以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
第1実施形態について図1~図5を参照して説明する。図1に示すように、車両用空調装置1は、例えば、送風ユニット2と、送風ユニット2によって送風された送風空気の温度調節を行う空調ユニット3と、送風ユニット2と空調ユニット3を接続する空気通路を形成するダクト部4と、を備えている。空調ユニット3、送風ユニット2、ダクト部4は、それぞれ、例えばポリプロピレン(PP樹脂)の成型品を外装ケースとしている。さらにこれら各部の強度を向上する場合には、ポリプロピレンに所定量のタルクやガラス繊維を含有した樹脂材料を用いてもよい。
送風ユニット2は、内部に空気が流れる通風路を形成するケーシング22と、ケーシング22の内部に設けられるファン20と、ファン20に対して回転駆動力を与えるファンモータ21とを備えている。ファン20は、内外気切換箱に設けられた外気導入口360や内気導入口361を通じて内気や外気を吸入する。送風ユニット2は、例えば車室内のインストルメントパネル裏の空間のうち、中央部から助手席側へオフセットして設置されている。これに対し、空調ユニット3は、インストルメントパネル裏の空間のうち、車両幅の略中央部に設置されている。当該空間は、乗員が存在する車室内と連通しているので、空間の空気は車室内空気でもある。
送風ユニット2のファン20は、例えば、外周に環状に並ぶ複数のブレードを有する遠心多翼ファンである。複数のブレードは、ファンモータ21の回転軸部に連結されて回転軸部とともに回転する主板部一体に設けられている。ファン20は、渦巻き状のケーシング22の内部に、空気をファンモータ21の回転軸部に沿う方向に吸入し遠心方向に吹き出すように設けられている。ケーシング22は、上面に空気の吸込口が形成されている。ケーシング22の内部に形成される渦巻状の通路は、ファン20の周囲の所定の部位からダクト部4に接続されている。ケーシング22の吸込口、ファン20の吸込口は、通常の車両搭載状態において、地面と平行またはほぼ平行となるように設置されている。
空調ユニット3は、外装ケース内に蒸発器30、ヒータコア31、エアミックスドア32等を、車室内に送風する空気を空調するための空調機能部品として内蔵する。蒸発器30は、車両前後方向には薄型の形態でケース内の通路を横断するように設けられている。したがって、蒸発器30の上下および車両左右に延びる前面には送風ユニット2からの送風空気が流入する。蒸発器30は、冷凍サイクルを循環する冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して、空調空気を冷却する。
蒸発器30の空気流れ下流側である車両後方には、所定の間隔を隔ててヒータコア31が設置されている。ヒータコア31は、蒸発器30を通過した冷風を加熱し、その内部に高温の温水であるエンジン冷却水が流れ、この温水を熱源として空気を加熱する。外装ケース内のヒータコア31よりも上方部位には、このヒータコア31をバイパスして冷風空気が流れる冷風バイパス通路が形成されている。
外装ケース内のヒータコア31と蒸発器30との間の部位には、ヒータコア31で加熱される温風と、冷風バイパス通路を通ってヒータコア31をバイパスする冷風との風量割合を調整するエアミックスドア32が設けられている。エアミックスドア32は、その位置により、ヒータコア31を通る温風の風量とヒータコア31を通過しない冷風の風量との比率を調節する。エアミックスドア32は、その開度に応じて冷風と温風の風量割合を調節し、空調風の温度調節を行う。また、外装ケース内には、ヒータコア31よりも下流に、蒸発器30から流れてきた冷風空気とヒータコア31で加熱された温風空気とが混ざり合う空間であるエアミックスチャンバが形成されている。エアミックスチャンバで温度調節された空調風は、車室内につながる各吹出通路を開閉する各ドアを制御することによって、適正な風量割合で車室内へ供給することができる。
空調ユニット3の外装ケースには、デフロスタ通路330とフェイス通路350とフット通路340とが設けられている。デフロスタ通路330は、フロント窓の内面に通じており、デフロスタ用ドア33によって開閉される。フェイス通路350は、乗員の上半身に向けて吹き出される空気の流路の一部であり、フェイス用ドア35によって開閉される。フット通路340は、乗員の足元に向けて吹き出される空気の流路の一部であり、フット用ドア34によって開閉される。
