状態とは、患者から取得されたサンプルが、指定数の染色体の指標領域で、CAの閾値の数値またはレベルに合致した場合を指す。一部の実施形態において、HRD状態は、サンプル(たとえば腫瘍サンプル)中の染色体異常を検出する、および/またはサンプルが二本鎖DNA切断を修復することができるか否かを評価する市販の診断器具を使用して決定される。HRD状態を評価する市販の診断器具としては、myChoice HRD(商標)診断キットが挙げられる。
本明細書において使用される場合、ヘテロ接合性の消失(LOH:loss of heterozygosity)とは、ヘテロ接合性からホモ接合性への対象の多型座位の変化を指す。個体は典型的には、生物学的父親から一つのコピーを、そして生物学的母親から一コピーを受け取っているため、ヒトゲノム内の多型座位(たとえば一塩基変異多型(SNP:single nucleotide polymorphisms))は概して、個々の生殖細胞系列内でヘテロ接合性である。しかし体細胞においては、このヘテロ接合性はホモ接合性へと(変異を介して)変化することがあり、これを本明細書においてはLOHと呼称する。LOHはいくつかの機序から生じ得る。例えば一部の例では、ある染色体の座位が、体細胞において欠失される場合がある。影響を受けた細胞のゲノム内に存在している当該座位が(二コピーではなく)一コピーのみである場合、他の染色体(男性に対しては他の非-性染色体)上には未だ存在している座位が、LOH座位である。このタイプのLOH事象は、コピー数低下を発生させる。他の例では、体細胞中のある染色体(たとえば男性に対しては、ある非-性染色体)の座位は、他の染色体由来の当該座位のコピーと置換されることができ、それにより当該置換座位内に存在し得た任意のヘテロ接合性が排除される。そのような場合において、各染色体上に未だ存在する座位は、LOH座位であり、コピー中立LOH座位と呼称され得る。LOHと、HRD決定におけるその使用については、国際特許出願 PCT/US2011/040953(WO/2011/160063として公開)に詳細に記載されており、当該出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
LOHを包含する染色体異常のより広い分類は、アレル不均衡である。アレル不均衡は、体細胞中の特定の座位での相対コピー数(すなわちコピー比)が、生殖細胞系列とは異なる場合に発生する。たとえば生殖細胞系列が特定の座位で一コピーのアレルAと一コピーのアレルBを有し、体細胞が二コピーのアレルAと一コピーのアレルBを有する場合、体細胞のコピー比(2:1)と、生殖細胞系列のコピー比(1:1)は異なっているため、当該座位でアレル不均衡が存在することとなる。生殖細胞系列(1:1)とは異なるコピー比(1:0または2:0)を体細胞が有していることから、LOHはアレル不均衡の一例である。しかしアレル不均衡は、染色体異常のより多くの型を包含する。たとえば2:1の生殖細胞系列が1:1の体細胞へ、1:0の生殖細胞系列が1:1の体細胞へ、1:1の生殖細胞系列が2:1の体細胞へ、など。染色体のテロメアを包含するアレル不均衡領域の分析は特に本発明に有用である。ゆえに「テロメアアレル不均衡領域」または「TAI領域」は、(a)テロメア周辺のうちの一つにまで延長し、および(b)セントロメアには交差しないアレル不均衡を伴う領域として定義される。TAIと、HRD決定におけるその使用については、国際特許出願 PCT/US2011/048427(WO/2012/027224として公開)に詳細に記載されており、当該出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
LOHとTAIを包含する、さらに広い染色体異常の分類を、本明細書において大規模遷移(LST:large scale transition)と呼称する。LSTとは、およその最大長よりも短い領域(たとえば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4またはそれ以上のメガ塩基)を除去した後の、少なくともおよその最短長(たとえば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11 12、13、14、15、16、17、18、19または20以上のメガ塩基)の二つの領域の間の長さである、染色体の長さに沿った任意の体細胞コピー数遷移(すなわち切断点)を指す。たとえば3メガ塩基よりも短い領域を除去した後、体細胞がたとえば少なくとも10メガ塩基に対して1:1のコピー数を有し、次いでたとえば2:2のコピー数を有する少なくとも10メガ塩基の領域への切断点遷移を有した場合、これはLSTである。同じ現象を定義する別の方法は、LST領域である。LST領域は、少なくともおよその最短長(たとえば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11 12、13、14、15、16、17、18、19または20メガ塩基)にわたり安定したコピー数を有する、切断点により隣接されるゲノム領域であり、当該切断点で、少なくともまたこの最短長の別の領域へとそのコピー数が変化する(すなわち、遷移)。たとえば3メガ塩基よりも短い領域が除去された後、体細胞は、1:1のコピー数を有する少なくとも10メガ塩基の領域を有し、当該領域は、一方の側は、たとえば2:2のコピー数を有する少なくとも10メガ塩基の領域へ遷移する切断点に隣接され、他方の側は、たとえば1:2のコピー数を有する少なくとも10メガ塩基の領域へと遷移する切断点により隣接され、この場合、これは二つのLSTである。これは、アレル不均衡よりも広いことに注意されたい。というのも、このようなコピー数変化は、アレル不均衡とはみなされないであろうからである(コピー比1:1と2:2は同じであるため。すなわち、コピー比では変化がないため)。LST、およびHRDの決定におけるその使用は、Popova et al.,Ploidy and large‐scale genomic instability consistently identify basal‐like breast carcinomas with BRCA1/2 inactivation,CANCER RES.(2012)72:5454‐5462に詳細に記載されている。
本明細書において使用される場合、「BRCA変異」または「BRCAの変異」とは、適切な参照配列(たとえば、野生型の参照、および/または対象の非癌性細胞中に存在する配列)と比較して、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子のいずれか、または両方の少なくとも一コピーの配列における変化または差異を指す。BRCA1/2における変異は、BRCA1/2の異常をもたらす場合があり、これには、BRCA遺伝子および/もしくはコードされるタンパク質の発現または機能の消失または低下が含まれ得る。そのような変異は、「有害な変異」とも呼称され得、または有害な変異であると推測され得る。BRCA変異は、「生殖細胞系列のBRCA変異」であってもよく、これは、一方または両方の親からの遺伝であったことが示唆される。生殖細胞系列の変異は、生物体のすべての細胞に影響を与え、子孫にまで受け継がれる。BRCA変異はまた、個体の生涯の間に獲得される場合もある。すなわち、自然発生的に身体の任意の細胞(体細胞)に、患者の人生の間の任意のとき(すなわち、非遺伝性)に、発生する。これは本明細書において、「散発性BRCA変異」または「体細胞BRCA変異」として相互交換可能に呼称される。遺伝子検査も利用可能であり、当分野の当業者に公知である。たとえば、BRACAnalysis CDx(登録商標)キットは、BRCA1/2バリアントの検出および分類のためのin vitro診断キットである。単離されたゲノムDNAを使用して、BRACAnalysis CDxは、タンパク質コード領域、およびBRCA1とBRCA2のイントロン/エクソン境界における変異を識別する。一塩基バリアントと、小さな挿入および欠失(indels)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)とヌクレオチド配列解析により特定され得る。BRCA1とBRCA2の大きな欠失と重複は、マルチプレックスPCRを使用して検出され得る。「BRCA状態」の指標とは、少なくとも一部の症例において、BRCA1またはBRCA2のいずれかの少なくとも一コピーにおいて、変異が存在するか否かを指す。一部の実施形態において、BRCA状態の指標とは、BRCA1およびBRCA2のいずれか、または両方のmRNA発現レベル、メチル化レベル、または他のエピジェネティックな修飾を指す。一部の実施形態において、「陽性BRCA状態」を有する患者とは、その患者からのサンプルが、BRCA1および/またはBRCA2に変異を含有すると決定された患者を指す。一部の実施形態において、陽性BRCA状態とは、生殖細胞系列のBRCA変異(gBRCAmut)または体細胞BRCA変異(sBRCAmut)のいずれかの存在を指す。一部の実施形態において、「陽性BRCA状態」を有する患者とは、その患者からのサンプルが、BRCA1および/またはBRCA2の発現が低下したと決定された患者を指す。一部の実施形態において、BRCA状態は、生殖細胞系列のBRCA変異に対して決定され(たとえば、gBRCAmut)、対象の血液サンプルで実施される。一部の実施形態において、BRCA状態は、体細胞のBRCA変異に対して決定され(たとえば、sBRCAmut)、または総BRCA変異に対して決定される(tBRCAmut、これには体細胞および生殖細胞系列の両方のBRCA変異が含まれる)。
本明細書において使用される場合、「DNA修復に関与する遺伝子」という用語は、細胞においてDNAの修復に関与する任意の遺伝子を意味する。表8にDNA修復に関与する代表的な遺伝子セットを列記する。これらには、相同組換え(HR:homologous recombination)に関与する遺伝子が含まれ、この相同組換えは、類似した、または同一のDNA分子の間でヌクレオチド配列が交換される遺伝子組み換えである。HRは、二本鎖切断として知られる、DNA鎖の両鎖で発生する有害な切断を正確に修復するために、細胞に最も広く使用されている。たとえばBRCA1、BRCA2、ATM、BARD1、BRIP1、CHEK2、DMC1、EME1(MMS4L)、EME2、GEN1、GIYD2(SLX1B)、MRE11A、MUS81、NBN、PALB2、RAD50、RAD51、RAD51B、RD51C、RAD51D、RAD52、RAD54B、RAD54L、RBBP8、SHFM1(DSS1)、XRCC2、XRCC3は、HRに関与することが知られている遺伝子である。当分野の当業者であれば、遺伝子がDNA修復に関与するか、または相同組換えに関与するかを決定することができるであろう。DNA修復状態とは、DNA修復に関与する遺伝子のうちの一つ以上における、変異の存在または非存在を指す。ある実施形態では、本発明は、DNA修復状態にかかわらず、PARP阻害剤を使用して癌患者を治療することを含む。
本明細書において使用される場合、「PARP阻害剤」という用語は、タンパク質のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)ファミリーのうちのいずれか一つの活性を阻害する、または機能を低下させる剤を意味する。これにはPARPファミリーの15種を超える異なる酵素のうちのいずれか一つ以上の阻害剤を含み、それらは細胞サイクルの制御、転写、およびDNA損傷の修復を含む様々な細胞機能に携わる。
本明細書において使用される場合、「無増悪生存期間」という用語は、疾患(たとえば癌)を有する対象が、当該疾患の状態が大きく悪化することなく生存している期間を意味する。無増悪生存期間は、腫瘍増殖の進行が無い期間、および/または患者の疾患状態が進行疾患であると決定されない期間として評価され得る。一部の実施形態において、癌を有する対象の無増悪生存期間は、腫瘍(病変部位)の大きさ、腫瘍(病変部位)の数、および/または転移を査定することにより評価される。
本明細書において使用される場合、「無増悪生存期間2」(PFS2)は、治療無作為化から、試験治療後の次の抗癌治療での進行評価の日、または任意の原因による死亡日のより早い方の日付までの期間として定義される。一部の実施形態において、進行の決定は、臨床的および/または放射線学的評価により評価されてもよい。
癌の状態に関連し、本明細書において使用される場合、腫瘍増殖の「進行」、または「進行疾患(PD:progressive disease)」という用語は、標的の病変部位(腫瘍)の直径の総計における増加を示す。一部の実施形態において、腫瘍増殖の進行は、試験で最も小さい総計を参照として取込み(ベースラインの総計が試験で最も小さい総計である場合、ベースラインの総計を含む)、標的の病変部位の直径の総計における少なくとも20%の増加を指す。一部の実施形態において、20%の相対的増加に加え、標的の病変部位の直径の総計もまた、少なくとも5mmの絶対的増加を示さなければならない。一つ以上の新たな病変部位の出現もまた、腫瘍増殖の進行の決定に組み込まれ得る。無増悪生存期間を決定する目的に対し、進行は、以下の基準のうちの少なくとも一つが合致した場合に決定されてもよい:1)CT/MRIによる腫瘍評価が明白にRECIST 1.1基準に従う進行疾患を示す、または2)追加の診断検査(たとえば組織/細胞検査、超音波法、内視鏡検査、陽電子放出型断層撮影法)が新たな病変部位を識別する、または既存の病変部位が、明白な進行疾患と、Gynecologic Cancer Intergroup(GCIG)-基準(Rustin et al.,Int J Gynecol Cancer 2011;21:419-423を参照のこと。当該文献はその全体で明細書に組み込まれる)に従うCA-125の進行に当てはまると決定する、3)非悪性または医原性の原因に関連性が無い、PDの決定的な臨床兆候と症状([i]難治性の癌関連疼痛、[ii]悪性の腸の閉塞/悪化する機能障害、または[iii]腹水または胸水の明白な症候性の悪化)、およびGCIG-基準に従うCA-125進行。
本明細書において使用される場合、「部分奏功」または「PR」という用語は、ベースラインの総直径を参照として、標的の病変部位の総直径における低下により示される、対象における腫瘍進行の低下を指す。一部の実施形態において、PRとは、ベースラインの総直径を参照として、標的病変部位の総直径における少なくとも30%の低下を指す。部分奏功を評価する方法の例は、RECISTガイドラインにおいて特定される。E.A.Eisenhauer,et al.,“New response evaluation criteria in solid tumors:改訂RECISTガイドライン(バージョン1.1.)、”Eur.J.of Cancer,45:228-247(2009)を参照のこと。
本明細書において使用される場合、腫瘍増殖の「安定化」または「安定疾患」(SD)とは、PRと定性するのに十分な収縮がなく、PDと定性するのに充分な増加もないことを指す。一部の実施形態において、安定化とは、ベースラインの総直径を参照として、標的の病変部位の総直径における30%、25%、20%、15%、10%または5%未満の変化(増加または減少)を指す。腫瘍増殖の安定化または安定疾患を評価する方法の例は、RECISTガイドラインにおいて特定される。E.A.Eisenhauer,et al.,“New response evaluation criteria in solid tumors:改訂RECISTガイドライン(バージョン1.1.)、”Eur.J.of Cancer,45:228-247(2009)を参照のこと。
本明細書において使用される場合、「完全奏功」または「CR」という用語は、すべての、または実質的にすべての標的病変部位の消失を意味するために使用される。一部の実施形態において、CRとは、ベースラインの総直径を参照として、標的の病変部位の総直径における80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の減少(すなわち、病変部位の消失)を指す。一部の実施形態において、CRは、治療後、病変部位の総直径の10%未満、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下が残留することを示す。完全奏功を評価する方法の例は、RECISTガイドラインにおいて特定される。E.A.Eisenhauer,et al.,“New response evaluation criteria in solid tumors:改訂RECISTガイドライン(バージョン1.1.)、”Eur.J.of Cancer,45:228-247(2009)を参照のこと。
本明細書において使用される場合、「ハザード比」(またはニラパリブ治療効果算出の状況において使用される場合の「HR」、たとえばHR 0.38)は、対照群において発生する事象の比率としての、治療群において発生する事象のハザードまたは機会の表現である。ハザード比は、Coxモデル、生存データに対する回帰法により決定されてもよく、当該方法は、ハザード比と信頼区間の推定を提供する。ハザード比は、治療群と対照群におけるハザード率の比の推定である。ハザード率は、対象となる事象がまだ発生していない場合、次の期間で発生するであろう確率であり、当該期間の長さにより割られる。比例ハザード回帰の仮定は、ハザード比は経時的に一定であるということである。
一部の実施形態において、本発明は、二個以上の剤、実体、状況、条件設定、集団に対し達成された結果の比較を含む。当分野の当業者により理解されるように、かかる剤、実体、状況、条件設定、集団などは、それらが同一ではないが、それらの間で比較可能なほどに充分に類似し、観察された差異または類似性に基づき合理的に結論が導き出され得る場合、互いに「比較可能」であるとみなされることができる。一部の実施形態では、条件、環境、個体、または集団の比較可能な設定は、複数の実質的に同一の特性、および一つまたは少数の多様な特性により特徴付けられる。当分野の当業者であれば、文脈の中で、二つ以上のかかる剤、実体、状況、条件設定が、任意の所与の環境において比較可能であるとみなされるために、どの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。たとえば当分野の当業者であれば、環境、個体、または集団の設定は、異なる環境、個体もしくは集団の設定下で、または異なる環境、個体もしくは集団の設定を用いて、取得された結果における差異、または観察された現象における差異が、多様なそれら特性における変動により引き起こされた、または変動の指標であると合理的に結論づけることを正当化する、充分な数と型の実質的に同一な特性により特徴づけられたときに互いに比較可能であると認識するであろう。
