以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る眼圧測定装置を表す側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る眼圧測定装置10は、被検眼E(図2参照)の角膜Ec(図2参照)に向けて空気を吹き付けて角膜Ecを変形させながら、角膜Ecにおいて反射された指標光の反射光を受光して、角膜Ecの圧平状態を検出することにより被検眼Eの眼圧を測定する。本実施形態の空気は、本発明の「流体」の一例である。
なお、図中のX軸の方向は、被検者を基準とした左右方向(被検眼Eの眼幅方向)である。図中のY軸の方向は、上下方向である。また、X軸およびY軸の双方に直交するZ軸の方向は、眼圧測定装置10の主光軸に平行な方向、すなわち、被検者に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向)である。
眼圧測定装置10は、ベース11と、顔支持部12と、駆動機構13と、装置本体14と、表示部15と、制御部16と、を備える。装置本体14は、測定ヘッドなどとも呼ばれる。
顔支持部12は、ベース11に支持されており、被検者の顎を受ける顎受け部12aと、被検者の額が当接する額当て部12bと、を有する。顔支持部12は、眼圧測定装置10による眼圧測定時に被検者の顔を所定の支持位置で支持する。
駆動機構13は、ベース11に支持されており、ベース11に対して装置本体14をX軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、およびZ軸方向(前後方向)のそれぞれに移動自在に保持する。駆動機構13は、Y軸駆動部13aと、Z軸駆動部13bと、X軸駆動部13cと、を有する。
Y軸駆動部13aは、ベース11に設けられており、Z軸駆動部13bおよびX軸駆動部13cを介して装置本体14をY軸方向に移動させる。Z軸駆動部13bは、Y軸駆動部13aの上に設けられており、X軸駆動部13cを介して装置本体14をZ軸方向に移動させる。X軸駆動部13cは、Z軸駆動部13bの上に設けられており、装置本体14をX軸方向に移動させる。
各軸駆動部13a、13b、13cは、モータ、駆動伝達機構、および移動台を有する。但し、各軸駆動部13a、13b、13cの構成は、装置本体14をXYZ軸方向の各方向に移動可能であれば特には限定されない。各軸駆動部13a、13b、13cは、制御部16から送信される制御信号に基づいて駆動し、被検眼Eに対する装置本体14のXYZ軸方向のアライメント調整を実行することができる。
駆動機構13は、XYZ軸方向のアライメント調整を完了すると、ノズル21b(図2参照)の先端開口から角膜頂点Ep(図2参照)までの作動距離(ワークディスタンス)WDを制御部16に送信する。つまり、駆動機構13によるXYZ軸方向のアライメント調整が完了すると、制御部16は、作動距離WDを受信する。なお、後述するように、作動距離WDは、必ずしも駆動機構13から制御部16に送信されなくともよく、作動距離WDを検知可能な受光センサなどの検知部から制御部16に送信されてもよい。
装置本体14は、被検眼Eの前眼部(瞳孔および虹彩等)のリアルタイム動画観察像(以下、単に「観察像」と称する。)を取得する構成と、被検眼Eの角膜Ecに対して空気を吹き付ける構成と、角膜Ecにおいて反射された反射光を受光して角膜Ecの圧平状態を検出する構成と、を含む被検眼Eの眼圧測定に係る各種構成を備える。
表示部15は、装置本体14の検者に対向する背面側に取り付けられている。表示部15としては、例えば検者の指の接触等を検出可能なタッチパネル式モニタが用いられる。表示部15は、制御部16から送信された制御信号に基づいて、被検眼Eに対する装置本体14の位置調整を行うために、被検眼Eの前眼部の観察像を表示する。また、表示部15は、被検眼Eの眼圧測定の結果を表示する。さらに、表示部15は、被検眼Eの眼圧測定に係る各種操作を行うための操作メニュー画面と、装置本体14のXYZ軸方向の位置調整を行うための位置調整画面と、を表示する。なお、表示部15は、タッチパネル式モニタには限定されない。例えば、表示部15がタッチパネル式モニタではない場合には、各種操作を行う操作部が装置本体14等に設けられる。
制御部16は、例えば、装置本体14の内部に設けられている。なお、制御部16は、装置本体14の外部に設けられていてもよい。制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(field-programmable gate array)等を含む各種の演算部および記憶部16aを有する。制御部16は、被検眼Eの観察像の取得および表示と、被検眼Eに対する装置本体14のXYZ軸方向のオートアライメント(自動のアライメント調整)と、被検眼Eの角膜Ecへの空気の吹き付けと、角膜Ecへの指標光の出射および角膜Ecからの反射光の受光と、角膜Ecの圧平状態の検出と、被検眼Eの眼圧の測定および表示と、を含む各種動作を制御する。
図2は、本実施形態の装置本体の内部の光学的構成を上方側から見た上面図である。
図3は、本実施形態の装置本体の内部の光学的構成を側方側から見た側面図である。
図2および図3に示すように、装置本体14は、前眼部観察光学系21と、XYアライメント指標投影光学系22と、固視標投影光学系23と、圧平検出光学系24と、Zアライメント指標投影光学系25と、Zアライメント検出光学系26と、を備える。
前眼部観察光学系21は、被検眼Eの前眼部の観察、および被検眼Eに対する装置本体14のXY軸方向のXYアライメントを行う。前眼部観察光学系21には、前眼部照明光源21a(図2参照)が設けられている。また、眼圧測定装置10の主光軸としての前眼部観察光学系21の光軸O1上には、空気吹き付け用のノズル21bと、前眼部窓ガラス21c(図3参照)と、チャンバ窓ガラス21dと、第1ハーフミラー21eと、第2ハーフミラー21gと、対物レンズ21fと、撮像素子21iと、が設けられている。本実施形態の光軸O1は、本発明の「主光軸」の一例である。
前眼部照明光源21aは、前眼部窓ガラス21cの周囲位置に設けられており、被検眼Eの前眼部を直接照明する。本実施形態に係る眼圧測定装置10では、複数個の前眼部照明光源21aが設けられている。ノズル21bは、被検眼Eの前眼部に空気を吹き付けるためのノズルであり、後述する吹付機構34のチャンバ34a(図3参照)に接続されている。チャンバ34aは、空気圧縮室などとも呼ばれる。
被検眼Eの前眼部の像(前眼部からの像光)は、ノズル21bの外側を通り、前眼部窓ガラス21c、ガラス板34b(図3参照)、チャンバ窓ガラス21d、第2ハーフミラー21g、および第1ハーフミラー21eを通過し、対物レンズ21fにより撮像素子21iの受光面上に結像される。
撮像素子21iは、CCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型のイメージセンサであり、受光面に入射した前眼部の像を撮像して撮像信号を生成し、生成した撮像信号を制御部16へ出力する。制御部16は、撮像素子21iから出力された撮像信号に基づき、被検眼Eの前眼部の観察像を表示部15に適宜表示させる。
