JP7194524B2 - コーティング組成物並びに経口固形剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、経口固形剤に用いるコーティング組成物、並びにこれを被膜として用いた経口固形剤及びその製造方法などに関する。
フィルムコーティングや糖衣コーティングは、経口固形剤において、薬物の不快な味に対するマスキング、酸素の遮断、防湿又は製品としての美観の向上などの目的で、薬物を含有する固形剤(例えば、錠剤など)などの被覆用に、広く用いられる技術である。
フィルムコーティングは、糖衣コーティングに比べて、短時間で簡便に実施でき、またコーティング皮膜の厚みを薄くできることから、固形剤の大きさを小さくでき、得られた経口固形剤が服用性に優れるという点でも有用である。
フィルムコーティングに用いられる基剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと略記する)をはじめとした様々なポリマーが用いられているが、近年、ポリビニルアルコール(以下、PVAとも略記する)が注目されている。
PVAフィルムは防湿性に優れているため、吸湿しやすい成分を含む固形剤にPVAのフィルムコーティングを施すことで、保存安定性を向上させることができる。
しかし、PVAをコーティング基剤として用いた場合、PVA水溶液の高い粘着性によって、コーティング中に固形剤同士が付着したり、固形剤がコーティング機内に付着するなどの現象が発生しやすくなるため、スプレー噴霧速度を高くすることができず、生産性が低いという問題があった。
また、PVAのフィルムは他のコーティング基剤に比べて防湿性が高いものの、高湿度条件下ではその防湿性が低下してしまうという問題もあった。
上記のような問題点を解決する手段として、PVAと他の添加剤を組み合わせたコーティング組成物を用いて固形剤にコーティングを施し、防湿性を向上させるなどの方法が知られている。
例えば、特許文献1には、PVA、ベントナイト又はケイ酸マグネシウムアルミニウム及び糖アルコール誘導体型界面活性剤を含むコーティング剤が開示されており、該コーティング剤は、高湿度条件下においても高い防湿性を発揮する旨が記載されている。また、該コーティング剤では、PVAと、ベントナイト又はケイ酸マグネシウムアルミニウムの質量比が、2:8~5:5であることが開示されている。
なお、特許文献1には、PVA、膨潤性粘土鉱物、糖アルコール誘導体型界面活性剤及びタルクの具体的な組み合わせは、開示されていない。
特許第5609639号
本発明の目的は、新規な経口固形剤用コーティング組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、高い防湿性を有するコーティング皮膜を形成できる、経口固形剤用コーティング組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、コーティング時に粘着性が発現されにくい経口固形剤用コーティング組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、速やかな溶出性を有する経口固形剤が得られる、経口固形剤用コーティング組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、一般的な経口固形剤にも応用できる実用的な経口固形剤用コーティング組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、このようなコーティング組成物で被覆された経口固形剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、このようなコーティング組成物で被覆された経口固形剤の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、特許文献1のコーティング剤は、組成物中のベントナイトまたはケイ酸マグネシウムアルミニウムなどの粘土鉱物の割合を高くすることで高防湿性を発現させている一方、粘土鉱物の増加に伴いコーティング溶液の粘度が高くなるため、コーティング溶液中の固形成分濃度を低くする必要があり、それにより、所定量のコーティングを行うのに非常に時間がかかり、生産性が大幅に低下してしまうという問題があることを見出した。また、本発明者らは、特許文献1に記載のコーティング剤でコーティングされた固形剤は、固形剤中の成分の溶出性についても通常の速溶錠の溶出スピードに比べて遅くなる傾向が見られることも見出した。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、PVA系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)及び3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)を含み、PVA系重合体(a)と膨潤性粘土鉱物(b)の質量比が特定の割合(PVA系重合体(a)と水膨潤性粘土鉱物(b)の質量比が98:2~65:35)であるコーティング組成物を用いて固形剤にコーティングすることで、優れた防湿性を発現できることなどを見出した。
上記したように、特許文献1には、PVAと、ベントナイト又はケイ酸マグネシウムアルミニウムを含むコーティング剤において、ベントナイト又はケイ酸マグネシウムアルミニウムの含有量は、PVAに対して、質量比で同量以上が良いことが開示されている。これに対し、本発明者らは、意外にも、膨潤性粘土鉱物(b)の含有量を、PVA系重合体(a)に対して質量比で同量以下とすることに着想した。そして、上記コーティング組成物が、膨潤性粘土鉱物(b)の含有量が少ないにも関わらず、高い防湿性を奏することは、極めて予想外である。
