JP7204818B2 - 車両制御システムおよび車両制御方法 - Google Patents

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Description

本開示は、自車両の周辺に存在する周辺物体の挙動に適切に対応した自車両の走行制御を実現する車両制御システムおよび車両制御方法に関する。
近年、車両に搭載されているカメラおよびレーダなどの車外情報取得センサで取得した情報を入力として、自車両の周辺に存在する周辺物体を認識し、自車両の挙動を適切に制御する走行制御に関する技術の開発が進んでいる。ここで、走行制御としては、例えば、ADAS(Advanced Driver Assistance System)、またはAD(Autonomous Driving)などが挙げられる。
自車両の周辺に存在する周辺物体の認識には、車外情報取得センサで取得した情報を入力として、周辺物体の認識を行うルールベースモデルの出力結果を用いたり、近年ではニューラルネットワークなどを用いた機械学習モデルの出力結果を用いたりしている。このような物体認識を行うモデル(以下、「物体認識モデル」という)で演算を行う装置(以下、「認識装置」という)が故障した場合、実際の周辺物体の挙動と整合性が取れない認識結果が物体認識モデルから出力されることが懸念される。以下、実際の周辺物体の挙動と整合性が取れない認識結果のことを、「異常」な認識結果という。物体認識モデルから異常な認識結果が出力された場合、周辺物体の挙動を正確に認識することができない。この場合、自車両が周辺物体に過度に接近したり、周辺物体が存在しないシーンで自車両が減速したりするなど、周辺物体の挙動に適切に対応しない自車両の走行制御を行う可能性がある。
従来、認識装置から異常な認識結果が出力された際の対応に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、複数の認識装置を備え、1つの認識装置で異常な認識結果が出力されると当該認識装置における処理を停止し、残りの他の認識装置で周辺物体の認識を行う技術が開示されている。
特開2017-182771号公報
認識装置に故障はなく、物体認識モデルの演算を正常に実行することができた場合であっても、認識装置から異常な認識結果が出力されることがある。例えば、カメラが撮影した画像を入力として周辺物体を認識する物体認識モデルにおいて、周辺物体から発せられた光または自然光がカメラに突発的に入射した場合、カメラが周辺環境の情報を一時的に正確に取得することができなくなり、それまで物体認識モデルで認識することができていた周辺物体を認識しなくなることがある。換言すれば、実際には周辺物体が存在し続けているにも関わらず、物体認識モデルでは当該周辺物体が消失したとする認識結果を出力する懸念がある。また、物体認識モデルで用いるルールベースモデルにおけるパラメータ調整の不足、あるいは機械学習モデルの学習に用いる教師データの不足により、特定のシーンにおいて精度良く周辺物体を認識することができない場合がある。すなわち、異常な認識結果が出力される原因としては、物体認識モデルで精度良く周辺物体を認識するシーンではないことと、認識装置が故障したこととが挙げられる。
特許文献1では、認識装置から異常な認識結果が出力された場合に、異常な認識結果が出力された原因に関わらず当該認識装置の処理を停止する。すなわち、引用文献1では、異常な認識結果が出力された原因として、物体認識モデルで精度良く周辺物体を認識するシーンではないことを判別することができない。異常な認識結果が出力された原因が、物体認識モデルで精度良く周辺物体を認識するシーンではないことである場合は、当該シーンから離脱するだけで異常がない認識結果を早期に出力することができる。しかし、引用文献1では、認識装置の処理を停止してしまうため、異常がない認識結果を再度出力するようになるまでに多大な時間を要する問題がある。
一方、異常な認識結果が出力されたときの対応を、精度良く周辺物体を認識することができないシーンから離脱することのみとすると、認識装置が故障したことが原因で異常な認識結果が出力された場合を判別することができない。認識装置が故障したことが原因で異常な認識結果が出力された場合は、認識装置で発生した故障を取り除くべく、認識装置で行われる全ての演算を停止した後に、認識装置を再起動して再び演算を実施することができる状態にする必要がある。以下では、認識装置で再び演算を実施することができる状態にする処理のことを「リセット処理」という。認識装置が故障したままでは、精度良く周辺物体を認識することができないシーンから離脱したとしても、異常な認識結果が出力され続けるという問題がある。
このように、認識結果の異常の有無または認識装置の故障の有無によって、異常がない認識結果を早期に取得するために必要となる処理が異なる。より長期間にわたって正確に周辺物体を認識した上で最適な自車両の走行制御を行うためには、認識結果および認識装置の状態を適切に判定し、当該判定結果に応じた走行制御を行う必要がある。
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、より長期間にわたって最適な自車両の走行制御を行うことが可能な車両制御システムおよび車両制御方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本開示による車両制御システムは、車両の走行制御を行うメイン処理装置と、メイン処理装置の状態を監視するサブ処理装置とを備え、メイン処理装置は、車両の周辺環境の状態を示す車外情報に基づいて、車両の周辺に存在する周辺物体を認識するメイン認識処理部と、メイン認識処理部による認識結果、車外情報、および車両の動作に関する車両情報に基づいて、走行制御を行うための操作量を演算するメイン操作量演算部とを有し、サブ処理装置は、メイン認識処理部による認識結果の異常の有無、およびメイン処理装置の故障の有無に応じて、メイン処理装置またはサブ処理装置に対する走行制御に関する命令を切り替える制御切替部と、制御切替部の命令に従い、車外情報に基づいて周辺物体を認識するサブ認識処理部と、制御切替部の命令に従い、車外情報および車両情報に基づいて走行制御を行うための操作量を演算するサブ操作量演算部とを有し、制御切替部は、車外情報および車両情報のうちの少なくとも一方と、メイン認識処理部による認識結果とに基づいて、メイン認識処理部による認識結果の異常の有無を判定する異常判定部と、車外情報および車両情報のうちの少なくとも一方に基づいて、車両の周辺環境が、メイン認識処理部による認識結果が信頼できる環境であることを示す認識可能シーンであるか否かを判定するシーン判定部と、異常判定部による判定結果と、シーン判定部による判定結果とに基づいて、メイン処理装置の故障の有無を判定する故障判定部と、故障判定部による判定結果に基づいて、メイン処理装置またはサブ処理装置に対して走行制御を行うように命令する命令切替部とを有する。

本開示によれば、より長期間にわたって最適な自車両の走行制御を行うことが可能となる。
実施の形態による車両制御システムの全体構成を示すブロック図である。 実施の形態による車両制御システムの動作を示すフローチャートである。 実施の形態による異常判定部の動作を示すフローチャートである。 実施の形態によるシーン判定部におけるシーン判定を説明するための図である。 実施の形態による故障判定部における判定の内容を示す図である。 実施の形態による命令切替部における命令の内容を示す図である。 実施の形態による車両制御システムのハードウェア構成の一例を示す図である。 実施の形態による車両制御システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
