JP7142857B2 - 糖質吸収抑制剤 - Google Patents

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本発明は、糖質吸収抑制剤に関し、より詳しくは、プーアル茶を有効成分として含有する糖質吸収抑制剤であって、該プーアル茶が生茶である糖質吸収抑制剤に関する。
炭水化物には、摂取すると体内で消化吸収されるもの(糖質)とされないもの(食物繊維)がある。糖質は、砂糖や果物等の甘い食物だけでなく、ご飯、パン、麺類、いも類等にもデンプンとして含まれている。
近年、栄養過多などの原因によると思われる種々の生活習慣病が増加している。これらの生活習慣病の中には、糖質の過剰摂取が誘因となって起こるものが多くあり、例えば、糖尿病及び肥満を挙げることができる。デンプンが摂取されると、まず、唾液アミラーゼによってデンプンはα-デキストリンに分解され、その後、胃から十二指腸に至り、α-アミラーゼによってマルトデキストリンを経て、二糖類のマルトース及びイソマルトースにまで加水分解される。一方、二糖類のスクロースは、途中の消化器官で分解を受けずに小腸に達する。これらの二糖類は、小腸の微絨毛に局在する膜酵素のα-グルコシダーゼにより構成糖である単糖類に分解され、分解された単糖類は小腸上皮膜より吸収される。吸収された単糖類は,小腸上皮細胞内で毛細血管に入り,門脈を通じて肝臓に送られる。
デンプン、スクロース等の糖質を摂取すると、小腸より吸収されて血糖値(血中グルコース濃度)が急激に上昇する。通常、血糖値が上昇すると、膵臓よりインスリンの分泌が刺激され、血中のインスリン濃度が高まる。インスリンは、脂肪組織や骨格筋を中心に存在するグルコーストランスポーターに作用し、そこから血中のグルコースを取り込ませることによって血糖値を下げる。
糖質を過剰に摂取すると、小腸より吸収されたグルコースの一部は肝臓や骨格筋にグリコーゲンとして貯蔵されるが、この量には限度があり、過剰に摂取されたグルコースは脂肪細胞に取り込まれ脂肪組織に蓄積されるので、糖質の過剰摂取は肥満の原因となる。
また、糖質を過剰に摂取すると、処理しなければならないグルコースの量が血中に増えるため、膵臓から分泌されるインスリンの量も多くなり、このような状態が長く続くと、膵臓が疲弊し、機能が低下する。膵臓の機能が低下するとインスリン分泌が低下して糖尿病を発症しやすくなる。過度の血糖は血管を痛め、糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症等に至る。
また、肥満になると、肝臓や筋肉、脂肪細胞等でインスリンが正常に働かなくなるインスリン抵抗性になりやすくなる。インスリン抵抗性になると、インスリンの必要量が多くなるため、やはり膵臓の機能低下の原因となる。また、インスリン抵抗性になると、肝臓から中性脂肪を多く含むVLDL(超低比重リポ蛋白)が血中に過剰に放出されること、並びに、LPL(リポ蛋白リパーゼ)が十分に活性化されないため、VLDLがHDL(高比重リポ蛋白)へと代謝されにくくなり、血中のHDLコレステロールが低下することにより、高脂血症にもなりやすくなる。高脂血症は動脈硬化症の原因となる。
糖質の過剰摂取に起因する高血糖、すなわち糖尿病の治療法としては不足しているインスリンを体外から補い、血糖値を下げるインスリン療法、並びに、インスリンの分泌を促進させたり、インスリン抵抗性を改善したりする、経口血糖降下薬がある。
特開2005-21025号公報
インスリン療法、並びに、インスリンの分泌を促進させたり、インスリン抵抗性を改善したりする経口血糖降下薬では、インスリンにより血液中の過剰の血糖が脂肪組織等に取り込まれるため、体重・体脂肪が増加し、肥満や高脂血症が進みやすくなる場合がある。
そこで、糖質の過剰摂取に起因する各種疾患を抑制するためには、そもそも消化器官において糖質の吸収を抑えることが有効である。すなわち、本発明の目的は、消化器官において糖質の吸収を抑える、新規の糖質吸収抑制剤を提供することにある。
