実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。ここで、図面をわかりやすくするために平面図でもハッチングを付す場合がある。
<表示装置の一例>
図1は、液晶表示装置としての大画面テレビジョンを示す外観図である。図1において、液晶表示装置としての大画面テレビジョン100は、本実施の形態1における表示装置の一例となる。一方、図2は、液晶表示装置としてのモバイル通信機器を示す外観図である。図2においては、モバイル通信機器の一例として、スマートフォン200が示されており、このスマートフォンも本実施の形態1における表示装置の他の一例となる。
このように本実施の形態1における表示装置としては、大きなサイズの大画面テレビジョン100から小さなサイズのスマートフォン200といった幅広いサイズの表示装置が対象となっている。さらに、本実施の形態1における表示装置は、液晶表示装置に限定されるものではなく、例えば、有機EL表示装置も対象となっている。
<表示装置の製造工程>
次に、本実施の形態1における表示装置の製造工程の概要について、液晶表示装置の製造工程を例に挙げて簡単に説明する。
図3は、本実施の形態1における表示装置を製造する製造工程の流れを示すフローチャートである。
まず、TFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板のそれぞれを形成する。具体的には、ガラス基板を用意し、このガラス基板に対して、洗浄技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術およびアッシング技術を繰り返し使用することにより、ガラス基板に薄膜トランジスタを形成する。これにより、ガラス基板の表面に薄膜トランジスタを形成したTFTガラス基板を得ることができる(S101)。
続いて、TFTガラス基板の表面に、例えば、ポリイミド膜からなる配向膜を塗布する(S102)。
その後、配向膜を形成したTFTガラス基板の表面をラビングする(S103)。これにより、所定方向に揃った微細な傷を有する配向膜をTFTガラス基板の表面に形成することができる。その後、TFTガラス基板の表面にシール剤を塗布する(S104)。
一方、他のガラス基板を用意し、このガラス基板に対して、ブラックマトリックスを形成した後、顔料分散法、染色法、電着法あるいは印刷法などを使用することにより、ガラス基板にカラーフィルタを形成する。これにより、ガラス基板の表面にカラーフィルタを形成したカラーフィルタガラス基板を得ることができる(S105)。
続いて、カラーフィルタガラス基板の表面に、例えば、ポリイミド膜からなる配向膜を塗布する(S106)。その後、配向膜を形成したカラーフィルタガラス基板の表面をラビングする(S107)。これにより、所定方向に揃った微細な傷を有する配向膜をカラーフィルタガラス基板の表面に形成することができる。その後、カラーフィルタガラス基板の表面にスペーサを塗布する(S108)。
次に、シール剤を塗布したTFTガラス基板と、スペーサを塗布したカラーフィルタガラス基板とを貼り合せた後(S109)、貼り合せたTFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板に対してスクライブ(分断)する(S110)。これにより、貼り合せたTFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板は、個々の液晶表示装置のサイズに切断されることになる。
その後、シール剤とスペーサによって確保されているTFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板との間の隙間に液晶を注入する(S111)。そして、液晶を注入した隙間(空間)を封止する(S112)。
続いて、貼り合せたTFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板を挟むように一対の偏光板を貼り付ける(S113)。このようにして液晶ディスプレイパネルを製造することができる。そして、製造された液晶ディスプレイパネルに対して、液晶ディスプレイパネルを駆動するための駆動回路を圧着した後(S114)、さらに、液晶ディスプレイパネルにバックライトを着装する(S115)。このようにして、液晶表示装置が完成する(S116)。以上のようにして、本実施の形態1における表示装置を製造できる。
<表示装置の詳細な構成>
続いて、本実施の形態1における表示装置の詳細な構成について説明する。
図4は、本実施の形態1における表示装置の構成例を示す図である。図4に示すように、本実施の形態1における表示装置は、複数の画素10がマトリクス状(行列状)に配置された画素部11を有している。そして、本実施の形態1における表示装置は、画素部11を構成する複数の画素10を駆動する回路として、走査線駆動回路12と信号線駆動回路13とを有している。画素10は、走査線駆動回路12と電気的に接続された配線14(走査線)によって供給される走査信号によって、行ごとに選択状態か非選択状態かが決定される。また、走査信号によって選択されている画素10は、信号線駆動回路13と電気的に接続された配線15(信号線)によって、画像信号(映像信号)が供給される。
ここで、図4においては、複数の画素がマトリクス状に配置されているストライプ配置の例を示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の画素10に対して、デルタ配置やベイヤ配置を採用することもできる。
さらに、画素部11における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式などを使用することができる。カラー表示する際に画素10で制御する色要素としては、RGB(赤緑青)の三色に限定されるものではなく、例えば、RGBW(赤緑青白)や、RGBにイエロー、シアン、マゼンダなどを一色以上追加する構成も可能である。このとき、色要素のドット毎に表示領域のサイズ(大きさ)が異なっていてもよい。なお、本実施の形態1における表示装置は、カラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置にも適用することができる。
次に、図5は、図4に示す画素の構成例を示す図である。図5に示すように、画素10には、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ16と、表示部として機能する液晶素子17とが設けられている。例えば、液晶素子17は、一対の電極(画素電極と対向電極)の間に液晶材料を挟んだ構造をしている。
薄膜トランジスタ16においては、ゲート電極が配線14(走査線)と電気的に接続されている。一方、ソース電極およびドレイン電極のいずれか一方が、配線15A(信号線)と電気的に接続されているとともに、ソース電極およびドレイン電極の他方が液晶素子17の画素電極と電気的に接続されている。
このように表示装置を構成するパネルは、複数の画素領域(複数の画素)を有し、複数の画素領域のそれぞれには、薄膜トランジスタが形成されている。
<薄膜トランジスタのデバイス構造>
次に、薄膜トランジスタ16のデバイス構造について説明する。
