JP7149583B2 - 通信システム、アクセスポイント、通信方法、および、プログラム - Google Patents

通信システム、アクセスポイント、通信方法、および、プログラム Download PDF

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Description

本発明は、通信システムにおける通信状況を改善させる技術に関する。
近年、スマートフォン等の高機能な携帯端末の普及に伴って、移動通信トラフィックの需要が急激に増大している。その結果、従来からの無線LAN(Local Area Network)の利用拡大に加え、スマートフォンの普及によるモバイルデータトラフィックの増大により無線LANへのオフロードが進展し、免許不要帯域(2.4GHz帯、5GHz帯)でのトラフィックが急増している。
また、IoT(Internet Of Things)やM2M(Machine to Machine)に関する技術が多くのシステムに適用される傾向にあり、上記周波数帯および920MHz帯の更なる逼迫が懸念され、これらの周波数帯の周波数利用効率向上は喫緊の課題となっている。
ここで、無線リソースの利用状況は時間・場所・周波数帯や無線チャネル等によって変動するため、一部の周波数帯(や無線チャネル)のみが混雑する状況が発生し得る。
つまり、無線システム全体として無線リソースに空きがある場合であっても、輻輳が発生するおそれがある。既存の自営系無線システム(例えばIEEE802.11無線LAN)は単一の周波数帯を用いるか、予め使用する帯域をひとつ決めてから通信を行う。例えば、IEEE802.11nは2.4GHz帯と5GHz帯のいずれを使用するかを設定してから使用する。このため、既存の自営系無線システム全体として無線リソースに空きがある場合であっても、輻輳が発生するおそれがある。
このような状況に対処するために、種々の技術が開発されている。例えば、特許文献1に開示されている技術では、複数のステーションと無線通信するアクセスポイントが、各ステーションから、チャネルの使用状況についての情報を収集し、収集した情報に基づいて、使用するチャネルを変更する処理を実行する。つまり、特許文献1の技術では、アクセスポイントが各ステーションのチャネル使用状況を監視することで、最適なチャネル選択処理を実行する。言い換えれば、特許文献1の技術は、各ステーションのチャネル使用状況の情報を中央(全体を管理する装置(アクセスポイント))に集約させ、全体を管理する装置(アクセスポイント)により、中央集権的にチャネルの選択処理を最適化するものである。
米国特許出願公開第2002/0188723号明細書
しかしながら、上記のような従来技術では、通信システムの全体の通信状況を把握するために、各ステーションから通信状況に関するデータを収集する必要がある。つまり、上記のような従来技術では、各ステーションから通信状況に関するデータを収集し、当該データを監視するための装置(中央管理装置)を設け、中央集権的な通信システムを構築する必要がある。このため、従来技術では、通信システムのパフォーマンスを分散的に最適化することは困難である。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、通信システムのパフォーマンスを分散的に最適化することができる通信システム、当該通信システムに用いられるアクセスポイント、通信方法、および、プログラムを実現することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明は、複数の端末と、それぞれ、当該複数の端末の一部または全部と通信することが可能な複数のアクセスポイントと、を備え、複数の周波数バンドごとに複数のチャネルを利用してデータ通信を行う通信システムである。
各アクセスポイントは、チャネル利用状況データ取得ステップと、更新ステップと、受信ステップと、公平性評価値取得ステップと、チャネル選択期間調整ステップと、チャネル選択ステップと、を実行する。
チャネル利用状況データ取得ステップは、自装置である自アクセスポイントにおいて、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得する。
更新ステップは、チャネル利用状況データに基づいて、チャネルの利用可能リソースが大きい程、当該チャネルが選択される確率であるチャネル確率が高くなるように、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルのチャネル確率を更新する。
受信ステップは、他のアクセスポイントから、各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータを受信する。
公平性評価値取得ステップは、アクセスポイントごとの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示す値の公平性を示す公平性評価値を取得する。
チャネル選択期間調整ステップは、公平性評価値に基づいて、チャネルを選択する処理であるチャネル選択処理の周期であるチャネル選択用周期、および、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するための周期であるチャネル利用状況データ取得周期の少なくとも一方を調整する。
チャネル選択ステップは、チャネル選択用周期により決定されるタイミングで、チャネル確率に基づいて、データ通信を行うチャネルを選択するチャネル選択処理を実行する。
この通信システムでは、各アクセスポイントのチャネル利用の公平性の概念を導入し、当該チャネル利用の公平性を損なわれないようにしつつ、各アクセスポイントのスループットが大きくなるように、各チャネルのチャネル確率が調整(更新)される。これにより、各アクセスポイントで分散的にチャネル利用率が高くなるように調整し、各アクセスポイントのスループットを向上させることができるとともに、他のアクセスポイントのチャネル使用状況から導出した公平性評価値により、各チャネル利用の公平性も担保することができる。
つまり、この通信システムでは、各アクセスポイントにて、上記処理を分散して行うことで、各アクセスポイントのチャネル利用の公平性を担保しつつ、通信システム全体のスループットが大きくなるようにすることができる。
したがって、この通信システム1000では、通信システムのパフォーマンスを分散的に最適化することができる。
第2の発明は、第1の発明であって、チャネル確率は、ギブズサンプリングが適用可能なギブズ分布に従う確率分布により算出される。
これにより、この通信システムでは、チャネル確率を、ギブズサンプリングが適用可能なギブズ分布に従う確率分布により算出することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明であって、チャネル利用状況データは、所定の期間におけるチャネルの占有率を示すCUR値により導出されるデータである。
これにより、この通信システムでは、CUR値を用いて、各アクセスポイントのスループットを向上させるようにチャネル確率の更新処理を実行できるとともに、公平性評価値をCUR値に基づいて、取得することができる。
第4の発明は、第3の発明であって、アクセスポイントをAPとし、周波数バンドをiとし、周波数バンドiに含まれるチャネルをcとし、チャネルcのシェア率をζcとし、アクセスポイントAPのチャネルcのCUR値をρ(AP,c)とすると、公平性評価値は、
Figure 0007149583000001


