(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中には挿入せず、その後にまとめて説明する。
(車載構成)
図1を参照すると、本実施形態においては、超音波センサ1は、車両Vを装着対象とする車載型のクリアランスソナーとしての構成を有している。すなわち、超音波センサ1は、車両Vに搭載されることで、当該車両Vの周囲に存在する物体を検知可能に構成されている。
車両Vは、いわゆる四輪自動車であって、箱状の車体V1を備えている。車体V1には、外板を構成する車体部品である、車体パネルV2、フロントバンパーV3、およびリアバンパーV4が装着されている。フロントバンパーV3は、車体V1の前端部に設けられている。リアバンパーV4は、車体V1の後端部に設けられている。
超音波センサ1は、フロントバンパーV3およびリアバンパーV4に装着されることで、車両Vの前方および後方に存在する物体を検知するようになっている。超音波センサ1が、車両Vにおける車体V1に設けられたフロントバンパーV3およびリアバンパーV4に装着された状態を、以下「車載状態」と称する。
具体的には、車載状態にて、フロントバンパーV3には、複数(例えば4個)の超音波センサ1が装着されている。フロントバンパーV3に装着された複数の超音波センサ1は、それぞれ、車幅方向における異なる位置に配置されている。同様に、リアバンパーV4にも、複数(例えば4個)の超音波センサ1が装着されている。フロントバンパーV3およびリアバンパーV4には、超音波センサ1を装着するための貫通孔である装着孔V5が設けられている。
(第一実施形態)
図2は、フロントバンパーV3に取り付けられた複数の超音波センサ1のうちの1個を、車載状態にて示している。以下、図2および図3を参照しつつ、第一実施形態に係る超音波センサ1の構成について説明する。
図2を参照すると、フロントバンパーV3は、バンパー外面V31とバンパー裏面V32とを有している。バンパー外面V31は、フロントバンパーV3の外表面であって、車両Vの外側の空間である外部空間SDに面するように設けられている。バンパー裏面V32は、バンパー外面V31の裏側に設けられている。装着孔V5は、バンパー外面V31およびバンパー裏面V32にて開口することで、フロントバンパーV3を厚さ方向に貫通するように設けられている。
超音波センサ1は、超音波を送受信可能に構成されている。すなわち、超音波センサ1は、超音波である探査波を指向軸DAに沿って外部空間SDに向けて送信するように構成されている。「指向軸」とは、超音波センサ1から超音波の送受信方向に沿って延びる仮想直線であって、指向角の基準となるものである。「指向軸」は指向中心軸あるいは検出軸とも称され得る。また、超音波センサ1は、周囲に存在する物体による探査波の反射波を含む受信波を外部空間SDから受信して、受信結果に基づく検知信号を発生および出力するように構成されている。
説明の便宜上、図示の通りに、Z軸が指向軸DAと平行となるように右手系XYZ直交座標系を設定する。このとき、指向軸DAと平行な方向を「指向軸方向」と称する。「指向軸方向における先端側」は、探査波の送信方向側であり、図2および図3における上側すなわちZ軸正方向側に対応する。これに対し、「指向軸方向における基端側」は、図2および図3における下側すなわちZ軸負方向側に対応する。
或る構成要素の指向軸方向における基端側の端部を「基端部」と称し、指向軸方向における先端側の端部を「先端部」と称する。また、指向軸方向と直交する任意の方向を「面内方向」と称する。「面内方向」は、図2および図3における、XY平面と平行な方向である。「面内方向」は、場合によっては、「径方向」とも称され得る。「径方向」は、指向軸DAと直交する仮想平面と指向軸DAとの交点を起点として当該仮想平面内に半直線を描いた場合に、当該半直線が延びる方向である。
超音波センサ1は、センサケース2と超音波マイクロフォン3とを備えている。センサケース2は、超音波センサ1の筐体を構成する部品あるいは部品群であって、絶縁性合成樹脂によって形成されている。具体的には、センサケース2は、ケース本体部2aと、センサ側コネクタ2bと、マイクロフォン収容部2cとを有している。
ケース本体部2aは、箱状に形成されている。ケース本体部2aの内側には、不図示の制御回路基板等が収容されている。センサ側コネクタ2bは、ケース本体部2aから指向軸DAと交差する方向に延設されている。センサ側コネクタ2bは、ECU等の外部装置に対する電気接続用ワイヤハーネスに設けられた不図示のワイヤ側コネクタと着脱可能に構成されている。ECUはElectronic Control Unitの略である。
マイクロフォン収容部2cは、指向軸DAを囲む略円筒状の部分であって、ケース本体部2aから指向軸方向における先端側に向かって突設されている。車載状態にて、マイクロフォン収容部2cの先端部は、装着孔V5の内壁面と密着するように、装着孔V5内に収容されている。
(超音波マイクロフォン)
マイクロフォン収容部2c内には、超音波マイクロフォン3が収容されている。超音波マイクロフォン3は、略円柱状の外形形状を有するように構成されている。すなわち、超音波マイクロフォン3の側方外壁面3aは、円柱面状に形成されている。
マイクロフォン収容部2cの内壁面と、超音波マイクロフォン3の側方外壁面3aとの間には、不図示のスリーブ部材が設けられている。かかるスリーブ部材は、絶縁性且つゴム弾性を有するシリコーンゴム等によって形成されている。すなわち、マイクロフォン収容部2cの内壁面と側方外壁面3aとの間の隙間は、上記のスリーブ部材によって、水が浸入困難にシールされている。
超音波マイクロフォン3は、車載状態にて、頂面3bが装着孔V5から外部空間SDに露出するように、マイクロフォン収容部2cに収容されている。超音波マイクロフォン3の頂面3bは、指向軸DAと交差する外表面であって、平坦な円形の平面として形成されている。具体的には、本実施形態においては、頂面3bは、指向軸DAと直交するように設けられている。頂面3bは、探査波が外部空間SDに放射される表面であり、且つ、受信波が当たる表面でもある。このため、頂面3bは、「送受信面」とも称される。
