JP7169183B2 - 放射線検出用プラスチックシンチレータによる放射性物質の放射能測定方法 - Google Patents

放射線検出用プラスチックシンチレータによる放射性物質の放射能測定方法 Download PDF

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Description

本発明はライフサイエンス分野をはじめとする幅広い科学の分野で使用される、放射線測定のための放射線検出用プラスチックシンチレータを用いた放射線検出方法に関する。
一般にα線、β線等の荷電粒子である放射線は、物質を通過する際にその物質中の原子又は分子を電離、励起又は解離し、エネルギーを失う。物質に伝達されたエネルギーはさらに熱運動エネルギーもしくは電磁波として放出される。この物質が蛍光を発する物質等である場合、そのエネルギーの多くの部分が可視領域の光として放出され、この現象をシンチレーション、放出される光をシンチレーション光という。
さらにγ線や中性子線等のような電荷を有しない放射線の場合も、前記放射線が物質と相互作用する際に放出される二次的な荷電粒子により同様の現象が起こるため、このシンチレーション現象を利用して放射線の検出が行われている。
シンチレーション光の測定には光電子増倍管が使用される。光電子増倍管は、光電効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管を基本に、電流増幅(=電子増倍)機能を付加した高感度光検出器である。
シンチレーション現象を起こす物質を一般にシンチレータと総称し、放射線測定分野においてはNaI(Tl)に代表される無機結晶を含む無機シンチレータ、アントラセンのような有機結晶、ターフェニル等の放射線が入射すると蛍光を発する蛍光体をキシレン等の有機溶媒に溶かした液体シンチレータ、また蛍光体をスチロール系の透明樹脂に溶解分散させたプラスチックシンチレータを含む有機シンチレータが使用されている。
特にプラスチックシンチレータはその取り扱いの容易さ、および任意かつ大型の形状に成形することが可能である等の利点により、半世紀に渡り非常に多く利用されてきた。
代表的なプラスチックシンチレータは、スチロール系母体樹脂に、有機シンチレータを添加したものである。有機シンチレータには第1蛍光体と第2蛍光体とがあり、通常は第1蛍光体と第2蛍光体を組み合わせることを推奨している。
第1蛍光体は、p-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)等が挙げられ、
第2蛍光体は、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、
1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)等が挙げられる。
技術分野における長年の常識として、プラスチックシンチレータには蛍光体の添加が必要とされている。その主な理由は、放射線の照射により励起されたスチロール系樹脂が放出する電磁波の波長が150~300nmと短いものが報告されていたために、1)測定に使用される光電子増倍管の測定に適した波長範囲、300~400nmに合わない、2)母体樹脂による自己吸収が起こり検出部まで到達する光の量が十分でないことが挙げられる。この点、蛍光体を添加することにより、母体樹脂が出す電磁波のエネルギーを第1蛍光体により~350nm、第2蛍光体により~420nmの光に変換することができ、測定に適し、透過率が高く自己吸収されにくい波長のシンチレーション光を得ることができるとされている。
一般にはプラスチックシンチレータのスチロール系母体樹脂にはポリビニルトルエン製のもの(サンゴバン社製BC-400)やポリスチレン製のもの(東京インキ株式会社製ルミネード)が使われている。
プラスチックシンチレータを利用した放射性物質の測定方法として、特許文献1では、バイアル内に放射性物質を含む液体と樹脂からなるペレット状の固体シンチレータに入れて密閉し、当該液体をバイアル内で蒸散させて放射線測定する方法を開示している。
また特許文献2では、シート形状プラスチックシンチレータの上にトリチウム水溶液1または炭素14水溶液1を5μL滴下し、その後シート形状プラスチックシンチレータを4時間放置し、水溶液の水分を蒸発・乾燥させ、蒸発を確認後、シート形状プラスチックシンチレータの上からもう1枚のシート形状プラスチックシンチレータを載置し、サンドイッチ状にしたものをバイアル内に入れて放射線測定を行う方法が開示されている。しかし、特許文献1及び2の方法は、滴下する試料水量が少ないため、測定に供する試料水中の放射性物質濃度を濃くする必要があった。
一方、放射性物質の正確な量を定量する方法としては、試料を含む大量の水を蒸発させたりなどして減容・濃縮して放射線測定器にかける方法が行われている。しかしこの方法では放射性物質を含む大量の水を減容・濃縮するのに多大な時間と手間がかかり、また再現性が難しかった。
特開2016-024133号公報 特開2018-131476号公報
従来の大量の試料を含む水を減容して濃縮して行う放射線定量測定法のような多大な手間と時間を必要とせず、放射性物質濃度が低い試料でも正確な測定が可能なプラスチック製シンチレータを用いた放射線測定方法見いだすことである。
本発明者は、放射線測定用のバイアル内にプラスチックシンチレータのプレートを入れ、当該バイアル内を試料水で満たして一定期間静置後、当該バイアル内を試料水で満たしたまま放射能測定器を用いて放射能測定する、もしくは当該バイアル内のプラスチックシンチレータプレートを残したまま当該バイアル内の試料水のみを捨てプラスチックシンチレータが入ったバイアルを用いて放射能測定することで、前記試料内の放射性物質濃度が低い試料でも正確な測定が可能であることを見いだした。
請求項1記載の発明は、
低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法であって、
バイアル内にプラスチックシンチレータプレートを入れるプレート投入工程と、