車両用空調装置1は、デフロスタ用ドア33、フット用ドア34、フェイス用ドア35を電気的に開閉駆動することにより、所望の吹出モードを実施する。送風ユニット2の上流側に設置された内外気切換箱には、外気導入口360と内気導入口361が設けられている。車両用空調装置1は、内外気切換ドア36を電気的に切り換え駆動することで、車室内への内気の導入モードもしくは外気の導入モードを実施する。
車両用空調装置1は、フェイス通路250よりも下流において分岐している複数の通路を備えている。複数の通路は、少なくとも前席向け通路370と後席向け通路371である。したがって、フェイス通路350を流通する空気は、少なくとも前席向け通路370と後席向け通路371とに分配されることになる。前席向け通路370は、前席の乗員の上半身に対して提供される空気が流通する通路である。後席向け通路371は、後席に向けて提供される空気が流通する通路である。後席向け通路371の下流端部である車室内の吹出口は、天井に沿って空気を吹き出すように、車室内においてセンターフェイス吹出口370Drcよりも前方で開口している。このように天井に沿って吹き出された空気は、後席にまで到達し、後席における空気調和に寄与する。
フェイス通路350において、前席向け通路370と後席向け通路371の分岐部よりも上流には、調整ドア37が設けられている。調整ドア37は、前席向け通路370および後席向け通路371の少なくとも一方を開閉可能なドアである。調整ドア37は、前席向け通路370の開度を全閉から全開の範囲で調整可能な構成でもよいし、後席向け通路371の開度を全閉から全開の範囲で調整可能な構成でもよい。調整ドア37は、その位置により、前席向け通路370を通過する空気の風量と後席向け通路371を通過する空気の風量との比率を調節することができる。調整ドア37の開閉に係る構成は、軸を中心に回転するバタフライ式でもよいし、ドア面に沿うようにスライドするスライド式でもよい。調整ドア37は、前席向け通路370の開度または後席向け通路371の開度を調整可能な後席向け調整部の一例である。したがって、調整ドア37は、フェイス通路350を流通する総風量に対する後席向け通路371を流通する後席向け風量の割合を調整する後席向け調整部の一例である。
図2に示すように前席向け通路370は、車室内に開口する、運転席側のセンターフェイス吹出口370Drc、運転席側のサイドフェイス吹出口370Drs、助手席側のセンターフェイス吹出口370Pac、助手席側のサイドフェイス吹出口370Pasに連通する。したがって、前席向け通路370を流通する空気は、4等分された風量がセンターフェイス吹出口370Drc、サイドフェイス吹出口370Drs、センターフェイス吹出口370Pac、サイドフェイス吹出口370Pasのそれぞれから車室内に供給される。調整ドア37が図1において実線で示す位置にある場合、つまり、前席向け通路370、後席向け通路371のいずれも絞っていない位置にある場合には、後席向け通路371の下流端開口を含めた5個の吹出口それぞれから総風量の20%分の風量が吹き出される。車両用空調装置1は、例えば、冷房運転における初期や暖房運転における初期において、このように5個の吹出口に均等分配された風量となるように調整ドア37を制御する。また、前席向け通路370が連通している車室内の吹出口の個数は、1個以上であればよく、前述した4個に限定されない。
エアコンECU5は、車両ECUからの指令情報、内気センサ51等の各種センサからの温度情報、操作部10が操作されることで送信された入力情報を取得し、これらの情報に基づいて車両用空調装置1における各種空調機器に対して制御信号を出力する。図3に示すように、エアコンECU5の入力側には、内気センサ51、外気センサ52、日射センサ53、蒸発器温度センサ54等の空調制御用のセンサ群の検出信号が入力される。内気センサ51は、車室内温度(内気温度)TRを検出する。外気センサ52は、車室外温度(外気温度)TAMを検出する。日射センサ53は、車室内へ照射される日射量TSを検出する。蒸発器温度センサ54は、蒸発器の温度または蒸発器よりも下流の空気温度であるTEOを検出する。
エアコンECU5の入力側には、車室内前部の計器盤付近の操作パネルに設けられた各種の操作部10からの操作信号が入力される。操作部10としては、例えば、車両用空調装置1の運転スイッチ、吹出口モードを切り替える吹出モード切替スイッチ、送風ユニット2の風量設定スイッチ10a、車室内温度を設定する設定温度スイッチ等が含まれている。