図3を参照すると、超音波マイクロフォン3は、素子収容ケース4と、トランスデューサユニット5と、支持基板6と、配線7と、第一接着層8と、第二接着層9とを有している。以下、超音波マイクロフォン3を構成する各部について説明する。
素子収容ケース4は、内部に閉鎖空間SCを有する箱状に形成されていて、閉鎖空間SC内にトランスデューサユニット5を収容するように構成されている。閉鎖空間SCは、素子対向面40aと側方内壁面40bと基板固定面40cとによって、閉じられた(すなわち囲まれた)空間である。すなわち、「閉鎖空間」は、外部との連通孔を有しない、閉じられた空間を意味する。素子対向面40aは、閉鎖空間SCの天井面を構成する内壁面であって、指向軸方向における基端側を向くように設けられている。側方内壁面40bは、円筒内面状の内壁面であって、指向軸DAを囲むように設けられている。基板固定面40cは、トランスデューサユニット5を支持する支持基板6を固定するための底壁面であって、指向軸方向における先端側を向くように設けられている。
素子収容ケース4は、側板部41と、外側底板部42と、内側底板部43とを有している。側板部41は、指向軸DAを囲む筒状に形成されている。本実施形態においては、側板部41は、指向軸DAと略平行な中心軸線を有する円筒状に形成されている。
外側底板部42は、指向軸DAに沿った厚さ方向を有する板状に形成されている。外側底板部42は、厚さ方向と直交する主面である頂面3bを有している。すなわち、素子対向面40aは、頂面3bの裏面である。外側底板部42は、天板部とも称され得る。「主面」とは、板状部における厚さ方向と直交する表面をいう。外側底板部42は、閉鎖空間SC内に水が浸入しないように、側板部41の一端側すなわち指向軸方向における先端側を閉塞するように設けられている。
内側底板部43は、指向軸DAに沿った厚さ方向を有する板状に形成されている。内側底板部43は、側板部41の他端側すなわち指向軸方向における基端側を閉塞するように設けられている。
本実施形態においては、素子収容ケース4は、閉鎖空間SCを気密且つ液密に密閉するように形成されている。すなわち、素子収容ケース4は、その内側の閉鎖空間SCと、素子収容ケース4の外側の外部空間SDとの間で、気体および液体の授受が生じないように構成されている。具体的には、側板部41と外側底板部42とは、アルミニウム等の金属材料によって、継ぎ目なく一体に形成されている。内側底板部43は、側板部41および外側底板部42と同一の材料によって形成されている。側板部41の指向軸方向における基端部と、内側底板部43とは、溶接部であるケース接合部44によって、液密的且つ気密的に接合されている。なお、後述するように、素子収容ケース4を構成する材料は、アルミニウム等の金属材料に限定されない。
外側底板部42は、指向軸DAに沿った厚さ方向を有するダイアフラム部45を有している。ダイアフラム部45は、トランスデューサユニット5による超音波の送信または受信の際に、撓みながら超音波振動するように設けられている。すなわち、ダイアフラム部45は、面内方向における中心部が指向軸方向に移動する態様で超音波振動するように形成されている。ダイアフラム部45は、「ケース側ダイアフラム」とも称され得る。
本実施形態においては、ダイアフラム部45は、外側底板部42の面内方向における中央部に設けられた薄肉部として形成されている。すなわち、外側底板部42は、ダイアフラム部45とダイアフラム支持部46とを有している。ダイアフラム支持部46は、ダイアフラム部45よりも径方向における外側に形成された、外側底板部42における厚肉部である。ダイアフラム支持部46は、ダイアフラム部45の径方向における外縁部を固定的に支持するように設けられている。
超音波センサ1が車載用であることを考慮して、側板部41および外側底板部42は、厚さが0.5mm以上に形成されている。すなわち、ダイアフラム部45は、0.5mm以上の一定厚さを有する平板状に形成されている。本実施形態においては、外側底板部42は、外側表面すなわち指向中心軸方向における先端側の表面である頂面3bが平面状となるように形成されている。換言すれば、ダイアフラム部45とダイアフラム支持部46とは、互いの外側表面が面一となるように設けられている。また、ダイアフラム部45は、外側底板部42の厚さ方向における一端側に設けられている。
閉鎖空間SC内に収容されたトランスデューサユニット5は、電気信号と超音波振動との変換機能を有する超音波素子50を有している。すなわち、超音波素子50は、閉鎖空間SC内に収容されている。超音波素子50は、閉鎖空間SCを構成するギャップGを隔てて、ダイアフラム部45と対向配置されている。ギャップGは、閉鎖空間SCのうちの、超音波素子50とダイアフラム部45との間に位置する部分である。
本実施形態においては、トランスデューサユニット5は、MEMS型の圧電トランスデューサとしての構成を有している。すなわち、超音波素子50は、半導体基板51に設けられたMEMS型素子である。半導体基板51は、指向軸DAに沿った厚さ方向を有するSOI基板であって、ギャップGを隔てて外側底板部42と対向配置されている。SOIはSilicon On Insulatorの略である。トランスデューサユニット5には、複数の超音波素子50が設けられている。複数の超音波素子50は、面内方向に二次元的に配列されている。
半導体基板51は、一対の主面である、ギャップ対向面52と接着面53とを有している。ギャップ対向面52は、半導体基板51におけるギャップGと対向する表面であって、平面状に形成されている。接着面53は、第一接着層8を介して、支持基板6と接合されている。
本実施形態においては、半導体基板51は、外側底板部42から離隔して配置されている。すなわち、半導体基板51は、ギャップ対向面52の面内方向における全体が、外側底板部42と非接触となるように設けられている。また、半導体基板51は、内側底板部43によって固定的に支持されている。具体的には、内側底板部43における基板固定面40cには、第二接着層9を介して、支持基板6が固定されている。また、支持基板6には、第一接着層8を介して、半導体基板51が固定されている。
超音波素子50は、振動板部54と素子部55とを有している。振動板部54は、半導体基板51に設けられた薄肉部であって、面内方向に対向する厚肉部56の間を架け渡すように設けられている。すなわち、振動板部54は、指向軸DAに沿った厚さ方向を有する薄板状に形成されている。