<実施の形態>
<構成>
図1は、実施の形態による車両制御システムの全体構成を示すブロック図である。
車両制御システムは、車両情報取得センサ1と、車外情報取得センサ2と、メイン処理装置3と、サブ処理装置4とを備えている。メイン処理装置3およびサブ処理装置4は、上述の認識装置と同様に周辺物体の認識を行う。また、メイン処理装置3およびサブ処理装置4は自車両の走行制御を行う機能を有するが、当該走行制御の主体はメイン処理装置3であり、サブ処理装置4はメイン処理装置3の状態を監視して必要に応じて走行制御を行う。
車両情報取得センサ1は、自車両の動作に関する情報である車両情報を取得するものであり、車速センサ7、舵角センサ8、および加速度センサ9を含む。図1に示すセンサ情報は、車両情報を含む。
車速センサ7は、自車両の走行速度を検出する。舵角センサ8は、自車両のステアリング角を検出する。加速度センサ9は、自車両の加速度を検出する。車両情報取得センサ1は、これらに限らず、自車両の動作状態を検出することができるものであれば他のセンサを含んでもよい。他のセンサとしては、例えば、ブレーキまたはギヤなどの動作状態を検出するセンサなどが挙げられる。
車外情報取得センサ2は、自車両の周辺環境の状態を示す車外情報を取得するものであり、カメラ10、ミリ波レーダ11、Lidar(Light Detection And Ranging)12、GPS(Global Positioning System)装置13、および車載通信機14を含む。図1に示すセンサ情報は、車外情報を含む。
カメラ10、ミリ波レーダ11、およびLidar12は、自車両の周辺環境を検出する。GPS装置13は、複数のGPS衛星からGPS信号を受信して、自車両の位置を測位する。車載通信機14は、自車両と他車両との間における通信(車車間通信)、または自車両と路側機との間における通信(路車間通信)を行う。車外情報取得センサ2は、これらに限らず、自車両の周辺環境の状態を取得することができるものであれば他のセンサを含んでもよい。他のセンサとしては、例えば、超音波ソナーなどが挙げられる。また、自車両に搭載されるセンサの数は、単数(例えば、カメラのみ)でもよく、複数(例えば、カメラおよびレーダ)でもよい。
メイン処理装置3は、車両情報取得センサ1、車外情報取得センサ2、メイン処理装置3、サブ処理装置4、および出力切替装置5のそれぞれに接続されている。メイン処理装置3は、メイン認識処理部15およびメイン操作量演算部18を有する。
メイン認識処理部15は、自車両の周辺に存在する周辺物体の位置、移動速度、および属性情報などを認識する処理を行う。具体的には、メイン認識処理部15は、車外情報取得センサ2が取得した車外情報を入力として、物体認識モデル16,17の演算を行って認識結果を出力する。なお、メイン認識処理部15は、少なくとも1つの物体認識モデルを有していればよい。
メイン操作量演算部18は、自車両の走行制御を実行するための演算を行う。具体的には、メイン操作量演算部18は、車両情報取得センサ1が取得した車両情報、車外情報取得センサ2が取得した車外情報、およびメイン認識処理部15による認識結果を入力として、自車両の走行経路の生成、およびアクチュエータ6の操作量を演算する。
本開示では、メイン処理装置3がメイン認識処理部15およびメイン操作量演算部18を有する場合について説明するが、メイン認識処理部15およびメイン操作量演算部18の各機能、あるいは物体認識モデル16,17の各処理を別個の装置に分散して設けてもよい。別個の装置は、自車両の外部に設けられていてもよい。
また、各物体認識モデル16,17は、車外情報取得センサ2が有してもよい。例えば、カメラ10またはLidar12が物体認識モデルを有し、それぞれが取得した情報を入力として物体認識モデルで処理を実行する。そして、各物体認識モデルによる認識結果を、別の装置が備えるメイン操作量演算部18に入力してもよい。
ここで、物体認識モデルとは、車外情報取得センサ2の1つ以上のセンサが取得した情報を入力として、周辺物体の存在、当該周辺物体と自車両との相対位置などを含む認識結果を出力するモデルのことをいう。物体認識モデルとしては、入力情報の特徴量抽出方法、または周辺物体を検出する基準を人手で設計したルールベースモデルを用いてもよい。また、近年開発が進められている、ニューラルネットワークなどを用いた、大量の教師データに基づいて特徴量抽出または物体の検出基準を学習して物体認識を行う機械学習モデルを用いてもよい。一般的に、機械学習モデルは、ルールベースモデルよりも高精度な物体の認識を期待することができる。
サブ処理装置4は、車両情報取得センサ1、車外情報取得センサ2、メイン処理装置3、および出力切替装置5のそれぞれに接続されている。サブ処理装置4は、制御切替部19,20と、サブ認識処理部25と、サブ操作量演算部26とを有する。
制御切替部19は、異常判定部21と、シーン判定部22と、故障判定部23と、命令切替部24とを有する。なお、制御切替部20の構成は、制御切替部19の構成と同様である。制御切替部20は、メイン認識処理部15が有する物体認識モデルの数に応じて複数あってもよい。
サブ認識処理部25は、1つ以上の物体認識モデルを有する。サブ認識処理部25およびサブ操作量演算部26は、メイン認識処理部15またはメイン操作量演算部18で処理を実行することができないときに、これらの代替として、周辺物体の認識処理またはアクチュエータ6の操作量を演算する。
メイン処理装置およびサブ処理装置の各演算性能を考慮して、メイン認識処理部15とサブ認識処理部25とにおいて別の手法で演算を実施してもよい。メイン操作量演算部18およびサブ操作量演算部26についても同様である。
出力切替装置5は、メイン処理装置3、サブ処理装置4、およびアクチュエータ6のそれぞれに接続されている。アクチュエータ6は、ステアリングの舵角を調整する操舵モータ、およびエンジンの吸気量を調整するスロットルモータなどを含む。
本開示では、サブ処理装置4が制御切替部19、サブ認識処理部25、およびサブ操作量演算部26を有する場合について説明するが、制御切替部19、サブ認識処理部25、およびサブ操作量演算部26の各機能を別個の装置に分散して設けてもよい。制御切替部19が有する異常判定部21、シーン判定部22、故障判定部23、および命令切替部24についても同様である。別個の装置は、自車両の外部に設けられていてもよい。
上記で説明した各装置(車両情報取得センサ1および車外情報取得センサ2を含む)は、CAN(Control Area Network)、Ethernet(登録商標)、またはSPI(Serial Peripheral Interface)などの回線を用いて接続される。
<動作>
図2は、車両制御システムの動作を示すフローチャートである。
ステップS101において、メイン処理装置3およびサブ処理装置4は、車両情報取得センサ1から車両情報を取得し、車外情報取得センサ2から車外情報を取得する。
