JP7110859B2 - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料を触媒上で燃焼させる燃焼器を備える燃料電池システムおよびその運転方法に関する。
特許文献1には、燃料電池システムへの適用を明示的に想定したものではないが、燃料を触媒上で燃焼させる燃焼器について、燃焼器に供給される燃料および空気の流量を、空気過剰率が燃焼安定性を保ち得る範囲に収まるように制御することが開示されている。
特開2005-214481号公報(段落0010)
特許文献1の技術によれば、燃焼器に供給される空気の流量に対し、燃焼の安定確保上適切な燃料の流量を設定することが可能となる。しかし、燃焼器に供給される燃料の流量を、単に空気の流量に応じて設定するだけでは、次のことが問題となる。
第1に、燃焼器に供給される空気の温度が低い場合は、燃焼ガスの温度を確保するため、空気の温度が高い場合と比較して、同一の空気の流量のもとで設定される燃料の流量が増大される傾向にある。これにより、触媒上での燃焼に寄与する燃料の量が増大し、触媒の表面温度が過度に上昇して、触媒の劣化を進行させる懸念があることである。
第2に、燃焼器を高い出力で運転させる場合は、燃焼器に供給される燃料と空気とがいずれも増量されることで、燃焼ガスの温度自体にさしたる違いは生じないとしても、触媒上での燃焼に寄与する燃料の量が増大することから、はやり、触媒の劣化を進行させることが懸念される。
燃料電池システムへの燃焼器の適用を想定した場合は、燃焼器に供給される空気の流量が燃料電池の運転条件に応じて大きく変動するうえ、カソードガス系の構成によっては燃焼器に供給される空気の温度も変化することから、以上の問題がより顕著となる。
そこで、本発明は、燃焼器に備わる触媒の劣化をより適切に抑制可能な燃料電池システムおよびその運転方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態では、燃料電池と、燃料と酸化剤ガスとが供給され、燃料を触媒上で燃焼させる燃焼器と、を備え、燃焼器が生じさせる燃料の燃焼ガスにより燃料電池を加熱可能に構成された燃料電池システムにおいて、燃焼器における燃焼状態を制御する燃料電池システムの運転方法が提供される。本形態では、燃焼器に供給される酸化剤ガスの温度を検出し、燃焼器に備わる触媒の上限表面温度に応じた燃焼ガスの上限温度を、酸化剤ガスの温度をもとに設定し、燃焼ガスの温度を上限温度以下に制限するように、燃焼器に供給される燃料の流量を制御する。
他の形態では、燃料電池システムが提供される。
本発明によれば、燃焼器に備わる触媒の上限表面温度に応じた燃焼ガスの上限温度を設定し、燃焼ガスの温度を上限温度以下に制限するように、燃焼器に供給される燃料の流量を制御することで、触媒の表面温度がその上限温度を超えて上昇するのを回避することが可能となり、触媒の劣化を抑制することができる。さらに、燃焼ガスの上限温度を、酸化剤ガスの温度をもとに設定することで、燃焼ガスの上限温度を、触媒の表面温度の過度な上昇を回避するのに適したものとし、表面温度の上昇による触媒の劣化をより適切に抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの全体的な構成を示す概略図である。 図2は、同上実施形態に係る燃料電池システムの起動時における動作を示す説明図である。 図3は、同上実施形態に係る燃料電池システムの通常時における動作を示す説明図である。 図4は、同上実施形態に係る燃料電池システムの通常時(特に燃焼器に対する加熱要求時)における動作を示す説明図である。 図5は、同上実施形態に係る燃焼器における熱の授受を模式的に示す説明図である。 図6は、同上実施形態に係る触媒表面温度の、燃焼器の出力に応じた変化を示す説明図である。 図7は、同上実施形態に係るシステムコントローラの、燃焼制御部の構成を示す概略図である。 図8は、同上実施形態に係るシステムコントローラの、燃料流量設定部の構成を示す概略図である。 図9は、同上実施形態に係るシステムコントローラの、燃料上限流量設定部の構成を示す概略図である。 図10は、同上実施形態に係るシステムコントローラの、燃料上限流量設定部の変形例に係る構成を示す概略図である。 図11は、同上実施形態に係る酸化剤ガス温度(スタック出口温度)と燃焼ガス上限温度との関係を示す説明図である。 図12は、同上実施形態に係るシステムコントローラの、第1目標燃料流量設定部の構成を示す概略図である。 図13は、同上実施形態に係るシステムコントローラの、第2目標燃料流量設定部の構成を示す概略図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(燃料電池システムの全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムSの構成を概略的に示している。
本実施形態に係る燃料電池システム(以下「燃料電池システム」といい、単に「システム」という場合がある)Sは、燃料電池スタック1と、燃料処理部21~23と、酸化剤ガス加熱部3と、燃焼器4と、システムコントローラ101と、を備える。
燃料電池スタック(以下、単に「スタック」という場合がある)1は、複数の燃料電池または燃料電池単位セルを積層して構成され、発電源である個々の燃料電池は、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
燃料処理部21~23は、一次燃料である原燃料を処理し、燃料電池での発電反応に用いられる燃料ガスに変換する。燃料処理部21~23は、アノードガス供給通路11に介装され、原燃料の供給を受ける。本実施形態において、原燃料は、含酸素燃料と水との混合物であり、アノードガス供給通路11に接続された燃料タンク7に貯蔵されている。本実施形態に適用可能な原燃料として、エタノールと水との混合物(つまり、エタノール水溶液)を例示することができ、その場合の燃料ガスは、エタノールの改質により得られる水素である。