図6は、薄膜トランジスタのデバイス構造を示す断面図である。
図6において、薄膜トランジスタ16は、トップゲート型構造を有している。図6に示すように、薄膜トランジスタ16は、絶縁表面を有する基板20(例えば、ガラス基板)上に形成されたチャネル膜21を有している。チャネル膜21は、多結晶の半導体膜であるポリシリコン膜からなる。そして、チャネル膜21を覆うように基板20上に、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜22が形成されており、このゲート絶縁膜22上に、例えば、金属材料からなるゲート電極23が形成されている。さらに、ゲート絶縁膜22上には、ゲート電極23を覆うように、層間絶縁膜24が形成されており、この層間絶縁膜24上に、例えば、金属材料からなるソース電極25Aおよびドレイン電極25Bが形成されている。ソース電極25Aおよびドレイン電極25Bのそれぞれは、層間絶縁膜24とゲート絶縁膜22に設けられたスルーホールを通じて、チャネル膜21と接している。そして、層間絶縁膜24とソース電極25Aとドレイン電極25Bとを覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなる保護膜26が形成されている。
以上のようにして、薄膜トランジスタ16が形成されている。ポリシリコン膜からなるチャネル膜21は、薄膜トランジスタ16の構成要素である。なお、ここでは、薄膜トランジスタ16がトップゲート構造の薄膜トランジスタから構成される例について説明したが、これに限らず、例えば、他の一例として、薄膜トランジスタ16は、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタから構成することもできる。
<薄膜トランジスタの製造工程>
続いて、薄膜トランジスタの製造工程について説明する。
図7は、薄膜トランジスタの製造工程の流れを示すフローチャートである。
まず、例えば、ガラスからなる基板であるガラス基板上にチャネル膜を形成する(S201)。このチャネル膜は、例えば、ポリシリコン膜から形成することができる。次に、ガラス基板上に、チャネル膜を覆うように、ゲート絶縁膜を形成する(S202)。ゲート絶縁膜は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用することにより形成することができる。続いて、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する(S203)。ゲート電極の材料は、例えば、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウムなどの金属材料やこれらの金属材料を主成分とする合金材料を使用することができる。その後、ゲート絶縁膜上に、ゲート電極を覆うように、層間絶縁膜を形成する(S204)。そして、層間絶縁膜およびゲート絶縁膜にスルーホールを形成した後、ソース電極およびドレイン電極を形成する(S205)。ソース電極およびドレイン電極の材料としては、例えば、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどを使用することができる。次に、層間絶縁膜上に、ソース電極およびドレイン電極を覆うように、保護膜を形成する(S206)。この保護膜は、例えば、酸化シリコン膜から形成することができる。
以上のようにして、薄膜トランジスタを製造することができる。
<<チャネル膜の形成工程>>
ここで、チャネル膜の形成工程の詳細について説明する。
図8は、チャネル膜の形成工程の流れを説明するフローチャートである。
図8に示すように、チャネル膜の形成工程においては、まず、ガラス基板上にアモルファスシリコン膜を形成する(S301)。その後、アモルファスシリコン膜に対してレーザ光を照射して、レーザアニール処理を施す(S302)。これにより、アモルファスシリコン膜は、加熱される。この結果、アモルファスシリコン膜からポリシリコン膜が形成される(S303)。以上のようにして、ポリシリコン膜からなるチャネル膜を形成することができるが、以下では、チャネル膜をアモルファスシリコン膜から構成するのではなく、ポリシリコン膜から構成する有用性について説明する。
チャネル膜は、電子の通り道となる機能を有することから、チャネル膜の特性が薄膜トランジスタの性能を左右することになる。アモルファスシリコンに比べてポリシリコンは、移動度が高い。このため、チャネル膜をポリシリコン膜で構成することより、薄膜トランジスタの性能を高めることができる。このことから、本実施の形態では、チャネル膜をポリシリコン膜から構成している。具体的には、上述したように、アモルファスシリコン膜を形成した後、アモルファスシリコン膜に対してレーザアニール処理を施すことにより、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させている。したがって、チャネル膜をポリシリコン膜から構成するためには、レーザアニール処理(加熱処理)が必要であり、このレーザアニール処理を実施するためには、レーザ処理装置が必要となる。
ここで、レーザ処理装置を使用したレーザアニール処理は、マザーガラスの状態で実施されるが、近年では、製造コストを削減するために、1枚のマザーガラスから取得できるパネルの個数を増加させることが行なわれている。このことから、表示装置の製造工程で使用されるマザーガラスの大型化が進んでいる。このことは、マザーガラスの状態でレーザアニール処理を実施するレーザ処理装置も大型化する必要があることを意味する。
この点に関し、従来技術では、レーザ処理装置の処理室全体を真空状態にして、レーザアニール処理を実施していた。ところが、マザーガラスの大型化に伴うレーザ処理装置の大型化によって、処理室全体を真空状態にする「真空タイプ」のレーザ処理装置では、レーザ処理装置の重量化や生産性の低下(処理室の真空引きに要する時間の増大)を招くことから、代替装置の検討が必要とされており、例えば、図9に示すレーザ処理装置がある。
<レーザ処理装置の基本構成>
図9は、レーザ処理装置の模式的な基本構成を示す図である。
図9において、レーザ処理装置500は、レーザ光発生部501と、光減衰器502と、光学系モジュール503と、密閉筐体504と、処理室505とを備えている。レーザ光発生部501は、レーザ光を出力するレーザ発振器から構成されており、レーザ光発生部501の出力先には、レーザ光の出力を調整するための光減衰器(アッテネータ)502が配置されている。光減衰器502は、レーザ光の透過率を調整することにより、レーザ光の出力を調整する機能を有している。
次に、光減衰器502で出力調整されたレーザ光の進行先には、光学系モジュールが配置されている。この光学系モジュールは、反射ミラー503Aとレンズ(図示せず)などから構成されており、光減衰器502から光学系モジュール503に入力されたレーザ光をラインビーム状のレーザ光に成形する機能を有している。そして、光学系モジュール503の出力部には、レーザ光に対して透光性を有するシールウィンドウ503Bが設けられており、このシールウィンドウ503Bを介して、光学系モジュール503で成形されたレーザ光は、光学系モジュール503から出力される。