により算出される。
これにより、この通信システムでは、CUR値の公平性を、Raj Jain’s式に基づいて算出される値により評価することができる。
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明であって、アクセスポイントは、自アクセスポイントにおける各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータをブロードキャストにより外部に送信する。
これにより、この通信システムでは、各アクセスポイントは、ブロードキャスト受信により、他のアクセスポイントにおける各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータを取得することができる。
第6の発明は、複数の端末と、それぞれ、当該複数の端末の一部または全部と通信することが可能な複数のアクセスポイントと、を備え、複数の周波数バンドごとに複数のチャネルを利用してデータ通信を行う通信システムに用いられるアクセスポイントであって、制御部と、所定の処理を実行するために、命令及びデータの少なくとも一方を保持するメモリと、を備える。
アクセスポイントは、チャネル利用状況データ取得ステップと、更新ステップと、受信ステップと、公平性評価値取得ステップと、チャネル選択期間調整ステップと、チャネル選択ステップと、を実行する。
チャネル利用状況データ取得ステップは、自装置である自アクセスポイントにおいて、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得する。
更新ステップは、チャネル利用状況データに基づいて、チャネルの利用可能リソースが大きい程、当該チャネルが選択される確率であるチャネル確率が高くなるように、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルのチャネル確率を更新する。
受信ステップは、他のアクセスポイントから、各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータを受信する。
公平性評価値取得ステップは、アクセスポイントごとの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示す値の公平性を示す公平性評価値を取得する。
チャネル選択期間調整ステップは、公平性評価値に基づいて、チャネルを選択する処理であるチャネル選択処理の周期であるチャネル選択用周期、および、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するための周期であるチャネル利用状況データ取得周期の少なくとも一方を調整する。
チャネル選択ステップは、チャネル選択用周期により決定されるタイミングで、チャネル確率に基づいて、データ通信を行うチャネルを選択するチャネル選択処理を実行する。
これにより、第1の発明と同様の効果を奏するアクセスポイントを実現することができる。
第7の発明は、複数の端末と、それぞれ、当該複数の端末の一部または全部と通信することが可能な複数のアクセスポイントと、を備え、複数の周波数バンドごとに複数のチャネルを利用してデータ通信を行う通信システムに用いられる通信方法である。通信方法は、チャネル利用状況データ取得ステップと、更新ステップと、受信ステップと、公平性評価値取得ステップと、チャネル選択期間調整ステップと、チャネル選択ステップと、を備える。
チャネル利用状況データ取得ステップは、各アクセスポイントにより、自装置である自アクセスポイントにおいて、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得する。
更新ステップは、各アクセスポイントにより、チャネル利用状況データに基づいて、チャネルの利用可能リソースが大きい程、当該チャネルが選択される確率であるチャネル確率が高くなるように、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルのチャネル確率を更新する。
受信ステップは、他のアクセスポイントから、各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータを受信する。
公平性評価値取得ステップは、各アクセスポイントにより、アクセスポイントごとの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示す値の公平性を示す公平性評価値を取得する。
チャネル選択期間調整ステップは、各アクセスポイントにより、公平性評価値に基づいて、チャネルを選択する処理であるチャネル選択処理の周期であるチャネル選択用周期、および、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するための周期であるチャネル利用状況データ取得周期の少なくとも一方を調整する。
チャネル選択ステップは、各アクセスポイントにより、チャネル選択用周期により決定されるタイミングで、チャネル確率に基づいて、データ通信を行うチャネルを選択するチャネル選択処理を実行する。
これにより、第1の発明と同様の効果を奏する通信方法を実現することができる。
第8の発明は、第7の発明である通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
これにより、第1の発明と同様の効果を奏する通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを実現することができる。
本発明によれば、通信システムのパフォーマンスを分散的に最適化することができる通信システム、当該通信システムに用いられるアクセスポイント、通信方法、および、プログラムを実現することができる。
第1実施形態に係る通信システム1000のアクセスポイントを配置した空間SP1を模式的に示した図。 第1実施形態に係る通信システム1000の概略構成図。 第1実施形態にアクセスポイントAP1の概略構成図。 通信システム1000における動作を説明するためのフローチャート。 通信システム1000における動作を説明するためのフローチャート。 各アクセスポイントおよび通信システム全体のチャネル利用率を示す図(非平衡時、平衡時)。 CPUバス構成を示す図。