また、本発明者らは、PVA系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)及びタルク(d)を含むコーティング組成物も、優れた防湿性を発現できることなどを見出し、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の発明などに関する。
[1]
ポリビニルアルコール系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)及び3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)を含み、ポリビニルアルコール系重合体(a)と水膨潤性粘土鉱物(b)の質量比が98:2~65:35である経口固形剤用コーティング組成物。
[2]
ポリビニルアルコール系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)及びタルク(d)を含む経口固形剤用コーティング組成物。
[3]
ポリビニルアルコール系重合体(a)と水膨潤性粘土鉱物(b)の質量比が98:2~65:35である[2]に記載の経口固形剤用コーティング組成物。
[4]
タルク(d)の割合が、組成物全体において5質量%以上50質量%以下である[2]又は[3]に記載の経口固形剤用コーティング組成物。
[5]
ポリビニルアルコール系重合体(a)と3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)の質量比が95:5~50:50である[1]~[4]のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
[6]
3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)が、糖脂肪酸エステル及び糖アルコール脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を含む[1]~[5]のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
[7]
3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)が、ショ糖脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を含む[1]~[6]のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
[8]
水膨潤性粘土鉱物(b)がベントナイト及びケイ酸マグネシウムアルミニウムから選択される少なくとも1種を含む[1]~[7]のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
[9]
さらに色素を含有する[1]~[8]のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
[10]
ポリビニルアルコール系重合体(a)の4質量%水溶液粘度が2.0mPa・s以上10.0mPa・s以下である[1]~[9]のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
[11]
固形剤に対して、[1]~[10]のいずれかに記載のコーティング組成物で被覆された経口固形剤。
[12]
固形剤に、[1]~[10]のいずれかに記載のコーティング組成物を含む水溶液及び/又は水性溶液を塗布又は噴霧し、固形剤表面に当該コーティング組成物を被覆させる工程を含む経口固形剤の製造方法。
本発明によれば、新規な経口固形剤用コーティング組成物を提供できる。
このようなコーティング組成物は、PVA系重合体(a)と水膨潤性粘土鉱物(b)を特定の質量比で含有し、また、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)も含有しているため、高い防湿性(特に、高湿度条件化下での高い防湿性)を有するコーティング皮膜を形成できる。
また、本発明は、PVA系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)及びタルク(d)を含む経口固形剤用コーティング組成物も含有し、このようなコーティング組成物も、高い防湿性を有するコーティング皮膜を形成できる。
また、本発明のコーティング組成物は、固形剤にコーティングを行った場合に、固形剤同士の粘着が発現されにくいため、コーティング時間を短縮でき、コーティングの生産性に優れる。
また、本発明のコーティング組成物は、速やかな溶出性を有する経口固形剤を提供できる。
また、本発明のコーティング組成物は、一般的な経口固形剤にも応用できる実用的なものである。
そして、本発明では、上記のようなコーティング組成物で被覆された経口固形剤を提供できる。
さらに、本発明では、上記のようなコーティング組成物で被覆された経口固形剤の製造方法を提供できる。このような方法では、コーティング時に固形剤同士の粘着が発現されにくいため、コーティングを効率良く行うことができる。
[経口固形剤用コーティング組成物]
本発明の経口固形剤用コーティング組成物は、ポリビニルアルコール系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)及び3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)を含有する。そして、この組成物は、後述するように、ポリビニルアルコール系重合体(a)と水膨潤性粘土鉱物(b)を特定の質量比で含有する。
また、本発明は、ポリビニルアルコール系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)及びタルク(d)を含む経口固形剤用コーティング組成物も含有する。