酸化剤ガス加熱部3は、酸化剤ガスを燃料電池スタック1への供給前に加熱する。酸化剤ガス加熱部3は、カソードガス供給通路12に介装され、酸化剤ガスの供給を受ける。酸化剤ガスは、例えば、空気であり、大気中の空気を燃料電池スタック1のカソード極に供給することで、発電反応に用いられる酸素をカソード極に供給することが可能である。
ここで、固体酸化物形燃料電池のアノード極およびカソード極での発電に係る反応は、次式により表すことができる。
アノード極: 2H2+4O2- → 2H2O+4e- …(1.1)
カソード極: O2+4e- → 2O2- …(1.2)
燃焼器4は、暖機後の通常システム運転時において、燃料電池スタック1から排出されるオフガス中の残燃料(つまり、残水素)を燃焼させ、燃焼ガスを生成する。本実施形態において、燃焼器4は、アノードオフガス通路11exhおよびカソードオフガス通路12exhに接続され、これらの通路11exh、12exhを通じてアノードオフガスおよびカソードオフガスの供給を受ける。燃焼ガスは、図中太い点線でその概略を示す燃焼ガス通路13を介して燃料処理部21~23および酸化剤ガス加熱部3に供給され、燃焼ガスが有する熱量は、原燃料であるエタノール水溶液および酸化剤ガスである空気の加熱に用いられる。
燃料電池システムSの構成についてさらに説明すると、燃料電池スタック1は、アノード系において、燃料電池のアノード極に燃料ガスを供給するためのアノードガス供給通路11と、アノード極から排出される発電反応後のアノードオフガスを流すためのアノードオフガス通路11exhと、を備える一方、カソード系において、燃料電池のカソード極に酸化剤ガスを供給するためのカソードガス供給通路12と、カソード極から排出される発電反応後のカソードオフガスを流すためのカソードオフガス通路12exhと、を備える。
そして、燃料タンク7と燃料電池スタック1のアノード極とを接続するアノードガス供給通路11には、流れの方向に関して上流側から順に、蒸発器21、燃料熱交換器22および改質器23が介装されている。さらに、蒸発器21の上流側でアノードガス供給通路11から分岐燃料通路11subが分岐し、分岐燃料通路11subは、燃焼器4に接続されている。分岐燃料通路11subの分岐点と蒸発器21との間のアノードガス供給通路11には、第1燃料インジェクタ51が、分岐燃料通路11subには、第2燃料インジェクタ52が、夫々介装されている。
蒸発器21は、燃料タンク7から原燃料であるエタノール水溶液の供給を受け、これを加熱して蒸発させ、エタノールガスおよび水蒸気を生成する。
燃料熱交換器22は、エタノールガスおよび水蒸気をさらに加熱する。
改質器23は、改質用触媒を内蔵し、気体の状態にあるエタノールから、水蒸気改質により水素を生成する。水蒸気改質は、次式により表すことができる。
25OH+3H2O → 6H2+2CO2 …(2)
酸化剤ガス加熱部3は、空気熱交換器により構成され、燃焼ガスとの熱交換により、カソードガス供給通路12を流れる酸化剤ガスを加熱する。本実施形態では、カソードガス供給通路12の開放端付近にブロアないしエアコンプレッサ6が設置され、酸化剤ガスである大気中の空気が、ブロア6を介してカソードガス供給通路12に吸入される。吸入された空気は、酸化剤ガス加熱部3を通過する際に常温(例えば、25℃)から昇温され、燃料電池スタック1に供給される。
燃焼器4は、燃焼用触媒を内蔵し、燃料電池スタック1からアノードオフガスの供給を受け、アノードオフガス中の残燃料の触媒燃焼により燃焼ガスを生成する。燃焼器4は、アノードオフガスに加え、分岐燃料通路11subを通じて原燃料であるエタノール水溶液の供給を受けることも可能であり、その場合は、燃焼ガスの生成に際し、残燃料に加えてエタノールをも燃焼させる。残燃料とエタノール水溶液とのうち、残燃料のみの供給を受けることも可能であることは、勿論である。
本実施形態では、燃焼器4に対し、その上流側に隣接させて加熱器41が付設されている。加熱器41は、電気ヒータを備えるとともに、燃焼器4に備わるものと同一であるか、異なる組成の燃焼用触媒を内蔵し、燃焼器4に供給される燃料、つまり、燃料電池スタック1のカソードオフガスを、基本的には、燃焼器4への流入前に、電気ヒータおよび触媒の双方により加熱する。加熱器41による加熱は、電気ヒータのみによるものであってもよく、例えば、触媒が未活性の状態にある場合に、燃料ないしカソードオフガスを、電気ヒータにより加熱して、燃焼器4に供給することが可能である。
システムコントローラ101は、燃料電池システムSの運転中、蒸発器21および燃焼器4に対する原燃料の供給(燃焼器4への供給は、加熱器41を介したものとなる)を制御するとともに、酸化剤ガス加熱部3に対する酸化剤ガスの供給を制御する。システムコントローラ101は、電子制御ユニットとして構成することが可能であり、第1燃料インジェクタ51、第2燃料インジェクタ52およびブロア6は、システムコントローラ101からの信号に応じて作動し、蒸発器21および燃焼器4に原燃料を供給するとともに、酸化剤ガス加熱部3に酸化剤ガスを供給する。
燃料電池スタック1の発電電力は、図示しないバッテリを充電したり、電動モータまたはモータジェネレータ等の外部装置を駆動したりするのに用いることが可能である。例えば、燃料電池システムSは、車両用の駆動システムに適用することが可能であり、燃料電池スタック1の定格運転により生じた電力をバッテリに充電したり、車両の目標駆動力に応じた電力をバッテリおよび燃料電池スタック1から走行用のモータジェネレータに供給したりすることができる。
(制御システムの構成およびその基本的な動作)
