金属材料、例えば、アルミニウム又はその合金材料等のビレット(押出材)を、従来型の押出プレス装置により押出成形する場合、まず、コンテナのビレット収容部内に新たなビレットを挿入させ保持(アプセット)させる。具体的には、メインシリンダ(あるいはメインシリンダハウジング)に、押出方向に前進可能に内蔵されるメインラムの先端部に、メインクロスヘッドを介して取り付けられた押出ステムを押出方向と逆に後退させる。この押出ステムの後退は、メインクロスヘッドに連結されたサイドシリンダ等、メインシリンダとは別の油圧アクチュエータにより行われる。また、この時、コンテナは、コンテナシリンダ等により、エンドプラテン側のダイスに押し付けられた状態である。
次に、押出プレス装置機外に配置されたビレットヒータから、予熱されたビレットをビレット搬送装置等のビレット搬送手段により、押出プレス装置側方のビレット供給位置まで搬送させた後、ビレットプッシャー等で、ビレット供給装置の移動フレーム先端のビレット載置部に載置させる。そして、ビレット供給装置の移動フレームを前進させて、ビレット載置部上のビレットを押出中心上に移動させる。その後、押出ステムを押出方向に前進させて、ビレット供給装置のビレット載置部上のビレットをコンテナのビレット収容部内に挿入させる。引き続き、ビレット供給装置の移動フレームを後退させて、ビレット載置部を押出中心から待避させた後、押出ステムを押出方向に前進させ、ビレットの外周面がコンテナのビレット収容部の内周面に接触するようにビレットを塑性変形させてアプセットが完了する。メインラムをさらに押出方向に前進させ、押出ステムによりビレットをダイスに押圧させると、製品の断面形状を模したダイスの出口部から、押出製品が連続して押し出される。
このような従来型の押出プレス装置では、コンテナ端面から押出ステム先端間の押出中心上に、ビレットを供給させるスペースを確保するために、押出ステムの先端を、コンテナ端面からこのビレットの全長分より多く後退させる必要がある。そのため、メインラムには、供給されるビレット全長に、押出ステムの長さを加えた長さ以上の前進(後退)ストロークが必要である。その結果、メインラム、及びメインラムを収納するメインシリンダも長大化し、押出プレス装置の全長が長大化する。また、メインラムを前進させるための作動油量も多くなる。
近年においては、押出プレス装置の全長の長大化を抑制させたショートストロークプレス方式押出プレス装置が採用されている。その1つが、リアローティング型押出プレス装置である。このリアローディング型押出プレス装置は、押出中心上にビレットを供給させるスペースを確保するために、メインクロスヘッド前面に配置される押出ステムを後退させず、メインクロスヘッド前面において、押出方向と直交する方向、例えば、水平に移動させ、押出ステムを押出中心から一時的に移動(退避)させて、押出プレス装置の全長の長大化を抑制するものである。
図1及び図2を参照しながら、リアローディング型押出プレス装置におけるビレット供給方法について説明する。図1は、リアローディング型押出プレス装置におけるビレット供給方法を説明する概略平面図である。図2は、図1(b)のA矢視図である。
図1(a)は、ビレットが押出中心上に供給される前のリアローディング型押出プレス装置20(以後、押出プレス装置20)を示す。エンドプラテン1とシリンダ取付ブロック2とがタイロッド3によって連結され固定されている。エンドプラテン1にはダイス4が取り付けられ、図示しないコンテナシリンダ等により、ビレット収容部Cを備えたコンテナ5がダイス4に押し付けられている。
そして、シリンダ取付ブロック2には、押出ステム6を移動(前進/押圧)させるためのメインシリンダ8が取り付けられている。メインシリンダ8にはメインラム8aが内蔵され、作動油の供給により前進させることができる。一方、メインラム8aの先端にメインクロスヘッド7が取り付けられており、さらに、このメインクロスヘッド7前面の押出中心上に押出ステム6が取り付けられている。メインラム8aを前進させると、押出ステム6を前進させて、押出ステム6により、コンテナ5のビレット収容部C内のビレットBを押出方向Pに押圧させることができる。
