JP7207901B2 - 衝撃音低減構造及び衝撃音低減方法 - Google Patents

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Description

衝撃音を低減する技術に関する。特に、乾式二重床や二重床等の空気層を備えた構造であって、重い物が床に落下する等して発生する床衝撃音が下階の室に伝わることを低減する技術である。
集合住宅で発生する衝撃音のひとつに床衝撃音遮断性能がある。床衝撃音には軽量床衝撃音と重量床衝撃音がある。重量床衝撃音とは、床を通して上階から下階に伝わる「床衝撃音」のうち、人が跳びはねたり走りまわったり、重い物を落とした時などに「ドスン」などと響く、鈍く低い音のことである。これに対して、スプーンなどの軽い物を落とした時の音やスリッパなどによる足音等は、「軽量床衝撃音」である。
重量衝撃音は、床仕上げ材や天井仕上げ材によって低減することは困難である。
乾式二重床は、防振ゴム等を付けた支持脚で床パネルを支える床仕上げ構造(特許文献1:特開2011-074694号公報)であり、多くの集合住宅等の建物で採用されている。
乾式二重床は重量床衝撃音で重要となる周波数帯域(63Hz帯域)において、低減ではなくむしろ増幅しやすい問題がある。その理由は、乾式二重床が板材を質量とし、支持脚の底部のゴムをバネとした共振系となって、振動を増幅するためである。また、乾式二重床の懐内の空気も前記共振系のバネに関わっていると考えられている。それらによる共振系の共振周波数がちょうど重量床衝撃音で重要となる周波数帯域に存在してしまうためと考えられる。
これを解決するための従来の技術として、乾式二重床の板材を厚くして質量を増して(非特許文献1)共振系の共振周波数を下げ、重量床衝撃音で重要となる周波数帯域に含まれないようにする対策が行われる。
また、空気によるバネの影響を軽減するために、乾式二重床の周囲と室の壁との間に隙間を設けて衝撃時に空気が抜けるようにする対策も行われている(特許文献2:特開2015-17392号公報)。
また、乾式二重床の懐内にグラスウールなどの吸音材を広く敷設(非特許文献1)したり、連通管を設けた共鳴器型吸音体(ヘルムホルツレゾネータ構造体)(非特許文献2、特許文献3:特開2015-52260号公報)を設置(図14参照)して、それらの吸音効果によって床衝撃音を低減しようとする試みもある。
吊り天井(二重天井)では、二重天井が板材を質量とし、懐内の空気をバネとした共振系となって、振動を増幅する。この共振周波数がちょうど重量床衝撃音で重要となる周波数帯域に存在してしまう。共振周波数f0は下記の式で示されるように、空気の密度ρ0、空気中の音速c0、懐空気高さh、板の面密度mに関わる。
Figure 0007207901000001
また、二重天井の懐内では二次元的な音響共鳴も生じる(以降、二次元共鳴と記す)。一般の居室の平面寸法の場合、低次の二次元共鳴がちょうど重量床衝撃音で重要となる周波数帯域に存在してしまう。
このうち、バネ・マス共振による増幅を軽減するための従来の技術として、二重天井の板材を厚くして質量を増して共振系の共振周波数を下げ、重量床衝撃音で重要となる周波数帯域に含まれないようにする対策が、よく知られた軽減方法として行われる。
しかし、上記の二重天井の質量を増す方法では、式1からも分かるように板の重さを2倍にした場合でも共振周波数は0.7倍(1/√2)までしか下がらず、大幅に板を重くする必要がある。
また、バネ・マス共振による増幅を軽減するための別の技術として、質量ではなく空気の特性を変化させることにより、共振系の共振周波数を下げ、重量床衝撃音で重要となる周波数帯域に含まれないようにする技術が提案されている(特許文献4:特開2006-316459号公報)。これは、天井内空間を全て埋めるように多孔質材を充填させることにより、懐空間内の音速を空気中のそれよりも遅くすることによって共振周波数を下げるものである。
上記の天井内空間全てに多孔質材を充填する方法は共振周波数f0を著しく小さくすることが可能である。しかし、天井内空気の音速を変化させるためには、特許文献4によれば、多孔質材を空間の90%以上充填させる必要があり、例えば32kg/m3のグラスウールを用いて充填した場合、天井懐高さが150mmならば天井板には約5kg/m2と大きな荷重がかかってしまう。また、天井には下地があり、例えば天井懐150mm、下地の高さ45mmの場合を想定すると、下地間の隙間空間は天井内空間のおよそ30%をも占めるため、多孔質材を90%以上充填させるためには下地を避けるように隙間なく設置する必要がある。