本明細書に記載される比較はしばしば、適切な「参照」に対して行われる。本明細書において使用される場合、「参照」という用語は、標準または対照を指し、それに対して比較が行われる。たとえば一部の実施形態において、対象の剤、動物、個体、集団、サンプル、配列または値は、参照もしくは対照の剤、動物、個体、集団、サンプル、配列、または値と比較される。一部の実施形態において、参照または対照は、対象の検査または決定と実質的に同時に検査され、および/または決定される。一部の実施形態において、参照または対照は、任意で有形的表現媒体中に具現化される、ヒストリカルな参照または対照である。典型的には、当分野の当業者には理解されるように、参照または対照は、評価を受けるものと同等な条件または環境下で決定され、または特徴解析される。当分野の当業者であれば、特定の可能性のある参照または対照に対する信頼性および/または比較を正当化するのに充分な類似性が存在するときを認識するであろう。
本明細書において使用される場合、「治療」(または「治療する」もしくは「治療すること」)という用語は、特定の疾患、障害および/もしくは状態の一つ以上の症状、特性、ならびに/または原因を部分的に、または完全に軽減する、改善する、取り戻す、阻害する、発生を遅延させる、重篤度を低下させる、ならびに/または発生率を低下させる療法の任意の投与を指す。一部の実施形態において、かかる治療は、関連する疾患、障害および/または状態の兆候を示さない対象の治療であってもよく、ならびに/または疾患、障害、および/もしくは状態の早期兆候のみを示す対象の治療であってもよい。あるいは、またはさらに、かかる治療は、関連する疾患、障害および/または状態の確立された兆候を一つ以上示す対象の治療であってもよい。一部の実施形態において、治療は、関連する疾患、障害、および/または状態に罹患すると診断された対象の治療であってもよい。一部の実施形態において、治療は、関連する疾患、障害、および/または状態の発現のリスク増加と統計的に相関する感受性因子を一つ以上有することが知られている対象の治療であってもよい。
本明細書において使用される場合、「絶食状態」という用語は、ある期間、対象により食物が摂取されていない対象の状態を指す。一部の実施形態において、絶食状態は、対象の胃の中に、実質的に食物残渣が無いことを示す。一部の実施形態において、絶食状態とは、食物摂取後、約2時間以上から、次の食物摂取の約30分前までの時間の間の対象の状態を指す。一部の実施形態において、対象の絶食状態は、食物摂取後約2時間、食物摂取後約3時間、食物摂取後約3.5時間、食物摂取後約4時間、食物摂取後約6時間、食物摂取後約8時間、または食物摂取後約12時間から、次の食物摂取の約30分前まで、またはその間の末端を含む任意の時点の時間を含む。
本明細書において使用される場合、「摂食状態」という用語は、治療剤(たとえばニラパリブ)の投与の時点で、対象の胃に食物が存在する、対象の状態を指す。一部の実施形態において、摂食状態とは、食物摂取の開始時から食物摂取の約2時間後まで、たとえば食物摂取中、食物摂取の直後、食物摂取の約30分後、食物摂取の約1時間後、食物摂取の約1.5時間後、または食物摂取の約2時間後、または二つの数値のいずれかの間の末端を含む任意の時間の対象の状態を指す。本明細書において使用される場合、食物摂取とは、摂取される体積または総カロリー数のいずれかで、たとえば対象の通常の食事の少なくとも三分の一の食物の相当量を摂取することを指す。
本明細書において使用される場合、「多形体」という用語は、化合物の結晶構造を指す。本明細書において使用される場合、「溶媒和物」という用語は、結晶構造内に組み込まれた溶媒の化学量論量または非化学量論量のいずれかを伴う結晶形態を指す。同様に、「水和物」という用語は、結晶構造内に組み込まれた水の化学量論量または非化学量論量のいずれかを伴う結晶形態を指す。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、正当な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合っており、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織との接触を伴う使用に適切なそれら塩を指す。薬学的に受容可能な塩は、当技術分野で公知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において、薬学的に許容可能な塩を詳細に記載している。本発明化合物の薬学的に許容可能な塩としては、適切な無機および有機の酸ならびに塩基から誘導された塩が挙げられる。薬学的に許容可能で、非毒性の酸付加塩の例としては、たとえば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸と形成された、またはたとえば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸と形成された、またはイオン交換など当分野で使用される他の方法を使用することで形成されたアミノ基の塩である。他の薬剤的に許容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
適切な塩基から誘導された塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびN+(C1-4アルキル)4の塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容可能な塩としては、適切な場合には、たとえばハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して生成された非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
本明細書において使用される場合、「医薬組成物」という用語は、活性剤が、種以上の薬学的に許容可能な担体とともに製剤化された組成物を指す。一部の実施形態では、活性剤は、関連集団に投与された際に、統計的に有意な確率の所定の治療効果の達成を示す治療レジメンにおける投与に適した単位用量で存在する。一部の実施形態では、医薬組成物は、経口投与に適したものを含む、固形または液状での投与用に具体的に製剤化されてもよく、たとえば水薬(水性もしくは非水性の溶液または懸濁液)、たとえば口腔、舌下、および全身吸収を標的とした錠剤などの錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、舌への塗布用のペーストなどが挙げられる。医薬組成物は、薬剤とも呼称され得る。
本明細書において使用される場合、「ニラパリブ」という用語は、遊離塩基化合物((3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピぺリジン)、((3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピぺリジンの薬学的に許容可能な塩を含む塩形態(たとえば、((3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピぺリジントシル酸塩)、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物(たとえば、((3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピぺリジントシル酸塩一水和物など)のいずれかを意味する。一部の実施形態において、かかる形態は個々にそれぞれ、「ニラパリブ遊離塩基」、「トシル酸ニラパリブ」、および「トシル酸ニラパリブ一水和物」と呼称されてもよい。別段の特定が無い限り、「ニラパリブ」という用語は、化合物(3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピぺリジンのすべての形態を含む。
本明細書において使用される場合、「維持療法」とまたは「維持治療」いう用語は、疾患の再発を予防するために与えられる治療である。たとえば維持療法は、初期治療(癌治療)後に実質的に減少した、または除去された後の癌の増殖を防ぐ、または最小化し得る。維持療法は、継続的な治療であってもよく、たとえば毎日、一日おき、毎週、2週ごと、3週ごと、4週ごと、または6週ごとなどの間隔で複数の用量が投与される。一部の実施形態において、維持療法は、所定の長さの期間、継続されてもよい。一部の実施形態において、維持療法は、受容できない毒性が発生するまで、および/または疾患の進行が発生するまで、継続されてもよい。維持治療の経過において、治療は、有害事象により指定されるような毒性の発生時に中断されてもよい。毒性が28日以内にベースラインまたはグレード1以下にまで適切に消散された場合、患者はニラパリブを用いた治療を再スタートさせることができ、これには予防が実現可能とみなされない場合には用量レベルの低下を含ませることができる。
本明細書において使用される場合、全生存期間(OS)は、治療の開始から、任意の原因による死亡までの時間として定義される。臨床試験のエンドポイントとしての使用に関しては、無作為化から、任意の原因による死亡までの時間として定義され、集団治療の目的において計測される。
本明細書において使用される場合、「客観的奏効率(ORR)」は、所定量の腫瘍サイズの減少を伴う患者の割合として、および最短期間に対して定義される。反応期間は通常、初期反応のときから、腫瘍進行が書面化されるまで測定される。概して、ORRは、部分奏功と完全奏功の総計として定義され得る。
本明細書において使用される場合、「最初の後治療までの時間」(TFST:time to first subsequent therapy)は、現行の試験における無作為化の日付から、最初の後治療レジメン(たとえば抗癌治療)を開始する日付までと定義される。
本明細書において使用される場合、「二番目の後治療までの時間」(TSST:time to second subsequent therapy)は、現行の試験における無作為化の日付から、二番目の後治療レジメン(たとえば抗癌治療)を開始する日付までと定義される。
本明細書において使用される場合、「化学療法完全休養期間」(CFI:chemotherapy-free interval)は、最後の抗癌治療(たとえばプラチナ系化学療法)の最後の投与から、次の抗癌治療の開始までの時間として定義される。
卵巣癌
卵巣癌は、卵巣中の健康な細胞が変化し、非制御な状態で増殖し、腫瘍と呼ばれる塊を形成したときに始まる。腫瘍は、癌性または良性であり得る。癌性腫瘍は悪性であり、増殖し、身体の他の部分へと拡がり得ることを意味する。良性腫瘍は、腫瘍は増殖し得るが、拡がらないであろうことを意味する。卵巣、または腫瘍が位置する卵巣の部分を除去することで、非癌性卵巣腫瘍を治療することができる。卵巣嚢胞は、卵巣の表面上に形成され、非癌性腫瘍とは異なり、通常、治療することなく治癒する。単純な卵巣嚢胞は癌性ではない。それらはしばしば、正常な月経周期の間に発生する。卵巣癌の型としては、上皮性癌腫、生殖細胞腫瘍、または間質性腫瘍が挙げられる。
上皮性癌腫は、卵巣癌の85%~90%を構成する。歴史的に卵巣表面上から始まると考えられてきたが、新たなエビデンスから、少なくとも一部の卵巣癌は卵管の一部の特殊な細胞で始まると提唱されている。卵管は、女性の卵巣と子宮を繋げる小さな管であり、女性の生殖器系の一部である。すべての女性が二本の卵管を有し、子宮の両側に一本ずつ配置される。卵管で始まる癌細胞は、早い時期に卵巣表面へと到達し得る。「卵巣癌」という用語はしばしば、卵巣中で、卵管中で、そして腹腔の内膜、いわゆる腹膜から始まる上皮性癌を記載するために使用される。生殖細胞腫瘍。これは卵巣癌の稀な型であり、卵巣の卵産生細胞において発生する。この型の腫瘍は、10~29歳の女性により多く発生する。間質性腫瘍。卵巣癌のこの稀な形態は、卵巣を一緒に保持し、時折はエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンを生成する組織でもある結合組織細胞中で発生する。これら腫瘍の90%超が、成人または幼児の顆粒膜細胞腫瘍である。顆粒膜細胞腫瘍は、診断時に異常な膣出血を生じさせるエストロゲンを分泌し得る。
2012年、米国の女性において、上皮性卵巣癌の予測発生件数はおよそ22,280件(15,500人が死亡)であり、2012年の欧州では、65,538件(42,704人が死亡)と推定された。診断時、ほとんどの女性は進行疾患を呈し、これが高い死亡率の主要因である。最初の化学療法は、タキサンもしくはプラチナ系化学療法のいずれか、または両方の併用からなる。およそ75%の患者がフロントライン療法に反応するが、そのうち70%は1~3年以内に最終的に再発する。病初での高い奏効率にもかかわらず、再発率が高いために、大きなアンメットニーズが存在する。第三の細胞毒性薬剤(トポテカン、ゲムシタビンまたはドキシル)を加えることで、標準的な二剤化学療法(カルボプラチンとパクリタキセル)を改善する試みが行われているが、失敗している(du Bois et al,2006およびPfisterer et al,2006)。近い将来の大きな課題は、フロントライン維持療法の設定において、特異的標的剤から最も利益を得るであろう、進行卵巣癌の患者の選択となるであろう。最初の化学療法からの奏功を達成した後の維持療法は、疾患進行の副次的影響を遅らせること、毒性のある化学療法が必要となる時期を遅らせること、および全生存期間を延長させることによる、臨床的利益をもたらす方法を提示してもよい。しかしながら現在、卵巣癌の維持療法設定において、広く受け入れられている標準的な治療法はない。
成功した治療戦略が無いことから、the Cancer Genome Atlas(TCGA)の研究者らは、臨床的にアノテーションされたHGS-OvCaサンプルに対し包括的にゲノム異常およびエピジェネティックな異常を測定し、病態生理学的に影響を与え、転帰に作用し、治療標的の構成要素となる分子的因子を識別した(TCGA、2011)。卵巣腫瘍は、たとえばBRCA変異など、DNA修復における機能障害により特徴付けられる。BRCAの1と2は当初、腫瘍抑制性遺伝子として同定されており、欠損した場合に、卵巣癌を含むある悪性腫瘍の発生率の上昇との関連性があった。BRCAの異常は卵巣癌の34%において指摘されており、生殖細胞系列変異と散発性変異、およびプロモーターの過メチル化の組み合わせに原因がある。BRCAは、相同組換えを含む、DNA修復に重要な役割を果たしている。本研究は、高グレードの漿液性卵巣癌のうちの半分超がDNA修復における欠損から生じたと推定した。BRCAの異常/相同組換え異常(HRD)を伴う腫瘍細胞は、DNA修復経路を阻害し、癌治療の合成致死性機序を活用する剤を用いた治療介入の機会を提供する。近年の研究により、上皮性卵巣癌(EOC:epithelial ovarian cancer)におけるHR異常は、生殖細胞系列のBRCA1とBRCA2の変異によるものだけではないことが提唱されている(Hennessy,2010;TCGA,2011;Byler Dann,2012)。The Cancer Genome Atlas Research Networkは、データセットの約500個のEOCのうち、およそ半数において少なくとも一つのHR経路遺伝子の欠損を報告した。
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の役割
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)は、NAD+を切断し、ニコチンアミドを放出させ、引き続いてADP-リボースユニットを付加してADP-リボースポリマーを形成させる酵素のファミリーである。したがって、PARP酵素の活性化は、細胞NAD+レベルの減少をもたらすことができ(たとえばNAD+消費体としてのPARP)、そして下流標的のADP-リボシル化を介して細胞シグナル伝達を介在する。PARP-1はジンクフィンガーDNA結合酵素であり、DNAの二本鎖切断部位または一本鎖切断部位への結合により活性化される。抗アルキル化剤は腫瘍細胞のNAD+含量を減少させ得ることが知られており、PARPの発見はこれらの現象を解説するものであった。(Parp Inhibitors and Cancer Therapy.Curtin N.in Poly ADP Ribosylation.ed.Alexander Burke,Lands Bioscience and Springer Bioscience,2006:218-233)。抗アルキル化剤はDNA鎖の切断を誘導し、これがPARP-1を活性化する。この活性化はDNA修復経路の一部である。PARP-1による核タンパク質のポリADP-リボシル化は、DNA損傷を細胞内シグナルへと転換させ、このシグナルは、DNA修復を活性化させ(たとえば、塩基除去修復(BER:base excision repair)経路により)、またはあまりに多量で効率的に修復できないDNAの損傷がある場合には細胞死を誘導することができる。
DNA損傷応答におけるPARP酵素の役割(たとえば、遺伝毒性ストレスに応じたDNAの修復など)は、PARP阻害剤は有用な抗癌剤となり得るという、説得力のある提唱をもたらした。癌治療剤として、単独または他の剤との併用でのPARP阻害剤の活性を調査するために多くの研究が行われた。PARP阻害剤は、たとえばBRCA-1、BRCA-2、および/またはATMの欠損による癌など、相同組換えDNA修復経路における生殖細胞系列の異常または散発性の異常から生じた癌の治療において特に有効である可能性がある。さらに遺伝毒性化学療法剤とPARP阻害の同時投与は、BERを抑制することにより、かかる化学療法剤の殺傷効果を強化する可能性がある。
前臨床ex vivo実験およびin vivo実験から、PARP阻害剤は、相同組換え(HR)DNA修復経路において重要であることが知られているBRCA-1遺伝子またはBRCA-2遺伝子のいずれかのホモ接合性の不活性化を伴う腫瘍に対する選択的細胞毒性があると提唱されている。HRに不具合を有する癌において、単剤としてのPARP-1阻害剤の使用に対する生物学的基盤は、損傷を受けたDNAの塩基除去修復(BER)に対するPARP-1とPARP-2の必要性である。一本鎖DNAの切断部位が形成されると、PARP-1とPARP-2が病変部位で結合し、活性化され、ヒストン、PARP自身、および様々なDNA修復タンパク質を含む、クロマチンと関連するいくつかのタンパク質上でADP-リボースの長鎖ポリマー(PAR鎖)の付加を触媒する。これによりクロマチンの弛緩が生じ、DNA切断部位にアクセスして修復するDNA修復因子の素早い動員がもたらされる。正常な細胞は毎日、最大で10,000個のDNAの不具合を修復し、一本鎖の切断はDNA損傷の最も普遍的な形態である。BER経路に不具合を有する細胞は、修復されていない一本鎖切断部位を有してS期に入る。既存の一本鎖切断部位は、複製機構が当該切断を通過するにつれ、二本鎖切断部位へと転換される。S期の間に存在した二本鎖切断部位は、エラーが無いHR経路により優先的に修復される。HRを使用することができない細胞(すなわち、たとえばBRCA-1またはBRCA-2などのHRに必要とされる遺伝子の不活性化が原因)は、S期間中に膠着状態の複製フォークを蓄積し、エラーを起こしやすい非相同末端結合(NHEJ:non-homologous end joining)を使用して損傷を受けたDNAを修復する場合がある。S期を完了できないこと(膠着状態の複製フォークのため)、およびエラーが起こり易いNHEJによる修復の両方が、細胞死に寄与すると考えられている。