当該プラスチックシンチレータプレートの入ったバイアルにプラスチックシンチレータプレートが浸るように試料水を注ぐ注ぎ工程と、
当該試料水に当該プラスチックシンチレータプレートを浸したままでバイアルを一定期間静置する浸し工程と、
当該試料水をバイアルより排出して当該バイアルの中にプラスチックシンチレータプレートを残す排水工程と、
当該試料水が排出された当該プラスチックシンチレータのプレートの入ったバイアルを放射線測定器に入れて放射能を測定する放射能測定工程、とからなる低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法である。
請求項2記載の発明は、
前記低原子番号核種が、原子番号がリンより小さい低原子番号核種である請求項1記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法である。
試料水にプラスチックシンチレータのプレートを一定期間浸しておくと、プラスチックシンチレータのプレートの表面に吸着される放射性物質の量が大きくなり、放射線測定器で検出できる放射能が多くなり、放射性物質の放射能の定量がしやすくなる。プラスチックシンチレータのプレートを試料水に一定期間浸した後で試料水をバイアルより排出してから放射線測定器で放射能を測定することで、エネルギーが低い放射線であっても水に吸収される放射線を極力減らすことができ、放射性物質の放射能測定がしやすくなる。
請求項記載の発明は、
前記バイアル入れるプラスチックシンチレータプレートが2枚以上30枚以下であるである請求項記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法である。
放射線測定用のバイアルになるべく多くの枚数のプラスチックシンチレータのプレートを入れると、見かけ上のプラスチックシンチレータのプレートの表面積が大きくなり、放射線測定器で検出できる放射能が多くなり、放射性物質の放射能の定量がしやすくなる。具体的には、バイアルに入れるプラスチックシンチレータのプレートの数は2枚以上が好適である。プレートの数は多ければ多いほど良いが、30枚を越えるとプレート間のクリアランスが小さくなり、見かけの表面積が小さくなり、放射能の定量測定には不効率となる。
請求項記載の発明は、
前記一定期間が1日間以上10日間以下である請求項に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法である。
試料水にプラスチックシンチレータのプレートを浸しておく期間は、1日間以上10日間以下が好適である。プラスチックシンチレータのプレートを少なくとも1日間浸さないと放射性物質が十分プラスチックシンチレータのプレートの表面に付着せず、放射性物質の放射能の定量に十分な吸着が得られない。一方で、10日間以上浸しても測定値に大きな変化がないため、10日間以上浸す意味があまりない。
請求項記載の発明は、
前記バイアルがガラス製バイアルまたはプラスチック製バイアルである請求項に記載の放射性物質の低原子番号核種の放射能測定方法である。
本発明に用いられるバイアルは、ガラス製バイアルもしくはプラスチック製バイアルが好適である。ガラス製バイアルの場合は、カリウムを多く含まない低カリウムガラス製のバイアルが好適である。
請求項記載の発明は、
前記バイアルの容量が5mL以上25mL以下であり、
前記プラスチックシンチレータプレートが短辺5mm以上20mm以下、長辺10mm以上60mm以下、厚み0.1mm以上1mm以下の直方体の形状である請求項に記載の放射性物質の低原子番号核種の放射能測定方法である。
バイアルのサイズは、15mL以上25mL以下のものが放射線測定器にちょうどよいサイズである。またこのようなサイズのバイアルに好適なプラスチックシンチレータプレートのサイズは、短辺8mm以上20mm以下、長辺40mm以上60mm以下、厚み0.1mm以上1mm以下の直方体の形状のものであり、このサイズで放射性物質の放射線測定を行うと、最適な放射能測定ができる。
請求項記載の発明は、
前記プラスチックシンチレータプレートが、ベンゼン環を含む高分子化合物である請求項に記載の放射性物質の低原子番号核種の放射能測定方法である。
請求項記載の発明は、
前記プラスチックシンチレータプレートが、ポリビニルトルエン製プレート、ポリスチレン製プレート、アクリルスチレン製プレート、ポリスチレンテレフタレート製プレートのいずれかである請求項に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法である。
請求項記載の発明は、
前記ポリスチレン製プレートが、ポリスチレン樹脂と、有機シンチレータと、スチレンを含んだエラストマーからなる軟質スチレン樹脂とを含むプラスチックシンチレータプレートである請求項に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法である。
請求項10記載の発明は、
前記有機シンチレータが、
p-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)から選ばれる1つまたは複数の蛍光体である請求項に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法である。
プラスチックシンチレータには有機シンチレータ(蛍光体)の添加が必要である。それは放射線の照射により励起されたポリスチレン樹脂が放出する電磁波の波長が150~300nmと短く、測定に使用される光電子増倍管の測定に適した波長範囲の300~400nに変換する必要があるためである。また有機シンチレータ(蛍光体)には第1蛍光体と第2蛍光体の2種類あり、ポリスチレン樹脂が出す電磁波のエネルギーを第1蛍光体により~350nmの光に変換し、さらに第2蛍光体により~420nmの光に変換して、光電子倍増管にて測定される。このため一般的に第1蛍光体と第2蛍光体を組み合わせて使用される。