また、前眼部観察光学系21は、XYアライメント指標投影光学系22により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecにおける反射光を、撮像素子21iの受光面へ導く。具体的には、XYアライメント指標光の反射光は、ノズル21b、チャンバ窓ガラス21d、第2ハーフミラー21g、および第1ハーフミラー21eを通過して、対物レンズ21fにより撮像素子21iの受光面上に結像される。これにより、撮像素子21iの受光面上には、装置本体14と角膜頂点EpとのXY軸方向の位置関係に応じた位置に輝点像が形成される。これにより、撮像素子21iは、受光面上に形成された前眼部像と併せて輝点像を撮像した撮像信号を制御部16へ出力する。
制御部16は、撮像素子21iから出力された撮像信号に基づき、輝点像が映り込んだ観察像を表示部15に表示させる。なお、表示部15には、不図示の画像生成手段によって生成されたアライメント補助マークが表示される。
XYアライメント指標投影光学系22は、XYアライメント指標光を被検眼Eの角膜Ecに正面から投影する。XYアライメント指標光は、被検眼Eの前眼部に対する装置本体14のXY軸方向の位置の調整、いわゆるXYアライメントに用いられる。また、XYアライメント指標光は、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態の検出にも用いられる。
図3に示すように、XYアライメント指標投影光学系22は、XYアライメント用光源22aと、集光レンズ22bと、開口絞り22cと、ピンホール板22dと、ダイクロイックミラー22eと、コリメータレンズ22fと、を有する。なお、XYアライメント指標投影光学系22は、第1ハーフミラー21eを前述の前眼部観察光学系21と共用している。
XYアライメント用光源22aは、赤外光を出射する。コリメータレンズ22fは、ピンホール板22dに焦点を一致させるように、XYアライメント指標投影光学系22の光路上に配置されている。XYアライメント指標投影光学系22では、XYアライメント用光源22aから出射された赤外光が、集光レンズ22bにより集束されつつ開口絞り22cを通過して、ピンホール板22dの穴部へ導かれる。
ピンホール板22dの穴部を通過した赤外光は、ダイクロイックミラー22eで反射してコリメータレンズ22fへ導かれ、コリメータレンズ22fにより平行光になった後、第1ハーフミラー21eへ導かれる。
第1ハーフミラー21eへ導かれた赤外光の平行光は、第1ハーフミラー21eで反射し、前眼部観察光学系21の光軸O1上を進行する。これにより、赤外光の平行光は、第2ハーフミラー21gおよびチャンバ窓ガラス21dを透過した後、ノズル21bの内部を通過することでXYアライメント指標光として被検眼Eに入射する。
被検眼Eに入射したXYアライメント指標光は、角膜Ecの表面で反射し輝点像を形成する。なお、開口絞り22cは、コリメータレンズ22fに関して角膜Ecの角膜頂点Epと共役な位置に設けられている。
固視標投影光学系23は、被検眼Eに固視標を投影する。図3に示すように、固視標投影光学系23は、固視標用光源23aと、ピンホール板23bと、を有する。また、固視標投影光学系23は、ダイクロイックミラー22eおよびコリメータレンズ22fをXYアライメント指標投影光学系22と共用すると共に、第1ハーフミラー21eを前眼部観察光学系21と共用している。
固視標用光源23aは、可視光を固視標光として出射する。固視標投影光学系23では、固視標用光源23aから出射した固視標光が、ピンホール板23bの穴部へ導かれ、ピンホール板23bの穴部を通過しダイクロイックミラー22eを透過した後、コリメータレンズ22fへ導かれる。続いて、固視標光は、コリメータレンズ22fにより略平行光になり、第1ハーフミラー21eに導かれる。第1ハーフミラー21eに導かれた固視標光は、第1ハーフミラー21eで反射し、前眼部観察光学系21の光軸O1上を進行する。これにより、固視標光は、第2ハーフミラー21gおよびチャンバ窓ガラス21dを透過した後、ノズル21bの内部を通過して被検眼Eに導かれる。固視標投影光学系23は、被検眼Eに投影した固視標を被検者に固視目標として注視させることにより、被検者の視線を固定する。
図3に示すように、圧平検出光学系24は、XYアライメント指標投影光学系22により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecにおける反射光を受光して、角膜Ecの表面の圧平状態を検出する。圧平検出光学系24は、レンズ24aと、ピンホール板24bと、受光センサ24cと、を有すると共に、第2ハーフミラー21gを前述の前眼部観察光学系21と共用している。
レンズ24aは、角膜Ecの表面が平面となった場合に、XYアライメント指標光の角膜Ecにおける反射光を、ピンホール板24bの開口に集光させる。ピンホール板24bの開口は、レンズ24aの焦点位置に設けられている。
受光センサ24cは、例えば受光した光量に応じた受光信号を出力するフォトダイオードである。受光センサ24cは、受光信号を制御部16へ出力する。
圧平検出光学系24において、被検眼Eの角膜Ecの表面で反射されたXYアライメント指標光の反射光は、ノズル21bの内部を通り、チャンバ窓ガラス21dを透過して第2ハーフミラー21gに導かれる。第2ハーフミラー21gに導かれたXYアライメント指標光の反射光の一部は、第2ハーフミラー21gで反射してレンズ24aへ導かれ、レンズ24aにより集束された後、ピンホール板24bへ導かれる。
図2に示すように、Zアライメント指標投影光学系25は、被検眼Eの角膜Ecに対して、斜め方向からZ軸方向のアライメント指標光を投影する。Zアライメント指標投影光学系25は、Zアライメント用光源25aと、集光レンズ25bと、開口絞り25cと、ピンホール板25dと、コリメータレンズ25eと、を備える。Zアライメント用光源25a、集光レンズ25b、開口絞り25c、ピンホール板25d、およびコリメータレンズ25eは、光軸O2上に配置されている。
Zアライメント用光源25aは、赤外光(例えば波長860nm)を出射する。開口絞り25cは、コリメータレンズ25eに関して角膜頂点Epと共役な位置に設けられている。コリメータレンズ25eは、ピンホール板25dの穴部に焦点を一致させるように配置されている。
Zアライメント指標投影光学系25では、Zアライメント用光源25aから出射された赤外光が、集光レンズ25bにより集光されつつ開口絞り25cを通過してピンホール板25dへ進行する。ピンホール板25dの穴部を通過した赤外光は、コリメータレンズ25eへ導かれ、コリメータレンズ25eにより平行光になり、角膜Ecへ導かれる。Zアライメント用光源25aから出射され角膜Ecへ導かれる赤外光の平行光は、Zアライメント指標光として被検眼Eに入射し、角膜Ecで反射して被検眼Eの内方に位置する輝点像を形成する。
