以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。同一の部材を示す複数の図面同士においても、形状等を誇張するために、寸法比率等は互いに一致していないことがある。
(プリンタの全体構成)
図1(a)は、本開示の一実施形態に係る液体吐出ヘッド2(以下で単にヘッドということがある。)を含むカラーインクジェットプリンタ1(記録装置の一例。以下で単にプリンタということがある)の概略の側面図である。図1(b)は、プリンタ1の概略の平面図である。
なお、ヘッド2又はプリンタ1は、任意の方向を鉛直方向とすることが可能であるが、便宜上、図1(a)の紙面上下方向を鉛直方向として、上面又は下面等の語を用いることがある。また、平面視等の語は、特に断りがない限り、図1(a)の紙面上下方向に見ることをいうものとする。
プリンタ1は、印刷用紙P(記録媒体の一例)を給紙ローラ80Aから回収ローラ80Bへと搬送することにより、印刷用紙Pをヘッド2に対して相対的に移動させる。なお、給紙ローラ80A及び回収ローラ80B並びに後述する各種のローラは、印刷用紙Pとヘッド2とを相対移動させる移動部85を構成している。制御部88は、画像や文字等のデータである印刷データ等に基づいて、ヘッド2を制御して、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させ、印刷用紙Pに液滴を着弾させて、印刷用紙Pに印刷などの記録を行なう。
本実施形態では、ヘッド2はプリンタ1に対して固定されており、プリンタ1はいわゆるラインプリンタとなっている。記録装置の他の実施形態としては、ヘッド2を印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向(例えば略直交する方向)に移動させつつ液滴を吐出する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行なう、いわゆるシリアルプリンタが挙げられる。
プリンタ1には、印刷用紙Pと略平行となるように、4個の平板状のヘッド搭載フレーム70(以下で単にフレームと言うことがある)が固定されている。各フレーム70には図示しない5個の孔が設けられており、5個のヘッド2がそれぞれの孔の部分に搭載されている。1個のフレーム70に搭載されている5個のヘッド2は、1つのヘッド群72を構成している。プリンタ1は、4つのヘッド群72を有しており、合計20個のヘッド2が搭載されている。
フレーム70に搭載されたヘッド2は、液体を吐出する部位が印刷用紙Pに面する。ヘッド2と印刷用紙Pとの間の距離は、例えば0.5~20mm程度とされる。
20個のヘッド2は、制御部88と直接接続されていてもよいし、印刷データを分配する分配部を介して制御部88と接続されていてもよい。例えば、制御部88が印刷データを1つの分配部へ送信し、1つの分配部が印刷データを20個のヘッド2に分配してもよい。また、例えば、4つのヘッド群72に対応する4つの分配部へ制御部88が印刷データを分配し、各分配部は、対応するヘッド群72内の5個のヘッド2に印刷データを分配してもよい。
ヘッド2は、図1(a)の手前から奥へ向かう方向、図1(b)の上下方向に細長い長尺形状を有している。1つのヘッド群72内において、3個のヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向(例えば略直交する方向)に沿って並んでおり、他の2個のヘッド2は搬送方向に沿ってずれた位置で、3個のヘッド2の間にそれぞれ一つずつ並んでいる。別の表現をすれば、1つのヘッド群72において、ヘッド2は、千鳥状に配置されている。ヘッド2は、各ヘッド2で印刷可能な範囲が、印刷用紙Pの幅方向、すなわち、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向に繋がるように、あるいは端が重複するように配置されており、印刷用紙Pの幅方向に隙間のない印刷が可能になっている。
4つのヘッド群72は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って配置されている。各ヘッド2には、図示しない液体供給タンクから液体(例えばインク)が供給される。1つのヘッド群72に属するヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群72で4色のインクが印刷できる。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。このようなインクを印刷用紙Pに着弾させることにより、カラー画像を印刷できる。
プリンタ1に搭載されているヘッド2の個数は、単色で、1個のヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、1個でもよい。ヘッド群72に含まれるヘッド2の個数や、ヘッド群72の数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。例えば、さらに多色の印刷をするためにヘッド群72の数を増やしてもよい。また、同色で印刷するヘッド群72を複数配置して、搬送方向に交互に印刷すれば、同じ性能のヘッド2を使用しても搬送速度を速くできる。これにより、時間当たりの印刷面積を大きくすることができる。また、同色で印刷するヘッド群72を複数準備して、搬送方向と交差する方向にずらして配置して、印刷用紙Pの幅方向の解像度を高くしてもよい。
さらに、色のあるインクを印刷する以外に、印刷用紙Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を、ヘッド2で、一様に、あるいはパターニングして印刷してもよい。コーティング剤としては、例えば、記録媒体として液体が浸み込み難いものを用いる場合において、液体が定着し易いように、液体受容層を形成するものを使用できる。他に、コーティング剤としては、記録媒体として液体が浸み込み易いものを用いる場合において、液体のにじみが大きくなり過ぎたり、隣に着弾した別の液体とあまり混じり合わないように、液体浸透抑制層を形成するものを使用できる。コーティング剤は、ヘッド2で印刷する以外に、制御部88が制御する塗布機76で一様に塗布してもよい。
プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pに印刷を行なう。印刷用紙Pは、給紙ローラ80Aに巻き取られた状態になっており、給紙ローラ80Aから送り出された印刷用紙Pは、フレーム70に搭載されているヘッド2の下側を通り、その後2個の搬送ローラ82Cの間を通り、最終的に回収ローラ80Bに回収される。印刷する際には、搬送ローラ82Cを回転させることで印刷用紙Pは、一定速度で搬送され、ヘッド2によって印刷される。