ステップS102において、メイン認識処理部15は、自車両の周辺に存在する周辺物体を認識する。具体的には、メイン認識処理部15は、車外情報取得センサ2から取得した車外情報を各物体認識モデル16,17に入力し、各物体認識モデル16,17の認識結果を1つに統合した結果をメイン認識処理部15による認識結果として出力する。当該認識結果には、周辺物体の種類、および自車両との相対位置などが含まれる。メイン認識処理部15は、メイン操作量演算部18および異常判定部21のそれぞれに認識結果を出力する。
ステップS103において、異常判定部21は、車両情報および車外情報のうちの少なくとも一方と、メイン認識処理部15による認識結果に基づいて、メイン認識処理部15による認識結果の異常の有無を判定する(詳細は後述する)。異常判定部21は、故障判定部23に判定結果を出力する。
ステップS103と同時に、ステップS104において、シーン判定部22は、車両情報および車外情報に基づいて、物体認識モデルによって精度良く物体を認識することができると想定されるシーン(以下、「認識可能シーン」)であるか否かを判定する(詳細は後述する)。シーン判定部22は、故障判定部23に判定結果を出力する。
ステップS105において、故障判定部23は、異常判定部21による判定結果と、シーン判定部22による判定結果とに基づいて、メイン処理装置3の故障の有無を判定する(詳細は後述する)。
ステップS106において、命令切替部24は、故障判定部23による判定結果に基づいて、メイン認識処理部15による認識結果の異常の有無を判定する。認識結果に異常がある場合は、ステップS108に移行する。一方、認識結果に異常がない場合は、ステップS107に移行する。
ステップS107において、命令切替部24は、故障判定部23による判定結果に基づいて、メイン処理装置3の故障の有無を判定する。メイン処理装置3に故障がない場合は、ステップS109に移行する。一方、メイン処理装置3に故障がある場合は、ステップS110に移行する。
ステップS108において、メイン操作量演算部18は、メイン認識処理部による認識結果を使用してアクチュエータ6の操作量を演算する。
ステップS109において、メイン操作量演算部18は、メイン認識処理部による認識結果を使用せずにアクチュエータ6の操作量を演算する。
ステップS110において、命令切替部24は、メイン処理装置3に対してリセット処理を行うように命令する。
ステップS111において、サブ認識処理部25は、周辺物体を認識する。
ステップS112において、サブ操作量演算部26は、アクチュエータ6の操作量を演算する。
ステップS113において、出力切替装置5は、メイン処理装置3から操作量が入力された場合、当該メイン処理装置3から入力された操作量をアクチュエータ6に出力する。また、出力切替装置5は、メイン処理装置3から操作量が入力されない場合、サブ処理装置4から入力された操作量をアクチュエータ6に出力する。
上記では、メイン認識処理部15が、各物体認識モデル16,17の認識結果を1つに統合した結果をメイン認識処理部15による認識結果としてメイン操作量演算部18および制御切替部19,20に出力する場合について説明したが、これに限るものではない。メイン認識処理部15は、物体認識モデル16,17の認識結果のそれぞれを制御切替部19,20のそれぞれに出力してもよい。このようにすることによって、命令切替部24は、各物体認識モデル16,17の認識結果に応じた命令を行うことができる。
上記では、メイン認識処理部15による認識結果の異常の有無、およびメイン処理装置3の故障の有無に応じて自車両の走行制御を行う動作の概要を説明した。以下では、メイン認識処理部15による認識結果の異常の有無を判定する方法(図2のステップS103)、認識可能シーンの判定方法(図2のステップS104)、メイン処理装置3の故障の有無を判定する方法(図2のステップS105)、および命令切替の方法および命令出力の方法(図2のステップS106~ステップS112)の詳細について順に説明する。
<メイン認識処理部15による認識結果の異常の有無を判定する方法>
上述の通り、周辺物体の認識結果は、車外情報を入力とする物体認識モデル16,17をメイン認識処理部15が演算することによって得られる。車外情報取得センサ2が車外情報を正確に取得し、当該車外情報を入力とする物体認識モデル16,17をメイン認識処理部15が演算することができれば、周辺物体を精度良く認識することができる。しかし、メイン処理装置3が故障した場合、メイン認識処理部15は、正常時と同様に物体認識モデル16,17を演算することができず、異常な認識結果を出力することが懸念される。メイン操作量演算部18が異常な認識結果を用いて操作量を演算した場合、適切な走行制御を実行することができない可能性がある。
適切な走行制御を実行すべく、メイン操作量演算部18が異常な認識結果を用いて操作量を演算しないようにするためには、物体認識モデル16,17から異常な認識結果が出力されたか否かを判定する必要がある。
ここで、異常な認識結果であると考えられる場合の例としては、下記(1)~(4)が挙げられる。
(1)自車両が徐行しており、自車両に対する周辺物体の相対位置が大きく変化していないにも関わらず、過去の時点では認識していた周辺物体を突然認識しなくなる場合。
(2)自車両が同様の地域を走行しており、認識する周辺物体の数が急変すると想定されていないにも関わらず、認識する周辺物体の数が過去の時点と比較して突然多くなる場合。
(3)自車両が走行しているにも関わらず、認識する周辺物体の位置が過去の時点から変動しない場合。
(4)自車両および周辺車両が停止しており、認識する周辺物体の数が増減すると想定されないにも関わらず、認識する周辺物体の数が継続的に増減する場合。
換言すれば、自車両の挙動または位置について、過去の認識結果と比較して突然大きな変化を示す、過去の認識結果から全く変化が生じない、あるいは過去から認識結果が変更し続けるといった認識結果が出現したとき、その認識結果は異常であると判定することができる。
そこで、車両情報および車外情報のうちの少なくとも一方と、メイン認識処理部15による認識結果とに基づいて、メイン認識処理部15による過去の認識結果と新たな認識結果との比較を行い、当該比較結果が自車両の挙動または位置に応じて設定した条件に合致するか否かによって、新たな認識結果の異常の有無を判定する。
図3は、異常判定部21の動作を示すフローチャートである。図3では、メイン認識処理部15で新たに認識された周辺物体数と、メイン認識処理部15で過去に認識された周辺物体数との変化量が予め設定した範囲内に収まるか否かを確認することによって、メイン認識処理部15による新たな認識結果の異常の有無を判定する方法について説明する。
ステップS201において、異常判定部21は、車両情報取得センサ1から車両情報を取得し、車外情報取得センサ2から車外情報を取得し、メイン認識処理部15から認識結果を取得する。
ステップS202において、異常判定部21は、メイン認識処理部15による新たな認識結果が正常であると判定する変化量の範囲(以下、「正常範囲」とする)を設定する。正常範囲を示す最大値および最小値は、車両情報取得センサ1から得られる車速および加速度といった自車両の挙動に関する情報、車外情報取得センサ2から得られる自車両が走行する位置に関する情報、および以上の有無を確認する対象となる認識結果を出力した物体認識モデルを入力とするマップによって設定される。
ステップS203において、異常判定部21は、新たな認識結果の異常の有無を判定する際の比較対象として、過去数回分の認識結果における周辺物体数の平均値を演算する。