Zアライメント検出光学系26は、Zアライメント指標光の角膜Ecにおける反射光を受光して、装置本体14と角膜EcとのZ軸方向での位置関係を検出する。Zアライメント検出光学系26は、結像レンズ26aと、シリンドリカルレンズ26bと、受光センサ26cと、を有している。結像レンズ26a、シリンドリカルレンズ26b、および受光センサ26cは、光軸O3上に配置されている。
シリンドリカルレンズ26bとしては、Y軸方向にパワーを有するシリンドリカルレンズが用いられる。受光センサ26cは、受光面における反射光の受光位置を検出可能なセンサであり、例えばラインセンサまたはPSD(Position Sensitive Detector)が用いられる。受光センサ26cは、受光信号を制御部16へ出力する。すなわち、受光センサ26cは、ノズル21bの先端開口と角膜頂点Epとの間のZ軸方向における作動距離(ワークディスタンス)WDに応じた信号を制御部16へ出力する。
Zアライメント検出光学系26では、Zアライメント指標投影光学系25によりZアライメント指標光が投影されることにより、角膜Ecの表面で反射されたZアライメント指標光の反射光が結像レンズ26aへ進行する。結像レンズ26aへ進行したZアライメント指標光の反射光は、結像レンズ26aで集束された後、シリンドリカルレンズ26bへ導かれる。シリンドリカルレンズ26bへ導かれたZアライメント指標光の反射光は、シリンドリカルレンズ26bによりY軸方向に集光され、受光センサ26c上に輝点像を形成する。
受光センサ26cは、XZ平面内においては、結像レンズ26aに関して、Zアライメント指標投影光学系25により被検眼Eの内方に形成された前述の輝点像と共役な位置関係にある。また、受光センサ26cは、YZ平面内においては、結像レンズ26aおよびシリンドリカルレンズ26bに関して、角膜頂点Epと共役な位置関係にある。すなわち、受光センサ26cは、開口絞り25cと共役関係にあるので、Y軸方向に角膜Ecの位置がずれた場合であっても、角膜Ecの表面における反射光を効率良く受光できる。受光センサ26cは、被検眼Eの内方に形成された輝点像の受光信号を制御部16へ出力する。
図3に示すように、吹付機構34は、チャンバ34aと、空気圧縮駆動部34dと、を有する。空気圧縮駆動部34dは、チャンバ34a内で移動可能なピストン(図示せず)と、ピストンを移動させる駆動部(図示せず)と、を有する。空気圧縮駆動部34dは、制御部16から送信された制御信号に基づいて駆動し、チャンバ34a内の空気を圧縮する。
図3に示すように、チャンバ34a内には、透明なガラス板34bを介してノズル21bが取り付けられている。また、チャンバ34a内には、ノズル21bと対向する位置にチャンバ窓ガラス21dが設けられている。さらに、チャンバ34aには、チャンバ34aの内部の圧力を検出する圧力センサ34cが設けられている。圧力センサ34cは、制御部16に接続されており、検出した圧力に応じた信号を制御部16へ出力する。本実施形態の圧力センサ34cが出力する信号は、本発明の「圧力信号」の一例である。
吹付機構34は、制御部16から送信された制御信号に基づいて、空気圧縮駆動部34dによりチャンバ34a内の空気を圧縮し、ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向けて空気を吹き付ける。また、吹付機構34は、圧力センサ34cによりチャンバ34a内の圧力を検出することにより、ノズル21bから空気を吹き付けた際の圧力を取得することができる。
装置本体14は、前眼部照明光源21aと、XYアライメント用光源22aと、固視標用光源23aと、Zアライメント用光源25aと、の点灯制御を行うためのドライバ(駆動機構)を有する。装置本体14は、1つのドライバを有していてもよく、複数のドライバを有していてもよい。点灯制御を行うためのドライバは、制御部16に接続されている。ドライバは、制御部16から送信された制御信号に基づいて、前眼部照明光源21aと、XYアライメント用光源22aと、固視標用光源23aと、Zアライメント用光源25aと、を適宜点灯させる。
制御部16は、前眼部観察光学系21の撮像素子21iの撮像信号から、装置本体14と角膜EcとのXY軸方向の位置関係を演算する。制御部16は、演算結果に基づいて、Y軸駆動部13aおよびX軸駆動部13cを駆動し、装置本体14のXY軸方向の位置を調整するXYアライメントを行う。さらに、制御部16は、Zアライメント検出光学系26の受光センサ26cから出力された受光信号に基づいて、装置本体14と角膜EcとのZ軸方向の位置関係を演算する。制御部16は、演算結果に基づいて、Z軸駆動部13bを駆動し、装置本体14のZ軸方向の位置を調整するZアライメントを行う。これにより、被検眼Eに対するXYZ軸方向のオートアライメントが実行される。なお、制御部16は、Zアライメントの状態をバーメータなどにより表示部15に表示してもよい。この場合には、検者は、表示部15に表示されたZアライメントの状態に基づいて手動でZアライメントを実施しても良い。
また、制御部16は、表示部15に表示される操作画面に対する検者による測定開始操作(タッチ操作)、あるいは装置本体14等に設けられた吹付操作部(不図示)に対する測定開始操作に応じて、吹付機構34を駆動し、ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向けて空気を吹き付けさせる。検者は、表示部15により装置本体14のアライメント状態を確認した後に測定開始操作を行い、ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向けて空気の吹き付けを開始させる。なお、ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向かう空気の吹き付けは、オートアライメント完了後に自動的に開始してもよい。
また、制御部16は、装置本体14の受光センサ24cから得られる受光信号の大きさの変化に基づき、角膜Ecの表面が平面になったことを判断する。すなわち、制御部16は、角膜Ecの圧平を検出する。そして、制御部16は、角膜Ecが圧平されたタイミングにおける圧力センサ34cからの出力(吹き付けた空気の圧力)に基づいて、角膜Ecの眼圧を求め(眼圧値を算出し)、算出結果(眼圧値)を表示部15に表示させる。なお、制御部16は、吹付機構34およびノズル21bによる空気の吹き付け開始時点から角膜Ecの表面が平面になったことを検知した時点までの時間に基づいて、角膜Ecの眼圧を求めてもよい。
以下に、制御部16による眼圧の算出について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
図4は、角膜の表面の圧平状態の検出および眼圧の算出を説明するための説明図である。
なお、図4中の実線は、受光センサ24cから出力された受光信号の信号強度を示している。図4中の点線は、吹付機構34のチャンバ34aの内圧を示す。つまり、図4中の点線は、圧力センサ34cから出力された圧力信号の信号強度を示している。
