JP7148738B2 - イムノクロマトグラフィー - Google Patents
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Description
例えば、インフルエンザウイルス等の抗原をイムノクロマトグラフィーで検出する場合、以下のような操作が行われる。
まず、抗体で修飾された標識(標識抗体)を用意し、抗原を含む試料と混合する。標識抗体は抗原と結合し、複合体を形成する。この状態で、抗原と特異的に反応する抗体が塗布された検出ラインを有する不溶性担体に展開させると、複合体は検出ライン(テストライン)上で抗体と反応して捕捉され、目視等により検出が確認される。
このようなイムノクロマトグラフィーとしては、例えば、特許文献1に開示される方法が挙げられる。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
磁気を用いて、上記磁性粒子複合体を含有する混合物中の磁性粒子を捕集する、捕集工程と、
上記捕集工程で捕集された磁性粒子と、酸性又はアルカリ性の液である乖離液とを混合することで、上記磁性粒子複合体から上記修飾磁性粒子を乖離させ、抗原含有液を得る、乖離工程と、
中和液を用いて、上記抗原含有液を中和することで、中和抗原含有液を得る、中和工程と、
上記中和抗原含有液中の抗原と、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Yで修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Zが固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
上記不溶性担体の反応部位において、上記金粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、
上記捕捉工程で捕捉された金粒子複合体を銀増幅する、銀増幅工程とを備え、
上記モノクローナル抗体Xと上記モノクローナル抗体Yが互いに異なり、
上記モノクローナル抗体Xと上記モノクローナル抗体Zが互いに異なる、イムノクロマトグラフィー。
(2) 上記モノクローナル抗体X、上記モノクローナル抗体Y及び上記モノクローナル抗体Zが全て異なる、上記(1)に記載のイムノクロマトグラフィー。
(3) 上記乖離液が、上記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、酸性又はアルカリ性の液である乖離液である、上記(1)又は(2)に記載のイムノクロマトグラフィー。
(4) 上記抗原を含み得る試料に対する、上記乖離液の割合が、質量比で、1/5以下である、上記(3)に記載のイムノクロマトグラフィー。
(5) 上記乖離液が、NaOH又はHClを含有する、上記(1)~(4)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(6) 上記中和液が、HClと、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、又は、NaOHと、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、上記(1)~(5)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(7) 修飾される前の上記磁性粒子の粒子径が、0.05μm~10μmである、上記(1)~(6)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において各成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
また、本明細書において「検出感度及びS/N比(信号/ノイズ比)がより向上する」ことを「本発明の効果等がより優れる」とも言う。
抗原を含み得る試料と、上記抗原と特異的に親和性を有するモノクローナル抗体Xで修飾された磁性粒子である修飾磁性粒子とを混合することで、上記抗原と上記修飾磁性粒子との複合体である磁性粒子複合体を含有する混合物を得る、混合工程と、
磁気を用いて、上記磁性粒子複合体を含有する混合物中の磁性粒子を捕集する、捕集工程と、
上記捕集工程で捕集された磁性粒子と、酸性又はアルカリ性の液である乖離液とを混合することで、上記磁性粒子複合体から上記修飾磁性粒子を乖離させ、抗原含有液を得る、乖離工程と、
中和液を用いて、上記抗原含有液を中和することで、中和抗原含有液を得る、中和工程と、
上記中和抗原含有液中の抗原と、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Yで修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Zが固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
上記不溶性担体の反応部位において、上記金粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、
上記捕捉工程で捕捉された金粒子複合体を銀増幅する、銀増幅工程とを備え、
上記モノクローナル抗体Xと上記モノクローナル抗体Yが互いに異なり、
上記モノクローナル抗体Xと上記モノクローナル抗体Zが互いに異なる、イムノクロマトグラフィーである。