なお、本発明のコーティング組成物は、通常は、コーティングに使用するコーティング液における溶媒(例えば、水、有機溶媒などの液体成分)以外の構成成分のことを示し、以下に述べるコーティング組成物中の各成分の質量比及び質量割合は、通常は、溶媒以外の構成成分における割合を示す。
(ポリビニルアルコール系重合体(a))
ポリビニルアルコール系重合体(PVA系重合体、PVAなどということがある)(a)は、通常、ビニルエステル系重合体(少なくともビニルエステルを重合成分とする重合体)の鹸化物である。
ビニルエステル(ビニルエステル系単量体)としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸ビニルエステル[例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニルなどのC1-20脂肪酸ビニルエステル(例えば、C1-16アルカン酸-ビニルエステル)など]、芳香族カルボン酸ビニルエステル[例えば、安息香酸ビニルなどのアレーンカルボン酸ビニル(例えば、C7-12アレーンカルボン酸-ビニルエステル)など]などが挙げられる。
ビニルエステルは、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
ビニルエステルは、少なくとも脂肪酸ビニルエステル(例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどのC1-10アルカン酸-ビニルエステルなど)を含んでいるのが好ましく、工業的観点などから、特に、酢酸ビニルを含んでいてもよい。
ビニルエステル系重合体は、ビニルエステル単位を有していればよく、必要に応じて、他の単量体(ビニルエステルと共重合可能な単量体)由来の単位を有していてもよい(他の単量体により変性されていてもよい)。
他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、α-オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレンなど)、(メタ)アクリル酸エステル類[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル]、不飽和アミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドなど]、不飽和酸類{例えば、不飽和酸[例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸など]、不飽和酸エステル[(メタ)アクリル酸以外の不飽和酸エステル、例えば、アルキル(メチル、エチル、プロピルなど)エステルなど]、不飽和酸無水物(無水マレイン酸など)、不飽和酸の塩[例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アンモニウム塩など]など}、グリシジル基含有単量体[例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなど]、スルホン酸基含有単量体(例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、その塩類など)、リン酸基含有単量体[例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレートなど]、ビニルエーテル類(例えば、アルキルビニルエーテル類)、アリルアルコールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
他の単量体は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、PVA系重合体(a)は、ビニルアルコール単位の一部が、アセタール化、エーテル化、アセトアセチル化、カチオン化などの反応によって、変性されたものであってもよい。
PVA系重合体(a)は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、PVA系重合体(a)としては、市販品を使用してもよい。
PVA系重合体(a)の製造方法としては、特に限定されず、例えば、ビニルエステル系重合体をけん化する方法などの公知の方法を用いてよい。
ビニルエステル系重合体の重合方法としては、特に限定されず、例えば、従来公知の塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などが挙げられるが、溶液重合(例えば、溶剤としてメタノールを用いた溶液重合など)が工業的に好ましい。
該溶液重合には、過酸化物系、アゾ系などの公知の開始剤を用いることができ、ビニルエステル系単量体と溶剤の配合比、重合収率を変えることにより、得られるビニルエステル系重合体の重合度を調整することができる。
ビニルエステル系重合体のけん化方法としては、従来から公知のアルカリ触媒又は酸触媒を用いたけん化方法を使用することができる。中でも、ビニルエステル系重合体のメタノール溶液又はビニルエステル系重合体のメタノール、水、酢酸メチルなどの混合溶液に水酸化ナトリウムなどのアルカリを加えて、撹拌して混合しながら、加アルコール分解する方法が、工業的に好ましい。
その後、得られた塊状物、ゲル状物あるいは粒状物を粉砕し、必要に応じて添加したアルカリを中和した後、固形物と液体成分を分離し、固形物を乾燥することによりPVA系重合体を得てもよい。
PVA系重合体(a)のけん化度は、特に限定されないが、医薬品添加物規格、米国薬局方及びヨーロッパ薬局方の3つの公定書に記載されているPVAのけん化度の規格内に入ることが好ましい。また、体内で速やかに溶解できるなどの観点から、PVA系重合体の平均けん化度は、例えば、74.0モル%~89.0モル%(例えば、80.0~89.0モル%など)が好ましく、85.0モル%~89.0モル%が特に好ましい。