図4に示すように、吹付機構34によりノズル21bから角膜Ecに向けて空気が吹き付けられると、被検眼Eの角膜Ecの表面は変形する。そして、被検眼Eの角膜Ecの表面は、チャンバ34aの内圧の増加に伴って徐々に平らな状態(圧平状態)に近づき、チャンバ34aの内圧が所定の圧力になると平らな状態になる。そして、角膜Ecの表面が平らな状態になったときには、角膜Ecの表面において反射され圧平検出光学系24に進行してきたXYアライメント指標光の反射光の全体が、ピンホール板24bを通して受光センサ24cに導かれる。一方で、角膜Ecの表面が平らな状態ではないときには、角膜Ecの表面において反射されたXYアライメント指標光の反射光は、ピンホール板24bで部分的に遮られ、受光センサ24cに導かれる。つまり、角膜Ecの表面が平らな状態ではないときには、XYアライメント指標光の反射光の一部が、ピンホール板24bを通して受光センサ24cに導かれる。
なお、本実施形態の圧平検出光学系24では、角膜Ecの表面が圧平状態から凹状態を経て凸状態に復元する途中において平らな状態になった場合にも、XYアライメント指標光の反射光の全体がピンホール板24bを通して受光センサ24cに導かれる。
そして、制御部16は、受光センサ24cで受光した受光信号の信号強度が最大となった時点(図4中の縦方向の一点鎖線参照)を検出することにより、角膜Ecの表面が平面になったこと(圧平)を検出することができる。これにより、制御部16は、空気の吹き付けにより変形した角膜Ecの圧平状態を検出することができる。そして、制御部16は、角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧(図4中の横方向の一点鎖線参照)に基づいて、角膜Ecの眼圧を算出する。
ここで、作動距離WDは、一般的に10mm~11mm前後に設定されている。しかし、被検者は、10mm~11mm前後の作動距離WDを不快に感ずることがある。すなわち、被検者は、空気が被検眼Eの角膜Ecに吹き付けられることに恐怖を感じたり、被検者のまつげがノズルの先端に接触したりすることを理由として、被検眼Eに接近して設置されたノズルを不快に感ずることがある。そうすると、被検者は、眼圧測定装置による眼圧測定の際に、目を開けていられなかったり、目をノズルから逸らしたりする。そうすると、眼圧測定装置による眼圧測定の際に、より多くの時間を要することがある。
また、作動距離WDが変更されると、被検眼Eの角膜Ecに吹き付けられる空気の圧力が変わる。そのため、作動距離WDが変更されると、一般的な作動距離の場合と比較して、眼圧の測定結果が変わる。例えば、一般的な作動距離よりも長い距離が作動距離WDに設定されると、一般的な作動距離の場合と比較して、被検眼Eの角膜Ecに吹き付けられる空気の圧力が低くなる。そのため、一般的な作動距離の場合と同程度の変形を被検眼Eの角膜Ecに生じさせるためには、ノズル21bから吹き出される空気の圧力を高くする必要がある。すなわち、図4に示した二点鎖線のように、角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧は、一般的な作動距離の場合よりも高くなる。このように、被検者に与える不快感を抑えるために作動距離WDが変更されると、眼圧測定の精度が低下することがある。
これに対して、本実施形態に係る眼圧測定装置10では、制御部16は、角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧を作動距離WDに応じて補正して眼圧を算出する。制御部16がチャンバ34aの内圧を作動距離WDに応じて補正して眼圧を算出する具体例については、後述する。
本実施形態に係る眼圧測定装置10によれば、駆動機構13は、装置本体14を主光軸(光軸O1)に平行な方向に移動させて、ノズル21bの先端開口と被検眼Eの角膜頂点Epとの間の作動距離WDを変更することができる。そのため、空気が被検眼Eに吹き付けられるときの恐怖を低減したり、被検者のまつげがノズル21bの先端に接触することを抑えたりすることができる。これにより、眼圧測定装置10による眼圧測定の際に被検者に与える不快感を抑えることができる。また、制御部16は、角膜Ecが圧平状態になったときのチャンバ34aの内圧を作動距離WDに応じて補正して眼圧を算出する。そのため、作動距離WDが駆動機構13により変更された場合であっても、作動距離WDに応じて補正された眼圧の測定結果が得られる。これにより、本実施形態に係る眼圧測定装置10は、測定精度の低下を抑えることができる。
図5は、本実施形態に係る眼圧測定装置による眼圧測定の例を例示するフローチャートである。
まず、ステップS11において、検者は、被検者の顔を顔支持部12で支持するとともに、眼圧測定装置10を起動させる。これにより、ステップS12において、制御部16は、前眼部照明光源21aと、XYアライメント用光源22aと、固視標用光源23aと、Zアライメント用光源25aと、を適宜点灯させる。なお、この際に、制御部16は、前眼部照明光源21aと、XYアライメント用光源22aと、固視標用光源23aと、Zアライメント用光源25aと、を互いに異なる周期で点滅させることにより、いずれの光源から放射された光であるかを識別可能にしてもよい。
続いて、制御部16が前眼部照明光源21aを点灯させることで、被検眼Eの前眼部の像が前眼部観察光学系21の撮像素子21iにより撮像される。そして、前眼部の撮像信号が制御部16へ出力される。これにより、ステップS13において、制御部16は、前眼部の観察像を表示部15に表示させる。
また、制御部16が固視標用光源23aを点灯させることで、固視標が被検眼Eに投影される。そのため、眼圧測定の間、被検眼Eを固視させる、すなわち被検者の視線を固定することができる。
さらに、制御部16がXYアライメント用光源22aを点灯させることで、XYアライメント視標光が被検眼Eの角膜Ecに正面から投影される。また、XYアライメント視標光の輝点像が前眼部像に重ねて撮像素子21iにより撮像される。これにより、制御部16は、前眼部の観察像とXYアライメント視標光の輝点像とにアライメント補助マークを重畳して表示部15に表示させる。そして、検者は、輝点像が表示部15の画面内に映るように、表示部15に表示される位置調整画面をタッチ操作する。なお、装置本体14の位置調整用の操作部(不図示)が設けられている場合には、検者は操作部を操作してもよい。制御部16は、検者による操作を受けて、Y軸駆動部13aおよびX軸駆動部13cを駆動して、装置本体14をXYZ軸方向(左右上下前後方向)に移動させる概略アライメントを行う。
続いて、制御部16は、前眼部観察光学系21の撮像素子21iの撮像信号から、装置本体14と角膜EcとのXY方向での位置関係を演算した結果に基づき、Y軸駆動部13aおよびX軸駆動部13cを駆動して、装置本体14のXY軸方向の位置を自動調整するXYアライメントを行う。
また、制御部16がZアライメント用光源25aを点灯させることで、赤外光が被検眼Eの角膜Ecに対して斜め方向から投影される。そして、角膜Ecで反射された赤外光の反射光により形成される輝点像がZアライメント検出光学系26の受光センサ26cで受光される。受光センサ26cは、輝点像の受光信号を制御部16へ出力する。これにより、制御部16は、XYアライメント後、受光センサ26cで得られる受光信号から、装置本体14と角膜EcとのZ軸方向の位置関係を演算した結果に基づき、Z軸駆動部13bを駆動して、装置本体14のZ軸方向の位置を自動調整するZアライメントを行う。