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
<1.1:通信システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る通信システム1000のアクセスポイントを配置した空間SP1を模式的に示した図である。
図2は、第1実施形態に係る通信システム1000の概略構成図(一例)である。
図3は、第1実施形態に係るアクセスポイントAP1の概略構成図である。
通信システム1000は、例えば、図1に示すように、複数のアクセスポイント(図1では、アクセスポイントAP1~AP4)と、各アクセスポイントと通信する複数の無線端末(図1では、無線端末ST11~ST44)とを含む。そして、複数のアクセスポイント(図1では、アクセスポイントAP1~AP4)と、各アクセスポイントと通信する複数の無線端末(図1では、無線端末ST11~ST44)とは、空間SP1内に配置されている。
なお、説明便宜のため、一例として、通信システム1000は、図1に示すように、4つのアクセスポイントAP1~AP4と、(1)アクセスポイントAP1と通信している4つの無線端末ST11~ST14と、(2)アクセスポイントAP2と通信している4つの無線端末ST21~ST24と、(3)アクセスポイントAP3と通信している4つの無線端末ST31~ST34と、(4)アクセスポイントAP4と通信している4つの無線端末ST41~ST44と、を含むものとして、以下説明する。
通信システム1000は、図2に示すように、4つのアクセスポイントAP1~AP4と、各アクセスポイントと通信する無線端末ST11~ST44と、複数のスイッチ装置(図1では、スイッチ装置SW1~SW3)とを備える。また、通信システム1000は、図2に示すように、ゲートウェイGW1と、ゲートウェイGW1に接続されるサーバSvr1と、ネットワークNW1を介して、ゲートウェイGW1に接続されるサーバSvr2とを備える。
なお、図2の構成は、通信システム1000の構成の一例であり、通信システム1000の構成は、この構成に限定されることはなく、他の構成としてもよい。
スイッチ装置SW1~SW3は、例えば、L2スイッチ(スイッチングハブ)やL3スイッチにより実現される装置である。各無線端末は、各アクセスポイント(担当のアクセスポイント)、スイッチ装置SW1~SW3(通信経路上のスイッチ装置)、ゲートウェイGW1、ネットワークNW1等を介して、外部のサーバ(例えば、サーバSvr1、Svr2)とデータ通信を行う。
アクセスポイントAP1は、図3に示すように、アンテナAnt1と、通信処理部1と、通信リソース調整部2と、データ処理部3とを備える。
アンテナAnt1は、無線通信用アンテナであり、無線通信用信号(RF信号)を送受信するためのアンテナである。
通信処理部1は、図3に示すように、RF処理部11と、ベースバンド処理部12とを備える。
RF処理部11は、アンテナAnt1により受信したRF信号に対して、RF復調処理を行い、RF復調信号を取得し、取得したRF復調信号をベースバンド処理部12に出力する。また、RF処理部11は、ベースバンド処理部12から入力される変調ベースバンド信号に対して、RF変調処理を実行し、無線通信用信号(RF信号)を取得する。そして、取得したRF信号を、アンテナAnt1を介して外部へ送信する。また、RF処理部11は、アクセスポイントAP1で使用可能なチャネルの情報を取得する。
ベースバンド処理部12は、RF処理部11から出力されるRF復調信号に対して、ベースバンド復調処理(例えば、変調方式がOFDMである場合、ガードインターバル(GI)除去処理、FFT変換、デマッピング処理、パラレル/シリアル変換等の処理)を行うことで、ベースバンド復調信号を取得する。また、ベースバンド処理部12は、データ処理部3から入力されるデータに対して、ベースバンド変調処理(例えば、変調方式がOFDMである場合、シリアル/パラレル変換、マッピング処理、逆FFT変換、ガードインターバル(GI)付加処理、D/A変換等の処理)を実行し、変調ベースバンド信号を取得し、取得した変調ベースバンド信号をRF処理部11に出力する。
通信処理部1は、RF処理部11およびベースバンド処理部12により取得したデータを含めたデータを、データD1として、通信リソース調整部2に出力する。データD1には、(1)各チャネルに相当する周波数における受信感度、受信電力等の情報、(2)他のアクセスポイントから受信したデータであって、他のアクセスポイントのCUR値(CUR:Channel Utilization Ratio:チャネルが使用されている時間の割合)、使用チャネルの情報を含むデータ等が含まれる。
また、通信処理部1は、通信リソース調整部2から出力されるデータD2を入力し、当該データD2に基づくチャネル(通信チャネル)が選択されるように、ベースバンド処理、RF処理を実行する。
通信リソース調整部2は、図3に示すように、チャネル確率処理部21と、公平性評価処理部22と、チャネル選択処理部23と、を備える。
チャネル確率処理部21は、図3に示すように、利用可能チャネル検出部211と、平均CUR値取得部212と、ギブズ分布算出処理部213と、チャネル確率更新処理部214と、を備える。
利用可能チャネル検出部211は、通信処理部1から出力されるデータD1を入力し、当該データD1に基づいて、アクセスポイントAP1で利用可能なチャネルを、周波数バンドごとに、検出する。例えば、利用可能チャネル検出部211は、通信処理部1のRF処理部11により検出された、周波数バンドごとの使用可能チャネルについての情報から、アクセスポイントAP1で利用可能なチャネルを、周波数バンドごとに検出する。そして、利用可能チャネル検出部211は、検出結果を含むデータをデータD11として、平均CUR値取得部212に出力する。
平均CUR値取得部212は、平均CUR値取得部212から出力されるデータD11を入力する。平均CUR値取得部212は、データD11に基づいて、使用している周波数帯域(周波数バンド)における使用チャネルごとに、CUR値を取得する。そして、平均CUR値取得部212は、取得したデータを、データD12として、ギブズ分布算出処理部213に出力する。