続いて、プリンタ1の詳細について、印刷用紙Pが搬送される順に説明する。給紙ローラ80Aから送り出された印刷用紙Pは、2つのガイドローラ82Aの間を通った後、塗布機76の下を通る。塗布機76は、印刷用紙Pに、上述のコーティング剤を塗布する。
印刷用紙Pは、続いて、ヘッド2が搭載されたフレーム70を収納した、ヘッド室74に入る。ヘッド室74は、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっているが、概略、外部と隔離された空間である。ヘッド室74は、必要に応じて、制御部88等によって、温度、湿度、および気圧等の制御因子が制御される。ヘッド室74では、プリンタ1が設置されている外部と比較して、外乱の影響を少なくできるので、上述の制御因子の変動範囲を外部よりも狭くできる。
ヘッド室74には、5個のガイドローラ82Bが配置されており、印刷用紙Pは、ガイドローラ82Bの上を搬送される。5個のガイドローラ82Bは、側面から見て、フレーム70が配置されている方向に向けて、中央が凸になるように配置されている。これにより、5個のガイドローラ82Bの上を搬送される印刷用紙Pは、側面から見て円弧状になっており、印刷用紙Pに張力を加えることで、各ガイドローラ82B間の印刷用紙Pが平面状になるように張られる。2つのガイドローラ82Bの間には、1個のフレーム70が配置されている。フレーム70は、その下を搬送される印刷用紙Pと平行になるように、設置される角度が少しずつ変えられている。
ヘッド室74から外に出た印刷用紙Pは、2つの搬送ローラ82Cの間を通り、乾燥機78の中を通り、2つのガイドローラ82Dの間を通り、回収ローラ80Bに回収される。印刷用紙Pの搬送速度は、例えば、100m/分とされる。各ローラは、制御部88によって制御されてもよいし、人によって手動で操作されてもよい。
乾燥機78で乾燥することにより、回収ローラ80Bにおいて、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れることが起き難くなる。高速で印刷するためには、乾燥も速く行なう必要がある。乾燥を速くするため、乾燥機78では、複数の乾燥方式により順番に乾燥してもよいし、複数の乾燥方式を併用して乾燥してもよい。そのような際に用いられる乾燥方式としては、例えば、温風の吹き付け、赤外線の照射、加熱したローラへの接触などがある。赤外線を照射する場合は、印刷用紙Pへのダメージを少なくしつつ乾燥を速くできるように、特定の周波数範囲の赤外線を当ててもよい。印刷用紙Pを加熱したローラに接触させる場合は、印刷用紙Pをローラの円筒面に沿って搬送させることで、熱が伝わる時間を長くしてもよい。ローラの円筒面に沿って搬送させる範囲は、ローラの円筒面の1/4周以上がよく、さらにローラの円筒面の1/2周以上にするのがよい。UV硬化インク等を印刷する場合には、乾燥機78の代わりに、あるいは乾燥機78に追加してUV照射光源を配置してもよい。UV照射光源は、各フレーム70の間に配置してもよい。
プリンタ1は、ヘッド2をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、例えば、ワイピング及び/又はキャッピングによって洗浄を行なう。ワイピングは、例えば、柔軟性のあるワイパーで、液体が吐出される部位の面、例えば吐出面5a(後述)を擦ることで、その面に付着していた液体を取り除く。キャッピングしての洗浄は、例えば、次のように行なう。まず、液体を吐出される部位、例えば吐出面5aを覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングと言う)ことで、吐出面5aとキャップとで、略密閉されて空間が作られる。そのような状態で、液体の吐出を繰り返すことで、吐出孔9(後述)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高くなっていた液体や、異物等を取り除く。キャッピングしてあることで、洗浄中の液体がプリンタ1に飛散し難く、液体が、印刷用紙Pやローラ等の搬送機構に付着し難くなる。洗浄を終えた吐出面5aを、さらにワイピングしてもよい。ワイピング及び/又はキャッピングによる洗浄は、プリンタ1に取り付けられているワイパー及び/又はキャップを人が手動で操作して行なってもよいし、制御部88によって自動で行なってもよい。
記録媒体は、印刷用紙P以外に、ロール状の布などでもよい。また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルトを搬送して、記録媒体を搬送ベルトに置いて搬送してもよい。そのようにすれば、枚葉紙、裁断された布、木材又はタイルなどを記録媒体にできる。さらに、ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。またさらに、ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤又は化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、反応させるなどして、化学薬品を作製してもよい。
また、プリンタ1に、位置センサ、速度センサ及び/又は温度センサなどを取り付けて、制御部88が、各センサからの情報から分かるプリンタ1各部の状態に応じて、プリンタ1の各部を制御してもよい。例えば、ヘッド2の温度、ヘッド2に液体を供給する液体供給タンクの液体の温度、及び/又は液体供給タンクの液体がヘッド2に加えている圧力などが、吐出される液体の吐出特性(例えば吐出量及び/又は吐出速度)に影響を与えている場合などに、それらの情報に応じて、液体を吐出させる駆動信号を変えるようにしてもよい。
(ヘッド本体)
図2は、ヘッド2が含むヘッド本体2aの一部の拡大断面図である。この図は、後述する図5のII-II線に対応している。図2の紙面下方は、印刷用紙P側である。
ヘッド本体2aは、ヘッド2の印刷用紙Pに対向する面(吐出面5a)の略全体を構成する概略板状の部材である。その厚さは、例えば、0.5mm以上2mm以下である。吐出面5aには液滴を吐出する複数の吐出孔9(図2では1つのみ示す。)が開口している。複数の吐出孔9は、吐出面5aに沿って2次元的に配置されている。
ヘッド本体2aは、圧電素子の機械的歪により液体に圧力を付与して液滴を吐出するピエゾ式のヘッドである。ヘッド本体2aは、それぞれ吐出孔9を含む複数の吐出素子3を有しており、図2では、一の吐出素子3が示されている。複数の吐出素子3は、吐出面5aに沿って2次元的に配置されている。
また、別の観点では、ヘッド本体2aは、液体(インク)が流れる流路が形成されている板状の流路部材5と、流路部材5内の液体に圧力を付与するためのアクチュエータ基板7とを有している。複数の吐出素子3は、流路部材5及びアクチュエータ基板7により構成されている。吐出面5aは、流路部材5によって構成されている。流路部材5の吐出面5aとは反対側の面を加圧面5bというものとする。
