JP7203013B2 - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品に関する。
電子部品としては、配線板や、配線板に固定される能動部品や受動部品等がある。配線板には、絶縁基材に導電体の配線を施して能動部品、受動部品等を接続固定するものがあり、用途に応じて、絶縁層および導体層を多層化したり、可撓性のある絶縁基材を用いたりする場合があり、電子機器においては重要な電子部品となっている。また、配線板は、半導体パッケージにも使用され、配線板用硬化性樹脂組成物やドライフィルムは、配線板や半導体実装後の外層として使用されている。能動部品、受動部品としては、トランジスター、ダイオード、抵抗、コイル、コンデンサーなどが挙げられる。
近年では、電子機器の小型化に伴い、電子部品に対する要求特性が厳しくなっている。配線板について配線の高密度化が要求されてきており、配線や部品接続部の信頼性確保のために、配線板の材料には低い熱膨張性が求められてきている。能動部品、受動部品も小型化、高集積化が要求され、同様に信頼性確保のために低い熱膨張性が求められてきている。
低い熱膨張性を達成する手法として、例えば、特許文献1には、無機フィラーを樹脂に充填させて低い熱膨張率を得る手法が提案されている。
特開2001-72834号公報
しかしながら、特許文献1に記載の材料では、所望の低熱膨張率を得るためには無機フィラーを大量に充填しなくてはならず、硬化物の物性に劣るという問題があった。
さらに、本発明者らは、特許文献1に記載の材料では、200℃を超えるような部品実装時の温度領域では大きな熱膨張率となってしまい、信頼性確保のためには効果がないという新たな問題があることに気付いた。
そこで本発明の目的は、部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持できる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体とともに、活性エステル化合物を用いることで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物は、少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体(以下、単に「微細粉体」とも称する)と、活性エステル化合物と、を含むことを特徴とするものである。本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、フィラーを含むことが好ましい。
本発明のドライフィルムは、上記硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布、乾燥されてなる樹脂層を有することを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、上記硬化性樹脂組成物、または、上記ドライフィルムの前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とするものである。
本発明の電子部品は、上記硬化物を備えることを特徴とするものである。
ここで、本発明において、微細粉体としては、特に形状に制限はなく、繊維状、鱗片状、粒状などの形状のものを用いることができ、「少なくとも一次元が100nmより小さい」とは、一次元、二次元および三次元のいずれかが100nmより小さいことを意味する。例えば、繊維状の微細粉体の場合は、二次元が100nmより小さく、残る一次元への広がりを有するものが挙げられ、鱗片状の微細粉体の場合は、その一辺が100nmより小さく、残る二次元への広がりを有するものが挙げられ、粒状の微細粉体の場合は、三次元とも100nmより小さいものが挙げられる。
また本発明において、微細粉体における一次元、二次元および三次元の大きさは、微細粉体をSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)やTEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)やAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)等で観察し測定することができる。
例えば、鱗片状の微細粉体の場合、最も小さい一次元である厚みの平均値を測定して、この平均厚みを100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にあり、かつ、厚みが測定可能な微細粉体をランダムに12点抽出して、最も厚い微細粉体と最も薄い微細粉体を除去した後、残る10点の厚みを測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
繊維状の微細粉体の場合、最も小さい2次元である繊維径の平均値を測定して、この平均繊維径を100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にある微細粉体をランダムに12点抽出して、最も太い繊維径と最も細い繊維径の微細粉体を除去した後、残る10点の繊維径を測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
粒状の微細粉体の場合、粒径の平均値を測定して、この平均粒径を100nmより小さいものとする。具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にある微細粉体をランダムに12点抽出して、最も大きい粒径と最も小さい粒径の微細粉体を除去した後、残る10点の粒径を測定して、平均した値が100nmより小さいものとする。
繊維状や鱗片状などの他の次元への広がりがある微細粉体では、その広がりは、例えば、1000nm未満、好ましくは650nm未満、さらに好ましくは450nm未満である。広がりが1000nm未満であれば、微細粉体どうしのインタラクションによる補強効果を効果的に得ることができる。
本発明によれば、部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持できる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
また本発明によれば、上記硬化性樹脂組成物を用いたドライフィルム、硬化物および電子部品を提供することができる。
本発明の電子部品の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図である。 実施例で用いた試験基板を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、微細粉体と、活性エステル化合物と、を含むことを特徴とする。
このような構成とすることにより、200℃を超えるような部品実装時の温度領域でも低い熱膨張率を維持することができ、さらに、比誘電率および誘電正接を低下させて、低誘電特性を有する電子部品を得ることができる。
[微細粉体]
本発明に用いる微細粉体とは、少なくとも一次元が100nmよりも小さい粉体であり、前述したように、微細な球状に近いものだけではなく、断面の径が100nmよりも小さい繊維状のものや、厚みが100nmよりも小さいシート状(鱗片状)のものなども含まれる。このような微細粉体は、三次元のいずれもが100nm以上であるものに比較して、単位質量当りの表面積がはるかに大きくなり、表面に露出する原子の割合が増大する。そのため、微細粉体がお互いに引き合うようなインタラクションをとって補強効果が発現し、熱膨張性が低下すると考えられる。この効果は、微細粉体の中でも親水性のものが顕著に発現する。
微細粉体としては、少なくとも一次元が100nmよりも小さな粒子であればよく、材質は特に限定されない。微細粉体としては、例えば、フラーレン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブなどの炭素系、銀、金、鉄、ニッケル、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、シリカ、水酸化アルミニウムなどの無機系などが挙げられ、有機物をナノチューブ、ナノワイヤー、ナノシート状に加工したもの、クレー、スメクタイト、ベントナイトなどの鉱物系、また、植物の繊維を開繊した微細セルロース繊維およびセルロース原料から結晶部分のみを単離したセルロースナノクリスタル粒子、甲殻類などから得られたキチンを開繊した微細キチン、さらにアルカリ処理した微細キトサンなどが挙げられ、このうち2種以上を併用してもよい。これらの中で親水性の微細粉体としては、酸化チタンなどの金属酸化物微粒子、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物微粒子、クレーなどの鉱物系微粒子、微細セルロース繊維、微細キチンなどが挙げられる。このような微細粉体の中でも、特に、補強効果および取扱いの容易さの観点から、微細セルロース繊維が望ましい。また、セルロースナノクリスタル粒子も好ましい。