押出プレス装置20にビレットBを供給させる場合、まず、図1(b)に示すように、押出ステム6を、エンドプラテン1側から見て左方向(図1(b)では上方)に移動(退避)させる。次に、エンドプラテン1側から見て右方向(図1(a)では下方/ビレット供給位置)から、ビレット供給装置10(図示せず)の移動フレーム12を押出中心側に前進させて、移動フレーム12先端のビレット載置部BLに載置されたビレットBを押出中心に移動させる。そして、図1(c)に示すように、ビレット載置部BL上のビレットBの端面を、ビレット載置部BLに備えられたビレット挿入機構(図示せず)の押圧部材BSにより押圧させて、コンテナ5のビレット収容部C内に挿入させる。
コンテナ5のビレット収容部C内へのビレットBの挿入が完了した後、図1(d)に示すように、ビレット供給装置10(図示せず)の移動フレーム12(図示せず)を後退させて、移動フレーム12及びビレット載置部BLを、押出中心から退避させる。この後、エンドプラテン1側から見て左方向に移動(退避)させていた押出ステム6を押出中心に移動させる。引き続き、メインラム8aを押出方向Pに前進させてアプセットが完了する。以降の押出工程は、先に説明した従来型の押出プレス装置と同じであるため説明は割愛する。
ここで、図1において図示を省略した、ビレット供給装置10について、図2を参照しながら概略を説明する。図2は、図1(b)のA矢視図である。ビレット供給装置10は、図2(a)に示すビレット供給位置において、ビレット載置部BLにビレットBを載置可能に、離間して配置される基台11と、基台11に案内され、基台11に対して、押出中心側へ進退自在に支持されると共に、押出中心側端部にビレット載置部BL及びビレット挿入機構(図示せず)が配置される移動フレーム12と、が主要構成である。
図2(a)に示すビレット供給位置は、押出動作等におけるメインクロスヘッド7の移動に干渉せず、また、タイロッド3等、押出プレス装置20や周辺装置に干渉することなく、新たなビレットBを、例えば、ビレットプッシャー等(図示せず)により、コンテナ5のビレット収納部Cと平行に、ビレット載置部BLに載置可能な位置である。また、先に説明したように、押出ステム6は、図示しない駆動手段により押出ステムガイド手段6aに沿って、エンドプラテン1側から見て左方向に移動(退避)させている。ここで、図2(a)における、ビレット供給位置及び押出プレス装置20の押出ステム6の押出中心間の水平距離をビレット搬送距離L1とする。
そして、図2(b)に示すように、移動フレーム12を前進させて、ビレット載置部BLに載置されたビレットBを押出中心に移動させる。図2においては、基台11における移動フレーム12の案内及び支持構造を、図的に理解が容易な、上下方向のローラ支持構造としたが、供給させるビレットの重量及びビレット搬送距離L1に対応する剛性を備える移動フレームと、該移動フレームの垂直方向の支持剛性を備える公知の支持構造が採用される。
一方、リアローディング型押出プレス装置においては、ビレット供給時に押出中心に押出ステムがない。そのため、ビレット供給装置の、移動フレーム先端のビレット載置部に、押圧部材等によりビレットをコンテナのビレット収容部内に挿入させるビレット挿入機構が配置される。
このビレット挿入機構は、ビレット搬送距離分、移動フレームを前進させた状態で駆動される。そのため、コンテナのビレット収納部内へのビレット挿入時の挿入抵抗力の反力が、ビレット挿入機構を介して、前進させた状態の移動フレーム先端部に、押出方向Pとは逆向き(移動フレームの進退方向と直交する水平方向)に作用する。リアローディング型押出プレス装置のビレット供給装置の基台においては、先に説明した、移動フレームの垂直方向の支持剛性に加えて、ビレット挿入時の挿入抵抗力のこのような反力に対応する、移動フレームの水平方向の支持剛性を備えなければならないという問題がある。
前述したような問題を鑑み、ビレット載置部にビレット挿入機構を備えないビレット供給装置であっても、押出中心にビレットを供給させることができるリアローディング型押出プレス装置が開示されている。
例えば、特許文献1には、押出中心から移動させたプレス用シャンク17(押出ステム)とは別に、押出中心上に供給されたビレット13を、コンテナ12の空洞12a内に挿入するためのシリンダ16、及び同シリンダ16により押出方向に前進・後退可能な押出し棒16aが、主プレスピストン14a(メインラム)の押出中心に内蔵された押出プレス(装置)によるビレットの供給方法が開示されている。