流路部材5は、共通流路11と、共通流路11にそれぞれ接続されている複数の個別流路13(図2では1つを図示)とを有している。各個別流路13は、それぞれ既述の吐出孔9を有しており、また、共通流路11から吐出孔9へ順に、接続流路15、加圧室17及び部分流路19を有している。
複数の個別流路13及び共通流路11には液体が満たされている。複数の加圧室17の容積が変化して液体に圧力が付与されることにより、複数の加圧室17から複数の部分流路19へ液体が送出され、複数の吐出孔9から複数の液滴が吐出される。また、複数の加圧室17へは複数の接続流路15を介して共通流路11から液体が補充される。
流路部材5は、例えば、複数のプレート21A~21N(以下、A~Nを省略することがある。)が積層されることにより構成されている。プレート21には、複数の個別流路13及び共通流路11を構成する複数の穴(主として貫通孔。凹部にすることも可)が形成されている。複数のプレート21の厚み及び積層数は、複数の個別流路13及び共通流路11の形状等に応じて適宜に設定されてよい。複数のプレート21は、適宜な材料により形成されてよい。例えば、複数のプレート21は、金属又は樹脂によって形成されている。プレート21の厚さは、例えば、10μm以上300μm以下である。
プレート21同士は、例えば、プレート21間に介在する不図示の接着剤によって互いに固定されている。なお、本実施形態の説明では、接着剤の存在を無視した表現をすることがある。
(共通流路)
図3は、流路部材5の平面透視図である。紙面貫通方向は、ヘッド2と印刷用紙Pとの対向方向である。図3では、流路部材5内の流路のうち、共通流路11及び共通流路11に液体を供給する供給口23のみを示している。
共通流路11の数は、任意であり、1つでもよいし、複数でもよい。図3の例では、4本の共通流路11が設けられている。複数の共通流路11は、例えば、互いに並列に直線状に延びている。複数の共通流路11の構成は、基本的に互いに同じである。共通流路11の延びる方向と、流路部材5の長手方向との相対関係も適宜に設定されてよく、図示の例では、両者は平行である。すなわち、本実施形態では、共通流路11は、印刷用紙Pの搬送方向に対して略直交する方向とされている。なお、共通流路11は、流路部材5の長手方向(搬送方向に略直交する方向)に傾斜していてもよい。
各共通流路11の両端には供給口23が開口している。供給口23は、不図示の流路を介して流路部材5の外部に通じている。液体は、共通流路11の両端の供給口23から共通流路11に流れ込み、共通流路11の中央に向かって流れていく。なお、供給口23は、各共通流路11の一方の端部のみに設けられていてもよい。また、複数の共通流路11は、その端部において合流し、マニホールド又は環状流路を構成していてもよい。別の観点では、複数の共通流路11に1つの供給口23が設けられてもよい。また、共通流路11から流路部材5の外部へ液体を流出させるための排出口が共通流路11に開口していてもよい。
共通流路11の横断面(図2)の形状及び共通流路11の各種の寸法等は適宜に設定されてよい。図2の例では、共通流路11の横断面の形状は、矩形状とされている。共通流路11の下方には、共通流路11に生じた圧力変動を減衰するためのダンパ12が構成されている。なお、ダンパ12は、共通流路11の下方に代えて、又は加えて、上方に設けられていてもよい。
(個別流路の配置の概要)
図4は、図3の領域IVの拡大図(平面透視図)である。図4では、図3に示された流路に加え、加圧室17及び部分流路19も示されている。図5は、図4の領域Vの拡大図(平面透視図)である。図5では、図4に示された流路に加え、吐出孔9及び接続流路15、並びにアクチュエータ基板7の構成要素も示されている。
複数の個別流路13(別の観点では吐出素子3)は、各共通流路11に沿って(共通流路11の長さ方向に)配列されている。すなわち、複数の吐出孔9は、共通流路11に沿って配列されている。複数の加圧室17は、共通流路11に沿って配列されている。複数の部分流路19は、共通流路11に沿って配列されている。複数の接続流路15は、共通流路11に沿って配列されている。
1本の共通流路11及び当該1本の共通流路11に繋がる複数の個別流路13(別の観点では複数の吐出素子3)の構成は、基本的に複数の共通流路11同士で同じである。以下では、1本の共通流路11のみに着目して説明することがある。
1本の共通流路11と繋がっている複数の加圧室17は、共通流路11の片側にそれぞれ2行ずつ、両側を合わせて4行の第1加圧室行25A~第4加圧室行25D(以下、A~Dを省略することがある。)を構成している。本実施形態では、共通流路11は4本あるので、加圧室行25は全体で16行ある。
以下では、第1加圧室行25Aに属する加圧室17を第1加圧室17Aということがある。同様に、第2加圧室行25B~第4加圧室行25Dに属する加圧室17それぞれを第2加圧室17B~第4加圧室17Dということがある。複数の第1加圧室17A及び複数の第2加圧室17Bと、複数の第3加圧室17C及び複数の第4加圧室17Dとは、共通流路11の幅方向両側に分かれているから、前者を第1加圧室群39Aと捉え、後者を第2加圧室群39Bと捉えることができる。
1本の共通流路11と繋がっている複数の吐出孔9は、複数の加圧室17と同様に、共通流路の片側にそれぞれ2行ずつ、両側を合わせて4行の吐出孔行27を構成している。本実施形態では、共通流路11は4本あるので、吐出孔行27は全体で16行ある。
特に符号等は付さないが、複数の吐出孔9及び複数の加圧室17と同様に、1本の共通流路11と繋がっている部分流路19も、共通流路の片側にそれぞれ2行ずつ、両側で合わせて4行の流路行を構成している。
1本の共通流路11と繋がっている複数の接続流路15も、基本的には、4行の流路行を構成している。ただし、図示の例のように、隣接する加圧室行25(25C及び25D)に接続される接続流路15同士は、共通流路11の幅方向の配置範囲が重複してよく、4行の流路行は、3行のように見えても構わない。
以下では、第1加圧室行25Aを含む個別流路13の行を第1個別流路行41Aということがある。同様に、第2加圧室行25B~第4加圧室行25Dを含む個別流路13の行を第2個別流路行41B~第4個別流路行41Dということがある。また、第1個別流路行41A~第4個別流路行41Dを区別せずに、個別流路行41ということがある。
また、第1個別流路行41Aに属する個別流路13を第1個別流路13Aということがある。同様に、第2個別流路行41B~第4個別流路行41Dに属する個別流路13それぞれを第2個別流路13B~第4個別流路13Dということがある。第1個別流路行41Aに属する接続流路15を第1接続流路15Aということがある。同様に、第2個別流路行41B~第4個別流路行41Dに属する接続流路15それぞれを第2接続流路15B~第4接続流路15Dということがある。