続いて、光学系モジュール503から出力されるレーザ光の進行先には、密閉筐体504が設けられている。この密閉筐体504の内部は、密閉空間となっており、この密閉空間をレーザ光が進行するようになっている。そして、密閉筐体504の出力部には、レーザ光に対して透光性を有するシールウィンドウ504Aが設けられている。
そして、密閉筐体504から出力されるレーザ光の進行先には、処理室505が配置されている。この処理室505には、密閉筐体504の出力部に設けられているシールウィンドウ504Aと接続する局所ガスシール部505Aが取り付けられている。この局所ガスシール部505Aには、例えば、窒素ガスに代表される不活性ガスが供給されるようになっている。このとき、図9に示すように、局所ガスシール部505Aの上側は、密閉筐体504に設けられたシールウィンドウ504Aによって封止されている一方、局所ガスシール部505Aの下側には、開口部OPが設けられている、したがって、局所ガスシール部505Aに供給された不活性ガスは、開口部OPを介して局所ガスシール部505Aの下側に排出されることになる。ここで、図9に示すように、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPの下方には、ステージ1が配置されており、このステージ1上には、例えば、ガラスや石英から形成されている基板2が配置される。この基板2の表面(上面)には、アモルファスシリコン膜3Aが形成されており、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPから排出された不活性ガスは、基板2の表面に形成されたアモルファスシリコン膜3Aに吹き付けられるようになっている。
なお、図9に示すように、アモルファスシリコン膜3Aが形成された基板2は、固定されたステージ1上において、浮上しながら搬送される。具体的に、レーザ処理装置500では、ステージ1の表面から吹き出すガスによって、基板2は、ステージ1上を浮上しながら、矢印方向に搬送されるように構成されている。これにより、ステージ1上を浮上しながら、矢印方向に搬送される基板2に対して、レーザ光を照射することができる。
<レーザ処理装置の基本動作>
以上のようにして、レーザ処理装置500が基本構成されており、以下に、レーザ処理装置500の動作について、図9を参照しながら説明する。
図9において、レーザ光発生部501から出力されたレーザ光は、光減衰器502で光出力が調整された後、光学系モジュール503に入力する。光学系モジュール503では、内部に設けられたレンズ系によって、光学系モジュール503に入力したレーザ光が基板2上でラインビーム形状となるように成形される。レーザ光は、例えば、光学系モジュール503の内部に配置されている反射ミラー503Aで反射された後、シールウィンドウ503Bから密閉筐体504に入射する。密閉筐体504に入射したレーザ光は、密閉筐体504の内部空間を進行した後、シールウィンドウ504Aから処理室505に設けられた局所ガスシール部505Aに入射する。そして、局所ガスシール部505Aに入射したレーザ光は、局所ガスシール部505Aに設けられている開口部OPを介して、ステージ1上に配置されている基板2に照射される。詳細には、レーザ光は、基板2の表面に形成されているアモルファスシリコン膜3Aに照射される。このとき、局所ガスシール部505Aには、不活性ガスが供給されており、局所ガスシール部505Aの下部に設けられた開口部OPから不活性ガスが排気される。そして、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPから排出された不活性ガスは、ステージ1上に配置されている基板2に吹き付けられる。詳細には、基板2の表面に形成されているアモルファスシリコン膜3Aに対して、不活性ガスが吹き付けられる。このようにして、レーザ処理装置500では、基板2の表面に形成されているアモルファスシリコン膜3Aに対して、不活性ガスを吹き付けながら、ラインビーム形状に成形されたレーザ光が照射される。すなわち、レーザ処理装置500では、ステージ1を浮上しつつ矢印の方向に基板2を移動させながら、基板2の表面に形成されているアモルファスシリコン膜3Aに対して、不活性ガスを吹き付けつつ、ラインビーム形状に成形されたレーザ光が照射される。この結果、基板2の表面に形成されているアモルファスシリコン膜3Aが局所的に加熱されることになり、これによって、アモルファスシリコン膜3Aのレーザ照射領域をポリシリコン膜に変化させながら、アモルファスシリコン膜3Aにおけるレーザ照射領域を走査することができる。
このようにして、レーザ処理装置500によれば、アモルファスシリコン膜3Aの全体をポリシリコン膜に変化させることができる。
図9に示すレーザ処理装置では、局所ガスシール部505Aを設けて、局所ガスシール部505Aに供給されている不活性ガスを基板2の表面に形成されているアモルファスシリコン膜3Aに局所的に吹き付けながら、アモルファスシリコン膜3Aに局所的にレーザ光を照射している。このようなレーザ処理装置によれば、不活性ガスを吹き付けたアモルファスシリコン膜3Aの領域上の雰囲気が局所的に酸素濃度の低い雰囲気(真空状態に近い雰囲気)となる。すなわち、図9に示すレーザ処理装置によれば、局所ガスシール部505Aを使用することにより、レーザ照射領域の上方の雰囲気だけをその他の領域の雰囲気よりも酸素濃度を低くすることができる。このため、図9に示すレーザ処理装置によれば、「真空タイプ」のレーザ処理装置よりも、レーザ処理装置の軽量化および生産性を向上できる。
<レーザ処理装置の搬送機構>
上述した基本構成を有するレーザ処理装置500において、例えば、図9に示すように、アモルファスシリコン膜3Aが形成された基板2は、ステージ1上を浮上しながら移動する。すなわち、基板2は、ステージ1上を浮上しながら搬送されるが、基板2を所定方向に搬送させるためには、基板2を支持する必要がある。
図10は、レーザ処理装置の搬送機構を説明する図である。
図10に示すように、ステージ1の端部には、搬送機構として機能する支持部600Aと支持部600Bとが設けられており、基板2は、例えば、支持部600Aと支持部600Bのいずれか一方に吸着固定される。そして、基板2は、支持部600Aと支持部600Bのいずれか一方を使用してステージ1上を搬送させられる。例えば、基板2は、支持部600Aに吸着固定される場合には、支持部600Bは使用されず、支持部600Aだけを使用してステージ1上を移動させられる。一方、基板2は、支持部600Bに吸着固定される場合には、支持部600Aは使用されずに、支持部600Bだけを使用してステージ1上を移動させられる。このとき、支持部600Aと支持部600Bとは、ともに基板2を移動させる方向である「-y方向」に移動可能に構成されている。
このようにして、アモルファスシリコン膜3Aが形成された基板2は、例えば、ステージ1の端部に設けられた移動可能な支持部600Aと支持部600Bのいずれか一方によって支持されながら、ステージ1の表面から噴き出るガスによって浮上する。すなわち、アモルファスシリコン膜3Aが形成された基板2は、ステージ1の表面から噴き出るガスによって浮上しながら、ステージ1の端部に設けられた支持部600Aと支持部600Bのいずれか一方によってステージ1上を「-y方向」に沿って移動することになる。このように、ステージ1の端部には、支持部600Aと支持部600Bとが設けられている。