ギブズ分布算出処理部213は、平均CUR値取得部212から出力されるデータD12を入力する。ギブズ分布算出処理部213は、データD12に基づいて、ギブズ分布を算出する。そして、算出したギブズ分布のデータを含むデータを、データD13として、チャネル確率更新処理部214に出力する。
チャネル確率更新処理部214は、ギブズ分布算出処理部213から出力されるデータD13を入力する。チャネル確率更新処理部214は、データD13に基づいて、各チャネルのチャネル確率を更新する処理を実行する。そして、チャネル確率更新処理部214は、更新後のチャネル確率Pcを含むデータを、データD14として、チャネル選択処理部23に出力する。
公平性評価処理部22は、図3に示すように、他AP情報取得部221と、公平性評価値算出部222と、検出期間調整部223とを備える。
他AP情報取得部221は、通信処理部1から出力されるデータD1を入力し、当該データD1から、他のアクセスポイント(アクセスポイントAP1以外のアクセスポイント)の(1)CUR値と、(2)使用チャネルの情報とを取得する。他AP情報取得部221は、取得したデータを含むデータを、データD15として、公平性評価値算出部222に出力する。
公平性評価値算出部222は、他AP情報取得部221から出力されるデータD15を入力し、データD15に基づいて、公平性評価値ξを取得する。そして、公平性評価値算出部222は、取得した公平性評価値ξを含むデータを、データD16として、検出期間調整部223に出力する。
検出期間調整部223は、公平性評価値算出部222から出力される公平性評価値ξ(公平性評価値ξを含むデータ)を入力し、公平性評価値ξに基づいて、検出期間を決定する処理を行う。具体的には、検出期間調整部223は、(1)CUR値を取得するための期間に相当するタイムスロット数N(N:自然数)と、(2)チャネル切り替え処理を実行してから、次にチャネル切り替え処理を実行するまでの期間に相当するタイムスロット数Ncとを決定する。検出期間調整部223は、決定したタイムスロット数N、Ncを含むデータを、データD17として、チャネル選択処理部23に出力する。
チャネル選択処理部23は、チャネル確率処理部21から出力されるデータD14と、公平性評価処理部22から出力されるデータD17とを入力する。そして、チャネル選択処理部23は、データD14(更新されたチャネル確率Pcを含むデータ)と、データD17(検出期間を決定するタイムスロット数N、Ncを含むデータ)とに基づいて、チャネル選択処理を実行する。そして、チャネル選択処理部23は、チャネル選択処理の結果を含むデータをデータD2として、通信処理部1に出力する。
データ処理部3は、通信処理部1から出力されるデータに対して、所定のデータ処理を実行する。また、データ処理部3は、所定の宛先に送信するためのデータを生成し、当該データを通信処理部1に出力する。
なお、アクセスポイントAP2~AP4は、アクセスポイントAP1と同様の構成を有している。
<1.2:通信システムの動作>
以上のように構成された通信システム1000の動作について、以下、説明する。
図4~図5は、通信システム1000における動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、アクセスポイントAP1にて実行される処理のフローチャートである。図4~図5を参照しながら、通信システム1000の動作を説明する。
(ステップS1):
ステップS1において、アクセスポイントAP1は、初期化処理を実行する。具体的には、アクセスポイントAP1は、(1)CUR値を取得する期間に相当するタイムスロット数を初期値に設定し、(2)チャネル切り替え処理を実行してから、次にチャネル切り替え処理を実行するまでの期間に相当するタイムスロット数Ncを初期値に設定し、(3)時刻t(離散時間ステップt、t:整数)を初期値(t=0)に設定する。
(ステップS2):
ステップS2において、アクセスポイントAP1は、周波数バンドiにおける利用可能チャネルを検出する処理を実行する。具体的には、アクセスポイントAP1の利用可能チャネル検出部211は、通信処理部1から出力されるデータD1(各チャネルに相当する周波数における受信感度、受信電力等の情報を含むデータ)に基づいて、アクセスポイントAP1で利用可能なチャネルを検出する。利用可能チャネル検出部211は、周波数バンドiにおける利用可能チャネルを示すデータをcとして取得する。なお、周波数バンドiは、例えば、ISMバンド(920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯、60GHz帯)の場合、
(1)920MHz帯: i=1
(2)2.4GHz帯: i=2
(3)5GHz帯: i=3
(4)60GHz帯: i=4
と、各周波数バンドとiの値とを対応付ければよい。
なお、以下では、説明便宜のため、iが1つである場合(通信システム1000において、1つの周波数バンドを利用する場合)について、説明する。
(ステップS3):
ステップS3において、アクセスポイントAP1の平均CUR値取得部212は、CUR値の算出処理を実行する。アクセスポイントAPbの周波数バンドiのチャネルcのCUR値をρ(AP,c)とすると、アクセスポイントAP1の平均CUR値取得部212は、アクセスポイントAP1のCUR値ρ(AP,c)を
ρ(AP,c)=Nbusy/N
(b=1)
N:CUR値を取得する期間に相当するタイムスロット数
busy:タイムスロット数Nの期間において、「ビジー」(「アイドル」(Idle)ではない)と判定されたタイムスロット数
に相当する処理を実行することで、取得する。
(ステップS4):
ステップS4において、アクセスポイントAP1の平均CUR値取得部212は、平均CUR値の算出処理を行う。アクセスポイントAP1の平均CUR値取得部212は、アクセスポイントAP1の平均CUR値ave_ρ(AP,c)(b=1)を、
ave_ρ(AP,c)=(1-ν)×ρ(AP,c)+ν×ave_ρ(AP,c
(b=1)
ν:実数、0≦ν≦1
に相当する処理を実行することで、取得する。
(ステップS5):
ステップS5において、アクセスポイントAP1のギブズ分布算出処理部213は、ギブズ分布Gibbs_dist(ave_ρ(AP,c))(b=1)を、
Figure 0007149583000002


