前記課題を解決するためになされた第1の発明は、基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、各位置での少なくとも通信時間および移動速度を含む過去の通信状況に関する履歴情報を蓄積する記憶部と、前記位置情報に基づいて、自装置の現在位置に関する前記履歴情報を前記記憶部から取得して、接続先ごとの前記通信時間および前記移動速度に基づいて、当該端末装置が接続可能な接続先としての前記基地局装置の中から、通信品質の測定対象となる接続先を抽出して、抽出された接続先に関する通信品質を測定する制御部と、を備える構成とする。
これによると、端末装置に蓄積された履歴情報に基づいて、通信品質の測定対象を絞り込むため、基地局の負担を大きくすることなく、適切な接続先を効率よく探し出すことができる。特に、過去の通信時間に加えて、過去の移動速度を考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、測定対象を適切に絞り込むことができる。また、過去の通信時間が長い接続先に絞り込むようにすると、ハンドオーバによる瞬断を低減することができる。
また、第2の発明は、前記制御部は、前記位置情報に基づき推定した自装置の移動状態に基づいて、自装置の移動先エリアを予測して、その移動先エリアに関する接続先ごとの前記通信時間に基づいて、通信品質の測定対象となる接続先を抽出する構成とする。
これによると、移動先エリアに関する通信時間に基づいて、通信品質の測定対象を絞り込むため、最適な接続先を効率よく探し出すことができる。
また、第3の発明は、前記記憶部は、アプリケーションごとの必要通信時間に関する通信時間テーブルを記憶し、前記制御部は、接続先ごとの前記通信時間および移動速度と、ハンドオーバが必要か否かに応じて設定されたハンドオーバコストとに基づいて、接続先ごとの期待通信時間を取得するとともに、前記通信時間テーブルに基づいて、現在通信中のアプリケーションの必要通信時間を取得して、前記期待通信時間が前記必要通信時間以上となる接続先を測定対象に選定する構成とする。
これによると、不要なハンドオーバを抑止することができる。また、現在通信中のアプリケーションを考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、ユーザの体感品質を向上させることができる。
また、第4の発明は、基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、各位置での少なくとも通信時間を含む過去の通信状況に関する履歴情報を蓄積する記憶部と、前記位置情報に基づいて、自装置の現在位置に関する前記履歴情報を前記記憶部から取得して、接続先ごとの前記通信時間に基づいて、当該端末装置が接続可能な接続先としての前記基地局装置の中から、通信品質の測定対象となる接続先を抽出して、抽出された接続先に関する通信品質を測定する制御部と、を備え前記制御部は、ハンドオーバが必要となる接続先の評価が低くなるように、接続先ごとの前記通信時間を補正して、補正された通信時間に基づいて、通信品質の測定対象となる接続先を抽出する構成とする。
これによると、不要なハンドオーバを抑止して、ハンドオーバ時に発生する瞬断を低減することで、システム容量を向上させることができる。また、不要な測定報告を抑止して、端末装置の消費電力を低減するとともに、ネットワークの負荷を軽減することができる。
また、第5の発明は、基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、各位置での少なくとも消費電流を含む過去の通信状況に関する履歴情報を蓄積する記憶部と、前記位置情報に基づいて、自装置の現在位置に関する前記履歴情報を前記記憶部から取得して、接続先ごとの前記消費電流に基づいて、当該端末装置が接続可能な接続先としての前記基地局装置の中から、通信品質の測定対象となる接続先を抽出して、抽出された接続先に関する通信品質を測定する制御部と、を備える構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、端末装置に蓄積された履歴情報に基づいて、通信品質の測定対象を絞り込むため、基地局の負担を大きくすることなく、適切な接続先を効率よく探し出すことができる。特に、過去の消費電流を考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、測定対象を適切に絞り込むことができる。また、過去の消費電流が小さい接続先に絞り込むようにすると、消費電力を低減することができる。
また、第6の発明は、前記記憶部は、アプリケーションごとの必要消費電流に関する消費電流テーブルを記憶し、前記制御部は、接続先ごとの前記消費電流と、ハンドオーバが必要か否かに応じて設定されたハンドオーバコストとに基づいて、接続先ごとの期待消費電流を取得するとともに、前記消費電流テーブルに基づいて、現在通信中のアプリケーションの必要消費電流を取得して、前記期待消費電流が前記必要消費電流以上となる接続先を測定対象に選定する構成とする。
これによると、不要なハンドオーバを抑止することができる。また、現在通信中のアプリケーションを考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、ユーザの体感品質を向上させることができる。
また、第7の発明は、前記記憶部は、さらに通信中のアプリケーションの識別情報を蓄積し、前記制御部は、接続先ごとの前記消費電流および前記通信中のアプリケーションの識別情報に基づいて、通信品質の測定対象となる接続先を抽出する構成とする。
これによると、過去の消費電流に加えて、過去の通信中のアプリケーションを考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、測定対象を適切に絞り込むことができる。
また、第8の発明は、前記記憶部は、アプリケーションごとの必要消費電流に関する消費電流テーブルを記憶し、前記制御部は、接続先ごとの前記消費電流および前記通信中のアプリケーションの識別情報と、ハンドオーバが必要か否かに応じて設定されたハンドオーバコストとに基づいて、接続先ごとの期待消費電流を取得するとともに、前記消費電流テーブルに基づいて、現在通信中のアプリケーションの必要消費電流を取得して、前記期待消費電流が前記必要消費電流以上となる接続先を測定対象に選定する構成とする。
これによると、不要なハンドオーバを抑止することができる。また、現在通信中のアプリケーションを考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、ユーザの体感品質を向上させることができる。
また、第9の発明は、端末装置と、この端末装置と無線通信を行う基地局装置と、を備えた通信システムであって、前記端末装置は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、各位置での少なくとも通信時間および移動速度を含む過去の通信状況に関する履歴情報を蓄積する記憶部と、前記位置情報に基づいて、自装置の現在位置に関する前記履歴情報を前記記憶部から取得して、接続先ごとの前記通信時間および前記移動速度に基づいて、当該端末装置が接続可能な接続先としての前記基地局装置の中から、通信品質の測定対象となる接続先を抽出して、抽出された接続先に関する通信品質を測定する制御部と、を備える構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、基地局の負担を大きくすることなく、端末において、通信品質の測定対象を絞り込んで、適切な接続先を効率よく探し出すことができる。特に、過去の通信時間に加えて、過去の移動速度を考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、測定対象を適切に絞り込むことができる。
また、第10の発明は、端末装置と、この端末装置と無線通信を行う基地局装置と、を備えた通信システムであって、前記端末装置は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、各位置での少なくとも消費電流を含む過去の通信状況に関する履歴情報を蓄積する記憶部と、前記位置情報に基づいて、自装置の現在位置に関する前記履歴情報を前記記憶部から取得して、接続先ごとの前記消費電流に基づいて、当該端末装置が接続可能な接続先としての前記基地局装置の中から、通信品質の測定対象となる接続先を抽出して、抽出された接続先に関する通信品質を測定する制御部と、を備える構成とする。
これによると、第7の発明と同様に、基地局の負担を大きくすることなく、端末において、通信品質の測定対象を絞り込んで、適切な接続先を効率よく探し出すことができる。特に、過去の消費電流を考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、測定対象を適切に絞り込むことができる。