学説に拘束されることは望まないが、PARP阻害剤を用いた治療は、DNA修復経路に異常を有する癌細胞のサブセットを選択的に殺傷する新規の機会をもたらすと仮定される。たとえば生殖細胞系列のBRCA変異を有する患者において発生する腫瘍は、欠陥のある相同組換えDNA修復経路を有しており、ゲノムの完全性の維持のためには、PARP阻害剤により阻害される経路であるBERへの依存が高まるであろう。相同組換えDNA修復遺伝子における非BRCA異常もまた、PARP阻害剤に対する腫瘍細胞の感受性を高め得る。相補的DNA修復経路に元々異常が存在する腫瘍において、一つのDNA修復経路を阻害するPARP阻害剤を使用することにより死を誘導するというこのコンセプトは、合成致死性と呼ばれている。
BRCA-1遺伝子およびBRCA-2遺伝子の生殖細胞系列の変異は、遺伝性の卵巣癌または乳癌を有する患者の大部分に発見されている。体細胞性BRCA-1/2の変異、およびプロモーターの過メチル化による遺伝子サイレンシングを含む他のメカニズムによるBRCA-1遺伝子およびBRCA-2遺伝子の不活化は、いくつかの散発性癌のかなりの部分で発生する。特に卵巣癌に関し、体細胞性のBRCA-1またはBRCA-2の変異は、すべての上皮性卵巣癌種(EOC:epithelial ovarian carcinomas)の10%~15%に発見され、BRCA-1発現の強力な低下が、散発性卵巣癌のかなりの部分に観察されている。まとめると、卵巣癌のうち最大で40%~60%が、BRCA-HR経路における欠損の結果として、PARP阻害剤に対し反応性であるかもしれず、このことから、卵巣癌治療における本方法の潜在力の高さが示唆される。
HRは複雑な経路であり、BRCA-1とBRCA-2以外のいくつかの遺伝子が、HR経路を介したDNA二本鎖切断の感知または修復のいずれかに必要とされる。ゆえに驚くことではないが、PARP阻害剤は、RecAホモログ(RAD51およびRAD54)、X-ray repair complementing defective repair in Chinese hamster cells(XRCC2およびXRCC3)、DSS1、replication protein A1(RPA1)、ataxia telangiectasia mutated(ATM)、ATM and Rad3-related(ATR)、チェックポイントキナーゼ類(CHK1、CHK2)、ナイミーヘン染色体不安定症候群1(NBS1:Nijmegen breakage syndrome)、およびファンコニ貧血修復経路(Fanconi anemia repair pathway)の構成要素を含む、BRCA-1およびBRCA-2以外のDNA修復タンパク質に異常を有する癌細胞に対しても、選択的細胞毒性がある。これら遺伝子の一部は、異なる散発性腫瘍において変異している、または下方制御されていることが知られており、ゆえに、HR-介在性DNA修復だけでなく、おそらくは非HR介在性DNA修復にも「中毒状態」であるかもしれず、ゆえにPARP阻害剤に対し反応するであろう。より最近では、PTEN-遺伝子の欠失を有する腫瘍細胞が、おそらくはHR欠損の結果として、PARP阻害剤に対し実際に感受性であることも示されている。
PARP阻害剤の治療剤としての可能性は、PARP-1阻害剤がHR欠損腫瘍における単剤治療活性を有するだけでなく、前臨床モデルにおいてシスプラチン、カルボプラチン、アルキル化剤、およびメチル化剤、放射線療法ならびにトポイソメラーゼI阻害剤との併用で有効であるという観察結果によりさらに拡張される。PARP阻害単独で、HR欠損癌に(内因性DNA損傷によって)細胞死をもたらすには充分であるという単剤治療の論理的解釈とは対照的に、PARPは標準的な細胞毒性化学療法により誘導されたDNA損傷の修復に必要とされている。一部の例において、PARPの具体的な役割は分かっていないが、PARP-1は、トラップされたトポイソメラーゼI/イリノテカン複合体をDNAから放出させるために必要とされることが知られている。テモゾロミドに誘導されたDNA損傷は、BER経路により修復され、この経路は修復タンパク質を動員するためにPARPを必要とする。毒性を大きく増加させることなく、細胞毒性剤を強化し、または細胞毒性剤との相乗効果を発揮する併用治療により、卵巣癌ならびに他の癌種の患者に対し、大きな利益がもたらされるであろう。
PARP阻害剤(たとえばPARP-1/2阻害剤)を用いた治療は、DNA修復における欠損を活用することで、癌細胞型のサブセットを選択的に殺傷する新規の機会をもたらす。ヒトの癌は、DNA修復に内在する欠損により、ゲノム不安定性と変異率の上昇を示す。これらの異常によって、癌細胞は残されたDNA修復経路にさらに依存することになり、そしてこれらの経路を標的とすることで、正常細胞の生存よりも腫瘍細胞の生存に対しより大きな影響を与えることが期待される。PARP阻害剤は、癌治療剤となり得る見込みをもたらす一方で、これら化合物の臨床的効果は明白ではない。特に、異なるPARP阻害剤(たとえばPARP-1/2阻害剤)の癌治療剤としての臨床的帰結に関する結果は、一部の症例においては明白ではなく、矛盾が生じる可能性さえある。たとえばPARP阻害剤のオラパリブを検証した臨床試験の結果を分析すると、卵巣癌を有する患者における全生存期間に対する長期転帰の矛盾が示されている。たとえば三つの臨床試験の分析から、平均的なオラパリブを従来的な治療に加えて使用したところ、生殖細胞系列BRCA変異を有する女性において、プラセボまたは治療無しと比較し、プラチナ系感受性の上皮性卵巣癌の進行を減速させたが、患者の全生存期間には有意な変化は観察されなかったことが判明した。さらに、対照群と比較して、重大な有害事象がオラパリブ群においてより多く発生したことがオラパリブ試験により判明した。Wiggins et al.,(2015)“Poly(ADP-ribose)polymerase(PARP)inhibitors for the treatment of ovarian cancer.”Cochrane Database of Systematic Reviews,Issue 5.Art.No.:CD007929を参照のこと。PARP阻害剤のベリパリブを用いた別の臨床試験が比較的小さなサンプルサイズで行われたが、卵巣癌の進行に対するベリパリブのなんらかの効果を示すことはできなかった。ゆえに当分野は、これらPARP阻害剤の臨床的有効性を確立させることに失敗し、有効な癌治療剤としてのPARP阻害剤を特定、特徴解析、および/または開発するニーズが依然として存在している。本開示は、このニーズを満足させるものである。特に本開示は、有効性のある癌治療、特に女性の生殖系の癌(たとえば卵巣癌)に対する療法を達成するニラパリブ組成物および技法を提供する。一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載される無増悪生存率および/もしくはハザード比を達成するニラパリブ組成物ならびに/または方法を提供する。一部の実施形態において、提供される組成物および/または方法は、約三倍を越えない、または一部の実施形態では二倍を超えない、比較可能なプラセボ治療で観察されたものよりも高い、全治療中発生有害事象率(TEAE:treatment emergent adverse event rate)で、かかる効果を実現する。提供される組成物および/または方法は、約5倍を超えない、または約4.5倍を超えない、または約4倍を超えない、比較可能なプラセボ治療で観察されたものよりも高い、重度TEAE率で、かかる効果を実現する。
プラチナ系感受性の再発卵巣癌は、いまだ医療的なアンメットニーズが存在する。全米総合癌情報ネットワーク(NCCN:National Comprehensive Cancer Network)と欧州臨床腫瘍学会議(ESMO:European Society of Medical Oncology)の両方のガイドラインが、初回のプラチナ系治療への反応から6カ月を越えて再発が発生した場合には、プラチナ系の併用化学療法を用いて患者を再治療することを推奨していた。パクリタキセルとカルボプラチンが、再発したプラチナ反応性患者に対し最も頻繁に使用されるレジメンである。再発し、プラチナ系化学療法剤の第二ラウンドで治療された患者のほとんどが、当該化学療法剤への反応後、いずれのタイプの治療も受けていない。その理由は、米国において化学療法剤後の維持的使用に対し、承認された製品が存在しないためである。米国における標準的治療は、「経過観察」である。
不幸なことに、プラチナ系化学療法剤の効用は時間とともに減退する。PFSおよびプラチナ系の完全休薬期間は一般的に、各後治療の後、どんどん短くなり、最終的に腫瘍はプラチナ系抵抗性となるか、または難治性となる。さらにプラチナ系製剤とタキサン類の蓄積毒性を理由として、患者は一般的に、治療一クール当たり、6サイクルを越えるプラチナ系化学療法剤を受けない。プラチナ系化学療法剤に対する反応性を延長させ、再発または死亡のリスクを低下させ、プラチナ系完全休薬期間を延長させる新たな剤が必要とされている。
タンパク質のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)ファミリーは、15種を超える異なる酵素からなり、それらは細胞サイクルの制御、転写、およびDNA損傷の修復を含む様々な細胞機能に携わる。BRCA1、BRCA2およびPALB2は、エラーが無い相同組換え修復、またはHRR経路による、二本鎖DNA切断の修復にとって重要なタンパク質である。いずれかタンパク質の遺伝子が変異した場合、その変化によりDNA修復にエラーが生じ得、最終的にはたとえば乳癌または卵巣癌をはじめとする癌を引き起こし得る。
PARP-1は、この群において最も豊富で、最も良く特徴解析されているタンパク質であり、塩基除去修復経路を介した一本鎖DNA切断の修復に必須である。もしDNAが複製される(細胞分割よりも先行しなければならない)まで、当該切断が修復されないままであった場合、その後の複製それ自体が、二本鎖切断が形成される原因となり得る。PARP-1の効果的な阻害により、一本鎖切断の蓄積がもたらされ、これが最終的に二本鎖切断をもたらす。通常、そのような二本鎖切断は相同組換え(HR:homologous recombination)により修復されるが、欠陥のあるHRを伴う細胞において、PARP阻害は、染色体の不安定性、細胞サイクルの停止、そしてその後のアポトーシスをもたらし得る。DNAは各細胞サイクルの間に数千回損傷を受け、そしてその損傷は修復されるはずである。一度にたくさんの損傷を受けた場合、その変化した遺伝子が、細胞死をもたらし得る。癌細胞ほど頻繁にはDNAを複製せず、そして変異したBRCA1またはBRCA2をいずれも有さない正常細胞は、相同修復操作を未だ有しており、それにより正常細胞はPARP阻害を生き抜くことができる。PARP酵素活性を阻害することによってPARP阻害剤は機能し、これがDNA損傷の修復を妨害し、最終的には細胞死をもたらし得る。また、DNA損傷部位にPARPタンパク質を配置させることで機能し、これが抗腫瘍活性と関連しているとも考えられている。トラップされたPARPタンパク質-DNAの複合体は、DNA複製を妨害するため、細胞にとって非常に毒性が高い。
典型的には、PARPタンパク質は、DNA結合と修復プロセスが進行した時点でDNAから放出される。タンパク質がPARP阻害剤に結合したときに、DNA上にトラップされるようになることを示す証拠が存在する。トラップされたPARP-DNA複合体は、PARP活性が存在しない状況下で蓄積する未修復の一本鎖DNA切断よりも、細胞にとって毒性が高い。ゆえに学説に拘束されることはないが、PARP阻害剤-修復阻害とPARPトラップの少なくとも二つのメカニズムが存在する。
正常なHRの機能にとって必須なタンパク質をコードする、乳癌関連遺伝子のBRCA1およびBRCA2に変異を有する腫瘍において、HRは二本鎖切断を修復できないことが観察されている。低分子PARP阻害剤の使用は、DNA損傷修復における、この遺伝的脆弱性を活用するものであり、そして合成致死性の例である。この場合、二つの経路を同時に阻害することで細胞死をもたらし、一方でいずれか経路のみを妨害しても、致死的ではない。BRCA変異腫瘍細胞の治療における、PARP阻害剤の有望な前臨床結果は、たとえば乳癌または卵巣癌を有する患者など、これらの変異を担持する可能性が最も高い患者集団で、これらの剤の臨床試験を行うことに対する強力な論理的根拠を提供した。この治療戦略は現在、PARP阻害剤のオラパリブおよびルカパリブに対する近年の米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認により、BRCA変異型進行卵巣癌を有する患者を治療するための単剤療法として認証されている。驚くべきことに、本発明は、BRCA1またはBRCA2の変異の存在、非存在にかかわらず、ヒト癌患者において無増悪生存期間の延長にPARP阻害が有効であることを示す。ニラパリブはこの能力を示した最初のPARP阻害剤であるが、その結果は、他のPARP阻害剤を用いても達成され得る。ニラパリブおよび他のかかるPARP阻害剤を以下に検討する。
ニラパリブ、(3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピぺリジンは、経口利用可能で、強力なポリ(アデノシン二リン酸[ADP]-リボース)ポリメラーゼ(PARP)-1および-2の阻害剤である。WO2008/084261(2008年7月17日に公開)およびWO2009/087381(2009年7月16日に公開)を参照のこと。それら各々の全体が、参照により本明細書に援用される。ニラパリブは、WO 2008/084261のスキーム1に従い調製することができる。
一部の実施形態において、ニラパリブは、薬学的に許容可能な塩として調製することができる。当分野の当業者であれば、かかる塩形態は、溶媒和または水和された多形体として存在し得ることを認識するであろう。一部の実施形態において、ニラパリブは水和物の形態で調製される。
ある実施形態において、ニラパリブはトシル酸塩の形態で調製される。一部の実施形態において、ニラパリブはトシル酸塩一水和物の形態で調製される。
ニラパリブの結晶性トシル酸塩一水和物は、相同組換え(HR)デオキシリボ核酸(DNA)修復経路に欠損を有する腫瘍に対する単剤療法剤として、および細胞毒性剤と放射線療法の併用における感作物質として、開発されている。
ニラパリブは強力で選択的なPARP-1およびPARP-2の阻害剤であり、対照の50%阻害濃度(IC50)はそれぞれ3.8nMおよび2.1nMであり、他のPARP-ファミリー種よりも少なくとも100倍選択的である。ニラパリブは、様々な細胞株において、過酸化水素の添加により引き起こされたDNA損傷の結果として刺激されたPARP活性を阻害し、そのIC50と、対照の90%阻害濃度(IC90)は、それぞれ約4nMと50nMである。
ニラパリブは、BRCA-1もしくはBRCA-2がサイレンシングされた、またはBRCA-1変異もしくはBRCA-2変異を担持する癌細胞株に対し、野生型のカウンターパートと比較して、選択的な抗増殖活性を示す。BRCA欠損細胞に対するニラパリブの抗増殖活性は、G2/Mで細胞サイクルが停止し、その後にアポトーシスとなった結果である。ニラパリブはまた、選択されたユーイング肉腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、非小細胞肺癌(NSCLC)、および小細胞肺癌(SCLC)の細胞株、ならびにATM遺伝子のホモ接合性不活化を担持する腫瘍細胞株に対しても選択的な細胞毒性がある。ニラパリブは、正常なヒト細胞に対しては弱い活性を示す。BRCA-1変異乳癌(MDA-MB-436)、BRCA-2変異膵臓癌(CAPAN-1)、ATM-変異マントル細胞リンパ腫(GRANTA-519)、漿液性卵巣癌(OVCAR3)、大腸癌(HT29およびDLD-1)、患者から誘導されたユーイング肉腫、およびマウスのTNBC異種移植モデルを用いたin vivo研究で、強力な抗腫瘍活性を示した。
腫瘍異種移植実験からの腫瘍ホモジネートにおいてPARP活性を測定することにより、標的との結合も示されている。また、ニラパリブを投与されたマウスの末梢血単核球(PBMC)においてもPARP活性の阻害が測定されている。ニラパリブは、細胞サイクルの停止、特に細胞サイクルのG2/M期における停止を誘導することが示されている。したがって一部の実施形態において、本発明は、腫瘍細胞の細胞サイクル停止を誘導する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある患者にニラパリブを投与することを含む。一部の実施形態において、本発明は、腫瘍細胞の細胞サイクルのG2/M期の停止を誘導する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある患者にニラパリブを投与することを含む。一部の実施形態において、本発明は、BRCA-1および/またはBRCA-2の欠損細胞の細胞サイクルのG2/M期の停止を誘導する方法を提供するものであり、当該方法は、その必要のある患者にニラパリブを投与することを含む。
ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)酵素の阻害剤としてオラパリブは作用し、PARP阻害剤と名付けられている。化学名は、4-[(3-{[4-(シクロプロピルカルボニル)ピペラジン-1-イル]カルボニル}-4-フルオロフェニル)メチル]フタラジン-1(2H)-オンである。オラパリブの臨床試験は、乳癌、卵巣癌、大腸癌で開始された。予備的活性が卵巣癌において認められ、BRCA1またはBRCA2の変異を有する17名の患者中、7名が反応し、これら変異を有さない46名の患者中、11名が反応した。しかしながらプラチナ系化学療法剤の成功後の無増悪生存期間の維持、または反応性の維持にオラパリブを使用することを検証する第II相試験の中間解析からは、報告された無増悪生存期間の利益は、集団治療の目的に対し、全生存期間の利益となる可能性が低いと示唆された。しかしながらBRCA変異を有する患者サブセットの計画分析からは、オラパリブを用いた明白な利点が見いだされた(Ledermann et al.,New England Journal of Medicine,366;15(2012);Lancet Oncol.15(8):852-61)。オラパリブは、過去に三ライン以上の化学療法を受けた生殖細胞系列BRCA変異型(gBRCAmut)進行卵巣癌において、一日当たり二回摂取、400mgの推奨用量で単剤療法として承認を受けた。BRCA1/2変異は、ある型の癌を遺伝的に発生し易くする場合があり、そして他の癌治療形態に対し抵抗性となり得る。しかしながらこれらの癌は場合によりユニークな脆弱性を有しており、当該癌細胞は自身のDNAを修復して分割し続けることが可能となるよう、PARPへの依存を高めている。これは、PARPを選択的に阻害する薬剤は、もし当該癌がこの治療に感受性である場合には有益であり得ることを意味する。ゆえにオラパリブの臨床データは、BRCA1またはBRCA2の変異の非存在が特徴の癌の治療においては無増悪生存期間の延長に対しPARP阻害剤は有益ではないということを示した。
同様に、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)酵素の阻害剤としてルカパリブは作用し、これもPARP阻害剤と名付けられている。化学名は、8-フルオロ-2-{4-[(メチルアミノ)メチル]フェニル}-1,3,4,5-テトラヒドロ-6H-アゼピノ[5,4,3-cd]インドール-6-オン((1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-イル)メタンスルホン酸塩である。これもまた、二つ以上の化学療法剤で治療された、有害なBRCA変異(生殖細胞系列および/または体細胞性)に関連した進行卵巣癌を有する患者の治療に対する単剤療法としての適応として承認されている。ルカパリブの有効性は、二つの多施設、単一群、非盲検臨床試験の試験1および試験2において、2つ以上の前化学療法後に進行した進行BRCA変異卵巣癌を有する患者で、106名の患者において調査された。106名すべての患者が、疾患進行まで、または受容できない毒性が発生するまで、一日に二回、単剤療法として600mgのルカパリブを経口投与された。独立放射線審査による反応性評価は、42%(95% CI[32,52])であり、メジアンDORは6.7カ月であった(95% CI [5.5,11.1])。治験責任医師により評価されたORRは、プラチナ系感受性患者において66%(52/79;95% CI [54,76])、プラチナ系抵抗性患者において25%(5/20;95% CI [9,49])、そしてプラチナ系難治性患者において0%(0/7;95% CI [0,41])であった。ORRは、BRCA1遺伝子変異またはBRCA2遺伝子変異を有する患者に関し、同様であった。ゆえにルカパリブの臨床データは、BRCA1またはBRCA2の変異の非存在が特徴の癌の治療においては無増悪生存期間の延長に対しPARP阻害剤は有益ではないということを示した。
同様に、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)酵素の阻害剤としてタラゾパリブは作用し、これもPARP阻害剤と名付けられている。gBRCA変異乳癌を有する患者(すなわち、BRCA遺伝子が生殖細胞系列変異を含有する患者における進行乳癌)の治療に対する臨床試験において現在評価が為されている。この試験の主目的は、単剤療法としてタラゾパリブを用いて治療された患者のPFSと、プロトコールに規定された医師の選択で治療された患者のPFSを比較することである。
同様に、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)酵素の阻害剤としてベリパリブは作用し、これもPARP阻害剤と名付けられている。ベリパリブの化学名は、2-[(R)-2-メチルピロリジン-2-イル]-1H-ベンズイミダゾール-4-カルボキサミドである。
卵巣癌の診断時、ほとんどの女性は進行性疾患を呈し、これが高い死亡率の主要因である。ステージ2、3または4の疾患を有する患者は、腫瘍が切除出来る可能性があれば腫瘍縮小手術を受け、その後に4~8サイクルの化学療法を受け得る。最初の化学療法は、IV化学療法剤、またはIVと腹腔内(IP)化学療法剤の併用のいずれかからなり得る。IV化学療法剤は通常、タキサン(パクリタキセルまたはドセタキセル)とプラチナ系(シスプラチンまたはカルボプラチン)からなる。患者のおよそ75%がフロントライン療法に反応し、治療後、最短6カ月間再発または疾患進行が無い場合に標準的には規定されるプラチナ系感受性とみなされる。しかしながら最大で70%の患者が最終的には1~3年以内に再発する。標準的なプラチナ系二剤化学療法を、第三の細胞毒性剤を加えることにより改善する試みは失敗に終わり、無増悪生存期間または全生存期間のいずれにも効果はなく、毒性作用の増加が生じた(du Bois et al,2006 and Pfisterer,2006 et al)。病初の高い奏効率の後でさえ、再発率が高いために、高いアンメットニーズが存在する。
the Cancer Genome Atlas(TCGA)の研究者らは、臨床的にアノテーションされたHGS-OvCaサンプルを検証し、病態生理学的に影響を与え、転帰に作用し、治療標的の構成要素となる分子的因子を識別した(TCGA、2011)。卵巣腫瘍は、たとえばBRCA変異など、DNA修復における機能障害により特徴付けられる。BRCAの1と2は腫瘍抑制性遺伝子として同定されており、欠損すると、卵巣癌を含むある悪性腫瘍の発生率の上昇との関連性があった。BRCAは、相同組換えを含む、DNA修復に重要な役割を果たしている。BRCA異常/相同組換え異常(HRD)を有する腫瘍細胞は特にDNA損傷に対し感受性である。ニラパリブは、DNA損傷の結果として刺激されたPARP活性を阻害し、そしてBRCA-1もしくはBRCA-2がサイレンシングされた、またはBRCA-1変異もしくはBRCA-2変異を担持する癌細胞株に対し、野生型のカウンターパートと比較して、選択的抗増殖活性を示す。BRCA欠損細胞に対するニラパリブの抗増殖活性は、G2/Mで細胞サイクルが停止し、その後にアポトーシスとなった結果である。PARP阻害剤は、alt-NHEJとBERを妨害し、BRCA異常を有する腫瘍が、エラーを起こしやすいNHEJを使用して二本鎖切断を修復するよう仕向ける。相同組換えDNA修復遺伝子における非BRCA異常もまた、PARP阻害剤に対する腫瘍細胞の感受性を高め得る。ニラパリブをはじめとするPARP阻害剤は、卵巣癌を発生させる、生殖細胞系列BRCA変異(gBRCAmut)を有する個体など、DNA修復経路に変異を担持する腫瘍を有する個体の治療に有用である。
高い再発率に対処する試みにおいて、抗PARP治療は、フロントラインのプラチナ系化学療法剤と関連した病初の高い奏効率を延長させる方法として、卵管癌および腹膜癌を含む再発性および/またはプラチナ系感受性の卵巣癌を有する患者における維持療法として投与されてもよく、この場合において前記投与は、無増悪生存期間を延長させ、および/または全生存期間を延長させる。そのような無増悪生存期間の延長は、疾患進行または死亡に対するハザード比の低下を生じさせ得る。延長された無増悪生存期間は、疾患症状の遅延、化学療法による毒性負荷の遅延、および生活の質の低下の遅延をはじめとする、いくつかの面で臨床的利益を提供する可能性を有する。別の実施形態において、プラチナ系感受性卵巣癌を有する患者は、BRCA異常および/またはHRDを有するとしてさらに特徴付けられる(たとえば陽性HRD状態)。別の実施形態において、再発および/またはプラチナ系感受性卵巣癌を有する患者は、有害である、または有害であると疑われる生殖細胞系列のBRCA変異の非存在によりさらに特徴付けられる。別の実施形態において、再発および/またはプラチナ系感受性卵巣癌を有する患者は、生殖細胞系列、または散発性のいずれかのBRCA変異の非存在によりさらに特徴付けられる。
本発明は、PARP阻害剤を使用して、野生型、または変異型BRCA1および/もしくはBRCA2(BRCA遺伝子)を特徴とする癌を、たとえばBRCA遺伝子中に変異が存在する、または存在しない状況下で治療できるという発見に部分的に基づいている。したがって本発明の態様は、癌患者を治療する方法に関するものであり、当該方法は、抗PARP療法を、当該患者もしくは癌のBRCAの状態に関係なく、またはDNA修復状態に関係無く、患者に投与することを含む。他の態様において、本発明は、癌患者を治療する方法に関するものであり、当該方法は、抗PARP療法を患者に投与することを含み、この場合において当該療法は、当該患者もしくは当該癌のBRCA状態またはHRD状態を決定するまえに開始される。他の態様において、本発明は、癌患者を治療する方法に関するものであり、当該方法は、抗PARP療法を患者に投与することを含み、この場合において当該療法は、当該患者もしくは当該癌のBRCA状態またはDNA修復状態の決定が無い状況下で開始される。他の態様において、本発明は、癌患者を治療する方法に関するものであり、当該方法は、抗PARP療法を、BRCA1および/またはBRCA2に変異が存在しないことを特徴とする患者に投与することを含む。他の態様において、本発明は、癌患者を治療する方法に関するものであり、当該方法は、抗PARP療法を、DNA修復に関与する遺伝子に変異が存在しないことを特徴とする患者に投与することを含む。他の態様において、本発明は、癌患者を治療する方法に関するものであり、当該方法は、抗PARP療法を、相同組み換えに関与する遺伝子に変異が存在しないことを特徴とする患者に投与することを含む。態様において、本発明は、癌患者を治療する方法に関するものであり、当該方法は、抗PARP療法を、BRCA1またはBRCA2に突然変異が存在しないことを特徴とする癌を有する患者に投与することを含む。態様において、本発明は、癌患者を治療する方法に関するものであり、当該方法は、抗PARP療法を、相同組み換えに関与する遺伝子に変異が存在しないことを特徴とする癌を有する患者に投与することを含む。
実施形態において、抗PARP療法は、約100mg、約200mg、または約300mgのニラパリブ、またはその塩、またはその誘導体に相当する用量で投与される。ある実施形態において、抗PARP療法は、約100mgのニラパリブ、またはその塩、またはその誘導体に相当する用量で投与される。ある実施形態において、抗PARP療法は、約200mgのニラパリブ、またはその塩、またはその誘導体に相当する用量で投与される。ある実施形態において、抗PARP療法は、約300mgのニラパリブ、またはその塩、またはその誘導体に相当する用量で投与される。
一部の実施形態において、抗PARP療法は、i)対照と比較し、延長された無増悪生存期間、ii)対照と比較し、低下した疾患進行または死亡に対するハザード比、iii)対照と比較し、延長された全生存期間、またはiv)少なくとも30%の全奏効率、を達成するように決定されたレジメンにおいて投与される。
実施形態において、抗PARP療法は、PARP-1および/またはPARP-2を阻害する剤の投与を含む。一部の実施形態において、当該剤は、低分子、核酸、ポリペプチド(例えば抗体)、炭水化物、脂質、金属または毒素である。関連する実施形態において、当該剤は、ABT-767、AZD 2461、BGB-290、BGP 15、CEP 9722、E7016、E7449、フルゾパリブ(fluzoparib)、INO1001、JPI 289、MP 124、ニラパリブ(niraparib)、オラパリブ(olaparib)、ONO2231、ルカパリブ(rucaparib)、SC 101914、タラゾパリブ(talazoparib)、ベリパリブ(veliparib)、WW 46、またはそれらの塩またはそれらの誘導体である。一部の関連実施形態において、当該剤は、ニラパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、またはそれらの塩またはそれらの誘導体である。ある実施形態において、当該剤は、ニラパリブ、またはその塩またはその誘導体である。ある実施形態において、当該剤は、オラパリブ、またはその塩またはその誘導体である。ある実施形態において、当該剤は、ルカパリブ、またはその塩またはその誘導体である。ある実施形態において、当該剤は、タラゾパリブ、またはその塩またはその誘導体である。ある実施形態において、当該剤は、ベリパリブ、またはその塩またはその誘導体である。
一部の実施形態において、当該方法は、対照と比較して、無増悪生存期間を延長させる。一部の実施形態において、当該方法は、対照と比較して、疾患進行または死亡に対するハザード比を低下させる。一部の実施形態において、当該方法は、対照と比較して、全生存期間を延長させる。一部の実施形態において、当該方法は、少なくとも30%の全奏効率を達成する。一部の実施形態において、当該方法は、対照と比較して、改善された無増悪生存期間2を達成する。一部の実施形態において、当該方法は、対照と比較して、改善された化学療法完全休薬期間を達成する。一部の実施形態において、当該方法は、対照と比較して、改善された最初の後治療までの期間(time to first subsequent therapy)を達成する。一部の実施形態において、当該方法は、対照と比較して、改善された二番目の後治療までの期間(time to second subsequent therapy)を達成する。一部の実施形態において、当該方法は、FOSIおよび/またはEQ-5D-5Lにより決定された場合に、生活の質(Quality of Life)に有害な作用を及ぼさないように決定される。一部の実施形態において、当該方法は、化学療法剤(たとえば、限定されないが、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、ネダプラチン(nedaplatin)、四硝酸トリプラチン(triplatin tetranitrate)、フェナントリプラチン(phenanthriplatin)、ピコプラチン(picoplatin)またはサトラプラチン(satraplatin)などのプラチナ系製剤)を用いた後治療の有効性に影響を与えないよう決定される。
一部の実施形態において、かかる癌は、婦人科系の癌(すなわち、女性生殖器系の癌)から選択される。一部の実施形態において、女性生殖器系の癌としては、限定されないが、卵巣癌、卵管の癌、腹膜癌、および乳癌が挙げられる。一部の実施形態において、婦人科系の癌は、相同組み換え修復の異常/相同修復異常(HRD:homologous repair deficiency)および/またはBRCA1/2の変異と関連している。一部の実施形態において、婦人科系の癌は、プラチナ系感受性である。一部の実施形態において、婦人科系の癌は、プラチナ系療法に反応している。一部の実施形態において、婦人科系の癌は、プラチナ系療法に対し、耐性を発現している。一部の実施形態において、婦人科系の癌は、プラチナ系療法に対し、かつて部分奏功または完全奏功を示している。一部の実施形態において、婦人科系の癌は、プラチナ系療法に対し、現在、耐性である。
ある実施形態において、癌は、卵巣癌、卵管の癌、または腹膜癌である。ある実施形態において、癌は、乳癌である。
一部の実施形態において、癌は、再発癌である。
一つの実施形態において、ニラパリブは再発卵巣癌(卵管癌及び腹膜癌を含む)を有する患者において維持療法として投与され、この場合においてニラパリブの前記投与により、無増悪生存期間の延長がもたらされる。一つの実施形態において、ニラパリブは、再発卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する患者の維持治療を目的とした単剤療法として投与され、この場合において当該患者は、プラチナ系化学療法剤に対し反応性である。一つの実施形態において、ニラパリブは、有害な、もしくは有害な疑いのある生殖細胞系列または体細胞のBRCA変異型、または相同組換え欠陥型の再発卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する患者の維持治療を目的とした単剤療法として投与され、この場合において当該患者は、プラチナ系化学療法剤に対し反応性である。
そのような無増悪生存期間の延長は、疾患進行または死亡に対するハザード比の低下を生じさせ得る。維持療法は、疾患進行の遅延を目的とした初期治療の停止と、患者に対し忍容性の問題を呈し得る集中的な後治療の間の期間の間に投与される。別の実施形態において、再発卵巣癌を有する患者は、BRCA異常またはHRDを有するとしてさらに特徴付けられる。別の実施形態において、再発卵巣癌を有する患者は、有害である、または有害であると疑われる生殖細胞系列BRCA変異の非存在によりさらに特徴付けられる。
一つの実施形態において、ニラパリブは、複数のプラチナ系化学療法剤治療の後に完全奏功または部分奏功を有する、再発卵巣癌(卵管癌および腹膜癌を含む)を有する患者において維持療法として投与され、この場合においてニラパリブの前記投与により、無増悪生存期間の延長がもたらされる。そのような無増悪生存期間の延長は、疾患進行または死亡に対するハザード比の低下を生じさせ得る。維持療法は、疾患進行の遅延を目的とした化学療法剤の停止と、患者に対し忍容性の問題を呈し得る集中的な後治療の間の期間の間に投与される。別の実施形態において、再発卵巣癌を有する患者は、BRCA異常またはHRDを有するとしてさらに特徴付けられる。別の実施形態において、再発卵巣癌を有する患者は、有害である、または有害であると疑われる生殖細胞系列BRCA変異の非存在によりさらに特徴付けられる。
別の実施形態において、卵巣癌の高い再発率に対処する第二の方法は、フロントライン療法または維持療法設定において特異的標的剤から最も利益を得るであろう進行卵巣癌を有する患者を選択することである。したがってニラパリブは、進行卵巣癌を有する患者における治療として投与され、この場合において当該投与により、全生存期間の延長が生じ、この場合において投与は、治療として(1~4ラインの過去の治療後に継続した疾患の場合)、または維持治療として(過去の治療に対しPRまたはCRの患者の場合)のいずれかである。別の実施形態において、進行卵巣癌を有する患者は、BRCA異常またはHRDを有するとしてさらに特徴付けられる。別の実施形態において、再発卵巣癌を有する患者は、有害である、または有害であると疑われる生殖細胞系列BRCA変異の非存在によりさらに特徴付けられる。