以上説明したような微細粉体として、親水性の微細粉体を用いる場合、その粒子を疎水化処理したり、カップリング剤を用いた表面処理などを施すことが好ましい。このような処理は、微細粉体に適した公知慣用の方法を用いることができる。
本発明における微細粉体の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好適には0.04~64質量%、より好適には0.08~30質量%、さらに好適には、0.1~10質量%である。微細粉体の配合量が0.04質量%以上の場合、線膨張係数の低減効果を良好に得ることができる。一方、64質量%以下の場合、製膜性が向上する。
(微細セルロース繊維)
本発明に係る微細粉体のうち、微細セルロース繊維は、以下のようにして得ることができるが、これらのものに限定されるものではない。
微細セルロース繊維の原材料としては、木材や麻、竹、綿、ジュート、ケナフ、ビート、農産物残廃物、布等の天然植物繊維原料から得られるパルプ、レーヨンやセロファン等の再生セルロース繊維等を用いることができ、中でも特に、パルプが好適である。パルプとしては、植物原料を化学的若しくは機械的に、または、両者を併用してパルプ化することにより得られるクラフトパルプや亜硫酸パルプ等のケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、ケミグランドパルプ、ケミメカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、リファイナーメカニカルパルプ、砕木パルプおよびこれらの植物繊維を主成分とする脱墨古紙パルプ、雑誌古紙パルプ、段ボール古紙パルプなどを用いることができる。中でも、繊維の強度が強い針葉樹由来の各種クラフトパルプ、例えば、針葉樹未漂白クラフトパルプ、針葉樹酸素晒し未漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプが特に好適である。
上記原材料は主としてセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンから構成され、このうちリグニンの含有量は通常0~40質量%程度、特には0~10質量%程度である。これらの原材料については、必要に応じ、リグニンの除去ないし漂白処理を行って、リグニン量の調整を行うことができる。なお、リグニン含有量の測定は、Klason法により行うことができる。
植物の細胞壁の中では、セルロース分子が単分子ではなく規則的に凝集して数十本集まった結晶性を有するミクロフィブリル(微細セルロース繊維)を形成しており、これが植物の基本骨格物質となっている。よって、上記原材料から微細セルロース繊維を製造するためには、上記原材料に対し、叩解ないし粉砕処理、高温高圧水蒸気処理、リン酸塩等による処理、N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理等を施すことにより、その繊維をナノサイズまで解きほぐす方法を用いることができる。
上記のうち叩解ないし粉砕処理は、上記パルプ等の原材料に対し直接力を加えて、機械的に叩解ないし粉砕を行い、繊維を解きほぐすことで、微細セルロース繊維を得る方法である。より具体的には、例えば、パルプ等を高圧ホモジナイザー等により機械的に処理して、繊維径0.1~10μm程度に解きほぐしたセルロース繊維を0.1~3質量%程度の水懸濁液とし、さらに、これをグラインダー等で繰り返し磨砕ないし融砕処理することにより、繊維径10~100nm程度の微細セルロース繊維を得ることができる。
上記磨砕ないし融砕処理は、例えば、栗田機械製作所製グラインダー「ピュアファインミル」等を用いて行うことができる。このグラインダーは、上下2枚のグラインダーの間隙を原料が通過するときに発生する衝撃、遠心力および剪断力により、原料を超微粒子に粉砕する石臼式粉砕機であり、剪断、磨砕、微粒化、分散、乳化およびフィブリル化を同時に行うことができるものである。また、上記磨砕ないし融砕処理は、増幸産業(株)製超微粒磨砕機「スーパーマスコロイダー」を用いて行うこともできる。スーパーマスコロイダーは、単なる粉砕の域を超えて融けるように感じるほどの超微粒化を可能にした磨砕機である。スーパーマスコロイダーは、間隔を自由に調整できる上下2枚の無気孔砥石によって構成された石臼形式の超微粒磨砕機であり、上部砥石は固定であり、下部砥石が高速回転する。ホッパーに投入された原料は遠心力によって上下砥石の間隙に送り込まれ、そこで生じる強大な圧縮、剪断および転がり摩擦力などにより、原材料は次第にすり潰されて、超微粒化される。
また、上記高温高圧水蒸気処理は、上記パルプ等の原材料を高温高圧水蒸気に曝すことによって繊維を解きほぐすことで、微細セルロース繊維を得る方法である。
さらに、上記リン酸塩等による処理は、上記パルプ等の原材料の表面をリン酸エステル化することにより、セルロース繊維間の結合力を弱め、次いで、リファイナー処理を行うことにより、繊維を解きほぐし、微細セルロース繊維を得る処理法である。例えば、上記パルプ等の原材料を50質量%の尿素および32質量%のリン酸を含む溶液に浸漬して、60℃で溶液をセルロース繊維間に十分に染み込ませた後、180℃で加熱してリン酸化を進め、これを水洗した後、3質量%の塩酸水溶液中、60℃で2時間、加水分解処理をして、再度水洗を行い、さらにその後、3質量%の炭酸ナトリウム水溶液中において、室温で20分間程処理することでリン酸化を完了させ、この処理物をリファイナーで解繊することにより、微細セルロース繊維を得ることができる。
そして、上記N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理は、上記パルプ等の原材料を酸化させた後、微細化することにより微細セルロース繊維を得る方法である。
まず、天然セルロース繊維を、絶対乾燥基準で約10~1000倍量(質量基準)の水中に、ミキサー等を用いて分散させることにより、水分散液を調製する。上記微細セルロース繊維の原料となる天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹系パルプや広葉樹系パルプ等の木材パルプ、麦わらパルプやバガスパルプ等の非木材系パルプ、コットンリントやコットンリンター等の綿系パルプ、バクテリアセルロース等を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、これら天然セルロース繊維には、あらかじめ表面積を大きくするために叩解等の処理を施しておいてもよい。
次に、上記水分散液中で、N-オキシル化合物を酸化触媒として用いて、天然セルロース繊維の酸化処理を行う。かかるN-オキシル化合物としては、例えば、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル)の他、4-カルボキシ-TEMPO、4-アセトアミド-TEMPO、4-アミノ-TEMPO、4-ジメチルアミノ-TEMPO、4-フォスフォノオキシ-TEMPO、4-ヒドロキシTEMPO、4-オキシTEMPO、4-メトキシTEMPO、4-(2-ブロモアセトアミド)-TEMPO、2-アザアダマンタンN-オキシル等の、C4位に各種の官能基を有するTEMPO誘導体等を用いることができる。これらN-オキシル化合物の添加量としては、触媒量で十分であり、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で0.1~10質量%となる範囲とすることができる。