また、第11の発明は、基地局装置と無線通信を行う端末装置で行われる通信制御方法であって、自装置の位置情報を取得し、各位置での少なくとも通信時間および移動速度を含む過去の通信状況を記憶する履歴情報の中から、自装置の現在位置に関する履歴情報を取得し、取得した前記履歴情報の接続先ごとの前記通信時間および前記移動速度に基づいて、当該端末装置が接続可能な接続先としての前記基地局装置の中から、通信品質の測定対象となる接続先を抽出し、抽出された接続先に関する通信品質を測定する構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、基地局の負担を大きくすることなく、端末において、通信品質の測定対象を絞り込んで、適切な接続先を効率よく探し出すことができる。特に、過去の通信時間に加えて、過去の移動速度を考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、測定対象を適切に絞り込むことができる。
また、第12の発明は、基地局装置と無線通信を行う端末装置で行われる通信制御方法であって、自装置の位置情報を取得し、各位置での少なくとも消費電流を含む過去の通信状況を記憶する履歴情報の中から、自装置の現在位置に関する履歴情報を取得し、取得した前記履歴情報の接続先ごとの前記消費電流に基づいて、当該端末装置が接続可能な接続先としての前記基地局装置の中から、通信品質の測定対象となる接続先を抽出し、抽出された接続先に関する通信品質を測定する構成とする。
これによると、第7の発明と同様に、基地局の負担を大きくすることなく、端末において、通信品質の測定対象を絞り込んで、適切な接続先を効率よく探し出すことができる。特に、過去の消費電流を考慮して、通信品質の測定対象を絞り込むため、測定対象を適切に絞り込むことができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
この通信システムは、端末1(端末装置、図面ではUE1と記載)と、マクロセルの基地局2(基地局装置)と、低SHF帯セルの基地局3(基地局装置)と、高SHF帯セルの基地局4(基地局装置)と、無線LANの基地局5(アクセスポイント、基地局装置)と、を備えている。マクロセル、低SHF帯セル、高SHF帯セル、および無線LANの通信エリアは重畳して配置される。
端末1は、スマートフォンやタブレット端末などである。この端末1は、マクロセルの基地局2、低SHF帯セルの基地局3、高SHF帯セルの基地局4、および無線LANの基地局5の全てと通信を行うことができる。
マクロセルの基地局2は、UHF帯(周波数:300MHz~3GHz)を利用した無線通信を行うものである。低SHF帯セルの基地局3は、低SHF帯(周波数:3GHz~6GHz)を利用した無線通信を行うものである。高SHF帯セルの基地局4は、高SHF帯(周波数:6GHz~30GHz帯)を利用した無線通信を行うものである。無線LANの基地局5は、Wi-Fi(登録商標)やWiGig(登録商標)などの無線LAN通信を行うものである。
本実施形態では、マクロセル、低SHF帯セル、高SHF帯セル、および無線LANの通信エリアの全てを含むエリアを対象にして、所定の形状(例えば正方形、円、楕円)の均一な大きさのメッシュが設定され、端末1において、各メッシュでの過去の通信状況に関する履歴情報を蓄積した履歴データベースが構築される。なお、端末1は、各メッシュの位置情報を記憶しており、自端末がどのメッシュ内にいるかを把握している。
次に、端末1およびマクロセルの基地局2の動作について説明する。図2は、端末1およびマクロセルの基地局2の動作の概要を示すシーケンス図である。
マクロセルの基地局2では、まず、対象となる端末1と接続可能な基地局2~5を接続先候補としてリストアップした接続先候補リストを生成する。そして、その接続先候補リストを含む測定制御のメッセージ(Measurement Configuration)を端末1に送信する。
端末1では、マクロセルの基地局2から送信される測定制御のメッセージ(Measurement Configuration)を受信すると、履歴データベースを使用して測定対象を抽出する処理が行われる。この処理では、端末1が現在位置するメッシュを特定して、そのメッシュの履歴情報に基づいて、測定制御のメッセージに含まれる接続先候補リストに提示された接続先の中から、通信品質の測定対象とする接続先を抽出する。
ついで、測定対象として抽出した接続先に関する通信品質(例えばSINR)を測定する。そして、通信品質の測定結果が測定報告の条件を満たす場合には、通信品質の測定結果を含む測定報告のメッセージ(Measurement Report)をマクロセルの基地局2に送信する。
マクロセルの基地局2では、端末1から送信される測定報告のメッセージ(Measurement Report)を受信すると、ハンドオーバ制御に進み、測定報告のメッセージに基づいて、対象となる端末1の接続先を決定する。そして、接続先として決定された基地局2~5に関する接続先情報を端末1に送信する。
なお、端末1において、通信品質の測定結果が測定報告の条件を満たさない場合には、測定報告のメッセージはマクロセルの基地局2に送信されず、ハンドオーバ制御は行われない。
次に、第1実施形態に係る端末1の概略構成について説明する。図3は、端末1の概略構成を示すブロック図である。
端末1は、通信部11と、位置情報取得部12と、制御部13と、記憶部14と、を備えている。
通信部11は、マクロセルの基地局2、低SHF帯セルの基地局3、高SHF帯セルの基地局4、および無線LANの基地局5(アクセスポイント)との間で通信を行う。
位置情報取得部12は、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムにより端末1の位置情報を取得する。
記憶部14は、制御部13で管理される履歴データベースの登録情報や、制御部13で用いられる通信時間テーブルの登録情報や、制御部13を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
制御部13は、接続先探索部21と、履歴登録部22と、を備えている。この制御部13はプロセッサで構成され、制御部13の各部は、記憶部14に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
接続先探索部21は、最適な接続先を探索するものであり、測定対象抽出部23と、通信品質測定部24と、を備えている。
測定対象抽出部23は、端末1が現在位置するメッシュの履歴情報を、記憶部14の履歴データベースから取得して、その履歴情報に基づいて、通信品質の測定対象とする接続先を抽出する。
通信品質測定部24は、測定対象抽出部23で測定対象として抽出された接続先に関する通信品質を測定する。本実施形態では、通信品質として、SINR(信号対干渉雑音比:Signal to Interference plus Noise power Ratio)を測定する。
履歴登録部22は、1つのメッシュに端末1が位置するタイミングで、その時点での通信状況に関する情報(接続先情報および通信品質情報)を取得して、その情報を当該メッシュの履歴情報として履歴データベースに登録する。この履歴登録処理を周期的に行うことで、端末1が通過した全てのメッシュの履歴情報を履歴データベースに登録することができる。
次に、第1実施形態に係る測定対象抽出部23で参照される履歴データベースについて説明する。図4は、履歴データベースの登録内容の一例を示す説明図である。
本実施形態では、測定対象抽出部23において、記憶部14の履歴データベースから、端末1が現在位置するメッシュの履歴情報を取得して、そのメッシュの履歴情報に基づいて、測定対象となる接続先を抽出する。
履歴データベースには、履歴情報として、例えば1秒間隔の各時刻(Time)におけるメッシュID、接続先情報および通信品質情報が登録されている。メッシュIDは、当該時刻において端末が位置したメッシュを表す。接続先情報は、当該時刻における接続先に関する情報であり、接続先識別子、周波数および通信方式が登録されている。通信品質情報は、当該時刻における通信品質の測定結果であり、受信電力、スループットおよび通信データ量が登録されている。
なお、メッシュIDは、メッシュに付与された識別番号である。また、接続先識別子は、接続先の基地局2~5の識別情報であり、セルラー通信ではセルIDなどであり、無線LANではSSIDなどである。
また、履歴データベースに、端末1の位置情報(緯度、経度および高度)も登録するようにしてもよい。また、通信品質情報は、受信電力、スループットおよび通信データ量に限定されるものではなく、干渉量、切断率、誤り率、接続率などを登録するようにしてもよい。
また、時間帯ごとに履歴情報を履歴データベースに登録するようにしてもよい。これにより、時間帯に応じて最適な接続先が異なる場合に、最適な接続先に接続することが可能となる。
また、端末1が過去に通過したことがない区域では通信の実績がないため、このような区域のメッシュには履歴情報が登録されていない。この場合、履歴情報が登録されていないメッシュの周辺に位置するメッシュの履歴情報を用いて履歴情報の補間を行うようにしてもよい。
また、履歴データベースを他の端末1と共有するようにしてもよい。例えば、各端末1の履歴情報をサーバにアップロードして、サーバにおいて、各端末1の履歴情報を統合して、その統合された履歴情報を各端末1に配信する。これにより、端末1が過去に通過したことがない区域に位置するメッシュの履歴情報を利用することができる。また、履歴がない区域では、従来動作(接続先候補を全て測定)し、履歴情報を蓄積するようにしてもよい。
次に、第1実施形態に係る測定対象抽出部23で行われる処理について説明する。図5は、測定対象抽出部23で行われる処理の概要を示す説明図である。