以上で、ステップS14において、被検眼Eに対するXYZ軸方向のオートアライメントが完了する。なお、Zアライメントについては既述の通り、検者が手動で行ってもよい。
XYZ軸方向のオートアライメントが完了すると、Zアライメント検出光学系26の受光センサ26cは、ノズル21bの先端開口と角膜頂点Epとの間のZ軸方向における作動距離WDに応じた信号を制御部16へ出力する。つまり、ステップS15において、制御部16は、作動距離WDに関する信号を受光センサ26cから受信する。
続いて、検者は、オートアライメント完了を確認した後、測定開始操作を行ってノズル21bによる空気の吹き付けを開始させる。ステップS16において、制御部16は、検者による操作を受けて、吹付機構34の空気圧縮駆動部34dを駆動して、ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向けて空気を吹き出させる。なお、ノズル21bからの空気の吹き付けは、オートアライメント完了後に自動で行われてもよい。
また、ステップS17において、制御部16は、ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向けて空気が吹き付けられているときに、吹付機構34の圧力センサ34cから出力された圧力信号と、装置本体14の受光センサ24cから出力された受光信号と、を受信する。これにより、制御部16は、ノズル21bから被検眼Eの角膜Ecに向けて空気が吹き付けられているときに、チャンバ34aの内圧に関する情報と、受光センサ24cで受光した受光信号の信号強度(受光量)に関する情報と、を取得する。
続いて、ステップS18において、制御部16は、圧力センサ34cから出力された圧力信号に基づいて空気の吹き付けにより変形した角膜Ecの圧平状態を検出する。すなわち、ノズル21bからの空気の吹き付けにより、被検眼Eの角膜Ecの表面が変形して徐々に平らな状態になる。角膜Ecが徐々に平らな状態になる過程において、角膜Ecの表面が平面になった時、圧平検出光学系24の受光センサ24cでの受光量が最大となる。このため、制御部16は、受光センサ24cから得られる受光信号の大きさの変化に基づいて、角膜Ecの表面が平面になったことを判断する。すなわち、制御部16は、受光センサ24cで受光した受光信号の信号強度(受光量)が最大となった時点(図4中の縦方向の一点鎖線参照)を検出することにより、角膜Ecの圧平状態を検出する。
続いて、ステップS19において、制御部16は、角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧を作動距離WDに応じて補正して眼圧を算出する。続いて、ステップS20において、制御部16は、眼圧の測定結果を表示部15に表示させる。なお、制御部16は、必要に応じて眼圧の測定結果のデータを外部のデータベースに転送したり、内蔵プリンタまたは外部プリンタに出力したりすることも可能である。
次に、本実施形態の制御部16がチャンバ34aの内圧を作動距離WDに応じて補正して眼圧を算出する具体例を、図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態の制御部が眼圧を算出する第1具体例を説明するための説明図である。
なお、図6中のX軸は、本実施形態に係る眼圧測定装置10におけるZ軸に相当する。
図6は、ノズル21bの先端開口から被検眼Eの角膜Ecに向かって吹き出される空気Fの状態の例を表している。ノズル21bの先端開口から吹き出される空気Fの挙動を厳密に求めるためには、Reynolds Averaged Navier-Stokes方程式を有限体積法などで数値解析することが必要である。但し、本具体例では、空気Fの挙動などの概略を把握するために、図6中のX軸の垂直方向面内(図中r方向)で、流速分布がガウス分布形状に広がりながらコーン型でX軸方向に伝搬すると近似する。図6に示すように、流速分布がコーン型で伝搬すると仮定すると、コーンの先端すなわち空気Fの出射源(吹出源)は、ノズル21bよりも内側に存在する。
ここで、本発明者が得た知見によれば、ノズル21bの先端開口から吹き出される空気Fの出射角は、空気Fの初期速度、ノズル21bの先端開口の面積、および流体の種類によらず11.8°である。出射角が11.8°であるとすると、コーンの先端(Virtual origin)は、ノズル21bの先端よりも2.5dだけ内側の位置に存在する。この点を原点(x,y)=(0,0)とすると、任意の位置xでの流速分布の半径Rは、R=x/5である。なお、図6中の「d」は、ノズル21bの先端開口の直径(内径)を表す。
流体の速度分布がガウス分布形状に広がるとすると、空気Fの速度分布は以下の式で表される。
ガウス分布の特徴により、直径2R(半径R)と標準偏差σとの間には、2R=4σの関係式が成立する。ここで、前述した式:R=x/5を用いると、σ=1/10の関係式が導き出される。この式を流速の式(1)に代入すると、以下の式が導き出される。
周囲からの影響が全くないと仮定すると、流体の運動量はいずれの地点でも保存される。そのため、任意の位置での、流体のモーメントは、以下の式で定義される。
式(3)中の「ρ」は、流体(本実施形態では空気F)の密度である。
任意の位置のモーメントは、ノズル21bの先端開口の位置における流体のモーメントに等しい。そのため、以下の式が導き出される。
式(4)中の「U」は、ノズル21bの先端開口における流体の平均速度である。平均速度Uは、外部の影響がない限りにおいて一定である。
式(3)および式(4)が互いに等しいとしてu
maxを導くと、以下の式が導き出される。
式(5)は、距離xが大きくなるほど、X軸上の流速が減少することを意味する。
本具体例において、静圧を省略して考えると、流体が流れるときの圧力(動圧)は、以下の式で表される。
前述したように、式(6)中の「ρ」は、流体(本実施形態では空気F)の密度である。式(6)より、流体の圧力pは、流速uの二乗に比例していることが分かる。
式(5)より、流体速度は、コーンの先端(Virtual origin:原点)からの距離に反比例する。また、式(6)より、流体圧力は、流体速度の二乗に比例する。これにより、最終的に、以下の式が導き出される。
式(7)より、流体圧力は、原点からの距離の2乗に反比例することが分かる。ここで、現実的には種々の要因により、現実値が理論値から外れることがある。そのため、以下の式のように、補正値Aを乗ずることが好ましい。
式(8)より、流体圧力と伝搬距離との間の関係式が導き出される。
前述したように、式(8)中の「U」は、ノズル21bの先端開口における流体の平均速度である。ノズル21bの先端開口における流体の平均速度Uは、圧力センサ34cから出力された圧力信号に基づいたチャンバ34aの内圧と、式(6)と、により導き出される。以上により、式(8)は、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力と、の関係を表す関係式である。式(8)は、制御部16の記憶部16aに格納されている。本具体例の制御部16は、記憶部16aに格納された関係式(8)を参照し、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、に基づいて、角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力を算出する。