また、特許文献2には、可動クロス部材28(メインクロスヘッド)に配置された回転アーム46の両端に、プランジャ48(押出ステム)とビレットローダ50(ビレット載置部)をそれぞれ備えた押出しプレスが開示されている。回転アーム46はピン42を回転軸として回転可能に、且つ、同回転により、プランジャ48とビレットローダ50をそれぞれ押出中心に位置決め可能に構成されている。そして、押出中心以外でビレットローダ50に供給されたビレットBを、回転アーム46の回転により押出中心に移動させ(この時、プランジャ48は押出中心以外にある)、可動クロス部材28の前進、またはピン42に組み込まれるシリンダでの回転アーム46の前進により、押出中心にあるビレットBを容器16(コンテナ)内に挿入させるように構成されている。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第1実施形態]
第1実施形態に係るビレット供給装置100と、リアローディング型押出プレス装置である押出プレス装置20へのビレット供給方法について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3(a)は、第1実施形態に係るビレット供給装置と、ビレット供給方法を説明する概略平面図であって、リアローディング型押出プレス装置のビレット供給装置におけるビレット供給方法を説明した図1(b)の状態に相当する。図3(b)及び図3(c)は、共に、図3(a)の要部Xの拡大図と同図C-C矢視の断面図である。また、図4は、図3のB矢視図であって、図4(a)が図2(a)の状態(ビレット供給位置)に、図4(b)が図2(b)の状態(押出中心)に相当する。
押出プレス装置20にビレットBを供給させる場合、押出プレス装置機外に配置されたビレットヒータから、予熱されたビレットをビレット搬送装置等のビレット搬送手段により、押出プレス装置側方のビレット供給位置まで搬送させる。その後、ビレット供給位置(図4(a))において、ビレットプッシャー等(図示せず)で、ビレット搬送手段(図示せず)からビレットBを押し出して、開放状態のビレット把持機構30にビレットBを移動させた後、ビレットBを把持させる。次に、ビレット供給装置100(図示せず)の移動フレーム12を後退限位置から押出中心側に前進させて、移動フレーム12先端のビレット把持機構30に把持させたビレットBを押出中心(図4(b))に移動させる。
このとき、ビレット把持機構30は、コンテナ5及びメインクロスヘッド7との干渉回避のため、これら構成に対して所定のクリアランス(所定量)を確保した状態で押出中心に移動される。ここで、図3(a)の要部Xに示すように、ビレット把持機構30のメインクロスヘッド7側端部のビレットBの中心軸上(ビレットBをビレット把持機構30で把持させた状態)には当接部36が設けられている。また、図3(b)の上方に示すように、ビレットBを押出中心に移動させた状態において、当接部36のメインクロスヘッド7に対するクリアランスL2が確保されている。このときの当接部36の位置を非当接位置とする。
次に、図3(c)の上方に示すように、ビレット把持機構30から当接部36をクリアランスL2分突出させてメインクロスヘッド7に当接させる。このときの当接部36の位置を当接位置とする。そして、ビレット把持機構30によるビレットBの把持力を弱めるか開放状態にさせた後、ビレット挿入機構40(図示せず)の押圧部材BSによりビレットBの端面を押圧させて、コンテナ5のビレット収容部C内に挿入させる。ここで、図4に示すように、後述する固定把持部32が、ビレットBの下方にある状態で、ビレット挿入機構40により、ビレットBをコンテナ5内に挿入させるため、ビレット把持機構30によるビレットBの把持力を弱めるか開放状態にさせても、ビレットBは押出中心に位置保持される。
このように、第1実施形態に係るビレット供給装置100は、ビレット把持機構30の当接部36を介して、ビレット把持機構30及びメインクロスヘッド7を当接させた状態で、ビレット挿入機構40により、ビレットBをコンテナ5内に挿入させるため、コンテナ5内へのビレットB挿入時の挿入抵抗力の反力を、当接部36を介して、メインクロスヘッド7へ作用させて、該反力が、ビレット供給装置100に作用することを抑制できる。その結果、ビレット供給装置100の基台11においては、ビレット挿入時の挿入抵抗力のこのような反力に対応する、移動フレーム12の水平方向の支持剛性を備える必要がなく、垂直方向の支持剛性のみ備えれば良い。