本実施形態において、システムコントローラ101は、中央演算ユニット(CPU)、ROMおよびRAM等の各種記憶ユニット、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータからなる電子制御ユニットとして構成され、第1燃料インジェクタ51、第2燃料インジェクタ52およびブロア6等、燃料電池システムSの運転に要する各種装置ないし部品の動作を制御する。
システムコントローラ101は、燃料電池システムSの制御に関わる情報として、アノード入口温度Tand_intを検出するアノード入口温度センサ201からの信号、カソード入口温度Tcth_intを検出するカソード入口温度センサ202からの信号、スタック出口温度Tstk_outを検出するスタック出口温度センサ203からの信号、燃料流量Qfを検出する燃料流量センサ204からの信号、酸化剤ガス流量Qairを検出する酸化剤ガス流量センサ205からの信号、燃料温度Tfを検出する燃料温度センサ206からの信号、酸化剤ガス温度Tairを検出する酸化剤ガス温度センサ207からの信号、燃焼ガス温度Tcmbを検出する燃焼ガス温度センサ208からの信号、スタック電圧Vstkを検出するスタック電圧センサ209からの信号、スタック電流Istkを検出するスタック電流センサ210からの信号を入力するほか、システム起動スイッチ211およびアクセルセンサ212からの信号を入力する。
アノード入口温度Tand_intは、燃料電池スタック1のアノード極に供給されるアノードガスの温度であり、スタック入口部付近に設置されたアノード入口温度センサ201の出力をもってアノード入口温度Tand_intとする。
カソード入口温度Tcth_intは、燃料電池スタック1のカソード極に供給されるカソードガスの温度であり、スタック入口部付近に設置されたカソード入口温度センサ202の出力をもってカソード入口温度Tcth_intとする。
スタック出口温度Tstk_outは、燃料電池スタック1から排出されるオフガスの温度であり、燃料電池スタック1のカソード出口部付近に設定されたスタック出口温度センサ203の出力をもってスタック出口温度Tstk_outとする。本実施形態では、スタック出口温度Tstk_outを、燃焼器4に供給される酸化剤ガスの温度の指標とする。
燃料流量Qfは、燃料電池スタック1のアノード極に供給される燃料ガスの流量であり、蒸発器21の上流側のアノードガス供給通路11に燃料流量センサ204を設置し、これにより検出された流量を燃料ガスの流量に換算し、これを燃料流量Qfとする。
酸化剤ガス流量Qairは、燃料電池スタック1のカソード極に供給される酸化剤ガスの流量であり、酸化剤ガス加熱部3の上流側のカソードガス供給通路12に設置された酸化剤ガス流量センサ205の出力をもって酸化剤ガス流量Qairとする。本実施形態では、酸化剤ガス流量Qairを、燃焼器4に供給される酸化剤ガスの流量の指標とする。
燃料温度Tfは、燃料電池スタック1のアノード極に供給される燃料ガスの温度であり、改質器23の出口部付近に設置された燃料温度センサ206の出力をもって燃料温度Tfとする。
酸化剤ガス温度Tairは、燃料電池スタック1のカソード極に供給される酸化剤ガスの温度であり、酸化剤ガス加熱部3である空気熱交換器の出口部付近に設置された酸化剤ガス温度センサ207の出力をもって酸化剤ガス温度Tairとする。
燃焼ガス温度Tcmbは、燃焼器4により生成される燃焼ガスの温度であり、燃焼器4の出口部付近に設置された燃焼ガス温度センサ208の出力をもって燃焼ガス温度Tcmbとする。
スタック電圧Vstkは、燃料電池スタック1の発電電圧であり、燃料電池スタック1の端子間にかかる電圧を検出可能に設置されたスタック電圧センサ209の出力をもってスタック電圧Vstkとする。
スタック電流Istkは、燃料電池スタック1の発電電流であり、燃料電池スタック1の端子間を流れる電流を検出可能に設置されたスタック電流センサ210の出力をもってスタック電流Istkとする。
システム起動スイッチ211は、運転者により操作され、運転者の操作に応じて燃料電池システムSの起動要求を示す信号を出力する。
アクセルセンサ212は、運転者によるアクセルペダルの操作量(以下「アクセル操作量」という)を検出するものであり、アクセル操作量は、車両の走行駆動力の指標であり、本実施形態では、これをもとに燃料電池スタック1の目標出力を設定する。
システムコントローラ101は、システム起動スイッチ211から燃料電池システムSの起動要求を入力すると、燃料電池スタック1の暖機を行う起動制御を実行する。燃料電池スタック1の暖機とは、停止中に低温(例えば、常温)にあった燃料電池スタック1をその動作温度にまで昇温させることをいう。
そして、燃料電池スタック1の温度が動作温度に達すると、システムコントローラ101は、起動制御を終了し、通常時の発電制御に移行する。通常時では、基本的には、燃料電池スタック1をその定格点で運転させ、定格運転に要する流量の原燃料を、第1燃料インジェクタ51を介して蒸発器21に供給する。ここで、燃料電池スタック1の定格運転とは、燃料電池スタック1の最大発電出力での運転をいう。
(燃料電池システムの基本動作)
図2および3は、燃料電池システムSの動作を示す。図2は、起動時における動作を、図3は、通常時における動作を、夫々示している。図中矢印付きの太い実線は、ガスまたは液体の流れのある通路を示し、矢印のない細い実線は、流れのない通路を示す。