また、二重天井懐内に吸音材を敷設(二重天井の上にグラスウールを敷く)して床衝撃音を低減しようとすることもある。しかし、非特許文献3に示されるように、この方法は中高周波数域で性能が決定される軽量床衝撃音には低減効果が得られる場合があるが、重量床衝撃音のように低い周波数の音に対しては、敷設された吸音材による低減効果は認められず、むしろ、性能が低下する場合が多い。
特許文献5(特開2017-89307号公報)にあるように天井の板材や下地材にダイナミックダンパーを多数設置し、天井の振動を低減することで床衝撃音の低減を図る試みもある。この場合、多数のダンパーやそれを設置するための多くの部材が必要となる。また、一般的な天井施工に加えて専門の技術を要する工事が必要となってしまう。
https://bankyo.co.jp/product/mansions/ype_g2.html(万協フロアー、カタログ) 藪下ら、「高性能遮音二重床の開発(その2 実大実験棟における測定概要)」、日本建築学会大会学術講演梗概集、2012年 9月 吉田克雄他、「石膏ボード天井による床衝撃音の防止効果」騒音制御、Vol. 14、No.4、1990
特開2011-074694号公報 特開2015-17392号公報 特開2015-052260号公報 特開2006-316459号公報 特開2017-89307号公報
新たな衝撃音低減手段を開発することを課題とする。
本発明は、空気層を介して配置された平板構造を有し、この空気層を仕切るように通気性材料を配置して二次元共鳴現象を生じさせにくくすることによって、一方の平板から他方の平板を介して伝わる衝撃音を低減する。
乾式二重床は、乾式二重床の板材を質量とし、支持脚の底部のゴムをバネとした共振系となっており、その共振周波数が主な増幅の原因と考えられ、さらに、乾式二重床の増幅はバネ・マスによる共振のみではなく、懐内の2次元の共鳴現象も大きく影響して増幅が生じている。本発明はこの共鳴現象を突き止め、共鳴現象を抑制して床衝撃音を低減しようとする技術思想に基づいている。
この現象は吊り天井などの二重天井にも同様に適用される。二重天井の懐内に通気性の材料を、懐内を仕切るように設置し、懐内の二次元共鳴現象を生じさせにくくすることによって床衝撃音を低減する。なお、本発明では、天井板を支える構造として野縁などの下地材を壁に支持させる構成や吊り具で野縁(野縁受含む)を支持するなど、天井板と天井スラブ(上階床スラブ)の間に空気層が形成される天井構造を二重天井と称する。
さらに、複数の板材を空気層を設けて設置する壁構造などにも適用できる。
1.空気層を挟んで2つの平板部材が形成された建築構造において、空気層が共鳴を生じる際に音の粒子速度が速い箇所に通気性材料が設置されていることを特徴とする衝撃音低減構造。
2.建築構造が乾式二重床、二重天井又は壁であり、これらの二重床、二重天井、壁に形成される空気層内であって、辺を2分割または4分割する線上部、あるいは2.5mから3.5mごとに通気性材料が空気層を仕切るように設置されていることを特徴とする1.記載の衝撃音低減構造。
3.通気性材料の設置は、空気層が共鳴を生じる際に音の粒子速度が速い箇所であることを特徴とする1.又は2.記載の衝撃音低減構造。
4.通気性材料は、流れ抵抗100Pa・s/m~10,000Pa・s/mであり、主に63Hz帯域における衝撃音を低減することを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の衝撃音低減構造。
5.通気性材料が、膜、布、網、マット、パンチングメタル、穴空き板、ハニカム板、繊維質材、多孔質ボードのいずれかであることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の衝撃音低減構造。
6.空気層を挟んで2つの平板部材が形成されており、一方の平板部材に付与された衝撃によって生ずる衝撃音が他方の平板部材を介して伝わる衝撃音伝達構造において、空気層が共鳴を生じる際に音の粒子速度が速くなる箇所に通気性材料を設置することにより、衝撃音を低減する方法。
7.衝撃音伝達構造として乾式二重床又は二重天井を備えた建物であって、通気性材料を空気層の辺を2分割または4分割する線上に設置して、主に63Hz帯域における床衝撃音を低減することを特徴とする6.記載の衝撃音を低減する方法。