本発明者らが鋭意研究した結果、プーアル茶の生茶には、消化器官において優れた糖質吸収抑制作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、プーアル茶を有効成分として含有する、糖質吸収抑制剤であって、上記プーアル茶が生茶である糖質吸収抑制剤を提供する。
本発明の糖質吸収抑制剤は、消化器官において優れた糖質吸収抑制作用を発揮することから、過度の血糖上昇を抑制することができ、血管を痛めたり、膵臓を疲弊させたりすることを抑制できる。また、糖質吸収抑制作用により糖尿病、高血糖症、肥満、高脂血症、動脈硬化症等を予防、緩和又は治療することができる。
また、上記糖質吸収抑制剤は、経口投与又は摂取用であってもよい。プーアル茶の生茶は飲料として古来より摂取されており、経口による安全性が確立されているため、プーアル茶の生茶を有効成分として含有する本発明の糖質吸収抑制剤では、経口投与又は摂取という患者又は消費者にとって簡便な方法を利用できる。また、経口投与又は摂取によれば、糖質吸収抑制剤としての効果がより高くなる。
また、上記糖質吸収抑制剤は、エアゾール剤、液剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、錠剤、シロップ剤の形態であってもよい。上記形態であることにより、より患者又は消費者にとっては、投与又は摂取しやすくなり、また保存・保管及び流通の面でも有利である。
本発明によれば、消化器官において優れた糖質吸収抑制作用を発揮する、新規の糖質吸収抑制剤が提供される。
本願実施例の糖質吸収抑制試験により測定した、(a)生茶試料又は(b)熟茶試料を経口投与したラットの、門脈血中グルコース濃度の変化を示す。図中、エラーバーは平均値±標準誤差を示し、「*」はp値が5%未満、「**」はp値が1%未満で、試料投与前(0分)の門脈血漿中グルコース濃度の値と比較して有意差があることを示す。
(プーアル茶)
本発明の糖質吸収抑制剤は、プーアル茶の生茶を有効成分として含有する。以下、単に「生茶」と記載する場合、プーアル茶の生茶のことを指す。プーアル茶は、中国雲南省を原産地とする、中国茶の一種である。ただし、本発明においては、生茶の原料となる茶の産地は特に限定されず、いずれの産地のものでも利用できる。プーアル茶は「熟茶」と「生茶」に分けられ、熟茶も生茶も途中までは同一の工程を経て製造されるが、最終的な工程が異なり、熟茶は、微生物による発酵を経て製造され、生茶は、微生物による発酵が行われず、熟成によって製造される。
以下、プーアル茶の製造工程について説明する。熟茶も生茶も緑茶の一種である晒青毛茶を経て製造される。晒青毛茶は、原料となる摘採された茶素材に、殺青、揉捻、乾燥の工程をこの順におこなうことにより製造される。原料となる茶素材は、一般に栽培されている茶品種であれば特に限定されず、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。原料となる茶素材の部位は、主に葉である。ただし、茶葉の柄、若枝、茎等、葉以外の部位が混合されていてもよい。
(殺青)
殺青とは、摘採された茶葉に熱を加え、茶葉自体に含まれる酸化酵素の働きを失活させることをいう。釜、ミキサー等に入れた茶葉を、手又は機械で混ぜながら、茶葉を加熱する。プーアル茶の殺青工程においては、酸化酵素を完全には失活させないことが好ましい。したがって、加熱における茶葉の温度は、酸化酵素を完全に失活させない60~80℃であることが好ましい。
(揉捻)
殺青工程を経た茶葉を揉捻工程で揉む。揉捻工程により、茶葉の細胞が破壊されて柔らかくなり、茶を抽出した際に成分が抽出されやすくなる。揉捻工程は、手揉みによって行われてもよく、機械揉みによって行われてもよい。茶葉に応じて、揉む際の強度や程度等を調整することが好ましい。
(乾燥)
揉捻工程を経た茶葉を乾燥工程で乾燥させる。乾燥方法としては、天日乾燥、自然乾燥、機械乾燥等が挙げられる。乾燥によっても殺青が行われ、殺青の程度が緩やかであることから、天日乾燥が最も好ましい。天気の悪い日には、室内で自然乾燥を行ってもよい。乾燥する時間は1日~2日間とすることができ、乾燥後の茶葉の水分含量が15%以下、より好ましくは10%以下程度となることが好ましい。乾燥を終えた茶葉は、晒青毛茶と呼ばれ、プーアル茶の原料として使用されている。