上記天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化剤と共酸化剤とを併用する。酸化剤としては、例えば、亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸および過ハロゲン酸並びにそれらの塩、過酸化水素、過有機酸を挙げることができ、中でも、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好適である。また、共酸化剤としては、例えば、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属を用いることができる。酸化剤の使用量は、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で約1~100質量%となる範囲であり、共酸化剤の使用量は、通常、天然セルロース繊維に対し、絶対乾燥基準で約1~30質量%となる範囲である。
上記天然セルロース繊維の酸化処理の際には、水分散液のpHを9~12の範囲で維持することが、酸化反応を効率よく進行させる観点から好ましい。また、酸化処理の際の水分散液の温度は、1~50℃の範囲で任意に設定することができ、温度制御なしで、室温においても反応可能である。反応時間としては、1~240分間の範囲とすることができる。なお、水分散液には、天然セルロース繊維の内部まで薬剤を浸透させて、より多くのカルボキシル基を繊維表面に導入するために、浸透剤を添加することもできる。浸透剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリエチレングルコール型、多価アルコール型等の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
上記天然セルロース繊維の酸化処理の後には、微細化を行うに先立って、水分散液中に含まれる未反応の酸化剤や各種副生成物等の不純物を除去する精製処理を行うことが好ましい。具体的には例えば、酸化処理された天然セルロース繊維の水洗および濾過を繰り返し行う手法を用いることができる。精製処理後に得られる天然セルロース繊維は、通常、適量の水が含浸された状態で微細化処理に供されるが、必要に応じ、乾燥処理を行って、繊維状または粉末状としてもよい。
次に、天然セルロース処理の微細化は、所望に応じ精製処理された天然セルロース繊維を、水等の溶媒中に分散させた状態で行う。微細化処理において使用する分散媒としての溶媒は、通常は水が好ましいが、所望に応じ、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)やエーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)等の水に可溶な有機溶媒を使用してもよく、これらの混合物を用いることもできる。これら溶媒の分散液中の天然セルロース繊維の固形分濃度は、好適には、50質量%以下とする。天然セルロース繊維の固形分濃度が50質量%を超えると、分散に極めて高いエネルギーを必要とするため好ましくない。天然セルロース処理の微細化は、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、叩解機、離解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等の分散装置を使用して行うことができる。
微細化処理により得られる微細セルロース繊維は、所望に応じ、固形分濃度を調整した懸濁液状、または、乾燥させた粉末状とすることができる。ここで、懸濁液状にする場合には、分散媒として水のみを使用してもよく、水と他の有機溶媒、例えば、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用してもよい。
上記天然セルロース繊維の酸化処理および微細化処理により、セルロース分子の構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシル基へと選択的に酸化され、かかるカルボキシル基の含有量が0.1~3mmol/gであるセルロース分子からなる、上記所定の数平均繊維径を有する高結晶性の微細セルロース繊維を得ることができる。この高結晶性の微細セルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有している。これは、かかる微細セルロース繊維が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース分子が表面酸化され微細化されたものであることを意味している。すなわち、天然セルロース繊維は、その生合成の過程において生産されるミクロフィブリルと呼ばれる微細な繊維が多束化して高次な固体構造を構築しており、そのミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、酸化処理によるアルデヒド基またはカルボキシル基の導入によって弱め、さらに、微細化処理を経ることで、微細セルロース繊維が得られる。酸化処理の条件を調整することにより、カルボキシル基の含有量を増減させて、極性を変化させたり、カルボキシル基の静電反発や微細化処理により、微細セルロース繊維の平均繊維径や平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
上記天然セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像の測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14~17°付近と2θ=22~23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。また、微細セルロース繊維のセルロース分子中にカルボキシル基が導入されていることは、水分を完全に除去したサンプルにおいて、全反射式赤外分光スペクトル(ATR)においてカルボニル基に起因する吸収(1608cm-1付近)が存在することにより確認することができる。カルボキシル基(COOH)の場合には、上記の測定において1730cm-1に吸収が存在する。
なお、酸化処理後の天然セルロース繊維にはハロゲン原子が付着または結合しているため、このような残留ハロゲン原子を除去する目的で、脱ハロゲン処理を行うこともできる。脱ハロゲン処理は、過酸化水素溶液やオゾン溶液に酸化処理後の天然セルロース繊維を浸漬することにより、行うことができる。
具体的には、例えば、酸化処理後の天然セルロース繊維を、濃度が0.1~100g/Lの過酸化水素溶液に、浴比1:5~1:100程度、好ましくは1:10~1:60程度(質量比)の条件で浸漬する。この場合の過酸化水素溶液の濃度は、好適には1~50g/Lであり、より好適には5~20g/Lである。また、過酸化水素溶液のpHは、好適には8~11であり、より好適には9.5~10.7である。
なお、水分散液に含まれる微細セルロース繊維の質量に対するセルロース中のカルボキシル基の量[mmol/g]は、以下の手法により評価することができる。すなわち、あらかじめ乾燥質量を精秤した微細セルロース繊維試料の0.5~1質量%水分散液を60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液をpHが約11になるまで滴下して、電気伝導度を測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式を用いて官能基量を決定することができる。この官能基量が、カルボキシル基の量を示す。
官能基量[mmol/g]=V[ml]×0.05/微細セルロース繊維試料[g]
また、本発明において用いる微細セルロース繊維は、化学修飾および/または物理修飾して、機能性を高めたものであってもよい。ここで、化学修飾としては、アセタール化、アセチル化、シアノエチル化、エーテル化、イソシアネート化等により官能基を付加させたり、シリケートやチタネート等の無機物を化学反応やゾルゲル法等によって複合化させたり、または被覆させるなどの方法で行うことができる。化学修飾の方法としては、例えば、シート状に成形した微細セルロース繊維を無水酢酸中に浸漬して加熱する方法が挙げられる。また、N-オキシル化合物を酸化触媒としてセルロース繊維を酸化する処理にて得られた微細セルロース繊維は、分子中のカルボキシル基にアミン化合物や第4級アンモニウム化合物等をイオン結合やアミド結合で修飾させる方法が挙げられる。