第1蛍光体としては、p-テルフェニル(P-TP/)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)等が挙げられ、第2蛍光体としては、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)等が挙げられる。
当該発明に利用可能な有機シンチレータは、
p-テルフェニル(P-TP/CAS番号:92-94-4)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO/CAS番号:92-71-7)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD/CAS番号:15082-28-7)、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP/CAS番号:1806-34-4)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP/CAS番号:3073-87-8)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB/CAS番号:13280-61-0)
から選ばれる1つまたは複数の蛍光体であり、通常はこの群より2種類の蛍光体を選び出し組み合わせて使用される。とりわけ、有機シンチレータの第1蛍光体としてp-テルフェニル(P-TP)または2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)と、第2蛍光体として1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)を組み合わせて使用することが好適である。
請求項11記載の発明は、
前記軟質スチレン樹脂が、
SB(スチレン-ブタジエン)共重合体、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック)共重合体、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン)共重合体、MABS(メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)共重合体、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム)共重合体、AES(アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン)共重合体、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、共重合体、AS(アクリロニトリル-スチレン)共重合体、MAS(メチルメタクリレート-アクリルゴム-スチレン)共重合体、メチルメタクリレート-アクリル-ブタジエンゴム-スチレン共重合体から選ばれる少なくとも1つの軟質スチレン樹脂である請求項10に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法である。
当該軟質スチレン樹脂はベンゼン環を含むエラストマーであり、とりわけポリスチレンとの相溶性がいいものがよい。本発明に利用可能な軟質スチレン樹脂としては、SB(スチレン-ブタジエン)共重合体、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック)共重合体、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン)共重合体、MABS(メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)共重合体、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム)共重合体、AES(アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン)共重合体、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、共重合体、AS(アクリロニトリル-スチレン)共重合体、MAS(メチルメタクリレート-アクリルゴム-スチレン)共重合体、メチルメタクリレート-アクリル-ブタジエンゴム-スチレン共重合体が挙げられ、とりわけ好適なものはSB(スチレン-ブタジエン)共重合体である。
低原子番号核種の放射性物質の発する低エネルギー放射線を測定する場合には、低エネルギー放射線の水による減衰効果があるために、バイアルより試料水を排水してから放射線測定器にて放射能測定を行う方がよい。試料水を排水してから放射能測定を行うほうがよい低原子番号核種としては、水素(重水素、三重水素)、炭素などが挙げられる。原子番号がリン以上の原子番号核種は試料水を排水せずに放射能測定を行っても良い。
本発明により、本発明により、放射線測定用のバイアル内にプラスチックシンチレータプレートを入れ、当該バイアル内を試料水で満たして一定期間静置後、当該バイアル内を試料水で満たしたまま放射能測定器を用いて放射能測定する、もしくは当該バイアル内のプラスチックシンチレータプレートを残したまま当該バイアル内の試料水のみを捨てプラスチックシンチレータが入ったバイアルを用いて放射能測定することで、前記試料水内の放射性物質の量を定性・定量できる。
本発明の放射能測定方法(試料水を排出する)の手順を示した図である。 本発明の放射線測定方法(試料水を残す)の手順を示した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
本発明は、従来の大量の試料を含む水を減容して濃縮して行う放射線定量測定法のような多大な手間と時間を必要とせず、プラスチック製シンチレータを用いた放射線測定方法を用いて放射能の定性・定量測定を行うことである。
本発明者は、放射線測定用のバイアル内にプラスチックシンチレータプレートを入れ、当該バイアル内を試料水で満たして一定期間静置後、当該バイアル内を試料水で満たしたまま放射能測定器を用いて放射能測定する、もしくは当該バイアル内のプラスチックシンチレータプレートを残したまま当該バイアル内の試料水のみを捨てプラスチックシンチレータが入ったバイアルを用いて放射能測定することで、前記試料水内の放射性物質の量を定性・定量出来ることを見いだした。