なお、図10においては、レーザ光が照射されるレーザ照射領域LIRが図示されているが、基板2がレーザ照射領域LIRにまで搬送されていない場合には、レーザ照射領域LIRにレーザ光は照射されない。一方、基板2がレーザ照射領域LIRにまで搬送されると、レーザ照射領域LIRにレーザ光が照射されるようになっている。
<改善の検討>
以下では、まず、関連技術におけるレーザ処理装置について説明した後、関連技術に存在する改善の余地について説明する。その後、関連技術に存在する改善の余地に対する工夫を施した本実施の形態1における技術的思想について説明する。
ここで、本明細書でいう「関連技術」は、新規に発明者が見出した課題を有する技術であって、公知である従来技術ではないが、新規な技術的思想の前提技術(未公知技術)を意図して記載された技術である。
図10において、関連技術におけるレーザ処理装置では、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きくなっている。これは、基板2のx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きく、この基板2上でラインビーム形状のレーザ光が照射されるように、レーザ処理装置が構成されているからである。そして、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きくなっていることから、当然、局所ガスシール部505Aのx方向の幅は、ステージ1のx方向の幅よりも大きくなっている。
ところが、関連技術におけるレーザ処理装置では、局所ガスシール部505Aに設けられている開口部OPのx方向の幅がステージ1のx方向の幅よりも大きくなっていることに起因して、基板2に形成されるポリシリコン膜のムラが問題点として顕在化することを本発明者は新規に見出した。以下に、この点について説明する。
図11は、図10の一部を拡大して示す図である。
図11に示すように、局所ガスシール部505Aの内部には、不活性ガスが充填されており、不活性ガスは、局所ガスシール部505Aの底部に設けられた開口部OPからステージ1の表面に吹き付けられている。特に、局所ガスシール部505Aの底部に設けられた開口部OPを通って、レーザ照射領域LRの近傍に不活性ガスが吹き付けられている。
ここで、図11に示すように、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きい。このことから、局所ガスシール部505Aの底部に設けられた開口部OPから噴射される不活性ガスは、ステージ1の表面に向って噴射されるだけでなく、ステージ1の端部からはみ出たはみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bにも噴射される。このとき、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bにおいては、局所ガスシール部505Aの底部に設けられている開口部OPから噴射された不活性ガスが、ステージ1に衝突することなく、ステージ1の下側方向(-z方向)に抜ける。この結果、不活性ガスが抜けるはみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bの近傍の圧力は、不活性ガスが吹き付けられるステージ1の表面近傍の圧力よりも低くなる。このことは、図11に示すように、ステージ1の表面上からはみ出し領域300A(300B)に向う方向(±x方向)に流れる気流が生じることを意味する。そして、これは、図11において、レーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)に圧力差に起因する気流が生じることを意味し、これによって、レーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)における雰囲気の不安定性を招くことを意味する。つまり、図11に示すように、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きいと、平面視において局所ガスシール部505Aとステージ1とが重ならないはみ出し領域300A(300B)が生じる。この結果、不活性ガスが吹き付けられるステージ1の表面と不活性ガスが抜けるはみ出し領域300A(300B)との間に圧力差が生じて、レーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)に圧力差に起因する気流が生じる。このようにして、関連技術におけるレーザ処理装置では、レーザ照射領域LIR近傍の雰囲気の安定性が乱されることになる。このことは、レーザ照射領域LIR近傍の酸素濃度が変動することを意味する。そして、レーザ照射領域LIR近傍の酸素濃度が変動すると、レーザ照射領域LIRを通過する基板上に形成されるポリシリコン膜のムラが問題点として顕在化するのである。特に、レーザ照射領域LIR近傍の酸素濃度が変動すると、レーザ照射領域LIRを通過する基板上に形成されるポリシリコン膜のムラが生じることは既知の事実である。一方、レーザ照射領域LIR近傍の酸素濃度が変動する要因の1つとして、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きいことを突き止めたことは、本発明者の新規な知見によるものである。すなわち、本発明者の新規な知見とは、例えば、図11に示すように、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きいことに起因して、基板上に形成されるポリシリコン膜のムラが生じるというものである。
そこで、本実施の形態では、本発明者が新規に見出した知見に基づいて、関連技術におけるレーザ処理装置に存在する改善の余地に対する工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想について説明することにする。
<実施の形態1における特徴>
図12は、本実施の形態1における特徴を説明する図である。
図12に示すように、本実施の形態1におけるレーザ処理装置は、上面を基板2が移動可能なステージ1と、ステージ1上において基板2を「-y方向」に搬送するための支持部600Aおよび支持部600Bと、レーザ照射領域LIRの上方に位置し、かつ、開口部OPを有する局所ガスシール部505Aとを備える。そして、上述した構成を前提として、図12に示すように、本実施の形態1におけるレーザ処理装置は、ステージ1の周辺に配置され、かつ、局所ガスシール部505Aと平面視において重なるように配置された可動部材700Aおよび可動部材700Bを有している。詳細に言うと、可動部材700Aおよび可動部材700Bは、局所ガスシール部505Aに形成されている開口部OPと平面視において重なるように配置されている。
ここで、本実施の形態における第1特徴点は、平面視において局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPと平面的に重なる位置に可動部材700Aと可動部材700Bとが配置されている点にある。これにより、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きいことに起因して、基板2上に形成されるポリシリコン膜のムラが生じることを抑制できる。