本発明の方法はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと推測される。特に、上記前処理で使用されるモノクローナル抗体Xと展開工程で使用されるモノクローナル抗体Y及び/又はモノクローナル抗体Zが異なる点に特徴があると考えられる。
本発明者らの検討から、モノクローナル抗体で修飾された磁性粒子(修飾磁性粒子)に抗原を反応させ、濃縮等の操作後に修飾磁性粒子を乖離させて抗原含有液(特に、抗原濃縮液)を得た場合、液中に乖離した修飾磁性粒子が残存して、イムノクロマトグラフィーの抗原抗体反応を阻害する場合があることが分かっている。
本発明の方法は上記知見等に基づくものである。すなわち、本発明の方法においては、上記前処理で使用されるモノクローナル抗体とイムノクロマトグラフィー(展開工程)で使用されるモノクローナル抗体が異なる。このため、乖離した修飾磁性粒子(モノクローナル抗体で修飾された磁性粒子)が抗原と再度反応したとしても、イムノクロマトグラフィーの抗原抗体反応を阻害することなく、高い検出感度が得られるものと推測される。
混合工程は、抗原を含み得る試料と、上記抗原と特異的に親和性を有するモノクローナル抗体Xで修飾された磁性粒子である修飾磁性粒子とを混合することで、上記抗原と上記修飾磁性粒子との複合体である磁性粒子複合体を含有する混合物を得る工程である。
混合工程で使用される試料は、抗原を含み得る試料であれば特に制限されない。そのような試料としては、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる擦過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
抗原としては、例えば、菌、細菌(例えば、結核菌、結核菌に含まれるリポアラビノマンナン(LAM))、バクテリア、ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)や、それらの核タンパク質等が挙げられる。なお、LAMは、結核における主要な抗原であり、細胞膜および細胞壁の主要構成成分である糖脂質である。
抗原は、本発明の効果等がより優れる理由から、ウイルス又はLAMであることが好ましく、ウイルスであることがより好ましく、インフルエンザウイルスであることがさらに好ましい。
上記試料は、試料をそのままで、又は、抗原を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。
上記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、かかる溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
上記修飾磁性粒子は、上記抗原と特異的に親和性を有するモノクローナル抗体Xで修飾された磁性粒子である。
上記磁性粒子の材料は磁性を有する材料であれば特に制限されないが、具体例としては、鉄、コバルト、ニッケル、これらの酸化物、フェライト、及び、これらの合金等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、酸化鉄が好ましい。
磁性粒子は磁性を有する材料を単独で粒子状に成形した粒子であってもよいし、磁性を有する材料をコアとしてその表面を高分子(例えば、ポリスチレン、シリカゲル等)等で被覆した粒子、又は、磁性を有する材料を用いて高分子等をコアとしたその表面を被覆した粒子であってもよい。
磁性粒子の粒子径は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、0.05μm~10μmであることが好ましく、0.1μm~5μmであることがより好ましい。
モノクローナル抗体Xは、上記抗原と特異的に親和性を有するモノクローナル抗体であって、後述するモノクローナル抗体Y及びモノクローナル抗体Zと異なるモノクローナル抗体である。
モノクローナル抗体は、例えば、抗原によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行うことができる。
上記修飾磁性粒子を製造する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、磁性粒子をEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)で活性化し、モノクローナル抗体Xを磁性粒子上に担持させる方法等が挙げられる。
上記混合工程では、上記試料と上記修飾磁性粒子とを混合する。
これにより、上記試料が抗原を含む場合には、試料中の抗原と上記修飾磁性粒子の上記抗原と特異的に親和性を有するモノクローナル抗体Xとが反応し、上記試料中で抗原と上記修飾磁性粒子との複合体が形成される。一方、上記試料が抗原を含まない場合には、複合体は形成されない。
捕集工程は、磁気を用いて、上述した混合工程後の磁性粒子複合体を含有する混合物中の磁性粒子を捕集する工程である。
ここで、「混合物中の磁性粒子を捕集する」とは「混合物中の磁性粒子複合体、並びに、混合物中に残存した、磁性粒子(修飾されなかった磁性粒子)及び修飾磁性粒子を捕集する」ことを意味する。
磁気を用いて上記混合工程後の混合物中の磁性粒子を捕集する方法は特に制限されず、例えば、磁気スタンドに設置したコニカル(円錐形)チューブに上記混合工程後の混合物を入れ、磁気で上記磁性粒子複合体を集めてから、余剰の試料を抜き取る方法等が挙げられる。