共通流路11に交差する方向(例えば図5の紙面上下方向)に複数の吐出孔9を見たときに、複数の吐出孔9は、互いに重ならないように配置されている。これにより、印刷用紙Pを上記交差する方向へ搬送しつつ、印刷用紙Pに向けて液滴を吐出すると、各加圧室行25における吐出孔9のピッチよりも狭いピッチで、搬送方向に直交する方向に配列されたドットを形成することができる。
各加圧室行25における加圧室17の配列方向両側には、ダミー加圧室18が設けられている。ダミー加圧室18は、例えば、吐出孔9に通じておらず、液滴の吐出に直接は寄与しない。ダミー加圧室18は、例えば、加圧室17がその両側の加圧室17から受ける構造的な影響を加圧室行25の端部に位置している加圧室17についても再現することに寄与している。すなわち、液滴の吐出特性の均一化に寄与している。
(個別流路の形状の概要)
個別流路13の形状について、複数の個別流路行41に共通する事項などを述べる。個別流路13の各部(接続流路15、加圧室17、部分流路19及び吐出孔9)の形状及び寸法等は適宜に設定されてよい。図2、図4及び図5に示す例では、以下のとおりである。
加圧室17は、加圧面5bに沿って一定の厚さで広がる薄型形状に形成されている。薄型形状は、例えば、平面視のいずれの径よりも厚さが小さい形状である。加圧室17の平面形状は、角部が曲線で面取りされた菱形である。ただし、加圧室17は、厚さが変化する部分を有していてもよいし、平面視において円形又は楕円形等の他の形状を有していてもよい。
加圧室17は、例えば、加圧面5bに開口しており、アクチュエータ基板7によって塞がれている。なお、加圧室17は、プレート21によって塞がれていてもよい。ただし、これは、加圧室17を塞ぐプレート21を流路部材5の一部として捉えるか、アクチュエータ基板7の一部として捉えるかの問題と考えることもできる。
加圧室17は、共通流路11よりも上方に位置している。従って、加圧室17は、平面視において共通流路11と重なりを有するように配置可能である。
部分流路19は、加圧室17から吐出面5aに向かって延びている。部分流路19の形状は、概略、直円柱状である。平面視において、部分流路19は、例えば、加圧室17の長手方向の端部(図示の例では菱形の鋭角となっている1つの角部)に繋がっている。
吐出孔9は、部分流路19の底面(加圧室17とは反対側の面)の一部に開口している。吐出孔9は、例えば、部分流路19の底面の概ね中央に位置している。より詳細には、例えば、平面視において、吐出孔9の中心と部分流路19の底面の中心(図心)との距離は、吐出孔9の最大径以下である。ただし、吐出孔9は、部分流路19の底面の中央に対して偏心して設けられていてもよい。吐出孔9の縦断面の形状は、吐出面5a側ほど径が小さくなるテーパ状とされている。ただし、吐出孔9は、一部又は全部が逆テーパであってもよい。
接続流路15は、例えば、共通流路11の上面に接続されている第1部位15aと、第1部位15aの上面に接続され、平面方向(加圧面5bに沿う方向)に延びている第2部位15bと、第2部位15bの上面に接続され、加圧室17の下面に接続されている第3部位15cとを有している。
第1部位15aは、例えば、加圧面5bの法線方向を軸方向とする概略円柱状に形成されている。第2部位15bは、平面視において一定の幅で直線状に延びている部分と、その両側の拡幅部分とを有している。拡幅部分は、第1部位15a又は第3部位15cに接続されている。第3部位15cは、加圧面5bの法線方向を軸方向とする概略円柱状に形成されている。第2部位15bは、第1部位15a及び第3部位15cに比較して、また、共通流路11及び加圧室17に比較して、流れ方向に直交する断面積が小さくされている。すなわち、第2部位15bは、いわゆるしぼりとして機能する。
平面視において、接続流路15(第3部位15c)の加圧室17に対する接続位置は、例えば、加圧室17の下面のうちの当該下面の中央に対して部分流路19とは反対側の端部(本実施形態では、加圧室17の長手方向の一端)とされている。接続流路15(第1部位15a)の共通流路11に対する接続位置は、共通流路11の上面のうちの幅方向の適宜な位置とされている。
以上の構成を有する個別流路13は、例えば、少なくとも、加圧室17の一部と、部分流路19と、吐出孔9とが共通流路11に重ならないように配置されている。また、個別流路13は、共通流路11に対して、接続流路15側が共通流路11側に、部分流路19側が共通流路11とは反対側になる向きで配置されている。
(個別流路の形状及び配置の詳細)
個別流路13の形状及び配置について、複数の個別流路行41同士における異同などについて述べる。
各個別流路行41内において、複数の個別流路13(別の観点では接続流路15、加圧室17、部分流路19及び/又は吐出孔9)の形状及び向きは、基本的に互いに同じとされている。そして、各個別流路行41内において、複数の個別流路13(15、17、19及び/又は9)は、基本的に一定のピッチで共通流路11の長さ方向に配列されている。ただし、種々の理由により、吐出孔9のピッチが当該ピッチよりも小さい量で変動していたり、個別流路13全体のピッチが変動していたりしてもよい。
第1個別流路行41A~第4個別流路行41D同士において、個別流路13の形状は、接続流路15を除いては、基本的に互いに同一である。換言すれば、加圧室17、部分流路19及び吐出孔9の形状及びこれらの部位の相対的な位置関係は互いに同一である。ただし、これらの部位の形状及び位置関係は、個別流路行41同士の相違(例えば共通流路11に対する相対位置の相違)等を考慮して、個別流路行41同士で異なっていてもよい。
接続流路15は、平面視における加圧室17に対する傾斜角度が第1個別流路行41A~第4個別流路行41D同士で異なっている。例えば、図5の例では、第1個別流路行41A及び第4個別流路行41Dにおいては、接続流路15は、加圧室17の長手方向に延びているのに対して、第2個別流路行41B及び第3個別流路行41Cにおいては、接続流路15は、加圧室17の長手方向に対して傾斜して延びている。前者の接続流路15の長さと、後者の接続流路15の長さとは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
上記の相違点を除いては、接続流路15の形状及び接続流路15の他の部位(17、19及び9)に対する相対的な位置関係も、第1個別流路行41A~第4個別流路行41D同士において同一とされてよい。また、第1個別流路行41Aと第4個別流路行41Dとで個別流路13の形状は同一とされてよい。第2個別流路行41Bと第4個別流路行41Dとで個別流路13の形状は同一とされてよい。