起動時(図2)では、第1燃料インジェクタ51を停止させる一方、第2燃料インジェクタ52を作動させ、燃料タンク7に貯蔵されている原燃料を、第2燃料インジェクタ52を介して燃焼器4に供給する。燃焼器4への原燃料の供給は、加熱器41を介してなされる。加熱器41では、触媒が未活性の状態にあるか、原燃料の充分な燃焼状態が得られない場合に、電気ヒータを作動させ、電気ヒータにより原燃料を加熱する。他方で、大気中の空気をブロア6によりカソードガス供給通路12に取り込み、酸化剤ガス加熱部3を介して燃料電池スタック1に供給する。燃料電池スタック1を通過した空気は、カソードオフガス通路12exhを流れ、原燃料の酸化剤として燃焼器4に供給される。燃焼により生じた燃焼ガスが燃焼ガス通路13を介して改質器23、燃料熱交換器22、酸化剤ガス加熱部3である空気熱交換器および蒸発器21に供給される。このように、起動時では、原燃料の燃焼により生じた輻射熱により燃料電池スタック1が加熱されるとともに、酸化剤ガス加熱部3で加熱された空気を熱媒体としてさらに加熱され、燃焼電池スタック1の暖機が促進される。
これに対し、通常時(図3)では、第1燃料インジェクタ51を作動させ、燃料タンク7に貯蔵されている原燃料を、第1燃料インジェクタ51を介して蒸発器21を含む燃焼処理部21~23に供給する。これに併せ、ブロア6を作動させ、酸化剤ガスである空気を、酸化剤ガス加熱部3を介して燃料電池スタック1に供給する。燃料電池スタック1から排出される発電反応後のオフガス(アノードオフガス、カソードオフガス)は、アノードオフガス通路11exhおよびカソードオフガス通路12exhを介して加熱器41に導入され、加熱器41を介して燃焼器4に供給される。アノードオフガス中の残燃料が加熱器41および燃焼器4の触媒上で燃焼し、これにより生じた燃焼ガスが燃焼ガス通路13を介して燃料処理部21~23および酸化剤ガス加熱部3に供給される。これにより、燃料処理部21~23および酸化剤ガス加熱部3が加熱され、蒸発器21が原燃料(エタノール水溶液)を蒸発可能な温度に維持されるとともに、改質器23が原燃料(エタノール)を改質可能な温度に維持される。
ここで、起動時における原燃料の供給流量(つまり、第2燃料インジェクタ52の噴射流量)は、基本的には、スタック出口温度Tstk_outをもとに設定する。具体的には、スタック出口温度Tstk_outに、燃料電池スタック1の入口側と出口側との間で許容される所定の温度差ΔTstkを加算したものを、目標スタック入口温度Tint_trg(=Tstk_out+ΔTstk)として設定する。そして、酸化剤ガス、つまり、大気中から取り込んだ常温の空気を目標スタック入口温度Tint_trgにまで上昇させるうえで酸化剤ガス加熱部3に供給されるべき熱量に応じた原燃料の流量を算出し、これを起動時における原燃料の供給流量に設定する。
これに対し、通常時における原燃料の供給流量(つまり、第1燃料インジェクタ51の噴射流量)は、燃料電池スタック1に要求される出力、換言すれば、燃料電池スタック1の負荷をもとに設定する。燃料電池スタック1の温度維持に要する熱量を燃焼器4により生じさせるのにアノードオフガス中の残燃料だけでは不足する場合は、第1燃料インジェクタ51に加えて第2燃料インジェクタ52をも作動させ、燃焼器4に対し、不足分に相当する流量の原燃料を、第2燃料インジェクタ52を介して供給する(図4)。
システムコントローラ101は、燃料電池システムSの運転時全体を通じ、換言すれば、燃料電池システムSの起動時、通常時および停止時の全てに亘って燃焼器4における燃焼状態を制御する。そして、燃焼ガスの温度Tcmbを、燃焼器4(本実施形態では、燃焼器4および加熱器41)に備わる触媒の温度、特にその表面温度が上限温度を超えて上昇するのを回避することのできる温度に制限する。触媒の表面温度の上限は、例えば、900℃である。
ここで、燃焼器4の制御に対する理解を促すため、燃焼ガスの温度Tcmbと触媒の表面温度Tcatとの関係について簡単に説明する。
図5は、燃焼器4に備わる触媒の表面およびその近傍を拡大して示したものであり、燃焼器4に供給される酸化剤ガスと触媒の表面との間における熱の授受の関係を模式的に示している。温度Tstk_outで燃焼器4に供給された酸化剤ガスGが、原燃料の燃焼による反応熱(発熱流Hc)を触媒の表面(温度Tcat)から受け、温度Tcmbの燃焼ガスとして燃焼器4から流出する様子を示している。
触媒の表面温度Tcatと燃焼ガスの温度Tcmbとの関係は、触媒上での燃焼により生じる発熱流Hcに対し、次のような関係にある。
Tcmb=Tcat-Hc/(A×hw(Tstk_out)) …(1)
式(1)中、Aは、反応部の表面積を示し、hw(T)は、温度Tにおける境膜伝熱係数を示す。Tstk_outは、スタック出口温度であるが、燃焼器4に供給される酸化剤ガスの温度、換言すれば、燃焼器4の入口温度の指標として採用する。
式(1)は、触媒の表面で燃焼による熱が発生し、その熱が触媒の表面から酸化剤ガスに伝達される際に形成される温度差(=Tcat-Tcmb)の分だけ、触媒の表面温度Tcatが燃焼ガスの温度Tcmbよりも高いことを示している。
さらに、燃焼器4に供給される酸化剤ガスの温度Tstk_outと触媒の表面温度Tcatとの関係を示すと、次のようである。
Hc=cp×Qair×(Tcmb-Tstk_out) …(2)
Hc=[hw(Tstk_out)×A×cp×Qair/{cp×Qair+hw(Tstk_out)×A}×[Tcat-Tstk_out] …(3)
式(2)および(3)中、cpは、酸化剤ガスの比熱を示し、Qairは、燃焼器4に供給される酸化剤ガスの流量を示す。