に相当する処理により、取得する。
(ステップS6):
ステップS6において、アクセスポイントAP1のチャネル確率更新処理部214は、チャネル確率の更新処理を実行する。具体的には、チャネル確率更新処理部214は、確率Pc(周波数バンドiのチャネルcの出現確率)を、
Figure 0007149583000003


に相当する処理を実行し、取得する。なお、ηは、忘却率であり、更新度合いを決める係数である。
なお、通信システム1000におけるチャネルについての状態遷移確率π(vec_c)を、
Figure 0007149583000004


vec_c:チャネル・アロケーション・ベクトル(各チャネルの割り当て状況を示すデータを要素とするベクトル)
I:周波数バンドの集合(通信システム1000において使用する周波数バンドの集合)
:周波数バンドiに含まれるチャネルの集合
:チャネルcを使用するアクセスポイントの集合
Z(T):正規化のための定数
α:CURの目標値
b,c:アクセスポイントAPのチャネルcについてのスループット
ξ:CUR公平性評価値(CUR Fairness index)
とする。
なお、チャネル・アロケーション・ベクトルvec_cは、マルコフ連鎖の状態とみなすことができる。つまり、チャネル・アロケーション・ベクトルvec_cの未来(時刻t+1)の挙動は、現在の値(時刻t)により決定され、過去の挙動と無関係であるので、マルコフ性が保証され、その結果、チャネル・アロケーション・ベクトルvec_cは、マルコフ連鎖の状態とみなすことができる。
ここで、上記数式に含まれる、(1)アクセスポイントAPのチャネルcについてのスループットRb,cと、(2)CUR公平性評価値ξについて、説明する。
≪スループット(Rb,c)≫
アクセスポイントAPのチャネルcについてのスループットRb,cは、例えば、以下のように定義される。
通信システム1000に含まれる無線端末の集合をSとし、その要素(各無線端末に相当)をsとすると、無線端末sの伝送時間D(s)は、
D(s)=1/Φ(SINR(s))
Φ():IEEE802.11で規定されているMCS(Modulation and Coding Scheme)(変調方式、符号化率等を組み合わせてインデックス化したもの)を適切に選択するときに、無線端末sのSINR(s)(Signal-to-interference-plus-noise ratio)をどの程度考慮するかを示す関数
により取得できる。短期間では、各無線端末のSINRが伝送時間に影響を及ぼすが、長期間では、各端末が同様のスループットを実現するようになると考えられるので、アクセスポイントAPのチャネルcについてのスループットRb,cは、以下の数式により定義できる。
Figure 0007149583000005


ζb,c∈(0,1]
:アクセスポイントAPと通信する無線端末sの集合
b,c:アクセスポイントの集合Bに含まれるアクセスポイントAPでチャネルcを使用する無線端末sの集合
ζb,c(B):チャネルcの使用における、アクセスポイントAPによる使用の割合(通信システム1000において、チャネルcを使用しているアクセスポイントがアクセスポイントAPだけである場合、この値は「1」となる。)
≪CUR公平性評価値(ξ)≫
CUR公平性評価値(CUR Fairness index)ξは、例えば、以下のように定義される。
Figure 0007149583000006


ρb,c:アクセスポイントAPのチャネルcにおけるCUR値
なお、CUR公平性評価値ξ(Raj Jain’s equationに基づく値、0≦ξ≦1)は、全てのアクセスポイントがチャネルを均等に(公平に)使用している状態に近づけば近づく程、大きな値となり、全てのアクセスポイントがチャネルを均等に(公平に)使用している状態で、「1」となる。
≪最適化関数≫
次に、通信システム1000の全体のパフォーマンスを最適化(最大化)するための最適化関数について、説明する。この最適化関数は、例えば、以下のように定義される。
Figure 0007149583000007


上式の第1項は、通信システム1000の全体のスループットを示しており、第2項は、公平性が失われたときのペナルティ値を示している。λ(λ>0)は、ペナルティ値のための乗算係数である。
vec_cは、チャネル・アロケーション・ベクトルであり、j番目の要素がアクセスポイントAP(j番目のアクセスポイント)に割り当てられているチャネルの状況を示す値である。
通信システム1000の全体のパフォーマンスを最適化(最大化)するためには、通信システム1000における利用可能チャネルのCUR値のバランスを確保しつつ、通信システム1000の全体のスループットを最大化するようにすればよい。そして、これを満たす、つまり、上式の最適化関数を最大にするチャネル・アロケーション・ベクトルをvec_coptとする(vec_copt∈C)。
上記の最適化問題を解くには、チャネル・アロケーション・ベクトルを状態とし、状態遷移確率が上記(数式4)で規定される、マルコフ連鎖を用いたモデルを設定すればよい。マルコフ連鎖によるモデルにより最適化問題を解くためには、その確率分布(目標分布)が定常状態(平衡状態)に収束する必要がある(ステーショナリ分布(stationary distribution)である必要がある)。そして、マルコフ連鎖によるモデルにより最適化問題を解くためには、ギブズサンプリングを用いるのが効果的である。
例えば、現在の状態vec_cを、vec_c=vec_c(t)とすると、アクセスポイントAPは、その利用チャネルを以下の数式に示すマルコフ連鎖更新確率に従って、c=c(t+1)に更新する。
Figure 0007149583000008


vec_c-b:アクセスポイントAP以外の全アクセスポイントのチャネル・アロケーション・ベクトル
上記数式により、状態が更新されるマルコフ連鎖によるモデルの確率分布は、定常状態(平衡状態)に収束する(ステーショナリ分布(stationary distribution)である)。
その理由は、以下の通りである。
アクセスポイントAPがc(t)の観測結果に基づいて、その利用リソースを更新すると、c(t)=mからc(t+1)=nへの状態遷移が起こるので、この状態遷移は、現在のチャネル・アロケーション・ベクトルにのみ依存している。
また、チャネル・アロケーション・ベクトルを規定する空間Cは、各時刻(離散時間)tで有限であるので、上記数式により状態が更新されるマルコフ連鎖によるモデルは、時間不均質なマルコフ連鎖としてモデル化される。任意の状態から他の状態への状態遷移確率は、正の値となるので、その過程において、任意の状態mから任意状態nに、正の値の状態遷移確率で、遷移することができる。従って、上記数式により状態が更新されるマルコフ連鎖は、既約(可約でない:irreducible)であり、かつ、再帰的(recurrent)である。
さらに、上記数式により状態が更新されるマルコフ連鎖は、正の値をとる確率による自己ループのために、非周期的(aperiodic)となる。
以上のように、上記数式により状態が更新されるマルコフ連鎖は、上記3つの性質を有する、すなわち、(1)既約(可約でない:irreducible)であり、(2)再帰的(recurrent)であり、かつ、(3)非周期的(aperiodic)である。従って、上記数式により状態が更新されるマルコフ連鎖は、Tが0に近づくと、その状態遷移確率は、静的な分布(ステーショナリ分布)に収束することが保証される(定常状態(平衡状態)に収束する)。
マルコフ連鎖によるモデルにおいて、サンプリングを行うのに、ギブズサンプリングが有効である。ギブズサンプリングでは、状態遷移の条件付き確率(例えば、(数式8)の状態遷移の条件付き確率)に従い、状態ベクトルの1つの次元のみを変化させて、静的な分布(ステーショナリ分布)に収束するように(エネルギー関数が最小となるように)サンプリングを行うので、状態遷移の条件付き確率(例えば、(数式8)の状態遷移の条件付き確率)が複雑でないとき、特に有効である。
通信システム1000では、チャネルの目標の状態cへの状態遷移確率を、以下の数式による確率分布に従い乱数をサンプリングすることにより、算出する。
Figure 0007149583000009