各個別流路行41内における複数の個別流路13のピッチは、例えば、第1個別流路行41A~第4個別流路行41D同士において基本的に同一とされている。ただし、上記のように、各個別流路行41内で、複数の個別流路13のピッチは変動してもよく、その変動の仕方は、第1個別流路行41A~第4個別流路行41D同士において同一又は対称であってもよいし、全く異なっていてもよい。
図5に示すように、以下の説明では、共通流路11の幅方向に平行な方向の一方側をD1側といい、他方側をD2側というものとする。
第1個別流路行41A(第1加圧室行25A)は、4つの個別流路行41のうち、最もD1側に位置している行である。換言すれば、第1個別流路行41Aは、共通流路11に対してD1側に位置している2つの個別流路行41のうち、共通流路11から相対的に離れている行である。第1個別流路行41A内の複数の第1個別流路13Aは、例えば、平面視において第1加圧室17Aが共通流路11に重ならない位置に設けられている。また、複数の第1個別流路13Aは、部分流路19及び吐出孔9が第1加圧室17Aに対してD1側に位置する向きで設けられている。そして、第1接続流路15Aは、平面視において、共通流路11の外側で第1加圧室17Aに接続されており、その接続位置から共通流路11へ延びて共通流路11に接続されている。
第2個別流路行41B(第2加圧室行25B)は、4つの個別流路行41のうち、D1側から2つ目の行である。換言すれば、第2個別流路行41Bは、共通流路11に対してD1側に位置している2つの個別流路行41のうち、共通流路11に相対的に近い行である。第2個別流路行41B内の複数の第2個別流路13Bは、例えば、平面視において第2加圧室17Bが共通流路11に重なる位置に設けられている。また、複数の第2個別流路13Bは、部分流路19及び吐出孔9が第2加圧室17Bに対してD1側に位置する向きで設けられている。そして、第2接続流路15Bは、平面視において、共通流路11に重なる位置で第2加圧室17Bに接続されており、その接続位置から適宜な方向に延びて共通流路11に接続されている。
第1個別流路行41Aの複数の第1個別流路13Aと、第2個別流路行41Bの複数の第2個別流路13Bとは、例えば、共通流路11の長さ方向に交互に位置している。例えば、加圧室17に着目すると、複数の第1加圧室17Aと、複数の第2加圧室17Bとは、平面視において互いに重ならないように、共通流路11の長さ方向に交互に配列されている。ただし、複数の第1加圧室17Aと、複数の第2加圧室17Bとは、共通流路11の長さ方向に見たときの共通流路11の幅方向における配置範囲を互いに一部重複させている。また、複数の第1加圧室17Aと、複数の第2加圧室17Bとは、共通流路11の幅方向に見たときの共通流路11の長さ方向における配置範囲を互いに一部重複させている。すなわち、複数の第1加圧室17A及び複数の第2加圧室17Bは、比較的密に配置されている。
第4個別流路行41D(第4加圧室行25D)及び第3個別流路行41C(第3加圧室行25C)は、例えば、概略、共通流路11の中央に位置する対称点に関して、第1個別流路行41A(第1加圧室行25A)及び第2個別流路行41B(第2加圧室行25B)と180°回転対称である。従って、上記の第1個別流路行41A及び第2個別流路行41Bに含まれる個別流路13の、共通流路11に対する相対的な位置及び向きの説明は、第4個別流路行41D及び第3個別流路行41Cに適用されてよい。この際、説明中のAはDに、BはCに、第1は第4に、第2は第3に、D1はD2に置き換えられてよい。
複数の第2個別流路13Bと、複数の第3個別流路13Cとは、例えば、共通流路11の長さ方向に交互に位置している。例えば、両者は、平面視において互いに重ならないように、共通流路11の長さ方向に交互に配列されている。ただし、両者は、共通流路11の長さ方向に見たときの共通流路11の幅方向における配置範囲を互いに一部重複させている(主として接続流路15同士)。また、両者は、共通流路11の幅方向に見たときの共通流路11の長さ方向における配置範囲を互いに一部重複させている(主として加圧室17同士。)。
共通流路11の幅方向において互いに隣接していない個別流路行41同士(41A及び41C、41B及び41D、並びに41A及び41D)において、複数の個別流路13の共通流路11の長さ方向における位置関係は適宜に設定されてよい。ただし、既に述べたように、印刷用紙Pの搬送方向(共通流路11に交差する方向)に見たときに、少なくとも吐出孔9の位置は、互いにずれている。
(アクチュエータ基板)
図2に戻って、アクチュエータ基板7は、複数の加圧室17に亘る広さを有する概略板状である。アクチュエータ基板7は、いわゆるユニモルフ型の圧電アクチュエータによって構成されている。なお、アクチュエータ基板7は、バイモルフ型等の他の形式の圧電アクチュエータによって構成されていてもよい。アクチュエータ基板7は、例えば、流路部材5側から順に、圧電体層29A、共通電極31、圧電体層29B及び個別電極33を有している。
圧電体層29A、共通電極31及び圧電体層29Bは、平面視において複数の加圧室17に亘って広がっている。すなわち、これらは、複数の加圧室17に共通に設けられている。個別電極33は、加圧室17毎に加圧室17に対向する位置に設けられている。個別電極33の数は、基本的に、加圧室17の数と同数である。なお、アクチュエータ基板7のうち、各加圧室17に対応する部分を加圧素子38というものとする。
圧電体層29Bの個別電極33と共通電極31とに挟まれている部分は、厚さ方向に分極されている。従って、例えば、個別電極33及び共通電極31によって圧電体層29Bの分極方向に電界(電圧)を印加すると、圧電体層29Bは当該層に沿う方向に収縮する。この収縮は、圧電体層29Aによって規制される。その結果、加圧素子38は加圧室17側へ凸となるように撓み変形する。ひいては、加圧室17の容積が縮小され、加圧室17の液体に圧力が付与される。個別電極33及び共通電極31によって上記とは逆向きに電界(電圧)を印加すると、加圧素子38は加圧室17とは反対側へ撓み変形する。
アクチュエータ基板7を構成する各層の厚さ及び材料等は適宜に設定されてよい。一例を挙げると、圧電体層29A及び29Bの厚さは、それぞれ10μm以上40μm以下とされてよい。共通電極31の厚さは1μm以上3μm以下とされてよい。個別電極33の厚さは、0.5μm以上2μm以下とされてよい。圧電体層29A及び29Bの材料は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系、NaNbO3系、BaTiO3系、(BiNa)NbO3系、BiNaNb5O15系などの強誘電性を有するセラミックス材料とされてよい。圧電体層29A(振動板)の材料は、圧電性を持たない材料とされても構わない。共通電極31の材料は、Ag-Pd系などの金属材料とされてよい。個別電極33の材料は、Au系などの金属材料とされてよい。