ここで、式(1)と式(3)とを対比すると、触媒の表面温度Tcatがその上限温度Tcat_lmt(例えば、900℃)で一定であるとした場合に、式(3)によれば、酸化剤ガスの温度Tstk_outの上昇に対し、発熱流Hcが減少する。そして、発熱流Hcが減少した場合は、式(1)から、触媒の表面温度Tcatが上限温度Tcat_lmtである場合の燃焼ガスの温度、つまり、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtが上昇する。よって、燃焼器4に供給される酸化剤ガスが高温であるときほど、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを触媒の上限表面温度Tcat_lmtにより近い温度にまで上昇させることが可能である。これに対し、酸化剤ガスの温度Tstk_outが低下した場合は、発熱流Hcが増大することから(式(3))、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを酸化剤ガスが高温であるときと同様に維持したとすれば、触媒の表面温度Tcatがその上限温度Tcat_lmtを超えて上昇することになる(式(1))。よって、燃焼器4に供給される酸化剤ガスが低温であるときほど、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを低下させることが必要となる。
図6は、燃焼器4の出力に応じた触媒表面温度Tcatの変化を、燃焼器4内部の位置に対して示している。高出力時における触媒表面温度Tcat_hを太い実線により、低出力時における触媒表面温度Tcat_lを二点鎖線により、夫々示している。高出力時と低出力時とで、燃焼器4における空気過剰率λは、一定である。このように、触媒表面温度Tcatは、空気過剰率λが一定であり、燃焼ガス自体の温度Tcmbに変化が見られない場合であっても燃焼器4の出力に応じて変化し、出力の増大に対して上昇する傾向を有する。
酸化剤ガスの温度Tairに対する関係についても同様であり、燃焼器4に供給される酸化剤ガスが低温である場合は、高温である場合と比較して同じ目標燃焼ガス温度を達成するのにより多くの原燃料を要するため、燃焼に寄与する原燃料の量が増大し、触媒表面温度Tcatが上昇する。
式(1)および(3)を纏めると、次式を得る。
Tcmb={hw(Tstk_out)×A×Tcat+cp×Qair×Tstk_out}/{cp×Qair+hw(Tstk_out)×A} …(4)
そして、触媒の表面温度Tcatが上限温度Tcat_lmtを超えて上昇した場合は、触媒の焼結等により、触媒の劣化が進行することが懸念される。
(燃焼制御に係る具体的な説明)
システムコントローラ101のうち、燃焼器4の燃焼状態の制御に係る燃焼制御部101Aの構成を、図7~10、12および13を参照して説明する。
図7は、燃焼制御部101Aの全体的な構成を示している。
燃焼制御部101Aは、大別すると、燃料流量設定部111、燃料上限流量設定部112、第1目標燃料流量設定部113および第2目標燃料流量設定部114から構成される。燃焼制御部101Aが行う制御は、概して、次のようである。
燃焼制御部101Aは、燃料電池スタック1の温度維持に要する熱量の観点から第1目標燃料流量Qf_trg1を設定するとともに、燃料電池スタック1に要求される出力Pstkの観点から第2目標燃料流量Qf_trg2を設定する。他方で、燃焼制御部101Aは、触媒の温度上昇を抑制する際の判定に用いる燃料流量、具体的には、触媒の表面温度Tcatをその上限温度Tcat_lim以下に制限するための燃料上限流量Qf_limを設定する。そして、燃料流量設定部111において、第1目標燃料流量Qf_trg1、第2目標燃料流量Qf_trg2および燃料上限流量Qf_limに基づき、第1燃料インジェクタ51の噴射流量Qf1および第2燃料インジェクタ52の噴射流量Qf2を設定する。本実施形態では、基本的には、第2目標燃料流量Qf_trg2を、第1燃料インジェクタ51の噴射流量Qf1とし、第1目標燃料流量Qf_trg1に対する第2目標燃料流量Qf_trg2の不足分の流量ΔQfを、第2燃料インジェクタ52の噴射流量Qf2とする。
図8は、燃料流量設定部111の構成を示している。
燃料流量設定部111は、大まかには、3つの比較器111a~111cから構成される。
第1比較器111aは、第1目標燃料流量Qf_trg1と燃料上限流量Qf_limとを入力し、これら2つの入力値のうち、小さい方の値を第1目標燃料流量Qf_trg1として出力する。第2比較器111bは、第2目標燃料流量Qf_trg2と燃料上限流量Qf_limとを入力し、これら2つの入力値のうち、小さい方の値を第2目標燃料流量Qf_trg2として出力する。つまり、第1および第2比較器111a、111bは、その出力値である第1および第2目標燃料流量Qf_trg1、Qf_trg2を、燃料上限流量Qf_lim以下に制限するものである。
そして、既に述べたように、制限後の第2目標燃料流量Qf_trg2を、第1燃料インジェクタ51の噴射流量Qf1に設定する一方、制限後の第1目標燃料流量Qf_trg1と第2目標燃料流量Qf_trg2との差分ΔQf(=Qf_trg1-Qf_trg2)を算出し、これを第2燃料インジェクタ52の噴射流量Qf2に設定する。第3比較器111cは、差分ΔQfと0とを入力し、これら2つの入力値のうち、大きい方の値を第2燃料インジェクタ52の噴射流量Qf2として出力する。
図9は、燃料上限流量設定部112の構成を示している。
燃料上限流量設定部112は、大まかには、燃焼ガス上限温度演算部112aと、燃料上限流量演算部112bと、から構成される。
本実施形態において、燃焼ガス上限温度演算部112aは、触媒上限表面温度Tcat_lmtおよびスタック出口温度Tstk_outを入力し、上式(1)に基づき、酸化剤ガス温度(スタック出口温度Tstk_out)に応じた燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtを算出する。
燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtは、酸化剤ガスに関してその温度Tstk_outに基づくばかりでなく、温度Tstk_outおよび流量Qairの双方をもとに算出することも可能である。その場合の演算は、上式(4)による。ここで、上式(4)において、酸化剤ガス流量Qairを一定とし、例えば、ブロア6の性能上想定される最大流量とすることで、演算の簡略化を図ることが可能である。
図11は、スタック出口温度Tstk_outと燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtとの関係を示している。
燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtは、上式(1)等に基づく計算によるばかりでなく、同図に示す傾向のテーブルデータをシステムコントローラ101に予め記憶させておき、スタック出口温度Tstk_outに基づくこのテーブルデータからの検索により求めるようにしてもよい。燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtは、スタック出口温度Tstk_outの上昇に対して増加する傾向を有する。スタック出口温度Tstk_outに応じた燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtは、触媒の表面温度Tcatがその上限温度Tcat_lmtであるときの燃焼ガス温度か、それよりも低い温度として、実験により予め把握することが可能である。そして、燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtのテーブルデータを酸化剤ガスの流量Qair毎に作成し、マップ化することができる。
本実施形態では、図11に示すテーブルデータからの検索の結果として、燃料の目標流量Qf_trgは、酸化剤ガスの流量Qairが一定である場合に、目標燃焼ガス温度Tcmb_trgを一定とした際の流量に対し、酸化剤ガスの温度(スタック出口温度Tstk_out)が低いときほど、減少する傾向を示す。これは、酸化剤ガスの温度Tstk_outが低い場合は、目標燃焼ガス温度Tcmb_trgが燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtによる実質的な制限を受けるためである。
燃料上限流量演算部112bは、燃焼ガスの温度Tcmbがその上限温度Tcmb_lmtとなる燃料流量を、燃焼器4に供給される燃料の上限流量Qf_lmtとして算出する。燃料上限流量演算部112bは、燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtのほか、酸化剤ガス流量Qair、ヒータ発熱流He、スタック電流Istk、燃料温度Tfおよびスタック出口温度Tstk_outを入力し、燃焼器4の入口側と出口側との間におけるエネルギー収支から、入力側のエネルギー量を示す燃料上限流量Qf_lmtを算出する。ここで、スタック電流Istkが考慮されるのは、燃料電池スタック1による発電に消費される分の流量を反映させるためである。
図10は、燃料上限流量設定部112の変形例に係る構成を示している。
変形例において、燃焼ガス上限温度演算部112aは、触媒上限表面温度Tcat_lmtおよびスタック出口温度Tstk_outのほか、酸化剤ガス流量Qairおよびヒータ発熱流Heを入力し、次式(5)に基づき、酸化剤ガス温度(スタック出口温度Tstk_out)に応じた燃焼ガス上限温度Tcmb_lmtを算出する。ここで、次式(5)は、上式(4)に対し、加熱部41の電気ヒータによる加熱の影響をヒータ発熱流Heとして考慮したものである。Aeは、電気ヒータの表面積であり、Acatは、燃焼器4の触媒と加熱器41の触媒との合計の表面積である。
Tcmb={hw(Tstk_out)×Acat×Tcat+cp×Qair×Tstk_out}/{cp×Qair+hw(Tstk_out)×Acat}-He/(hw×Ae) …(5)
燃料上限流量演算部112bの構成および動作は、図9に示す先の例におけると同様である。
図12は、第1目標燃料流量設定部113の構成を示している。
第1目標燃料流量設定部113は、燃料電池スタック1をその動作温度に維持するための熱量を燃焼器4が生じさせるのに要する原燃料の流量を、第1目標燃料流量Qf_trg1として算出する。
具体的には、第1目標燃料流量設定部113は、第1目標燃焼ガス温度演算部113aと、第2目標燃焼ガス温度演算部113bと、比較器113cと、第1目標燃料流量演算部113dと、を備える。
第1目標燃焼ガス温度演算部113aは、燃料電池スタック1のアノード入口温度の目標値Tand_trgと実際値Tand_intとを入力し、両者の差分(=Tand_trg-Tand_int)から、アノード入口温度Tandをその目標値Tand_trgに近付けるのに燃焼ガスが有するべき温度を、第1目標燃焼ガス温度Tcmb_trg1として算出する。
第2目標燃焼ガス温度演算部113bは、燃料電池スタック1のカソード入口温度の目標値Tcth_trgと実際値Tcth_intとを入力し、両者の差分(=Tcth_trg-Tcth_int)から、カソード入口温度Tcthをその目標値Tcth_trgに近付けるのに燃焼ガスが有するべき温度を、第2目標燃焼ガス温度Tcmb_trg2として算出する。
比較器113cは、第1目標燃焼ガス温度Tcmb_trg1と第2目標燃焼ガス温度Tcmb_trg2とのうち、高い方の温度を目標燃焼ガス温度Tcmb_trgとして出力する。
第1目標燃料流量演算部113dは、目標燃焼ガス温度Tcmb_trgのほか、酸化剤ガス流量Qair、ヒータ発熱流He、スタック電流Istk、燃料温度Tfおよびスタック出口温度Tstk_outを入力し、燃焼ガスの温度が目標燃焼ガス温度Tcmb_trgとなる燃料流量を、燃焼器4の入口側と出口側との間におけるエネルギー収支から、第1目標燃料流量Qf_trg1として算出する。