また、本発明が得た知見によれば、被検眼Eの眼圧は、式:P+b=p+sにより表される。式中の「P」は、眼圧である。式中の「b」は、被検眼Eの弾性応力である。式中の「p」は、角膜Ecに吹き付けられる流体の圧力である。式中の「s」は、涙液の表面張力である。これにより、被検眼Eの弾性応力bおよび涙液の表面張力sが分かっている場合には、制御部16は、記憶部16aに格納された関係式(8)を参照し、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、に基づいて角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力pを算出して、式:P+b=p+sにより眼圧Pを算出する。
本具体例によれば、検者は、Z軸方向のアライメント調整を行う際に、作動距離WDを意識することなく、より広い作動距離WDを確保することができるとともに、高い精度の眼圧測定を行うことができる。つまり、検者は、より高い自由度を持って作動距離WDを調整することができるとともに、高い精度の眼圧測定を行うことができる。これにより、本具体例に係る眼圧測定装置10は、作動距離WDに対する選択の自由度を高めることができるとともに、作動距離WDにかかわらず高い精度の眼圧測定を行うことができる。
なお、本具体例では、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力と、の関係を表す関係式として、式(8)を例に挙げた。但し、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力と、の関係を表す関係式は、式(8)には限定されない。式(8)は、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力と、の関係を表す関係式の一例である。また、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力と、の関係は、関係式ではなく関係テーブルにより表されていてもよい。すなわち、記憶部16aは、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力と、の関係を表す関係テーブルを格納していてもよい。この場合には、制御部16は、記憶部16aに格納された関係テーブルを参照し、チャンバ34aの内圧と、作動距離WDと、に基づいて角膜Ecに吹き付けられる空気Fの圧力pを算出して、式:P+b=p+sにより眼圧Pを算出する。
図7および図8は、本実施形態の制御部が眼圧を算出する第2具体例を説明するための説明図である。
なお、図7は、作動距離WDが一定(例えば、作動距離WD=D11)である場合において、チャンバ34aの内圧と、眼圧と、の関係を表す関係テーブルである。図8は、眼圧が予め規定された模擬眼を用いて導かれた関係テーブルであり、作動距離WDと、チャンバ34aの内圧と、チャンバ34aの内圧同士の比率と、の関係を表す関係テーブルである。
図7に示す関係テーブルは、例えば、眼圧が予め規定された複数の模擬眼を用いて作成される。すなわち、作動距離WDが一定(例えば、作動距離WD=D11)である状態において、制御部16は、受光センサ24cから得られる受光信号の大きさの変化に基づいて、模擬眼の角膜Ecの表面が平面になったことを判断し、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧を記憶部16aに記憶する。模擬眼の眼圧が予め規定されているため、制御部16は、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、を関連付けて記憶部16aに記憶することにより、図7に示す関係テーブルを作成することができる。
例えば、眼圧P1の模擬眼が使用された場合において、制御部16は、模擬眼の眼圧P1と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin1と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、眼圧P2の模擬眼が使用された場合において、制御部16は、模擬眼の眼圧P2と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin2と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、眼圧P3の模擬眼が使用された場合において、制御部16は、模擬眼の眼圧P3と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin3と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、眼圧P4の模擬眼が使用された場合において、制御部16は、模擬眼の眼圧P4と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin4と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。
なお、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、の関係は、4つに限定されるわけではない。使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、の関係は、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。制御部16は、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、の複数の関係を関係テーブルとして関連付けて記憶部16aに記憶する。
図8に示す関係テーブルは、例えば、眼圧が予め規定された1つの模擬眼を用いて作成される。すなわち、作動距離WDが複数の値に設定される状態において、制御部16は、受光センサ24cから得られる受光信号の大きさの変化に基づいて、模擬眼の角膜Ecの表面が平面になったことを判断し、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧を記憶部16aに記憶する。模擬眼の眼圧が予め規定されているため、制御部16は、作動距離WDと、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、を関連付け、さらに任意の作動距離WDを基準としたときのチャンバ34aの内圧同士の比率を算出して記憶部16aに記憶することにより、図8に示す関係テーブルを作成することができる。
