JP7140256B2 - 電極触媒層 - Google Patents
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Description
燃料電池は、電解質の種類によって、アルカリ形、リン酸形、高分子形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形などに分類される。高分子形燃料電池(PEFC)は、低温作動、高出力密度であり、小型化・軽量化が可能であることから、携帯用電源、家庭用電源、車載用動力源としての応用が期待されている。
アノード:H2 → 2H++2e-・・・(1)
カソード:1/2O2+2H++2e- → H2O・・・(2)
上記課題に対し、特許文献1、2では、異なる粒子径のカーボン又はカーボン繊維を含む触媒層が提案されている。
発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、排水性やガス拡散性が向上でき、高出力が可能な高分子形燃料電池用の電極触媒層を提供することを目的とする。
なお、本発明は、以下に記載する各実施の形態に限定されうるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれものである。
図1に示すように、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る高分子形燃料電池用の電極触媒層2,3は、触媒13、触媒13を担持する炭素粒子14、高分子電解質15及び繊維状物質16からなる。
また、本実施形態の電極触媒層2,3は、密度が500mg/cm3以上900mg/cm3以下に設定されている。繊維状物質16を含むことにより、形成時にクラックが発生せず、また電極触媒層2,3内の空孔を増加させることが可能となる。
炭素粒子14には、触媒13が担持されていることが好ましい。高表面積の炭素粒子14に触媒13を担持することで、高密度で触媒13が担持でき、触媒活性を向上させることができる。
繊維状物質16の繊維長は1μm以上200μm以下が好ましく、1μm以上50μm以下がより好ましい。上記範囲にすることにより、電極触媒層2,3の強度を高めることができ、形成時にクラックが生じることを抑制できる。また、電極触媒層2,3内の空孔を増加させることができ、高出力化が可能になる。
電極触媒層2,3の厚さは5μm以上が好ましい。厚さが5μmよりも薄い場合には、層厚にばらつきが生じ易くなり、内部の触媒13や高分子電解質15が不均一となりやすい。電極触媒層2,3の表面のひび割れや、厚さの不均一性は、燃料電池として使用し、長期に渡り運転した際の耐久性に悪影響を及ぼす可能性が高いため、好ましくない。また、厚さが5μmよりも薄い場合には、電極触媒層内2,3において、発電による生成水濃度が高くなり易く、フラッディングが生じ易く、発電性能が低下するため、好ましくない。
本実施形態の高分子形燃料電池用の膜電極接合体12は、例えば図2に示すよう断面図のような構造体となっている。この膜電極接合体12は、高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1の一方の面に形成されたカソード側電極触媒層2と、高分子電解質膜1の他方の面に形成されたアノード側電極触媒層3と、を備えた構造となっている。本発明の電極触媒層は、カソード側電極触媒層2及びアノード側電極触媒層3の一方若しくは両方に該当する。
本実施形態の固体高分子型燃料電池は、図3に示すように、膜電極接合体12のカソード側電極触媒層2及びアノード側電極触媒層3と対向して、空気極側ガス拡散層4及び燃料極側ガス拡散層5がそれぞれ配置されている。これにより、カソード側電極触媒層2と空気極側ガス拡散層4とから空気極6が構成されると共に、アノード側電極触媒層3と燃料極側ガス拡散層5とで燃料極7が構成される。そして、空気極6及び燃料極7を一組のセパレータ10により挟持することで、単セルの固体高分子型燃料電池11が構成される。一組のセパレータ10は、導電性でかつガス不透過性の材料からなり、空気極側ガス拡散層4又は燃料極側ガス拡散層5に面して配置された反応ガス流通用のガス流路8と、ガス流路8と相対する主面に配置された冷却水流通用の冷却水流路9とを備える。
電極触媒層は、触媒層用スラリーを作製し、作製した触媒層用スラリーを基材などに塗工・乾燥することで製造できる。
触媒層用スラリーは、触媒13、炭素粒子14、高分子電解質15、繊維状物質16及び溶媒からなる。溶媒としては、特に限定しないが、高分子電解質15を分散又は溶解できるものが良い。一般的に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイゾブチルケトン、メチルアミルケトン、ペンタノン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、アニリンなどのアミン類、蟻酸プロピル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチルなどのエステル類、その他酢酸、プロピオン酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を用いてもよい。また、グリコール、グリコールエーテル系溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジアセトンアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノールなどが挙げられる。