エアコンECU5は、乗員が携帯する無線端末機あるいは各種の移動体通信手段、例えば、携帯電話、スマートフォン等と制御信号の送受信可能である。操作部10には、自動空調運転の実行を要求する自動運転要求手段が設けられている。エアコンECU5は、無線端末機や操作部10から送信された自動空調運転を許可する信号を受信し、演算処理部50bに出力する。
エアコンECU5は、その出力側に接続された各種空調用機器を制御する制御手段が一体に構成された制御装置である。各空調用機器の作動を制御するハードウェアおよびソフトウェアは、各空調用構成機器の作動を制御する制御手段を構成している。エアコンECU5は、プログラムにしたがって動作するマイコンのようなデバイスを主なハードウェア要素として備える。エアコンECU5は、各空調用機器と各種センサとが接続されるインターフェース部50aと、演算処理部50bと、記憶部50cとを少なくとも備える。
記憶部50cは、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。演算処理部50bは、演算処理装置であり、インターフェース部50aを通して各種センサから取得した環境情報と、記憶部50cに記憶された制御特性マップやデータとを用いて、所定の演算プログラムにしたがった判定処理や演算処理を行う。演算処理部50bは、エアコンECU5における演算実行部であり判定処理実行部である。インターフェース部50aは、演算処理部50bによる判定結果、演算結果に基づいて各調整機器を操作する。したがって、インターフェース部50aは、制御装置における入力部および制御出力部である。調整機器は、ファンモータ21、室外ファン40、内外気切換ドア36、エアミックスドア32、デフロスタ用ドア33、フット用ドア34、フェイス用ドア35、調整ドア37等である。
次に車両用空調装置1における空調制御を図4を参照して説明する。図4のフローチャートは、イグニッションスイッチがオン状態であるとき、あるいは電動自動車のスタートスイッチがオン状態であるときに開始する。エアコンECU5は、図4に示す処理手順にしたがって車両用空調装置1における空調制御を実行する。
まず、エアコンECU5は、ステップS10において記憶部50cに記憶されている各パラメータ等を初期化する処理を実行する。エアコンECU5は、ステップS20において前述の各種センサから出力された信号値を読み込む処理を実行する。
次にエアコンECU5は、ステップS30において、前席側の空調運転の開始を指令する運転スイッチがオンされた状態か否かを判定する。この運転スイッチがオンされていない場合はステップS70に進み、エアコンECU5は、後席向け通路371、前席向け通路370に通じる複数の車室内吹出口に均等な風量が分配される位置に調整ドア37を固定する処理を実行する。ステップS70の実行後は、ステップS20に進み、以降の各ステップを実行する。
ステップS30において前述の運転スイッチがオンされた状態である場合は、エアコンECU5は、ステップS40でフェイスモードが設定されているか否かを判定する。フェイスモードが設定されていない場合は、ステップS70に進み、前述の均等分配処理を実行後、ステップS20に進む。前述の均等分配処理は、通常の空調運転において行われる処理である。
なお、ステップS30において運転スイッチがオンされた状態である場合には、エアコンECU5の演算処理部50bは、目標吹出温度TAOの算出、送風ユニット2のブロワ電圧決定、吸込口モード決定、吹出口モード決定等の各処理を実行する。エアコンECU5は、これらの処理結果に基づいて、車両用空調装置1の調整機器を制御して空調運転を実施する。
目標吹出温度TAOは、記憶部50cに記憶された下記数式1を用いて、算出することができる。
(数式1)
TAO=Kset×TSET-Kr×TR-Kam×TAM-Ks×TS+C
ここで、TSETは、設定温度スイッチによって設定された室内設定温度、TRは内気センサ51によって検出された内気温度、TAMは外気センサ52によって検出された外気温度、TSは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset,Kr,KamおよびKsは各ゲインであり、Cは全体にかかる補正用の定数である。