物理修飾の方法としては、例えば、金属やセラミック原料を、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)、無電解めっきや電解めっき等のめっき法等により、被覆させる方法が挙げられる。これらの修飾は、上記処理前であっても、処理後であってもよい。
本発明に用いられる微細セルロース繊維の数平均繊維径は、3nm以上であって、100nmより小さいことが望ましい。微細セルロース繊維単繊維の最小径が3nmであるため、3nm未満は実質的に製造できず、また、100nmを超えると、本発明の所期の効果を得るためには過剰に添加する必要があり、製膜性が悪化する。なお、微細セルロース繊維の数平均繊維径は、前述した微細粉体の大きさの測定方法に従って測定することができる。
(セルロースナノクリスタル粒子)
本発明において、セルロースナノクリスタル粒子とは、セルロース原料を高濃度の鉱酸(塩酸、硫酸、臭化水素酸など)で加水分解して非結晶部分を除き結晶部分のみを単離したものであればいずれの粒子をも用いることができる。セルロースナノクリスタル粒子は、具体的には、セルロース原料を、7wt%以上の強酸、好ましくは9wt%以上の強酸、さらに好ましくは硫酸のように高濃度化が容易な強酸で60wt%以上の濃度で加水分解を施すことで得られる非結晶部分を含まない結晶体である。微細粉体としてセルロースナノクリスタル粒子を用いることにより、200℃を超えるような部品実装時の温度領域でも低い熱膨張率を維持しつつ、かつ靱性や耐熱性等の諸特性に優れる硬化物を得ることができる、ポットライフに優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
セルロースナノクリスタル粒子の大きさとしては、平均結晶幅で3~70nm、平均結晶長で100~500nmのものが好ましく、より好ましくは、平均結晶幅で3~50nm、平均結晶長で100~400nm、さらに好ましくは、平均結晶幅で3~10nm、平均結晶長で100~300nmである。ここで、結晶幅とは粒子の短辺の長さをいい、結晶長とは粒子の長辺の長さをいう。このようなセルロースナノクリスタル粒子は、幅や長さがこれよりも大きいものに比較して、単位質量当りの表面積がはるかに大きくなり、表面に露出する原子の割合が増大する。そのため、セルロースナノクリスタル粒子がお互いに引き合うようなインタラクションをとって補強効果が発現し、熱膨張性が低下すると考えられる。
ここで、セルロースナノクリスタル粒子の大きさ(平均結晶幅、平均結晶長)は、SEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)やTEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)やAFM(Atomic Force Microscope;原子間力顕微鏡)等で観察し測定することができる。
具体的には、顕微鏡写真の対角線に線を引き、その近傍にあり、かつ、大きさが測定可能な粒子をランダムに12点抽出して、最も大きい粒子と最も小さい粒子を除去した後、残る10点の大きさ(結晶幅、結晶長)を測定して、それぞれの平均した値がセルロースナノクリスタル粒子の平均結晶幅と平均結晶長である。
セルロースナノクリスタル粒子としては、原料セルロースが異なる2種以上のものを併用してもよい。
このようなセルロースナノクリスタル粒子は、疎水化処理、カップリング剤を用いた表面処理などを施すことが好ましい。このような処理は、セルロースナノクリスタル粒子に適した公知慣用の方法を用いることができる。
ここで、セルロース原料としては、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられるが、特に限定されない。これらの中でも、入手のしやすさという点では製紙用パルプが好ましく、より耐熱性に優れるCNCを製造することができる点ではコットンやホヤが好ましい。
製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプや針葉樹クラフトパルプなどが挙げられる。
広葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)などが挙げられる。
針葉樹クラフトパルプとしては、晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)などが挙げられる。
他に、化学パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプなどが挙げられる。化学パルプとしては、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等がある。半化学パルプとしては、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等がある。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等がある。非木材パルプとしては、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とするものがある。
このようなセルロース原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。また、機械解繊法、リン酸エステル化法、TEMPO酸化法などで製造されたセルロースナノファイバー(以下、単に「CNF」とも称する)をセルロース原料としてもよい。
次に、以上説明したようなセルロース原料の加水分解は、例えばセルロース原料含有の水懸濁液又はスラリーを硫酸、塩酸、臭化水素酸等によって処理したり、セルロース原料をそのまま硫酸、塩酸、臭化水素酸等の水溶液中に懸濁させることによって行うことができる。特に、セルロース原料としてパルプを使用する場合には、カッターミルやピンミルなどを用いて綿状の繊維としてから加水分解処理を施すことが、均一な加水分解処理を行うことができるという点で好ましい。
このような加水分解処理では、温度条件は特に限定されないが、例えば25~90℃とすることができる。また、加水分解処理時間の条件も特に限定されないが、例えば10~120分とすることができる。
なお、このようにしてセルロース原料を加水分解処理して得られたセルロースナノクリスタル粒子に対しては、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いて中和処理を行うことができる。
このようにして得られたセルロースナノクリスタル粒子は、必要に応じて微粒化処理することができる。この微粒化処理では、処理装置や処理方法は、特に限定されない。
微粒化処理装置としては、例えば、グラインダー(石臼型粉砕機)や高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーター等を使用することができる。
微粒化処理の際には、セルロースナノクリスタル粒子を水と有機溶媒を単独または組み合わせて希釈してスラリー状にすることが好ましいが、特に限定されない。好ましい有機溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。分散媒は1種であってもよいし、2種以上でもよい。また、分散媒中にセルロースナノクリスタル粒子以外の固形分、例えば水素結合性のある尿素などを含んでも構わない。
また、本発明において用いるセルロースナノクリスタル粒子は、化学修飾および/または物理修飾して、機能性を高めたものであってもよい。ここで、化学修飾としては、アセタール化、アセチル化、シアノエチル化、エーテル化、イソシアネート化等により官能基を付加させたり、シリケートやチタネート等の無機物を化学反応やゾルゲル法等によって複合化させたり、または被覆させるなどの方法で行うことができる。物理修飾としては、めっきや蒸着で行うことができる。
[活性エステル化合物]
活性エステル化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。活性エステル化合物としては、特に制限されないが、活性エステル基を1分子中に2個以上有するものが好ましい。活性エステル化合物は、一般に、カルボン酸化合物およびチオカルボン酸化合物のうちの1種以上と、ヒドロキシ化合物およびチオール化合物のうちの1種以上との縮合反応によって得ることができる。活性エステル化合物としては、ジシクロペンタジエニルジフェノールエステル化合物、ビスフェノールAジアセテート、フタル酸ジフェニル、テレフタル酸ジフェニル、テレフタル酸ビス[4-(メトキシカルボニル)フェニル]などが挙げられる。