図13は、第2目標燃料流量設定部114の構成を示している。
第2目標燃料流量設定部114は、燃料電池スタック1に要求される出力を生じさせるのに要する原燃料の供給流量を、第2目標燃料流量Qf_trg2として算出する。
具体的には、第2目標燃料流量設定部114は、目標スタック電流演算部114aと、第2目標燃料流量演算部114bと、を備える。
目標スタック電流演算部114aは、燃料電池スタック1の目標出力である目標スタック出力Pstk_trgと、スタック電流Istkと、スタック電圧Vstkと、を入力し、燃料電池スタック1を目標スタック出力Pstk_trgで運転させるのに必要なスタック電流を、目標スタック電流Istk_trgとして算出する。ここで、目標スタック出力Pstk_trgは、燃料電池システムSのシステム出力に応じたものであり、例えば、燃料電池システムSが車両の駆動源を構成する場合は、運転者によるアクセルペダルの操作量に応じたものとなる。
第2目標燃料流量演算部114bは、目標スタック電流Istk_trgに応じた燃料流量を、第2目標燃料流量Qf_trg2として算出する。
本実施形態では、燃料電池スタック1により「燃料電池」が構成され、燃焼器4により「燃焼器」が構成され、システムコントローラ101およびスタック出口温度センサ203により「コントローラ」が構成される。さらに、スタック出口温度センサ203により「酸化剤ガス温度検出部」が、燃焼ガス上限温度設定部112aにより「燃焼ガス上限温度設定部」が、第1比較器111aおよび燃料上限流量演算部112bにより「燃料流量制御部」が、夫々構成される。
(作用効果の説明)
本実施形態に係る燃料電池システムSは、以上のように構成され、本実施形態により得られる作用および効果について、以下に説明する。
第1に、燃焼器4に備わる触媒の上限表面温度Tcat_lmtに応じた燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを設定し、燃焼ガスの温度Tcmbを上限温度Tcmb_lmt以下に制限するように、燃焼器4に供給される燃料の流量Qf2を制御することで、触媒の表面温度Tcatがその上限温度Tcat_lmtを超えて上昇するのを回避することが可能となり、触媒の劣化を抑制することができる。
さらに、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを、酸化剤ガスの温度Tair(スタック出口温度Tstk_out)をもとに設定することで、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを、触媒の表面温度の過度な上昇を回避するのに適したものとし、表面温度の上昇による触媒の劣化をより適切に抑制することができる。
第2に、酸化剤ガスの温度Tair(スタック出口温度Tstk_out)と燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtとの関係を予め設定し、実際の制御に際し、この関係をもとに、酸化剤ガスの温度Tairから燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを設定することで、演算負荷の軽減を図り、制御の応答性を確保することができる。
ここで、上記関係において、酸化剤ガスが低温であるときほど燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを低い温度として設定することで、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtの適切な設定を通じて触媒の劣化をより確実に抑制することが可能となる。
第3に、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtを、酸化剤ガスの温度Tairばかりでなく、流量Qairにも応じて設定することで、燃焼器4の出力の変動に対して適切な上限温度Tcmb_lmtの設定を可能とし、燃料電池システムSのより広範な運転条件に亘って触媒の劣化を抑制することができる。
第4に、燃焼器4の上流側に、電気ヒータを有する加熱器41が備わる場合に、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtの設定に際してこの加熱器41の発熱量の影響を考慮することで、燃焼ガスの上限温度Tcmb_lmtのより適切な設定が可能となり、触媒の活性前における熱量の供給と、触媒の劣化の抑制と、の両立を図ることができる。
第5に、酸化剤ガスの温度としてスタック出口温度Tstk_outを採用することで、燃料電池システムSに一般的に備わる既存のセンサを活用し、部品点数および費用の削減を促進することができる。
本実施形態では、燃焼器4に供給される燃料の流量に関し、燃料電池スタック1の運転条件に応じた目標流量Qf_trg1、Qf_trg2と、触媒の上限表面温度Tcat_lmtに応じた上限流量Qf_lmtと、を算出し、これらのうち小さい方の流量を最終的な目標流量に設定した(図8)。しかし、これに限らず、燃焼ガスの目標温度Tcmb_trgと上限温度Tcmb_lmtとを比較し、低い方の温度を最終的な燃焼ガスの目標温度に設定するとともに、燃焼ガスの目標温度に基づき燃料の目標流量Qf_trg(=Qf_trg1)を算出するようにしてもよい。
以上の説明では、燃焼器4を燃料電池スタック1に対してそのガス排出側に設置したが、燃焼器4は、これに限らず、燃料電池スタック1のガス供給側に設置することも可能である。この場合は、酸化剤ガスである空気をブロワ6によりカソードガス供給通路12に取り込んだ後、燃料電池スタック1を介さずに直接、燃焼器4に供給する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を、上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。上記実施形態に対し、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で様々な変更および修正が可能である。