個別電極33の平面視における形状及び寸法は、例えば、概略、加圧室17の平面視における形状及び寸法と同じである。本実施形態では、図5に示すように、個別電極33は、加圧室17よりも一回り小さい菱形とされている。ただし、個別電極33の平面形状は、加圧室17の平面形状と異なっていても構わない。
図2及び図5に示すように、個別電極33からは引出電極35が延び出ている。引出電極35の個別電極33とは反対側の端部(ランド35a)は、加圧室17の外側に至っており、ランド35a上には接続電極37が形成されている。接続電極37は、ヘッド2が含む不図示の信号伝達部材(例えばFPC:Flexible printed circuits)と接合される。個別電極33は、制御部88から信号伝達部材、接続電極37及び引出電極35を介して電位(駆動信号)が付与される。
引出電極35は、例えば、個別電極33の外縁のうちの加圧室17の長手方向の端部側となる部分から、加圧室17の長手方向へ延びている。既述のように、加圧室17の長手方向の両端には、部分流路19及び接続流路15が接続されている。引出電極35は、部分流路19側に位置してもよいし、接続流路15側に位置してもよい。図5の例では、第1加圧室行25A及び第2加圧室行25Bに対応する引出電極35は、部分流路19側に位置しており、第3加圧室行25C及び第4加圧室行25Dに対応する引出電極35は、接続流路15側に位置している。引出電極35は、例えば、個別電極33と一体的に形成されており、その材料及び厚さは、個別電極33と同じである。
接続電極37は、例えば銀粒子などの導電性粒子を含んだ導電性樹脂によって構成されており、5μm以上200μm以下の厚さを有している。
共通電極31は、例えば、特に図示しないが、平面視における複数の個別電極33の非配置位置にて圧電体層29Bを貫通している貫通導体を介して上述の信号伝達部材に接続され、ひいては、制御部88と接続されている。共通電極31は、信号伝達部材を介して基準電位が付与される。
(ヘッドにおけるその他の構成)
特に図示しないが、ヘッド2は、ヘッド本体2a以外に、筐体、ドライバIC、配線基板などを含んでいてよい。また、ヘッド本体2aは、流路部材5に液体を供給する他の流路部材を含んでいてよい。そのような他の流路部材は、他の部材を支持したり、ヘッド2のフレーム70に対する固定に寄与したりしてもよい。
(加圧室同士のずれ量)
図6は、図5の一部を抽出した模式図である。この図では、共通流路11、加圧室17及び接続流路15のみを示している。また、接続流路15は、共通流路11に接続される第1部位15aと、第1部位15aに接続される第2部位15bとの区別なく描かれている。また、接続流路15は、加圧室17に接続される第3部位15cの図示は省略され、便宜上、第2部位15bが加圧室17に接続されているかのように描かれている。
平面視における加圧室17の図心C1を考える。なお、確認的に記載すると、図心は、平面図形において、その点を通る任意の軸に対する断面一次モーメントが0になる点である。菱形においては2つの対角線の交点であり、楕円においては長軸と短軸との交点であり、円形においては中心である。加圧室17の平面形状が上面と下面とで異なる場合においては、平面視の方向に加圧室17を投影した形状で考えてよい。
第1加圧室17Aの図心C1と第2加圧室17Bの図心C1との距離d1は、第2加圧室17Bの図心C1と第3加圧室17Cの図心C1との距離d2よりも短くなっている。同様に、第4加圧室17Dの図心C1と第3加圧室17Cの図心C1との距離d1は、距離d2よりも短くなっている。すなわち、共通流路11の片側で互いに隣り合っている加圧室行25同士の距離d1は、共通流路11の中心線CLを挟んで互いに隣り合っている加圧室行25同士の距離d2よりも短い。
本実施形態の説明では、図心C1同士の距離d1又はd2を加圧室17同士の距離d1又はd2のように表現することがある。本実施形態では、第1加圧室17Aと第2加圧室17Bとの距離と、第3加圧室17Cと第4加圧室17Dとの距離は同一(距離d1)であるが、両者は異なっていてもよい。
距離d1及び距離d2の具体的な値及び/又は両者の大きさの相違の程度等は適宜に設定されてよい。一例として、距離d2は、距離d1に対して、1.1倍以上又は1.2倍以上であり、また、2倍以下又は1.5倍以下であり、上記の下限と上限とは適宜に組み合わされてよい。また、距離d1及び距離d2の差は、加圧室17の公差よりも大きい。
(接続流路の接続位置等)
第1接続流路15A~第4接続流路15Dの共通流路11に対する接続位置(第1部位15a)をそれぞれ第1位置PA~第4位置PDというものとする。なお、接続位置又は第1位置PA~第4位置PDという場合、第1部位15aと共通流路11とを連通する開口(プレート21Iと21Jとの境界に位置する開口)全体を指してもよいし、当該開口の図心を指してもよい。以下の説明では、特に断りが無い限りは、図心を基準とするものとする。本実施形態では、第1部位15aは、その全体が共通流路11に重なる直柱状であり、第1部位15aの平面形状と上記開口の形状とは同一である。ここでの平面視における位置関係の説明では、第1部位15aの語は、上記開口と同義であるものとする。
第1位置PA~第4位置PDは、それぞれ第1加圧室17A~第4加圧室17Dに対応するものである。しかし、第1位置PA~第4位置PD同士の位置関係は、第1加圧室17A~第4加圧室17D同士の位置関係とは異なっている。
具体的には、第1加圧室17A~第4加圧室17Dは、D1側からD2側へ、第1加圧室17A、第2加圧室17B、第3加圧室17C、第4加圧室17Dの順で配置されている。これに対して、第1位置PA~第4位置PDは、D1側からD2側へ、第1位置PA、第3位置PC、第2位置PB、第4位置PDの順で配置されている。すなわち、相対的に長い距離d2で隣り合っている第2加圧室17Bと第3加圧室17Cとの位置関係と、これに対応する第2位置PBと第3位置PCとの位置関係とは、共通流路11の幅方向において逆になっている。
別の観点では、相対的に短い距離d1で隣り合っている第1加圧室17Aと第2加圧室17Bとに対応する第1位置PAと第2位置PBとの間には、これらの加圧室17から相対的に長い距離d2で離れている第3加圧室17Cに対応する第3位置PCが位置している。より詳細には、共通流路11の幅方向の位置に関して、第1位置PAと第2位置PBとの間に第3位置PCが位置している。さらに、第1位置PAの第1部位15a及び第2位置PBの第1部位15aをこれらの径を幅として直線的に結ぶ帯状の領域内に第3位置PCの第1部位15aの少なくとも一部が重複している。