すなわち本発明は 、
バイアル内にプラスチックシンチレータプレートを入れるプレート投入工程と、
当該プラスチックシンチレータプレートの入ったバイアルにプラスチックシンチレータプレートが浸るように試料水を注ぐ注ぎ工程と、
当該試料水に当該プラスチックシンチレータプレートを浸したままでバイアルを一定期間静置する浸し工程と、
当該プラスチックシンチレータのプレートの入ったバイアルを放射線測定器に入れて放射能を測定する放射能測定工程、とからなる放射性物質の放射能測定方法である。
本発明に用いるバイアルは、放射線測定に用いられる一般的なものを用いるのが良い。放射線測定用のバイアルにはガラス製バイアルとプラスチック製バイアル(主に不透明なプラスチック製バイアル)があるがどちらでも利用可能である。具体的にはガラス製バイアルとしては、カリウムを多く含まない低カリウムガラス製のバイアルであり、英国Meridian社製の低カリウム(40K40K)ウルトラクリアガラスシンチレーションバイアルなどが好適で、定性にも定量にも適用可能である。プラスチック製バイアルとしては、使い捨ての米国PerkinElmer社製ポリエチレンバイアル(20mL)が利用可能であるが、定量には向くが定性には向かない。容量としては5mL以上25mL以下程度の瓶がよく、特に液体シンチレーションカウウンター用の7mL瓶(スモールバイアル)や20mL瓶(ラージバイヤル)が使い勝手が良く好適である。
またバイアルに栓をするキャップとしては、ポリエチレン製バイアルキャップ(Meridian社製uGV2-CAP)や、コルク製バイアルキャップ(PerkinElmer社製Glass Vial Caps)などが好適である。
本発明に用いるプラスチックシンチレータのプレートのサイズは、短辺8mm以上20mm以下、長辺40mm以上60mm以下、厚み0.1mm以上1mm以下の直方体の形状のものが好適である。このプレートのサイズであれば、20mLバイアルに入れた場合にちょうどよいサイズで、20mLバイアルに複数枚投入することができ、効率的に放射線測定を行うことができる。
放射線測定用のバイアルになるべく多くの枚数のプラスチックシンチレータのプレートを入れると、見かけ上のプラスチックシンチレータのプレートの表面積が大きくなり、放射線測定器で検出できる放射能が多くなり、放射性物質の放射能の定量がしやすくなる。また試料水にプラスチックシンチレータのプレートを一定期間浸しておくと、プラスチックシンチレータのプレートの表面に吸着される放射性物質の量が大きくなり、放射線測定器で検出できる放射能が多くなり、放射性物質の放射能の定量がしやすくなる。低エネルギーの放射線を放出する物質(原子番号が小さい核種)では、プラスチックシンチレータのプレートを試料水に一定期間浸した後で試料水をバイアルより排出してから放射線測定器で放射能を測定することで水に吸収される放射線を極力減らすことができ、放射性物質の放射能の定量がしやすくなる。
本発明に用いるプラスチックシンチレータのプレートの材質は、ベンゼン環を含む高分子化合物がよい。ベンゼン環を含む高分子化合物のなかでもとりわけポリビニルトルエン製プレート、ポリスチレン製プレート、アクリルスチレン製プレート、ポリスチレンテレフタレート製プレートのいずれかのもの利用可能である。ポリビニルトルエン製プラスチックシンチレータプレートとしては、サンゴバン社製BC-400が挙げられる。ポリスチレン製プラスチックシンチレータプレートとしては、東京インキ株式会社製「ルミネード」(東京インキ株式会社登録商標)が挙げられる。アクリルスチレン製プラスチックシンチレータプレートとしては、エルジェン社製のものが挙げられる。ポリスチレンテレフタレート製プラスチックシンチレータプレートとしては、帝人株式会社製のものが挙げられる。
本発明に用いるプラスチックシンチレータは、有機シンチレータをポリスチレン(PS)またはポリビニルトルエン(PVT)等のスチロール系の母体樹脂に添加したものである。母体樹脂に添加する有機シンチレータには第1蛍光体と第2蛍光体とがあり、通常は第1蛍光体と第2蛍光体を組み合わせて使用される。
第1蛍光体は、p-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)等が挙げられ、
第2蛍光体は、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、
1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)等が挙げられる。
この中でも特に好適なのは、
第1蛍光体としてのp-テルフェニル(P-TP)または2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)と、
第2蛍光体としての1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)との組み合わせである。
前記有機シンチレータとは放射線のエネルギーを吸収して励起あるいは電離が起こる蛍光体を指す。この中でも有機シンチレータは、1947年にKallmanがナフタレン結晶のシンチレータとしての有用性を見いだして以来、アントラセン、スチルベンなどの結晶シンチレータが次々と発見された。現在では多くの物質が有機シンチレータとして知られている。本発明に利用するプラスチックシンチレータに添加する有機シンチレータとしては、p-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)などであり、本発明に利用するプラスチックシンチレータにはこれらの物質を適宜1種類または複数種類組み合わせて添加されている。