平均けん化度が85.0モル%以上であれば、グローバルに販売される医薬用製剤の原料として使用でき、また、疎水性基の割合が少なくなることから、親水性が向上したり、水溶液を調製する際に高温で析出しにくいため、取扱いが容易になるなどの観点から特に好ましい。
一方、平均けん化度が89.0モル%以下であれば、グローバルに販売される医薬用製剤の原料として使用でき、PVAの水酸基の増加に伴う結晶性の向上による水への溶解性の低下や、経口固形剤のコーティングに使用した際の溶出速度の低下を防止できるなどの観点から特に好ましい。
なお、PVAの平均けん化度は、特に限定されないが、例えば、JIS K6726のけん化度測定方法などによって、測定してもよい。
PVA系重合体(a)の重合度は、特に限定されないが、4質量%水溶液粘度は、例えば、2.0mPa・s以上10.0mPa・s以下(例えば、3.0mPa・s以上9.0mPa・s以下など)が好ましく、3.0mPa・s以上7.0mPa・s以下がさらに好ましい。
4質量%水溶液粘度が2.0mPa・s以上の場合、コーティング後に固形剤表面に形成される被覆層の強度が高くなるなどの観点から、好ましい。4質量%水溶液粘度が10mPa・s以下の場合、粘度が低いため、コーティング時のスプレー速度を上げることができ、生産性が向上するなどの観点から、好ましい。
なお、4質量%水溶液粘度は、特に限定されないが、例えば、JIS K6726に規定された方法などによって、測定してもよい。
(水膨潤性粘土鉱物(b))
水膨潤性粘土鉱物とは、通常、水を吸収して膨潤する粘土鉱物のことをいう。
水膨潤性粘土鉱物(b)としては、例えば、負の電荷に帯電しているものが好ましく、層状珪酸塩鉱物などであってもよい。
なお、負の電荷に帯電とは、通常、水膨潤性粘土鉱物(b)がカチオン交換性を有する状態をいう。その帯電量は、カチオン交換容量(CEC:Cation Exchange Capacity)として表記することができる。なお、カチオン交換容量の単位はミリグラム当量/100グラム(通常、meq/100gと表記される。)であり、一般的には1価のイオンのモル濃度に相当する当量数として表すことができる。
水膨潤性粘土鉱物(b)のカチオン交換容量は、特に限定されないが、例えば、60~150meq/100g程度であってよい。
水膨潤性粘土鉱物(b)としては、特に限定されず、例えば、スメクタイト(例えば、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ヘクトライト、スチブンサイト、ソーコナイト、ノントロナイトなど)、ケイ酸マグネシウムアルミニウムなどが挙げられる。
これらの中でも、モンモリロナイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウムなどが好ましい。
水膨潤性粘土鉱物(b)としては、水膨潤性粘土鉱物(b)を含む水膨潤性粘土であってもよく、例えば、スメクタイトを主成分として含む水膨潤性粘土が好ましく、モンモリロナイトを主成分として含む水膨潤性粘土がより好ましく、中でも、ベントナイトが特に好ましい。
なお、水膨潤性粘土鉱物(b)は、合成物であっても天然物であってもよい。
水膨潤性粘土鉱物(b)は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
(3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c))
3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)(以下、単に、ポリオール脂肪酸エステル(c)ということがある)において、ヒドロキシ基の数は、3以上であればよく、特に限定されないが、例えば、3~10個(例えば、3~8個など)であってよい。
3以上のヒドロキシ基を有するポリオールとしては、例えば、糖[例えば、単糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースなど)、二糖類(例えば、ショ糖、マルトース、乳糖、トレハロースなど)]、糖アルコール(例えば、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、ソルビタンなど)、アルカンポリオール[例えば、アルカントリオール(例えば、グリセリン、ブタントリオール、ヘキサントリオールなどのC3-10アルカントリオール、好ましくはC3-6アルカントリオール)]、ポリアルカンポリオール{例えば、ポリアルカントリオール[例えば、ポリグリセリン(例えば、ジグリセリン、トリグリセリン)などのポリアルカントリオール、好ましくはジ乃至トリC3-6アルカントリオール]}などが挙げられる。
また、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールとしては、オキシアルキレン付加体(例えば、ポリオキシアルキレン付加体)であってもよく、例えば、上記に例示したもののポリオキシアルキレン付加体[例えば、ポリオキシアルキレンソルビタン(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンなど)、ポリオキシアルキレングリセリン(例えば、ポリオキシエチレングリセリンなど)など]であってもよい。
これらの3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの中でも、糖、糖アルコールなどが好ましく、ショ糖、ソルビタンなどが特に好ましい。
3以上のヒドロキシ基を有するポリオールは、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリオール脂肪酸エステル(c)において、その疎水基を構成する脂肪酸エステル単位は、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖の何れであってもよい。
また、脂肪酸エステル単位は、炭素数12~22であることが好ましい。