例えば、作動距離WDが「D11」に設定された場合において、制御部16は、作動距離WD(D11)と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin11と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、作動距離WDが「D12」に設定された場合において、制御部16は、作動距離WD(D12)と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin12と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、作動距離WDが「D13」に設定された場合において、制御部16は、作動距離WD(D13)と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin13と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、作動距離WDが「D14」に設定された場合において、制御部16は、作動距離WD(D14)と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin14と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。
さらに、制御部16は、例えば、作動距離WDが「D11」に設定されたときのチャンバ34aの内圧Pin11を基準として、チャンバ34aの内圧Pin11に対するチャンバ34aの内圧Pin12の比率Pin12/Pin11と、チャンバ34aの内圧Pin11に対するチャンバ34aの内圧Pin13の比率Pin13/Pin11と、チャンバ34aの内圧Pin11に対するチャンバ34aの内圧Pin14の比率Pin14/Pin11と、をそれぞれの作動距離WD(D12、D13、D14)に関連付けて記憶部16aに記憶する。本具体例の比率(1、Pin12/Pin11、Pin13/Pin11、およびPin14/Pin11)は、本発明の「関係比率」の一例である。
なお、作動距離WDと、チャンバ34aの内圧と、チャンバ34aの内圧同士の比率と、の関係は、4つに限定されるわけではない。作動距離WDと、チャンバ34aの内圧と、チャンバ34aの内圧同士の比率と、の関係は、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。制御部16は、作動距離WDと、チャンバ34aの内圧と、チャンバ34aの内圧同士の比率と、の複数の関係を関係テーブルとして関連付けて記憶部16aに記憶する。
本具体例において、制御部16は、記憶部16aに格納された図7に示す関係テーブルおよび図8に示す関係テーブルを参照し、作動距離WDに基づいた比率を用いて眼圧を算出する。例えば、作動距離WDが「D12」に設定された場合において、制御部16が被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧が「Pin2」であるときには、眼圧P2に比率Pin12/Pin11の逆数Pin11/Pin12を乗ずることにより眼圧(P2*Pin11/Pin12)を算出する。例えば、作動距離WDが「D13」に設定された場合において、制御部16が被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧が「Pin2」であるときには、眼圧P2に比率Pin13/Pin11の逆数Pin11/Pin13を乗ずることにより眼圧(P2*Pin11/Pin13)を算出する。例えば、作動距離WDが「D14」に設定された場合において、制御部16が被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧が「Pin2」であるときには、眼圧P2に比率Pin14/Pin11の逆数Pin11/Pin14を乗ずることにより眼圧(P2*Pin11/Pin14)を算出する。
本具体例によれば、眼圧が予め規定された模擬眼を用いて導かれた関係テーブル(図7および図8参照)が記憶部16aに格納されている。図8に示す関係テーブルは、作動距離WDに応じたチャンバ34aの内圧同士の比率を表している。つまり、任意の作動距離WD(本具体例ではD11)におけるチャンバ34aの内圧を基準として、他の作動距離WDに応じたチャンバ34aの内圧の比率が関係テーブルにより導かれる。そして、制御部16は、記憶部16aに格納された関係テーブルを参照し、作動距離WDに基づいた比率を用いて眼圧を算出する。このようにして、制御部16は、チャンバ34aの内圧を作動距離WDに応じて補正して眼圧を算出する。これにより、本具体例に係る眼圧測定装置10は、不確定要素の影響や眼圧測定装置10の個体差などを抑えつつ、現実に即した高い精度の眼圧測定を行うことができる。
なお、本具体例において、制御部16が眼圧を算出する方法(計算式)は、模擬眼の眼圧に比率の逆数を乗ずることには限定されない。制御部16が作動距離WDに基づいた比率を用いて眼圧を算出する限りにおいて、チャンバ34aの内圧同士の比率の計算方法は、特には限定されない。また、作動距離WDと、チャンバ34aの内圧同士の比率と、の関係は、関係テーブルではなく関係式により表されていてもよい。すなわち、記憶部16aは、作動距離WDと、チャンバ34aの内圧同士の比率と、の関係を表す関係式を格納していてもよい。この場合には、制御部16は、記憶部16aに格納された関係式を参照し、作動距離WDに基づいた比率を用いて眼圧を算出する。
図9および図10は、本実施形態の制御部が眼圧を算出する第3具体例を説明するための説明図である。
図9は、作動距離WDが一定(作動距離WD=D21)である場合において、チャンバ34aの内圧と、眼圧と、の関係を表す関係テーブルである。図10は、作動距離WDが一定(作動距離WD=D22)である場合において、チャンバ34aの内圧と、眼圧と、の関係を表す関係テーブルである。作動距離WDについては、「D21≠D22」の関係式が成立する。本具体例では、制御部16は、作動距離WDが「D21」に設定された場合において、図9に示す関係テーブルに基づいて眼圧を算出する第1眼圧測定モードを実行し、作動距離WDが「D22」に設定された場合において、図10に示す関係テーブルに基づいて眼圧を算出する第2眼圧測定モードを実行する。
図9に示す関係テーブルは、例えば、眼圧が予め規定された複数の模擬眼を用いて作成される。すなわち、作動距離WDが「D21」に設定された状態において、制御部16は、受光センサ24cから得られる受光信号の大きさの変化に基づいて、模擬眼の角膜Ecの表面が平面になったことを判断し、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧を記憶部16aに記憶する。模擬眼の眼圧が予め規定されているため、制御部16は、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、を関連付けて記憶部16aに記憶することにより、図9に示す関係テーブルを作成することができる。