以下では、この理由について説明する。
図13は、図12の一部を拡大して示す図である。
図13において、局所ガスシール部505Aには、例えば、窒素ガスに代表される不活性ガスが外部から供給され続けている。この結果、局所ガスシール部505Aの内部には、不活性ガスが充填されつつも、局所ガスシール部505Aの底面に設けられた開口部OPから不活性ガスが噴射される。例えば、図13では、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPから噴射される不活性ガスが上下方向の矢印で示されている。そして、図13に示すように、開口部OPから噴射される不活性ガスは、ステージ1上に吹き付けられた後、水平方向の矢印で示す方向に拡散する。一方、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPと平面的に重なる位置にレーザ照射領域LIRが存在する。したがって、レーザ照射領域LIR近傍では、上方向から不活性ガスが吹き付けられた後、吹き付けられた不活性ガスがステージ1の表面に衝突して左右方向に拡散することになる。これにより、レーザ照射領域LIR近傍に存在する酸素ガスは、不活性ガスによってレーザ照射領域LIRから掃き出される。このため、レーザ照射領域LIR近傍においては、その他の領域よりも酸素濃度を低くすることができる。このことは、レーザ照射領域LIRを通過する基板に形成されるポリシリコン膜の品質を向上できることを意味する。
ただし、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きくなっている。そして、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅が、ステージ1のx方向の幅よりも大きくなっていることから、当然、局所ガスシール部505Aのx方向の幅は、ステージ1のx方向の幅よりも大きくなっている。このように、局所ガスシール部505Aに設けられている開口部OPのx方向の幅をステージ1のx方向の幅よりも大きくすると、必然的に、例えば、図11に示すように、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bが形成される。
したがって、局所ガスシール部505Aに設けられている開口部OPのx方向の幅がステージ1のx方向の幅よりも大きいという構成に対して、何らの工夫も施さないと、図11に示すように、ステージ1上に不活性ガスが吹き付けられるだけでなく、はみ出し領域300Aとはみ出し領域300Bにも不活性ガスが噴射されることになる。
ところが、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bには、噴射された不活性ガスに対する障壁が存在しない。このことから、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bにおいては、図11に示すように、局所ガスシール部505Aの底部に設けられている開口部OPから噴射された不活性ガスが、ステージ1に衝突することなく、ステージ1の下側方向(-z方向)に抜ける。この結果、不活性ガスが抜けるはみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bの近傍の圧力は、不活性ガスが吹き付けられるステージ1の表面近傍の圧力よりも低くなる。これにより、図11に示すように、ステージ1の表面上からはみ出し領域300Aまたははみ出し領域300Bに向う方向(±x方向)に流れる気流が生じる。このことから、図11において、レーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)に圧力差に起因する気流が生じて、レーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)における雰囲気の不安定性を招くことになる。そして、レーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)における雰囲気の不安定性は、レーザ照射領域LIRの近傍における酸素濃度のばらつきを生じさせる原因となる。そして、レーザ照射領域LIRの近傍における雰囲気の不安定性や雰囲気の不安定性から生じる酸素濃度のばらつきによって、レーザ照射領域LIRを通過する基板上に形成されるポリシリコン膜のムラが生じる。
この点に関し、本実施の形態1におけるレーザ処理装置では、例えば、図13に示すように、平面視において局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPと平面的に重なる位置に可動部材700Aと可動部材700Bとが配置されている。つまり、本実施の形態1におけるレーザ処理装置では、はみ出し領域300Aに可動部材700Aが配置され、かつ、はみ出し領域300Bに可動部材700Bが配置されている。したがって、例えば、はみ出し領域300Aに向って噴射された不活性ガスは、可動部材700Aに衝突して、可動部材700Aの表面に沿うxy平面に拡散する。言い換えれば、はみ出し領域300Aに向って噴射された不活性ガスは、ステージ1の下側方向(-z方向)に抜けることがなくなる。同様に、はみ出し領域300Bに向って噴射された不活性ガスは、可動部材700Bに衝突して、可動部材700Bの表面に沿うxy平面に拡散する。言い換えれば、はみ出し領域300Bに向って噴射された不活性ガスは、ステージ1の下側方向(-z方向)に抜けることがなくなる。このことは、本実施の形態1におけるレーザ処理装置では、たとえ、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bが存在しても、可動部材700Aと可動部材700Bとの存在によって、はみ出し領域300Aとはみ出し領域300Bのいずれの領域の圧力も、不活性ガスが吹き付けられるステージ1の表面近傍の圧力よりも極端に低くならないことを意味する。この結果、図13に示すように、本実施の形態1におけるレーザ処理装置では、ステージ1の表面上からはみ出し領域300Aまたははみ出し領域300Bに向う方向(±x方向)に流れる気流が生じにくくなる。そして、図13に示すように、レーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)に圧力差が生じにくくなることから、この圧力差に起因する気流が生じにくくなる。このことから、本実施の形態1におけるレーザ処理装置では、レーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)における雰囲気の安定性を向上できることになる。x方向における雰囲気の安定性向上は、レーザ照射領域LIRの近傍におけるy方向およびz方向の雰囲気の安定性にも繋がる。このため、レーザ照射領域LIRの近傍における酸素濃度のばらつきを低減させることができる。したがって、本実施の形態1におけるレーザ処理装置では、レーザ照射領域LIRの近傍における雰囲気の安定性向上および酸素濃度のばらつきを低減させることで、レーザ照射領域LIRを通過する基板上に形成されるポリシリコン膜の品質を向上できる。