炭素数が12以上の場合、分子中における疎水基の割合が多くなるため、PVAと併用した場合に防湿性が優れるなどの観点から好ましい。また、炭素数が22以下の場合、分子中における疎水基の割合が少なくなるため、水への溶解性や分散性が優れ、均一な水溶液になりやすいなどの観点から好ましい。
このような脂肪酸エステル単位を構成する脂肪酸としては、例えば、C12-22脂肪酸{例えば、C12-22飽和脂肪酸[例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸などのC12-22アルカン酸]、C12-22不飽和脂肪酸[例えば、C12-22モノ不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸などのC12-22アルケン酸)、C12-22ジ乃至ヘキサ不飽和脂肪酸(例えば、リノール酸などのC12-22アルカジエン酸、リノレン酸などのC12-22アルカトリエン酸)など]}などが挙げられる。
脂肪酸は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリオール脂肪酸エステル(c)は、例えば、モノエステル体、ポリエステル体(例えば、ジ乃至ヘキサエステル体)などであってよく、モノエステル体の比率が高いもの(例えば、モノエステル体の含有量が、30~90%、50~90%など)が好ましい。
ポリオール脂肪酸エステル(c)のHLB(Hydrophilic Lypophilic Balance)値は、特に限定されないが、例えば、4以上(例えば、4~20、4~18、10~18、12~18など)が好ましい。HLB値が4以上の場合、モノエステル体の比率が高く、コーティング組成物の水への溶解性や分散性が向上し、均一な水溶液になりやすいなどの観点から好ましい。
なお、HLB値の算出方法は、特に限定されず、例えば、鹸化価をS、脂肪酸の酸価をAとしたアトラス法(HLB値=20(1-S/A))を用いて算出してもよい。
ポリオール脂肪酸エステル(c)は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
(タルク(d))
タルク(d)としては、特に限定されず、例えば、医薬品または食品の添加剤として通常用いられるタルクが挙げられ、日本薬局方で規定されたタルクが好ましい。
(他の成分)
経口固形剤用コーティング組成物は、ポリビニルアルコール系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)、3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)及びタルク(d)の他に、他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、特に限定されず、例えば、色素[顔料系色素(例えば、酸化チタン、アルミニウム・レーキ、酸化鉄など)、天然色素など]、通常医薬製剤に用いられる薬物、滑択剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など)、PVA系重合体(a)以外のポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリオール脂肪酸エステル(c)以外の界面活性剤、甘味料、コーティング剤、消泡剤、pH調製剤などの添加剤が挙げられる。
これらの他の成分の中でも、色素が好ましい。
色素の中でも、酸化チタンが、コーティング後の固形剤表面の色相改善などの観点から好ましい。
他の成分は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
(経口固形剤用コーティング組成物の態様)
組成物において、PVA系重合体(a)の割合(組成物全体に対するPVA系重合体(a)の割合)は、特に限定されないが、例えば、25~90質量%(例えば、30~80質量%)、好ましくは35~70質量%、より好ましくは40~60質量%程度であってもよい。
組成物において、水膨潤性粘土鉱物(b)の割合(組成物全体に対する水膨潤性粘土鉱物(b)の割合)は、特に限定されないが、例えば、1~30質量%、好ましくは3~20質量%、より好ましくは7~15質量%程度であってもよい。
組成物において、ポリオール脂肪酸エステル(c)の割合(組成物全体に対するポリオール脂肪酸エステル(c)の割合)は、特に限定されないが、例えば、2~45質量%、好ましくは5~30質量%、より好ましくは5~20質量%(例えば、7~15質量%)程度であってもよい。
組成物において、タルク(d)の割合(組成物全体に対するタルク(d)の割合)は、特に限定されないが、例えば、5~50質量%(例えば、10~50質量%、20~50質量%など)が好ましく、30~50質量%がより好ましい。
タルクの割合が50質量%以下であれば、コーティング後の被覆層が脆くなりにくいなどの観点から、好ましい。
組成物が他の成分を含む場合、組成物において、他の成分の割合(組成物全体に対する他の成分の割合)は、特に限定されないが、例えば、1~50質量%、好ましくは2~30質量%、より好ましくは5~20質量%程度であってもよい。
組成物において、PVA系重合体(a)と水膨潤性粘土鉱物(b)との割合は、特に限定されないが、(a):(b)(質量比)が、例えば、98:2~65:35(例えば、85:15~65:35など)が好ましく、80:20~70:30がより好ましい。
(a):(b)(質量比)が、98:2よりも(b)の割合が大きい場合、コーティング組成物で形成される被覆層の防湿性が十分となるなどの観点から、好ましい。
また、(a):(b)(質量比)が、65:35よりも(b)の割合が小さい場合、コーティング組成物を水に溶解及び/又は分散させた際の溶液粘度が高くならず、コーティング時間を短くできるなどの観点から、好ましい。