振動板部54は、トランスデューサユニット5による超音波の送信または受信の際に、撓みながら超音波振動するように設けられている。すなわち、振動板部54は、面内方向における中心部が指向軸方向に移動する態様で、ダイアフラム部45と同一方向に超音波振動するように形成されている。振動板部54は、「素子側ダイアフラム」とも称され得る。
振動板部54は、ギャップGを隔ててダイアフラム部45と対向配置されている。振動板部54は、ギャップ対向面52を平面状に形成するように、半導体基板51の厚さ方向における一端側に設けられている。また、本実施形態においては、半導体基板51には、複数の振動板部54が設けられている。複数の振動板部54は、面内方向に二次元的に配列されている。
素子部55は、振動板部54に設けられている。本実施形態においては、素子部55は、圧電膜と薄膜電極とを積層した圧電素子であって、ギャップGと対向する表面であるギャップ対向面52上に固定されている。すなわち、超音波素子50は、PMUTとしての構成を有している。PMUTはPiezoelectric Micro-machined Ultrasonic Transducersの略である。
超音波素子50は、素子部55に印加された交流電圧である駆動電圧に基づいて、振動板部54が超音波振動するように構成されている。また、超音波素子50は、振動板部54の振動状態に基づいて、素子部55にて出力電圧が発生するように構成されている。
超音波マイクロフォン3は、超音波素子50の共振周波数である第一共振周波数とダイアフラム部45の共振周波数である第二共振周波数とが一致するように構成されている。第一共振周波数は、振動板部54と素子部55との積層体を半導体基板51で支持した構造における共振周波数である。第二共振周波数は、ダイアフラム部45をダイアフラム支持部46および側板部41で支持した構造における共振周波数である。
具体的には、超音波マイクロフォン3は、Δfr≦BWとなるように構成されている。Δfrは、第一共振周波数と第二共振周波数との差である。すなわち、Δfrは、ダイアフラム部45の共振周波数と超音波素子50の共振周波数とのズレ量である。BWは、超音波素子50の共振帯である第一共振帯と、ダイアフラム部45の共振帯である第二共振帯とのうちの、広い方の帯域幅である。「共振帯」とは、共振周波数をピークとする出力曲線あるいは特性曲線において、ピーク値から3dB低下する二つの周波数f1,f2間の周波数帯域である。「ピーク値から3dB低下」は、「ピーク値の1/√2倍」とも言い換えられ得る。「共振帯」は、「構造体共振の共振帯」、あるいは、「共振ピークの3dB帯」とも称され得る。帯域幅は、「-3dB帯域幅」、「3dB帯域幅」、あるいは単に「周波数帯域幅」とも称され得る。
支持基板6は、超音波素子50を有するトランスデューサユニット5を固定的に支持する部材であって、指向軸DAに沿った厚さ方向を有する板状に形成されている。本実施形態においては、支持基板6は、回路基板であって、信号処理のための各種回路部品が実装面61上に実装されている。実装面61は、支持基板6における、ギャップGに面する側の主面である。
支持基板6は、凹部62と凸部63とを有している。凹部62は、ギャップG側に向かって開口するように形成されている。凹部62内には、トランスデューサユニット5が収容されている。凸部63は、トランスデューサユニット5の周囲を囲むように、ギャップG側に向かって指向軸方向に突設されている。凸部63に設けられた不図示の電極パッドと、トランスデューサユニット5に設けられた不図示の電極パッドとは、ボンディングワイヤである配線7を介して電気接続されている。
実装面61の裏面であるケース固定面64は、第二接着層9を介して、基板固定面40cと接合されている。ケース固定面64から指向軸方向における基端側に突出するように、端子65が設けられている。端子65は、図2に示されたケース本体部2a内に収容された不図示の制御回路基板と超音波マイクロフォン3とを電気接続するための接続端子である。端子65は、金属製の棒状部であって、内側底板部43を貫通するように設けられている。端子65が内側底板部43を貫通する部分は、気密的且つ液密的にシールされている。
(効果)
以下、本実施形態の構成による動作概要を、同構成により奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。
上記構成において、超音波素子50は、素子収容ケース4の内部に形成された閉鎖空間SC内に収容されている。素子収容ケース4における側板部41の一端側は、閉鎖空間SC内に水が浸入しないように、ダイアフラム部45を有する外側底板部42によって閉塞されている。このため、超音波素子50は、外側底板部42と内側底板部43によって良好に保護される。なお、素子収容ケース4の指向軸方向における基端側の部分は、センサケース2におけるマイクロフォン収容部2cによって覆われている。このため、素子収容ケース4の指向軸方向における基端側の部分から、素子収容ケース4の内部に、水あるいは異物(例えば埃等)が侵入することが、良好に抑制され得る。
また、超音波素子50は、閉鎖空間SCを構成するギャップGを隔ててダイアフラム部45と対向配置されている。このため、超音波振動は、ギャップG内の媒体(例えば空気)を介して、超音波素子50とダイアフラム部45との間を伝播する。すなわち、探査波の送信時においては、駆動電圧の印加により超音波素子50にて発生した超音波振動が、ギャップG内の媒体に伝播する。ギャップG内の媒体に伝播した超音波振動は、ダイアフラム部45に伝播する。ダイアフラム部45に伝播した超音波振動により、外部空間SDに向けて探査波が送信される。逆に、受信時においては、ダイアフラム部45の振動が、ギャップG内の媒体に伝播する。ギャップG内の媒体に伝播した振動は、振動板部54に伝播する。これにより、素子部55にて出力電圧が発生する。このように、超音波振動は、ギャップG内の媒体を介した連成共振により伝播する。