演算処理部50bは、記憶部50cに記憶されたマップを用いて目標吹出温度TAOに対応するブロワ電圧を決定する。演算処理部50bは、記憶部50cに記憶されたマップから、目標吹出温度TAOに対応する吸込口モードを決定する。例えば、目標吹出温度TAOが高いときには内気循環モードに決定され、目標吹出温度TAOが低いときには、外気導入モードに決定される。なお、操作部10によって吸込口モードが設定されている場合は、エアコンECU5は設定された吸込口モードに決定する。演算処理部50bは、記憶部50cに記憶されたマップから、目標吹出温度TAOに対応する吹出口モードを決定する。例えば、目標吹出温度TAOが高いときにはフットモードが選択され、目標吹出温度TAOの低下に伴ってバイレベルモード、さらにはフェイスモードの順に選択される。なお、操作部10によって吹出口モードが設定されている場合は、エアコンECU5は設定された吹出口モードに決定する。
ステップS40においてフェイスモードが設定されている場合には、エアコンECU5は、ステップS50において目標吹出温度TAOが安定している状態を示すTAO安定条件が成立しているか否かを判定する。TAO安定条件が成立するか否かの判定処理は、前述のように算出されたTAOについての所定時間の変化率が所定範囲に収まり変動が小さくなってきたか否かを判定することによって行われる。エアコンECU5は、このようにTAOの変化率が小さくなってくると車室内温度が室内設定温度に近づいてきたと判定する。TAO安定条件が成立していない場合は、ステップS70に進み、前述の均等分配処理を実行後、ステップS20に進む。
ステップS50においてTAO安定条件が成立している場合には、エアコンECU5は、ステップS60において前述のTEOが安定している状態を示すTEO安定条件が成立しているか否かを判定する。TEO安定条件が成立するか否かの判定処理は、設定温度スイッチによって温度設定されている室内設定温度と内気センサ51によって検出された現在の車室内温度との温度差が所定値を下回っているか否かを判定することにより行われる。また、TEO安定条件が成立するか否かの判定処理は、目標吹出温度TAOの算出値と内気センサ51によって検出された現在の車室内温度との温度差が所定値を下回っているか否かを判定することによって実施するようにしてもよい。所定値は、例えば3℃以上5℃以内に含まれる値に設定されている。
また、TEO安定条件が成立するか否かの判定処理は、蒸発器温度センサ54によって検出されたTEOについての所定時間の変化率が所定範囲に収まり変動が小さくなってきたか否かを判定することによって実施するようにしてもよい。エアコンECU5は、このような温度差が小さくなってくると車室内温度が安定して室内設定温度に近づいてきたと判定する。TEO安定条件が成立していない場合は、ステップS70に進み、前述の均等分配処理を実行後、ステップS20に進む。
ステップS60においてTEO安定条件が成立している場合には、エアコンECU5は、ステップS80において前席向け通路370を絞る開度に調整ドア37の位置を制御する。エアコンECU5は、ステップS80を実行する前の状態よりも、後席向け通路371を開く位置に調整ドア37を制御することによって後席向け通路371を流通する風量が増加する。この処理によって、風量割合の変化を示す図5のタイムチャートのように、前席向けの4個の吹出口のそれぞれから吹き出される風量よりも後席向け通路371を介して後席に送風される風量が増加する。このため、車室内温度の変化を示す図5のタイムチャートのように、自動空調運転において車室内温度が安定してくると起こりうる送風空気の温度低下、送風量の低下等に伴って、後席への空調出力が低下することを抑制できる。
ステップS80を実行後は本フローチャートを終了し、エアコンECU5は所定時間経過後に繰り返しステップS10を実行する。エアコンECU5は、再度ステップS60においてTEO安定条件が成立していると判定された場合には、ステップS80において後席に送風される風量がさらに増加するように調整ドア37を制御する。エアコンECU5は、後席向け通路371を流通する風量割合を、フェイス通路350を流通する総風量の20%から最大で50%まで増加するように制御する。後席向け通路371を流通する風量割合が総風量の50%まで増加した場合には、前席向けの各吹出口には、後席向け風量の4分の1に相当する12.5%の風量が供給されることになる。
また、エアコンECU5は、以降のステップS60においてTEO安定条件が成立していないと判定された場合には、ステップS70において調整ドア37を制御して、後席向けの風量を総風量の20%に減少させる。これにより、総風量を前席向けの4個の吹出口と後席向け通路371とに均等に分配する状態に戻ることになる。