活性エステル化合物の配合量は、溶剤を除く組成物の全体量に対し、好ましくは0.5質量%以上80質量%以下、より好ましくは1質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上30質量%以下である。上記活性エステル化合物の配合量が0.5質量%以上の場合、低い熱膨張率を良好に確保できる。一方、80質量%以下の場合、硬化性が向上する。
本発明においては、さらに、所望に応じ、活性エステル化合物以外の熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂を併用することができる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、加熱により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル-1,3-ジグリシジルエーテル、ビフェニル-4,4’-ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油などで変性した油変性レゾールフェノール樹脂などのレゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、尿素(ユリア)樹脂、メラミン樹脂などのトリアジン環含有樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、ノルボルネン系樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物をアルカリ水溶液で現像可能なアルカリ現像型のフォトソルダーレジストとして使用する場合には、カルボキシル基含有樹脂を使用することも好ましい。
(カルボキシル基含有樹脂)
カルボキシル基含有樹脂としては、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する感光性のカルボキシル基含有樹脂、および、感光性の不飽和二重結合を有しないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能であり、特定のものに限定されるものではない。カルボキシル基含有樹脂としては、特には、以下に列挙する樹脂を好適に使用することができる。
(1)不飽和カルボン酸と不飽和二重結合を有する化合物との共重合によって得られるカルボキシル基含有樹脂、および、それを変性して分子量や酸価を調整したカルボキシル基含有樹脂。
(2)カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合樹脂に1分子中にオキシラン環とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(3)1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基および不飽和二重結合を有する化合物と不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に不飽和モノカルボン酸を反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(4)水酸基含有ポリマーに飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、この反応により生成したカルボン酸に1分子中にそれぞれ1個のエポキシ基および不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる感光性の水酸基およびカルボキシル基含有樹脂。
(5)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応させ、この反応により生成した第2級の水酸基の一部または全部に多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性のカルボキシル基含有樹脂。
(6)多官能エポキシ化合物と、1分子中に2個以上の水酸基およびエポキシ基と反応する水酸基以外の1個の反応基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)フェノール性水酸基をもつ樹脂とアルキレンオキシドまたは環状カーボネートとの反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)多官能エポキシ化合物と、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基および1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して多塩基酸無水物の無水物基を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
[フィラー]
本発明の樹脂組成物には、さらに、微細粉体以外のフィラーを含有させることが好ましい。フィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。これらのフィラーの中でも、比重が小さく、組成物中に高い割合で配合可能であり、低熱膨張性に優れる点から、シリカ、中でも、球状シリカが好ましい。フィラーの平均粒径は3μm以下であることが好ましく、1μm以下が更に好ましい。なお、フィラーの平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置により求めることができる。
フィラーの配合量は、溶剤を除く組成物の全体量のうち、1~90質量%、好ましくは2~80質量%、より好ましくは5~75質量%である。フィラーの配合量を上記範囲内とすることで、硬化後の硬化物の塗膜性能を良好に確保することができる。
本発明の樹脂組成物には、さらに、その用途に応じて、慣用の他の配合成分を適宜配合することが可能である。慣用の他の配合成分としては、例えば、硬化触媒、着色剤、有機溶剤などが挙げられる。
硬化触媒としては、フェノール化合物;イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物などが挙げられる。また、市販品としては、例えば、2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(四国化成工業(株)製)、U-CAT3503N、U-CAT3502T、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(サンアプロ(株)製)などが挙げられ、単独で、または2種以上を混合して使用してもかまわない。また同様に、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。
本発明においては、中でも、フェノール化合物が好ましく用いられる。フェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、トリアジン構造含有ノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、コプナ樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類等のフェノール化合物、ナフタレン系硬化剤、フルオレン系硬化剤など公知慣用のものを、単独で、または、2種類以上組み合わせて使用することができる。上記フェノール化合物としては、エア・ウォーター(株)製のHE-610C、620C、DIC(株)製のTD-2131、TD-2106、TD-2093、TD-2091、TD-2090、VH-4150、VH-4170、KH-6021、KA-1160、KA-1163、KA-1165、TD-2093-60M、TD-2090-60M、LF-6161、LF-4871、LA-7052、LA-7054、LA-7751、LA-1356、LA-3018-50P、EXB-9854、新日鉄住金化学(株)製のSN-170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395、JX日鉱日石エネルギー(株)製のDPP、明和化成(株)製のHF-1M、HF-3M、HF-4M、H-4、DL-92、MEH-7500、MEH-7600-4H、MEH-7800、MEH-7851、MEH-7851-4H、MEH-8000H、MEH-8005、三井化学(株)製のXL、XLC、RN、RS、RX等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのフェノール化合物は、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる硬化触媒の配合量は、通常用いられる割合で十分であり、熱硬化性樹脂100質量部に対して、例えば、フェノール化合物の場合は、1~150質量部、好ましくは5~100質量部、より好ましくは10~50質量部であり、その他の硬化触媒の場合は、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部、より好ましくは0.1~3質量部である。