8.通気性材料の設置方法として、乾式二重床板に設置する、または乾式二重床の脚部に取り付ける、あるいはコンクリート床上に設置することを特徴とする7.記載の衝撃音を低減する方法。
9.二重天井に通気性材料を設置する方法として、通気性材料は天井の野縁に係止して設置する、またはコンクリート天井スラブに取り付けることを特徴とする7.記載の衝撃音を低減する方法。
1.乾式二重床や吊り天井などの二重天井など板状体が空気層を介した構造において、一方の板状体に与えられた衝撃が、空気層において共鳴して、他方の板状体から衝撃音として発せられる現象が生ずる。本発明は、空気層を仕切るように通気性材料を設置することにより、他方の板状体から発せられる衝撃音を低減することができる。この発明は、主に床衝撃音の低減に有効である。上階の床に加えられた衝撃音を乾式二重床、二重天井などの懐内に通気性材料を設置して、階下の衝撃音が低減する。
この発明は、壁構造にも適用できる。例えば、体育館の運動エリアに隣接する事務室や会議室などでは、壁に与えられる衝撃音を低減することができる。また、この発明は衝撃音に限らず、空気伝搬音の透過対策としても期待できる。例えば二重サッシを用いた窓に適用することによって、室外から室内に透過する騒音を遮断する性能を向上させることが期待できる。
2.通気性材料を乾式二重床あるいは二重天井の空気層内を仕切るように設置することによって、床衝撃音を低減できる手法を開発した。本発明は、乾式二重床あるいは二重天井の懐内を仕切るように通気性の材料を設置し、懐内で生じる2次元の共鳴現象を生じさせにくくすることによって床衝撃音を低減する。通気性材料を乾式二重床あるいは二重天井の懐内で最も音の粒子速度が速い(空気の粒子が振動している)箇所に配置することにより、空気の振動が熱エネルギーに変わり、床衝撃音が低減する。特に、63Hz周波数帯域で代表される重量床衝撃音を低減できる。配置箇所の目安は、床辺を2分割または4分割する線上部であり、大きな部屋では2.5mから3.5mごとに設置する。なお、「目安」とは、取り付け箇所の状況などによっては正確に中央に設置することは難しいことがあるので、2分割の付近や4分割の付近を含むものである。通気性材料の位置が多少ずれても低減効果を大きく損なうことはない。
通気性材料は、膜、布、網、マット、パンチングメタル、穴空き板、ハニカム板、グラスウールなどの繊維質材、多孔質ボード等が挙げられ、設置が容易であり、可撓性や形の変更が柔軟に対応できるので、配線や配管などの二重床あるいは二重天井の空間内の配置に制限を受けない。
また、施工に関しては特殊技能を要することがなく、容易に設置することができる。
3.従来の床衝撃音低減方法では、乾式二重床内あるいは二重天井内に複雑な装置が必要になることや床あるいは天井の質量が増加する。また、乾式二重床の場合には床下配管用の空隙を確保する必要があるので、床下に設置する装置などにも制限があるが、本発明は軽量で、柔軟に対応できるので、乾式二重床の設計に対する自由度が高い。
4.衝撃音低減方法のうち床材の質量を増やして対策する場合、床が厚くなり、その分床下の懐高さが下がる。懐高さが下がると配管に影響する。これを回避するために懐高さを変えないとすると天井高が低くなり、生活感が悪化する。
5.乾式二重床の周囲と室の壁との間に隙間を設ける方法では、大きな隙間を設けることが望ましいが、隙間が大きいと埃などの侵入が生ずるし、見た目にもよくないので、大きな隙間を設けることができない。また、施主などが指定する仕様によってはヒレ付き巾木と呼ばれる、下部にゴムヒレが付いた巾木により、隙間を塞がざるを得ない場合がある。
乾式二重床の懐内に吸音材や吸音体を広く敷設する方法では、グラスウール等の吸音材を単に懐内に敷き詰めることは、軽量床衝撃音を低減する可能性があるものの、重量床衝撃音については低減効果が得られない。また、共鳴器型吸音体を設置する場合、共鳴器の調整が困難であって、コストも高くなる。
6.本発明は、二重天井でも二重床と同様の理論と仕組みを適用することができる。特に、吊り天井などの二重天井では、天井の板材に重量を負荷することは好ましくない。また、空調ダクトや配線を避けて吸音材を配置する必要がある。軽量で加工しやすい通気性材料は、二重天井内に設置する素材としては最適である。
また、天井では、板材を止める野縁などの下地材を利用して通気性材料を係止することができる。通気性材料に野縁の断面形状の切欠を設けて、その切欠を野縁にはめ込んで係止することができる。あるいは、野縁に取り付けた留め具を利用して、野縁に平行に通気性材料を設置することができる。また、通気性材料の設置には、天井コンクリートや、天井吊り具を利用することもできる。
