JP7130367B2 - 有機樹脂溶液と紡糸液、および、該紡糸液を用いた繊維集合体の製造方法と該有機樹脂溶液を用いたフィルムならびに複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、本願出願人が検討を続けたところ、次の問題があることを見出した。つまり、化学構造に窒素原子を含む有機樹脂を採用して有機樹脂溶液を調製した場合、該有機樹脂溶液は、時間の経過と共に溶液中に該有機樹脂が析出するなど変性し、安定性に劣るという問題を有していた。そして、安定性に劣る有機樹脂溶液を用いた場合には、様々な産業用途に有用な材料を調製するのが困難であった。
平均繊維径や繊維径のCV値が小さい繊維からなる繊維集合体(例えば、不織布など)は、分離性能、液体保持性能、払拭性能、隠蔽性能、絶縁性能、或いは柔軟性など、様々な性能に優れることが知られている。
このような繊維集合体の製造方法として、繊維を構成する有機樹脂を溶媒に溶解してなる紡糸液を用いる方法、例えば、静電気力を作用させて紡糸液を細径化させると共に繊維化し、紡糸された繊維を捕集して繊維集合体を製造する静電紡糸法や、随伴気流を作用させて紡糸液を細径化させると共に繊維化し、紡糸された繊維を捕集して繊維集合体を製造する方法(例えば、特開2011-012372号公報など)などが知られている。
しかし、調製した紡糸液は時間の経過と共に紡糸液中に該有機樹脂が析出するなど変性し、安定性に劣るという問題を有していた。
そして、このように変性した紡糸液を用いて繊維集合体を製造しようとしても、紡糸時にノズル先からの紡糸液の吐出が安定せず、繊維化がなされず繊維集合体が製造できないことがあった。あるいは、繊維集合体を製造できたとしても、製造した繊維集合体にショットなどの非繊維物が多く存在する、および/または、製造した繊維集合体における平均繊維径や繊維径のCV値が意図せず大きくなり、望む態様の繊維集合体を提供できないものであった。
「〔1〕尿素と有機樹脂としてのポリベンゾイミダゾールを含有する有機樹脂溶液からなる、紡糸液であって、静電気力の作用により細径化させると共に繊維化し、捕集体上に捕集することで前記捕集体上に繊維ウェブを形成するために使用する、紡糸液。
〔2〕請求項1に記載の紡糸液を静電気力の作用により細径化させると共に繊維化して、捕集体上に捕集することで前記捕集体上に繊維ウェブを形成する工程を備えた、繊維集合体の製造方法。」
である。
そのため、本発明にかかる有機樹脂溶液ならびに該有機樹脂溶液からなる紡糸液は安定性に優れる。
そして、紡糸液を静電気力の作用により細径化させると共に繊維化し、捕集体上に捕集することで前記捕集体上に繊維ウェブを形成する工程を備えた繊維集合体の製造方法において、本発明にかかる安定性に優れた紡糸液を用いることで、ノズル先からの紡糸液の吐出が安定した状態で紡糸を行うことができるため、ショットなどの非繊維物が多く存在するのを防止して、および/または、平均繊維径や繊維径のCV値が意図せず大きくなるのを防止して、望む態様の繊維集合体を製造することができる。
また、本発明にかかる有機樹脂溶液を用いることで、凹凸のある部分や剛性などの各種物性が局所的に異なる部分などの不均一な部分が存在するのを防止して、望む態様のフィルムや複合体を製造することができる。
なお、ポリベンゾイミダゾールは特に限定するものではないが、例えば、下記式(I)または(II)で表される繰り返し単位を有する有機樹脂であることができる。
また、Zは二価C1-C10アルカンジイル、二価C2-C10アルケンジイル、二価C6-C15アリール、二価C5-C15ヘテロアリール、二価C5-C15ヘテロシクリル、二価C6-C19アリールスルホン、及び二価C6-C19アリールエーテルからなる群より選択され、少なくとも1つの芳香環を有する2価の基が好ましい。例えば、下記式に記載のような基を持つ官能基が好ましい。
他の有機樹脂の種類は適宜選択できるが、例えば、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機樹脂を単体あるいは複数種類の混合物として使用できる。
有機樹脂溶液や紡糸液に含有されている他の有機樹脂の質量は、求める材料を提供できるよう紡糸条件など材料の調製条件などに合わせ適宜選択できる。
これらの中でも静電紡糸法や、特開2009-287138号公報に開示されているようなガスの剪断作用により紡糸する方法を用いることで、平均繊維径が2μm以下の極細繊維を紡糸しやすく、繊維径が揃っており、しかも連続した極細繊維からなる繊維集合体を製造しやすいため好適である。