ステップS204において、異常判定部21は、新たな認識結果における周辺物体数と、過去数回分の認識結果における周辺物体数の平均値との変化量を演算する。
ステップS205において、異常判定部21は、ステップS204で演算した変化量が、ステップS202で設定した正常範囲内であるか否かを判断する。変化量が正常範囲内である場合は、ステップS206に移行する。一方、変化量が正常範囲内でない場合は、ステップS207に移行する。
ステップS206において、異常判定部21は、メイン認識処理部15による新たな認識結果は異常なしであると判定する。
ステップS207において、異常判定部21は、メイン認識処理部15による新たな認識結果は異常ありであると判定する。
上記では、新たな認識結果の異常の有無を判定する際の比較対象として過去数回分の認識結果における周辺物体数の平均値を用いたが、過去の認識結果における周辺物体数の最大値、中央値、または加重移動平均など、その他の統計量を用いてもよい。
新たな認識結果と過去の認識結果との比較に、過去に認識した周辺物体数に応じて設定される、新たな認識結果における周辺物体数が取り得る値の範囲を用いてもよい。例えば、過去に認識した周辺物体数は2個であったが、物体認識モデルで周辺物体を認識することができなくなり、新たな認識結果における周辺物体数が0個になる場合を考察する。この場合、新たな認識結果における周辺物体数が取り得る範囲を1~5個と設定すれば、新たな認識結果における周辺物体数(0個)は新たな認識結果における周辺物体数が取り得る範囲(1~5個)から外れるため、新たな認識結果は異常であると判定される。
新たな認識結果と過去の認識結果との比較に、変化量ではなく、周辺物体の位置情報を用いてもよい。この場合、認識結果の比較の条件を、周辺物体の位置情報に変化がある場合と設定する。周辺物体の位置情報を用いることによって、メイン認識処理部15による認識結果が変化しない場合も異常であると判定することができる。
新たな認識結果と過去の認識結果との比較には、上記の周辺物体数および周辺物体の位置情報以外の情報を用いてもよい。
上記では、新たな認識結果と過去の認識結果の統計量との比較結果が設定した条件に合致するか否かを判定する場合について説明したが、新たな認識結果を含む数回分の認識結果の変動が設定した条件に合致するか否かを判定してもよい。例えば、ある認識結果と当該認識結果の1回前に得られた認識結果との認識結果数(周辺物体数など)の変化量を、過去数回の認識結果にわたって合計した値が、設定した値の範囲内に収まるか否かを判定してもよい。この場合、周辺物体数が上述の変化量の設定範囲内で変動し続けた場合であっても、変化量の合計値が設定した値以上となった時点の認識結果を異常な認識結果として判定することができる。
上記では、新たな認識結果と過去の認識結果の統計量との比較結果が設定した条件に一度でも合致しなかった場合に異常な認識結果であると判定する場合について説明したが、一定期間内に複数回、条件に合致しなかった時点で異常な認識結果であると判定してもよい。例えば、多くの移動体が同時に遮蔽物の裏側に移動することによって、周辺物体数が急減することが実際に起こり得る。この場合、一度の認識結果の比較だけでは、異常な認識結果であると誤判定する可能性がある。従って、比較結果が設定した条件に合致しなかった回数をカウントし、一定期間内にカウント数が一定値に達した時点で異常な認識結果であると判定してもよい。
なお、メイン認識処理部15の物体認識モデル16,17ごとに異なる制御切替部19,20(異なる異常判定部)を使用する場合は、各物体認識モデル16,17による認識結果を入力として、上述の方法で各認識結果の異常の有無を判定する。
以上で説明した方法によって、異常判定部21は、メイン認識処理部15による認識結果の異常の有無を判定することができる。
<認識可能シーンの判定方法>
上述の通り、メイン認識処理部15では、車外情報取得センサ2から取得した情報を入力として、自車両の周辺に存在する周辺物体を認識する。従って、各種センサから自車両の周辺の情報を正確に取得することができれば、メイン認識処理部15は精度良く周辺物体を認識することができる。
しかし、シーンによっては、車外情報取得センサ2から自車両の周辺の情報を正確に取得することができないために、メイン認識処理部15が精度良く周辺物体を認識できない場合がある。例えば、周辺物体から発せられた光または自然光がカメラ10に突発的に入射した場合、カメラ10は自車両の周辺の情報を一時的に正確に取得することができなくなるため、メイン認識処理部15が精度良く周辺物体を認識することができない可能性がある。
また、物体認識モデルとして使用するルールベースモデルのパラメータ調整、または機械学習モデルの学習では、実際に車両が走行するあらゆる地域、天候、および時刻などを網羅したシーンにおける多数の教師データを用いることによって、精度良く周辺物体を認識することができるようになる。一方、事故または災害発生現場の周辺といった教師データの収集が困難な状況、あるいは新規の都市開発などで教師データの収集時とは様相が大きく異なる地域など、教師データが不足するシーンでは、メイン認識処理部15が精度良く周辺物体を認識することができない可能性がある。
上述のように、メイン処理装置3に故障はなくても、シーンによってはメイン認識処理部15から異常な認識結果が出力されやすくなる。メイン認識処理部15から異常な認識結果が出力されたことのみを考慮してメイン処理装置3が故障したと判定されると、本来は不要であるリセット処理が行われてしまう。このとき、自車両が存在するシーンが認識可能シーンでないことを判定することができれば、メイン認識処理部15から出力された異常な認識結果がメイン処理装置3の故障が原因でないことを考慮することができる。
認識可能シーンであることを判定するためには、車外情報取得センサ2から自車両の周辺の情報を正確に取得することができるシーンであるか、または機械学習モデルの学習に用いた教師データ内に存在するシーンであるか否かを判定することができればよい。このようなシーンの判定は、天候、周辺の明るさ、またはセンサの電気ノイズなどの様々な情報、およびそれらの情報の相関を考慮した値が、認識可能シーンであれば満たすと想定する条件に合致するか否かを判定することによって実現することができる。
そこで、メイン認識処理部15の物体認識モデル16,17によって精度良く周辺物体を認識することができる環境でメイン処理装置3の故障の有無を判定することができるように、物体認識モデル16,17に車外情報および車両情報のうちの少なくとも一方を入力して得られる複数の特徴量を用いて導出される値がしきい値内である場合に、認識可能シーンであると判定する。
認識可能シーンの判定方法について、図4を参照して説明する。図4において、認識可能シーンの判定に用いる特徴量Aおよび特徴量Bのそれぞれを軸とした2次元空間において、入力値In1、予め定められた基準値P1、入力値In1と基準値P1とのユークリッド距離Dc(詳細は後述する)、中心を基準値P1とし半径を予め定められたしきい値Th1とする円を示している。
特徴量Aおよび特徴量Bは、カメラ10が取得した画像内における輝度の平均値、最大値、あるいは分散または隣接する画素間の輝度差といった、車外情報の統計量などである。統計量の他に、フィルタ処理またはプーリング処理などを繰り返して得られた特徴量を特徴量Aおよび特徴量Bとしてもよい。また、車両の振動など、車外情報取得センサ2のセンシングに影響を及ぼすことが懸念されるため、車両の挙動を含む車両情報を特徴量Aおよび特徴量Bとしてもよい。さらに、GPS装置13が取得した位置情報、または天候などの数値以外の情報を予め設定したマップと照らし合わせて数値化し、当該数値を特徴量Aおよび特徴量Bとしてもよい。