端末1は、自端末が現在位置しているメッシュ(メッシュID)を把握している。そこで、測定対象抽出部23では、履歴データベース(図4参照)のメッシュIDから、端末1が現在位置するメッシュの履歴情報を抽出して、その履歴情報に基づいて、図5(A)に示すように、接続先ごとの通信時間(在圏時間)、すなわち、各接続先に接続して連続して通信していた時間を取得する。
図5に示す例では、図5(B)に示すように、現在の接続先が、接続先識別子が「123」となるセルである。一方、図5(A)に示すように、端末1が現在位置するメッシュ(メッシュID:16097)の履歴情報では、2つの接続先(接続先識別子:101,123)がある。ここで、履歴データベース(図4参照)では、各時刻(Time)を1秒間隔としており、接続先(接続先識別子:101)では、通信時間が2秒となり、接続先(接続先識別子:123)では、通信時間が1秒となる。
また、測定対象抽出部23では、接続先ごとの通信時間から、図5(C)に示すように、接続先ごとの期待通信時間を算出する。
このとき、現在通信中の接続先ではない、すなわち、その接続先と接続するにはハンドオーバを行うことが必要となる接続先である場合には、ハンドオーバに関するパラメータとして、ハンドオーバ時の端末1や基地局2の負荷に相当するハンドオーバコストを接続先ごとに設定して、この接続先ごとのハンドオーバコストと、端末1が現在位置するメッシュの履歴情報から取得した接続先ごとの通信時間とに基づいて、接続先ごとの期待通信時間を算出する。すなわち、通信時間をハンドオーバコストで補正することで、期待通信時間を算出する。
具体的には、次式のように、履歴情報から取得した接続先ごとの通信時間から、接続先ごとのハンドオーバコストを減算して、接続先ごとの期待通信時間を算出する。なお、現在通信中の接続先では、ハンドオーバコストは「0」となる。
期待通信時間=通信時間-ハンドオーバコスト
図5(C)に示す例では、現在通信中の接続先ではない場合のハンドオーバコストを0.5sに設定しており、現在の接続先(接続先識別子:123)では、期待通信時間は、1s-0s=1sとなる。一方、現在の接続先と異なる接続先(接続先識別子:101)では、期待通信時間は、2s-0.5s=1.5sとなる。
これにより、接続先が、現在通信中の接続先でない、すなわち、その接続先と接続するにはハンドオーバが必要となる場合には、期待通信時間が短くなり、ハンドオーバが発生する接続先の評価が低くなる。
次に、第1実施形態に係る測定対象抽出部23で参照される通信時間テーブルについて説明する。図6は、通信時間テーブルの一例を示す説明図である。
測定対象抽出部23では、記憶部14の通信時間テーブルに基づいて、現在通信中のアプリケーションの必要通信時間を取得する。
この通信時間テーブルには、アプリケーションごとの必要通信時間(連続通信時間)が登録されている。図6に示す例では、VoLTE通話、映像配信、トーク(チャット)、VoIP通話、地図配信、経路案内、ゲームの各アプリケーションの必要通信時間が登録されている。ここでは、アプリケーションの種類ごとに、必要通信時間を登録する例を示しているが、個別のアプリケーションごとに一意に設定されるスライスIDなどの識別情報を用いて、アプリケーション個々に必要通信時間を登録するようにしてもよい。
なお、アプリケーションごとの必要通信時間は、ユーザの使用状況に応じて大きく変わるため、ユーザの使用状況に応じて通信時間テーブルを更新するようにしてもよい。
次に、第1実施形態に係る接続先探索部21で行われる処理の手順について説明する。図7は、接続先探索部21で行われる処理の手順を示すフロー図である。なお、この手順は、データ受信(ダウンロード)時およびデータ送信(アップロード)時の両方に適用される。
接続先探索部21では、まず、位置情報取得部12から取得した端末1の現在の位置情報に基づいて、端末1が現在位置するメッシュIDを取得する(ST101)。次に、通信時間を考慮した制御を行うか否かを判定する(ST102)。なお、通信時間を考慮した制御を行うか否かは、予めユーザが設定しておくようにするとよい。または、電池残量が閾値以下になった場合に通信時間を考慮した制御を行う設定としてもよい。
ここで、通信時間を考慮した制御を行う場合には(ST102でYes)、次に、履歴データベースから、端末1が現在位置するメッシュIDの履歴情報を抽出して、その履歴情報に基づいて、接続先ごとの通信時間(在圏時間)を取得する(ST103)。次に、接続先ごとの通信時間およびハンドオーバコストに基づいて、接続先ごとの期待通信時間を算出する(ST104)。
また、記憶部14の通信時間テーブルに基づいて、現在通信中のアプリケーションの必要通信時間を取得する(ST105)。
次に、接続先番号jおよび選定済み接続先nを初期化する(ST106)。そして、期待通信時間が長い順に接続先を並べるソートを行い、順に接続先に接続先番号jを割り振る(ST107)。
次に、既に測定対象に選定された接続先の数(選定済み接続先数n)が、測定対象とする上限の接続先の数(測定対象抽出数N)より小さいか否かを判定する(ST108)。なお、測定対象抽出数Nは、予め端末1に設定されていてもよい。あるいは、端末の電池残量に応じて可変に設定されてもよく、電池残量が少なければ、測定対象抽出数Nが小さくなるように設定する。ここで、選定済み接続先数nが測定対象抽出数Nより小さい場合には(ST107でYes)、次に、接続先番号jの接続先(最初は期待通信時間が最も長い接続先)を対象にして、期待通信時間が必要通信時間以上か否かを判定する(ST109)。
ここで、期待通信時間が必要通信時間以上である場合には(ST109でYes)、その接続先を測定対象に選定して、選定済み接続先nを1増分する(ST110)。そして、接続先番号jを1増分して(ST111)、ST108に戻り、次順位の接続先を対象にして判定を行う。なお、ここでは図示していないが、増分された接続先番号jが、期待通信時間が長い順にソートされた接続先の数に達した場合は、選定済み接続先数nが測定対象抽出数Nに達しなくても、ST112に遷移するものとする。
一方、期待通信時間が必要通信時間以上でない場合には(ST109でNo)、接続先番号jの接続先を測定対象に選定することなく、接続先番号jを1増分して(ST111)、ST108に戻り、次順位の接続先を対象にして判定を行う。
そして、選定済み接続先数nが測定対象抽出数Nに達すると(ST108でNo)、測定対象に選定された接続先を対象にしてSINRを測定する(ST112)。
一方、通信時間を考慮した制御を行わない場合には(ST102でNo)、履歴データベースから、端末1が現在位置するメッシュIDの履歴情報を抽出して、その履歴情報に基づいて、接続先ごとの通信品質を取得する(ST113)。次に、通信品質が高い順に接続先を並べるソートを行い、通信品質が上位から所定数(測定対象抽出数N)の接続先を測定対象として選定する(ST114)。そして、測定対象に選定された接続先を対象にしてSINRを測定する(ST112)。
このように本実施形態では、通信時間が長い接続先から順に測定対象に選定することから、通信時間が長い接続先に絞り込むことができるため、ハンドオーバによる瞬断を低減することができる。
なお、本実施形態では、履歴情報から接続先ごとの通信時間を求めて、その通信時間をハンドオーバコストで補正することで期待通信時間を取得して、その期待通信時間が、使用中のアプリケーションの必要通信時間以上となる場合に、測定対象に選定するようにしたが、ハンドオーバコストによる補正を省略するようにしてもよい。さらに、使用中のアプリケーションの必要通信時間との比較を省略して、通信時間が長いものから所定数(測定対象抽出数N)の接続先を測定対象として選定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、履歴情報から接続先ごとの通信時間を取得して、その通信時間に基づいて、測定対象とする接続先を抽出するようにしたが、履歴情報から接続先ごとの通信時間および通信品質(例えば受信電力)を取得して、その通信時間および通信品質の両方に基づいて、測定対象とする接続先を抽出するようにしてもよい。
次に、第1実施形態に係る接続先探索処理の効果について説明する。図8は、接続先探索処理の効果の一例を示す説明図である。
本例では、図8(A)に示すように、5GのNR(New Radio)となる高SHF帯またはEHF帯(ミリ波帯)を利用した無線通信を行う2つのセルA,Bが隣接しており、端末1が移動するのに応じて、2つのセルA,Bのいずれかが接続先に選択される。
ここで、図8(B)に示すように、履歴情報の通信品質が良好な接続先が、セルA、セルB、セルA、セルBと変化する場合、図8(C-1)に示すように、本実施形態による制御を行わない場合、すなわち、履歴情報の通信品質に基づいて測定対象を抽出した場合には、ハンドオーバによる瞬断が頻発する。
一方、図8(C-2)に示すように、本実施形態による制御を行うと、ハンドオーバが抑制され、接続先をセルAとした状態が継続し、ハンドオーバによる瞬断を抑制することができる。
また、図8(D)に示すように、本実施形態による制御を行うと、ハンドオーバによる瞬断が抑制されるため、本実施形態による制御を行わない場合より累積通信容量を増やすことができる。
なお、本実施形態では、履歴情報の通信時間を考慮して、測定対象となる接続先を抽出するようにしたが、通信時間に加えて、履歴情報の通信品質を考慮して、測定対象となる接続先を抽出するようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