例えば、眼圧P21の模擬眼が使用された場合において、制御部16は、模擬眼の眼圧P21と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin21と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、眼圧P22の模擬眼が使用された場合において、制御部16は、模擬眼の眼圧P22と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin22と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、眼圧P23の模擬眼が使用された場合において、制御部16は、模擬眼の眼圧P23と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin23と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。また、眼圧P24の模擬眼が使用された場合において、制御部16は、模擬眼の眼圧P24と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧Pin24と、を関連付けて記憶部16aに記憶する。
そして、作動距離WDが「D21」に設定された場合において、制御部16は、図9に示す関係テーブルに基づいて眼圧を算出する第1眼圧測定モードを実行する。例えば、制御部16は、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧が「Pin21」であるときには、第1眼圧測定モードに関する関係テーブル(図9参照)を参照し、眼圧P21を算出する。また、制御部16は、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧が「Pin22」であるときには、第1眼圧測定モードに関する関係テーブル(図9参照)を参照し、眼圧P22を算出する。また、制御部16は、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧が「Pin23」であるときには、第1眼圧測定モードに関する関係テーブル(図9参照)を参照し、眼圧P23を算出する。また、制御部16は、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧が「Pin24」であるときには、第1眼圧測定モードに関する関係テーブル(図9参照)を参照し、眼圧P24を算出する。
図10に示す関係テーブルは、例えば、眼圧が予め規定された複数の模擬眼を用いて作成される。すなわち、作動距離WDが「D22」に設定された状態において、制御部16は、受光センサ24cから得られる受光信号の大きさの変化に基づいて、模擬眼の角膜Ecの表面が平面になったことを判断し、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧を記憶部16aに記憶する。模擬眼の眼圧が予め規定されているため、制御部16は、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、を関連付けて記憶部16aに記憶することにより、図10に示す関係テーブルを作成することができる。模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、模擬眼の眼圧と、の関連付けは、図9に関して前述した通りである。
そして、作動距離WDが「D22」に設定された場合において、制御部16は、図10に示す関係テーブルに基づいて眼圧を算出する第2眼圧測定モードを実行する。例えば、制御部16は、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧が「Pin31」であるときには、第2眼圧測定モードに関する関係テーブル(図10参照)を参照し、眼圧P31を算出する。すなわち、第2眼圧測定モードにおける眼圧の算出方法は、第1眼圧測定モードにおける眼圧の算出方法と同様である。
本具体例によれば、制御部16は、第1眼圧測定モードと、第2眼圧測定モードと、を実行可能である。第1眼圧測定モードでは、制御部16は、チャンバ34aの内圧と、作動距離WD(D21)と、眼圧と、の関係を表す関係テーブル(図9参照)に基づいて眼圧を算出する。第2眼圧測定モードでは、制御部16は、チャンバ34aの内圧と、作動距離WD(D22)と、眼圧と、の関係を表す関係テーブル(図10参照)に基づいて眼圧を算出する。つまり、制御部16は、作動距離WDに応じて異なる眼圧測定モードを実行し、チャンバ34aの内圧を作動距離WDに応じて補正して眼圧を算出する。これにより、本具体例に係る眼圧測定装置10は、簡易的な構成により、被検者に与える不快感を抑えることができるとともに、測定精度の低下を抑えることができる。
例えば、作動距離WDについて「D21<D22」の関係式が成立する場合には、第1眼圧測定モードは「通常モード」として利用され、第2眼圧測定モードは「恐怖低減モード」として利用される。あるいは、図4に関して前述したように、相対的に長い距離が作動距離WDに設定されると、被検眼Eの角膜Ecに吹き付けられる空気の圧力が相対的に低くなる。言い換えれば、相対的に短い距離が作動距離WDに設定されると、被検眼Eの角膜Ecに吹き付けられる空気の圧力が相対的に高くなる。そのため、作動距離WDについて「D21<D22」の関係式が成立する場合には、第1眼圧測定モードは「高眼圧測定モード」として利用され、第2眼圧測定モードは「正常眼圧測定モード」として利用されてもよい。
なお、図9および図10に示す関係テーブルにおいて、作動距離WDと、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、の関係は、4つに限定されるわけではない。作動距離WDと、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、の関係は、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。制御部16は、作動距離WDと、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、の複数の関係を関係テーブルとして関連付けて記憶部16aに記憶する。また、作動距離WDと、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、の関係は、関係テーブルではなく関係式により表されていてもよい。すなわち、記憶部16aは、作動距離WDと、使用された模擬眼の眼圧と、模擬眼の角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、の関係を表す関係式を格納していてもよい。この場合には、制御部16は、記憶部16aに格納された関係式を参照し、作動距離WDと、被検眼Eの角膜Ecの圧平状態を検出したときのチャンバ34aの内圧と、に基づいて眼圧を算出する。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。