c∈C
T:温度パラメータ(T>0)
上式の確率分布は、マルコフ連鎖の確率密度関数の静的な分布(ステーショナリ分布)を有するという性質を有している。このことは、(A)通信システム1000におけるチャネルについての状態遷移確率π(vec_c)が(数式4)により規定されること、および、(B)(数式8)により状態が更新されるマルコフ連鎖が、(1)既約(可約でない:irreducible)であり、(2)再帰的(recurrent)であり、かつ、(3)非周期的(aperiodic)であることから証明される。
以上により、ステップS6において、アクセスポイントAP1のチャネル確率更新処理部214は、(数式3)に相当する処理を実行することで、チャネル確率の更新処理を行う。そして、通信システム1000では、上記で説明したようにモデル化されたマルコフ連鎖によるモデルにより最適化処理を行うので、チャネル確率Pc(t)は、静的な分布(ステーショナリ分布)(定常状態(平衡状態))に収束するように更新されていくことが保証される。
(ステップS7):
ステップS7において、チャネル選択処理部23は、離散時刻tについて、タイムスロット数Ncの剰余mod(Nc,t)を算出し、mod(Nc,t)=0である場合、処理をステップS8に進め、mod(Nc,t)=0ではない場合、処理をステップS9に進める。
(ステップS8):
ステップS8において、チャネル選択処理部23は、チャネル確率Pcに基づいて、チャネル選択を行う。すなわち、チャネル選択処理部23は、チャネル確率Pcが最も小さい値をとるチャネル(CUR値が最も小さく利用可能リソースが最も大きいチャネル)を選択し、当該選択結果を含むデータD2を通信処理部1に出力する。通信処理部1は、データD2に基づいて、チャネル選択処理部23により選択されたチャネルを使用してデータ通信するように、ベースバンド処理、RF処理を実行する。これにより、アクセスポイントAP1では、選択されたチャネルによりデータ通信を行う。
(ステップS9):
ステップS9において、アクセスポイントAP1の公平性評価処理部22は、公平性評価処理(ステップS91~S95の処理)を行う。
(ステップS91):
ステップS91において、他AP情報取得部221は、通信処理部1から出力されるデータD1から、他のアクセスポイント(アクセスポイントAP1以外のアクセスポイント)の(1)CUR値と、(2)使用チャネルの情報とを取得する。そして、他AP情報取得部221は、取得したデータを含むデータを、データD15として、公平性評価値算出部222に出力する。
なお、他のアクセスポイント(アクセスポイントAP1以外のアクセスポイント)の(1)CUR値と、(2)使用チャネルの情報とは、当該情報を含むデータが、他のアクセスポイントが、アクセスポイントAP1に送信(例えば、ブロードキャストにより送信)し、当該データを、アクセスポイントAP1にて受信することで取得される。
(ステップS92):
ステップS92において、公平性評価値算出部222は、他AP情報取得部221から出力されるデータD15に基づいて、公平性評価値ξを取得する。具体的には、公平性評価値算出部222は、下記数式に相当する処理を実行することで、公平性評価値ξを取得する。
Figure 0007149583000010