着色剤としては、赤、青、緑、黄などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減および人体への影響の観点から、ハロゲンを含有しないことが好ましい。
青色着色剤:
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる:Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60。
染料系としては、Solvent Blue 35、Solvent Blue 63、Solvent Blue 68、Solvent Blue 70、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Blue 122、Solvent Blue 136、Solvent Blue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
緑色着色剤:
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系があり、具体的にはPigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5、Solvent Green 20、Solvent Green 28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤:
黄色着色剤としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、具体的には以下のものが挙げられる。
アントラキノン系:Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202。
イソインドリノン系:Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185。
縮合アゾ系:Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166、Pigment Yellow 180。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181。
モノアゾ系:Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183。
ジスアゾ系:Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198。
赤色着色剤:
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。
モノアゾ系:Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269。
ジスアゾ系:Pigment Red 37,38,41。
モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208。
ぺリレン系:Solvent Red 135、Solvent Red 179、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 166、Pigment Red 178、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 194、Pigment Red 224。
ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Red 270、Pigment Red 272。
縮合アゾ系:Pigment Red 220、Pigment Red 144、Pigment Red 166、Pigment Red 214、Pigment Red 220、Pigment Red 221、Pigment Red 242。
アンスラキノン系:Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solvent Red 52、Solvent Red 207。
キナクリドン系:Pigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209。
その他、色調を調整する目的で、紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
具体的に例示すれば、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等がある。
着色剤の具体的な配合比率は、用いる着色剤の種類や他の添加剤等の種類によって、適宜調整することができる。
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよび上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等を挙げることができる。
また、必要に応じて、消泡剤・レベリング剤、チクソトロピー付与剤・増粘剤、カップリング剤、分散剤、難燃剤等の公知慣用の添加剤を含有させることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ドライフィルム化して用いても、液状として用いてもよい。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、ガラスクロス、ガラスおよびアラミドの不織布等のシート状繊維質基材に塗工ないし含浸させて半硬化させた、プリプレグとして用いることもできる。液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。2液性組成物としては、例えば、微細セルロース繊維と、活性エステル化合物とを、分けた組成物としてもよい。
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより得られる樹脂層を有する。ドライフィルムを形成する際には、まず、本発明の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整した上で、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等により、キャリアフィルム上に均一な厚さに塗布する。その後、塗布された組成物を、通常、40~130℃の温度で1~30分間乾燥することで、樹脂層を形成することができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、3~150μm、好ましくは5~60μmの範囲で適宜選択される。
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等を用いることができる。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。より好ましくは15~130μmの範囲である。
キャリアフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成した後、樹脂層の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、樹脂層の表面に、剥離可能なカバーフィルムを積層することが好ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムやポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。カバーフィルムとしては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層との間の接着力が、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであればよい。