また、ビレット供給装置100の移動フレーム12の進退精度を鑑みれば、移動フレーム12を前進させて、ビレットBを押出中心に移動させた状態における、当接部36のメインクロスヘッド7に対するクリアランスは20~30mmで十分である。したがって、ビレット把持機構30に対して、当接部36をクリアランスL2分突出させた当接位置と、突出させない非当接位置とで切り換え可能とする位置切り換え機構の、当接部36の移動ストロークも同程度あれば良い。一方、当接部36は当接位置において、コンテナ5内へのビレット挿入時の挿入抵抗力の反力(押出方向Pとは逆向きに作用)を受ける。これらを鑑みて、当接部36の当接位置及び非当接位置の位置切り換え機構は、当接部36の当接位置の維持に、大きな駆動力を必要としない機構が好ましい。
当接部36の位置切り換え機構の一例として、図3(b)及び図3(c)の下方に示す断面図のように、当接部36の当接位置の維持において、リンク36a及びリンク36bが押出中心上で一直線となるトグル機構を挙げることができる。リンク36a及びリンク36bは、エアシリンダ等のアクチュエータ36cのシリンダロッドの前進・後退により、それぞれ、押出中心上での一直線状態(当接位置)と屈曲状態(非当接位置)とが切り換えられる。アクチュエータ36cのシリンダロッドの前進により、リンク36a及びリンク36bを押出中心上で一直線状態にさせるために、リンク36a及びリンク36bの少なくとも一方の支持部材に、非当接位置における屈曲状態との逆方向への屈曲を防止すると共に、一直線状態を維持させるガイド部36dが形成されることが好ましい。第1実施形態では、リンク36bの当接部36側の支持部材にガイド部36dが形成される。
このように、当接部36の非当接位置及び当接位置の位置切り換え機構にトグル機構を採用し、リンク36a及びリンク36bが押出中心上で一直線になる状態において、当接部36に、コンテナ5内へのビレットB挿入時の挿入抵抗力の反力を作用させるため、アクチュエータ36cが、大きな押圧力を発生させることが困難なエアシリンダ等であっても、コンテナ5内へのビレットB挿入の間、該反力に抗して当接部36の当接位置を維持させることができる。
引き続き、第1実施形態に係るビレット供給装置100のビレット把持機構30及びビレット挿入機構40について、図5から図9を参照しながら説明する。
図5は、図4に示すビレット把持機構30の説明図である。これをビレット把持機構30の側面図1とする。同様に、図6は図5のD-D矢視図(正面図)で、図7は図6のE-E矢視図(平面図)である。図8は図6のF-F矢視図(一部断面平面図)で、図9は図6のG矢視図(側面図2)である。ビレット把持機構30及びビレット挿入機構40の構成を分かり易く図示するため、図5から図9では、ビレット供給装置100の移動フレーム12や、図3(a)及び図3(b)に示した当接部36の位置切り換え機構他の図示を省略している。
ビレットBを把持するビレット把持機構30は、固定把持部32が配置された把持機構本体部31と、把持機構本体部31の固定把持部32に対向して開閉する可動把持部33と、を有している。そして、後述するビレット挿入機構40が把持機構本体部31に配置されている。さらに、ビレット挿入機構40により、ビレットBをコンテナ5内に挿入させる時に、ビレット把持機構30とメインクロスヘッド7とを当接させる当接部36の中心が、ビレットBをビレット把持機構30で把持させた状態における、ビレットBの中心軸と同軸になるように把持機構本体部31に配置される。
把持機構本体部31は、側面部31a/31bと、背面部31cと、側面部31a/31b間を連結し、背面部31cにも固定される上方リブ部31d及び下方リブ部31eと、側面部31bに固定され、当接部36を備える当接部支持体37と、で構成される構造体である。なお、図面を見易くするため、把持機構本体部31は、先に挙げた各構成部材の符号を図中に表記し、把持機構本体部31の符号31の表記を省略している。
把持機構本体部31の下方リブ部31eの上方には、複数のローラ32aを備える固定把持部32が配置されている。固定把持部32が、ビレットBの下方にある状態で、可動把持部33によるビレットBの把持状態を開放状態にさせると、複数のローラ32aにより、ビレットBは、ビレットBの中心軸方向に移動可能に支持される。