そして、上述のようにして細径化(繊維化)した紡糸液を、例えばメッシュやベルトコンベアなどの捕集体上に捕集することで、捕集体上に繊維ウェブを形成する。
なお、必要であれば加熱装置の加熱によって、構成繊維に含まれている有機樹脂を自己架橋や架橋しても良い。具体的には、ポリベンゾイミダゾールを含有する構成繊維を備えた繊維ウェブを350℃以上の温度で加熱することによって、耐溶剤性に優れた繊維集合体を提供することができる。
更に、上述のようにして製造した繊維ウェブあるいは繊維集合体を、リライアントプレス処理などの、表面を平滑とするために加圧処理する工程へ供してもよい。
なお、上述した繊維集合体から残留している溶媒や尿素系化合物を除去する方法と同様にして、フィルムや複合体から残留している溶媒や尿素系化合物を除去することができる。
ジメチルアセトアミド75質量部とポリベンゾイミダゾール(Perfomance Products社製、型番:CELAZOLE(登録商標)、PBI 100Mesh Polymer)25質量部を混合した後、混合液を150℃まで加熱することで、ジメチルアセトアミドにポリベンゾイミダゾールを溶解させ溶液を調製した。
調製した溶液を25℃まで冷却し、孔径1μmのガラスフィルター(アドバンテック社製、型番:GA-100)へ透過させ濾過することで、有機樹脂溶液を調製した。
ジメチルアセトアミド75質量部とポリベンゾイミダゾール(Perfomance Products社製、型番:CELAZOLE(登録商標)、PBI 100Mesh Polymer)25質量部を混合した後、混合液を150℃まで加熱することで、ジメチルアセトアミドにポリベンゾイミダゾールを溶解させ溶液を調製した。
調製した溶液を80℃まで冷却してから、尿素(東京化成化学工業株式会社製)0.25質量部を混合して溶解させた後、溶液を25℃まで冷却し、孔径1μmのガラスフィルター(アドバンテック社製、型番:GA-100)へ透過させ濾過することで、有機樹脂溶液を調製した。
溶解させる尿素の質量を0.5質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機樹脂溶液を調製した。
溶解させる尿素の質量を0.75質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機樹脂溶液を調製した。
溶解させる尿素の質量を1.25質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機樹脂溶液を調製した。
溶解させる尿素系化合物を、ジメチル尿素0.75質量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして有機樹脂溶液を調製した。
溶解させる尿素系化合物を、フェニル尿素0.75質量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして有機樹脂溶液を調製した。
上述のようにして調製した各有機樹脂溶液を25℃環境下に7日間静置した。そして、目視により有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールが析出するまでの日数を確認した。
確認の結果、比較例1の有機樹脂溶液は2日間静置した時点で有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールの析出が認められた。一方、実施例1の有機樹脂溶液は2日間静置した時点では有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールの析出は認められず、4日間静置した後に有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールの析出が認められた。また、実施例2-6の有機樹脂溶液は2日間静置した時点では有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールの析出は認められず、7日間静置した後であっても有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールの析出は認められなかった。
比較例1と実施例1-4の各有機樹脂溶液を25℃環境下に2日間静置した後、各有機樹脂溶液(比較例1の有機樹脂溶液のみ、有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールの析出が認められた)を紡糸液として、以下条件の静電紡糸装置へ供することで紡糸して、繊維集合体である不織布の製造を試みた。