一部の実施形態において、本発明は、再発もしくはプラチナ系感受性の卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する患者に対しニラパリブを投与する方法を提供するものであり、当該方法は、無増悪生存期間の延長を達成するよう決定されたレジメンに従いニラパリブを投与することを含む。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、たとえばニラパリブを投与されていない患者と比較して、ニラパリブを投与された患者において、より長い。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、たとえば異なるPARP阻害剤を用いた治療など、別の癌治療を受けた患者よりも、ニラパリブを投与された患者において、より長い。
一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも9か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも12か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも15か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも18か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも21か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも24か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも27か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも30か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも33か月である。一部の実施形態において、無増悪生存期間は、少なくとも36か月である。
一部の実施形態において、患者は、BRCA1および/またはBRCA2において生殖細胞系列の変異(gBRCAmut)を有する。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも9か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも12か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも15か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも18か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも21か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも24か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも27か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも30か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも33か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも36か月である。
一部の実施形態において、患者は、BRCA1および/またはBRCA2における生殖細胞系列の変異の非存在(非gBRCAmut)により特徴付けられる。一部の実施形態において、患者は、相同組換え異常(homologous recombination deficiency)状態が陽性の腫瘍を有する。一部の実施形態において、患者は、組換え異常状態が陰性である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも9か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも12か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも15か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも18か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも21か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも24か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも27か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも30か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも33か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも36か月である。
一部の実施形態において、患者は、BRCA1および/またはBRCA2における変異の非存在(BRCAwt)により特徴付けられる。一部の実施形態において、患者は、相同組換え異常(homologous recombination deficiency)状態が陽性の腫瘍を有する。一部の実施形態において、患者は、相同組換え異常状態が陰性である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも9か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも12か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも15か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも18か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも21か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも24か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも27か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも30か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも33か月である。一部の実施形態において、延長された無増悪生存期間は、少なくとも36か月である。
一部の実施形態において、本発明は、再発もしくはプラチナ系感受性の卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する患者に対しニラパリブを投与する方法を提供するものであり、当該方法は、疾患進行または死亡に対するハザード比を達成するよう決定されたレジメンに従いニラパリブを投与することを含む。一部の実施形態において、ハザード比は、たとえばニラパリブを投与されていない患者と比較して、ニラパリブを投与された患者において、改善される。一部の実施形態において、ハザード比は、たとえば異なるPARP阻害剤を用いた治療など、別の癌治療を受けた患者よりも、ニラパリブを投与された患者において、改善される。
一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.3である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.4である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.45である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.5である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.5未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.45未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.4未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.35未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.3未満である。
一部の実施形態において、患者は、BRCA1および/またはBRCA2において生殖細胞系列の変異(gBRCAmut)を有する。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.3である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.4である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.45である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.5である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.5未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.45未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.4未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.35未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.3未満である。
一部の実施形態において、患者は、BRCA1および/またはBRCA2における生殖細胞系列の変異の非存在(非gBRCAmut)により特徴付けられる。一部の実施形態において、患者は、相同組換え異常(homologous recombination deficiency)状態が陽性の腫瘍を有する。一部の実施形態において、患者は、組換え異常状態が陰性である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.3である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.4である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.45である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.5である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.5未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.45未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.4未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.35未満である。一部の実施形態において、疾患進行に対するハザード比は、約0.3未満である。
一部の実施形態において、本発明は、再発および/もしくはプラチナ系感受性の卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する患者に対しニラパリブを投与する方法を提供するものであり、当該方法は、全生存期間の延長を達成するよう決定されたレジメンに従いニラパリブを投与することを含む。一部の実施形態において、延長された全生存期間は、たとえばニラパリブを投与されていない患者と比較して、ニラパリブを投与された患者において、より長い。一部の実施形態において、延長された全生存期間は、たとえば異なるPARP阻害剤を用いた治療など、別の癌治療を受けた患者よりも、ニラパリブを投与された患者において、より長い。
一部の実施形態において、患者は、少なくとも(i)BRCA1もしくはBRCA2における生殖細胞系列の変異、または(ii)BRCA1もしくはBRCA2における散発性変異、を有する。
一部の実施形態において、患者は、高グレードの漿液性卵巣癌または高グレードの漿液性組織型優位の卵巣癌を有する。
一部の実施形態において、患者は、BRCA1またはBRCA2における生殖細胞系列の変異の非存在によりさらに特徴付けられる。
一部の実施形態において、患者は、BRCA1またはBRCA2における散発性変異の非存在によりさらに特徴付けられる。
一部の実施形態において、患者は、陰性BRCA1/2状態によりさらに特徴付けられる。一部の実施形態において、BRCA1またはBRCA2における生殖細胞系列の変異は、患者由来のサンプルで検出されない。
一部の実施形態において、無増悪生存期間を決定する目的に対する進行は、1)CT/MRIによる腫瘍評価が明白にRECIST 1.1基準に従う進行疾患を示す、および/または2)追加の診断検査(たとえば組織/細胞検査、超音波法、内視鏡検査、陽電子放出型断層撮影法)が新たな病変部位を識別する、ことにより決定される。
一部の実施形態において、患者は、相同組換え異常を有することにより特徴付けられる。一部の実施形態において、患者は、相同組換え異常状態が陽性である。相同組換え異常状態は、当分野の当業者に公知の方法に従い確立され得る。たとえば一部の実施形態において、組換え異常状態は、患者サンプルにおいて、CA指標領域(Indicator CA Regions)の数を決定することにより確立される。一部の実施形態において、CA指標領域数は、癌細胞の少なくとも二対のヒト染色体における、LOH指標領域、TAI指標領域、またはLST指標領域から選択される、少なくとも二つのタイプを含有する。一部の実施形態において、CA領域(LOH領域、TAI領域、またはLST領域のいずれか)は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100メガ塩基以上の長さであった場合、CA指標領域である(LOH指標領域、TAI指標領域、またはLST指標領域のいずれか)。一部の実施形態において、LOH指標領域は、約1.5、5、12、13、14、15、16、17メガ塩基以上(好ましくは14、15、16メガ塩基以上、より好ましくは15メガ塩基以上)よりも長いが、当該LOH領域がその内に位置する各染色体の全長よりも短いLOH領域である。あるいは、またはさらに、そのようなLOH指標領域を合わせた合計の長さが決定されてもよい。一部の実施形態において、TAI指標領域は、(a)テロメア周辺のうちの一つにまで延長し、(b)セントロメアには交差せず、および(c)1.5、5、12、13、14、15、16、17メガ塩基以上(好ましくは10、11、12メガ塩基以上、より好ましくは11メガ塩基以上)よりも長い、アレル不均衡を伴うTAI領域である。あるいは、またはさらに、そのようなTAI指標領域を合わせた合計の長さが決定されてもよい。LSTのコンセプトがすでにいくつかの最小サイズの領域を含有しているために(そのような最小サイズは、HDRが損なわれていないサンプルからHRDを識別するその能力に応じて決定される)、LST指標領域は、本明細書において使用される場合、LST領域と同一である。さらにLST領域スコアは、上述のLSTを示す領域の数から、またはLST切断点の数から誘導され得る。一部の実施形態において、LST切断点と隣接する安定コピー数領域の最短長は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20メガ塩基(好ましくは8、9、10、11メガ塩基以上、より好ましくは10メガ塩基)であり、除去されずに残っている最大領域は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4メガ塩基以下よりも小さい(好ましくは2、2.5、3、3.5、または4メガ塩基以下、より好ましくは3メガ塩基よりも小さい)。本明細書において使用される場合、前記患者由来のサンプルが多くのCA指標領域を有する場合、または参照値もしくは閾値を超えるCA領域スコア(本明細書に規定される)を有する場合、患者は、陽性HRD状態を有すると決定される。
一部の実施形態において、本発明は、ニラパリブを投与する方法を提供するものであり、当該方法は、以下の工程を含む:
以下の特徴のうちの一つ以上を有する対象集団に対し、無増悪生存期間の延長を達成するよう決定されたレジメンに従い、ニラパリブを投与すること:
BRCA変異;
陽性相同組換え異常状態;または
前治療に対する反応性の提示。
一部の実施形態において、当該対象集団は、BRCA変異を有する。一部の実施形態において、当該BRCA変異は、生殖細胞系列のBRCA変異である(gBRCAmut)。一部の実施形態において、当該BRCA変異は、体細胞(または散発性)BRCA変異である(sBRCAmut)。
一部の実施形態において、当該対象集団は、陽性相同組換え異常状態を有する。一部の実施形態において、当該対象集団は、非変異型BRCA1/2の「BRCAwt」または「BRCAwt」を示す。
腫瘍反応の測定
腫瘍反応は、たとえばRECIST v1.1ガイドラインにより測定され得る。このガイドラインは、E.A.Eisenhauer,et al.,“New response evaluation criteria in solid tumors:改訂RECISTガイドライン(バージョン1.1.)、”Eur.J.of Cancer,45:228-247(2009)により提供され、その全体で参照により組み込まれる。このガイドラインは最初に、ベースラインでの全身腫瘍組織量の概算を必要とし、これをその後の測定の比較対象として使用する。腫瘍は、たとえばCTスキャンまたはX線など、当分野に公知の任意の画像化システムの使用を介して測定され得る。測定可能な疾患は、少なくとも一か所の測定可能な病変部位の存在により規定される。プライマリーエンドポイントが腫瘍進行(進行までの時間、または固定された日付での進行の割合のいずれか)である実験において、プロトコールは、計測可能な疾患を有する患者に登録が限定されているかを明記しなければならず、または計測可能ではない疾患のみを有する患者も適格であるかどうかを明記しなければならない。
二つ以上の計測可能な病変部位がベースラインに存在している場合、全ての侵襲臓器を代表する、最大で合計五つの病変部位(および一臓器当たり最大で二つの病変部位)のすべての病変部位が、標的病変部位として特定されなければならず、および記録され、ベースラインで測定されるものとする(これは、侵襲臓器部位を患者が一つまたは二つのみ有する例において、それぞれ最大で二つおよび四つの病変部位が記録され得ることを意味する)。
標的の病変部位は、そのサイズに基づき選択されなければならず(最大直径を有する病変部位)、全ての侵襲臓器を代表するものでなければならず、その上さらに再現性のある反復測定がそれ自体でできるものでなければならない。
