JP7094687B2 - 鉄道車両の警笛装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両の警笛装置に関する。
鉄道車両の警笛装置には、スピーカから発した音を増幅させて放出する電気笛を備えたものと、圧縮空気を送り込んで警笛を吹鳴する空気笛を備えたもの(特許文献1参照)がある。空気笛は電気笛に比べて出力を大きくすることができるため、遠くまで警笛の音を届けるには、空気笛を採用するのが望ましい。
実開昭59-20299号公報
ところで、昨今では、路線の近隣住民に配慮して、警笛装置から発する警笛の指向性を高めて車幅方向への音の広がりを抑制するよう要請がある。指向性を高める方法としては、進行方向端部に開口部を有するダクトで電気笛又は空気笛を覆うことが考えられる。そして、理論上では、ダクト内部を上下方向及び左右方向にできるだけ細かく分割すれば、指向性がより高まると考えられている。
しかしながら、ダクト内部を細かく分割すると、空気笛において特有の問題が発生する。つまり、ダクト内部を仕切る部材の共振による騒音である。空気笛から発する音には様々な周波数の音が含まれているため、電気笛と異なりダクト内部を仕切る部材との共振を避けるよう周波数を制御することはできない。そのため、空気笛を備える警笛装置では、ダクト内部を細かく分割すると、その分仕切るための部材がいずれかの周波数の音と共振することで騒音が発生しやすくなり、かえって車幅方向に音が広がるおそれがある。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、進行方向には遠くまで警笛の音を届けることができ、かつ、車幅方向に音が広がりにくい鉄道車両の警笛装置を提供することを目的としている。
本発明の一態様に係る鉄道車両の警笛装置は、圧縮空気が送り込まれて進行方向に警笛を吹鳴する吹鳴部と、前記吹鳴部の進行方向側に位置し、進行方向端部に開口部を有するダクトと、車幅方向に対して垂直に配置され、車両長手方向に延び、前記ダクト内部を分割する少なくとも1つの仕切板と、を備える。
この警笛装置では、圧縮空気が送り込まれて進行方向に警笛を吹鳴する吹鳴部を備えているため、進行方向には遠くまで警笛の音を届けることができる。また、上記の警笛装置は、車幅方向に対して垂直に配置され、車両長手方向に延び、ダクト内部を分割する仕切板を備えている。そのため、車幅方向に警笛の音が広がるのを抑え警笛の指向性を高めることができる。さらに、上記の警笛装置は、上下方向に対して垂直(つまり水平)な仕切板を備えていないため、上下方向に警笛の音が広がるおそれがあるものの、その仕切板が共振して騒音を発生することはなく、その騒音が車幅方向に広がることもない。
よって、上記の構成によれば、進行方向には遠くまで警笛の音を届けることができ、かつ、車幅方向に音が広がりにくい鉄道車両の警笛装置を提供することができる。
図1は、警笛装置の平面図である。 図2は、警笛装置の平面図であってダクトの上部を取り除いた状態の図である。 図3は、警笛装置の側面図である。 図4は、警笛装置の背面図である。 図5は、図1に示すV-V矢視断面図である。 図6は、ルーバーの正面図である。 図7は、ルーバーの縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
<警笛装置の構成>
はじめに、警笛装置100の全体構成について説明する。図1は警笛装置100の平面図であり、図2は同じく警笛装置100の平面図であって、ダクト20の上部を取り除いた状態の図である。図3は警笛装置100の側面図であり、図4は警笛装置の背面図である。また、図5は、図1に示すV-V矢視断面図である。
本実施形態に係る警笛装置100は鉄道車両に搭載される鉄道車両の警笛装置である。図1の紙面左右方向が車両長手方向であり、紙面上下方向が車幅方向である。また、図1の紙面左方が進行方向であり、紙面右方が反進行方向である。図2に示すように、本実施形態に係る警笛装置100は、吹鳴部10と、ダクト20と、背面板30と、仕切板40と、ルーバー50と、を備えている。以下、これらの構成要素について順に説明する。