なお、本発明においては、上記カバーフィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよびカバーフィルムのいずれを用いてもよい。
本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムにおける樹脂層を、硬化してなるものである。
本発明の電子部品は、上記本発明の硬化物を備えるものであり、具体的には、プリント配線板等が挙げられる。本発明の硬化物は、層間の絶縁信頼性を要求される電子部品において、好適に使用することができる。特には、層間絶縁材として上記本発明の樹脂組成物を用いた多層プリント配線板とすることで、良好な層間の絶縁信頼性を有するものとすることができる。
図1に、本発明の電子部品の一例に係る多層プリント配線板の一構成例を示す部分断面図を示す。図示する多層プリント配線板は、例えば、以下のように製造することができる。まず、導体パターン1が形成されたコア基板2に貫通穴を形成する。貫通穴の形成は、ドリルや金型パンチ、レーザー光など適切な手段によって行うことができる。その後、粗化剤を用いて粗化処理を行う。一般に、粗化処理は、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、メトキシプロパノール等の有機溶剤、または苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ性水溶液等で膨潤させ、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を用いて行われる。
次に、無電解めっきや電解めっきの組合せ等により、導体パターン3を形成する。無電解めっきにより導体層を形成する工程は、めっき用触媒を含む水溶液に浸漬し、触媒の吸着を行った後、めっき液に浸漬してめっきを析出させるという工程である。常法(サブトラクティブ法、セミアデティブ法等)に従って、コア基板2の表面の導体層に所定の回路パターンを形成し、図示するように、両側に導体パターン3を形成する。このとき、貫通穴にもめっき層が形成され、その結果、上記多層プリント配線板の導体パターン3のコネクション部4と導体パターン1のコネクション部1aとの間は電気的に接続されることになり、スルーホール5が形成される。
次に、スクリーン印刷法やスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等の適切な方法により、例えば、熱硬化性組成物を塗布した後、加熱硬化させ、層間絶縁層6を形成する。ドライフィルムまたはプリプレグを用いる場合には、ラミネートもしくは熱板プレスして加熱硬化させ、層間絶縁層6を形成する。次に、各導体層のコネクション部間を電気的に接続するためのビア7を、例えば、レーザー光など適切な手段によって形成し、上記導体パターン3と同様の方法で導体パターン8を形成する。さらに、同様の方法で層間絶縁層9、ビア10および導体パターン11を形成する。その後、最外層にソルダーレジスト層12を形成することで、多層プリント配線板が製造される。上記においては、積層基板上に層間絶縁層および導体層を形成する例について説明したが、積層基板の代わりに片面基板、または、両面基板を用いてもよい。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
[微細セルロース繊維の調製]
製造例1(CNF1)
針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維(フレッチャーチャレンジカナダ社製 Machenzie CSF650ml)を9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、該パルプ質量100gに対し、TEMPO(ALDRICH社製 2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル フリーラジカル)1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gを高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバーストラボHJP-2 5005)を用いて245MPaで微細化処理を2回行い、カルボキシル基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度1.3質量%)を得た。
次に、得られたカルボキシル基含有微細セルロース繊維分散液4088.75gをビーカーに入れ、イオン交換水4085gを加え0.5質量%の水溶液とし、メカニカルスターラーにて室温下(25℃)、30分攪拌した。続いて1M塩酸水溶液を245g仕込み室温下、1時間反応させた。反応終了後、アセトンで再沈し、ろ過し、その後、アセトン/イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。最後にアセトンを加えてろ過し、アセトンにカルボキシル基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のアセトン含有酸型セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。反応終了後、ろ過し、その後、イオン交換水にて洗浄を行い、塩酸および塩を除去した。アセトンで溶媒置換した後、DMFで溶媒置換し、カルボキシル基含有微細セルロース繊維が膨潤した状態のDMF含有酸型セルロース繊維分散液(平均繊維径3.3nm、固形分濃度5.0質量%)を得た。
製造例2(CNF2)
製造例1で得られたDMF含有酸型セルロース繊維分散液40gとヘキシルアミン0.3gをマグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに入れ、エタノール300gで溶解させた。反応液を室温(25℃)で6時間反応させた。反応終了後ろ過し、DMFで洗浄および溶媒置換することで、微細セルロース繊維にアミンがイオン結合を介して連結した微細セルロース繊維複合体(固形分濃度5.0質量%)を得た。
製造例2の方法で製造したCNFは特に分散性が良好であり、高圧ホモジナイザー等の特殊な分散機を使用しなくても、一般的な方法で分散が可能となる。
製造例3(CNF3)
微細セルロース繊維(スギノマシン社製 BiNFi-s、平均繊維径80nm)10質量%を脱水濾過し、濾物質量の10倍量のカルビトールアセテートを加えて、30分間攪拌した後に濾過した。この置換操作を3回繰返して、濾物質量の20倍量のカルビトールアセテートを加え、微細セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を作製した。
[セルロースナノクリスタル粒子の調製]
製造例4(CNC1)
乾燥した針葉樹晒クラフトパルプの抄上げシートをカッターミルおよびピンミルで処理し、綿状の繊維にした。この綿状の繊維を絶対乾燥質量で100g取り、64%硫酸水溶液2Lに懸濁させ、45℃で45分間加水分解させた。
これにより得られた懸濁液を濾過した後、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させて分散液を得た。次いで、当該分散液に対して濾過脱水する工程を3回繰り返し、脱水シートを得た。次いで、得られた脱水シートを10Lのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pH12程度とした。その後、この懸濁液を濾過脱水して、10Lのイオン交換水を添加し、撹拌して濾過脱水する工程を2回繰り返した。
次いで、得られた脱水シートにイオン交換水を添加し、2%懸濁液を調製した。この懸濁液を、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて10回パスさせセルロースナノクリスタル粒子水分散液を得た。