リンパ節は、正常な解剖学的構造であるときから特記事項に値し、腫瘍に侵襲されていなくとも、画像化により可視化してもよい。計測可能として規定され、標的病変部位として特定され得る病的なリンパ節は、CTスキャンによりP15mmの短軸の基準に合致しなければならない。これらリンパ節の短軸のみが、ベースライン総計に寄与するであろう。リンパ節の短軸は、放射線科医師により、リンパ節が固形腫瘍に侵されているか否かを判定するために通常に使用される直径である。リンパ節のサイズは通常、画像が取得された平面の二つの直径として報告される(CTスキャンに関しては、これはほぼ必ず軸平面である。MRIに関しては、取得平面は、軸方向、矢状方向、または冠状面であってもよい)。これら測定値のより小さいほうが、短軸である。
たとえば、20mm・30mmであるとして報告された腹部リンパ節は、20mmの短軸を有し、悪性の計測可能なリンパ節とみなされる。この例において、20mmがリンパ節測定値として記録されなければならない。他のすべての病的リンパ節(P10mmであるが、<15mmの短軸を伴うリンパ節)は、非標的病変部位とみなされなければならない。<10mmの短軸を有するリンパ節は、非病的とみなされ、記録またな追跡されてはならない。
全ての標的病変部位に対する直径(非リンパ節病変部位に対しては最も長い直径、リンパ節病変部位に対しては短軸)の合計が算出され、ベースラインの直径の総計として報告されるであろう。リンパ節が総計に含まれる場合、上述のように、短軸のみが総計に加えられる。ベースラインの直径の総計は、計測可能な疾患部位の寸法において、任意の客観的な腫瘍退縮をさらに特徴解析するための参照として使用される。
病的リンパ節を含む他のすべての病変部位(または疾患部位)は、非標的病変部位として識別されなければならず、およびベースラインで記録もされなければならない。測定値は必要とされず、これらの病変部位は、「存在」、「非存在」または稀な場合で「明白な進行」として追跡されなければならない。さらに、同じ臓器を含む複数の非標的病変部位を、症例記録形態上の単項目として記録することも可能である(たとえば、「複数の肥大した骨盤リンパ節」または「複数の肝転移」など)。
一般プロトコール
本明細書に記載される場合、提供される方法は、以下のうちのいずれか一つ、または以下のいずれか組み合わせを実現するレジメンに従い、患者、対象、または対象集団にニラパリブを投与することを含む:無増悪生存期間の延長;疾患進行または死亡に対するハザード比の低下;および/または全生存期間の延長もしくは前向きな全奏効率。一部の実施形態において、ニラパリブは、たとえば化学療法剤(たとえばプラチナ系の剤)などの追加の治療剤と同時に、または連続して投与される。一部の実施形態において、ニラパリブは、化学療法剤の投与の前、投与中、または投与の後に投与される。
追加の治療剤(たとえば化学療法剤)とニラパリブの同時投与、または連続投与は、、「併用療法」と呼称される。併用療法において、ニラパリブは、その必要のある対象に対し、化学療法剤の投与の前(たとえば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週、または12週前)、化学療法剤の投与と同時、または化学療法剤の投与の後(たとえば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、3週、4週、5週、6週、8週、または12週後)に投与されてもよい。一部の実施形態において、ニラパリブと化学療法剤は、1分あけて、10分あけて、30分あけて、1時間未満あけて、1時間~2時間あけて、2時間~3時間あけて、3時間~4時間あけて、4時間~5時間あけて、5時間~6時間あけて、6時間~7時間あけて、7時間~8時間あけて、8時間~9時間あけて、9時間~10時間あけて、10時間~11時間あけて、11時間~12時間あけて、24時間以下あけて、または48時間以下あけて投与される。
一部の実施形態において、ニラパリブは、前治療に対する反応を示した患者、または対象集団に投与される。一部の実施形態において、患者または対象集団は、化学療法剤を用いた前治療に対し反応を示した。一部のかかる実施形態において、化学療法剤は、プラチナ系製剤である。
一部の実施形態において、ニラパリブは、少なくとも一つのプラチナ系治療に対する完全奏功後または部分奏功後の維持療法として投与される。一部の実施形態において、少なくとも一つのプラチナ系治療は、その必要のある患者に対し、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンから選択されるプラチナ系剤を投与することを含む。一部の実施形態において、最も直近のプラチナ系化学療法に対する反応は、完全奏功である。一部の実施形態において、最も直近のプラチナ系化学療法に対する反応は、部分奏功である。
一部の実施形態において、レジメンは、少なくとも一回のニラパリブの経口用量を含む。一部の実施形態において、レジメンは、複数回の経口投与を含む。一部の実施形態において、レジメンは、一日一回(QD)の投与を含む。
一部の実施形態において、レジメンは、少なくとも一回の28日サイクルを含む。一部の実施形態において、レジメンは、複数回の28日サイクルを含む。一部の実施形態において、レジメンは、一回の28日サイクルを含む。一部の実施形態において、レジメンは、二回の28日サイクルを含む。一部の実施形態において、レジメンは、三回の28日サイクルを含む。一部の実施形態において、レジメンは、連続的な28日サイクルを含む。一部の実施形態において、レジメンは、疾患進行が発生するまで、または受容できない毒性が発生するまで、毎日有効用量のニラパリブを投与することを含む。一部の実施形態において、レジメンは、疾患進行が発生するまで、または受容できない毒性が発生するまで、一日当たりの用量少なくとも100、200または300mgのニラパリブを毎日投与することを含む。
一部の実施形態において、経口用量は、約5~約400mgの範囲内の量のニラパリブである。一部の実施形態において、ニラパリブの量は、約5、約10、約25、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、または約400mgである。一部の実施形態において、ニラパリブの量は、約300mgのニラパリブである。一部の実施形態において、レジメンは、一日に一回、300mgのニラパリブの投与を含む。
一部の実施形態において、経口用量は、一個以上の単位剤型で投与される。一部の実施形態において、当該一個以上の単位剤型は、カプセルである。一部の実施形態において、各単位剤型は、約5、約10、約25、約50、または約100mgのニラパリブを含む。任意の組み合わせの単位剤型を合わせて、一日一回(QD)の用量を形成し得ることを理解されたい。たとえば三個の100mg単位剤型を一日に一回摂取すると、300mgのニラパリブが一日に一回投与される。一部の実施形態において、ニラパリブは、300mgの単回単位剤型として投与される。一部の実施形態において、ニラパリブは、300mgQDを投与される。一部の実施形態において、ニラパリブは、3x100mgQDとして投与される(すなわちニラパリブは三個の100mgの単位剤型として投与される)。一部の実施形態において、ニラパリブは、2x150mgQDとして投与される(すなわちニラパリブは二個の150mgの単位剤型として投与される)。
薬物動態
薬物動態データは、当分野に公知の技術により取得することができる。ヒト対象における薬物代謝の薬物動態パラメーターおよび薬力学的パラメーターに固有の変動に起因して、特定の組成を記載する適切な薬物動態および薬力学的プロファイル要素は変化し得る。典型的には、薬物動態および薬力学的プロファイルは、対象群の平均パラメーターの決定に基づいている。対象群は、たとえば5対象、10対象、16対象、20対象、25対象、30対象、35対象、またはそれ以上など、代表平均の決定に適した任意の合理的な対象数を含む。平均は、測定された各パラメーターに対するすべての対象の測定値の平均を算出することにより決定される。
一部の実施形態において、薬物動態パラメーターは、本発明組成物を記載するのに適した任意のパラメーターであってもよい。たとえば一部の実施形態において、Cmaxは、約500ng/ml以上、約550ng/ml以上、約600ng/ml以上、約700ng/ml以上、約800ng/ml以上、約880ng/ml、約900ng/ml以上、約100ng/ml以上、約1250ng/ml以上、約1500ng/ml以上、約1700ng/ml以上であり、またはニラパリブの薬物動態プロファイルの記載に適した任意の他のCmaxである。
対象への薬剤の投与後にin vivoで活性代謝物が形成される一部の実施形態の場合において、Cmaxは、約500pg/ml以上、約550pg/ml以上、約600pg/ml以上、約700pg/ml以上、約800pg/ml以上、約880 pg/ml以上、約900pg/ml以上、約1000pg/ml以上、約1250pg/ml以上、約1500 pg/ml以上、約1700pg/ml以上であり、または対象へのニラパリブの投与後にin vivoで形成された化合物の薬物動態プロファイルの記載に適した任意の他のCmaxである。
一部の実施形態において、Tmaxはたとえば、約0.5時間以下、約1.0時間以下、約1.5時間以下、約2.0時間以下、約2.5時間以下、または約3.0時間以下であり、またはニラパリブの薬物動態プロファイルの記載に適した任意の他のTmaxである。
概して、本明細書に記載されるAUCは、用量の治療剤の投与後、選択された期間にわたる分析物の濃度に相当する曲線の下の面積の大きさである。一部の実施形態において、かかる期間は、用量の投与時に開始し(すなわち用量の投与の0時間後)、そして用量の投与後、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約30時間、約40時間、またはそれ以上の時間にわたる。一部の実施形態において、AUCは、本明細書に記載される用量の投与後、0時間~12時間で得られたAUCである。一部の実施形態において、AUCは、本明細書に記載される用量の投与後、0時間~18時間で得られたAUCである。一部の実施形態において、AUCは、本明細書に記載される用量の投与後、0時間~24時間で得られたAUCである。一部の実施形態において、AUCは、本明細書に記載される用量の投与後、0時間~36時間で得られたAUCである。
AUC(0-inf)はたとえば、約590ng・時/mL以上、約1500ng・時/mL以上、約2000ng・時/mL以上、約3000ng.時間.時/ml以上、約3500ng・時/mL以上、約4000ng・時/mL以上、約5000ng・時/mL以上、約6000ng・時/mL以上、約7000ng・時/mL以上、約8000ng・時/mL以上、約9000 ng・hr/mL以上であってもよく、または治療剤(たとえばニラパリブ)の薬物動態プロファイルの記載に適した任意の他のAUCco-int)であってもよい。対象への治療剤(たとえばニラパリブ)の投与後にin vivoで活性代謝物が形成される一部の実施形態の場合において、AUC(0-inf)は、たとえば約590pg・hr/mL以上、約1500pg・hr/mL以上、約2000pg・hr/mL以上、約3000pg・hr/mL以上、約3500pg・hr/mL以上、約4000pg・hr/mL以上、約5000pg・hr/mL以上、約6000pg・hr/mL以上、約7000pg・hr/mL以上、約8000pg・hr/mL以上、約9000 pg・hr/mL以上であってもよく、または対象へのニラパリブの投与後にin vivo で形成された化合物の薬物動態プロファイルの記載に適した任意の他のAUC(0-inf)であってもよい。
投与後、約1時間のニラパリブの血漿濃度は、たとえば約140ng/ml以上、約425ng/ml以上、約550ng/ml以上、約640ng/ml以上、約720ng/ml以上、約750ng/ml以上、約800ng/ml以上、約900ng/ml以上、約1000ng/ml以上、約1200ng/ml以上であってもよく、または任意の他のニラパリブ血漿濃度であってもよい。
一部の実施形態において、患者集団は、転移性疾患に罹患する一人以上の対象(対象集団)を含む。
一部の実施形態において、患者集団は、癌に罹患している、または癌に罹り易い一人以上の対象を含む。一部のかかる実施形態において、癌は、卵巣癌、卵管の癌、腹膜癌、または乳癌である。一部の実施形態において、患者集団は、癌に罹患している一つ以上の対象を含む(たとえば対象を含有する、または対象からなる)。たとえば一部の実施形態において、癌に罹患する患者集団は従前に、たとえばプラチナ系剤などの化学療法剤を用いた治療など、化学療法剤を用いて治療されていてもよい。
一部の実施形態において、本開示は、摂食状態または絶食状態の患者に投与されたときでも驚くべきことに、実質的に同一のニラパリブのPKプロファイルを達成し得る技法を提供する。ニラパリブは、絶食状態または摂食状態のいずれかの状態にある患者に投与され得る。具体的には、驚くべきことにニラパリブの生体利用効率は、摂食状態または絶食状態のいずれかの状態でニラパリブを投与された患者で実質的に類似していることが判明した。一部の実施形態において、摂食状態または絶食状態の患者にニラパリブを投与することで、実質的に生物学的に同等なニラパリブ血漿Cmax値がもたらされる。一部の実施形態において、摂食状態または絶食状態の患者に投与することで、生物学的に同等なニラパリブ血漿Tmax値がもたらされる。一部の実施形態において、摂食状態または絶食状態の患者に投与することで、生物学的に同等なニラパリブ血漿AUC値がもたらされる。したがって一部の実施形態において、ニラパリブは、摂食状態または絶食状態のいずれかで投与される。一部の実施形態において、ニラパリブは、絶食状態で投与される。別の実施形態において、ニラパリブは、摂食状態で投与される。
一部の実施形態において、ニラパリブの単位用量は、絶食状態の患者に投与されてもよい。一部の実施形態において、ニラパリブの単位用量は、摂食状態の患者に投与されてもよい。一部の実施形態において、摂食状態または絶食状態のうちの一つにおける投与は除外される。一部の実施形態において、単位用量は、摂食状態または絶食状態のいずれでも治療目的で投与されてもよく、対象は、食物とともに、または食物無しで摂取するか否かに関し、各個別投与に対する任意選択を有する。一部の実施形態において、ニラパリブの単位用量は、食物摂取の直前(すなわち、食物摂取前の30分以内または60分以内)、食物とともに、食物摂取の直後(たとえば食物摂取後30分以内、60分以内、または120分以内)に投与されてもよい。一部の実施形態において、たとえば食物摂取後、少なくとも2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、またはそれ以上の時間で投与されてもよく、またはその間の任意の時間で投与されてもよい。一部の実施形態において、ニラパリブの単位用量は、一晩の絶食後に投与される。一部の実施形態において、組成物の単位用量は、食物摂取の30分前、食物摂取の1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間、またはそれ以上前の時間で投与されてもよく、またはその間の任意の時間で投与されてもよい。
以下の実施例は解説のために提供されるものであり、請求される発明を限定するものではない。
実施例1.プラチナ系感受性卵巣癌の治療
NOVAにおいて、プラチナ系治療後、奏功状態であったプラチナ系感受性再発卵巣癌患者をプロスペクティブに無作為化して、ニラパリブまたはプラセボのいずれかを投与した。二つのコホートが治療された:生殖細胞系列のBRCA変異陽性コホート(gBRCAmut)と、非生殖細胞系列のBRCAコホート(非gBRCAmut)。ゆえにNOVAのgBRCAmutコホートは、プラチナ系治療後に奏功状態であったプラチナ系感受性再発卵巣癌患者において、プラセボとニラパリブの治療効果をプロスペクティブに検証するよう設計された。このコホートの患者は、FDAの承認を受けたIntegrated BRACAnalysis検査により評価され、生殖細胞系列のBRCA変異のキャリアであった。非gBRCAmutの患者は、FDAの承認を受けたIntegrated BRACAnalysis検査において陰性であった。
二重盲検、2:1無作為化、再発および/またはプラチナ系感受性卵巣癌の患者における維持療法としてのニラパリブ評価試験であり、当該患者は、gBRCAmut、または高グレードの漿液性組織構造を有する腫瘍のいずれかを有していた。本試験はニラパリブを用いた維持治療とプラセボを比較したものであり、再発卵巣癌を有する患者における維持療法としてのニラパリブの有効性を評価しており、無増悪生存期間(PFS)の延長により評価された。本目的は、生殖細胞系列のBRCA変異(gBRCAmutを有する患者コホート、および高グレードの漿液性組織構造または高グレードの漿液性優位の組織構造を有するが、当該gBRCA変異は有さない(非gBRCAmut)患者コホートにおいて独立して評価された。非gBRCAmutコホートの一部の患者は、特有のDNA修復欠損をgBRCAmutキャリアと共有することが報告され、この現象は「BRCAness」として広く記載されている。(Turner,N.,A.Tutt,and A.Ashworth,Hallmarks of ’BRCAness’ in sporadic cancers.Nat.Rev.Cancer 4(10),814-9,(2004)を参照)。近年の研究により、上皮性卵巣癌(EOC)における相同組換え異常(HRD)は、単に生殖細胞系列のBRCA1とBRCA2の変異によるものではないことが提唱されている。(Hennessy,B.T.et al.Somatic mutations in BRCA1 and BRCA2 could expand the number of patients that benefit from poly(ADP ribose)polymerase inhibitors in ovarian cancer.Journal of clinical oncology:official journal of the American Society of Clinical Oncology 28,3570-3576,(2010);TCGA ”Integrated genomic analyses of ovarian carcinoma.” Nature 474(7353),609-615,(2011);およびDann RB,DeLoia JA,Timms KM,Zorn KK,Potter J,Flake DD 2nd,Lanchbury JS,Krivak TC.BRCA 1/2 mutations and expression:Response to platinum chemotherapy in patients with advanced stage epithelial ovarian cancer.Gynecol Oncol.125(3),677-82,(2012)を参照)。相同組換えDNA修復遺伝子における非BRCA異常もまた、PARP阻害剤に対する腫瘍細胞の感受性を高め得る。したがってHRDは腫瘍バイオマーカー分類として使用され、評価される。