第1実施形態では、履歴情報に含まれる通信時間(在圏時間)を考慮して、測定対象となる接続先を抽出するようにしたが、本実施形態では、通信時間の他に端末1の移動速度を考慮して、測定対象となる接続先を抽出する。
次に、第2実施形態に係る測定対象抽出部23で参照される履歴データベースについて説明する。図9は、履歴データベースの登録内容の一例を示す説明図である。
本実施形態では、履歴データベースに、履歴情報として、例えば1秒間隔の各時刻(Time)におけるメッシュID、移動速度、接続先情報および通信品質情報が登録されている。メッシュID、接続先情報および通信品質情報は、第1実施形態(図4参照)と同様である。移動速度は、当該時刻における端末1の移動速度である。なお、移動速度は、位置情報取得部12で取得した位置情報の推移状況から算出すればよい。
次に、第2実施形態に係る測定対象抽出部23で行われる処理について説明する。図10は、測定対象抽出部23で行われる処理の概要を示す説明図である。
第1実施形態(図5参照)と同様に、図10に示す例では、図10(B)に示すように、現在の接続先が、接続先識別子が「123」となるセルである。一方、図10(A)に示すように、端末1が現在位置するメッシュ(メッシュID:16097)の履歴情報では、2つの接続先(接続先識別子:101,123)がある。ここで、履歴データベース(図9参照)では、各時刻(Time)を1秒間隔としており、接続先(接続先識別子:101)では、通信時間が2秒となり、接続先(接続先識別子:123)では、通信時間が1秒となる。
本実施形態では、履歴データベースから、接続先ごとの通信時間の他に、接続先ごとの移動速度も取得する。そして、接続先ごとの通信時間および移動速度から、図10(C)に示すように、接続先ごとの期待通信時間を算出する。なお、同じ接続先の履歴情報として異なる移動速度が複数ある場合は、平均値を取得するようにしてもよいし、直近の履歴情報の移動速度を取得するようにしてもよいし、現在の端末1の移動速度に最も近い移動速度を取得するようにしてもよい。
ここで、端末1の移動速度が速くなるのに応じて通信品質が低下することから、履歴情報の接続先に対応する移動速度より、現在の移動速度の方が速い状況にあった場合は、その接続先を低く評価する必要がある。
そこで、本実施形態では、現在通信中でない接続先では、履歴情報から取得した過去の移動速度と現在の移動速度との比率(過去の移動速度/現在の移動速度)である速度係数を求めて、次式のように、通信時間からハンドオーバコストを減算した値に速度係数を乗じて、期待通信時間を算出する。なお、本実施形態でも、現在通信中の接続先では、ハンドオーバコストは「0」、現在通信中ではない接続先では、ハンドオーバコストは「0.5」に設定している。また、現在通信中の接続先では、過去の移動速度と現在の移動速度は同じなので、速度係数は「1」となる。
期待通信時間=(通信時間-ハンドオーバコスト)×速度係数
図10(A)に示す例では、現在の接続先(接続先識別子:123)での移動速度が10km/hとなり、別の接続先(接続先識別子:101)での移動速度が5km/hとなっている。したがって、図10に示すように、現在の接続先(接続先識別子:123)では、期待通信時間は、(1s-0s)×(10/10)=1sとなる。一方、現在の接続先と異なる接続先(接続先識別子:101)では、期待通信時間は、(2s-0.5s)×(5/10)=0.75sとなる。
これにより、過去の移動速度が現在の移動速度より遅い場合には、期待通信時間が短くなり、現在の移動速度より移動速度が遅い状況にあった接続先の評価が低くなる。
次に、第2実施形態に係る接続先探索部21で行われる処理の手順について説明する。図11は、接続先探索部21で行われる処理の手順を示すフロー図である。なお、この手順は、データ受信(ダウンロード)時およびデータ送信(アップロード)時の両方に適用される。
接続先探索部21では、まず、位置情報取得部12から取得した端末1の現在の位置情報に基づいて、端末1が現在位置するメッシュIDを取得する(ST101)。次に、通信時間および移動速度を考慮した制御を行うか否かを判定する(ST121)。
ここで、通信時間および移動速度を考慮した制御を行う場合には(ST121でYes)、次に、履歴データベースから、端末1が現在位置するメッシュIDの履歴情報を抽出して、その履歴情報に基づいて、接続先ごとの通信時間(在圏時間)および移動速度を取得する(ST122)。次に、接続先ごとの通信時間、ハンドオーバコストおよび移動速度に基づいて、接続先ごとの期待通信時間を算出する(ST123)。
以降は、第1実施形態(図7参照)と同様である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
第1実施形態では、履歴情報に含まれる通信時間を考慮して、測定対象となる接続先を抽出するようにしたが、本実施形態では、通信時の消費電流を考慮して、測定対象となる接続先を抽出する。
次に、第3実施形態に係る端末1の概略構成について説明する。図12は、端末1の概略構成を示すブロック図である。
端末1の構成は、第1実施形態(図3参照)と略同様であるが、本実施形態では、消費電流測定部31が設けられている。この消費電流測定部31は、通信時に電池32から通信部11に給電する電流を測定する。
なお、本実施形態では、電池32から通信部11に給電する電流を測定するようにしたが、電池32の残量の変化で消費電流を測定するようにしてもよい。また、消費電流ではなく、消費電力を測定するようにしてもよい。
次に、第3実施形態に係る測定対象抽出部23で参照される履歴データベースについて説明する。図13は、履歴データベースの登録内容の一例を示す説明図である。
本実施形態では、履歴データベースに、履歴情報として、例えば1秒間隔の各時刻(Time)におけるメッシュID、消費電流、接続先情報および通信品質情報が登録されている。メッシュID、接続先情報および通信品質情報は、第1実施形態(図4参照)と同様である。消費電流は、当該時刻において消費電流測定部31で測定された消費電流である。
次に、第3実施形態に係る測定対象抽出部23で行われる処理について説明する。図14は、測定対象抽出部23で行われる処理の概要を示す説明図である。
前記実施形態と同様に、図14に示す例では、図14(B)に示すように、現在の接続先が、接続先識別子が「123」となるセルである。一方、図14(A)に示すように、端末1が現在位置するメッシュ(メッシュID:16097)の履歴情報では、2つの接続先(接続先識別子:101,123)がある。ここで、履歴データベース(図13参照)では、接続先(接続先識別子:101)に該当する消費電流は「500」と「400」の2つがあり、接続先(接続先識別子:123)に該当する消費電流は、「200」の1つである。
本実施形態では、測定対象抽出部23において、履歴データベースから、端末1が現在位置するメッシュの履歴情報を抽出して、その履歴情報に基づいて、図14(A)に示すように、接続先ごとの自端末の消費電流を取得する。このとき、同じ接続先において複数の消費電流がある場合は、その平均値を当該接続先の消費電流とするとよい。ここでは、接続先(接続先識別子:101)に該当する消費電流は「500」と「400」の2つがあるので、その平均である「450」とする。そして、接続先ごとの消費電流に基づいて、図14(C)に示すように、接続先ごとの期待消費電流(その接続先に接続した場合に予想される自端末の消費電流)を算出する。
具体的には、次式のように、履歴情報から取得した接続先ごとの消費電流から、接続先ごとのハンドオーバコストに定数を乗じたものを減算して、接続先ごとの期待消費電流を算出する。なお、本実施形態でも、現在通信中の接続先では、ハンドオーバコストは「0」、現在通信中ではない接続先では、ハンドオーバコストは「0.5」に設定しているが、シミュレーションにより消費電流の場合に最適なハンドオーバコストを決定してもよい。
期待消費電流=消費電流+(定数×ハンドオーバコスト)
図14(C)に示す例では、ハンドオーバコストに乗じる定数を「100」に設定しており、現在の接続先(接続先識別子:123)では、期待消費電流は、200+(100×0)=200mAとなる。したがって、現在の接続先の期待消費電流は、履歴情報の消費電流に等しくなる。一方、現在の接続先と異なる接続先(接続先識別子:101)では、期待消費電流は、450+(100×0.5)=500mAとなる。したがって、接続するにはハンドオーバが発生する接続先の期待消費電流は、履歴情報の消費電流よりも大きくなる。
これにより、接続先が、現在通信中の接続先でない、すなわち、ハンドオーバが必要となる場合には、期待消費電流が大きくなり、ハンドオーバが必要となる接続先の評価が低くなる。
次に、第3実施形態に係る測定対象抽出部23で参照される消費電流テーブルについて説明する。図15は、消費電流テーブルの一例を示す説明図である。
本実施形態では、測定対象抽出部23において、記憶部14の消費電流テーブルに基づいて、現在通信中のアプリケーションが動作するのに必要とする必要消費電流を取得する。