乖離工程は、上述した捕集工程で捕集された磁性粒子と、アルカリ性又は酸性の液である乖離液とを混合することで、上記磁性粒子複合体から上記修飾磁性粒子を乖離させ、抗原含有液を得る工程である。
乖離工程では、乖離液によって磁性粒子複合体(抗原と修飾磁性粒子との複合体)から修飾磁性粒子が乖離し、抗原と修飾磁性粒子とに分離する。結果として、抗原を含有する乖離液である抗原含有液が得られる。
乖離液は、アルカリ性又は酸性の液であれば特に制限されない。
上記アルカリ性の液は特に制限されないが、具体例としては、NaOH水溶液、KOH水溶液等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、NaOH水溶液が好ましい。
上記酸性の液は特に制限されないが、具体例としては、HCl水溶液、H2SO4水溶液、HNO3水溶液等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、HCl水溶液が好ましい。
乖離液は、本発明の効果等がより優れる理由から、アルカリ性の液であることが好ましい。
乖離液は、本発明の効果等がより優れる理由から、NaOH又はHClを含有するのが好ましく、NaOHを含有するのがより好ましく、NaOH水溶液であるのがさらに好ましい。
乖離液の量は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ない乖離液の量であることが好ましい。乖離液の量が上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ない場合、乖離液中の抗原の濃度は上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」中の抗原の濃度よりも高くなる。すなわち、乖離工程によって得られる抗原含有液は、抗原の濃度が濃縮された液(抗原濃縮液)となる。
上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」に対する乖離液の割合は、本発明の効果等がより優れる理由から、質量比で、1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましく、1/20以下であることがさらに好ましい。
中和工程は、中和液を用いて、上述した乖離工程で得られた抗原含有液を中和することで、中和抗原含有液を得る工程である。
上述した乖離工程ではアルカリ性又は酸性の液である乖離液で乖離させるため、乖離工程で得られた抗原含有液は通常アルカリ性又は酸性である。一方、アルカリ性又は酸性の液を後述する展開工程に用いた場合、後述するモノクローナル抗体Yやモノクローナル抗体Zが変性して、検出感度の低下に繋がる場合がある。そのため、中和工程では、中和液を用いて抗原含有液を中和する。
中和液は特に制限されないが、例えば、公知の緩衝液を用いることができる。
中和液は、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した乖離工程で使用された乖離液がアルカリ性の液である場合は、HCl(特に、1M HCl)と、トリシン、トリス、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有するのが好ましく、上述した乖離工程で使用された乖離液が酸性の液である場合は、NaOH(特に、1M NaOH)と、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有するのが好ましい。
展開工程は、上述した中和工程で得られた中和抗原含有液中の抗原と、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Yで修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Zが固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する工程である。
上述のとおり、展開工程では、まず、上述した中和工程で得られた中和抗原含有液中の抗原と、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Yで修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させる。
修飾金粒子は、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Yで修飾された金粒子である。
金粒子は特に制限されない。
金粒子は、後述する銀増幅工程において銀イオンを還元する触媒として働く。
上記金粒子の粒子径の下限は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。
なお、金粒子の粒子径は上述した磁性粒子と同様の方法で求めることができる。
モノクローナル抗体Yは、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体であって、上述したモノクローナル抗体Xと異なるモノクローナル抗体であれば特に制限されない。
モノクローナル抗体Yの具体例及び好適な態様は、上述したモノクローナル抗体Xと同じである。
上記修飾金粒子を製造する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、金とSH基とが化学結合することを利用し、モノクローナル抗体YにSH基を導入後、金粒子と接近するときにSH結合が開裂してAu表面上に生成するAu-S結合で固定化させる等の化学的な結合方法が挙げられる。