吹鳴部10は、警笛を吹鳴する部分であって、2つの空気笛を有している。具体的には、吹鳴部10は、車幅方向に並んで配置された第1空気笛11と第2空気笛12とを有している。第1空気笛11及び第2空気笛12は、いずれも車両長手方向に延びており、圧縮空気が送り込まれることで進行方向に警笛を吹鳴する。空気笛は圧縮空気が送り込まれる略円盤状の振動部とその振動を拡大するベル部に分かれている。第1空気笛11と第2空気笛12は、それぞれ吹鳴する警笛の音程が異なり、その音程に合わせてベル部の長さや形状が異なる。これらは同時に吹鳴されるが、各空気笛が個々に吹鳴されても良い。ここで、吹鳴部10全体として必要な音の大きさを確保するため、第1空気笛11と第2空気笛12のベル部の形状や車両長手方向の位置が互いに異なるように配置されている。なお、本実施形態の吹鳴部10は2つの空気笛を有しているが、1つの空気笛のみを有していてもよく、3つ以上の空気笛を有していてもよい。また、本実施形態のベル部にはゴミ等の浸入を防ぐために、進行方向側(先端部分)には略半球状の金網が設けられているが、金網は無くてもよい。
ダクト20は、吹鳴部10よりも進行方向寄りに位置し、吹鳴部10の進行方向側(先端部分)を覆っている。つまり、ダクト20は吹鳴部10の進行方向側に位置している。ダクト20は、全体として筒状に形成されており、反進行方向側に位置する基端部21と、進行方向側に位置する先端部22と、基端部21と先端部22の間に位置する中間部23とを有している。基端部21と先端部22は、いずれも断面視において六角形の形状を有している(図4及び図5参照)。なお、ダクト20は全体として筒状に形成されていればよく、例えば円筒状や角筒状でもよい。
ただし、図3に示すように基端部21と先端部22は下面の高さ位置が同じであるのに対し、先端部22は基端部21よりも上面の高さ位置が低い。さらに、図1に示すように、先端部22は基端部21よりも車幅方向寸法が小さい。そのため、ダクト20は、進行方向端部における垂直方向断面積は、反進行方向端部における垂直方向断面積よりも小さい。したがって、進行方向端部における通路断面積は、反進行方向端部における通路断面積よりも小さい。
また、ダクト20(先端部22)は、進行方向端部に開口部24を有している。そして、その開口部24を囲むようにして、車両長手方向に対して垂直なフランジ25が環状に形成されている。フランジ25は、後述するルーバー50を固定するための部分である。さらに、図2及び図5に示すように、ダクト20の内周面には音を吸収するための吸音材26が設けられている。
背面板30は、板状の部材であって、ダクト20の反進行方向端部に設けられている。図4に示すように、背面板30は、ダクト20の基端部21の形状に対応して、背面視において六角形の形状を有している。また、背面板30には、第1空気笛11及び第2空気笛12がそれぞれ貫通する第1貫通孔31及び第2貫通孔32が形成されている。なお、第1貫通孔31及び第2貫通孔32に吸音材等を詰めて、各空気笛11、12と背面板30の隙間を埋めるようにしてもよい。さらに、図2に示すように、背面板30の内面には、吸音材26が設けられている。
仕切板40は、ダクト20の内部を分割する部材である。図5に示すように、仕切板40は、車幅方向(紙面左右方向)に対して垂直に配置されている。また、図2に示すように、仕切板40は、ダクト20の先端部22に対応する範囲に設けられており、車両長手方向に延びている。ただし、仕切板40は、先端部22に対応する範囲を超えて延びていてもよい。なお、本実施形態に係る警笛装置100は、上下方向に対して垂直な(つまり水平な)仕切板は備えていない。そのため、仕切板40の車幅方向両側に位置する空間はダクト20の上部から下部まで連続して延びている。また、警笛装置100は、車幅方向に対して垂直な仕切板40を複数備えていてもよい。