(圧延)
生茶のプーアル茶の場合、晒青毛茶を袋又は型等に入れて、蒸しながら、円盤状やブロック状に圧力を加えて硬く押し固める。この圧延工程は生茶と単に古くなった緑茶を分ける重要な工程である。圧延を行うことにより茶葉の空気に触れる表面積が極端に少なくなり、長期間の熟成中において緩やかに成分と風味の変化を醸成することで晒青毛茶(緑茶様茶葉)を生茶へと変化させることができる。
(熟成)
押し固められたプーアル茶は、風通しのよい場所で放置されることによって、熟成されて生茶となる。熟成期間中には、殺青によっても失活しなかった、茶葉に残存する酸化酵素により、わずかに酸化発酵がすすむ。熟成工程は長期間にわたり、本発明において用いられる生茶は、少なくとも1年以上、好ましくは1.5年以上、より好ましくは2年以上熟成されたものである。長期間の熟成によって、熟成後に得られる生茶に含まれる成分がバランスの取れたものとなり、成分同士の相互作用により、本発明の糖質吸収抑制剤としての効果がより高くなると考えられる。熟成期間の上限は特にないが、茶葉を放置し続けても成分が変化しない限界に達すること、熟成期間が長いほど希少で高価になることから、熟成期間は好ましくは8年以下、より好ましくは5年以下である。熟成工程を終えた生茶は、円盤状やブロック状の緊圧茶(押し固められた状態のお茶)として、出荷される。
以上が生茶の製造工程であるが、本発明の糖質吸収抑制剤に含有される生茶は、糖質吸収抑制効果を発揮する有効成分を含有していれば、その製造工程は上述のものに限定されず、例えば市販の生茶を本発明の糖質吸収抑制剤の原料として用いてもよい。
(熟茶の製造工程)
生茶との対比のため、熟茶の製造工程についても以下に説明する。
熟茶のプーアル茶も乾燥工程、すなわち晒青緑茶を得る工程までは、生茶と同一の工程で製造される。熟茶の場合、続いて、渥堆と呼ばれる工程がおこなわれる。渥堆工程では、水分を含ませた晒青毛茶の茶葉が、適当な温度下、麹カビや乳酸菌等の微生物によって人工的に発酵させられ、最終的に熟茶が得られる。微生物発酵によって茶葉が分解し、お湯に抽出されやすくなる。渥堆工程後、茶葉は乾燥され、選別、ブレンド等の工程を経て散茶(バラバラに分散した状態の茶)として、又は、ブレンド後、蒸して茶葉を柔らかくした後、袋に詰め、円盤状やブロック状の緊圧茶として、出荷される。
生茶を製造するには少なくとも1年以上の熟成期間を必要とするのに対し、熟茶は30日程度の渥堆工程によって製造できるため、生茶は熟茶と比較して非常に高価であり、「プーアル茶」として一般に流通するものは、「生茶」と特記されていない限り、熟茶である。本発明の糖質吸収抑制剤に用いられる生茶として、市販の生茶を用いてもよいが、上記のとおり単に「プーアル茶」として流通するものは熟茶であるので、「生茶」として流通しているものを使用する。
本発明の糖質吸収抑制剤には、生茶が含まれていればよい。生茶がそのまま含有されていてもよく、生茶の粉砕物、抽出物等が含有されていてもよい。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。抽出物は、室温又は加熱した状態で適当な溶媒に含浸させるか、又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて行われる溶媒抽出、水蒸気蒸留等の蒸留法による抽出、圧搾法等による抽出によって得ることができる。抽出に用いられる溶媒としては、水、エタノール、含水エタノール、植物油等が挙げられる。抽出物は、抽出液を適当な溶媒で希釈した希釈液として用いてもよく、濃縮した濃縮液として用いてもよく、あるいは乾燥粉末又はペースト状に調製してもよい。乾燥粉末とする場合の乾燥方法としては、凍結乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。
本発明において、「糖質吸収抑制」とは、消化器官において糖質の吸収を抑制することを意味する。本発明において「糖質」とは、炭水化物のうち、消化されない食物繊維を除いたものをいい、例えば、グルコース等の単糖;スクロース、ラクトース及びマルトース等の二糖;オリゴ糖;並びにデンプン及びグリコーゲン等の多糖が挙げられる。