可動把持部33は、側面部31a/31b間に固定された可動把持部支持ロッド33bに回転可能に支持されており、可動把持部シリンダ33cにより、固定把持部32に対向して開閉する。可動把持部シリンダ33cは、シリンダ本体側を背面部31cに回転可能に支持され、シリンダロッド側を可動把持部33に回転可能に支持されている。また、可動把持部33のビレットB側には、ビレットBに接触する把持部材33aが配置され、この可動把持部33の開閉動作により、固定把持部32上のビレットBを把持部材33aで挟み込んだ把持状態(閉止状態)と、把持部材33aをビレットBから離間させた開放状態とを選択できる。把持部材33aのビレットBの長手方向断面形状は、ビレットBの中心軸を位置保持した状態でビレットBを把持可能な形状が好ましい。図5に示すように、ビレットBの長手方向断面形状が逆V字形状で、同逆V字形状のビレットBの長手方向の凹部により、ビレットBの中心軸を位置保持する断面形状も好ましい形状の1つである。
次に、ビレット挿入機構40について説明する。ビレット挿入機構40は把持機構本体部31に配置されている。具体的には、少なくとも一端が回転可能に支持されたボールねじ軸40aと、ボールねじ軸40aと組み合わされるボールナット40bと、ボールナット40bに固定された押圧部材BSとを有する。また、ボールねじ軸40aの一端は、当接部支持体37内に配置された、ベアリング等の回転支持部材40cにより回転支持されている。なお、図示はしていないが、ボールねじ軸40aの、側面部31a側端もベアリング等の回転支持部材により回転支持させても良い。
そして、押圧部材BSには、図示しないブッシュ等の摺動部材を介して2本のガイドロッド40dを所定距離離間させて貫通させており、2本のガイドロッド40dのそれぞれ両端が側面部31a/31b間に固定される構成により、把持機構本体部31内において、押圧部材BSがビレットBの中心軸方向の移動を案内される。これら、ボールねじ軸40a及び2本のガイドロッド40dは、ビレットBをビレット把持機構30で把持させた状態における、ビレットBの中心軸と平行に配置される。一方、回転支持部材40cにより回転支持され、当接支持体37から突出させたボールねじ軸40aの一端と、側面部31bから突出するように配置させたサーボモータ40eの出力軸との間には、プーリ及びベルト等で構成される回転伝達機構40fが配置され、サーボモータ40eを駆動させて、ボールねじ軸40aを回転させて、押圧部材BSをビレットBの中心軸方向へ移動させることができる。なお、図面を見易くするため、ビレット挿入機構40は、先に挙げた各構成部材の符号を図中に表記し、図8を除き、ビレット挿入機構40の符号40の表記を省略している。
図3(a)及び図3(b)に示す状態から、図3(c)に示すように、ビレット把持機構30から当接部36をメインクロスヘッド7側にクリアランスL2分突出させて、メインクロスヘッド7に当接させる(当接位置)。そして、図4(b)に示す状態において、ビレット把持機構30の可動把持部33を可動させて、可動把持部33によるビレットBの把持力を弱めるか開放状態にさせる。その後、サーボモータ40eを駆動させて、ボールねじ軸40aを回転させると、押圧部材BSをビレットB側に前進させて、ビレットBを押圧させて、ビレットBをコンテナ5内に挿入させることができる。
これまで説明したように、ビレットBを把持するビレット把持機構30は、固定把持部32がビレットBの下方にある状態で、ビレット挿入機構40によりビレットBをコンテナ5内に挿入させるため、ビレット把持機構30(可動把持部33)によるビレットBの把持力を弱めるか開放状態にさせても、ビレットBは押出中心に位置保持される。
また、ビレットBの把持は、ビレットBの上方となる可動把持部33の、固定把持部32に対向する開閉動作により行われる。そのため、可動把持部33の開閉動作に関連する構成(可動把持部支持ロッド33b、可動把持部シリンダ33c等)をすべて、ビレットBの中心軸(ビレットBをビレット把持機構30で把持させた状態)から離間した位置に配置させることができる。この構成により、押圧部材BSを、同状態のビレットBの中心軸上で前進させ、ビレットBを押圧させるビレット挿入機構40の各構成(押圧部材BS、ボールねじ軸40a、ガイドロッド40d等)を、把持機構本体部31に配置させることができる。
さらに、ビレット挿入機構40の押圧部材BSを、シリンダ(空圧/油圧)で駆動させる構成に対して、ボールねじ機構(ボールねじ軸40a及びボールナット40b)とサーボモータ40eとの組み合わせで駆動させる構成により、押圧部材BSの前進ストローク、すなわち、ビレットBのコンテナ5内への挿入ストロークを、ビレットBの中心軸方向に、ビレットBの全長と重複させることができる。これにより、ビレットBをビレット把持機構30で把持させた状態における、ビレット把持機構30のビレットBの中心軸方向の幅(長さ)を、抑制することができ、図3(a)に示すように、押出ステム6を退避させた押出中心上に、ビレットBを把持させた状態でビレット把持機構30を挿入できる。