ここで、超音波センサ1は、超音波素子50の共振周波数である第一共振周波数と、ダイアフラム部45の共振周波数である第二共振周波数とが、一致するように構成されている。したがって、超音波素子50とダイアフラム部45との間の超音波振動の伝播効率が良好となる。このように、上記構成によれば、超音波素子50を良好に保護しつつ、超音波センサ1の外部空間SDと超音波素子50との間の超音波振動の伝播を良好に実現することが可能となる。特に、超音波素子50として、バルク型よりも大出力が得られにくいMEMS型の構成を用いても、振動が連成共振により効率的に伝播することで、良好な送受信性能が実現され得る。また、車載用の超音波センサ1として、素子収容ケース4の強度確保のために外側底板部42を厚さが0.5mm以上となるように厚めに形成しても、良好な送受信性能が実現され得る。
但し、製造上、第一共振周波数と第二共振周波数とを完全に一致させることは困難である。そこで、第一共振周波数と第二共振周波数とが実質的に一致しているものとするために、第一共振周波数と第二共振周波数との差をどの程度に収めるかが問題となる。
図4A~図4Eは、第一共振周波数と第二共振周波数との差を変更した場合の計算結果を示す。図4A~図4Eにおいて、破線は超音波素子50の周波数特性を示し、実線はダイアフラム部45の周波数特性を示し、点線は両者の積を示す。また、横軸は周波数を示し、縦軸は音圧を示す。縦軸および横軸は、それぞれ任意単位で示されている。横軸における「1」は70kHzである。縦軸における「1」は、ダイアフラム部45および超音波素子50の周波数特性におけるピーク値に対応する。
図4A~図4Eの計算条件として、超音波素子50の共振帯である第一共振帯、および、ダイアフラム部45の共振帯である第二共振帯は、ともに3kHzの帯域幅を有しているものとする。すなわち、BW1=BW2=BW=3kHzである。BW1は第一共振帯の帯域幅である。BW2は第二共振帯の帯域幅である。
図4Aは、第一共振周波数と第二共振周波数とが完全に一致する場合、すなわち、Δfr=0の場合を示す。図4Bは、第二共振周波数を低周波数側に1kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=1kHzの場合を示す。図4Cは、第二共振周波数を低周波数側に3kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=3kHzの場合を示す。図4Dは、第二共振周波数を低周波数側に4kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=4kHzの場合を示す。図4Eは、第二共振周波数を低周波数側に6kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=6kHzの場合を示す。
Δfrが4kHz以上となる場合、ダイアフラム部45と超音波素子50との間の超音波振動の伝播が不良となる。これに対し、Δfrが3kHz以下となる場合、ダイアフラム部45と超音波素子50との間の超音波振動の伝播が良好となる。この点、超音波素子50の周波数特性とダイアフラム部45の周波数特性との積を示す点線の周波数特性を見ると、Δfrが4kHz以上となる図4Dおよび図4Eにて、ピークスプリットが発生している。ピークスプリットが発生すると、例えば、製品の工場出荷時の調整時に最大音圧となる周波数の回路での設定が煩雑になる。ピークスプリットが発生しない限界あるいはその近傍である、図4Cに対応するΔfr=3kHzの場合、Δfr/BW=1となる。よって、ピークスプリットが発生しない条件は、Δfr/BW≦1であるということが可能である。
図5A~図5Fは、図4A~図4Eにおける計算条件の一部を変更したものである。図5A~図5Fにおいて、超音波素子50の共振帯である第一共振帯は3kHzの帯域幅を有しており、ダイアフラム部45の共振帯である第二共振帯は6kHzの帯域幅を有しているものとする。すなわち、BW1=3kHz,BW2=6kHzである。
図5Aは、第一共振周波数と第二共振周波数とが完全に一致する場合、すなわち、Δfr=0の場合を示す。図5Bは、第二共振周波数を低周波数側に1kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=1kHzの場合を示す。図5Cは、第二共振周波数を低周波数側に3kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=3kHzの場合を示す。図5Dは、第二共振周波数を低周波数側に4kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=4kHzの場合を示す。図5Eは、第二共振周波数を低周波数側に6kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=6kHzの場合を示す。図5Fは、第二共振周波数を低周波数側に7kHzシフトした場合、すなわち、Δfr=7kHzの場合を示す。
Δfrが7kHz以上となる場合、ダイアフラム部45と超音波素子50との間の超音波振動の伝播が不良となる。これに対し、Δfrが6kHz以下となる場合、ダイアフラム部45と超音波素子50との間の超音波振動の伝播が良好となる。この点、超音波素子50の周波数特性とダイアフラム部45の周波数特性との積を示す点線の周波数特性を見ると、Δfrが7kHzとなる図5Fにて、ピークスプリットが発生している。ピークスプリットが発生しない限界あるいはその近傍である、図5Eに対応するΔfr=6kHzの場合、Δfr/BW1=2,Δfr/BW2=1となる。ピークよって、スプリットが発生しない条件は、Δfr/BW1≦2,Δfr/BW2≦1であるということが可能である。
上記の結果を総合すると、超音波マイクロフォン3を、Δfr≦BWとなるように構成することで、良好な送受信特性が得られる。BWは、BW1とBW2とのうちの大きい方である。この場合、第一共振周波数と第二共振周波数とは、実質的に一致しているものと評価することが可能である。
上記構成においては、素子収容ケース4は、ギャップGを含む閉鎖空間SCを、気密且つ液密に密閉するように形成されている。すなわち、超音波素子50を有するMEMS型のトランスデューサユニット5は、気密且つ液密な密閉構造を有する素子収容ケース4に収容されている。超音波素子50は、閉鎖空間SCを構成するギャップGを隔てて、ダイアフラム部45と対向配置されている。このため、ダイアフラム部45と超音波素子50との間の、ギャップG内の媒体(例えば空気)は、超音波振動を伝播する流体バネとして良好に機能する。すなわち、ギャップGを気密的に形成することで、超音波素子50とダイアフラム部45との間の疎密波の強度、つまり圧力を高めることができる。したがって、かかる構成によれば、良好な送受信特性が得られる。