図4において、円の内側の領域を認識可能シーンとする。基準値P1およびしきい値Th1は、車外情報取得センサ2の性能を元に設定される。具体的には、車外情報取得センサ2が車外情報を正確に取得することができると想定するシーンが満たす特徴量Aおよび特徴量Bの値の領域が、基準値P1およびしきい値Th1で示される領域を含むように、基準値P1およびしきい値Th1が設定される。
また、物体認識モデル16,17の認識性能の評価において、物体認識モデル16,17で精度良く周辺物体を認識することができたシーンを収集し、それらのシーンにおいて特徴量Aおよび特徴量Bが取り得る値の領域から、基準値P1およびしきい値Th1が設定されるようにしてもよい。
ここで、特徴量Aおよび特徴量Bを軸とした2次元空間における入力値In1の座標を(A1,B1)とし、基準値P1の座標を(Ap,Bp)とする。入力値In1と基準値P1とのユークリッド距離Dは、下記の式(1)で表される。
Figure 0007204818000001
ところで、特徴量Aと特徴量Bとでは、認識結果に与える影響の寄与度が異なることがある。例えば、特徴量Aの方が特徴量Bよりも車外情報に対してより大きな影響を及ぼす場合、ユークリッド距離Dには入力値A1の影響を大きく受けさせたい。換言すれば、ユークリッド距離Dは特徴量Aの変化に対してより敏感となるようにしたい。
そこで、式(1)における各座標と平行な成分である(Ap-A1),(Bp-B1)を、パラメータc1,c2を用いて調整する。このように調整されたユークリッド距離Dを、以下では「ユークリッド距離Dc」という。ユークリッド距離Dcは、下記の式(2)で表される。
Figure 0007204818000002
ユークリッド距離Dcがしきい値Th1以下となる場合、シーン判定部22は、自車両が認識可能シーンに存在すると判定する。
なお、基準値P1およびしきい値Th1は、特徴量A、特徴量B、またはこれら以外の特徴量に応じて変更してもよい。
上記では、特徴量Aおよび特徴量Bの2つのパラメータを軸とした2次元空間においてユークリッド距離Dcを算出する場合について説明したが、基準値P1に特徴量をn個使用する場合は、n次元空間において上記と同様の方法でユークリッド距離Dcを算出してもよい。
上記では、入力値In1と基準値P1との距離としてユークリッド距離Dcを用いる場合について説明したが、使用する特徴量に応じてチェビシェフ距離またはマハラノビス距離など、入力値In1と基準値P1との距離を求める別の手法を用いてもよい。
また、簡素化のために、特徴量の組み合わせに応じた認識可能シーンの判定をマップで予め設定しておいてもよい。他に、車両情報および車外情報のうちの少なくとも一方から特徴量を演算し、当該特徴量が予め定められた条件を満たすか否かを判定する手法であれば、他の手法でもよい。
なお、メイン認識処理部15の物体認識モデル16,17ごとに異なる制御切替部19,20(異なるシーン判定部)を使用する場合は、各シーン判定部で異なる車両情報および車外情報を入力してもよい。各物体認識モデル16,17において、入力として使用する情報を取得する車外情報取得センサ2が異なるため、各物体認識モデル16,17で認識可能シーンも異なる。従って、物体認識モデル16,17ごとに異なるシーン判定部を使用することによって、各物体認識モデル16,17に適した認識可能シーンの判定が可能となる。
以上で説明した方法によって、シーン判定部22は、認識可能シーンであるか否かを判定することができる。
<メイン処理装置3の故障の有無を判定する方法>
上述の通り、異常な認識結果が出力される原因としては、物体認識モデル16,17で精度良く周辺物体を認識するシーンではないことと、メイン処理装置3が故障したこととが挙げられる。異常な認識結果が出力された原因が、物体認識モデルで精度良く周辺物体を認識するシーンではないことである場合は、当該シーンから離脱するだけで異常がない認識結果を早期に出力することができる。一方、メイン処理装置3が故障したことが原因で異常な認識結果が出力された場合は、メイン処理装置3で発生した故障を取り除くべく、メイン処理装置3で行われる全ての演算を停止した後に、メイン処理装置3を再起動して再び演算を実施することができる状態にする処理(リセット処理)を行わなければ、異常のない認識結果は出力されない。
また、メイン処理装置3の破損など、リセット処理を行ってもメイン処理装置3の故障を取り除くことができず、メイン認識処理部15が異常な認識結果を出力する場合がある。この場合、メイン認識処理部15では物体認識モデル16,17を正常に演算することができないため、周辺物体を認識する処理を別の装置で行う必要がある。
このように、メイン認識処理部15から異常な認識結果が出力される原因、およびメイン処理装置3の故障の程度によって必要な処理が異なる。必要な処理を適切に選択するためには、メイン認識処理部15から異常な認識結果が出力される原因、およびメイン処理装置3の故障の程度を明確にして、メイン処理装置3の状態を判定することができればよい。
そこで、故障判定部23では、異常判定部21の判定結果およびシーン判定部22の判定結果を入力として、メイン処理装置3の故障の有無および故障の程度を判定する。
メイン処理装置3の故障の有無および故障の程度の判定方法について、図5を参照して説明する。図5は、故障判定部23における判定の内容を示す図である。
まず、故障判定部23は、異常判定部21の判定結果(メイン認識処理部15による認識結果の異常の有無)を確認する。
異常判定部21の判定結果が「異常なし」である場合、故障判定部23は、「認識結果の異常なし、メイン処理装置の故障なし」と判定する。ここで、異常判定部21では認識結果に異常なしと判定されるが、シーン判定部22では認識可能シーンでないと判定される場合がある。この場合、過去の認識結果と比較して連続性があって異常がないと異常判定部21によって判定されていることから、故障判定部23は、認識結果に異常はないと判定する。
異常判定部21の判定結果が「異常あり」である場合、故障判定部23は、シーン判定部22の判定結果が認識可能シーンであるか否かを確認する。
シーン判定部22の判定結果が「認識可能シーンでない」場合、認識結果に異常が発生した原因は、認識可能シーンでないためメイン認識処理部15が精度良く周辺物体を認識することができなかったためであるとみなし、故障判定部23は、「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障なし」と判定する。
シーン判定部22の判定結果が「認識可能シーンである」場合、認識結果に異常が発生した原因は、メイン認識処理部15に故障が発生し、認識可能シーンでありながら正常に周辺物体を認識できない状態であるためであるとみなし、故障判定部23は、「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障あり」と判定する。