組成物において、PVA系重合体(a)とポリオール脂肪酸エステル(c)との割合は、特に限定されないが、(a):(c)(質量比)が、例えば、95:5~50:50が好ましく、90:10~60:40がより好ましく、80:20~70:30が特に好ましい。
(a):(c)(質量比)が、95:5よりも(c)の割合が大きい場合、PVAの粘着性抑制効果が十分となり、コーティング中に固形剤同士の付着が発生しにくくなるなどの観点から、好ましい。
また、(a):(c)(質量比)が、50:50よりも(c)の割合が小さい場合、形成される被覆層の強度が高くなるなどの観点から、好ましい。
組成物において、PVA系重合体(a)とタルク(d)との割合は、特に限定されないが、(a):(d)(質量比)が、例えば、95:5~30:70(例えば、90:10~30:70)、好ましくは80:20~40:60、より好ましくは70:30~50:50であってもよい。
組成物において、水膨潤性粘土鉱物(b)とタルク(d)との割合は、特に限定されないが、(b):(d)(質量比)が、例えば、98:2~10:90(例えば、90:10~10:90)、好ましくは70:30~30:70、より好ましくは60:40~40:60であってもよい。
組成物が他の成分を含む場合、組成物において、PVA系重合体(a)と他の成分との割合は、特に限定されないが、PVA系重合体(a)100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下(例えば、1質量部以上80質量部以下、1質量部以上60質量部以下など)が好ましく、1質量部以上50質量部以下がより好ましい。
経口固形剤用コーティング組成物の使用形態は、特に限定されないが、溶媒(例えば、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒など)に溶解又は分散した液状(水溶液、水性溶液など)で使用してもよい。
有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アルコール類(例えば、エタノールなど)などが挙げられる。
溶媒は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、溶媒としては、環境への配慮や、固形剤中の残留有機溶媒の影響などの観点から、水のみを使用するのが好ましい。
コーティング組成物の溶媒への溶解又は分散方法としては、例えば、溶媒(必要に応じて加熱された溶媒、例えば、水、温水など)に当該コーティング組成物を分散させ、常温又は加熱しながら撹拌するという従来公知の方法で作成することができる。
例えば、PVA系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)及び3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)をそれぞれ別々に溶媒(必要に応じて加熱された溶媒、例えば、水、温水など)に投入して、コーティング液を作成する方法であっても良い。
経口固形剤用コーティング組成物を液状で使用する場合、液中の固形分濃度は、例えば、1~50質量%、好ましくは1~30質量%程度であってもよい。
[経口固形剤]
本発明は、固形剤に対して、本発明のコーティング組成物で被覆された経口固形剤も含む。
このような経口固形剤は、例えば、固形剤と、固形剤を被覆する被覆部(被覆層)からなり、該被覆部が前記コーティング組成物を少なくとも含む。
固形剤の形態としては、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤などが挙げられるが、その中でも、錠剤が特に好ましい。
固形剤は、例えば、医薬品、医薬部外品、食品などであってよい。
固形剤としては、例えば、医薬製剤、医薬部外品製剤、健康食品(例えば、特別用途食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品など)などが挙げられる。
固形剤の成分は、固形剤の態様や用途などに応じて適宜選択でき、例えば、有効成分、栄養素などのいずれであってもよい。
固形剤は、通常この分野で常用され得る添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑択剤、凝集防止剤、医薬化合物の溶解補助剤など)を含んでいてもよい。
賦形剤としては、例えば、白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、でんぷん、結晶セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。
結合剤としては、例えば、PVA、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、グルコース、白糖、乳糖、麦芽糖、デキストリン、ソルビトール、マンニトール、ヒドロキシエチルセルロース、HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール類、アラビアゴム、ゼラチン、寒天、でんぷんなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース又はその塩、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポリビニルピロリドン、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウムなどが挙げられる。
滑択剤又は凝集防止剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、コロイダルシリカ、ステアリン酸、ワックス類、硬化油、ポリエチレングリコール類、安息香酸ナトリウムなどが挙げられる。
医薬化合物の溶解補助剤としては、例えば、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸などの有機酸などが挙げられる。