ところで、超音波センサ1は、車載状態にて、頂面3bが外部空間SDに露出される。このため、素子収容ケース4における外側底板部42の外表面である頂面3bに、小石等の固い異物が衝突する場合がある。
この点、上記構成においては、超音波素子50を有する半導体基板51は、素子収容ケース4の指向中心軸方向における一端側の内側底板部43によって、固定的に支持されている。一方、頂面3bを有する外側底板部42は、素子収容ケース4の指向中心軸方向における他端側に設けられている。さらに、半導体基板51は、ギャップGと対向するギャップ対向面52の面内方向における全体が、外側底板部42と非接触となるように、外側底板部42から離隔して配置されている。すなわち、超音波素子50は、車載状態にて外部空間SDに露出する外側底板部42には貼り付けられていない。
このため、仮に超音波マイクロフォン3の頂面3bに小石等の固い異物が衝突した場合であっても、かかる衝突に伴う衝撃は、超音波素子50には伝達されない。よって、超音波素子50におけるクラック等の発生が、良好に防止され得る。
このように、上記構成においては、外側底板部42を厚く形成しなくても、超音波素子50におけるクラック等の不具合の発生が、良好に回避され得る。また、超音波センサ1における、超音波の送受信が、良好に行われ得る。したがって、超音波センサ1の体格の大型化を回避しつつ、超音波素子50を良好に保護することが可能となる。
上記構成においては、ダイアフラム部45の径方向における外縁が、厚肉のダイアフラム支持部46によって支持されている。また、ダイアフラム部45とダイアフラム支持部46とは、継ぎ目なく一体に形成されている。したがって、かかる構成によれば、外側底板部42の剛性が、良好に確保され得る。すなわち、半導体基板51および超音波素子50が、良好に保護され得る。
ところで、超音波マイクロフォン3の指向性は、駆動周波数と、ダイアフラム部45の振動範囲とによって変化する。すなわち、指向角は、駆動周波数と振動範囲との積が小さくなるほど大きくなる。
この点、上記構成においては、外側底板部42は、ダイアフラム部45とダイアフラム支持部46とを有している。ダイアフラム部45は、外側底板部42の面内方向における中央部に設けられた薄肉部として形成されている。このため、ダイアフラム部45の面内方向におけるサイズを調整することで、指向性を良好に制御することが可能となる。
上記構成においては、超音波素子50は、MEMS型の半導体素子として、半導体基板51に形成されている。かかる構成によれば、超音波素子50における送受信性能を維持しつつ、超音波素子50を良好に小型化することが可能となる。したがって、超音波センサ1の体格を大型化させることなく、複数の超音波素子50を設けて超音波センサ1を高機能化することが可能となる。
(第二実施形態)
以下、第二実施形態について、図6を参照しつつ説明する。なお、以下の第二実施形態の説明においては、主として、第一実施形態と異なる部分について説明する。また、第一実施形態と第二実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記の第一実施形態における説明が適宜援用され得る。
図6に示されているように、本実施形態においては、ダイアフラム部45は、外側底板部42の面内方向におけるほぼ全部を占めるように設けられている。すなわち、素子収容ケース4は、外側底板部42の面内方向におけるほぼ全体がダイアフラム部45となるように形成されている。
周知の通り、ダイアフラム部45の共振周波数は、厚さを大きくすれば高くなり、径を大きくすれば低くなる。よって、共振周波数が一定の条件において、径を大きくすれば、ダイアフラム部45の厚さを大きくすることができる。すなわち、かかる構成によれば、所定の第二共振周波数を実現するための、ダイアフラム部45における厚さを、図3の場合よりも厚くすることができる。したがって、素子収容ケース4の強度が向上する。具体的には、例えば、素子収容ケース4を合成樹脂等の軽量の材料で形成した場合における、素子収容ケース4の強度を、良好に向上することが可能となる。
(第三実施形態)
以下、第三実施形態について、図7を参照しつつ説明する。なお、以下の第三実施形態の説明においては、主として、第二実施形態と異なる部分について説明する。また、第二実施形態と第三実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第三実施形態の説明において、先に説明した他の実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、当該他の実施形態における説明が適宜援用され得る。後述の第四実施形態以降の他の実施形態についても同様である。
図7に示されているように、本実施形態においては、素子収容ケース4には、突起470が形成されている。突起470は、素子収容ケース4におけるギャップGに面する表面である内面、具体的には素子対向面40aに設けられている。すなわち、突起470は、外側底板部42における頂面3bの裏面である素子対向面40aから、閉鎖空間SC側に向かって突設されている。
素子収容ケース4には、複数の突起470が設けられている。複数の突起470は、素子対向面40a上にて、面内方向に二次元的に配列されている。なお、突起470は、側方内壁面40bにも設けられ得る。
かかる構成においては、ギャップG内の媒体の流れの発生が、突起470によって良好に抑制される。これにより、第一共振周波数と第二共振周波数とのズレによる影響が可及的に抑制され、第二共振帯の帯域幅BW2を大きくでき、以て送受信効率が向上する。
突起470は、第一共振周波数に影響しない程度のサイズおよび量で設けられ得る。なお、突起470は、典型的には、素子収容ケース4を構成する材料と同一の材料によって形成され得る。また、突起470は、典型的には、素子収容ケース4を構成する部分(例えば外側底板部42)と継ぎ目なく一体に形成され得る。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、突起470は、素子収容ケース4を構成する材料とは異なる材料によって形成され得る。