プラスチックシンチレータは蛍光体(有機シンチレータ)の添加が必要とされている。その主な理由は、放射線の照射により励起された母体樹脂が放出する電磁波の波長が150~300nmと短いものが報告されていたために、1)測定に使用される光電子増倍管の測定に適した波長範囲、300~400nmに合わない、2)母体樹脂による自己吸収が起こり検出部まで到達する光の量が十分でないことが挙げられる。この点、蛍光体を添加することにより、母体樹脂が出す電磁波のエネルギーを第1蛍光体により~350nm、第2蛍光体により~420nmの光に変換することができ、測定に適し、透過率が高く自己吸収されにくい波長のシンチレーション光を得ることができるとされている。
本発明に用いるポリスチレン(PS)をベース樹脂にしたプラスチックシンチレータは、全量に対してポリスチレン樹脂は90重量%以上、有機シンチレータは1重量%以下、軟質スチレン系樹脂は10重量%以下の組成でつくられた樹脂組成物よりなる。なお、前記軟質スチレン系樹脂とは、スチレンを含んだエラストマーのことである。
次に本発明の放射能測定方法について図1及び図2を用いて説明する。
図1及び図2の方法の相違点は、バイアルを放射線測定装置に入れる前の段階に於いて、試料水の排水工程を有するか否かの差異であり、図1は排水工程を有する方法であり、図2は排水工程を有しない方法である。
図1の排水工程を有する放射能測定方法は、低原子番号核種の放射性物質の測定に効果的である。すなわち低原子番号核種の放射性物質の発する低エネルギー放射線を測定する場合には、水による減衰効果があるために、バイアルより試料水を排水してから放射線測定器にて放射能測定を行う方がよい。試料水を排水してから放射能測定を行うほうがよい低原子番号核種としては、水素(重水素、三重水素)、炭素などが挙げられる。
一方、図2の排水工程を有しない放射能測定方法は、原子番号がリン(P)以上の原子番号核種に効果的な方法である。
以下、図1を用いて排水工程を有する放射能測定方法(「本発明の放射線測定方法<A>(試料水を排出する方法)」)を説明する。
第1の工程すなわち「プレート投入工程」(図1の<1>)は、バイアル内に重ね合わせた複数枚のプラスチックシンチレータプレートを入れる工程である。前記の放射線測定に一般的に用いられる空のバイアル2に、前記プラスチックシンチレータプレート3を複数枚投入する。プレートの長辺・短辺・高さのサイズは、なるべくバイアル2にフィットするサイズがよく、また厚みはバイアルに複数枚入るように調整されたものがよい。プラスチックシンチレータプレート3を複数枚入れるのは、見かけ上のプラスチックシンチレータプレート3の表面積が大きくし、放射線測定器で検出できる放射能が多くし、放射性物質の放射能の定量をしやすくするためである。バイアル2に入れるプラスチックシンチレータプレート3は2枚以上15枚以下がよく、特に12枚程度が好適である。また各プラスチックシンチレータプレート3の間に一定の隙間を設けた方がよく、これはバイアル2内を試料水で満たした際に、各プラスチックシンチレータプレート3の間に試料水がうまく入り込むようにするためである。各プラスチックシンチレータプレート3の間の隙間(クリアランス)は0.1mm~1mm程度が好適である。バイアル2に入れる各プラスチックシンチレータプレート3の間の隙間は、少なくとも0.1mm以上ないと、プラスチックシンチレータプレート3の見かけの表面積が小さくなり、放射能の定量測定には不効率となる。1mm以上あると、プラスチックシンチレータプレート3の表面に吸着した放射性物質の保持効果が下がり、定量には向かない。
第2の工程すなわち「注ぎ工程」(図1の<2>)は、複数枚のプラスチックシンチレータプレート3の入ったバイアル2にプラスチックシンチレータプレート3が浸るように試料水1を注ぎ、バイアルキャップ4で蓋をする工程である。第1工程にてバイアル2に複数のプラスチックシンチレータプレート3を入れた後にプラスチックシンチレータプレート3が水没するように試料水1をバイアル2に注ぎ込む。これはプラスチックシンチレータプレート3全体が試料水1に接するようにするためであり、試料水1とプラスチックシンチレータプレート3が接することで試料水中の放射性物質がプラスチックシンチレータプレート3表面に付着して放射線測定をする際により感度が上がるからである。バイアル2に試料水1が注ぎ込まれた後、バイアルキャップ4で蓋をして試料水1がこぼれたり蒸発したりしないようにする。
第3の工程すなわち「浸し工程」(図1の<3>)は、試料水1にプラスチックシンチレータプレート3を浸したままでバイアル2を一定期間静置する工程である。バイアル2内にて試料水1に浸したままプラスチックシンチレータプレート3を一定期間静置しておくと、プラスチックシンチレータプレート3の表面に試料水中の放射性物質が付着する放射性物質の量が多くなり、放射線測定の際に感度が上がり定量しやすくなり好適である。前記の一定期間とはすくなくとも1日間以上長くても12日間以下がよい。少なくとも1日以上静置しないと放射線測定の際に十分な感度の量を見込めず、一方、10日間より長く静置してもそれ以上の感度上昇が見込めずあまり静置の意味がなくなる。また10日間より長く静置すると、試料水によっては不純物が発生するなどのマイナスの効果が起きる可能性が高まる。
第4の工程すなわち「排水工程」(図1の<4>)は、前記の試料水1で満たされたプラスチックシンチレータプレート3を浸したバイアル2を一定期間静置後に、試料水1のみをバイアル2より排出してバイアル2中にプラスチックシンチレータプレート3を残す工程である。プラスチックシンチレータプレート3を試料水1に一定期間浸した後で試料水をバイアル2より排出してから放射線測定器で放射能を測定することで、水に吸収される放射線を極力減らすことができ、放射性物質の放射能の定量がしやすくなる。
第5の工程すなわち「放射能測定工程」(図1の<5>)は、試料水1のみを排出後のプラスチックシンチレータプレート3の入ったバイアル2にバイアルキャップ4で蓋をして放射線測定器に入れて放射能を測定する工程である。試料水1のみを排出後のプラスチックシンチレータプレート3の入ったバイアル4の放射能を測定する装置としては、どのようなシンチレーションカウンタ装置でも利用可能であるが、特に液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)が好適である。