通気性材料設置例を示す図、(a)二重床構造、(b)二重天井構造、(c)壁構造。 通気性材料の配置パターン例を示す図 通気性材料の設置例を示す図 通気性材料に隙間を設けて設置する例 懐内の音圧分布を示す図 乾式二重床の懐内の空気の床衝撃音の影響について実施した実験の乾式二重床端部の条件 実験による床衝撃音レベル低減量 実験による乾式二重床の懐内の音圧レベル 数値計算による乾式二重床懐内の音圧レベル(相対レベル) 数値計算による「隙間なし」の条件の乾式二重床懐内の音圧レベル分布 通気性材料による低減効果の確認実験の実験装置(1次元音場) 通気性材料による低減効果の確認実験の結果(通気性材料が設置されていない条件) 通気性材料による低減効果の確認実験の結果(通気性材料を設置した条件) 特許文献3の図3に記載の従来例を示す図 二重天井懐内に通気性材料を設置した概略を示す図 二重天井懐内に設置する通気性材料の配置パターン例を示す図 通気性材料を二重天井内に隙間を空けて設置した例 懐内の音圧分布を示す図 通気性材料による低減効果の確認実験の実験装置(1次元音場) 通気性材料による低減効果の確認実験の結果(通気性材料が設置されていない条件) 通気性材料による低減効果の確認実験の結果(通気性材料の設置条件) 図19の実験装置を使い、通気性材料を隙間を設けて設置した場合(a)に、その効果がどのように変化するかを調べた結果を示す図 二重天井に用いられる下地材の例を示す図 二重天井において、下地材(野縁)の上に通気性材料を設置した例を示す図 二重天井において、下地材(野縁)の部分に切欠きを設けた通気性材料を用いる例を示す図 二重天井において、下地材(野縁)と平行に設置した通気性材料の例を示す図
本発明は、2つの板状体が空気層を挟んで構成されている構造において、一方の板状体に加えられる衝撃が空気層を介して他方の板状体から放出される場合に、空気層を分割するように通気性材料を設置することによって衝撃音を低減するものである。
このような衝撃音には、例えば、上階の床に与えられる衝撃が階下に及ぼす衝撃音がある。空気層は、乾式二重床や二重天井によって、床懐や天井懐として形成されている。あるいは、外壁や隣室間の壁においても壁を二重板にしてその間に空気層を設ける構成がある。体育館では、運動スペースで発生する音が隣接して設けられた事務室や会議室において低減する遮音構造を設ける必要がある。さらに、空気層を介して板状体が対向している構造としては、二重サッシ窓がある。この通気性材料で空気層を分割して音エネルギーを熱に転換する通気性材料を配置する構造を二重サッシに応用すれば建物外部の音を低減することができ、室内の騒音レベルを低減することができる。
本発明は、この空気層で発生する共鳴現象により最も空気の粒子が振動する箇所に通気性材料を配置して、空気の振動を熱エネルギーに変えることにより、衝撃音を低減するものである。本発明は、空気を遮断する必要もなく、吸音を目的とするものでもなく、音源を囲ったりするものでもない。本発明では特に、63Hz周波数帯域で代表される重量床衝撃音を低減できる。
代表的な例を、図1に示す。(a)は二重床の例であり、(b)は二重床で構成された二重天井であり、(c)は空気層を設けた壁構造である。
図1(a)は、コンクリートスラブ5の上に支持脚6を介して床パネル4が形成されている乾式二重床である。コンクリートスラブ5と床パネル4の間に空気層となる床懐2が形成される。この床懐2を仕切るように通気性材料3が配置される。図1(b)は、コンクリートスラブ25の下に空気層を設けて天井板を設置した二重天井である。天井板は壁間に渡された野縁あるいは吊り部材に吊られた野縁に取り付けられているが図示は省略する。この天井板24とコンクリートスラブ25の間に空気層として形成される天井懐22を仕切るように通気性材料23が配置される。図1(c)は、コンクリート壁体35に壁下地材などによって形成される空気層32を介して壁板材34を設けた壁構造31である。空気層32を仕切るように通気性材料33が配置される。この図では、通気性材料は水平に配置されているが、鉛直にも設けられる。
<乾式二重床に対する実施形態>