以下に、第1実施形態の車両用空調装置1がもたらす作用効果について説明する。車両用空調装置1は、車室内の前席と後席の両方に向けて空調風を提供可能な装置である。車両用空調装置1は、前席乗員に対して提供される空気が流通する前席向け通路370と、後席に向けて提供される空気が流通する後席向け通路371と、前席向け通路370と後席向け通路371とに分配される空気が流通するフェイス通路350とを備える。車両用空調装置1は、フェイス通路350を流通する総風量に対する後席向け通路371を流通する後席向け風量の割合を調整する後席向け調整部と、後席向け調整部の作動を制御するエアコンECU5とを備える。エアコンECU5は、車室内温度に関して所定の室温安定条件が成立する場合に、前述の総風量に対する後席向け風量の割合を増加するように後席向け調整部を制御する。
フェイス通路350を流通する総風量に対する後席向け風量の割合を増加する。車室内温度が安定してくると空調出力が低下して後席における快適性が低下するという懸念がある。しかしながら、この車両用空調装置1によれば、所定の室温安定条件が成立する場合に後席向け調整部を制御して後席向け風量の割合を増加するため、前席向けの空調を後席向けに振り分けて後席への空調出力の低下を抑えることができる。したがって、後席における快適性が低下することを抑制可能な車両用空調装置1を提供できる。
また、車両用空調装置1が後席向け通路371から後席に向けて吹き出された空気を後席に送風するサーキュレータファン41を備える場合には、後席向け風量の割合を増加する制御により、サーキュレータファン41の出力を低下させることができる。これによれば、サーキュレータファン41の消費電力低下が図れるとともに、騒音低下による車内静音と電費向上に寄与する。
エアコンECU5は、温度設定されている室内設定温度と現在の車室内温度との温度差が所定値を下回っている場合に、フェイス通路350を流通する総風量に対する後席向け風量の割合を増加するように後席向け調整部を制御する。これによれば、車室内温度が室内設定温度に近づいてきて空調出力が弱くなってきた場合に後席向けの空調出力低下を抑制する制御を実施できるので、前席空調と後席空調との両立を図る車両用空調装置1を提供できる。
エアコンECU5は、フェイス通路350を流通する空気の目標吹出温度TAOの算出値と現在の車室内温度との温度差が所定値を下回っている場合に、前述の総風量に対する後席向け風量の割合を増加するように後席向け調整部を制御する。これによれば、目標吹出温度TAOが車室内温度に近づいてきて空調出力が弱くなってきた場合に後席向けの空調出力低下を抑制する制御を実施できるので、前席空調と後席空調との両立を図る車両用空調装置1を提供できる。
(第2実施形態)
第2実施形態について図6、図7を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して、明細書に開示の目的を達成可能な制御として、図6に示すフローチャートにしたがった処理を実行して、図7に示すタイムチャートのような制御を実施する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態との相違点について説明する。
図6に示すフローチャートは、前述の図4に示すフローチャートに対してステップS60の代わりにステップS60Aを備える点が相違している。図6のフローチャートにおいて前述の図4のフローチャートと同様の符号を付したステップについては前述の説明を援用する。
ステップS50においてTAO安定条件が成立している場合には、エアコンECU5は、ステップS60Aにおいて風量低下指令があるか否かを判定する。風量低下指令があるか否かの判定処理は、風量設定スイッチ10aが操作されることによってエアコンECU5に風量低下の信号が出力されたか否かを判定することによって行われる。風量設定スイッチ10aは、乗員による操作状態に応じて風量低下指令をエアコンECU5に出力する風量操作部の一例である。この風量低下指令がある場合は、乗員の意思によって空調出力を低下する指令があった状況を意味している。この状況は、例えば、前席側の室内温度が設定温度に近づいてきて、前席の乗員が空調出力を弱めたいと考え、空調出力を低下する制御を選択した場合が想定できる。この状況では、前席に対して後席が十分に空調されていないことが想定でき、後席において快適性が得られていない状態で空調出力が低下されることになる。