一方、ビレット挿入機構40の駆動手段としてサーボモータ40eを採用することにより、制御上のメリットも享受できる。例えば、ビレットBのコンテナ5内への挿入時の挿入抵抗力をサーボモータ40eに発生する実回転トルク等でモニタすることや、サーボモータの回転数(回転角度)をモニタすることにより、ボールねじ機構の仕様(リード等)と合わせて、ビレット把持機構30に対する押圧部材BS(ビレットB)の位置を把握させることが可能となる。これら情報を、上限値以上の実回転トルク検知による異常判定や異常個所の特定、あるいは、ビレットBのコンテナ内における位置毎の挿入速度の制御等に活用して、ビレットBのコンテナ5内への安定した挿入を行わせることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るビレット供給装置200と、リアローディング型押出プレス装置である押出プレス装置20へのビレット供給方法について、図10を参照しながら説明する。図10は、第2実施形態に係るビレット供給装置と、ビレット供給方法を説明する説明図であり、第1実施形態に係るビレット供給装置100におけるビレット供給方法を説明した図4の状態に相当する。
第2実施形態に係るビレット供給装置200は、第1実施形態に係るビレット供給装置100の、移動フレーム12及びこれを進退可能に支持する基台11の代わりに、複数軸を有する産業用ロボット210を採用し、ビレット把持機構30が産業用ロボット210のアーム先端に取り付けられ、任意の位置に移動される形態である。ビレット把持機構30及びビレット挿入機構40は、第1実施形態と同じ構成とし、各構成の説明は割愛する。
産業用ロボット210は、一般的な6軸垂直多関節ロボットである。アーム先端に取り付けられたビレット把持機構30、ビレット挿入機構40及びビレットBの合計重量に準じた可動範囲仕様及び可搬重量仕様を有する。押出プレス装置20にビレットBを供給させる場合、図10に示すように、ビレット供給位置から、産業用ロボット210の複数のアーム(第1アーム220a、第2アーム220b、第3アーム220c)を伸張させて、第3アーム220c先端に取り付けられたビレット把持機構30に把持させたビレットBを押出中心に移動させる。このときの産業用ロボット210の状態(姿勢)は、第1実施形態に係るビレット供給装置100の図4(b)の状態に相当するため、符号に(b)を追加して産業用ロボット210(b)と図中に表記している。
一方、産業用ロボット210は、第1アーム220aを支持する支持基部が、産業用ロボット210の固定基部に対して、垂直軸回りに旋回可能である。そのため、第1実施形態に係るビレット供給装置100の図4(a)の状態に相当するビレット供給位置において、符号に(a)を追加して産業用ロボット210(a)と図中に表記した状態(姿勢)のように、ビレット供給装置200の複数のアームを.押出プレス装置20の側方に旋回させ、ビレット把持機構30をビレットBの上方から下降させて、ビレットBを上方から把持させることができる。
ビレット供給位置は、ビレットプッシャー等(図示せず)で、ビレット搬送手段(図示せず)からビレットBを押し出した位置であることが一般的である。図10においても、図を簡単にするために、第1実施形態(図4(a))と同様に、ビレット供給位置におけるビレットBの中心軸が押出中心と平行になるように図示している。しかしながら、6軸垂直多関節ロボットにおいては、複数のアームそれぞれの相対角度を可動範囲内で変化させるだけでなく、第3アーム220c及び第2アーム220bが、それぞれのアームの長手方向と平行な軸回りに旋回可能である。そのため、産業用ロボット210(a)と表記した状態(姿勢)において、ビレット把持機構30を、あらゆる向きのビレットBに対応させて把持させることができる。
そのため、前述した産業用ロボット210の可動範囲内で、且つ、ビレットBが、ビレットBの中心軸が水平になるようにさえ配置されていれば、ビレットBを把持させることは容易である。また、ビレット把持機構30を押出中心に移動させる、産業用ロボット210(a)と表記した状態(姿勢)に、タイロッド3等の他構成との干渉等の支障が無ければ、押出プレス装置20に対する産業用ロボット210の平面図上の配置の制約も少ない。