内径が0.44mmの金属製のノズルに、アース処理されたパワーサプライを接続した。ノズル先端部の開口と対面するように、アース処理された捕集体(ガラスクロスにポリテトラフルオロエチレンおよび導電性粒子を含浸し、焼成したもの)を設けた。この時、ノズル先端部と捕集体との最短距離が、7cmとなるように調整した。ノズルをパワーサプライにより5-15kVで印加して、ノズルと捕集体の間に電界を形成した。
ノズルの開口から紡糸液を吐出量が1cc/時間となるようにして吐出させ、紡糸液を電界に導いて、紡糸液をノズル先端部の開口から捕集体へと飛翔させると共に細径化させ、繊維化して捕集体上に捕集し繊維ウェブを調製した。なお、本工程における紡糸環境は、温度25℃、湿度40%RHであった。
このようにして得られた繊維ウェブを、電気炉(TABAI社製PHH200)を用いて180℃で30分間加熱処理することで、繊維ウェブを構成する繊維中に残留しているジメチルアセトアミドを揮発させて(ならびに、繊維ウェブに尿素系化合物が残留している場合には、該尿素系化合物も揮発させて)除去し、不織布を製造した。
25℃環境下に2日間静置した後の、比較例1の有機樹脂溶液を紡糸液として用いて製造したポリベンゾイミダゾール不織布には、ショットなどの非繊維物が多く存在しており、平均繊維径(500nm)および繊維径のCV値(0.5)が意図せず大きいものであった。また、紡糸時にノズル先からの紡糸液の吐出が安定せず不織布の製造が困難であった。
25℃環境下に2日間静置した後の、実施例1-4の各有機樹脂溶液を紡糸液として用いて製造したポリベンゾイミダゾール不織布には、いずれも、ショットなどの非繊維物の存在が少なく、平均繊維径(400nm)および繊維径のCV値(0.2)が小さいものであった。また、ノズル先からの紡糸液の吐出が安定した状態で紡糸できた。
25℃環境下に2日間静置した後の、比較例1の有機樹脂溶液(有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールの析出が認められた)をガラス板上にコーター(スリット幅:200μm)を用いてシート状に展開することで付与した。その後、ガラス板上に展開された有機樹脂溶液をガラス板ごとオーブン(加熱温度:140℃)へ供することで、シート状に展開した有機樹脂溶液からジメチルアセトアミドを除去することで、ガラス板表面にポリベンゾイミダゾール被膜を備えた複合体(ポリベンゾイミダゾール被膜の厚さ:20μm)を製造した。そして、ガラス板からポリベンゾイミダゾール被膜を剥離することで、ポリベンゾイミダゾールフィルム(厚さ:20μm)を製造した。
このようにして製造した複合体におけるポリベンゾイミダゾール被膜の主面、および、フィルムの主面を目視で確認したところ、凹凸のある部分が生じており外観の悪いものであった。
25℃環境下に2日間静置した後の、実施例1の有機樹脂溶液(有機樹脂溶液中にポリベンゾイミダゾールの析出が認められなかった)をガラス板上にコーター(スリット幅:200μm)を用いてシート状に展開することで付与した。その後、ガラス板上に展開された有機樹脂溶液をガラス板ごとオーブン(加熱温度:140℃)へ供することで、シート状に展開した有機樹脂溶液からジメチルアセトアミドおよび尿素を除去することで、ガラス板表面にポリベンゾイミダゾール被膜を備えた複合体(ポリベンゾイミダゾール被膜の厚さ:20μm)を製造した。そして、ガラス板からポリベンゾイミダゾール被膜を剥離することで、ポリベンゾイミダゾールフィルム(厚さ:20μm)を製造した。
このようにして製造した複合体におけるポリベンゾイミダゾール被膜の主面、および、フィルムの主面を目視で確認したところ、凹凸は見当たらず外観のよいものであった。
Claims (2)
- 尿素と有機樹脂としてのポリベンゾイミダゾールを含有する有機樹脂溶液からなる、紡糸液であって、静電気力の作用により細径化させると共に繊維化し、捕集体上に捕集することで前記捕集体上に繊維ウェブを形成するために使用する、紡糸液。
- 請求項1に記載の紡糸液を静電気力の作用により細径化させると共に繊維化して、捕集体上に捕集することで前記捕集体上に繊維ウェブを形成する工程を備えた、繊維集合体の製造方法。
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