上記不溶性担体は、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Zが固定化された反応部位(テストライン)を有する不溶性担体である。不溶性担体は、抗原の種類に合わせて複数のテストラインを有していてもよい(例えば、インフルエンザA型ウイルス用のテストラインとインフルエンザB型用のテストライン)。また、不溶性担体は、上記金粒子複合体の展開を確認するために、テストラインより下流側にコントロールラインを有していてもよい。また、後述する銀増幅工程において還元剤液を用いる場合には、還元剤液を検出するために、テストラインより下流側に発色試薬固定化ラインを有していてもよい。
上記不溶性担体の具体的な態様としては、例えば、図1に示されるような、上流側から、金コロイド保持パッド10、テストライン20、コントロールライン30、発色試薬固定化ライン40を有するニトロセルロースメンブレン100が挙げられる。ここで、金コロイド保持パッド10はモノクローナル抗体Yで修飾された金粒子(修飾金粒子)を保持するパッドであり、テストライン20はモノクローナル抗体Zが固定化されたラインであり、コントロールライン30は展開を確認するためのラインであり、発色試薬固定化ライン40は後述する還元剤液を検出するためのラインである。ここで上流側、下流側とは、金粒子複合体が展開する際、上流側から下流側に向けて展開することを意図した記載を意味する。
上記不溶性担体(又はこれを有するイムノクロマトグラフキット)の具体的な態様としては、例えば、特許第5728453号公報に記載の不溶性担体及びイムノクロマトグラフキットが挙げられる。また、不溶性担体及びイムノクロマトグラフキットに関する特許第5728453号公報に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
不溶性担体は、多孔性担体が好ましい。特に、本発明の効果等がより優れる理由から、ニトロセルロース膜(ニトロセルロースメンブレン)、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましく、ニトロセルロース膜がより好ましい。
モノクローナル抗体Zは、上記抗原と結合し得るモノクローナル抗体であって、上述したモノクローナル抗体Xと異なるモノクローナル抗体であれば特に制限されない。
モノクローナル抗体Zの具体例及び好適な態様は、上述したモノクローナル抗体Xと同じである。
金粒子複合体を形成させた状態でテストラインを有する不溶性担体に展開する方法は特に制限されないが、例えば、上述した図1に示されるようなニトロセルロースメンブレン100(又はこれを有するイムノクロマトグラフキット)を準備して、上述した中和工程で得られた中和抗原含有液を金コロイド保持パッドに滴下し、図1に示されるように上流側から下流側に毛細管現象を利用して移動させる方法等が挙げられる。
捕捉工程は、上記不溶性担体の反応部位において、上記金粒子複合体を捕捉する工程である。
上述のとおり、不溶性担体の反応部位には抗原と結合し得るモノクローナル抗体Zが固定化されているため、上記展開工程で不溶性担体に展開された金粒子複合体(抗原と修飾金粒子との複合体)は、不溶性担体の反応部位(テストライン)で捕捉される。
なお、試料が抗原を含まない場合には上記金粒子複合体が形成されないため、金粒子複合体は不溶性担体の反応部位で捕捉されない。
銀増幅工程は、上記捕捉工程で捕捉された金粒子複合体を銀増幅する工程である。
銀増幅工程は、上記捕捉工程後の不溶性担体に銀イオンを付与することで、不溶性担体の反応部位で捕捉された金粒子複合体に大きな銀粒子を形成する工程である。より詳細には、上記金粒子複合体の金粒子を触媒として銀イオンが還元され、銀粒子(例えば、直径10μm以上)が形成される工程である。
これにより、捕捉された金粒子複合体の検出感度が著しく向上する。
上記捕捉工程後の不溶性担体に銀イオンを付与する方法は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、下記還元剤液及び下記銀増幅液を使用する方法が好ましい。
また、還元剤液及び銀増幅液に加えて、特異的な結合反応以外で不溶性担体に残存している複合体を洗浄するために洗浄液を使用してもよい。上記還元液は洗浄液を兼ねていてもよい。
上記還元剤液は、銀イオンを還元し得る還元剤を含有する。銀イオンを還元し得る還元剤は、銀イオンを銀に還元することができれば、無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元性金属塩、還元性金属錯塩を好ましく挙げることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe2+を還元剤として用いる系では、クエン酸やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。本発明ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、本発明のより好ましい態様としては、Fe2+の金属塩を還元剤として用いることが好ましい。
なお、展開工程における展開方向と還元剤液の展開方向との間の角度を調節する方法としては、例えば、特開2009-150869号公報の実施例に記載の方法等が挙げられる。