同様に、相対的に短い距離d1で隣り合っている第4加圧室17Dと第3加圧室17Cとに対応する第4位置PDと第3位置PCとの間には、これらの加圧室17から相対的に長い距離d2で離れている第2加圧室17Bに対応する第2位置PBが位置している。より詳細には、共通流路11の幅方向の位置に関して、第4位置PDと第3位置PCとの間に第2位置PBが位置している。さらに、第4位置PDの第1部位15a及び第3位置PCの第1部位15aをこれらの径を幅として直線的に結ぶ帯状の領域内に第2位置PBの第1部位15aの少なくとも一部が重複している。
第1位置PA~第4位置PDの共通流路11に対する具体的位置は適宜に設定されてよい。図示の例では、第1位置PAは、共通流路11の中心線CLよりもD1側に位置している。第2位置PBは、中心線CLよりもD2側に位置している。すなわち、相対的に短い距離d1で隣り合っている第1加圧室17Aと第2加圧室17Bとに対応する第1位置PA及び第2位置PBは、中心線CLの両側に位置している。同様に、相対的に短い距離d1で隣り合っている第4加圧室17Dと第3加圧室17Cとに対応する第4位置PD及び第3位置PCは、中心線CLの両側に位置している。すなわち、第4位置PDは、共通流路11の中心線CLよりもD2側に位置している。第3位置PCは、中心線CLよりもD1側に位置している。
より詳細には、例えば、第1位置PAは、共通流路11のD1側の側面に隣接しており、第1位置PAと前記側面との距離は、第1部位15aの直径(円形でない場合は共通流路11の幅方向の径)以下又は半径(円形でない場合は前記径の半分)以下である。また、例えば、第2位置PBの中心線CLとの距離は、例えば、第1部位15aの直径(円形でない場合は共通流路11の幅方向の径)以上又は半径(円形でない場合は前記径の半分)以上である。第1位置PAと第2位置PBとの距離及び/又はこれらの位置同士の共通流路11の幅方向における距離は、例えば、共通流路11の幅以上である。第1位置PA及び第2位置PBと回転対称の関係にある第4位置PD及び第3位置PCについても、D1側及びD2側を逆にして、同様のことがいえる。
また、順に並ぶ第1位置PA、第3位置PC、第2位置PB及び第4位置PDの互いに隣り合うもの同士の共通流路11の幅方向における間隔は、概ね同等とされている。すなわち、共通流路11の幅方向において、第1位置PAと第3位置PCとの距離d11、第3位置PCと第2位置PBとの距離d12、及び第2位置PBと第4位置PDとの距離d13は、概ね同等である。例えば、距離d11、d12及びd13のそれぞれは、これらの平均値の80%以上130%以下、又は90%以上120%以下である。
共通流路11の長さ方向においては、第1位置PAと第2位置PBとは互いにずれている。すなわち、複数の第1位置PA及び複数の第2位置PBに着目した場合においては、両者は共通流路11の長さ方向に交互に位置している。第1位置PA及び第2位置PBと回転対称の関係にある第4位置PD及び第3位置PCについても同様である。
第1位置PAと第3位置PCは、共通流路11の長さ方向において、互いに同一の位置に位置していてもよいし(図示の例)、互いに異なる位置に位置していてもよい。同様に、第4位置PDと第2位置PBは、共通流路11の長さ方向において、互いに同一の位置に位置していてもよいし(図示の例)、互いに異なる位置に位置していてもよい。ここでいう位置が同一は、例えば、両者の共通流路11の長さ方向における距離が、第1部位15aの半径(円形でない場合は共通流路11の長さ方向の径)の半分以下の状態とされてよい。
これまでの説明からも理解されるように、第1接続流路15Aと第2接続流路15Bとは、共通流路11の幅方向において、加圧室17から延びる方向が同じである。すなわち、第1接続流路15Aは、第1加圧室17AからD2側へ延びて第1位置PAに至っている。同様に、第2接続流路15Bは、第2加圧室17BからD2側へ延びて第2位置PBに至っている。そして、第1接続流路15Aと第2接続流路15Bとは、例えば、互いに傾斜している。両者がなす角は、例えば、鋭角である。当該鋭角の具体的な角度は適宜に設定されてよく、例えば、90°未満、45°以下又は30°以下とされてよい。第1接続流路15A及び第2接続流路15Bと回転対称の関係にある第4接続流路15Dと第3接続流路15Cについても同様である。また、第1接続流路15Aと第4接続流路15Dとは、例えば、互いに平行である。第2接続流路15Bと第3接続流路15Cとは、例えば、互いに平行である。
以上のとおり、本実施形態では、液体吐出ヘッド2(ヘッド本体2a)は、共通流路11、複数の第1加圧室17A、複数の第1接続流路15A、複数の第2加圧室17B、複数の第2接続流路15B、複数の第3加圧室17C及び複数の第3接続流路15Cを有している。複数の第1加圧室17Aは、共通流路11に沿って並んでいる。複数の第1接続流路15Aは、共通流路11と複数の第1加圧室17Aとを接続している。複数の第2加圧室17Bは、複数の第1加圧室17Aに対して共通流路11に直交する第1方向の一方側(D2側)へ第1ずれ量(距離d1)でずれた位置にて共通流路11に沿って並んでいる。複数の第2接続流路15Bは、共通流路11と複数の第2加圧室17Bとを接続している。複数の第3加圧室17Cは、複数の第2加圧室17Bに対してD2側へ距離d1よりも長い第2ずれ量(距離d2)でずれた位置にて共通流路11に沿って並んでいる。複数の第3接続流路15Cは、共通流路11と複数の第3加圧室17Cとを接続している。複数の第3接続流路15Cの共通流路11との接続位置である複数の第3位置PCは、複数の第1接続流路15Aの共通流路11との接続位置である複数の第1位置PAよりもD2側に位置している。また、複数の第3位置PCは、複数の第2接続流路15Bの共通流路11との接続位置である複数の第2位置PBよりも共通流路11に直交する第1方向の他方側(D1側)に位置している。
従って、例えば、クロストークの影響の均一化が容易化される。具体的には、以下のとおりである。
まず、距離d1が距離d2よりも短いことから、例えば、共通流路11の幅を確保しつつ、共通流路11の片側において加圧室17を密に配置することができる。一方、互いに隣り合う2つの加圧室17同士は、流路部材5及び/又はアクチュエータ基板7のうちの前記2つの加圧室17の間に位置する部分を介して互いに応力を及ぼし合う。ひいては、2つの加圧室17は、液体の吐出特性に関して相互に影響を及ぼす。すなわち、構造クロストークが生じる。この構造クロストークは、加圧室17同士の距離が短い方が大きくなるから、第1加圧室17Aと第2加圧室17Bとの間の構造クロストークは、第2加圧室17Bと第3加圧室17Cとの間の構造クロストークよりも大きくなる。