故障判定部23が「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障あり」と判定した後に後述する命令切替部24でリセット処理が行われ、その後に再び故障判定部23が「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障あり」と判定するといった状態が予め設定した回数以上繰り返された場合、メイン処理装置3にリセット処理でも取り除くことができない故障が発生したとみなし、故障判定部23は、「メイン処理装置の重大故障あり」と判定する。
上記では、故障判定部23が、「メイン処理装置の重大故障あり」以外の判定では異常判定部21およびシーン判定部22の各判定結果の1回分を入力として判定する場合について説明したが、判定結果の突発的な変化、および同一の判定結果の継続に対応すべく、過去数回分の異常判定部21およびシーン判定部22の各判定結果も入力として判定してもよい。
例えば、故障判定部23は、異常判定部21の判定結果が「異常あり」かつシーン判定部22の判定結果が「認識可能シーンでない」と判定された回数が、一定期間において予め設定した回数以下であるとき、「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障なし」と判定し、設定した回数に達した時点で「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障あり」と判定してもよい。このような判定をすることによって、メイン処理装置3に故障がなく認識可能シーンであるときに、メイン認識処理部15において瞬時的に認識結果が変動したために異常判定部21が「異常あり」と判定した場合であっても、故障判定部23は、「メイン処理装置に故障なし」と正確に判定することができる。
また、故障判定部23は、異常判定部21の判定結果が「異常なし」かつシーン判定部22の判定結果が「認識可能シーンでない」と判定された回数が、一定期間において予め設定した回数以下であるとき、「認識結果の異常なし、メイン処理装置の故障なし」と判定し、設定した回数に達した時点で「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障なし」と判定してもよい。認識可能シーンでない状態が継続した場合、異常判定部21は、認識可能シーン外での認識結果のみを元にして認識結果の異常の有無を判定することになる。認識可能シーン外での認識結果は、認識可能シーンでの認識結果よりも精度が低いと考えられ、異常判定部21の判定結果の信頼性も低くなる。従って、このような判定をすることによって、故障判定部23は、異常判定部21の判定結果の信頼性が低い場合、認識結果に異常がある場合と同様の処理を行うように判定するため、走行制御を適切に行うことができる。
なお、メイン認識処理部15の物体認識モデル16,17ごとに異なる制御切替部19,20(異なる故障判定部)を使用する場合は、各異常判定部21および各シーン判定部22の判定結果を入力として、メイン処理装置3の故障の有無および故障の程度を判定する。
以上で説明した方法によって、故障判定部23は、メイン処理装置3の故障の有無および故障の程度を判定することができる。
<命令切替の方法および命令出力の方法>
上述の通り、適切に走行制御を行うために、認識結果の異常と、メイン処理装置3の故障の有無および故障の程度とによって、アクチュエータ6の操作量を演算する際に用いる認識結果および処理が異なる。認識結果の異常およびメイン処理装置3の故障の有無に応じて、各処理装置および機能ブロックへの命令を切り替えることによって、最適な走行制御を実現することができる。命令切替部24は、故障判定部23の判定結果を入力として、メイン処理装置3またはサブ処理装置4への命令を切り替える。
命令切替の方法および命令の詳細について、図6を参照して説明する。図6は、命令切替部における命令の内容を示す図である。
故障判定部23が「認識結果の異常なし、メイン処理装置の故障なし」と判定した場合、命令切替部24は、メイン処理装置3に対して、メイン認識処理部15による認識結果を使用してメイン操作量演算部18の演算を実施するように命令する。
故障判定部23が「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障なし」と判定した場合、命令切替部24は、メイン処理装置3に対して、認識結果に異常があると判定された物体認識モデルによる認識結果を使用せずにメイン操作量演算部18の演算を実施するように命令する。メイン操作量演算部18は、過去のメイン認識処理部15による認識結果、または車両情報取得センサ1が取得した車両情報などを入力として、アクチュエータ6の操作量を演算する。
故障判定部23が「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障あり」と判定した場合、命令切替部24は、メイン処理装置3に対して、当該メイン処理装置3における全ての演算を停止し、電源を入れ直して(再起動して)再び演算することができる状態にする処理(リセット処理)を実施するように命令する。また、命令切替部24は、メイン処理装置3がリセット処理を実施している間も自車両の走行制御ができるように、サブ認識処理部25およびサブ操作量演算部26に対して、物体認識処理、およびアクチュエータ6の操作量の演算をそれぞれ実施するように命令する。
故障判定部23が「メイン処理装置3の重大故障あり」と判定した場合、命令切替部24は、メイン処理装置3に対して、当該メイン処理装置3における全ての演算を停止して電源を切るように命令する。また、命令切替部24は、サブ認識処理部25およびサブ操作量演算部26に対して、物体認識処理、およびアクチュエータ6の操作量の演算をそれぞれ実施するように命令する。
上記では、異常判定部21がメイン認識処理部15による認識結果の異常の有無を判定する場合について説明した。メイン認識処理部15による演算が停止している間、異常判定部21がサブ認識処理部25による認識結果の異常の有無を判定し、当該判定結果が異常な認識結果である場合、命令切替部24は、サブ操作量演算部26に対してサブ認識結果による認識結果を使用しないように命令し、メイン操作量演算部18に対して操作量を演算するように命令してもよい。当該命令により、サブ認識処理部25が認識処理を行う場合であっても、サブ認識処理部25による認識結果の異常の有無に応じて適切にサブ操作量演算部26が演算に使用する認識結果を選別することができる。
上記では、メイン処理装置3がリセット処理中のときはサブ処理装置4が走行制御に関する処理を行う場合について説明したが、サブ処理装置4に代えて他の処理装置が走行制御に関する処理を行うようにしてもよい。このようにすることによって、サブ処理装置4における演算負荷の低減、およびサブ処理装置4の構成の簡素化を実現することができる。
なお、メイン認識処理部15の物体認識モデル16,17ごとに異なる制御切替部19,20(異なる命令切替部)を使用する場合は、各故障判定部23の判定結果を入力として、メイン処理装置3、またはサブ認識処理部25およびサブ操作量演算部26に対して命令する。この場合、各物体認識モデル16,17による認識結果を1つに統合してメイン認識処理部15による認識結果とする場合と異なり、故障判定部23が「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障なし」と判定したとき、命令切替部24は、メイン処理装置3に対して異常があると判定された物体認識モデルによる認識結果のみを使用せずにメイン操作量演算部18の演算を実施するように命令する。これにより、メイン操作量演算部18は、過去の認識結果だけでなく、異常がないと判定された他の物体認識モデルによる認識結果も入力として、アクチュエータ6の操作量を演算することができる。