この消費電流テーブルには、アプリケーションごとの必要消費電流(単位時間当たりの平均消費電流)が登録されている。図15に示す例では、VoLTE通話、映像配信、トーク(チャット)、VoIP通話、地図配信、経路案内、ゲームの各アプリケーションの必要通信時間が登録されている。ここでは、アプリケーションの種類ごとに、必要消費電流を登録する例を示しているが、個別のアプリケーションごとに一意に設定されるスライスIDなどの識別情報を用いて、アプリケーション個々に必要消費電流を登録するようにしてもよい。
なお、アプリケーションごとの必要消費電流は、ユーザの使用状況に応じて大きく変わるため、ユーザの使用状況に応じて消費電流テーブルを更新するようにしてもよい。
次に、第3実施形態に係る接続先探索部21で行われる処理の手順について説明する。図16は、接続先探索部21で行われる処理の手順を示すフロー図である。なお、この手順は、データ送信(アップロード)時に適用される。
接続先探索部21では、まず、位置情報取得部12から取得した端末1の現在の位置情報に基づいて、端末1が現在位置するメッシュIDを取得する(ST101)。次に、消費電流を考慮した制御を行うか否かを判定する(ST131)。
ここで、消費電流を考慮した制御を行う場合には(ST131でYes)、次に、履歴データベースから、端末1が現在位置するメッシュIDの履歴情報を抽出して、その履歴情報に基づいて、接続先ごとの消費電流を取得する(ST132)。次に、接続先ごとの消費電流およびハンドオーバコストに基づいて、接続先ごとの期待消費電流を算出する(ST133)。
また、記憶部14の消費電流テーブルに基づいて、現在通信中のアプリケーションの必要消費電流を取得する(ST134)。
次に、接続先番号jおよび選定済み接続先数nを初期化する(ST106)。そして、端末1の消費電流が小さい接続先を優先するため、期待消費電流が小さい順に接続先を並べるソートを行い、順に接続先に接続先番号jを割り振る(ST135)。
次に、選定済み接続先数nが測定対象抽出数Nより小さいか否かを判定する(ST108)。ここで、選定済み接続先数nが測定対象抽出数Nより小さい場合には(ST108でYes)、次に、接続先番号jの接続先(最初は期待消費電流が最も小さい接続先)を対象にして、期待消費電流が必要消費電流以上か否かを判定する(ST136)。
ここで、期待消費電流が必要消費電流以上である場合には(ST136でYes)、その接続先を測定対象に選定して、選定済み接続先nを1増分する(ST110)。そして、接続先番号jを1増分して(ST111)、ST108に戻り、次順位の接続先を対象にして判定を行う。
一方、期待消費電流が必要消費電流以上でない場合には(ST136でNo)、接続先を測定対象に選定することなく、接続先番号jを1増分して(ST101)、ST108に戻り、次順位の接続先を対象にして判定を行う。
以降は、第1実施形態(図7参照)と同様である。
このように本実施形態では、端末1の消費電流が小さい接続先から順に測定対象に選定することから、測定対象を消費電流が小さい接続先に絞り込むことができるため、端末1の消費電力を低減することができる。
なお、本実施形態では、履歴情報から接続先ごとの消費電流を取得して、その消費電流に基づいて、測定対象とする接続先を抽出するようにしたが、履歴情報から接続先ごとの消費電流および通信品質(例えば受信電力)を取得して、その消費電流および通信品質の両方に基づいて、測定対象とする接続先を抽出するようにしてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
第3実施形態では、履歴情報に含まれる消費電流を考慮して、測定対象となる接続先を抽出するようにしたが、本実施形態では、消費電流の他に、履歴情報に含まれる通信中アプリケーションを考慮して、測定対象となる接続先を抽出する。
次に、第4実施形態に係る測定対象抽出部23で参照される履歴データベースについて説明する。図17は、履歴データベースの登録内容の一例を示す説明図である。
本実施形態では、履歴データベースに、履歴情報として、例えば1秒間隔の各時刻(Time)におけるメッシュID、通信中アプリケーション、消費電流、接続先情報および通信品質情報が登録されている。メッシュID、消費電流、接続先情報および通信品質情報は、第3実施形態(図13参照)と同様である。通信中アプリケーションは、当該時刻において通信部11を使用して通信を行っていたアプリケーションの識別情報である。このアプリケーションの識別情報は、アプリケーションの種類ごとの識別情報であっても、あるいは、個別のアプリケーションごとに一意に設定されるスライスIDなどの識別情報であってもよい。
次に、第4実施形態に係る測定対象抽出部23で行われる処理について説明する。図18は、測定対象抽出部23で行われる処理の概要を示す説明図である。
前記実施形態と同様に、図18に示す例では、図18(B)に示すように、現在の接続先が、接続先識別子が「123」となるセルである。一方、図18(A)に示すように、端末1が現在位置するメッシュ(メッシュID:16097)の履歴情報では、2つの接続先(接続先識別子:101,123)がある。ここで、履歴データベース(図17参照)では、接続先(接続先識別子:101)に該当する履歴情報は2つあるが、いずれも通信中アプリケーションの識別情報は「A」であり、接続先(接続先識別子:123)に該当する通信中アプリケーションの識別情報は「B」である。また、接続先(接続先識別子:101)に該当する消費電流は「500」と「400」の2つがあり、接続先(接続先識別子:123)に該当する消費電流は、「200」の1つである。
本実施形態では、測定対象抽出部23において、履歴データベースから、端末1が現在位置するメッシュの履歴情報を抽出して、その履歴情報に基づいて、図18(A)に示すように、接続先ごとの通信中アプリケーションおよび消費電流を取得する。このとき、同じ接続先において複数の消費電流がある場合は、その平均値を当該接続先の消費電流とするとよい。ここでは、接続先(接続先識別子:101)に該当する消費電流は「500」と「400」の2つがあるので、その平均である「450」とする。なお、直近の消費電流を取得するようにしてもよい。そして、接続先ごとの通信中アプリケーションおよび消費電流に基づいて、図18(C)に示すように、接続先ごとの期待消費電流を算出する。
また、本実施形態では、履歴情報から取得した過去の通信中アプリケーションの消費電流と現在の通信中アプリケーションの消費電流との比率(過去の通信中アプリケーションの消費電流/現在の通信中アプリケーションの消費電流)であるアプリケーション係数を求めて、次式のように、通信時間からハンドオーバコストを減算した値にアプリケーション係数を乗じて、期待消費電流を算出する。
図17に示す例では、現在通信中の接続先(接続先識別子:123)の場合は、「過去の通信中アプリケーションの消費電流」と「現在の通信中アプリケーションの消費電流」のいずれも、「200」であり、現在通信中ではない接続先(接続先識別子:101)の場合は、「過去の通信中アプリケーションの消費電流」は平均値の「450」、「現在の通信中アプリケーションの消費電流」は「200」である。また、本実施形態でも、現在通信中の接続先では、ハンドオーバコストは「0」、現在通信中ではない接続先では、ハンドオーバコストは「0.5」に設定している。また、ハンドオーバコストに乗じる定数を「100」に設定している。また、現在通信中の接続先では、上述のようにアプリケーション係数は「1」となる。
期待消費電流=過去の消費電流+(定数×ハンドオーバコスト)×アプリケーション係数
図18に示す例では、図18(B)に示すように、現在の接続先が、接続先識別子が「123」となるセルであり、アプリケーションBが通信中である。一方、図18(A)に示すように、端末1が現在位置するメッシュ(メッシュID:16097)の履歴情報では、一方の接続先(接続先識別子:101)では、過去に、アプリケーションAが通信中だったことがあり、他方の接続先(接続先識別子:123)では、アプリケーションBが現在、通信中である。
ここで、現在の通信中アプリケーションBの消費電流が200mAとし、アプリケーションAの消費電流が平均値の450mAとすると、図18(C)に示すように、現在の接続先(接続先識別子:123)では、期待消費電流は、200+(100×0)×(200/200)=200mAとなる。したがって、現在の接続先の期待消費電流は、履歴情報の消費電流に等しくなる。一方、現在の接続先と異なる接続先(接続先識別子:101)では、期待消費電流は、450+(100×0.5)×(400/200)=550mAとなる。したがって、接続するにはハンドオーバが発生する接続先の期待消費電流は、履歴情報の消費電流よりも大きくなる。
次に、第4実施形態に係る接続先探索部21で行われる処理の手順について説明する。図19は、接続先探索部21で行われる処理の手順を示すフロー図である。なお、この手順は、データ送信(アップロード)時に適用される。
接続先探索部21では、まず、位置情報取得部12から取得した端末1の現在の位置情報に基づいて、端末1が現在位置するメッシュIDを取得する(ST101)。次に、消費電流および通信中アプリケーションを考慮した制御を行うか否かを判定する(ST141)。
ここで、消費電流および通信中アプリケーションを考慮した制御を行う場合には(ST141でYes)、次に、履歴データベースから、端末1が現在位置するメッシュIDの履歴情報を抽出して、その履歴情報に基づいて、接続先ごとの消費電流および通信中アプリケーションを取得する(ST142)。次に、接続先ごとの消費電流、ハンドオーバコストおよび通信中アプリケーションに基づいて、接続先ごとの期待消費電流を算出する(ST143)。