(第四実施形態)
以下、第四実施形態について、図8を参照しつつ説明する。図8に示されているように、本実施形態においては、閉鎖空間SCには、空気よりも粘性が高い粘性流体480が充填されている。粘性流体480としては、例えば、粘度の温度依存性が小さいシリコーンオイル等が好適に用いられ得る。
かかる構成においては、ギャップGには、粘性流体480が充填される。これにより、ギャップG内の媒体の流れの発生が、良好に抑制され、第二共振帯の帯域幅BW2を大きくできる。したがって、第一共振周波数と第二共振周波数とのズレによる影響が可及的に抑制され、以て送受信効率が向上する。
(第五実施形態)
以下、第五実施形態について、図9を参照しつつ説明する。図9に示されているように、本実施形態においては、超音波マイクロフォン3は、ダイアフラム側検出部491とダイアフラム周波数変更部492とを備えている。
ダイアフラム側検出部491は、ダイアフラム部45における応力状態に応じた出力を発生するように、ダイアフラム部45に設けられている。具体的には、ダイアフラム側検出部491は、いわゆる歪ゲージであって、頂面3bにおける、ダイアフラム部45の外縁部に対応する位置に貼り付けられている。
ダイアフラム周波数変更部492は、ダイアフラム部45の共振周波数である第二共振周波数を可変に構成されている。具体的には、ダイアフラム周波数変更部492は、バルクPZT等のバルク圧電セラミックからなる圧電素子であって、電圧印加により歪を発生するように形成されている。PZTはチタン酸ジルコン酸鉛の略称である。ダイアフラム周波数変更部492は、電圧印加時の歪によりダイアフラム部45における内部応力すなわち張力を調整するように、素子収容ケース4におけるダイアフラム部45またはその近傍位置に貼り付けられている。
超音波センサ1の動作環境温度が変化すると、ダイアフラム部45の共振周波数がシフトする。また、ダイアフラム部45に異物が付着すると、ダイアフラム部45の共振周波数がシフトする。そこで、本実施形態においては、ダイアフラム側検出部491とダイアフラム周波数変更部492とが設けられている。
ダイアフラム側検出部491は、ダイアフラム部45における応力状態に応じた出力を発生する。このため、超音波振動を超音波素子50から発振してダイアフラム部45に伝播させたときの、ダイアフラム側検出部491の出力をモニタすることで、温度変化あるいは異物付着に伴う共振周波数シフトを検知することが可能となる。また、共振周波数シフトを検知した場合に、ダイアフラム周波数変更部492を用いて、かかる周波数シフトを補償することが可能となる。
(第六実施形態)
以下、第六実施形態について、図10を参照しつつ説明する。図10に示されているように、本実施形態においては、トランスデューサユニット5は、送受信素子501と検出素子502とを有している。
送受信素子501は、半導体基板51に設けられた複数のMEMS型素子のうちの1つである。検出素子502は、半導体基板51に設けられた複数のMEMS型素子のうちの他の1つである。すなわち、本実施形態においては、送受信素子501は、トランスデューサユニット5に設けられた複数の超音波素子50のうちの一部であって、超音波の送受信動作を実行するようになっている。検出素子502は、トランスデューサユニット5に設けられた複数の超音波素子50のうちの一部であって、超音波の受信動作のみを実行するようになっている。
かかる構成において、検出素子502は、ダイアフラム部45における超音波振動がギャップG内の媒体における超音波振動を介して伝播するように、ギャップGを隔ててダイアフラム部45と対向配置されている。すなわち、検出素子502は、ダイアフラム部45の共振周波数である第二共振周波数の変化を検出するように、半導体基板51に設けられている。
かかる構成によれば、異物付着に伴うダイアフラム部45の共振周波数シフトを、検出素子502を用いて検知することが可能となる。特に、送受信素子501と検出素子502とで共振周波数を合わせることで、異物付着の検知を高感度で行うことが可能となる。なお、送受信素子501と検出素子502との区別は、固定的であってもよいし、変更可能であってもよい。すなわち、複数の超音波素子50のうち、送受信素子501としての機能が割り当てられたものについては、その機能は固定的であってもよい。あるいは、複数の超音波素子50のうちの1つは、送受信素子501として用いられた後、検出素子502として用いられてもよい。また、複数の超音波素子50のうちの他の1つは、検出素子502として用いられた後、送受信素子501として用いられてもよい。
(第七実施形態)
以下、第七実施形態について、図11を参照しつつ説明する。本実施形態は、上記第六実施形態の一部を変容したものに相当する。具体的には、図11に示されているように、本実施形態においては、検出素子502には、貫通部521と振動梁部522とが設けられている。
貫通部521は、振動板部54を厚さ方向に貫通するように設けられている。振動梁部522は、振動板部54に貫通部521を設けることによって形成された、面内方向に延びる片持ち梁状の部分である。すなわち、振動梁部522は、面内方向について貫通部521に隣接する遠位端である自由端が指向軸方向に沿って移動する態様で振動するように設けられている。
かかる構成によれば、上記第六実施形態と同様の効果が奏され得る。また、かかる構成によれば、振動梁部522における形状を調整することで、検出素子502の共振周波数を任意に設定することが可能となる。よって、例えば、トランスデューサユニット5における検出素子502の占有面積を抑制することで、製造プロセスを変更することなくチップサイズの小型化が可能となる。
(第八実施形態)
以下、第八実施形態について、図12を参照しつつ説明する。図12に示されているように、本実施形態においては、検出素子502は、複数の超音波素子50とは異なる素子として設けられている。
検出素子502は、半導体基板51における厚肉部56に設けられている。具体的には、検出素子502は、厚肉部56に対応する位置に形成された圧電積層体523によって構成されている。圧電積層体523は、圧電素子であって、圧電膜と薄膜電極とを積層することによって形成されている。