S…燃料電池システム
1…燃料電池スタック
21…蒸発器
22…燃料熱交換器
23…改質器
3…酸化剤ガス加熱部(空気熱交換器)
4…燃焼器
41…加熱器
51…第1燃料インジェクタ
52…第2燃料インジェクタ
6…ブロア
7…燃料タンク
11…アノードガス供給通路
12…カソードガス供給通路
11exh…アノードオフガス通路
12exh…カソードオフガス通路
101…システムコントローラ

Claims (11)

  1. 燃料電池と、
    燃料と酸化剤ガスとが供給され、前記燃料を触媒上で燃焼させる燃焼器と、
    を備え、
    前記燃焼器が生じさせる前記燃料の燃焼ガスにより前記燃料電池を加熱可能に構成された燃料電池システムにおいて、前記燃焼器における燃焼状態を制御する燃料電池システムの運転方法であって、
    前記燃焼器に供給される酸化剤ガスの温度を検出し、
    前記燃焼器に備わる触媒の上限表面温度に応じた前記燃焼ガスの上限温度を、前記酸化剤ガスの温度をもとに設定し、
    前記燃焼ガスの温度を前記上限温度以下に制限するように、前記燃焼器に供給される燃料の流量を制御する、
    燃料電池システムの運転方法。
  2. 前記酸化剤ガスの温度と前記燃焼ガスの上限温度との関係を予め設定し、
    前記関係に基づき、前記燃焼ガスの上限温度を設定する、
    請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
  3. 前記燃焼ガスの上限温度を、前記酸化剤ガスの温度が低いときほど低い温度として設定する、
    請求項2に記載の燃料電池システムの運転方法。
  4. 前記燃料電池の運転条件に応じた前記燃焼ガスの目標温度を算出し、
    前記燃焼ガスの上限温度と目標温度とのうち、低い方の温度を最終的な前記燃焼ガスの目標温度に設定して、前記燃焼器に供給される燃料の流量を制御する、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料電池システムの運転方法。
  5. 前記燃焼ガスの上限温度に応じた前記燃料の上限流量を設定し、
    前記燃焼器に供給される燃料の流量を、前記上限流量以下に制限する、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料電池システムの運転方法。
  6. 前記燃料電池の運転条件に応じた前記燃料の目標流量を算出し、
    前記燃料の上限流量と目標流量とのうち、小さい方の流量を最終的な前記燃料の目標流量に設定する、
    請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法。
  7. 前記燃焼器に供給される酸化剤ガスの流量を検出し、
    前記燃焼ガスの上限温度を、前記酸化剤ガスの温度および流量をもとに設定する、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の燃料電池システムの運転方法。
  8. 燃料電池と、
    燃料と酸化剤ガスとが供給され、前記燃料を触媒上で燃焼させる燃焼器と、
    を備え、
    前記燃焼器が生じさせる前記燃料の燃焼ガスにより前記燃料電池を加熱可能に構成された燃料電池システムにおいて、前記燃焼器における燃焼状態を制御する燃料電池システムの運転方法であって、
    前記燃焼器に供給される酸化剤ガスの温度を検出し、
    前記燃焼器に供給される燃料の流量を、前記酸化剤ガスの温度をもとに、前記酸化剤ガスの温度が低いときほど、同一の前記酸化剤ガスの流量のもとで、前記燃焼ガスの目標温度を一定とした際の流量に対して減少させるように、制御する、
    燃料電池システムの運転方法。
  9. 前記燃焼器の上流側に、前記燃焼器の触媒を加熱可能に配設された加熱器をさらに備え、
    前記酸化剤ガスの温度、前記触媒の表面温度および前記燃焼ガスの温度に基づく熱収支の関係から、前記燃焼ガスの上限温度を算出し、
    前記熱収支の入力として、前記加熱器の発熱量を考慮する、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の燃料電池システムの運転方法。
  10. 前記燃焼器が前記燃料電池のオフガス通路に介装された、請求項1~9のいずれか一項に記載の燃料電池システムの運転方法であって、
    前記酸化剤ガスの温度として、前記燃料電池の出口温度を検出する、
    燃料電池システムの運転方法。
  11. 燃料電池と、
    燃料と酸化剤ガスとが供給される燃焼器であって、前記燃料の燃焼を促進させる触媒を有し、前記燃料の燃焼により生じた燃焼ガスにより前記燃料電池を加熱可能に配設された燃焼器と、
    前記燃焼器の燃焼状態を制御するコントローラと、
    を含んで構成され、
    前記コントローラは、
    前記燃焼器に供給される酸化剤ガスの温度を検出する酸化剤ガス温度検出部と、
    前記燃焼器に備わる触媒の上限表面温度に応じた前記燃焼ガスの上限温度を、前記酸化剤ガスの温度をもとに設定する燃焼ガス上限温度設定部と、
    前記燃焼ガスの温度を前記上限温度以下に制限するように、前記燃焼器に供給される燃料の流量を制御する燃料流量制御部と、
    を備える、燃料電池システム。
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