以降は、第1実施形態(図7参照)と同様である。
このように本実施形態では、端末1の使用アプリケーションの消費電流が小さい接続先から順に測定対象に選定することから、測定対象を消費電流が小さい接続先に絞り込むことができるため、端末1の消費電力を低減することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
本実施形態では、前記の実施形態と同様に、接続先探索処理として、履歴データベースにメッシュごとに登録された履歴情報を参照して、通信品質の測定対象とする接続先を抽出して、その接続先に関する通信品質を測定するが、前記の実施形態のように、端末1が現在位置するメッシュの履歴情報を参照するようにすると、通信品質の測定が完了する前に、参照元のメッシュを端末1が通り過ぎてしまうことで、接続先探索の処理が無駄になる場合がある。
そこで、本実施形態では、端末1の位置情報に基づいて、端末1の移動状態(移動速度や移動方向)を推定して、その移動状態に基づいて、端末1の移動先となるメッシュ(移動先エリア)を予測して、その移動先となるメッシュの履歴情報に基づいて、通信品質の測定対象とする移動先を抽出して、その接続先に関する通信品質を測定する。
これにより、接続先探索の処理が無駄になることがなく、最適な接続先を効率よく探し出すことができる。また、高速大容量なセルとの接続時間を増大することができるため、システム容量を向上させることができる。
次に、第5実施形態に係る端末1の概略構成について説明する。図20は、端末1の概略構成を示すブロック図である。
端末1の構成は、第1実施形態(図3参照)と略同様であるが、制御部13が、接続先探索部21および履歴登録部22の他に、移動状態推定部25と、移動先予測部26と、タイミング制御部27と、を備えている。
移動状態推定部25は、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得し、また、記憶部14から過去の位置情報を取得して、現在の位置情報および過去の位置情報に基づいて、端末1の現在の移動状態として、移動速度および移動方向を推定する。なお、この移動状態の推定では、位置情報としての緯度、経度および高度から空間的な移動状態を取得するようにするとよいが、緯度および経度のみから水平面上の移動状態を取得するようにしてもよい。また、セル切り替え回数やセル再選択回数を計数して、その回数に基づいて移動状態を推定するようにしてもよい。
移動先予測部26は、移動状態推定部25で取得した端末1の移動状態(移動速度および移動方向)に基づいて、端末1の将来の移動先であるターゲットメッシュ(移動先エリア)を予測する。
測定対象抽出部23は、移動先予測部26で取得したターゲットメッシュの履歴情報を、記憶部14の履歴データベースから取得して、そのターゲットメッシュの履歴情報に基づいて、通信品質の測定対象とする接続先を抽出する。
タイミング制御部27は、移動状態推定部25で取得した端末1の移動状態(移動速度および移動方向)、および現在の接続先と測定対象となる接続先とで周波数が異なるか否かに基づいて、接続先探索処理、すなわち、測定対象抽出部で行われる測定対象抽出、および通信品質測定部24で行われる通信品質測定の処理を開始するタイミング(位置)を決定し、接続先探索処理を開始するタイミングになると、測定対象抽出部23に測定対象抽出の処理を実施させ、続いて通信品質測定部24に通信品質測定の処理を実施させる。
次に、第5実施形態に係る移動先予測部26で行われる処理について説明する。図21は、移動先予測部26で行われる処理の概要を示す説明図である。
本実施形態では、移動先予測部26において、端末1の移動状況に基づいて端末1の将来の移動先であるターゲットメッシュを予測し、そのターゲットメッシュの履歴情報を参照して、通信品質の測定対象とする接続先を抽出して、その接続先に関する通信品質を測定する。
本実施形態では、移動状態推定部25で取得した端末1の移動速度および移動方向に基づいて、ターゲットメッシュを決定する。
ここで、端末1の移動速度が遅い場合には、端末1が現在位置するメッシュに隣接するメッシュをターゲットメッシュとして選択する。
図21(A)に示す例は、端末1の移動速度が遅く、かつ、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合である。この場合、端末1が現在位置するメッシュに対して端末1の進行方向に隣接する1つのメッシュをターゲットメッシュとして選択し、ターゲットメッシュの数は1となる。なお、ここではメッシュの形状を正方形として例示するが、円や楕円であってもよい。
また、図21(B)に示す例は、端末1の移動速度が遅く、かつ、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合である。この場合、端末1が現在位置するメッシュに対して端末1の進行方向に隣接する3つのメッシュをターゲットメッシュとして選択し、ターゲットメッシュの数は3となる。
一方、端末1の移動速度が速いと、端末1が位置するメッシュに隣接するメッシュのみをターゲットメッシュとすると、接続先探索処理が完了する前にターゲットメッシュを端末1が通り過ぎてしまう場合がある。このため、端末1が位置するメッシュに隣接するメッシュの他に、進行方向の先にあるメッシュもターゲットメッシュとして選択する。
図21(C)に示す例は、端末1の移動速度が速く、かつ、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合である。この場合、端末1の進行方向に並んだ3つのメッシュをターゲットメッシュとして選択し、ターゲットメッシュの数は3となる。
また、図21(D)に示す例は、端末1の移動速度が速く、かつ、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合である。この場合、端末1の進行方向に並んだ6つのメッシュをターゲットメッシュとして選択し、ターゲットメッシュの数は6となる。
なお、図21(C),(D)に示す高速移動時の例は、図21(A),(B)に示す低速移動時の速度V1の3倍の速度V2で移動している場合を想定している。
このように本実施形態では、端末1の移動速度および移動方向に基づいて、端末1が将来進入するメッシュをターゲットメッシュとして選択して、そのターゲットメッシュの履歴情報を参照して、通信品質の測定対象とする接続先を抽出する。
特に、端末1の移動速度が速い場合には、移動速度が遅い場合より、移動先エリアを大きく設定する。すなわち、移動先エリアとなるターゲットメッシュを多く設定する。これにより、移動速度が速い場合に、接続先探索処理(測定対象抽出および通信品質測定)を早期に開始することができ、接続先探索の処理が完了する前に、端末1がターゲットメッシュを通り過ぎてしまうことで、接続先探索の処理が無駄になる不都合を避けることができる。
なお、端末1の移動速度が速い場合には、移動速度が遅い場合より、メッシュを大きく設定するようにしてもよい。このメッシュの大きさを移動速度に応じて変更することは、履歴登録部22で行われる(図29参照)。
また、本実施形態では、図21(B),(D)に示すように、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合には、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合より、移動先エリアとなるターゲットメッシュを多く設定する。これにより、ターゲットメッシュの漏れをなくして、接続先探索の処理を適切に行うことができる。
測定対象抽出部23では、この履歴データベースから、移動先予測部26で取得したターゲットメッシュの履歴情報を取得して、このターゲットメッシュの履歴情報に基づいて、測定対象となる接続先を抽出する。
このとき、端末1の移動速度が速い場合には、図21(C),(D)に示したように、移動速度が遅い場合より、多数のターゲットメッシュを設定して、ターゲットメッシュの履歴情報の参照による測定対象の抽出を短い間隔で行う。また、図21(B),(D)に示したように、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合にも、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合より、多数のターゲットメッシュを設定して、ターゲットメッシュの履歴情報の参照による測定対象の抽出を短い間隔で行う。これにより、各ターゲットメッシュの履歴情報の参照による測定対象の抽出を適切に行うことができる。
また、履歴データベースを参照して測定対象を抽出する際に、ターゲットメッシュに2つ以上の接続先の通信履歴がある場合には、測定時間を短縮するために、測定対象を1つに絞り込むことが望ましい。この場合、前記実施形態により接続先を抽出すればよい。このとき、期待されるスループットの高さ、受信電力の大きさ、通信データ量などの通信品質情報も合わせて考慮するようにしてもよい。