以下、図2を用いて排水工程を有する放射能測定方法(「本発明の放射線測定方法<B>(試料水を排出しない方法)」)を説明する。
第1の工程すなわち「プレート投入工程」(図2の<1>)は、バイアル内に重ね合わせた複数枚のプラスチックシンチレータプレートを入れる工程である。前記の放射線測定に一般的に用いられる空のバイアル2に、前記プラスチックシンチレータプレート3を複数枚投入する。プレートの長辺・短辺・高さのサイズは、なるべくバイアル2にフィットするサイズがよく、また厚みはバイアルに複数枚入るように調整されたものがよい。プラスチックシンチレータプレート3を複数枚入れるのは、見かけ上のプラスチックシンチレータプレート3の表面積が大きくし、放射線測定器で検出できる放射能が多くし、放射性物質の放射能の定量をしやすくするためである。バイアル2に入れるプラスチックシンチレータプレート3は2枚以上15枚以下がよく、特に12枚程度が好適である。また各プラスチックシンチレータプレート3の間に一定の隙間を設けた方がよく、これはバイアル2内を試料水で満たした際に、各プラスチックシンチレータプレート3の間に試料水がうまく入り込むようにするためである。各プラスチックシンチレータプレート3の間の隙間(クリアランス)は0.1mm~1mm程度が好適である。バイアル2に入れる各プラスチックシンチレータプレート3の間の隙間は、少なくとも0.1mm以上ないと、プラスチックシンチレータプレート3の見かけの表面積が小さくなり、放射能の定量測定には不効率となる。1mm以上あると、プラスチックシンチレータプレート3の表面に吸着した放射性物質の保持効果が下がり、定量には向かない。
第2の工程すなわち「注ぎ工程」(図2の<2>)は、複数枚のプラスチックシンチレータプレート3の入ったバイアル2にプラスチックシンチレータプレート3が浸るように試料水1を注ぎ、バイアルキャップ4で蓋をする工程である。第1工程にてバイアル2に複数のプラスチックシンチレータプレート3を入れた後にプラスチックシンチレータプレート3が水没するように試料水1をバイアル2に注ぎ込む。これはプラスチックシンチレータプレート3全体が試料水1に接するようにするためであり、試料水1とプラスチックシンチレータプレート3が接することで試料水中の放射性物質がプラスチックシンチレータプレート3表面に付着して放射線測定をする際により感度が上がるからである。バイアル2に試料水1が注ぎ込まれた後、バイアルキャップ4で蓋をして試料水1がこぼれたり蒸発したりしないようにする。
第3の工程すなわち「浸し工程」(図2の<3>)は、試料水1にプラスチックシンチレータプレート3を浸したままでバイアル2を一定期間静置する工程である。バイアル2内にて試料水1に浸したままプラスチックシンチレータプレート3を一定期間静置しておくと、プラスチックシンチレータプレート3の表面に試料水中の放射性物質が付着する放射性物質の量が多くなり、放射線測定の際に感度が上がり定量しやすくなり好適である。前記の一定期間とはすくなくとも1日間以上長くても12日間以下がよい。少なくとも1日以上静置しないと放射線測定の際に十分な感度の量を見込めず、一方、10日間より長く静置してもそれ以上の感度上昇が見込めずあまり静置の意味がなくなる。また10日間より長く静置すると、試料水によっては不純物が発生するなどのマイナスの効果が起きる可能性が高まる。
第4の工程すなわち「放射能測定工程」(図2の<4>)は、バイアル中にプラスチックシンチレータプレート及び試料水を残したまま放射線測定器に入れて放射能を測定する工程である。放射能を測定する装置としては、どのようなシンチレーションカウンタ装置でも利用可能であるが、特に液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)が好適である。
以下に実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例に用いたプラスチックシンチレータプレートは、東京インキ株式会社製の「ルミネード」(東京インキ株式会社登録商標)を用いた。「ルミネード」(東京インキ株式会社登録商標)の組成は、ポリスチレン樹脂、軟質スチレン系樹脂、有機シンチレータとして2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)と、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)を含むものである。
1)本発明の放射線測定方法<A>(試料水を排出する方法)
本発明の放射線測定は図1に示す以下の第1~第5工程の手順で行った。
第1の工程「プレート投入工程」(図1の<1>)として、複数枚(枚数は表1に示した)の重ね合わせたプラスチックシンチレータプレート(幅13mm、長さ50mm、厚さ0.5mmの板状形状)をガラス製バイアル(20mL瓶(英国Meridian社製の低カリウム(40K40K)ウルトラクリアガラスシンチレーションバイアル))に投入した。
第2の工程「注ぎ工程」(図1の<2>)として、複数枚(枚数は表1に示した)のプラスチックシンチレータプレートの入ったガラス製バイアルにプラスチックシンチレータプレートが浸るように放射線源を含む水溶液(試料水)を注ぎ、バイアルキャップ(ポリエチレン製、Meridian社製uGV2-CAP)で蓋をした。
第3の工程「浸し工程」(図1の<3>)として、放射線源を含む水溶液(試料水)にプラスチックシンチレータプレートを浸したままでガラス製バイアルを一定期間(静置期間は表1に示した)静置した。
第4の工程「排水工程」(図1の<4>)として、前記の放射線源を含む水溶液(試料水)で満たされたプラスチックシンチレータプレートを浸したガラス製バイアルを一定期間静置後に、バイアルキャップを開けて、放射線源を含む水溶液(試料水)のみをガラス製バイアルより排出してガラス製バイアル中にプラスチックシンチレータプレートを残した。