触媒層用スラリーの乾燥方法としては、温風乾燥、IR乾燥などが挙げられる。乾燥温度は、40℃以上200℃以下、好ましくは40℃以上120℃以下である。乾燥時間は、0.5分以上1時間以下、好ましくは1以上30分以下である。
膜電極接合体の製造方法としては、転写基材又はガス拡散層に電極触媒層を形成し、高分子電解質膜に熱圧着で電極触媒層を形成する方法や高分子電解質膜に直接触媒層を形成する方法が挙げられる。高分子電解質膜に直接触媒層を形成する方法は、高分子電解質膜と触媒層との密着性が高く、触媒層が潰れる恐れがないため、好ましい。
この構成によれば、排水性やガス拡散性が向上でき、高出力が可能な高分子形燃料電池用の電極触媒層を提供することができる。
そして、本実施形態の電極触媒層は、例えば、固体高分子型燃料電池に適用して極めて好適である。
[密度の算出]
密度は、電極触媒層の質量と厚さから求めた。質量は、触媒層用スラリー塗工量から求めた質量又は乾燥質量を用いた。厚さは、走査電子顕微鏡(倍率:2000倍)で断面を観察より求めた。
電極触媒層の外側にガス拡散層(SIGRACET(登録商標)35BC、SGL社製)を配置して、市販のJARI標準セルを用いて発電特性の評価を行った。セル温度は、80℃として、アノードに水素(100%RH)、カソードに空気(100%RH)を供給した。
白金担持カーボン(TEC10E50E、田中貴金属社製)20gを容器にとり、水を加えて混合後、1-プロパノール、電解質(Nafion(登録商標)分散液、和光純薬工業)と繊維状物質としてカーボンナノファイバー(昭和電工社製、商品名「VGCF」、繊維径約150nm、繊維長約10μm)10gを加えて撹拌して、触媒層用スラリーを得た。
得られた触媒層用スラリーを高分子電解質膜(デュポン社製、Nafion212)にダイコーティング法で塗工し、80℃の炉内で乾燥することで実施例1の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
繊維状物質としてカーボンナノチューブ(繊維径約1nm、繊維長約1μm)を用いた以外は、実施例1と同様の手順で実施例2の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
[実施例3]
乾燥温度を高くした以外は、実施例1と同様の手順で実施例3の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
[実施例4]
繊維状物質の量を増加させた以外は、実施例1と同様の手順で実施例4の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
電極触媒層の厚さを5μm未満になるようにスラリーの構成・塗工量を調整して塗工した以外は、実施例1と同様の手順で比較例1の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
[比較例2]
電極触媒層の厚さを30μm超過になるようにスラリーの構成・塗工量を調整して塗工した以外は、実施例1と同様の手順で比較例2の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
PET基材に塗工し、熱圧着により電解質膜に転写した以外は、実施例1と同様の手順で比較例3の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
[比較例4]
繊維状物質を加えないこと以外は、実施例1と同様の手順で比較例4の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
繊維状物質を加えず、またPET基材に塗工し、熱圧着により電解質膜に転写した以外は、実施例1と同様の手順で比較例5の電極触媒層を有した膜電極接合体を得た。
実施例1~4,比較例1~5の触媒層について、顕微鏡(倍率:200倍)で観察して10μm以上クラックの有無について評価した。その評価結果を表1に示す。
また実施例1~4,比較例1~5の電極触媒層について、電極触媒層の密度及び発電特性を評価した。その評価結果を表2に示す。
ここで、各電極触媒層において、配合する触媒の質量が同じになるように調整しているが、他の構成が異なるため、各電極触媒層の厚さが異なっている。
2カソード側電極触媒層
3アノード側電極触媒層
4空気極側ガス拡散層
5燃料極側ガス拡散層
6空気極
7燃料極
8ガス流路
9冷却水流路
10セパレータ
11固体高分子型燃料電池
12膜電極接合体
13触媒
14炭素粒子
15高分子電解質
16繊維状物質
Claims (3)
- 高分子電解質膜に接合される電極触媒層であって、
触媒、炭素粒子、高分子電解質及び繊維状物質を有し、
前記繊維状物質の繊維径が、10nm以上300nm以下であり、
前記繊維状物質の繊維長が、1μm以上50μm以下であり、
密度が900mg/cm3以下であることを特徴とする電極触媒層。 - 上記炭素粒子が上記触媒を担持して触媒担持粒子となっていることを特徴とする請求項1に記載の電極触媒層。
- 上記電極触媒層の厚さが5μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電極触媒層。
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