ζci:チャネルcのシェア率
なお、上記数式による公平性評価値ξ(0≦ξ≦1)は、通信システム1000に含まれるアクセスポイントにおいて、全てのチャネルが公平に使用されている場合、「1」に近づく。
(ステップS93~S95):
ステップS93において、検出期間調整部223は、公平性評価値算出部222により取得された公平性評価値ξと閾値TH1とを比較し、公平性評価値ξが閾値TH1以上である場合、処理をステップS94に進め、アクセスポイントAP1を、例えば、Nタイムスロット分の期間待機させ、暫くの間、公平性評価処理を実行させない。そして、Nタイムスロット分の期間が経過したら、処理をステップS91に戻す。
一方、公平性評価値ξが閾値TH1よりも小さい場合、処理をステップS95に進める。
ステップS95において、検出期間調整部223は、検出期間を決定する処理を行う。具体的には、検出期間調整部223は、(1)CUR値を取得するための期間に相当するタイムスロット数N(N:自然数)と、(2)チャネル切り替え処理を実行してから、次にチャネル切り替え処理を実行するまでの期間に相当するタイムスロット数Ncとを決定する。
この検出期間の決定処理は、例えば、入力を公平性評価値ξとし、出力を上記タイムスロット数N、Ncとするファジー推論システム、PNN(Probabilistic Neural Network)を用いたシステム、他のニューラルネットワークを用いたシステム等により実行すればよい。
例えば、公平性評価値ξが低い場合、通信システム1000において、利用可能チャネルの使用状況に偏りが生じていることが分かるので、この場合、検出期間調整部223は、値Ncを小さい値になるように、値Ncを調整する。そして、チャネル選択処理部23は、検出期間調整部223により調整された値Ncに相当する期間ごとに、チャネル切り替え処理を実行する。これにより、アクセスポイントAP1において、一定期間にチャネル選択処理が実行される数が多くなる。その結果、通信システム1000のシステム全体において、利用可能チャネルの使用状況の偏りが解消される可能性が高くなる。
公平性評価処理部22は、以上の公平性評価処理を実行した後、処理をステップS10に進める。
(ステップS10、S11):
ステップS10において、アクセスポイントAP1は、時刻(時間ステップ)を1つ進める(離散時刻のタイムステップを1つインクリメントする)。
ステップS11において、アクセスポイントAP1は、チャネル確率更新処理、公平性評価処理、チャネル選択処理等(ステップS2~S10の処理)を終了させるか否か判断し、終了させる場合、一連の処理を終了させ、終了させない場合、処理をステップS2に戻す。
なお、通信システム1000に含まれる他のアクセスポイントについても、上記のアクセスポイントAP1が実行する処理と同様の処理を実行する。
以上のように、通信システム1000では、各アクセスポイントのチャネル利用の公平性の概念を導入し、当該チャネル利用の公平性を損なわれないようにしつつ、各アクセスポイントのスループットの総和に基づいて算出される通信システム1000の全体のスループットが大きくなるように、通信リソースの配分を決定する。つまり、通信システム1000では、(数式7)に示す評価関数を最大にするチャネル・アロケーション・ベクトルを取得することで、通信リソースの配分の最適化を実現する。(数式7)の第1項は、各アクセスポイントのスループットの総和に基づいて算出される通信システム1000の全体のスループットであり、(数式7)の第2項は、各アクセスポイントでのチャネル利用の公平性が損なわれたときのペナルティ値である。したがって、(数式7)に示す評価関数を最大にするチャネル・アロケーション・ベクトルに基づいて、通信システム1000の通信リソースを配分することで、通信システム1000の全体のスループットが高く、かつ、各アクセスポイントのチャネル利用の公平性が担保されている状態を実現することができる。
そして、通信システム1000では、チャネル・アロケーション・ベクトルを状態とし、状態遷移確率が(数式4)で規定される、マルコフ連鎖を用いたモデルを設定し、各アクセスポイントのチャネルの利用率の確率Pcを更新するため、上記の最適化された状態(通信システム1000の全体のスループットが高く、かつ、各アクセスポイントのチャネル利用の公平性が担保されている状態)に収束することが保証される。
通信システム1000では、各アクセスポイントが、他のアクセスポイントから(1)CUR値と、(2)使用チャネルの情報とを収集し、収集した当該データを用いて、上記モデルにより規定されるチャネルの利用率の確率Pcを更新する処理を実行することで、上記の最適化された状態(通信システム1000の全体のスループットが高く、かつ、各アクセスポイントのチャネル利用の公平性が担保されている状態)に従う、自装置(自アクセスポイント)の状態(チャネル利用の状態)に、収束させることができる。
すなわち、通信システム1000では、上記のように処理することで、各アクセスポイントでの分散処理により、局所最適化(各アクセスポイントにおいて、スループットとチャネル利用の公平性が担保された状態)を実現しつつ、システム全体の最適化(システム全体のスループットと各アクセスポイントのチャネル利用の公平性が担保された状態)を実現することができる。
したがって、通信システム1000では、通信システム1000のパフォーマンスを分散的に最適化することができる。
なお、通信システム1000における処理結果について、図6を用いて、説明する。説明便宜のため、通信システム1000の各装置の状態が以下の状態であるものとする。通信システム1000において、各アクセスポイント(アクセスポイントAP1~AP4)の通信性能が同じであり、各アクセスポイントの所定の時間あたりのデータ処理量が同じであり、各無線端末(無線端末ST11~ST44)の通信性能が同じであり、各無線端末の所定の時間あたりのデータ処理量が同じであり、各無線端末から担当のアクセスポイントまでの距離が同一である状態に配置されているものとする。通信システム1000での利用可能チャネルは、チャネルCh_1、Ch_2であり、それぞれ、同一帯域幅を有するものとする。
また、時刻t=t0の各アクセスポイント(アクセスポイントAP1~AP4)のチャネル使用状況(チャネル占有率)は、図6の左図に示す状態(非平衡状態)であるものとする。図6の左図において、通信システム1000の全体の各チャネル利用率を示す。図6の左図から分かるように、各アクセスポイントのチャネル利用率にはばらつきがある。
このとき、通信システム1000のアクセスポイントAP1~AP4において、上記処理を実行することで、各アクセスポイントでの各チャネルの利用率が均等になるように、チャネル確率Pcが更新され、十分時間が経過すると、図6の右図に示す状態(平衡状態)に収束する。図6の右図において、通信システム1000の全体の各チャネル利用率(平衡状態)を示す。図6の右図から分かるように、各アクセスポイントのチャネル利用率は、均等になっている。
このように、通信システム1000では、システム全体のスループットを大きくするとともに、チャネル利用率が公平である状態に収束することが保証されるので、各アクセスポイントでの分散処理により、局所最適化(各アクセスポイントにおいて、スループットとチャネル利用の公平性が担保された状態)を実現しつつ、システム全体の最適化(システム全体のスループットと各アクセスポイントのチャネル利用の公平性が担保された状態)を実現することができる。
したがって、通信システム1000では、通信システム1000のパフォーマンスを分散的に最適化することができる。
[他の実施形態]
上記実施形態では、通信システム1000のネットワーク構成が図2に示されるものについて説明したが、通信システム1000のネットワーク構成は、図2に示されるものに限定されない。また、アクセスポイントの数や配置、無線端末の数や配置も、上記で示したものに限定されることはなく、通信システム1000に、他の数のアクセスポイント、無線端末が含まれるものであってもよい。また、アクセスポイントの配置、無線端末の配置も任意であってよい。
また、通信システム1000のネットワークトポロジーも、上記実施形態で示したものに限定されることはなく、他のトポロジーであってもよい。
上記実施形態では、チャネルの利用率に基づいて、通信システム1000のパフォーマンスを最適化する場合について、説明したが、これに限定されることはなく、通信性能を評価することができる他の物理量(例えば、電波強度等)に基づいて、上記手法を適用し、通信システム1000のパフォーマンスを最適化するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、1つの周波数バンドについて、通信システム1000のパフォーマンスを最適化する場合について、説明したが、これに限定されることはなく、通信システム1000において、複数の周波数バンドを用い、各周波数バンドに複数のチャネルが設定されるものであってもよい。
また、上記実施形態で説明した通信システム、アクセスポイントにおいて、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
また、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
例えば、上記実施形態の各機能部を、ソフトウェアにより実現する場合、図7に示したハードウェア構成(例えば、CPU、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
また、上記実施形態の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、当該ソフトウェアは、図7に示したハードウェア構成を有する単独のコンピュータを用いて実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて分散処理により実現されるものであってもよい。
また、上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
1000 通信システム
AP1~AP4 アクセスポイント
ST11~ST44 無線端末
1 通信処理部
2 通信リソース調整部
21 チャネル確率処理部
22 公平性評価処理部
23 チャネル選択処理部