さらに、仕切板40は、車幅方向において、第1空気笛11の中心部を通って車両長手方向に延びる第1空気笛11の中心軸13と、第2空気笛12の中心部を通って車両長手方向に延びる第2空気笛12の中心軸14の間に位置している。そして、仕切板40は、空気笛11、12と同数(つまり、2つ)にダクト20内部を車幅方向に分割している。また、仕切板40の車両幅方向両面には吸音材26が設けられている。
ルーバー50は、鉄道車両が走行する際にダクト20内部に異物が侵入するのを防止するための装置である。図2に示すように、ルーバー50はダクト20のフランジ25に固定され、ダクト20の開口部24に設けられている。ここで、図6はルーバー50の正面図であり、図7はルーバー50の縦断面図である。図7の紙面左方が鉄道車両の進行方向である。図6及び図7に示すように、ルーバー50は、枠体51と、網板52と、複数(本実施形態では4枚)の羽板53と、を有している。
枠体51は、矩形状の形状を有している。枠体51は、ダクト20のフランジ25に固定される外枠部54と、外枠部54から進行方向に向かって延びる環状の壁部55と、を有している。網板52は、網目状に形成されており、筋状に延びる複数の筋部が互いに交差している。図6に示すように、各羽板53は、車幅方向に延びており、正面視において上下方向に隣り合う羽板53の一部が互いに重なるように配置されている。
また、図7に示すように、羽板53は図外の固定具によって網板52に固定されている。羽板53は、側面視において、進行方向に進むにしたがって下方に位置するように傾斜している。そのため、上下方向に隣り合う羽板53の間に形成される通路は、ダクト20の開口部24から前方下方に向かって延びている。これにより、吹鳴部10から放出された空気は、これらの羽板53の間を通過することにより、下方へ方向づけられる。なお、各羽板53は、吹鳴部10から放出された空気を上方へ方向づけるように構成されていてもよい。
<効果等>
続いて、本実施形態に係る警笛装置100の効果等について説明する。上記のように、本実施形態に係る鉄道車両の警笛装置100は、圧縮空気が送り込まれて進行方向に警笛を吹鳴する吹鳴部10と、吹鳴部10の進行方向に位置し、進行方向端部に開口部24を有するダクト20と、車幅方向に対して垂直に配置され、車両長手方向に延び、ダクト20内部を分割する少なくとも1つの仕切板40と、を備えている。
このように、警笛装置100は、圧縮空気が送り込まれて進行方向に警笛を吹鳴する吹鳴部10を備えているため、進行方向には遠くまで警笛の音を届けることができる。また、警笛装置100は、車幅方向に対して垂直に配置され、車両長手方向に延び、ダクト内部を分割する仕切板40を備えている。そのため、車幅方向に警笛の音が広がるのを抑え警笛の指向性を高めることができる。さらに、警笛装置100は、車幅方向の警笛の音の広がりの低減に寄与しない上下方向に対して垂直(つまり水平)な仕切板40を備えていないため、不要な仕切り板の追加による仕切り板自体の共振による騒音のリスクを低減できる。したがって、本実施形態に係る警笛装置100は、進行方向には遠くまで警笛の音を届けることができ、かつ、車幅方向に音が広がりにくい。
また、本実施形態に係る警笛装置100は、開口部24に配置され、吹鳴部10から放出された空気を上もしくは下に方向づける複数の羽板53を有するルーバー50をさらに備えている。
そのため、鉄道車両の走行中に進行方向側から異物が飛来したとしても、異物はルーバー50に衝突し、警笛装置100のダクト20内部に異物が侵入するのを防ぐことができる。しかも、本実施形態のルーバー50は、吹鳴部10から放出された空気を車幅方向ではなく上もしくは下に方向づけるため、吹鳴部10から発せられた音が車幅方向に広がるのを抑制することができる。特に、複数の羽板53が吹鳴部10から放出された空気を下に方向づけた場合は、複数の羽板53にあたる水滴や塵が下方に排出されるため、水滴や塵がダクト20内に入りこみにくい。
また、本実施形態に係る警笛装置100は、ダクト20の内周面に吸音材26が設けられている。