また、ターゲットメッシュの履歴情報に複数の接続先がある場合において、移動速度が速い場合には、測定対象の抽出数を、移動速度が遅い場合より増やすようにするとよい。また、端末1がメッシュを対角(斜め)方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行でない方向)に移動する場合には、測定対象の抽出数を、端末1がメッシュを平行方向(縦横に配列されたメッシュの配列方向に対して平行な方向)に移動する場合より増やすようにするとよい。これにより、測定対象の再抽出を避けて、接続先探索の処理を効率よく行うことができる。
また、ターゲットメッシュの履歴情報に複数の接続先がある場合には、測定対象の抽出数を増やすことで、測定対象の再抽出を避けることができるが、測定対象が増えると、接続先探索遅延時間が長くなり、また、端末1の移動速度が速いと、接続先探索遅延時間での移動距離が大きくなり、接続先探索が完了する前にターゲットメッシュを通り過ぎてしまい、最適な接続先に接続できなくなる。このように、ターゲットメッシュの履歴情報にある接続先の数や端末1の移動速度から単純に測定対象の最適な抽出数を求めることができない面がある。そこで、端末1の移動速度と、ターゲットメッシュの履歴情報にある接続先の数と、測定対象の抽出数と、1接続先当たりの探索遅延時間との最適な組み合わせをシミュレーションで決定して、その結果に基づいて測定対象の抽出を行うようにしてもよい。
次に、第5実施形態に係るタイミング制御部27で行われる処理について説明する。図22は、端末1の移動速度に応じた接続先探索遅延時間における端末1の移動距離を示す説明図である。図23は、端末1において接続先探索処理を開始するタイミングの一例を示す説明図である。
本実施形態では、端末1において、履歴データベースからターゲットメッシュの履歴情報を取得して、このターゲットメッシュの履歴情報を参照して、測定対象となる接続先を抽出して、その接続先を対象として通信品質の測定を行う。
このとき、本実施形態では、ターゲットメッシュに進入する前に、接続先探索処理(測定対象抽出および通信品質測定の処理)を開始して、ターゲットメッシュに進入するまでに接続先探索処理を完了させて、ターゲットメッシュに進入したところで即座に最適な接続先に接続することができるようにする。これには、接続先探索遅延時間(接続先探索処理に要する時間)における端末1の移動距離を考慮して、接続先探索処理を開始するタイミング(位置)を決定すればよい。すなわち、ターゲットメッシュまでの距離が、接続先探索遅延時間における端末1の移動距離に一致するタイミング(位置)で接続先探索処理を開始すればよい。
ここで、図22に示すように、端末1の移動速度が速いと、接続先探索遅延時間における端末1の移動距離が大きくなる。
また、現在接続中の接続先と測定対象となる接続先とで周波数が異なる場合(以下、「異周波数」と呼称する)の接続先探索遅延時間は、現在接続中の接続先と測定対象となる接続先とで周波数が同じ場合(以下、「同周波数」と呼称する)の接続先探索遅延時間より長くなる。図22に示す例では、同周波数の接続先探索遅延時間を1秒とし、異周波数の接続先探索遅延時間を3.84秒としている。なお、ここでは、測定対象の周波数が1つである場合を想定している。
このように、端末1の移動速度に応じて接続先探索遅延時間における移動距離が変化し、また。同周波数の場合と異周波数の場合とで接続先探索遅延時間が異なる。そこで、本実施形態では、端末1の移動速度と、同周波数および異周波数のいずれであるかに応じて、接続先探索処理を開始するタイミング(位置)を決定する。すなわち、同周波数の場合は、同周波数の接続先探索遅延時間と移動速度とによる移動距離を考慮したタイミング(位置)で接続先探索処理を開始し、異周波数の場合は、異周波数の接続先探索遅延時間と移動速度による移動距離を考慮したタイミング(位置)で接続先探索処理を開始する。
図23(A-1),(A-2)に示す例は、端末1の移動速度を3km/h(0.8m/s)とした場合であり、図23(B-1),(B-2)に示す例は、端末1の移動速度を10km/h(2.8m/s)とした場合である。なお、メッシュサイズ(一辺の長さ)を10mとしている。
図23(A-1)に示すように、移動速度が3km/hで同周波数の場合には、ターゲットメッシュまでの距離が0.8mとなる位置で、接続先探索処理(測定)を開始する。また、図23(A-2)に示すように、移動速度を3km/hで異周波数の場合には、ターゲットメッシュまでの距離が3.2mとなる位置で接続先探索処理(抽出・測定)を開始する。
一方、図23(B-1)に示すように、移動速度が10km/hで同周波数の場合には、ターゲットメッシュまでの距離が2.8mとなる位置で接続先探索処理(測定)を開始する。また、図23(B-2)に示すように、移動速度が10km/hで異周波数の場合には、ターゲットメッシュまでの距離が10.7mとなる位置で接続先探索処理(抽出・測定)を開始する。この場合、2つ手前のメッシュに端末1が位置するタイミングで接続先探索処理を開始する。
ここで、測定対象として複数の接続先を抽出することで、測定する周波数が複数になる場合がある。この場合、測定する周波数の数に応じて、接続先探索処理(抽出・測定)を開始するタイミングを制御する。例えば、抽出・測定する周波数が2つある場合には、ターゲットメッシュまでの距離が、抽出・測定する周波数が1つだけの場合の2倍となるタイミング(位置)で、接続先探索処理(抽出・測定)を開始する。例えば、図23(A-2)に示す例と同様に、端末1の移動速度が3km/hの場合では、ターゲットメッシュまでの距離が6.4mとなるタイミングで接続先探索処理(抽出・測定)を開始する。
次に、第5実施形態に係る端末1で行われる処理の手順について説明する。図24は、端末1で行われる処理の手順を示すフロー図である。
端末1では、まず、移動状態推定部25において、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得し、また、記憶部14から過去の位置情報を取得して、現在の位置情報および過去の位置情報に基づいて、端末1の移動状態(移動速度および移動方向)を推定する(ST201)。次に、移動先予測部26において、端末1の移動状態に基づいて、移動先となるターゲットメッシュを予測する(ST202)。次に、タイミング制御部27において、接続先探索処理(抽出)を開始するタイミング(位置)を決定する(ST203)。
次に、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得して(ST204)、その現在の位置情報に基づいて、接続先探索処理(抽出)を開始するタイミングか否かを判定する(ST205)。
ここで、接続先探索処理(抽出)を開始するタイミングである場合には(ST205でYes)、次に、履歴データベースにターゲットメッシュの履歴情報があるか否かを判定する(ST206)。ここで、履歴データベースにターゲットメッシュの履歴情報がある場合には(ST206でYes)、測定対象抽出部23において、ターゲットメッシュの履歴情報を参照して、測定対象となる接続先(測定周波数)を抽出する(ST207)。
このとき、第1実施形態に示したように、過去の通信時間に基づいて測定対象となる接続先を抽出し、また、第2実施形態に示したように、過去の通信時間および移動速度に基づいて測定対象となる接続先を抽出し、また、第3実施形態に示したように、過去の消費電流に基づいて測定対象となる接続先を抽出し、また、第4実施形態に示したように、過去の消費電流および通信中アプリケーションに基づいて測定対象となる接続先を抽出すればよい。
次に、タイミング制御部27において、接続先探索処理(測定)を開始するタイミング(位置)を決定する(ST208)。そして、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得して(ST209)、その現在の位置情報に基づいて、接続先探索処理(測定)を開始するタイミングか否かを判定する(ST210)。ここで、接続先探索処理(測定)を開始するタイミングである場合には(ST210でYes)、通信品質測定部24において、抽出された接続先に関する通信品質を測定する(ST211)。
一方、接続先探索処理を開始するタイミングでない場合には(ST205でNo)、接続先探索処理を開始するタイミングになるまで、位置情報の取得(ST204)を繰り返す。また、ターゲットメッシュの履歴情報がない場合には(ST206でNo)、履歴情報に基づく測定対象の抽出(ST207)は行わない。この場合、マクロセルの基地局2から取得した接続先候補リストから測定対象を選択する。
ここで、通信品質の測定(ST211)において、通信品質が所定の基準を満たさない場合には、測定対象抽出部23において、測定対象となる接続先の抽出をやり直す。すなわち、ターゲットメッシュの履歴情報にある別の接続先を測定対象として抽出する。ターゲットメッシュの履歴情報にある全ての接続先で所定の基準を満たさない場合には、マクロセルの基地局2から取得した接続先候補リストから別の接続先を選択し、接続先候補リストの全ての接続先で所定の基準を満たさない場合には、接続不能であることを表す報告情報をマクロセルの基地局2に送信する。
次に、第5実施形態に係る接続先探索処理の効果について説明する。図25および図26は、接続先探索処理の効果の一例を示す説明図である。
図25(A),(B)に示す例では、マクロセルと高SHF帯セルと低SHF帯セルとが重畳されており、高SHF帯セルの境界とメッシュの境界とが一致しており、端末1が現在位置するメッシュおよびターゲットメッシュの一方が高SHF帯セルの外側にあり、他方が高SHF帯セルの内側にある。