図14は、図12のA-A線で切断した模式的な断面図である。
図14に示すように、ステージ1の周辺に可動部材700Aと可動部材700Bとが配置されている。これにより、局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPから上下方向の矢印で示すように噴射された不活性ガスは、ステージ1の表面に衝突するとともに、可動部材700Aと可動部材700Bに衝突することがわかる。すなわち、はみ出し領域300Aとはみ出し領域300Bに向って噴射された不活性ガスは、ステージ1の下側(-z方向)に抜けることなく、可動部材700Aと可動部材700Bによって堰き止められることがわかる。したがって、本実施の形態1におけるレーザ処理装置によれば、はみ出し領域300Aの近傍での雰囲気の圧力とはみ出し領域300Bの近傍での雰囲気の圧力をステージ1の表面近傍での雰囲気の圧力と同程度にすることができることがわかる。この結果、本実施の形態1におけるレーザ処理装置によれば、はみ出し領域300Aの近傍での雰囲気の圧力とはみ出し領域300Bの近傍での雰囲気の圧力とがステージ1の表面近傍での雰囲気の圧力よりも極端に低くなることに起因する酸素濃度のばらつきを抑制できる。したがって、本実施の形態1におけるレーザ処理装置によれば、レーザ照射領域LIRを通過する基板上に形成されるポリシリコン膜の品質を向上できる。
ここで、基板にレーザ光を照射して、基板上に形成されているアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に変化させるときに、最もレーザ照射領域LIRの長軸方向(x方向)の気流の流れを抑制することが重要である。したがって、実際には、可動部材700Aおよび可動部材700Bの表面のそれぞれが、ステージ1上を搬送される基板の表面とほぼ同様の高さになるように、可動部材700Aおよび可動部材700Bを配置することが望ましい。言い換えれば、可動部材700Aの表面および可動部材700Bの表面のそれぞれが、基板の厚さの分だけステージ1の表面よりも高い位置に配置されるように、可動部材700Aおよび可動部材700Bを配置することが望ましい。
本実施の形態1における第1特徴点は、図12に示すように、平面視において局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPと平面的に重なる位置に可動部材700Aと可動部材700Bとを配置する点にある。この点に関し、例えば、上述した第1特徴点の替わりに、ステージ1のx方向の幅を局所ガスシール部505Aに設けられている開口部OPのx方向の幅よりも大きくするという対策案も考えられる。なぜなら、この対策案を採用すると、開口部OPから噴射された不活性ガスは、すべてステージ1に衝突することになり、例えば、図11に示すはみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300B自体が存在しなくなるからである。つまり、ステージ1のx方向の幅を局所ガスシール部505Aに設けられている開口部OPのx方向の幅よりも大きくすると、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bが存在しなくなることから、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bに起因する酸素濃度のばらつきを抑制できると考えられる。
ところが、この対策案は、「<レーザ処理装置の搬送機構>」の欄および図10を使用して説明した基板の搬送方法を採用すると実現が困難となる。なぜなら、図10に示すように、本実施の形態1における基板の搬送方法では、ステージ1の表面から噴き出るガスによって基板2を浮上させながら、ステージ1の端部に設けられた支持部600Aと支持部600Bのいずれか一方によって、基板2は、ステージ1上を「-y方向」に沿って移動するからである。すなわち、例えば、図10において、ステージ1のx方向の幅を局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPのx方向の幅よりも大きくすると、ステージ1のx方向の幅は、基板2のx方向の幅よりも大きくなる。この場合、ステージ1の端部に設けられた支持部600Aおよび支持部600Bのいずれでも、平面サイズの大きなステージ1に内包されてしまう基板2を保持することができなくなる。このような理由で、ステージ1のx方向の幅を局所ガスシール部505Aに設けられている開口部OPのx方向の幅よりも大きくするという対策案は実現困難となるのである。
したがって、本実施の形態1における第1特徴点は、図10に示す基板の搬送方法を実現しながら、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bに起因する酸素濃度のばらつきを抑制できる基本思想を提供している点で優れている。
ただし、図10に示す基板の搬送方法を実現しながら、はみ出し領域300Aおよびはみ出し領域300Bに起因する酸素濃度のばらつきを抑制できる基本思想を実際に具現化するためには、さらなる工夫が必要であり、このさらなる工夫点が本実施の形態1における第2特徴点である。以下に、本実施の形態1における第2特徴点について説明する。
本実施の形態1における第2特徴点は、可動部材700Aおよび可動部材700Bのそれぞれが水平方向に移動可能に構成されている点にある。これにより、図10に示す基板の搬送方法を実現しながら、はみ出し領域に起因する酸素濃度のばらつきを抑制できる基本思想を実際に具現化できる。この点について、基板を搬送する動作を図示しながら説明する。まず、図15において、基板2は、ステージ1の上面から噴射される基板浮上用ガスによって浮上しながら、ステージ1の端部に配置されている支持部600Aによって支持されている。このとき、支持部600Aは、「-y方向」に移動することができるように構成されている。このため、図15に示すように、支持部600Aを「-y方向」に移動させることにより、支持部600Aに固定されている基板2は、「-y方向」に搬送される。ここで、支持部600Aが移動する「-y方向」の延長上に可動部材700Aが配置されている。したがって、可動部材700Aが固定されているとすると、「-y方向」に移動する支持部600Aと干渉することになり、支持部600Aによって基板2を「-y方向」に搬送することができなくなる。
そこで、図16に示すように、支持部600Aが可動部材700Aに近づいてきたとき、可動部材700Aを「-x方向」に移動させる。ここで、図16に示すように、レーザ照射領域LIRのステージ1上での平面形状は、短軸および長軸を有する長方形であり、レーザ照射領域LIRの長軸の方向は、y方向と交差するx方向である。このとき、可動部材700Aは、レーザ照射領域LIRの長軸の延長線上に配置され、かつ、可動部材700Aは、x方向に沿って移動することができるように構成されている。したがって、支持部600Aが可動部材700Aに近づいてきたとき、可動部材700Aを「-x方向」に移動させることができる。これにより、支持部600Aが移動する「-y方向」の延長上から可動部材700Aを退避させることができる。すなわち、図16に示すように、可動部材700Aを「-x方向」に移動可能に構成することにより、可動部材700Aと支持部600Aとの干渉を回避することができる結果、可動部材700Aを支持部600Aの動線上に配置しながらも、可動部材700Aが、支持部600Aによる基板2の搬送の障害となることを防止できる。すなわち、図16に示すように、ステージ1の一辺に沿って移動可能な支持部600Aは、平面視において、ステージ1の一辺と水平方向に移動した可動部材700Aとの間を通過するように移動することができる。