吹鳴部10から発せられた音がダクト20の内周面に反射すると、その音は様々な方向に広がり車幅方向にも広がる。これに対し、上記のようにダクト20の内周面に吸音材26を設ければ、吹鳴部10から発せられた音がダクト20の内周面で反射するのを抑えることができる。その結果、警笛装置100から発せられた音が車幅方向に広がるのを一層抑えることができる。
また、本実施形態に係る警笛装置100では、ダクト20は、進行方向端部における垂直方向断面積が、反進行方向端部における垂直方向断面積よりも小さい。
そのため、吹鳴部10から発せられた音が進行方向に方向づけられ、進行方向へ向かう警笛の指向性を向上させることができる。これにより、吹鳴部10から発せられた音が車幅方向に広がるのを一層抑えることができる。
また、本実施形態に係る警笛装置100では、吹鳴部10は、車幅方向に並んで配置された複数の空気笛11、12を有し、仕切板40は、車幅方向において複数の空気笛11、12のうち隣り合う空気笛11、12の中心軸13、14の間に位置し、空気笛11、12と同数にダクト20内部を分割している。
ここで、下記の表1は、本実施形態のように車幅方向において1枚の仕切板40を第1空気笛11の中心軸13と第2空気笛12の中心軸14との間に配置した場合(ケース1)と、車幅方向において2枚の仕切板40をそれぞれ第1空気笛11の中心軸13付近と第2空気笛12の中心軸14付近に配置した場合(ケース2)の各方向における音の大きさを測定した実験結果の一例を示している。
Figure 0007094687000001
実験では、警笛装置100の先端を基準点として正面、右45度、右90度、右135度、左135度、左90度、及び左45度の各角度位置において、基準点から3.0m及び4.5m離れた位置にマイクを設置して音の大きさを測定した。表中の数値は、測定した音の大きさから算出した基準点から100フィート(約30m)離れた地点における音の大きさ(デシベル)を示している。つまり、表1において、正面以外の角度(特に右90度及び左90度)の数値が小さいほど、車両幅方向への音の広がりが抑えられているといえる。
表1に示すように、少なくとも右90度及び左90度の角度位置については、ケース2はケース1に比べて数値が小さくなっている。つまり、ケース1はケース2に比べて、車幅方向に音が広がるのを抑えることができている。したがって、本実施形態のように、警笛装置100が複数の空気笛11、12を備えている場合、仕切板40を各空気笛11、12の中心軸13、14の間に位置させ、空気笛11、12と同数にダクト20内部を分割すれば、車両幅方向に音が広がるのを一層抑えることができる。
10 吹鳴部
11 第1空気笛
12 第2空気笛
20 ダクト
24 開口部
26 吸音材
40 仕切板
50 ルーバー
53 羽板
100 警笛装置

Claims (4)

  1. 圧縮空気が送り込まれて進行方向に警笛を吹鳴する吹鳴部と、
    前記吹鳴部の進行方向に位置し、進行方向端部に開口部を有するダクトと、
    車幅方向に対して垂直に配置され、車両長手方向に延び、前記ダクト内部を分割する少なくとも1つの仕切板と、を備え
    前記吹鳴部は、車幅方向に並んで配置された複数の空気笛を有し、
    前記仕切板は、車幅方向において前記複数の空気笛のうち隣り合う空気笛の中心軸の間に位置し、前記空気笛と同数に前記ダクト内部を分割する鉄道車両の警笛装置。
  2. 前記開口部に配置され、前記吹鳴部から放出された空気を上もしくは下に方向づける複数の羽板を有するルーバーをさらに備える、請求項1に記載の鉄道車両の警笛装置。
  3. 前記ダクトの内周面に吸音材が設けられた、請求項1又は2に記載の鉄道車両の警笛装置。
  4. 前記ダクトは、進行方向端部における垂直方向断面積が、反進行方向端部における垂直方向断面積よりも小さい、請求項1乃至3のうちいずれか一の項に記載の鉄道車両の警笛装置。
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