図25(A)に示すように、端末1が高SHF帯セルに進入する場合、高SHF帯セルに位置するターゲットメッシュの履歴情報では、抽出の優先順位の1位が高SHF帯セルとなり、2位が低SHF帯セルとなり、高SHF帯セルが測定対象候補として抽出されるが、現在、端末1は低SHF帯セルにのみ在圏し、高SHF帯セルに在圏していないため、高SHF帯セルに関する通信品質の測定ができず、接続先探索処理を早期に完了させることができない。
一方、図25(B)に示すように、端末1が高SHF帯セルから退出する場合、現在端末1が位置するメッシュの履歴情報では、抽出の優先順位の1位が高SHF帯セルとなり、2位が低SHF帯セルとなり、ターゲットメッシュの履歴情報では、抽出の優先順位の1位が低SHF帯セルとなり、2位がマクロセルとなるが、現在、端末1はマクロセル、低SHF帯セルおよび高SHF帯セルのいずれにも在圏しているため、端末1の位置し、高SHF帯セルに接続しているメッシュの位置において低SHF帯セルに関する通信品質の測定が可能であり、接続先探索処理を現在端末1が位置するメッシュから開始し、早期に完了させることができ、高SHF帯セルの圏外に出た直後に低SHF帯に接続することができる。
図26(A)、図26(B)に示す例では、図25(A)、図25(B)に示す例と同様に、マクロセルと高SHF帯セルと低SHF帯セルとが重畳されているが、高SHF帯セルの境界とメッシュの境界とが一致せず、現在端末1が位置するメッシュが高SHF帯セルと低SHF帯セルとに跨がる状態となっている。また、図26(A)、図26(B)に示す例は、図25(A)に示す例と同様に、端末1が高SHF帯セルに進入する場合である。
この場合、図26(A)では、ターゲットメッシュの履歴情報では、抽出の優先度1位が低SHF帯、抽出の優先度2位が高SHF帯セルで、抽出数が1の場合は測定対象候補として低SHF帯のみが抽出されるが、抽出数が2の場合は、測定対象候補として低SHF帯と高SHF帯が抽出される。または、次のターゲットメッシュを抽出対象にふくめた場合も、測定対象候補として低SHF帯と高SHF帯が抽出される。図26(B)では、現在端末1が位置するメッシュは高SHF帯セルと低SHF帯セルとに跨がるため、図26(A)の説明のように高SHF帯を含めて測定対象を抽出でき、現在端末1が位置するメッシュ内で高SHF帯セルに関する通信品質の測定を開始することができるため、接続先探索処理を早期に完了させることができる。
次に、第5実施形態に係る履歴登録部22で行われる処理について説明する。図27は、履歴登録部22で行われる処理の概要を示す説明図である。
履歴登録部22では、1つのメッシュに端末1が位置するタイミングで、その時点での通信状況に関する情報(接続先情報および通信品質情報)を取得して、その情報を当該メッシュの履歴情報として履歴データベースに登録する。この履歴登録処理を周期的に行うことで、端末1が移動した区域に設定されたメッシュごとの履歴情報を履歴データベースに登録することができる。
ここで、履歴登録処理を行う周期は、メッシュサイズ、接続先探索遅延時間、および端末1の移動速度に応じて設定すればよい。
図27に示す例では、履歴登録処理を行う周期を移動速度に応じて設定している。図27(A)に示すように、移動速度が速い場合には、履歴登録処理の周期を短く設定し、図27(B)に示すように、移動速度が遅い場合には、履歴登録処理の周期を長く設定する。これにより、移動速度に関係なく、メッシュサイズを統一することができる。
例えば、メッシュサイズを11.2mとし、接続先探索遅延時間を1sとした場合、端末1の移動速度が10km/h(2.8m/s)の場合には、履歴登録処理の周期を4sとし、端末1の移動速度が20km/h(5.6m/s)の場合には、履歴登録処理の周期を2sとする。これにより、11.2m間隔で履歴登録処理が実施され、11.2mのメッシュに履歴情報を1つずつ登録することができる。
このように履歴登録処理の周期を移動速度に応じて変更して、メッシュサイズを統一するようにすると、メッシュごとに一定数の(図27では1つ)履歴情報を登録することができるため、履歴データベースのための記憶容量を削減することができる。
次に、第5実施形態に係る履歴登録部22で行われる処理の手順について説明する。図28は、履歴登録部22で行われる処理の手順を示すフロー図である。
まず、移動状態推定部25において、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得し、また、記憶部14から過去の位置情報を取得して、現在の位置情報および過去の位置情報に基づいて、端末1の移動状態(移動速度および移動方向)を推定する(ST301)。次に、履歴登録部22において、端末1の移動状態に基づいて、履歴登録処理の周期を設定する(ST302)。
次に、カウンタの計数値が、履歴登録処理の周期に対応する目標値に達したか否かにより、履歴登録処理を実施するタイミングか否かを判定する(ST303)。ここで、履歴登録処理を実施するタイミングでない場合には(ST303でNo)、カウンタを1増分する(ST304)。
一方、履歴登録処理を実施するタイミングである場合には(ST303でYes)、カウンタをリセットする(ST305)。次に、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得する(ST306)。次に、現在の位置情報から、端末1が位置するメッシュを判定し、現在の通信状況に関する情報(接続先情報および通信品質情報)を取得して、その情報と移動速度を、該当するメッシュの履歴情報として履歴データベースに登録する(ST307)。
次に、第5実施形態に係る履歴登録部22で行われる処理の別例について説明する。図29は、履歴登録部22で行われる処理の別例の概要を示す説明図である。
図27に示した例では、端末1の移動速度に応じて、履歴登録処理を実施する周期を変更するようにしたが、履歴登録処理を一定の周期で実施するようにしてもよい。この場合、図29に示すように、端末1の移動速度に応じてメッシュサイズが変化し、高速移動時にはメッシュサイズが大きくなり、低速移動時にはメッシュサイズが小さくなる。
図29に示す例では、図29(A)に示す高速移動時の移動速度が、図29(B)に示す低速移動時の移動速度の2倍としている。例えば、履歴登録処理を実施する周期を1秒とすると、移動速度が10km/h(2.8m/s)の場合には、2.8mの間隔で履歴登録処理が実施され、メッシュサイズが2.8mとなる。移動速度が20km/h(5.6m/s)の場合には、5.6mの間隔で履歴登録処理が実施され、メッシュサイズが5.6mとなる。
このように、移動速度が速い場合には、メッシュサイズが大きくなるため、履歴データベースの容量を削減することができる。また、メッシュサイズが大きくなることで、接続先探索処理が過度な頻度で実施されなくなるため、端末1の省電力化を図ることができる。なお、メッシュサイズが大きくなると、接続先探索処理が実施される間隔も大きくなるが、移動速度が速い場合には、1つのメッシュに滞在する時間が短くなるため、メッシュサイズを大きくしても、実用上の支障はない。
ここで、履歴登録処理を実施する周期を一定とすると、端末1の移動速度に応じて、履歴登録処理が実施される間隔が異なる、すなわち、メッシュサイズが異なる。このため、同一の区域で端末1の移動速度が異なる場合があると、端末1の移動速度ごとに履歴データベースを作成する必要がある。
ただし、ユーザの行動パターンに応じて、位置に応じた移動速度は概ね一定と想定される。すなわち、ユーザが徒歩で移動する区域や車両で移動する区域は決まっており、ユーザが徒歩で移動する区域では端末1の移動速度が遅く、ユーザが車両で移動する区域では端末1の移動速度が速くなる。このため、1つの履歴データベースにおいて、ユーザが徒歩で移動する区域のメッシュサイズは小さくなり、ユーザが車両で移動する区域のメッシュサイズは大きくなる。
このため、一定の周期で登録処理を実施するようにしても、移動速度に応じたメッシュサイズでメッシュごとの履歴情報を1つの履歴データベースに登録することができ、履歴データベースの記憶容量を最適化することができる。
次に、第5実施形態に係る履歴登録部22で行われる処理の別例の手順について説明する。図30は、履歴登録部22で行われる処理の別例の手順を示すフロー図である。
まず、履歴登録部22において、カウンタの計数値が、予め設定された履歴登録処理の周期に対応する目標値に達したか否かにより、履歴登録処理を実施するタイミングか否かを判定する(ST401)。ここで、履歴登録処理を実施するタイミングでない場合には(ST401でNo)、カウンタを1増分する(ST402)。
一方、履歴登録処理を実施するタイミングである場合には(ST401でYes)、カウンタをリセットする(ST403)。次に、位置情報取得部12から現在の位置情報を取得し、また、記憶部14から過去の位置情報を取得する(ST404)。次に、現在の位置情報および過去の位置情報に基づいて、端末1の移動状態(移動速度)を推定する(ST405)。次に、現在の通信状況に関する情報(接続先情報および通信品質情報)を取得して、その情報と移動速度を、該当するメッシュの履歴情報として履歴データベースに登録する(ST406)。
なお、本実施形態における履歴登録部22の処理は、前記の第1~第3実施形態にも適用することができる。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。