第5の工程「放射能測定工程」(図1の<5>)として、放射線源を含む水溶液(試料水)のみを排出後のプラスチックシンチレータプレートの入ったガラス製バイアルにバイアルキャップで蓋をして液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)に入れて、放射能cpm(計数率、count per minute)を測定した。
2)本発明の放射線測定方法<B>(試料水を排出しない方法)
本発明の放射線測定は図2に示す以下の第1~第4工程の手順で行った。
第1の工程「プレート投入工程」(図2の<1>)として、複数枚(枚数は表1に示した)の重ね合わせたプラスチックシンチレータプレート(幅13mm、長さ50mm、厚さ0.5mmの板状形状)をガラス製バイアル(20mL瓶(英国Meridian社製の低カリウム(40K40K)ウルトラクリアガラスシンチレーションバイアル))に投入した。
第2の工程「注ぎ工程」(図2の<2>)として、複数枚(枚数は表1に示した)のプラスチックシンチレータプレートの入ったガラス製バイアルにプラスチックシンチレータプレートが浸るように放射線源を含む水溶液(試料水)を注ぎ、バイアルキャップ(ポリエチレン製、Meridian社製uGV2-CAP)で蓋をした。
第3の工程「浸し工程」(図2の<3>)として、放射線源を含む水溶液(試料水)にプラスチックシンチレータプレートを浸したままでガラス製バイアルを一定期間(静置期間は表1に示した)静置した。
第4の工程「放射能測定工程」(図2の<5>)として、放射線源を含む水溶液(試料水)とプラスチックシンチレータプレートの入ったガラス製バイアルを液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)に入れて、放射能cpm(計数率、count per minute)を測定した。
3)比較例の放射能測定方法(液体シンチレータを使った方法)
比較例の放射線測定方法は、従来からある液体シンチレータを用いた放射能測定である。すなわち、ガラス製バイアル(20mL瓶(英国Meridian社製の低カリウム(40K40K)ウルトラクリアガラスシンチレーションバイアル))に試料水1mL及び液体シンチレーションカクテル剤(米国NATIONAL DIAGNOSTICS社製、「Ecoscint H」)10mLを入れ、バイアルキャップ(ポリエチレン製、Meridian社製uGV2-CAP)で蓋をし、液体シンチレーションカウンタ装置5(LSC)(パーキンエルマー社、製品名:Tri-Carb3110TR)に入れて、放射能cpm(計数率、count per minute)を測定した。
上記操作(「1)本発明の放射線測定方法<A>(試料水を排出する方法)」もしくは「2)本発明の放射線測定方法<B>(試料水を排出しない方法)」もしくは「3)比較例の放射能測定方法(液体シンチレータを使った方法)」)から得られた毎分計数率cpm(count per minute)から、計数効率Eff.(%)を算出するには以下の公式を用いた

Eff.(%) = cpm / dpm × 100

すなわち計数効率Eff.(%)は、調整した試料水から毎分壊変率dpm(disintegrations per minitus)を算出し、毎分計数率cpmで割り、百分率で示したものである。
実施例1~8、比較例1にはトリチウム水(HTO)を用いた実験例を記した。実施例1~8、比較例1に用いたトリチウム水は、Moravek社製H-Water(23GBq/mL)を所定のH濃度になるように蒸留水にて希釈し濃度調整して用いた。トリチウム水(HTO)の実験結果は、表1に示した。
Figure 0007169183000001
実施例9~27、比較例2にはH-メチオニン水溶液を用いた実験例を記した。実施例9~27、比較例2に用いたH-メチオニン水溶液は、ライフサイエンス分野で一般的に用いられるもので、American Radiolabeled Chemicals Inc.社製のH-methionine(1.85MBq/mL)を所定のH濃度になるように蒸留水にて希釈し濃度調整して用いた。H-メチオニン水溶液の実験結果は、表2に示した。
Figure 0007169183000002
実施例28~55には14C-メチオニン水溶液を用いた実験例を記した。実施例28~55に用いた14C-メチオニン水溶液は、ライフサイエンス分野で一般的に用いられるもので、American Radiolabeled Chemicals Inc.社製の14C -methionine(1.85MBq/mL)を所定の14C濃度になるように蒸留水にて希釈し濃度調整して用いた。14C-メチオニン水溶液の実験結果は、表3に示した。
Figure 0007169183000003
実施例56~63、比較例3には32P-リン酸水溶液を用いた実験例を記した。実施例56~63、比較例3に用いた32P-リン酸水溶液は、PerkinElmer社製の132P-HPO水溶液(185MBq/mL)を所定の32P濃度になるように蒸留水にて希釈し濃度調整して用いた。32P-リン酸水溶液の実験結果は、表4に示した。
Figure 0007169183000004
実施例64~78には90Sr水溶液を用いた実験例を記した。実施例64~78に用いた90Sr水溶液は、アイソトープ協会製標準溶液の90Sr水溶液(1.185MBq/10mL)を所定の90Sr濃度になるように、塩化ストロンチウム担体溶液(0.1M塩酸中に塩化ストロンチウム0.05mg/gと塩化イットリウム0.05mg/gを溶かしたもの)にて希釈し濃度調整して用いた。90Sr水溶液の実験結果は、表5に示した。
Figure 0007169183000005
実施例79~83、比較例4~5には226Ra-222Rn水溶液を用いた実験例を記した。実施例79~83、比較例4~5に用いた226Ra-222Rn水溶液は、「Doll stone」(岡山県人形峠周辺で採取した微量の天然ウランを含む岩石及び土砂を原料としたテラコッタ(イタリア語で素焼きのタイル)、人形峠原子力産業株式会社の登録商標)を150mLの蒸留水の3ヶ月間水没した226Ra-222Rn水溶液を用いた。226Ra-222Rn水溶液の実験結果は、表6に示した。