上記銀増幅液は、銀イオンを含む化合物を含有する液である。銀イオンを含む化合物としては、例えば、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。好ましくは、水などの溶媒に対して溶解度の高い銀イオン含有化合物である、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀、チオ硫酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀である。銀錯体としては、水酸基やスルホン基など水溶性基を有する配位子に配位された銀錯体が好ましく、ヒドロキシチオエーテル銀等が挙げられる。
なお、展開工程における展開方向と銀増幅液の展開方向との間の角度を調節する方法としては、例えば、特開2009-150869号公報の実施例に記載の方法等が挙げられる。
上述のとおり、モノクローナル抗体Xとモノクローナル抗体Yは互いに異なり、モノクローナル抗体Xとモノクローナル抗体Zは互いに異なる。
モノクローナル抗体Yとモノクローナル抗体Zは同じであっても異なってもよいが、本発明の効果等がより優れる理由から、異なるのが好ましい。この場合、モノクローナル抗体Xとモノクローナル抗体Yとモノクローナル抗体Zはいずれも異なるモノクローナル抗体となる。
モノクローナル抗体Xのエピトープとモノクローナル抗体Zのエピトープは、本発明の効果等がより優れる理由から、互いに異なるのが好ましい。
モノクローナル抗体Yのエピトープとモノクローナル抗体Zのエピトープは同じであっても異なってもよいが、本発明の効果等がより優れる理由から、異なるのが好ましい。この場合、モノクローナル抗体Xのエピトープとモノクローナル抗体Yのエピトープとモノクローナル抗体Zのエピトープはいずれも異なることになる。
なお、モノクローナル抗体のエピトープが異なることは、例えば、ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)によって確認することができる。
クイックS-インフルA・B「生研」陰性/陽性コントロール液(品番;322968、デンカ生研社製)を用いて検体液(抗原を含み得る試料)を調製した。
具体的には、上記陽性コントロール液を、1質量%BSA(Bovine Serum Albumin)を含むPBS(Phosphate buffered salts)バッファーで、10倍ずつ希釈し、各希釈率の検体液(抗原を含み得る試料)とした。
なお、市販のイムノクロマト検出キット「キャピリアFluA+B」(アルフレッサファーマ社製)による検出限界(最小検出感度)はA型B型共に1/40であった。
以下のとおり、実施例1のイムノクロマトグラフィーを行った。
ThermoFisher社製の磁性粒子(DynabeadsMyOne-COOH、粒子径:1μm、Thermofisher社製)をEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)で活性化し、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Funakoshi、#GTX629544)を磁性粒子上に担持させ、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(モノクローナル抗体X)で修飾された磁性粒子である修飾磁性粒子を得た。
反応後、コニカルチューブを磁石スタンドに設置して、10分間、磁性粒子(修飾されなかった磁性粒子、修飾磁性粒子、磁性粒子複合体)を集磁した。エッペンドルフ(ピペット)でコニカルチューブから余剰の検体液を抜きとることで、上記磁性粒子(修飾されなかった磁性粒子、修飾磁性粒子、磁性粒子複合体)を捕集した。
即座に、50mM NaOH水溶液(アルカリ性の液)を200μL添加した。添加後5分間超音波処理して、60分間静置した。このようにして、磁性粒子複合体から修飾磁性粒子を乖離させた。静置後、再びコニカルチューブを磁石スタンドに設置して、10分間、乖離した修飾磁性粒子を集磁し、上澄み液(インフルエンザA型ウイルス含有液)(抗原含有液)を回収した。
10mM トリスHCl 10μLを中和液として用いて、上記インフルエンザA型ウイルス含有液を中和して、中和インフルエンザA型ウイルス含有液(中和抗原含有液)を得た。
図1に示されるように、上流側から、金コロイド保持パッド10、テストライン20、コントロールライン30、発色試薬固定化ライン40を有するニトロセルロースメンブレン100を準備した。なお、金コロイド保持パッド10は、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社)(モノクローナル抗体Y)で修飾された金コロイド(修飾金粒子)を保持するパッドであり、テストライン20は、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社)(モノクローナル抗体Z)が固定化されたラインであり、コントロールライン30は、展開を確認するためのラインであり、発色試薬固定化ライン40は、後述する還元液を検出するためのラインである。
展開工程で展開された金粒子複合体はテストラインで捕捉される。
以下のとおり、銀増幅工程を実施した。
水290gに、硝酸鉄(III)九水和物(富士フイルム和光純薬社製)を水に溶解して作製した1mol/Lの硝酸鉄水溶液23.6mL、及び、クエン酸(富士フイルム和光純薬社製)13.1gを溶解させた。全て溶解した後、スターラーで攪拌しながら硝酸(10質量%)を36ml加え、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(富士フイルム和光純薬社製)を60.8g加え、これを還元剤液とした。