かかる構成においては、ギャップG内の媒体に伝播した超音波振動により、圧電積層体523に応力が作用する。具体的には、ギャップG内の媒体の超音波振動が、圧電積層体523に直接作用することで、圧電積層体523に圧縮応力が発生する。また、ギャップG内の媒体の超音波振動が、面内方向について検出素子502に隣接する振動板部54に伝播することで、かかる振動板部54が振動する。かかる振動板部54の振動に伴い、圧電積層体523が設けられた厚肉部56における、ギャップ対向面52の近傍部分に、曲げ応力が作用する。かかる曲げ応力は、圧電積層体523に作用する。
圧電積層体523に作用した応力により、圧電積層体523に出力電圧が発生する。かかる出力電圧に基づいて、ダイアフラム部45の共振周波数である第二共振周波数の変化を検出することが可能となる。したがって、温度変化あるいは異物付着に伴う、ダイアフラム部45の共振周波数シフトを、可及的に簡略な装置構成により検知することが可能となる。
(第九実施形態)
以下、第九実施形態について、図13を参照しつつ説明する。本実施形態は、上記の第七実施形態と第八実施形態とを複合適用したものに相当する。
具体的には、図13に示されているように、本実施形態においては、検出素子502は、素子部55が設けられていない振動板部54と、これに面内方向について隣接する厚肉部56に設けられた圧電積層体523とによって形成されている。かかる構成によれば、上記第七実施形態と同様の効果が奏され得る。
(第十実施形態)
以下、第十実施形態について、図14を参照しつつ説明する。図14に示されているように、本実施形態においては、超音波素子50は、振動板部54と、素子部55と、素子周波数変更部571とを有している。
素子周波数変更部571は、超音波素子50の共振周波数である第一共振周波数を可変に構成されている。具体的には、素子周波数変更部571は、例えば、半導体基板51に設けられた薄膜状のヒータによって構成され得る。あるいは、素子周波数変更部571は、例えば、半導体基板51に設けられた圧電素子によって構成され得る。
素子周波数変更部571は、面内方向について、素子部55の周囲に設けられ得る。具体的には、素子周波数変更部571は、ギャップ対向面52上に形成され得る。
かかる構成によれば、素子周波数変更部571を用いて、超音波素子50の共振周波数である第一共振周波数を変更することが可能となる。したがって、第一共振周波数と、ダイアフラム部45の共振周波数である第二共振周波数との差を、可及的に小さくすることが可能となる。
(第十一実施形態)
以下、第十一実施形態について、図15を参照しつつ説明する。図15に示されているように、本実施形態においては、超音波素子50は、振動板部54と、素子部55と、素子周波数変更部571と、素子側検出部572とを有している。
素子側検出部572は、振動板部54における応力状態に応じた出力を発生するように、振動板部54に設けられている。具体的には、素子側検出部572は、いわゆる歪ゲージであって、振動板部54の面内方向における外縁部に設けられている。すなわち、超音波素子50は、ダイアフラム部45の共振周波数である第二共振周波数の変化を、素子側検出部572により検出するように構成されている。
上記の通り、ダイアフラム部45と超音波素子50との間の、ギャップG内の媒体(例えば空気)は、超音波振動を伝播する流体バネとして機能する。すなわち、ダイアフラム部45と超音波素子50とは、ギャップG内の媒体に対応する流体バネを介して弾性的に接続された状態となっている。このため、異物付着等によってダイアフラム部45の共振周波数が変化すると、かかる変化の影響は、ギャップG内の媒体に対応する流体バネを介して、超音波素子50にも作用する。
そこで、本実施形態においては、超音波素子50における振動板部54には、素子側検出部572が設けられている。素子側検出部572は、振動板部54における応力状態に応じた出力を発生する。したがって、素子側検出部572の出力に基づいて、ダイアフラム部45の共振周波数シフトを検知することが可能となる。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
超音波センサ1は、車載用に限定されない。また、超音波センサ1は、クリアランスソナーに限定されない。すなわち、超音波センサ1は、他の用途にも用いられ得る。
超音波センサ1は、超音波を送受信可能な構成に限定されない。すなわち、例えば、超音波センサ1は、超音波の発信のみが可能な構成を有していてもよい。あるいは、超音波センサ1は、他の超音波発信器から発信された超音波である探査波の、周囲に存在する物体による反射波を受信する機能のみを有するものであってもよい。
超音波センサ1における各部の構成も、上記具体例に限定されない。具体的には、例えば、超音波マイクロフォン3すなわち素子収容ケース4の外形形状は、略円柱状に限定されず、略正六角柱状、略正八角柱状、等であってもよい。
ギャップGを構成する、素子収容ケース4の内部の閉鎖空間SCには、乾燥空気が封入されていてもよい。これにより、超音波マイクロフォン3内部の各部、例えば、超音波素子50における、水分の存在による劣化の発生が、良好に抑制され得る。
あるいは、例えば、閉鎖空間SCには、乾燥窒素ガス等の乾燥不活性ガスが、1気圧以上の圧力で封入されていてもよい。これにより、超音波マイクロフォン3内部の各部の、水分または酸化による劣化の発生が、良好に抑制され得る。また、超音波素子50とダイアフラム部45との間の疎密波の強度を高めることができ、以て送受信性能を高めることが可能となる。
なお、閉鎖空間SC内の媒体種類および圧力についても、特段の限定はない。
素子収容ケース4を構成する材料は、上記の具体例に限定されない。すなわち、例えば、素子収容ケース4は、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって形成され得る。あるいは、素子収容ケース4は、他の種類の金属材料によっても形成され得る。あるいは、素子収容ケース4は、ポリカーボネート、ポリスチレン、等の合成樹脂材料によっても形成され得る。あるいは、素子収容ケース4は、炭素繊維、炭素繊維含有樹脂、等によっても形成され得る。