後述する本願実施例では、栄養素を胃や小腸等の消化器官から肝臓に送る門脈血中のグルコース濃度を測定することによって、肝臓の代謝による血糖値変化の影響を排除し、消化器官における糖質吸収抑制を判定している。実施例に示すとおり、生茶成分は、消化器官において、糖質の吸収を有意に抑制する作用を有する。したがって、本発明の糖質吸収抑制剤によれば、消化器官において糖質の吸収を抑制することができることから、過度の血糖によって血管を痛めたり膵臓を疲弊させたりすることを抑制できる。また、糖質吸収抑制作用により糖尿病、高血糖症、肥満、高脂血症、動脈硬化症等の各種生活習慣病を予防、緩和又は治療することができる。
本発明の糖質吸収抑制剤における、生茶の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよいが、例えば、乾燥質量基準で、生茶の含有量が、糖質吸収抑制剤全体に対して0.01~100質量%であることが好ましく、0.1~90質量%であることがより好ましく、1.0~80質量%であることがさらに好ましい。
本発明の糖質吸収抑制剤は、それ自身糖質吸収抑制剤として用いることができ、また、過度の糖質吸収に起因する疾患、例えば、糖尿病、高血糖症、肥満、高脂血症、動脈硬化症等の各種生活習慣病の予防、緩和又は治療剤を製造するために、本発明の糖質吸収抑制剤を配合することができる。
本発明の糖質吸収抑制剤は、ヒト若しくはヒトを除く動物用の医薬品、食品又は飼料の有効成分として配合して使用することができる。
本発明の糖質吸収抑制剤を医薬品として用いる場合、投与形態としては、例えばエアゾール剤、液剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、錠剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられるが、経口投与が消化器官における糖質吸収抑制効果が高いことから好ましい。また、本発明の糖質吸収抑制剤を栄養補助食品等の食品又は飼料として用いる場合、上述した医薬品の経口投与製剤と同様の形態(エアゾール剤、液剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、錠剤、シロップ剤等)とすることができる。
上記種々の剤型の製剤は、本発明の糖質吸収抑制剤単独又は他の薬効成分との組み合わせに、さらに他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて、調製することができる。
また、本発明の糖質吸収抑制剤は、糖質吸収抑制のために用いる旨の表示、あるいは、過度の糖質吸収に起因する疾患、例えば、糖尿病、高血糖症、肥満、高脂血症、動脈硬化症等の各種生活習慣病の発症リスクの低下、予防、緩和又は治療のために用いる等の旨の表示をした、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品等の食品に当該糖質吸収抑制剤を配合して使用することができる。
本発明の糖質吸収抑制剤を有効成分として食品に含有させる場合、当該食品は、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、冷凍食品類、アイスクリーム類、乳製品類、飲料等の各種飲食品の他、上述した医薬品の経口投与製剤と同様の形態(エアゾール剤、液剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、錠剤、シロップ剤等)の食品が挙げられる。
種々の形態の食品を調製するには、糖質吸収抑制剤を単独で、又は他の食品材料や溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の糖質吸収抑制剤の投与量又は摂取量は、患者又は消費者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与又は摂取の場合、成人1人当たり、生茶が、乾燥質量基準で、1日あたり30mg~5,000mg摂取される量であることが好ましく、200mg~2,000mg摂取される量であることがより好ましく、500mg~1,500mg摂取される量であることがさらに好ましい。