この状況を改善するため、エアコンECU5は、ステップS60Aにおいて風量低下指令があると判定すると、ステップS80の処理を実行して、後席に送風される風量が増加するように調整ドア37を制御する。これにより、後席において快適性が得られていない状態で乗員によって空調出力が低下されて、後席への空調出力が大きく低下することを抑制できる。また、エアコンECU5は、ステップS60Aにおいて風量低下指令がないと判定した場合には、ステップS70において前述の均等分配処理を実行後、ステップS20に進む。図6に示すフローチャートにしたがった制御により、図7に示すタイムチャートのように、前席向けの4個の吹出口のそれぞれから吹き出される風量よりも後席向け通路371を介して後席に送風される風量が増加する。このため、車室内温度の変化を示す図7のタイムチャートのように、車室内温度が安定してくると起こりうる乗員操作による、送風量の低下によって、後席への空調出力が低下することを抑制できる。
またステップS60Aで風量設定スイッチ10aの操作によりHiレベルまたはMe2レベルの風量設定指令があった場合にはステップS70を実行し、Me1レベルまたはLoレベルの風量設定指令があった場合にはステップS80を実行する制御としてもよい。換言すれば、ステップS60Aで風量設定スイッチ10aの操作により所定風量レベルを上回る風量の設定指令があった場合にはステップS70を実行し、所定風量レベル以下である風量の設定指令があった場合にはステップS80を実行する制御としてもよい。
第2実施形態によれば、車両用空調装置1は、乗員による操作に応じて風量低下指令をエアコンECU5に出力する風量操作部を備える。エアコンECU5は、風量操作部によって風量低下指令が出力された場合に、フェイス通路350を流下する総風量に対する後席向け風量の割合を増加するように後席向け調整部を制御する。
この車両用空調装置1によれば、風量操作部によって風量低下指令が出力された場合に、後席向け調整部を制御して、フェイス通路350を流通する総風量に対する後席向け風量の割合を増加する。例えば車室内温度が安定して空調出力を弱めたいと感じた乗員によって風量低下の操作が行われると空調出力が低下して後席における快適性が低下するという懸念がある。そこで、この制御によれば、前席向けの風量を後席向けに振り分けることで前席に対して後席における空調出力を強化し、風量低下に伴う後席への空調出力の低下を抑えることができる。したがって、この車両用空調装置1においても、後席における快適性の低下を抑制できるので、前席空調と後席空調との両立を図る制御を提供できる。
(第3実施形態)
第3実施形態について図8、図9を参照して説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、明細書に開示の目的を達成可能な制御として、図9に示すフローチャートにしたがった処理を実施する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態との相違点について説明する。
図8に示すように、第2実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態に対して、エアコンECU5によって制御されるサーキュレータファン41を備える点が相違している。サーキュレータファン41は、空調運転において、後席向け通路371から後席に向けて吹き出された空気を後席に送風する機能を発揮している。サーキュレータファン41は、例えば、車室内において天井に設置されており、サーキュレータファン41の前方の空気を後方に送風する。したがって、後席向け通路371から後席に向けて天井に沿って吹き出される空気は、サーキュレータファン41によってさらに後方に送風されて後席に到達することになる。
図9に示すフローチャートは、前述の図4に示すフローチャートに対してステップS90を備える点が相違している。図9のフローチャートにおいて前述の図4のフローチャートと同様の符号を付したステップについては前述の説明を援用する。
ステップS60においてTEO安定条件が成立している場合には、エアコンECU5は、ステップS80の実行によって後席向け風量割合を増加することに加えてステップS90を実行する。エアコンECU5は、ステップS90においてサーキュレータファン41の制御電圧を低下する制御を実行し、サーキュレータファン41の送風出力を低下させる。エアコンECU5は、サーキュレータファン41の送風出力を所定量ずつ低下させるように制御電圧を制御する。