一方、加圧室17同士は、共通流路11を介して互いに通じているから、いわゆる流体クロストークが生じる。例えば、典型的には、一の加圧室17で生じた圧力波が共通流路11を介して他の加圧室17まで伝搬する。その結果、加圧室17同士は、液体の吐出特性に関して相互に影響を及ぼす。この流体クロストークは、通常、接続流路15の共通流路11に対する接続位置同士が近いほど大きくなる。ここで、第3位置PCは、第1位置PAと第2位置PBとの間に位置しているから、第1位置PAと第2位置PBとの距離は、第2位置PBと第3位置PCとの距離よりも長くなる。その結果、第1加圧室17Aと第2加圧室17Bとの間の流体クロストークは、第2加圧室17Bと第3加圧室17Cとの間の流体クロストークよりも小さくなる。
従って、第1加圧室17A~第3加圧室17Cの3つの加圧室17において、構造クロストークが相対的に大きい2つの加圧室17(17A及び17B)は、流体クロストークが相対的に小さくなる。その結果、構造クロストーク及び流体クロストークの双方を総合的に評価した場合においては、3つの加圧室17でクロストークが平均化されることになる。ひいては、液体の吐出特性を均一化して、画質を向上させることができる。
また、本実施形態では、複数の第1位置PAは、共通流路11の中心線CLよりもD1側に位置しており、複数の第2位置PBは、中心線CLよりもD2側に位置している。
この場合、例えば、第1位置PAと第2位置PBとの距離を確保しやすい。ひいては、構造クロストークが相対的に大きい第1加圧室17A及び第2加圧室17Bの流体クロストークを小さくしやすい。
また、本実施形態では、複数の第1位置PAと複数の第2位置PBとは共通流路11の長さ方向において交互に位置している。
この場合、例えば、第1位置PAと第2位置PBとの共通流路11の長さ方向における位置が互いに一致している態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、第1位置PAと第2位置PBとの距離を確保しやすい。ひいては、構造クロストークが相対的に大きい第1加圧室17A及び第2加圧室17Bの流体クロストークを小さくしやすい。
また、本実施形態では、第1接続流路15Aは、第1加圧室17AからD2側へ延びて第1位置PAに至っている。第2接続流路15Bは、第2加圧室17BからD2側へ延びて第2位置PBに至っている。共通流路11の長さ方向及び共通流路11の幅方向の双方に直交する方向に見て(平面視において)、第1接続流路15Aと第2接続流路15Bとがなす角は鋭角である。
この場合、例えば、上記角が鈍角である態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、2つの接続流路15の一方から共通流路11へ伝搬した圧力波は、直接的には他方の接続流路15へ入り込み難い。その結果、構造クロストークが相対的に大きい第1加圧室17A及び第2加圧室17Bの流体クロストークを小さくしやすい。
また、本実施形態では、ヘッド2(ヘッド本体2a)は、複数の第4加圧室17Dと、複数の第4接続流路15Dとを有している。複数の第4加圧室17Dは、複数の第3加圧室17Cに対してD2側へ距離d2よりも短い第3ずれ量(距離d1)でずれた位置にて共通流路11に沿って並んでいる。複数の第4接続流路15Dは、共通流路11と複数の第4加圧室17Dとを接続している。複数の第4接続流路15Dの共通流路11との接続位置である複数の第4位置PDは、複数の第2位置PBよりもD2側に位置している。
この場合、例えば、第3加圧室17Cに近い位置に第4加圧室17Dを配置して、加圧室17の更なる高密度化を図ることができる。また、例えば、第1加圧室17A~第3加圧室17Cにおけるクロストークの均一化の効果と同様の効果を第4加圧室17D~第2加圧室17Bにおいて得ることができる。また、例えば、構造クロストークと流体クロストークとが均一化される加圧室17を共通流路11の幅方向において偶数個にすることができる。その結果、例えば、共通流路11に関して線対称に構造クロストークと流体クロストークとを均一化できる。ひいては、均一化の効果が向上する。
また、本実施形態では、複数の第3位置PCは、共通流路11の中心線CLよりもD1側に位置しており、複数の第4位置PDは、中心線CLよりもD2側に位置している。
この場合、例えば、第1位置PA及び第2位置PBと同様に、両者の距離を確保して流体クロストークを小さくすることが容易化される等の効果が奏される。さらに、偶数個の第1位置PA~第4位置PDを共通流路11の幅方向に対称的に配置して、クロストークの均一化の効果を向上させることができる。
また、本実施形態では、複数の第3位置PCと複数の第4位置PDとは共通流路11の長さ方向において交互に位置している。
この場合、例えば、第1位置PAと第2位置PBと同様に、第3位置PCと第4位置PDとの距離を確保しやすい。ひいては、構造クロストークが相対的に大きい第3加圧室17C及び第4加圧室17Dの流体クロストークを小さくしやすい。
また、本実施形態では、第3接続流路15Cは、第3加圧室17CからD1側へ延びて第3位置PCに至っている。第4接続流路15Dは、第4加圧室17DからD1側へ延びて第4位置PDに至っている。平面視において、第3接続流路15Cと第4接続流路15Dとがなす角は鋭角である。
この場合、例えば、第1接続流路15A及び第2接続流路15Bと同様に、両者の間の流体クロストークを小さくすることができる。
また、本実施形態では、複数の第1位置PAと複数の第3位置PCとの共通流路11の幅方向における距離(距離d11)、複数の第3位置PCと複数の第2位置PBとの幅方向における距離(距離d12)、及び複数の第2位置PBと複数の第4位置PDとの幅方向における距離(距離d12)のそれぞれは、これらの距離の平均値の80%以上130%以下である。
すなわち、第1位置PA~第4位置PDの間隔が均等化される。この場合、例えば、特定の接続位置同士で圧力の相互影響が特異的に大きくなる蓋然性を低下させ、流体クロストークを均一化させることができる。
なお、以上の実施形態において、ヘッド2又はヘッド本体2aは液体吐出ヘッドの一例である。プリンタ1は記録装置の一例である。インクは液体の一例である。印刷用紙Pは記録媒体の一例である。第1接続流路15Aは第1流路の一例である。第2接続流路15Bは第2流路の一例である。第3接続流路15Cは第3流路の一例である。第4接続流路15Dは第4流路の一例である。距離d1は第1ずれ量及び第3ずれ量の一例である。距離d2は第2ずれ量の一例である。D1側は第1方向の他方側の一例である。D2側は第1方向の一方側の一例である。
なお、本開示に係る技術は、上述した実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
ヘッドは、個別流路から液体を回収する回収用の共通流路を有しているものであってもよい。接続流路は、加圧室及び共通流路に加えて、他の部位に接続されていてもよい。例えば、接続流路は、部分流路と回収用の共通流路とを接続する流路と接続されていてもよい。また、例えば、同一の加圧室行内で互いに隣り合う2つの加圧室に繋がる2つの接続流路は、共通流路側の一部が共用されて、互いに接続されていてもよい。