その結果、移動フレーム12の進退ストロークに準じて、基台11の配置が限定され、ビレット供給位置が、移動フレーム12が後退限位置にあるときの、ビレット把持機構30上のビレットBの中心軸と同軸上に限定される、第1実施形態に係るビレット供給装置100に対して、第2実施形態に係るビレット供給装置200(産業用ロボット210)は、押出プレス装置20に対する平面図上の配置の制約が少ない。
そのため、ビレット把持機構30を押出中心に移動させる、産業用ロボット210(a)と表記した状態(姿勢)に準じて決定された産業用ロボット210の配置に対して、前述した産業用ロボット210の可動範囲内に、ビレットヒータ230が配置できれば、あるいは、ビレットBがビレットヒータ230からピレットプッシャー等(図示せず)で押し出される位置が確保できれば、ビレットヒータ230から押し出されるビレットBをビレット把持機構30で把持させて、直接、押出中心に移動させることができる。
その結果、ビレットヒータ230で予熱されたビレットBの、押出中心への供給に際して、ビレットヒータ230からビレット供給位置までのビレット搬送手段(図示せず)が不要になり省スペース化が図れる。また、ビレットBの供給に要する時間を短縮することができると共に、予熱されたビレットBの温度低下も抑制される。
なお、ビレット把持機構30によるビレットBの把持状態において、固定把持部33は、複数のローラ32aを介して、ビレットBに把持力(可動把持部33の把持力の反力)を作用させているが、可動把持部33は、ビレットBの長手方向に接触する把持部材33aを介して、ビレットBに把持力を作用させる。そのため、ビレットヒータ230から押出中心へのビレットBの搬送中、ビレットBの中心軸が水平から多少傾いた状態になった場合でも、可動把持シリンダ33cにより所定の把持力を発生させることにより、ビレットBの把持状態は維持される。
引き続き、押出プレス装置20へのビレット供給方法について説明する。上記のように、ビレット把持機構30に把持させたビレットBを押出中心に移動させた状態において、第1実施形態(図3(a)要部X)と同様に、当接部36のメインクロスヘッド7に対するクリアランスL2が確保されているものとする。
第2実施形態に係るビレット供給装置200においても、ビレット把持機構30の当接部36を介して、ビレット把持機構30(把持機構本体部31)及びメインクロスヘッド7を当接させた状態で、ビレット挿入機構40により、ビレットBをコンテナ5内に挿入させる。
第2実施形態に係るビレット供給装置200においては、第1実施形態(図3(b)/図3(c)参照)で説明したように、当接部36の非当接位置と当接位置とを切り換えて、ビレット把持機構30(把持機構本体部31)及びメインクロスヘッド7を当接させても良い。しかしながら、別の方法でもこれらを当接させることができる。具体的には、ビレット把持機構30が、産業用ロボット210の第3アーム220c先端に取り付けられる構成を活用して、ビレット把持機構30に把持されたビレットBの中心軸を押出中心に一致させた状態を維持させたまま、第3アーム220c先端に取り付けられたビレット把持機構30をメインクロスヘッド7側にクリアランスL2分後退させて、当接部36をメインクロスヘッド7に当接させても良い。
上記のように、第3アーム220c先端に取り付けられたビレット把持機構30をメインクロスヘッド7側にクリアランスL2後退させて、当接部36をメインクロスヘッド7に当接させる場合、第1実施形態(図3(b)/図3(c)参照)で説明した、当接部36の非当接位置と当接位置との位置切り換え機構は必須の構成ではない。一方、当接部36の位置切り換え機構を備えていても、当接部36の非当接位置を維持させた状態で、ビレット把持機構30をメインクロスヘッド7側にL2後退させることも可能であるため、当接部36の位置切り換え機構の要否は、クリアランスL2の大小や、位置切り換え機構のコスト等を鑑み、本発明を実施する状況において適宜決定されれば良い。
第2実施形態に係るビレット供給装置200も、当接部36をメインクロスヘッド7に当接させることにより、コンテナ5内へのビレットB挿入時の挿入抵抗力の反力が抑制できるため、第1実施形態に係るビレット供給装置100の、移動フレーム12及びこれを進退可能に支持する基台11の代わりに、複数軸を有する産業用ロボット210を採用することができる。すなわち、該反力が、産業用ロボット210の複数のアームを接続する関節や、これら関節の支持軸に作用することを抑制できるため、産業用ロボット210が備える精密な関節支持構造の破損を防止することができる。