このようにして、可動部材700Aを設けるという本実施の形態1における第1特徴点に加えて、可動部材700Aを水平方向に移動することができるように構成するという本実施の形態1における第2特徴点を採用することによって、支持部600Aによる基板2の搬送を邪魔することなく、はみ出し領域に可動部材700Aを配置することができる。つまり、第1特徴点と第2特徴点との組み合わせることによって、支持部600Aによる基板2の搬送を実現しながら、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の酸素濃度のばらつきを可動部材700Aで抑制できるという基本思想を具現化することができる。
続いて、図17に示すように、支持部600Aで支持されている基板2が局所ガスシール部505Aを通過した後、可動部材700Aは、「+x方向」に移動して、はみ出し領域に配置される。つまり、可動部材700Aは、「±x方向」に移動することができるように構成されており、可動部材700Aは、基板2がレーザ照射領域に存在しないときにステージ1の一辺に近づくように位置する一方、基板2がレーザ照射領域LIRに存在するときにステージ1の一辺から離れるように位置する。
なお、図17に示すように、支持部600Aで支持されている基板2をレーザアニール処理している最中に、基板2Aがステージ1上に搬入され、支持部600Bによって支持されてレーザアニール処理前の状態となる。その後、図18に示すように、レーザアニール処理が終了した基板2がステージ1上から搬出される。そして、この基板2を支持していた支持部600Aは、昇降機構によって下降して、可動部材700Aとの干渉を回避しながら、ステージ1の上流側(「+y方向」)に移動する。同時に、支持部600Bをステージ1の下流側(「-y方向」)に向って移動させることにより、支持部600Bで支持されている基板2Aを「-y方向」に搬送して、レーザアニール処理を基板2Aに対して実施する。このように、本実施の形態1におけるレーザ処理装置では、支持部600Aで支持された基板2に対してレーザアニール処理を実施する動作と、支持部600Bで支持された基板2Aに対してレーザアニール処理を実施する動作とを交互に実施される。これにより、複数枚の基板(2、2A)を連続処理することが可能となり、レーザアニール処理のスループットを向上することができる。
<<可動部材を移動させる可動機構の詳細>>
上述したように、本実施の形態1における第2特徴点は、可動部材700Aおよび可動部材700Bのそれぞれが水平方向に移動可能に構成されている点にある。以下では、例えば、可動部材700Aに着目して、可動部材700Aを水平方向に移動可能にしている可動機構について、図面を参照しながら説明する。
図19は、可動部材を含む可動機構を模式的に示す斜視図である。
図19において、可動機構800Aは、ガイドレール801とガイドレール802とを有している。ガイドレール801とガイドレール802とは、y方向に一定間隔だけ離れて配置されており、ガイドレール801とガイドレール802のそれぞれは、互いに並行しながらx方向に延在している。そして、ガイドレール801とガイドレール802との間に嵌め込まれるように可動部材700Aが配置されている。そして、可動部材700Aは、ガイドレール801とガイドレール802とによってガイドされながら、±x方向に移動するように構成されている。例えば、図19では、可動機構800Aによって可動部材700Aを「+x方向」に動かして、可動部材700Aをステージ1の一辺(端部)に近接するように配置する状態が示されている。一方、図20では、可動機構800Aによって可動部材700Aを「-x方向」に動かして、可動部材700Aをステージ1の一辺(端部)から遠ざかるように配置する状態が示されている。このようにして、本実施の形態1におけるレーザ処理装置は、可動機構800Aによって、可動部材700Aを水平方向に移動させることが可能なように構成されている。これにより、本実施の形態1における第2特徴点が具体的に実現される。
<実施の形態1における効果のまとめ>
本実施の形態1におけるレーザ処理装置によれば、以下に示す効果が得られる。
本実施の形態1におけるレーザ処理装置では、例えば、図13に示すように、はみ出し領域300Aに可動部材700Aを配置し、かつ、はみ出し領域300Bに可動部材700Bを配置している。このため、はみ出し領域300Aに向って噴射される不活性ガスを可動部材700Aで受け止め、かつ、はみ出し領域300Bに向って噴射される不活性ガスを可動部材700Bで受け止めることができる。この結果、本実施の形態1によれば、レーザ照射領域LIR近傍の雰囲気の安定性が向上して、レーザ照射領域LIR近傍の雰囲気を低酸素濃度状態に維持することができる。このことから、本実施の形態1によれば、基板に形成されるポリシリコン膜のムラを抑制することができる。
特に、本実施の形態1によれば、可動部材700Aおよび可動部材700Bによる不活性ガスの受け止め効果によって、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の圧力を上昇させることができる。このことは、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の圧力が、その他の領域における雰囲気の圧力よりも高くなることを意味する。この結果、その他の領域における雰囲気がレーザ照射領域LIRに流入することに起因して、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の酸素濃度が上昇してしまうことを抑制できる。さらに、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の圧力が、その他の領域における雰囲気の圧力よりも高くなるということは、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気が、外乱の影響を受けにくくなることも意味することから、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の安定性も高めることができる。したがって、本実施の形態1によれば、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の酸素濃度を低いレベルで安定化させることができることを通じて、基板に形成されるポリシリコン膜の品質を向上できる。
さらに、本実施の形態1によれば、可動部材700Aと可動部材700Bの存在によって、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の安定化が促進される。このため、レーザ照射領域LIR近傍における雰囲気の安定性を確保するまでの待ち時間を低減することができる。すなわち、本実施の形態1におけるレーザ処理装置によれば、スループットを向上できる。したがって、本実施の形態1におけるレーザ処理装置は、製造されるポリシリコン膜の品質向上とスループットの向上とを両立できる点で優れている。