素子収容ケース4の構造についても、技術的な不都合が生じない限り、特段の限定はない。具体的には、例えば、ダイアフラム部45とダイアフラム支持部46とは、異なる材料によって形成されていてもよい。
ダイアフラム部45の面内方向における形状としては、略矩形、略円形、略楕円形、略正六角形、略正八角形、等の任意の形状が採用可能である。同様に、ダイアフラム部45の断面形状も、平板状に限定されない。具体的には、例えば、ダイアフラム部45は、外部空間SDに向かって突出する曲板状に形成されていてもよい。
上記の各実施形態において、半導体基板51は、内側底板部43によって固定的に支持されていた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、半導体基板51は、側板部41によって固定的に支持されていてもよい。具体的には、例えば、支持基板6の素子収容ケース4に対する固定は、側板部41にて行われ得る。
上記の各実施形態において、半導体基板51は、外側底板部42から離隔して配置されていた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、図16に示されているように、半導体基板51は、外側底板部42におけるダイアフラム支持部46と当接していてもよい。この場合、ギャップGは、ダイアフラム部45とダイアフラム支持部46と半導体基板51とによって囲まれた閉鎖的な空間によって形成される。
かかる構成においても、超音波素子50それ自体は、ギャップGを挟んで外側底板部42と対向しつつ、外側底板部42から離隔している。すなわち、超音波素子50は、車載状態にて外部空間SDに露出する外側底板部42には貼り付けられていない。このため、仮に超音波マイクロフォン3の頂面3bに小石等の固い異物が衝突した場合であっても、超音波素子50におけるクラック等の発生が、良好に防止され得る。
例えば、半導体基板51の一主面であるギャップ対向面52における、ダイアフラム支持部46と対向する部分は、ダイアフラム支持部46と気密的に接合され得る。この場合、閉鎖空間SCのうちのギャップGのみが気密空間であってもよい。
図7に示された第三実施形態に係る超音波マイクロフォン3に設けられた突起470は、他の実施形態にも適用可能である。すなわち、例えば、突起470は、上記第一実施形態にも適用可能である。また、例えば、突起470は、上記第四実施形態~第十一実施形態にも適用可能である。
図9を参照すると、温度変化は、ダイアフラム側検出部491の出力を用いなくても、センサケース2または素子収容ケース4内に設けられる不図示の温度センサの出力を用いて補償可能である。あるいは、温度変化は、ECU等の外部装置から温度情報を入手することで補償可能である。よって、ダイアフラム側検出部491は、省略され得る。あるいは、ダイアフラム側検出部491は、異物付着検知のために設けられていてもよい。これにより、ダイアフラム周波数変更部492を用いて温度補償を行いつつ、ダイアフラム側検出部491を用いて異物付着検知を行うことが可能となる。
トランスデューサユニット5の構成についても、特段の限定はない。すなわち、例えば、図17に示されているように、超音波素子50は、バルクPZT等のバルク圧電セラミックからなる圧電素子であってもよい。これにより、探査波発進時にて大きな音圧を得ることが可能となる。
トランスデューサユニット5に設けられる超音波素子50の個数についても、特段の限定はない。すなわち、例えば、各図に示されているように、超音波素子50は、面内方向に二次元的に複数個配列され得る。かかる構成によれば、送受信方向の制御が可能なフェーズドアレイ型の超音波センサ1を、良好に小型化することが可能となる。なお、この場合、ダイアフラム部45もまた、超音波素子50の面内方向位置と対応するように、面内方向に二次元的に複数個配列され得る。すなわち、ダイアフラム部45は、複数に分割され得る。
あるいは、トランスデューサユニット5には、超音波素子50が1個のみ設けられていてもよい。これにより、超音波マイクロフォン3の小型化が可能となる。
超音波素子50の種類についても、特段の限定はない。すなわち、例えば、超音波素子50は、PMUTに限定されない。超音波素子50は、CMUTとしての構成を有していてもよい。CMUTはCapacitive Micro-machined Ultrasound Transducerの略である。
支持基板6は、回路基板ではなくてもよい。すなわち、信号処理のための各種回路部品は、半導体基板51上に実装されていてもよい。あるいは、かかる回路部品は、ケース本体部2aの内側に設けられた不図示の制御回路基板上に実装されていてもよい。
トランスデューサユニット5と支持基板6との電気接続は、配線7を用いた方式に限定されない。すなわち、例えば、第一接着層8は、ハンダ等の導電性接合層であってもよい。
支持基板6は、省略され得る。すなわち、半導体基板51は、素子収容ケース4に直接的に固定され得る。
上記の説明において、互いに継ぎ目無く一体に形成されていた複数の構成要素は、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されてもよい。同様に、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されていた複数の構成要素は、互いに継ぎ目無く一体に形成されてもよい。
上記の説明において、互いに同一の材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに異なる材料によって形成されてもよい。同様に、互いに異なる材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに同一の材料によって形成されてもよい。
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
変形例も、上記の例示に限定されない。すなわち、例えば、複数の実施形態が、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。同様に、複数の変形例が、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。