その後、アセトンで溶媒置換した後、DMFで溶媒置換し、セルロースナノクリスタル粒子が膨潤した状態のDMF分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。得られた分散液中のセルロースナノクリスタル粒子をAFMにて観察し測定した結果、平均結晶幅は10nm、平均結晶長は200nmであった。
製造例5(CNC2)
製造例4のセルロース原料を脱脂綿(白十字社製)に変更した以外は同一の方法で製造し、セルロースナノクリスタル粒子が膨潤した状態のDMF分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。得られた分散液中のセルロースナノクリスタル粒子をAFMにて観察し測定した結果、平均結晶幅は7nm、平均結晶長は150nmであった。
下記の表1~4中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、吉田機械興業製の高圧ホモジナイザーNanovater NVL-ES008を使用し、6回繰り返して分散させて、各組成物を調製した。なお、表1~4中の数値は、質量部を示す。
[熱膨張率測定]
厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔を剥がして硬化膜のサンプルを得た。作製した熱膨張測定用サンプルを、3mm幅×30mm長にカットした。この試験片を、ティー・エイ・インスツルメント社製 TMA(Thermomechanical Analysis)Q400を用いて、引張モードで、チャック間16mm、荷重30mN、窒素雰囲気下、20~250℃まで5℃/分で昇温し、次いで、250~20℃まで5℃/分で降温して測定した。降温時において、25℃と200℃での熱膨張率(ppm/K)を求めた。また、熱膨張率の急激な変化点の温度をTg(ガラス転移点)とした。結果を表1~4に示す。
[比誘電率、誘電正接]
厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ200μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃20分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの電解銅箔を光沢面を上向きに、厚さ1.6mmのFR-4銅張り積層板にテープにて固定した基材に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。そして、固定したテープをはがして電解銅箔をはがし、1.7mm×100mmの大きさに切り出して評価用サンプルとした。測定は、関東電子応用開発社製空洞共振器(5GHz)を用い、キーサイト・テクノロジーズ社製ネットワークアナライザーE-507で行った。比誘電率の評価は3回測定した平均値が2.8未満のものを◎、2.8以上3.0未満のものを○、3.0以上のものを×とした。誘電正接の評価は3回測定した平均値が0.02未満のものを○、0.02以上のものを×とした。それぞれの結果を表1~4に示す。
[はんだ耐熱性]
大きさ150mm×95mm、1.6mm厚のFR-4銅張積層版に、各組成物を80メッシュテトロンバイアス版スクリーン印刷で全面ベタパターンを形成し、熱風循環式乾燥炉にて80℃30分間乾燥させて、次いで180℃30分加熱硬化して試験片を得た。この試験片の組成物の硬化物側にロジン系フラックスを塗布して、260℃のはんだ層に60秒間フローし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで洗浄し、次いでエタノールで洗浄した。試験片について、目視にて塗膜のふくれや剥がれ、表面状態の変化を観察した。塗膜にふくれや剥がれ、表面の溶解や軟化等による異常が見られるものを×、見られないものを○と評価した。評価結果を表1~4に示す。
[絶縁性]
厚さ38μmのPETフィルムに、ギャップ120μmのアプリケーターで各組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、1.6mm厚FR-4基板に35μmの銅厚で形成されたIPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25のAクーポン上に真空ラミネーターにて60℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させた。次に、IPC MULTI-PURPOSE TEST BOARD B-25の下端部を切断して電気的に独立した端子とした(図2の点線部で切断)。そして、Aクーポンの上部を陰極、下部を陽極になるように、DC500Vのバイアスを印加し、絶縁抵抗値を測定した。評価は絶縁抵抗値が100GΩ以上のものを○、絶縁抵抗値が100GΩ未満のものを×とした。結果を表1~4に示す。
Figure 0007203013000001
*1)熱硬化性樹脂1:エピクロンHP-7200 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス (ジシクロペンタジエン骨格をもつ環状エーテル化合物)
*2)熱硬化性樹脂2:エピクロンN-740 DIC(株)製 固形分50質量%のシクロヘキサノンワニス
*3)熱硬化性樹脂3:エピクロン830 DIC(株)製
*4)熱硬化性樹脂4:JER827 三菱化学(株)製
*5)熱硬化性樹脂5:ビスフェノールAジアセテート 東京化成工業(株)製 (活性エステル)
*6)熱硬化性樹脂6:エピクロンHPC-8000-65T DIC(株)製 (活性エステル・固形分65質量%)
*7)熱硬化性樹脂7:HF-1 明和化成(株)製 固形分60質量%シクロヘキサノンワニス
*8)硬化触媒1:2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール) 四国化成工業(株)製
*9)フィラー1:アドマファインSO-C2 (株)アドマテックス製 (シリカ) 平均粒径0.4~0.6μm
*10)有機溶剤1:ジメチルホルムアミド
*11)消泡剤1:BYK-352 ビックケミー・ジャパン(株)製
Figure 0007203013000002
Figure 0007203013000003
Figure 0007203013000004
*12)フィラー2:B-30 堺化学工業(株)製 硫酸バリウム
*13)フィラー3:DAW-07 デンカ(株)製 アルミナ
*14)分散剤1:DISPERBYK-111 ビックケミー社製
表1~4に記載した結果から明らかなように、微細セルロース繊維やセルロースナノクリスタル粒子のような微細粉体と、活性エステル化合物とを含むものとすることで、常温のみならず部品実装時の高温領域でも低い熱膨張率を維持でき、かつ低誘電特性を有する硬化性樹脂組成物が得られることが確認された。また、はんだ耐熱性の評価結果からは、実施例の各組成物が耐熱性や耐薬品性に優れ、配線板用組成物として使用できることが確かめられた。
1,3,8,11 導体パターン
2 コア基板
1a,4 コネクション部
5 スルーホール
6,9 層間絶縁層
7,10 ビア
12 ソルダーレジスト層

Claims (5)

  1. 少なくとも一次元が100nmより小さい微細粉体と、活性エステル化合物と、エポキシ樹脂と、を含み、
    前記微細粉体が、微細セルロース繊維またはセルロースナノクリスタル粒子のうち少なくともいずれか1種を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. さらに、フィラーを含む請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1記載の硬化性樹脂組成物が、フィルム上に塗布、乾燥されてなる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  4. 請求項1記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項3記載のドライフィルムの前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とする硬化物。
  5. 請求項4記載の硬化物を備えることを特徴とする電子部品。
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