(実施の形態2)
<実施の形態2における特徴>
図21は、本実施の形態2における特徴点を説明する図である。
図21において、本実施の形態2における特徴点は、例えば、基板2を支持する支持部600Aが、互いに分割された複数の分割部位から構成されている点にある。具体的に、図21に示すように、支持部600Aは、例えば、分割部位610と分割部位611と分割部位612の3つの分割部位から構成されている。そして、3つの分割部位610~612のそれぞれは、上下方向(±z方向)に昇降可能に構成されている。これにより、本実施の形態2によれば、図21において、平面視において局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPと重なる位置に板状部材900Aおよび板状部材900Bを固定した状態で、基板2をステージ1の上流側(「+y方向」)からステージ1の下流側(「-y方向」)に搬送することができる。
<<分割部位の動作>>
以下に、この動作について、図面を参照しながら説明する。
図22~図27は、図21の太い矢印方向から見た図であって、3つの分割部位610~612のそれぞれの昇降動作を模式的に示す図である。
まず、図22に示すように、分割部位610~612のそれぞれで支持された基板2は、分割部位610~612を「-y方向」に移動させることにより、「-y方向」に向って搬送されてくる。次に、図23に示すように、板状部材900Aが固定されている位置に、搬送されている基板2が近づいてくるとき、分割部位610は、昇降機構によって、下降する。したがって、図23に示す状態において、基板2は、2つの分割部位611と分割部位612で支持されていることになる。
続いて、図24に示すように、基板2がレーザ照射領域に達すると、分割部位610~611が下降する。特に、図24において、板状部材900Aの真下に位置する分割部位610は、板状部材900Aと衝突しないように、下降した状態を維持しながら、「-y方向」に移動する。一方、基板2は、分割部位612で支持されている。
その後、図25に示すように、板状部材900Aの真下を通過した分割部位610は、昇降機構によって上昇する。一方、分割部位612は、下降する。この結果、基板2は、上昇した分割部位610で支持されることになる。
次に、図26に示すように、基板2が「-y方向」に向って進むに連れて、2つの分割部位610~611が上昇して、これらの2つの分割部位610~611で基板2が支持される。一方、分割部位612は、下降した状態を維持して、板状部材900Aの真下を通過する。
続いて、図27に示すように、さらに、基板2が「-y方向」に向って搬送されるとき、板状部材900Aの真下を3つの分割部位610~612のすべてが通過する。その後、3つの分割部位610~612のすべてが上昇して、3つの分割部位610~612のすべてによって基板2が支持される。
以上のようにして、本実施の形態2によれば、例えば、図21に示すように、平面視において局所ガスシール部505Aに設けられた開口部OPと重なる位置に板状部材900Aおよび板状部材900Bを固定した状態で、基板2をステージ1の上流側(「+y方向」)からステージ1の下流側(「-y方向」)に搬送することができる。
したがって、本実施の形態2によれば、基板2をステージ1の上流側(「+y方向」)から下流側(「-y方向」)に搬送させながらも、板状部材900Aおよび板状部材900Bをステージ1に近接させた状態を維持することができる。このことから、本実施の形態2によれば、板状部材900Aおよび板状部材900Bによる不活性ガスの受け止め効果を常時得ることができる。このため、本実施の形態2におけるレーザ処理装置は、レーザ照射領域LIR近傍の雰囲気の安定性を向上させる効果が高く、これによって、レーザ照射領域LIR近傍の雰囲気を低酸素濃度状態に維持する効果を高めることができる。この結果、本実施の形態2によっても、基板2に形成されるポリシリコン膜の品質を向上できる。
(実施の形態3)
<実施の形態3における特徴>
図28は、本実施の形態3における特徴点を説明する図である。
図28において、本実施の形態3における特徴点は、支持部600Aに板状部材620Aが固定されているとともに、支持部600Bに板状部材620Bが固定されている点にある。そして、板状部材620Aの「y方向」の長さは、支持部600Aの「y方向」の長さと略同一であり、板状部材620Bの「y方向」の長さは、支持部600Bの「y方向」の長さと略同一である。
例えば、板状部材620が固定された支持部600Aで基板2を支持しながら、支持部600Aを「-y方向」に移動させることによって、基板2を「-y方向」に搬送する場合を考える。このとき、図29に示すように、レーザ照射領域LIRを基板2が通過する際、はみ出し領域300Aを板状部材620Aが通過する。したがって、この場合、はみ出し領域300Aに向って噴射される不活性ガスは、はみ出し領域300Aを通過する板状部材620Aで受け止められる。
このことから、本実施の形態3によれば、特に、基板2がレーザ照射領域LIRを通過している間にわたって、支持部600Aに固定された板状部材620Aによって、はみ出し領域300Aに向って噴射される不活性ガスが受け止められる。このことは、本実施の形態3によれば、基板2がレーザ照射領域LIRを通過している期間というポリシリコン膜を形成している期間において、板状部材620Aによる不活性ガスの受け止め効果を得ることができることを意味している。したがって、本実施の形態3におけるレーザ処理装置でも、レーザ照射領域LIR近傍の雰囲気の安定性を向上させることができ、これによって、レーザ照射領域LIR近傍の雰囲気を低酸素濃度状態に維持する効果を得ることができる。この結果、本実施の形態3によっても、基板2に形成されるポリシリコン膜の品質を向上することができる。
なお、図30に示すように、板状部材620Aが固定されている支持部600Aで支持されている基板2に対して、レーザアニール処理を実施している最中に、基板2Aがステージ1上に搬入されて支持部600Bによって支持される。その後、レーザアニール処理が終了した基板2がステージ1上から搬出される。そして、この基板2を支持していた支持部600Aは、再びステージ1の上流側(「+y方向」)に向って移動する。同時に、板状部材620Bが固定されている支持部600Bをステージ1の下流側(「-y方向」)に向って移動させることにより、支持部600Bで支持されている基板2Aを「-y方向」に搬送して、レーザアニール処理を基板2Aに対して実施する。このように、本実施の形態3におけるレーザ処理装置でも、支持部600Aで支持された基板2に対してレーザアニール処理を実施する動作と、支持部600Bで支持された基板2Aに対してレーザアニール処理を実施する動作とを交互に実施される。これにより、複数枚の基板(2、2A)を連続処理することが可能となり、レーザアニール処理のスループットを向上できる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。