また、本発明の糖質吸収抑制剤は、摂食・摂餌前、摂食・摂餌時、又は摂食・摂餌後に投与又は摂取されるのが好ましく、特に摂食・摂餌前30分以内から摂食・摂餌後30分以内に投与又は摂取されるのが好ましい。
投与対象者としては、一般的な健常者のほか、糖尿病、高血糖症、肥満、高脂血症、動脈硬化症等の各種生活習慣病の患者及びこれらの疾病の予備軍が考えられる。健常者及び予備軍に対しては予防効果、患者に対しては改善効果が期待できる。
(試料の調製)
1.生茶試料の調製
プーアル茶の生茶の茶葉10g(中国雲南省原産、熟成期間2年)を、熱水200mlで2分間煮出して抽出した。抽出液を吸引濾過し、凍結乾燥した。乾燥物に蒸留水を加えて、該乾燥物の質量基準で10質量%水溶液を調製し、これを生茶試料として下記の試験に用いた。
2.熟茶試料の調製
プーアル茶の熟茶(静岡県牧の原市原産、株式会社荒畑園、製品名「茶流痩々」、黒麹菌発酵)の茶葉10gから、上記生茶試料と同様の方法で10質量%水溶液を調製し、これを熟茶試料として下記の試験に用いた。
(実験動物)
4週齢のラットに固形飼料及び水を自由に与える予備飼育を4週間おこない、8週齢まで飼育した後、下記の試験に供した。
(糖質吸収抑制試験)
特許第5435689号明細書に記載の方法にて、ラット門脈への門脈血採取用カテーテル留置及び胃への飼料注入用カテーテルの留置をおこなった。上記方法によれば、胃及び門脈にそれぞれ専用のカテーテルを挿入留置し、胃から試料の投与を行い、門脈血を採取するので、消化器官で吸収された成分を直接測定することができる。上記方法に従い、ラットを笑気・酸素・フローセン混合ガス麻酔下に開腹し、胃に試料注入用カテーテル、門脈に採血用カテーテルを留置した。胃及び門脈にカテーテルを留置したラットは、無作為抽出にて、1群あたり6匹の「生茶試料投与群」と「熟茶試料投与群」とに分け、ケージ内で24時間個別に飼育し、その間固形飼料及び水は自由に与えた。これらのラットを16時間絶食した後、15質量%スクロース水溶液を11.25mL/kg/hrの速度で持続的に試料注入用カテーテルより胃内投与した。門脈血漿中グルコース濃度は、持続投与開始60分以降に一定のレベルで維持されることから、グルコース持続投与開始後120分に、生茶試料又は熟茶試料を7.2mL/kg体重、試料注入用カテーテルより胃内投与した。試料投与時を0分として60分まで10分おきに、採血用カテーテルより門脈血0.05mLを採取した。採取した血液を遠心分離して血漿を得、各時点での血漿中グルコース濃度を測定した。図1(a)に生茶試料投与群の門脈血漿中グルコース濃度の変化を、図1(b)に熟茶試料投与群の門脈血漿中グルコース濃度の変化を示す。その結果、生茶試料投与群では、試料投与前(0分)の門脈血漿中グルコース濃度の値と比較して、試料投与後10分、20分及び30分の時点での門脈血漿中グルコース濃度の値が有意に低下していた。すなわち、生茶試料投与により、投与後30分間消化器官において糖質吸収抑制効果が持続していた。一方、熟茶試料投与群では、試料投与後の門脈血漿中グルコース濃度の低下は認められなかった。なお、統計処理は、多重比較検定(Bonferroni/Dunn法)によりおこなった。
本発明の糖質吸収抑制剤は、消化器官における糖質吸収抑制に優れた効果を発揮し、過度の糖質吸収に起因する疾患、例えば、糖尿病、高血糖症、肥満、高脂血症、動脈硬化症等の各種生活習慣病の発症リスクの低下、予防、緩和又は治療のために用いることができる。

Claims (3)

  1. プーアル茶を有効成分として含有する、糖質吸収抑制剤であって、
    前記プーアル茶が、熟成期間が2年間の生茶である、糖質吸収抑制剤。
  2. 経口投与又は摂取用である、請求項1に記載の糖質吸収抑制剤。
  3. エアゾール剤、液剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、錠剤、シロップ剤の形態である、請求項1又は2に記載の糖質吸収抑制剤。
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