Claims (8)

  1. 複数の端末と、それぞれ、前記複数の端末の一部または全部と通信することが可能な複数のアクセスポイントと、を備え、複数の周波数バンドごとに複数のチャネルを利用してデータ通信を行う通信システムであって、
    各アクセスポイントは、
    自装置である自アクセスポイントにおいて、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するチャネル利用状況データ取得ステップと、
    前記チャネル利用状況データに基づいて、チャネルの利用可能リソースが大きい程、当該チャネルが選択される確率であるチャネル確率が高くなるように、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの前記チャネル確率を更新する更新ステップと、
    他のアクセスポイントから、各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータを受信する受信ステップと、
    アクセスポイントごとの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示す値の公平性を示す公平性評価値を取得する公平性評価値取得ステップと、
    前記公平性評価値に基づいて、チャネルを選択する処理であるチャネル選択処理の周期であるチャネル選択用周期、および、前記自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するための周期であるチャネル利用状況データ取得周期の少なくとも一方を調整するチャネル選択期間調整ステップと、
    前記チャネル選択用周期により決定されるタイミングで、前記チャネル確率に基づいて、データ通信を行うチャネルを選択するチャネル選択処理を実行するチャネル選択ステップと、
    を実行する、
    通信システム。
  2. 前記チャネル確率は、ギブズサンプリングが適用可能なギブズ分布に従う確率分布により算出される、
    請求項1に記載の通信システム。
  3. 前記チャネル利用状況データは、所定の期間におけるチャネルの占有率を示すCUR値により導出されるデータである、
    請求項1または2に記載の通信システム。
  4. 前記アクセスポイントをAPとし、周波数バンドをiとし、周波数バンドiに含まれるチャネルをcとし、チャネルcのシェア率をζcとし、アクセスポイントAPのチャネルcのCUR値をρ(AP,c)とすると、
    前記公平性評価値は、

    Figure 0007149583000011
    により算出される、
    請求項3に記載の通信システム。
  5. 前記アクセスポイントは、
    自アクセスポイントにおける各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータをブロードキャストにより外部に送信する、
    請求項1から4のいずれかに記載の通信システム。
  6. 複数の端末と、それぞれ、前記複数の端末の一部または全部と通信することが可能な複数のアクセスポイントと、を備え、複数の周波数バンドごとに複数のチャネルを利用してデータ通信を行う通信システムに用いられるアクセスポイントであって、
    制御部と、
    所定の処理を実行するために、命令及びデータの少なくとも一方を保持するメモリと、
    を備え、
    自装置である自アクセスポイントにおいて、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するチャネル利用状況データ取得ステップと、
    前記チャネル利用状況データに基づいて、チャネルの利用可能リソースが大きい程、当該チャネルが選択される確率であるチャネル確率が高くなるように、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの前記チャネル確率を更新する更新ステップと、
    他のアクセスポイントから、各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータを受信する受信ステップと、
    アクセスポイントごとの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示す値の公平性を示す公平性評価値を取得する公平性評価値取得ステップと、
    前記公平性評価値に基づいて、チャネルを選択する処理であるチャネル選択処理の周期であるチャネル選択用周期、および、前記自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するための周期であるチャネル利用状況データ取得周期の少なくとも一方を調整するチャネル選択期間調整ステップと、
    前記チャネル選択用周期により決定されるタイミングで、前記チャネル確率に基づいて、データ通信を行うチャネルを選択するチャネル選択処理を実行するチャネル選択ステップと、
    を実行する、
    アクセスポイント。
  7. 複数の端末と、それぞれ、前記複数の端末の一部または全部と通信することが可能な複数のアクセスポイントと、を備え、複数の周波数バンドごとに複数のチャネルを利用してデータ通信を行う通信システムに用いられる通信方法であって、
    各アクセスポイントにより、自装置である自アクセスポイントにおいて、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するチャネル利用状況データ取得ステップと、
    各アクセスポイントにより、前記チャネル利用状況データに基づいて、チャネルの利用可能リソースが大きい程、当該チャネルが選択される確率であるチャネル確率が高くなるように、自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの前記チャネル確率を更新する更新ステップと、
    他のアクセスポイントから、各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータを受信する受信ステップと、
    各アクセスポイントにより、アクセスポイントごとの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示す値の公平性を示す公平性評価値を取得する公平性評価値取得ステップと、
    各アクセスポイントにより、前記公平性評価値に基づいて、チャネルを選択する処理であるチャネル選択処理の周期であるチャネル選択用周期、および、前記自アクセスポイントの各周波数バンドの各チャネルの利用状況を示すデータであるチャネル利用状況データを取得するための周期であるチャネル利用状況データ取得周期の少なくとも一方を調整するチャネル選択期間調整ステップと、
    各アクセスポイントにより、前記チャネル選択用周期により決定されるタイミングで、前記チャネル確率に基づいて、データ通信を行うチャネルを選択するチャネル選択処理を実行するチャネル選択ステップと、
    を備える通信方法。
  8. 請求項7に記載の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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