一方、「認識結果の異常あり、メイン処理装置の故障あり」と判定する故障判定部23が1つ以上存在する場合、命令切替部24は、メイン処理装置3に対してリセット処理を実施するように命令し、サブ認識処理部25およびサブ操作量演算部26に対して、物体認識処理、およびアクチュエータ6の操作量の演算をそれぞれ実施するように命令する。これにより、1つの物体認識モデルの演算で発生した故障が、メイン処理装置3における他の演算に影響を及ぼす前に、リセット処理を行うことができる。
<効果>
本開示によれば、メイン認識処理部15による認識結果の異常の有無と、メイン処理装置3の故障の有無とに応じて、メイン処理装置3またはサブ処理装置4に対する自車両の走行制御に関する命令を切り替える。これにより、より長期間にわたって、周辺物体の挙動に対して最適な自車両の走行制御を行うことが可能となる。
<ハードウェア構成>
上記で説明したメイン認識処理部15およびメイン操作量演算部18の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、メイン処理装置3は、周辺物体を認識し、アクチュエータの操作量を演算するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサ(CPU、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)であってもよい。
処理回路が専用のハードウェアである場合、図7に示すように、処理回路27は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。メイン認識処理部15およびメイン操作量演算部18の各機能をそれぞれ処理回路27で実現してもよく、各機能をまとめて1つの処理回路27で実現してもよい。
処理回路27が図8に示すプロセッサ28である場合、メイン認識処理部15およびメイン操作量演算部18の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ29に格納される。プロセッサ28は、メモリ29に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、メイン処理装置3は、周辺物体を認識するステップ、アクチュエータの操作量を演算するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ29を備える。また、これらのプログラムは、メイン認識処理部15およびメイン操作量演算部18の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
なお、メイン認識処理部15およびメイン操作量演算部18の各機能について、一部の機能を専用のハードウェアで実現し、他の機能をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
上記では、メイン処理装置3のハードウェア構成について説明したが、サブ処理装置4のハードウェア構成についても同様である。
なお、本開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1 車両情報取得センサ、2 車外情報取得センサ、3 メイン処理装置、4 サブ処理装置、5 出力切替装置、6 アクチュエータ、7 車速センサ、8 舵角センサ、9 加速度センサ、10 カメラ、11 ミリ波レーダ、12 Lidar、13 GPS装置、14 車載通信機、15 メイン認識処理部、16,17 物体認識モデル、18 メイン操作量演算部、19,20 制御切替部、21 異常判定部、22 シーン判定部、23 故障判定部、24 命令切替部、25 サブ認識処理部、26 サブ操作量演算部、27 処理回路、28 プロセッサ、29 メモリ。

Claims (16)

  1. 車両の走行制御を行うメイン処理装置と、
    前記メイン処理装置の状態を監視するサブ処理装置と、
    を備え、
    前記メイン処理装置は、
    前記車両の周辺環境の状態を示す車外情報に基づいて、前記車両の周辺に存在する周辺物体を認識するメイン認識処理部と、
    前記メイン認識処理部による認識結果、前記車外情報、および前記車両の動作に関する車両情報に基づいて、前記走行制御を行うための操作量を演算するメイン操作量演算部と、
    を有し、
    前記サブ処理装置は、
    前記メイン認識処理部による認識結果の異常の有無、および前記メイン処理装置の故障の有無に応じて、前記メイン処理装置または前記サブ処理装置に対する前記走行制御に関する命令を切り替える制御切替部と、
    前記制御切替部の前記命令に従い、前記車外情報に基づいて前記周辺物体を認識するサブ認識処理部と、
    前記制御切替部の前記命令に従い、前記車外情報および前記車両情報に基づいて前記走行制御を行うための前記操作量を演算するサブ操作量演算部と、
    を有し、
    前記制御切替部は、
    前記車外情報および前記車両情報のうちの少なくとも一方と、前記メイン認識処理部による認識結果とに基づいて、前記メイン認識処理部による認識結果の異常の有無を判定する異常判定部と、
    前記車外情報および前記車両情報のうちの少なくとも一方に基づいて、前記車両の周辺環境が、前記メイン認識処理部による認識結果が信頼できる環境であることを示す認識可能シーンであるか否かを判定するシーン判定部と、
    前記異常判定部による判定結果と、前記シーン判定部による判定結果とに基づいて、前記メイン処理装置の故障の有無を判定する故障判定部と、
    前記故障判定部による判定結果に基づいて、前記メイン処理装置または前記サブ処理装置に対して前記走行制御を行うように命令する命令切替部と、
    を有する、車両制御システム。
  2. 前記車外情報を取得する車外情報取得センサと、
    前記車両情報を取得する車両情報取得センサと、
    をさらに備える、請求項1に記載の車両制御システム。
  3. 前記走行制御は、AD(Autonomous Driving)の制御、およびADAS(Advanced Driver Assistance System)の制御を含む、請求項1または2に記載の車両制御システム。
  4. 前記メイン認識処理部は、前記車外情報を入力とする複数のルールベースモデルまたは複数の機械学習モデルを用いて前記周辺物体を認識する、請求項1からのいずれか1項に記載の車両制御システム。
  5. 前記異常判定部は、予め定められた期間における前記メイン認識処理部による認識結果が予め定められた条件を満たさない場合、前記メイン認識処理部による認識結果が異常であると判定する、請求項に記載の車両制御システム。
  6. 前記シーン判定部は、前記車外情報および前記車両情報のうちの少なくとも一方に基づいて演算して得られた値が予め定められた条件を満たさない場合、前記認識可能シーンではないと判定する、請求項に記載の車両制御システム。
  7. 前記シーン判定部は、前記車外情報および前記車両情報のうちの少なくとも一方に基づいて導出した1つ以上の特徴量と、予め定められた基準値とに基づいて、前記特徴量を少なくとも1つの軸とする多次元空間内における前記特徴量と前記基準値との距離が予め定められたしきい値以下ではない場合、前記認識可能シーンではないと判定する、請求項に記載の車両制御システム。