水66gに、硝酸銀溶液8mL(10gの硝酸銀を含む)と1mol/Lの硝酸鉄水溶液24mLを加えた。さらに、この溶液と、硝酸(10質量%)5.9mL、ドデシルアミン(富士フイルム和光純薬社製)0.1g、界面活性剤C12H25-C6H4-O-(CH2CH2O)50H 0.1gをあらかじめ47.6gの水に溶解した溶液を混合し、これを銀増幅液とした。
ニトロセルロースメンブレンにおいて、上述した展開工程と同じ方向から(より上流側から)、上述のとおり調製した還元剤液を流した。
発色試薬固定化ラインが変色した後、展開工程における展開方向と逆方向から(下流側から)、上述のとおり調製した銀増幅液を流した。このようにして、テストラインで捕捉された金粒子複合体を銀増幅した。
テストラインの着色を目視により確認し、着色が確認された最も小さい希釈率(最小検出感度)を調べた。結果を表1に示す。最小検出感度が小さいほど、抗原の濃度が薄い試料でも抗原を検出できることを意味し、検出感度が高いことを意味する。
混合工程から中和工程までを行わずに、展開工程において中和インフルエンザA型ウイルス含有液の代わりに上述した検体液自体を用いた点以外は、実施例1と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
モノクローナル抗体Xとして、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Funakoshi、#GTX629544)の代わりに抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti-Influenza A SPTN-5 7307、Medix Biochemica社)を使用した点以外は、実施例1と同様の手順に従って、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。比較例2において、モノクローナル抗体Xとモノクローナル抗体Yは互いに同じであり、モノクローナル抗体Xとモノクローナル抗体Zは互いに同じである。
20 テストライン
30 コントロールライン
40 発色試薬固定化ライン
100 ニトロセルロースメンブレン
Claims (7)
- 抗原を含み得る試料と、前記抗原と特異的に親和性を有するモノクローナル抗体Xで修飾された磁性粒子である修飾磁性粒子とを混合することで、前記抗原と前記修飾磁性粒子との複合体である磁性粒子複合体を含有する混合物を得る、混合工程と、
磁気を用いて、前記磁性粒子複合体を含有する混合物中の磁性粒子を捕集する、捕集工程と、
前記捕集工程で捕集された磁性粒子と、酸性又はアルカリ性の液である乖離液とを混合することで、前記磁性粒子複合体から前記修飾磁性粒子を乖離させ、抗原含有液を得る、乖離工程と、
中和液を用いて、前記抗原含有液を中和することで、中和抗原含有液を得る、中和工程と、
前記中和抗原含有液中の抗原と、前記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Yで修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させた状態で、前記抗原と結合し得るモノクローナル抗体Zが固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
前記不溶性担体の反応部位において、前記金粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、
前記捕捉工程で捕捉された金粒子複合体を銀増幅する、銀増幅工程とを備え、
前記モノクローナル抗体Xと前記モノクローナル抗体Yが互いに異なり、
前記モノクローナル抗体Xと前記モノクローナル抗体Zが互いに異なる、イムノクロマトグラフィー。 - 前記モノクローナル抗体X、前記モノクローナル抗体Y及び前記モノクローナル抗体Zが全て異なる、請求項1に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記乖離液が、前記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、酸性又はアルカリ性の液である乖離液である、請求項1又は2に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記抗原を含み得る試料に対する、前記乖離液の割合が、質量比で、1/5以下である、請求項3に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記乖離液が、NaOH又はHClを含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記中和液が、HClと、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、又は、NaOHと、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 修飾される前の前記磁性粒子の粒子径が、0.05μm~10μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
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