これらの添加剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
また、これら添加剤の含有量は、固形剤の成分の種類などに応じて適宜決定することができる。
経口固形剤は、複数の被覆層を有していてもよい。
例えば、経口固形剤は、本発明のコーティング組成物によって形成される被覆層の下に、アンダーコーティング層を有していてもよく、該被覆層の上に、オーバーコーティング層を有していてもよい。
アンダーコーティング層及びオーバーコーティング層は、例えば、医薬製剤のコーティングに常用されるポリマー(例えば、HPMCなど)を成分として含有する組成物を用いてコーティングすることによって形成してよい。
[経口固形剤の製造方法]
本発明は、固形剤に、本発明のコーティング組成物を含む水溶液及び/又は水性溶液を塗布又は噴霧し、固形剤表面に当該コーティング組成物を被覆させる工程を含む経口固形剤の製造方法も含有する。
固形剤表面にコーティング組成物を被覆させる方法としては、特に限定されず、従来公知のコーティング手段を使用してよく、フィルムコーティングなどが挙げられる。
コーティング方法としては、例えば、スプレーコーティングが挙げられる。
コーティングの装置としては、例えば、パンコーティング装置、ドラムタイプコーティング装置などを使用してよい。また、これらの装置に付帯するスプレー装置としては、例えば、エアースプレー、エアレススプレーなどを使用してよい。
固形剤表面にコーティング組成物を被覆させる方法としては、例えば、上述したコーティング装置を用い、固形剤に、必要に応じて添加剤を加えた本発明のコーティング組成物を、溶媒[例えば、水、有機溶媒(例えば、エタノールなどのアルコール類など)、水と有機溶媒の混合溶媒など]に溶解又は分散させた溶液を調整し、乾燥と同時に該溶液を塗布又は噴霧して固形剤表面へ被覆する方法などが挙げられる。
固形剤の表面にコーティングされるコーティング組成物の被覆量は、固形剤の種類、形、大きさ、表面状態、固形剤中に含まれる成分や添加剤の性質などによって異なるが、固形剤全量に対して、好ましくは1~10質量%、更に好ましくは1~7質量%、特に好ましくは2~6質量%である。このような範囲であれば、完全な皮膜が得られ、十分な防湿効果、酸素バリア性、臭気マスキング効果が得られるなどの観点から好ましい。また、このような範囲であれば、コーティングに要する時間が短くなるなどの観点から好ましい。
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の実施例及び比較例中、特にことわりのないかぎり、「%」及び「部」は質量基準を表す。
<コーティング条件>
装置:ハイコーター(HC-FZ-Labo、フロイント産業製)
錠剤仕込み量:1000g
給気温度:70-80℃
排気温度:44-52℃
給気空気量:0.6m/min
スプレーガン数:1個
スプレーガン エア量(アトマイズドエア):30L/min
スプレーガン エア量(パターンエア):9L/min
スプレー速度:チューブポンプの吐出量で調整
パン回転数:18rpm
<コーティング時間の評価>
コーティング試験において、コーティング溶液をスプレー塗布する際のスプレー速度を2.0g/minで開始し、錠剤同士及び錠剤とパンとの貼り付きが起こらない場合は、徐々にスプレー速度を高くしていき、錠剤同士又は錠剤とパンとの貼り付きが発生するまでスプレー速度を上げた。その後、一旦、スプレー速度を落とし、錠剤同士又は錠剤とパンとの貼り付きが発生しない速度になったことを確認し、10分間そのスプレー速度でコーティング試験を継続して貼り付きが発生しないことを確認し、該スプレー速度を最大スプレー速度とした。一方、初期のスプレー速度2.0g/minで錠剤同士又は錠剤とパンとの貼り付きが起こる場合は、徐々にスプレー速度を落としていき、10分間そのスプレー速度で貼り付きが発生しないことを確認し、該スプレー速度を最大スプレー速度とした。さらに、最大スプレー速度から、錠剤に対し固形分で3質量%の被覆を施すための最短コーティング時間を算出した。
<水蒸気透過度の評価>
固形分濃度が6質量%のコーティング組成物の溶液もしくは分散液を、PETシート上にキャスティングし、20℃×65%RHの恒温恒湿機内で乾燥して、厚さ約100μmのフィルムを得た。得られたフィルムの水蒸気透過度をL80-5000型水蒸気透過度計(Systech Instruments社製)を用いてJIS K7129の方法に従った方法で25℃、75%相対湿度差の水蒸気透過度を測定した。
<溶出速度の評価>
以下の試験条件下において溶出試験を実施し、溶出時間10分における溶出率を測定、算出した。
試験法:日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)
試験液:蒸留水 900mL
パドル回転数:50rpm
測定サンプル:実施例および比較例で示される錠剤
検出波長:UV444nm
(実施例1)
部分けん化PVA(日本酢ビ・ポバール製 PE-05JPS けん化度:88.2モル%、4質量%水溶液粘度:5.3mPa・s)12.0質量部とベントナイト(クニミネ工業製 クニピアF)3.0質量部とショ糖脂肪酸エステル(三菱ケミカルフーズ製、O-1570、脂肪酸エステルユニットの炭素数=18、HLB値=15)3.0質量部とタルク(日本タルク製)12.0質量部を、撹拌している精製水270.0質量部に添加し、1.5時間撹拌し続け、コーティング液を調製した(水溶液濃度:10質量%)。このコーティング液を用い、乳糖及びコーンスターチを主体とした素錠に対してコーティング試験を実施し、最大スプレー速度、最短コーティング時間及びコーティング組成物の水蒸気透過度を評価した。
実施例1の最大スプレー速度は5.5g/minで、3質量%の被覆を施すためのコーティング時間は55分であった。また、溶出時間10分における溶出率は100%であり、水蒸気透気度は、53g/m・日であった。結果を表2に示す。