本試験に登録された患者は、少なくとも二回、プラチナ系レジメンを受けており、最後のレジメンに対し奏功し(完全または部分)、そして最後の治療後、計測可能な2cmを越える疾患部分はなく、正常な癌抗原CA125(または90%を越える減少)を有していた。患者は二つの独立したコホートのうちの一つに割り当てられた。以下の基準に従い、一つは有害なgBRCA変異(gBRCA
mut)を有するコホート、もう一つは高グレードの漿液性組織構造を有するが、当該gBRCA変異は有さないコホート(非gBRCA
mut)である:
患者はHRD状態に関しても評価され、HRD陽性(HRDpos)またはHRD陰性(HRDneg)としてさらに分類された。
試験治療は1日目、およびその後、患者が試験治療を中止するまで、各サイクル(28日)で患者に行われた。試験治療は、継続的に一日一回経口投与された。100mg濃度の三個のカプセルが、各用量の投与時に摂取された。来院は各サイクルで行われた(4週±3日ごと)。腹部/骨盤および臨床的に指定された領域のコンピューター断層撮影法(CT)または磁気共鳴映像法(MRI)のスキャンを介した、固形腫瘍の治療効果判定のためのガイドライン(RECIST:Response evaluation criteria in solid tumors)の腫瘍評価が、サイクル14までは、2サイクル(来院日から±7日の来院許容期間を伴う8週)ごとの最後に、その後、進行するまでは3サイクル(来院日から±7日の来院許容期間を伴う12週)ごとの最後に必要とされた。
患者は、無増悪生存期間(PFS)の延長により分析された。より具体的には、以下の基準のうちの少なくとも一つが合致する場合、進行と決定された:1)CT/MRIによる腫瘍評価が明白にRECIST 1.1基準に従う進行疾患を示す、2)追加の診断検査(たとえば組織/細胞検査、超音波法、内視鏡検査、陽電子放出型断層撮影法)が新たな病変部位を識別する、または既存の病変部位が、明白な進行疾患と、Gynecologic Cancer Intergroup(GCIG)-基準(Rustin et al.,Int J Gynecol Cancer 2011;21:419-423を参照のこと)に従うCA-125の進行に当てはまると決定する、3)非悪性または医原性の原因に関連性が無い、PDの決定的な臨床兆候と症状([i]難治性の癌関連疼痛、[ii]悪性の腸の閉塞/悪化する機能障害、または[iii]腹水または胸水の明白な症候性の悪化、およびGCIG-基準に従うCA-125進行。腹部/骨盤および臨床的に指定された領域のコンピューター断層撮影法(CT)または磁気共鳴映像法(MRI)のスキャンを介した腫瘍評価のために、固形腫瘍の治療効果判定のためのガイドライン(RECIST:Response evaluation criteria in solid tumors)が使用された。この評価は、サイクル14(56週)までは、2サイクル(8週)ごとの最後に、その後、進行するまでは3サイクル(12週)ごとの最後に必要とされた。
患者は、疾患が進行するまで、許容できない毒性があるまで、死亡するまで、または同意を取り下げるまで、および/または追跡ロストするまで、自身に割り当てられた治療を受け続けた。投与中断および/または用量の低下は、患者にとって非忍容性であるとみなされた任意のグレードの毒性があったときにいつでも行われた。
結果
ニラパリブは、HRD状態に関わりなく、生殖細胞系列のBRCA変異キャリアである(gBRCAmut)患者の間で、生殖細胞系列のBRCA変異キャリアではない(非gBRCAmut)が、相同組換え異常(HRD)な腫瘍を有する患者の間で、および非gBRCAmutである患者において全体的に、対照と比較してPFSを有意に延長させた。非gBRCAmutコホートの全集団も、HRD陰性の腫瘍を有する患者を含んでいた。分析から、HRD陰性集団も、ニラパリブ治療から利益を得たことが示された。gBRCA状態とHRD状態の決定は、たとえばMyriad myChoice(登録商標)HRD検査などの標準化された実験検査により為される決定を含んでもよく、また関連規制当局により承認された検査を含んでもよい。
全ての集団に対し、メジアンPFSは、プラセボを投与された患者よりもニラパリブを投与された患者で有意に長かった。非gBRCAmutコホートの主要有効性集団の両方(HRD陽性および全体)が、プラセボと比較して、ニラパリブの有意な治療効果を示した(それぞれHR 0.38とHR 0.45、HR=ハザード比)。全集団が、カプランマイヤー曲線により明らかであるように、一貫性があり、長期的なニラパリブの治療効果を示した(図1~4を参照)。重要なことは、同一の一貫性のある長期的なニラパリブ治療の利益が、このコホート内で検証されたすべての探索的亜群において観察されたことである。非gBRCAmutコホートにおいて、HRD陽性群は、体細胞腫瘍BRCA変異を有する患者(HRDpos/sBRCAmut)と、BRCAが野生型の患者(HRDpos/BRCAwt)を含んだ。重要なことは、HRD陽性群内で観察された治療利益は、単にHRDpos/sBRCAmut亜群における効果により導かれたものではなかったということである。HRDpos/BRCAwt亜群も、HRD陽性群全体と比較してニラパリブ治療から一貫性のある長期的な利益を得た。ハザード比は、0.38であった(図6)。
生殖細胞系列のBRCA変異キャリア(gBRCAmut)である患者の間で、ニラパリブ群は、プライマリーエンドポイントのPFSに関し、対照群を越える統計的有意差を達成することに成功した。ハザード比は0.27であった。ニラパリブで治療された患者のメジアンPFSは21.0カ月であり、対照の5.5カ月と比較した(p<0.0001)。図1は、ニラパリブとプラセボで治療されたgBRCAmut患者に対するPFS曲線を示す。これらの結果は、試験デザインにおいてNOVAに類似し、類似した患者集団においてPARP阻害剤のオラパリブの活性とプラセボを評価した「試験19」(N Engl J Med.2012;366(15):1382-1392)の結果よりもはるかに優れたものであった。試験19は、BRCA変異を有する患者のオラパリブ群と対照群において、11.2カ月と4.3カ月のメジアンPFSを報告した。生殖細胞系列のBRCA変異キャリアではない(非gBRCAmut)が、Myriad myChoice(登録商標)HRD検査を使用して腫瘍がHRD陽性であると決定された患者に対し、ニラパリブ群は、プライマリーエンドポイントのPFSに関し、対照群を越える統計的有意差を達成することに成功した。ハザード比は0.38であった。ニラパリブで治療されたHRD陽性腫瘍を有する患者のメジアンPFSは12.9カ月であり、対照の3.8カ月と比較した(p<0.0001)。図2は、ニラパリブおよびプラセボで治療された非gBRCAmut/HRD陽性患者に対するPFS曲線を示す。
ニラパリブは、HRD陽性腫瘍とHRD陰性腫瘍の患者の両方を含む、非生殖細胞系列のBRCA変異コホート全体(非gBRCAmut)においても統計的有意差を示した。ニラパリブ群は、プライマリーエンドポイントのPFSに関し、対照群を越える統計的有意差を実現することに成功した。ハザード比は0.45であった。ニラパリブで治療された患者のメジアンPFSは9.3カ月であり、対照の3.9カ月と比較した(p<0.0001)。図3は、ニラパリブおよびプラセボで治療された非gBRCAmut患者(HRD陽性およびHRD陰性の患者の両方を含む)に対するPFS曲線を示す。
ニラパリブは、HRD陰性腫瘍を有する、非生殖細胞系列のBRCA変異(非gBRCAmut)の患者においても、統計的有意差を示した。ニラパリブ群は、プライマリーエンドポイントのPFSに関し、対照群を越える統計的有意差を実現することに成功した。ハザード比は0.58であった。ニラパリブで治療された患者のメジアンPFSは6.9カ月であり、対照の3.8カ月と比較した(p<0.0226)。HRD陰性腫瘍を有する、非生殖細胞系列のBRCA変異(非gBRCAmut)の患者のPFSを、図4に示す。
混合試験集団(2コホート混合、gBRCAmutと非gBRCAmut)を検討する探索的統合分析において、PFSはプラセボよりもニラパリブで長かった。ニラパリブで治療された全患者のメジアンPFSは、プラセボ治療患者の4.7カ月と比較して、11.3カ月であり、HR 0.38、95% CI、0.303、0.488、p<0.0001であった(図5)。さらにgBRCAmutおよび非gBRCAmutのコホート、非gBRCAmutコホート内の亜群、および混合コホートの分析からのカプランマイヤー(KM)曲線で観察されるように、治療効果は実質的で長期にわたり、そして一貫性があった。
様々な患者コホートの無増悪生存期間の要約を、以下の表1~表3に提示する。「NR」は、「未到達」を意味する。「95% CI」とは、95%信頼区間を意味する。非gBRCA
mutコホートにおけるバイオマーカー関連亜群の探索的分析が実施された。分析された亜群は、HRDpos/体細胞BRCA
mut、HRDpos/BRCA
wt、およびHRDnegであった。
表1:無増悪生存期間(主要)
表2:無増悪生存期間、非‐gBRCA
表3:NOVA患者集団における、ニラパリブとプラセボの治療効果
ニラパリブで治療されたすべての患者の間で最も普遍的(>10%)な、治療中に発生したグレード3/4の有害事象は、血小板減少症(28.3%)、貧血(24.8%)および好中球減少症(11.2%)であった。有害事象は、すべての患者の間で、用量の調整をにより管理された。MDS/AMLの割合は、ニラパリブ群(1.3%)および対照群(1.2%)であり、ITT集団において類似していた。試験治療中、死亡した患者はいなかった。
本試験において、非gBRCAmutコホートの主要有効性集団の両方(HRD陽性および全体)が、プラセボと比較して、有意なニラパリブ治療効果を示した(それぞれHR 0.38とHR 0.45;表3)。両方の集団が、カプランマイヤー曲線により明らかであるように、一貫性があり、長期的なニラパリブの治療効果を示した。このコホート内で検証されたすべての探索的亜群においても、これと同一の一貫性のある長期的なニラパリブ治療利益が観察された。
非gBRCAmutコホートにおいて、HRD陽性群は、体細胞腫瘍BRCA変異を有する患者(HRDpos/sBRCAmut)と、BRCAが野生型の患者(HRDpos/BRCAwt)を含んだ。HRD陽性群内で観察された治療利益は、単にHRDpos/sBRCAmut亜群における効果により導かれたものではなかった。HRDpos/BRCAwt亜群も、HRD陽性群全体と比較してニラパリブ治療から一貫性のある長期的な利益を得た。ハザード比は、0.38であった(図6)。
注記すべきは、gBRCAmutコホートで観察されたHR(0.27)は、HRDpos/sBRCAmut亜群で観察されたHRと同一であり、このことから、コホート全体にわたり、および類似した腫瘍生物学的基盤を有する二つの独立した患者集団において、一貫性のあるニラパリブ治療効果が示される(図7)。
ハザード比のすべての推定値が1未満であり、このことから、gBRCAmutコホート(図12A)、非gBRCAmutコホートPのHRD陽性群(図12B)、および全非gBRCAmutコホート(図12C)に関し、ニラパリブを投与された患者の無増悪生存期間の延長が示唆される。
非gBRCAmutコホート内の亜群分析
上述のように、非gBRCAmutコホートは、以下の3群の患者を含む:HRD陽性患者、HRD陰性患者、および腫瘍のHRD状態が決定できなかった患者(HRDnd)。さらにHRD陽性群は、2つの追加的な亜群を含んでいる。体細胞BRCA変異腫瘍を有する女性(sBRCAmut)と、HR経路における非BRCA関連欠損に起因するHRD陽性腫瘍を有する女性(HRDpos/BRCAwt)である。
非gBRCAmutコホートのHRD陽性群内において、47名の患者がsBRCAmut腫瘍を有し、115名がBRCAwt腫瘍を有していた。これら2亜群の患者に対するPFS分析の結果を、図7および図6に提示する。
HRDpos/sBRCAmutを有する患者の間で、ニラパリブ群におけるメジアンPFSは20.9カ月(95%CI:9.7,NE)であり、それに対しプラセボ群では11.0カ月(95%CI:2.0,NE)であった(11.0カ月)。HRは、0.27(95% CI:0.081,0.903)であった(p=0.0248)。(図7を参照)。sBRCAmut亜群においてHRが0.27であったことから、gBRCAmutコホートにおいて観察された0.27のHRが裏付けられる。
HRDpos/BRCAwtを有する患者において、ニラパリブ群におけるメジアンPFSは9.3カ月(95%CI:5.8,15.4)であり、それに対しプラセボ群では3.7カ月(95%CI:3.3,5.6)であった。HRは0.38(95% CI:0.231,0.628)(p=0.0001)であったことから、sBRCA変異が存在しなくても、HRD患者に対する安定した治療効果が示される。(図6を参照のこと)。
非gBRCAmutコホートの全集団にも、HRD陰性の腫瘍を有する患者が含まれており、探索的分析から、この集団もニラパリブ治療から利益を得ていたことが示された(HR 0.58)。カプランマイヤー曲線(図4)において、低度ではあるが、プラセボに対し、ニラパリブの一貫性のある長期的な効果が示されている。ニラパリブ効果の影響と永続性は、PFS利益の評価に重要である。たとえば12カ月での無増悪期間が残存する確率は、プラセボ群7%に対し、ニラパリブ群で27%であった。18カ月で、プラセボ治療患者に対し、ニラパリブ治療患者は二倍超もが無増生存期間であると推定された(7%に対し、19%;表3)。再発卵巣癌患者のこれら20~25%に対する利益は、癌治療において重要であり、驚くべき進展である。
投与中断および/または用量の低下は、患者にとって非忍容性であるとみなされた任意のグレードの毒性があったときにいつでも行うことができた。NCI CTCAE v.4.02によるグレード3または4の非血液性AEのいずれかに対し、当該事象が試験薬剤の投与に関連すると臨床治験医師がみなした場合、治療が中断される必要があった。毒性が28日以内にベースラインまたはグレード1以下にまで適切に消散された場合、患者は試験薬剤を用いた治療を再スタートさせることができるが、予防が実現可能とみなされない場合には表4に従い用量レベルを低下させた。当該事象が同じ、またはさらに悪化したグレードで再発した場合、患者の治療は再度中断された。事象が消散しても、さらなる用量の低下が必要とされた。すべての患者に対し、2回までの用量低下が許可された。
表4:非血液性毒性に対する用量低下
投与中断を必要とする毒性が、最大で28日の投与中断期間の間に完全に、またはNCI CTCAEのグレード1以下にまでは消散しなかった場合、および/または最大2回の用量低下(100mg QDの最小用量まで)が当該患者にすでに行われていた場合、当該患者は、試験薬剤を用いた治療を永続的に中止する必要があった。
本試験の間、治療中の死亡は報告されなかった。ニラパリブを投与されたすべての患者、およびプラセボを投与された患者の96%を含む、両治療群のほとんどの患者が、少なくとも1つのTEAEを経験した。プラセボ群においてもTEAEが高率であったことから、従前の化学療法と、患者に内在する卵巣癌の長引いた影響が示唆される。
全体として、治療関連性TEAEの発生率は、ニラパリブ群で98%、プラセボ群で71%であった。プラセボを投与された患者において治療関連性TEAEが高率であったことから、事象が試験治療に関連したと考えることは難しく、この集団での安全性の評価にプラセボ群を含む事の重要性が確認される。
ニラパリブ治療患者とプラセボ治療患者において、TEAEの発生率は以下であった:CTCAE Gradeが3以上のTEAE、74%と23%;SAE、30%と15%;治療中断につながるTEAE、69%と5%;用量低下につながるTEAE、67%と15%;および治療中止につながるTEAE、15%と2%。ニラパリブ群で最も高い頻度で報告されたTEAEは、ニラパリブおよび他のPARP阻害剤の公知の安全性プロファイルと一致していた。普遍的なTEAEの大部分は、プラセボ群よりもニラパリブ群において、高い発生率で報告された。腹部の疼痛と膨張、ならびに背痛、関節痛および筋肉痛を含む他の疼痛関連症状を含む、疾患関連性症状は除く。
グレード3または4のTEAEは頻繁であったが、治療期間中のこれらの事象の頻度の低下には用量の調整が有効であった。経時的な血小板減少症の発生率は、用量調整の有効性の例である。図8は、全ニラパリブ治療集団に対する経時的な平均血小板数を示す。血小板数は最初のサイクルの間、毎週集められた。最初の四つの時点としては、C1D1、C1D8、C1D15およびC1D21が挙げられる。その後の時点は、すべての残りのサイクルの1日目であった。平均血小板数は15日までにかなり減少した。しかしこの時点の後、血小板数は増加し続け、大体サイクル4までにほぼベースラインまで戻った。
重要なことは、低用量レベルに調節された患者において、有効性が損なわれていなかったことである。ニラパリブ有効性に対して、用量低下が与える可能性を評価するために、各患者の最後の規定用量と、最も長い間投与された用量に基づいたPFSの分析が行われた。これらの分析に対し、少なくとも1つのニラパリブ用量を投与された患者のみが含まれたことに注意されたい。最長期間に基づいたニラパリブ用量のKM分析の結果を図9に提示する。
最長期間の最も普遍的な用量は、gBRCAmut(136名中、74名、54%)および非gBRCAmut(231名中、107名、46%)の両方のコホートにおいて200mgであった。gBRCAmutコホートおよび非gBRCAmutコホートのそれぞれ25名(18%)および73名(32%)において、最長期間の用量は300mgであった。そしてそれぞれ37名(27%)および51名(22%)の最長期間の用量は100mgであった。
図9および図10はそれぞれ、gBRCAmutコホートおよび非gBRCAmutコホートに対する最長期間のニラパリブ用量によるPFSのKMプロットを示す。示されるように、3用量すべてのPFSが、全集団で一致していたことから、用量低下を必要とした患者は、300mgの開始用量を維持した患者と比較し、有効性が低下しなかったことを示す。
ニラパリブの副次的有効性分析