  8. 前記故障判定部は、前記異常判定部が前記メイン認識処理部による認識結果が異常であると判定し、かつ前記シーン判定部が前記認識可能シーンであると1回以上判定した場合、前記メイン処理装置に故障ありと判定する、請求項に記載の車両制御システム。
  9. 前記命令切替部は、前記故障判定部が前記メイン処理装置に故障ありと判定した場合、前記メイン処理装置に対して全ての演算を停止した後に再起動して再び演算を実施することができる状態にする処理であるリセット処理を行うように命令する、請求項に記載の車両制御システム。
  10. 前記命令切替部は、前記メイン処理装置が前記リセット処理を完了するまでの間、前記サブ認識処理部および前記サブ操作量演算部に対して前記走行制御を行うように命令する、請求項に記載の車両制御システム。
  11. 前記故障判定部は、前記メイン処理装置が前記リセット処理を予め定められた回数以上行った後、前記異常判定部が前記メイン認識処理部による認識結果が異常であると判定し、かつ前記シーン判定部が前記認識可能シーンであると判定した場合、前記メイン処理装置に前記リセット処理では対処できない故障が発生したと判定し、
    前記命令切替部は、前記メイン処理装置に対して電源を停止するように命令し、前記サブ認識処理部および前記サブ操作量演算部に対して前記走行制御を行うように命令する、請求項または10に記載の車両制御システム。
  12. 前記命令切替部は、前記異常判定部が前記メイン認識処理部による認識結果が異常であると判定し、かつ前記故障判定部が前記メイン処理装置に故障なしと判定した場合、前記メイン操作量演算部に対して前記メイン認識処理部による認識結果を用いずに前記走行制御を行うように命令する、請求項に記載の車両制御システム。
  13. 前記命令切替部は、前記異常判定部が前記メイン認識処理部による認識結果が異常でないと判定し、かつ前記シーン判定部が前記認識可能シーンでないと判定した回数が予め定められた回数以上である場合、前記メイン操作量演算部に対して前記メイン認識処理部による認識結果を用いずに前記走行制御を行うように命令する、請求項に記載の車両制御システム。
  14. 車両の走行制御を行うメイン処理装置と、
    前記メイン処理装置の状態を監視するサブ処理装置と、
    を備え、
    前記メイン処理装置は、
    前記車両の周辺環境の状態を示す車外情報に基づいて、前記車両の周辺に存在する周辺物体を認識するメイン認識処理部と、
    前記メイン認識処理部による認識結果、前記車外情報、および前記車両の動作に関する車両情報に基づいて、前記走行制御を行うための操作量を演算するメイン操作量演算部と、
    を有し、
    前記サブ処理装置は、
    前記メイン認識処理部による認識結果の異常の有無、および前記メイン処理装置の故障の有無に応じて、前記メイン処理装置または前記サブ処理装置に対する前記走行制御に関する命令を切り替える制御切替部と、
    前記制御切替部の前記命令に従い、前記車外情報に基づいて前記周辺物体を認識するサブ認識処理部と、
    前記制御切替部の前記命令に従い、前記車外情報および前記車両情報に基づいて前記走行制御を行うための前記操作量を演算するサブ操作量演算部と、
    を有し、
    前記サブ処理装置は、前記メイン認識処理部による認識結果が複数ある場合における各前記認識結果に対応する前記制御切替部を複数有し、
    各前記制御切替部は、前記認識結果の異常の有無、および前記メイン処理装置の故障の有無に応じて、前記メイン処理装置または前記サブ処理装置に対する前記走行制御に関する命令を切り替える、車両制御システム。
  15. 車両の走行制御を行うメイン処理装置と、
    前記メイン処理装置の状態を監視するサブ処理装置と、
    を備える車両制御システムにおける車両制御方法であって、
    前記メイン処理装置では、
    メイン認識処理部が、前記車両の周辺環境の状態を示す車外情報に基づいて、前記車両の周辺に存在する周辺物体を認識し、
    メイン操作量演算部が、前記メイン認識処理部による認識結果、前記車外情報、および前記車両の動作に関する車両情報に基づいて、前記走行制御を行うための操作量を演算し、
    前記サブ処理装置では、
    制御切替部が、前記メイン認識処理部による認識結果の異常の有無、および前記メイン処理装置の故障の有無に応じて、前記メイン処理装置または前記サブ処理装置に対する前記走行制御に関する命令を切り替え、
    サブ認識処理部が、前記制御切替部の前記命令に従い、前記車外情報に基づいて前記周辺物体を認識し、
    サブ操作量演算部が、前記制御切替部の前記命令に従い、前記車外情報および前記車両情報に基づいて前記走行制御を行うための前記操作量を演算し、
    前記制御切替部による前記走行制御に関する命令の切り替えは、
    異常判定部が、前記車外情報および前記車両情報のうちの少なくとも一方と、前記メイン認識処理部による認識結果とに基づいて、前記メイン認識処理部による認識結果の異常の有無を判定し、
    シーン判定部が、前記車外情報および前記車両情報のうちの少なくとも一方に基づいて、前記車両の周辺環境が、前記メイン認識処理部による認識結果が信頼できる環境であることを示す認識可能シーンであるか否かを判定し、
    故障判定部が、前記異常判定部による判定結果と、前記シーン判定部による判定結果とに基づいて、前記メイン処理装置の故障の有無を判定し、
    命令切替部が、前記故障判定部による判定結果に基づいて、前記メイン処理装置または前記サブ処理装置に対して前記走行制御を行うように命令することを含む、車両制御方法。
  16. 車両の走行制御を行うメイン処理装置と、
    前記メイン処理装置の状態を監視するサブ処理装置と、
    を備える車両制御システムにおける車両制御方法であって、
    前記メイン処理装置では、
    メイン認識処理部が、前記車両の周辺環境の状態を示す車外情報に基づいて、前記車両の周辺に存在する周辺物体を認識し、
    メイン操作量演算部が、前記メイン認識処理部による認識結果、前記車外情報、および前記車両の動作に関する車両情報に基づいて、前記走行制御を行うための操作量を演算し、
    前記サブ処理装置では、
    制御切替部が、前記メイン認識処理部による認識結果の異常の有無、および前記メイン処理装置の故障の有無に応じて、前記メイン処理装置または前記サブ処理装置に対する前記走行制御に関する命令を切り替え、
    サブ認識処理部が、前記制御切替部の前記命令に従い、前記車外情報に基づいて前記周辺物体を認識し、
    サブ操作量演算部が、前記制御切替部の前記命令に従い、前記車外情報および前記車両情報に基づいて前記走行制御を行うための前記操作量を演算し、
    前記サブ処理装置は、前記メイン認識処理部による認識結果が複数ある場合における各前記認識結果に対応する前記制御切替部を複数有し、
    各前記制御切替部が、前記認識結果の異常の有無、および前記メイン処理装置の故障の有無に応じて、前記メイン処理装置または前記サブ処理装置に対する前記走行制御に関する命令を切り替える、車両制御方法。
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