また、第2実施形態に係るビレット供給装置200(産業用ロボット210)は、第1実施形態に係るビレット供給装置100に対して、押出プレス装置20に対する平面図上宇の配置の制約が少ない。さらに、産業用ロボット210の配置に対して、産業用ロボット210の可動範囲内に、ビレットヒータ230が配置できれば、あるいは、ビレットBがビレットヒータ230からピレットプッシャー等(図示せず)で押し出される位置が確保できれば、ビレットヒータ230で予熱されたビレットBの、押出中心への供給に際して、ビレットヒータ230からビレット供給位置までのビレット搬送手段(図示せず)が不要になり省スペース化が図れる。また、ビレットBの供給に要する時間を短縮することができると共に、予熱されたビレットBの温度低下も抑制されるという新たな作用効果を奏することができる。
以上、発明を実施するための形態について、第1実施形態及び第2実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された内容を逸脱しない範囲で、色々な形で実施できる。
例えば、第1実施形態において、当接部36の当接位置の維持に大きな駆動力を必要としない位置切り換え機構として、トグル機構を一例として挙げた。一方、図示はしていないが、当接部36の当接位置及び非当接位置間の移動方向に配置されたラックギアにピニオンギアを組み合わせて、このピニオンギアをウオームギアで回転させる機構であれば、コンテナ5へのビレットB挿入時の挿入抵抗力の反力を、ピニオンギアの回転支持部で受ける構成となり、該反力が、ウオームギアを回転させる回転駆動手段の出力軸に作用することを抑制できる。
また、第2実施形態において、ビレットヒータ230から押し出されたビレットBを直接、押出中心に移動させる形態が可能であることを説明した。一方、産業用ロボット210の可動範囲内に、ビレットヒータ230が配置できない場合、あるいは、ビレットBがビレットヒータ230からピレットプッシャー等(図示せず)で押し出される位置が確保できない場合であっても、産業用ロボット210の可動範囲内に、ビレット供給位置が確保できれば良い。
すなわち、ビレットヒータが、産業用ロボット210の可動範囲外に配置せざるを得ない制約がある場合でも、ビレットヒータから、可動範囲内のビレット供給位置間において、ビレットの搬送を行わせるビレット搬送手段による搬送距離を出来るだけ短くすることにより、ビレット供給に係る構成の省スペース化や、ビレットの供給に要する時間の短縮、あるいは、これによる、予熱されたビレットの温度低下の抑制等の作用効果を得ることができる。また、この場合においても、可動範囲内に確保するビレット供給位置におけるビレットの中心軸は、基本的に水平であれば制約はなく、ビレットの中心軸が押出中心と異なる状態でビレット供給位置に供給されても、ビレット把持機構30によるビレット上方からの把持は容易であるため、ビレットヒータ、ビレットプッシャー及びビレット搬送手段の平面図上の配置の制約は少ない。
一方、産業用ロボットの中には、アーム先端に取り付けたエンドエフェクタ(本願ではビレット把持機構30)の大きさや動作中の姿勢を制御装置内で認識させることができるだけでなく、この機能を活用して、予め選択した位置において、エンドエフェクタを予め選択した方向にのみ、外力に抗さず移動可能に支持する機能を有するものも市販されている。
そこで、第2実施形態のビレット供給装置200を構成する産業用ロボット210において、予め、ビレット把持機構30の当接部36を介して、ビレット把持機構30(把持機構本体部31)及びメインクロスヘッド7を当接させた位置を選択すると共に、外力に抗さず移動可能に支持する移動方向として押出中心方向を選択して、上記機能を活用する。これにより、押出プレス装置20の振動や、産業用ロボット210が固定された基礎部分の振動等により、当接部36及びメインクロスヘッド7間に僅かな隙間が生じても、コンテナ5内へのビレットB挿入時の挿入抵抗力の反力により、ビレット把持機構30は、押出中心回りの回転が防止され、垂直方向の荷重が支持された状態で、ビレット把持機構30の当接部36がメインクロスヘッド7に当接するまで後退する。また、それだけではなく、引き続き、該反力により、当接部36がメインクロスヘッド7に押圧された状態が維持される。当然ながら、この状態において、産業用ロボット210の複数のアームを接続する関節や、これら関節の支持軸に該反力が作用することはなく、安定してビレットBをコンテナ5のビレット収納部Cに挿入させることができる。