(実施例2~8)
表1に記載の各成分からなるコーティング組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてコーティング試験を実施し、最大スプレー速度、最短コーティング時間及び水蒸気透過度を評価した。結果を表2に示す。
(比較例1)
部分けん化PVA(日本酢ビ・ポバール製 PE-05JPS けん化度:88.2モル%、4質量%水溶液粘度:5.3mPa・s)12.0質量部とベントナイト(クニミネ工業製 クニピアF)18.0質量部を、ホモジナイザーで撹拌している精製水970.0質量部に添加し、1時間撹拌し続け、コーティング液を調製した(水溶液濃度:3質量%)。このコーティング液を用い、乳糖及びコーンスターチを主体とした素錠に対してコーティング試験を実施し、最大スプレー速度、最短コーティング時間及びコーティング組成物の水蒸気透過度を評価した。
比較例1の最大スプレー速度は7.1g/minで、3質量%の被覆を施すためのコーティング時間は142分であった。また、溶出時間10分における溶出率は79%であり、水蒸気透気度は、60g/m・日であった。結果を表2に示す。
(比較例2)
部分けん化PVA(日本酢ビ・ポバール製 PE-05JPS けん化度:88.2モル%、4質量%水溶液粘度:5.3mPa・s)7.9質量部とベントナイト(クニミネ工業製 クニピアF)18.5質量部とソルビタンモノラウレート(和光純薬製)3.6質量部を、ホモジナイザーで撹拌している精製水970.0質量部に添加し、1時間撹拌し続け、コーティング液を調製した(水溶液濃度:3質量%)。このコーティング液を用い、乳糖及びコーンスターチを主体とした素錠に対してコーティング試験を実施し、最大スプレー速度、最短コーティング時間及びコーティング組成物の水蒸気透過度を評価した。
比較例2の最大スプレー速度は7.0g/minで、3質量%の被覆を施すためのコーティング時間は144分であった。また、溶出時間10分における溶出率は75%であり、水蒸気透気度は、37g/m・日であった。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1~8では、本発明のコーティング組成物を使用することにより、高い防湿性を得ることができた。また、実施例1~8では、スプレー速度を速くすることができ、短時間で錠剤に所定量のコーティングを施すことができた。このようにスプレー速度が速いことは、錠剤同士及び錠剤とパンとの貼り付きが発生しにくいことを意味する。さらに、実施例1~8では、溶出時間10分における溶出率が高く、一般的な速溶錠と同様の速やかな溶出性を示した。
一方、比較例1及び2では、スプレー速度が遅く、効率よくコーティングすることができなかった。
さらに、比較例1及び2では、溶出時間10分における溶出率が低く、速やかな溶出性が得られなかった。
以上のように、本発明のコーティング組成物は、高い防湿性、高い生産性、速やかな溶出性などを発揮することが確認された。
Figure 0007194524000001
Figure 0007194524000002
本発明のコーティング組成物は、短時間でのコーティングによる高い生産性、非常に優れた防湿効果を有するコーティング皮膜の形成などを実現できるため、本発明のコーティング組成物を用いて経口固形剤を製造することは、工業的に極めて有用である。

Claims (9)

  1. ポリビニルアルコール系重合体(a)、水膨潤性粘土鉱物(b)及び3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)を含み、ポリビニルアルコール系重合体(a)と水膨潤性粘土鉱物(b)の質量比が98:2~65:35であり、ポリビニルアルコール系重合体(a)と3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)の質量比が95:5~50:50である経口固形剤用コーティング組成物。
  2. さらに、タルク(d)を含む請求項1記載の経口固形剤用コーティング組成物。
  3. タルク(d)の割合が、組成物全体において5質量%以上50質量%以下である請求項2に記載の経口固形剤用コーティング組成物。
  4. 3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)が、糖脂肪酸エステル及び糖アルコール脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を含む請求項1~のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
  5. 3以上のヒドロキシ基を有するポリオールの脂肪酸エステル(c)が、ショ糖脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルから選択される少なくとも1種を含む請求項1~のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
  6. 水膨潤性粘土鉱物(b)がベントナイト及びケイ酸マグネシウムアルミニウムから選択される少なくとも1種を含む請求項1~のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
  7. さらに色素を含有する請求項1~のいずれかに記載の経口固形剤用コーティング組成物。
  8. 固形剤に対して、請求項1~のいずれかに記載のコーティング組成物で被覆された経口固形剤。
  9. 固形剤に、請求項1~のいずれかに記載のコーティング組成物を含む水溶液及び/又は水性溶液を塗布又は噴霧し、固形剤表面に当該コーティング組成物を被覆させる工程を含む経口固形剤の製造方法。
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