ステップS90を実行後は本フローチャートを終了し、エアコンECU5は所定時間経過後に繰り返しステップS10を実行する。エアコンECU5は、再度ステップS60でTEO安定条件が成立していると判定された場合には、ステップS80で後席への送風量がさらに増加するように調整ドア37を制御し、ステップS90でサーキュレータファン41の送風出力をさらに低下させる。エアコンECU5は、図9に示すフローチャートに従った処理を繰り返し実行することで、車室内温度が安定してきた場合に、前席と後席との両方に対して一方における快適性が大きく低下しない空調制御を提供する。
第3実施形態によれば、エアコンECU5は、ステップS60で室温安定条件が成立する場合に、前席向け通路370の開度を低下または後席向け通路371の開度を増加するように調整ドア37を制御しかつサーキュレータファン41の送風出力を低下させる。この制御によれば、所定の室温安定条件が成立する場合に調整ドア37を制御して後席向け風量の割合を増加し、さらにサーキュレータファン41の送風出力を低下するため、サーキュレータファン41の消費電力低下が図れる。これによって、騒音低下による車内静音と電費向上に寄与する。
(第4実施形態)
第4実施形態について図10を参照して説明する。第4実施形態は、第1実施形態に対して、明細書に開示の目的を達成可能な制御として、図10に示すフローチャートにしたがった処理を実施する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態との相違点について説明する。
図10に示すフローチャートは、前述の図4に示すフローチャートに対して、第2実施形態のステップS60Aと第3実施形態のステップS90とを備える点が相違している。図10のフローチャートにおいて前述の図4、図6、図9のフローチャートと同様の符号を付したステップについては前述の説明を援用する。
ステップS60Aにおいて風量低下指令がある場合には、エアコンECU5は、ステップS80の実行によって後席向け風量割合を増加することに加えてステップS90を実行する。ステップS90の実行後は、エアコンECU5は所定時間経過後にステップS10を実行する。エアコンECU5は、再度ステップS60Aで風量低下指令があると判定された場合には、ステップS80で後席への送風量がさらに増加するように調整ドア37を制御しステップS90でサーキュレータファン41の送風出力をさらに低下させる。エアコンECU5は、図10に示すフローチャートに従った処理を繰り返し実行することで、乗員に意思によって風量が抑えられた場合に、前席と後席との両方に対して一方における快適性が大きく低下しない空調制御を提供する。
第4実施形態によれば、エアコンECU5は、風量操作部によって風量低下指令が出力された場合に、前席向け通路370の開度を低下または後席向け通路371の開度を増加するように調整ドア37を制御しかつサーキュレータファン41の送風出力を低下させる。この制御によれば、乗員の操作により風量低下指令があった場合に調整ドア37を制御して後席向け風量の割合を増加し、さらにサーキュレータファン41の送風出力を低下するため、サーキュレータファン41の消費電力低下が図れる。この制御によっても、騒音低下による車内静音と電費向上に寄与する車両用空調装置が得られる。
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書に開示の目的を達成可能な車両用空調装置1が備える前席向けのフェイス通路と後席向け送風通路は、一方の通路を流れる風量を変化させると他方の通路を流れる風量も変化するような関係であれば前述の実施形態に記載された構成に限定されない。例えば、後席向け送風通路は、流通する空調風が車室内において天井以外の箇所に沿うよう吹き出されて後席に向かうように設けられた通路であってもよい。また後席向け送風通路は、後席まで延びているダクト内の通路であり、空調風がこのダクト内を介して後席に吹き出される構成であってもよい。
車両用空調装置1は、明細書に開示の目的を達成可能な制御を、乗員の在席時だけでなく、乗員が在席していない状況の空調、例えばプレ空調においても実施するものである。これによれば、後席の快適性が前席に比べて大きく低下しないことにより、乗員が後席に乗り込んだときの快適性を確保できるという効果を奏する。