Figure 0007169183000006
本発明により、本発明により、放射線測定用のバイアル内にプラスチックシンチレータプレートを入れ、当該バイアル内を試料水で満たして一定期間静置後、当該バイアル内を試料水で満たしたまま放射能測定器を用いて放射能測定する、もしくは当該バイアル内のプラスチックシンチレータプレートを残したまま当該バイアル内の試料水のみを捨てプラスチックシンチレータが入ったバイアルを用いて放射能測定することで、低線量の放射性物質を含む水の放射能を測定することができる。
1 放射性物質を含む試料水
2 バイアル
3 プラスチックシンチレータプレート
4 バイアルキャップ
5 液体シンチレーションカウンタ装置(LSC)
6 試料水供給用容器

Claims (11)

  1. 低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法であって、
    バイアル内にプラスチックシンチレータプレートを入れるプレート投入工程と、
    当該プラスチックシンチレータプレートの入ったバイアルにプラスチックシンチレータプレートが浸るように試料水を注ぐ注ぎ工程と、
    当該試料水に当該プラスチックシンチレータプレートを浸したままでバイアルを一定期間静置する浸し工程と、
    当該試料水をバイアルより排出して当該バイアルの中にプラスチックシンチレータプレートを残す排水工程と、
    当該試料水が排出された当該プラスチックシンチレータのプレートの入ったバイアルを放射線測定器に入れて放射能を測定する放射能測定工程、とからなる低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法。
  2. 前記低原子番号核種が、原子番号がリンより小さい低原子番号核種である請求項1記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法。
  3. 前記バイアル入れるプラスチックシンチレータプレートが2枚以上30枚以下であるである請求項2記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法。
  4. 前記一定期間が1日間以上10日間以下である請求項3に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法。
  5. 前記バイアルがガラス製バイアルまたはプラスチック製バイアルである請求項4に記載の放射性物質の低原子番号核種の放射能測定方法。
  6. 前記バイアルの容量が5mL以上25mL以下であり、
    前記プラスチックシンチレータプレートが短辺5mm以上20mm以下、長辺10mm以上60mm以下、厚み0.1mm以上1mm以下の直方体の形状である請求項5に記載の放射性物質の低原子番号核種の放射能測定方法。
  7. 前記プラスチックシンチレータプレートが、ベンゼン環を含む高分子化合物である請求項6に記載の放射性物質の低原子番号核種の放射能測定方法。
  8. 前記プラスチックシンチレータプレートが、ポリビニルトルエン製プレート、ポリスチレン製プレート、アクリルスチレン製プレート、ポリスチレンテレフタレート製プレートのいずれかである請求項7に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法。
  9. 前記ポリスチレン製プレートが、ポリスチレン樹脂と、有機シンチレータと、スチレンを含んだエラストマーからなる軟質スチレン樹脂とを含むプラスチックシンチレータプレートである請求項8に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法。
  10. 前記有機シンチレータが、
    p-テルフェニル(P-TP)、2,5-ジフェニルオキサゾール(DPO)、2-(4-tert-ブチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(Bu-PBD)、1,4-ビス[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス[2-(4-メチル-5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン(DMPOPOP)、1,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン(ビス-MSB)から選ばれる1つまたは複数の蛍光体である請求項9に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法。
  11. 前記軟質スチレン樹脂が、
    SB(スチレン-ブタジエン)共重合体、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック)共重合体、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン)共重合体、MABS(メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)共重合体、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム)共重合体、AES(アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン)共重合体、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、共重合体、AS(アクリロニトリル-スチレン)共重合体、MAS(メチルメタクリレート-アクリルゴム-スチレン)共重合体、メチルメタクリレート-アクリル-ブタジエンゴム-スチレン共重合体から選ばれる少なくとも1つの軟質スチレン樹脂である請求項10に記載の低原子番号核種の放射性物質の放射能測定方法。
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