有効性のセカンダリーエンドポイントは、最初の後治療までの時間(TFST:time to first subsequent treatment)、二番目の後治療までの時間(TSST:time to second subsequent treatment)、無増悪生存期間2(PFS2)、化学療法完全休薬期間(CFI:chemotherapy-free interval)、および全生存期間(OS)を含む。評価された有効性のセカンダリーエンドポイントの大部分にわたり、ニラパリブはプラセボよりも有効性が高かった(図11)。たとえばPFS2、OSおよびCFIなどのセカンダリーエンドポイントは、層別化ログ‐ランク検定を使用して分析された。層別化コックス比例ハザードモデルを使用して、治療HRと、その95% CIを推定した。ニラパリブを用いた維持治療は、両方のコホートの患者に対し、化学療法完全休薬期間および最初の後治療までの時間を有意に改善した。プラセボを投与された患者は、バイオマーカーの状態にかかわらず、ニラパリブで治療された患者よりも早く後治療を開始する必要があった(図11、13および14)。無増悪生存期間2は、両方のコホートに関し、ニラパリブを投与された患者が有意に長かった。gBRCAmutコホートの患者に関し、無増悪生存期間2は、プラセボ群の19.5カ月と比較して、ニラパリブ群において25.8カ月であった(ハザード比、0.48;95% CI,0.280~0.821;P=0.0062)全非gBRCAmutコホートにおいて、メジアンPFS2は、プラセボの15カ月と比較して、ニラパリブは18.64カ月であった;ハザード比、0.649;95% CI 0.494,0.964;P=0.0293)。二番目の後治療までの時間もセカンダリーエンドポイントであったが、データカットオフの時点で、二番目の治療を受けた患者が少なすぎたため、この分析を実施することができなかった(gBRCAmutコホートにおいて、ニラパリブは34/138、プラセボは26/65、そして非gBRCAmutコホートにおいて、ニラパリブは90/234、プラセボは53/116であった)。
次のライン治療の有効性に関する、混合試験集団(2コホート混合したgBRCAmutと非gBRCAmut)を検討する統合分析 PFS2-PFS1は、ニラパリブ治療患者とプラセボ治療患者で類似していた。(図15を参照のこと)。
gBRCA
mut、非gBRCA
mut、および混合患者コホートの副次的有効性分析の要約を以下の表5に提示する。「HR」はハザード比を示し、「95% CI」は95%信頼区間を意味する。
表5‐副次的有効性分析‐gBRCA
mutコホート、非gBRCA
mutコホート、および混合患者コホートにおけるPFS2、後治療までの時間、全生存期間。
セカンダリーエンドポイントはCFI、TFST、TSSTおよびPFS2を含み、gBRCAmutおよび非gBRCAmutの両方のコホートにおいて、ニラパリブ治療群のほうに持続的な治療効果を示した。さらにOSに対し、ニラパリブ治療の有害な影響は観察されなかった。
ニラパリブ治療患者とプラセボ治療患者において、TEAEの発生率は以下であった:ニラパリブを投与された患者の1.4%(367名中、5名)、およびプラセボを投与された患者の1.1%(179名中、2名)においてMDS/AMLが発生した。グレード3または4の出血事象を有する患者はいなかったが、1名の患者が、汎血球減少症とと同時にグレード3の点状出血と血腫を有した。グレード5の事象は発生しなかった。グレード3以上の血液性の治療関連TEAEは、用量の個別化を介して管理可能であった。
最後のプラチナ系化学療法の反応性に基づく亜群分析
プラチナ系抵抗性状態が、プラセボ治療を受けた患者において評価された。プラチナ系抵抗性状態は、最新(最終的)プラチナ系レジメンに対し、6カ月未満のプラチナ系に対する反応期間として定義された。最新のプラチナ系治療の最後の投与から6カ月後に疾患進行を有する患者の推定確率は、カプランマイヤー法を使用して算出された。181名の患者がプラセボに無作為化された(65名がgBRCA
mut、そして116名が非gBRCA
mut)。gBRCA
mut、非gBRCA
mut、そして統合コホートに対するプラチナ系抵抗性率の推定値はそれぞれ、42%、53%および49%であった。図16を参照。ゆえに試験を行った患者のおよそ半数が、化学療法の最終ラインに対し、プラチナ系抵抗性を発現した。各コホートに対し、12カ月後の疾患進行も評価された。6カ月および12カ月以内の疾患進行の要約を表6に示す。
表6‐最後のプラチナ系治療の投与から6カ月未満または12カ月未満でPDを有するプラセボ患者の推定割合
患者は、自身の最も直近のプラチナ系治療に対する反応性に基づいて層別化された(CRまたはPR)。gBRCAmutコホートの患者の49%(ニラパリブ:67/138、プラセボ:32/65)、非gBRCAmutコホートの患者の約49%(ニラパリブ:117/234[50%];プラセボ:56/116[48%])が、自身の最も直近のプラチナ系化学療法後のPRを有するとしてNOVA試験に登録された。非盲検化の時点で、gBRCAmutコホートの30名(45%)のニラパリブ患者、および23名(72%)のプラセボ患者、ならびに非gBRCAmutコホートの65名(56%)のニラパリブ患者、および45名(80%)のプラセボ患者がPFS事象を有した。PFSのハザード比(95% CI)は、自身の最も直近のプラチナ系レジメンに対しPRを有した患者に関し、gBRCAmutにおいて0.24(0.131-0.441)、非gBRCAmutコホートにおいて0.35(0.230-0.532)であった。自身の最も直近のプラチナ系化学療法治療で部分奏功を有した対象の反応性は、上述の全NOVA試験結果と比肩する。
プラセボ治療患者を、最後の二つのプラチナ系治療に対する反応性に基づき、さらに層別化した。これらプラセボ治療患者の特徴を表7に示す。非gBRCAmutコホートにおいて、6カ月以上のPDを有する患者(プラチナ系感受性)と比較して、6カ月未満のPDを有する患者(プラチナ系抵抗性)のうち高割合の患者が、最後と最後から二番目のプラチナ系化学療法の両方の後で、PRを有していた。(最後から二番目の治療に対し、39.7%と14.6%。最後の治療に対し、65.5%と22.9%)。
表7-ベースラインでのプラセボ治療患者の特徴
プラセボ治療された患者も、当該患者が受けた過去の治療ラインの数に応じて層別化され(2と3以上)、その結果を図17に示す。最後の化学療法から6カ月未満でPDがあった患者は、最も直近のプラチナ系化学療法から6カ月以上でPDがあった患者よりも、過去により多くのラインのプラチナ系治療を受けており(図17、パネルAおよびB)、そして化学療法のライン総数も多かった(図17、パネルCおよびD)。
患者から報告された転帰
患者から報告された転帰を、癌薬物療法のQOL評価-卵巣症状指標(FOSI:Functional Assessment of Cancer Therapy-Ovarian Symptom Index)およびEQ-5D-5L健康効用指標(HUI:Health Utility Index)スコアを使用して測定した。患者から報告された転帰(PRO:Patient-reported outcome)の調査は、スクリーニング来院で、サイクル14~進行後で一サイクルおきに収集された。混合作用成長曲線モデルを構築して、各測定値に対する治療とPROスコアの間の関連性をモデル化した。レスポンダーの割合は、最小重要差閾値(minimally important difference threshold)、およびベースライン値からの変化を使用して評価した。健康状態と、患者から報告された健康転帰の間の関連性は、調整したEQ-5D-5L健康効用指標(HUI)スコアの横断的分析を介して査定した。コンプライアンス率は高く、二つの治療群の間で類似していた:ニラパリブ:FOSI完了率は、75.0%~97.1%の範囲であった。そしてプラセボ:FOSI完了率は、77.6%~97.4%の範囲であった。PROは、gBRCAmutコホート、非gBRCAmutコホートの両方において全試験期間を通じてニラパリブとプラセボで類似していた。図18を参照のこと。いずれのコホートのニラパリブとプラセボの間でも、平均PROスコアに有意差は観察されなかった。レスポンダー割合の分析も、サイクル2の非gBRCAmutコホートの場合を除き、有意差は全く示さなかった。調整されたHUIスコアも、ベースラインでは両群で類似していたが、平均調整HUI進行前スコアは、ニラパリブ群で高い傾向があった(gBRCAmutコホートにおいて、0.812と0.803;非gBRCAmutコホートにおいて、0.845と0.828)。患者の全体的な健康効用に対し、血液毒性は有害作用を及ぼさなかった。これらのデータは、プラチナ系化学療法に対し完全奏功または部分奏功があった後、ニラパリブで治療された再発卵巣癌の患者は、ニラパリブで治療されている間(たとえばニラパリブ維持療法を受けている間)、生活の質を維持することができることを支持する。
結論
本試験は、プラチナ系感受性により規定されるのが最も良い患者集団において、PARP阻害剤が明確な活性を示したことを最初に示す。これらのデータは、PARP阻害剤の用途がBRCA変異を有する癌以外にも広がることを支持し、HRD陽性卵巣癌と、HRD陰性卵巣癌を含む非gBRCA卵巣癌の両方におけるニラパリブの有効性を示すものである。ニラパリブを一日一回投与することで、三つすべての主要有効性集団:gBRCAmutコホート、非gBRCAmutコホート中のHRD陽性腫瘍を有するとプロスペクティブに規定された患者亜群、および全非gBRCAmutコホートの患者の無増悪生存期間が有意に延長された。カプランマイヤー曲線に明示されるようにニラパリブの治療効果は三つすべての主要有効性集団に対し、臨床的に意義があり、一貫性があって、長期的であった。さらに化学療法完全休薬期間、最初の後治療までの時間、そして無増悪生存期間2のセカンダリーエンドポイントも、両コホートのニラパリブ治療群に対し、統計的に有意で臨床的に意義があった。重要なことは、患者から報告された転帰が、少なくともプラセボと同様に良好なニラパリブ維持療法の転帰を示したことである。まとめると、これらのデータは、別手段の治療を全く受けられない患者集団におけるニラパリブの使用を強力に支持するものである。
探索的分析、および得られたカプランマイヤー曲線は、ニラパリブを用いた治療は、バイオマーカーの状態にかかわらず、すべての探索的亜群において、プラセボと比較し、患者に一貫性があり長期的な利益をもたらすこと、および主要有効性集団に対する結果と一致した所見をもたらすことを示す。異なるバイオマーカー集団の間では、ニラパリブに対する反応に変動があるが、BRCA変異を欠き、相同組換えに欠陥がない(HRD陰性)腫瘍を有する患者に対し、有意に改善された無増悪生存期間が観察された。
セカンダリーエンドポイントは、有意に延長されたPFS2、CFI、およびTFSTにより示されるように、ニラパリブで改善された。さらにニラパリブは、次の治療ラインの有効性に影響を与えず、このことから臨床的利益の延長が示唆される。ニラパリブは、BRCA変異またはHRD状態にかかわらず、プラチナ系化学療法レジメンに対し部分奏功または完全奏功があった後、再発した卵巣癌を有する患者において有意に転帰を改善した。
ニラパリブの副作用プロファイルは、プラチナ系化学療法に対する奏功後の長期投与に対し管理可能であり、受容可能であった。300mgの用量は、大部分の患者に対し適切であり、生命を脅かす疾患の性質を考慮すると受容可能である。この用量は、必要な場合には個々の患者に適合させることができ、副作用により投薬を中断させるような必要性を大幅に減少させることができる。全体として、治療中に死亡者はなく、患者の約85%が試験期間中、ニラパリブ投与を維持したことから、副作用が受容可能であり忍容性があったことがさらに示唆される。有害事象は、血液学的実験パラメーターの標準的な評価方法を使用して日常的に監視することができ、当該評価方法は、抗癌治療を受ける患者にとって一般的である。骨髄異形成症候群および/または急性骨髄性白血病の発生率は非常に低く(1%)、ニラパリブ治療群とプラセボ治療群で比率は類似していた。
ニラパリブは毎日の経口治療であり、バイオマーカーの状態にかかわらず、生活の質を低下させることなく無増悪生存期間をかなり改善し、プラチナ系化学療法の効果を延長させ、再発卵巣癌を有する患者において関連蓄積毒性を伴う追加のプラチナ系化学療法が必要となる時を遅延させる。ニラパリブ治療は、広範な患者集団に劇的な効果をもたらしており、今後、そのPARP阻害剤の利益は、プラチナ系感受性であり、プラチナ系化学療法に対し奏功した後の再発卵巣癌を有する非BRCA卵巣癌患者にも拡張される。
実施例2.ニラパリブの食物効果
14日間の非盲検、2治療のクロスオーバー副試験により、ニラパリブ(単回投与)暴露に対する高脂肪食の効果を評価した。
プラチナ系感受性にかかわらず、および腫瘍量にかかわらず、卵巣癌を有する患者をA群またはB群のいずれかに無作為化して、6名の患者を各群に割り当てた。A群において、患者は、300mgのニラパリブの単回投与前、少なくとも10時間絶食した(水以外の飲食は無し)。投与後、少なくとも2時間、患者に絶食状態を継続させた。B群において、患者は、高脂肪食の摂取前、少なくとも10時間絶食した。食事を終了してから5分以内に300mgのニラパリブを経口的に単回投与し、そして少なくとも4時間、患者に絶食状態を再開させた。7日間のPK評価およびウォッシュアウト期間の後、8日目にすべての患者に対し反対の環境下(絶食と高脂肪食)で、二回目のニラパリブの単回投与を行った。上記のA群の6名の患者は、高脂肪食の後にニラパリブの単回投与を受け、B群の患者は、絶食条件下で二回目のニラパリブの単回投与を受けた。14日間の食物効果の副試験の完了後、患者は、当該試験の開始からおよそ2週間後、サイクル1/1日目で300mgQDのニラパリブの毎日投与を再開した。
本発明のいくつかの態様を斯様に記載したが、様々な変更、修飾および改善が当分野の当業者には容易に明白であることを認識されたい。かかる変更、修飾及び改善は、本開示の一部であることが意図され、そして本発明の主旨及び範囲内にあることが意図される。したがって、上記の記載および図面は、例示のみを目的としており、本発明は以下の請求項により詳細に記載される。
実施例3.DNA修復遺伝子
表8は、DNA修復遺伝子のリストである。
参照文献:
du Bois, A, Floquet A, Kim JW, Rau J, Del Campo JM, Friedlander M, Pignata S, Fujiwara K, Vergote I, Colombo, N, Mirza MR, Monk BJ, Wimberger P, Ray-Coquard I, Zang R, Padilla ID, Baumann KH, Kim JH, and Harter P. Randomized, double-blind, phase III trial of pazopanib versus placebo in women who have not progressed after first-line chemotherapy for advanced epithelial ovarian, fallopian tube, or primary peritoneal cancer (AEOC): Results of an international Intergroup trial (AGO-OVAR16).
Pfisterer, J., M. Plante, I. Vergote, A. du Bois, H. Hirte, A. J. Lacave, U. Wagner, A. Stahle, G. Stuart, R. Kimmig, S. Olbricht, T. Le, J. Emerich, W. Kuhn, J. Bentley, C. Jackisch, H. J. Luck, J. Rochon, A. H. Zimmermann, E. Eisenhauer, O. Ago, C. T. G. Ncic and G. C. G. Eortc (2006). ”Gemcitabine plus carboplatin compared with carboplatin in patients with platinum-sensitive recurrent ovarian cancer: an intergroup trial of the AGO-OVAR, the NCIC CTG, and the EORTC GCG.” J Clin Oncol 24(29): 4699-4707。
TCGA (2011). “Integrated genomic analyses of ovarian carcinoma.” Nature 474: 609-615。
均等
明細書および請求項において、本明細書で使用される場合、「a」および「an」といった冠詞は、明白に異なる指定が無い限り、複数の指示対象を含むことを理解されたい。群の一個以上のメンバーの間に「or」を含む請求項または記載は、一つ、二つ以上、または当該群のメンバーのすべてが異なることが指定されない限り、または文脈から別段であることが明白である場合を除き、所与の産物またはプロセスに存在する、使用される、または別段で関連する場合を満たすとみなされる。本発明は、当該群の正確に一つのメンバーが、所与の産物またはプロセスに存在する、使用される、または別段で関連する実施形態を含む。本発明はまた、二つ以上、または群メンバー全体が、所与の産物またはプロセスに存在する、使用される、または別段で関連する実施形態も含む。さらに本発明は、別段の示唆が無い限り、または矛盾または不一致が発生することが当分野の当業者に明白でない限り、列記される請求項のうちの一つ以上からの一つ以上の限定、要素、条項、記述用語などが、同一の基本請求項(または関連する場合、任意の他の請求項)に依存し、別の請求項に導入される変更、組み合わせおよび再配列のすべてを包含することを理解されたい。要素がリストとして表されている場合(たとえば、マーカッシュ群または類似した形式)、各要素の亜群もまた開示されており、任意の要素が当該群から除去され得ることを理解されたい。一般的に、本発明または本発明の態様が特定の要素、特性などを含むとみなされる場合、本発明のある実施形態または本発明の態様は、当該要素、特性などからなる、または本質的にからなることを理解されたい。単純性を目的として、それら実施形態は、本明細書の各事例において、それほど多くの文言で具体的には明記されていない。特定の除外が明細書中に列挙されているか否かにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様が、明白に請求項から除外され得ることも理解されたい。本発明の背景を記載する、またはその実施に関し追加的詳細を提供する、本明細書に引用される公表文献、ウェブサイト、または他の参照物質は、参照により本明細書に組み込まれる。