本発明は、図1(a)に示す、コンクリートスラブ5の上に支持脚6を立てその上に床懐2(懐高さh)を設けて床パネル4を載せた、乾式二重床1に適用される。図1(a)に図示されるように乾式二重床1の床懐2内に通気性材料3を、懐内を仕切るように設置し、床懐2内の共鳴現象を生じさせにくくすることによってコンクリートスラブ5を通して階下へ伝わる床衝撃音を低減する。特に、63Hz周波数帯域で代表される重量床衝撃音を低減する。乾式二重床が用いられる建物の床衝撃音遮断性能の向上、あるいは、乾式二重床に改修する場合の床の遮音性対策として、対象となる部屋の床辺を2分割または4分割する線上、あるいは2.5mから3.5mごとに通気性材料を配置するものである。
本発明は、乾式二重床の懐内の共鳴現象により最も空気の粒子が振動する箇所に通気性材料を配置して、空気の振動を熱エネルギーに変えることにより、重量床衝撃音を低減する。特に、63Hz周波数帯域で代表される重量床衝撃音を低減できる。
本発明は、軽量で可撓性のある通気性材料で、床下を仕切るという手段を講ずるので、床下の高さを変更する必要はなく、配管に対する影響もない。
対象は、乾式二重床であり、新設あるいは改修する乾式二重床に適用できる。例えば、新設の事務所ビルの二重床、集合住宅の二重床、あるいはこれらの既設建物を二重床に改修する場合に適用する。
設置形態は、床パネル4に取り付ける、乾式二重床1の支持脚6に取り付ける、コンクリートスラブ5に取り付ける等による。
取付け箇所は、部屋の床面の辺を2分する中央部あるいは1/4の箇所を目安とする。
「目安」とは、取り付け箇所の状況などによっては正確に中央に設置することは難しいことがあるので、中央付近や1/4の付近を含むものである。これらの設置箇所は、音の粒子速度が速い箇所である。
図2に通気性材料の配置パターン例を示す。図2(a)床の短辺幅W、長辺幅Dが4m未満の場合、それぞれの辺を2分割するD*1/2、W*1/2の位置にする。図2(b)床の長辺幅Dが4m以上、短辺幅Wが4m未満の場合、W*1/2、D*1/4の位置にする。図2(c)床の短辺幅Wが4m以上、長辺幅Dが4m以上の場合、W*1/4、D*1/4の位置にする。なお、室の辺が8mを超えるような大寸法の床の場合、2.5mから3.5mごとに設置する。
通気性材料は、膜、布、網、マット、パンチングメタル、穴空き板、ハニカム板、グラスウールなどの繊維質材、多孔質ボード等が挙げられる。可撓性や形の変更が柔軟に対応できる材料は、配線や配管などの二重床の空間内の配置に制限を受けない。板状物は、自立するので、床スラブに固定するものに適している。
通気性は、空気流れ抵抗が100Pa・s/m~10,000Pa・s/mが適している。
流れ抵抗、rf[Pa・s/m]は次の式2で表される。
Figure 0007207901000002
図3に通気性材料3の設置例を示す。
図3(a)は、床パネル4に床パネル固着部11を設けて通気性材料3を取り付けた例である。床パネル固着部11は、レール、取付け基部や接着等の手段である。分割あるいは連続して設けることもできる。分割して設ける場合は、該当する床パネル単位に取り付けて、床パネルの設置作業を行うことができる。本例では、吊り下げるタイプ、布などの可撓性材料を施工しやすい。
図3(b)は、支持脚6、6間に通気性材料3を取り付ける。支持脚6を利用して取り付けるので、長尺な通気性材料を張り渡して、中間にある支持脚6に留め具で支持させることができる。支持脚6をコンクリートスラブ5に設置した後で、床パネル4を敷設しながら通気性材料3の設置を行うことができるので、自由度が高い。
図3(c)は、コンクリートスラブ5に通気性材料3のスラブ固着部12を設けるものである。床パネルや支持脚には依存しないので、床に対する通気性材料の設置位置は自由である。本例は、ボード類の自立型の通気性材料が施工しやすい。
通気性材料は、基本的には連続して設置するが、これに限らず、図4のように支持脚を避けるためなどの理由で隙間を空けて設置してもよい。図4(a)は、脚の隣に隙間を設けたものである。図4(b)は床パネルとの間に空間を設けている。
また、床パネル4とコンクリートスラブ5の上下の間も完全に仕切るように設置する必要はなく、ある程度の隙間を設けて設置することもできる。例えば、図4(b)に示すように床パネルが変形(撓み)しても接触しないように通気性材料をコンクリートスラブ5から立ち上げる。もし床パネルに接触していると、可撓性のない穴あき板などでは、床パネルに撓みが生じて、穴あき板などの上端で擦れ、きしみ音が発生する恐れがある。隙間を設けることで穴あき板などの破損も防止できる。
本発明の技術は空気の振動エネルギーを通気性材料に伝えて、熱エネルギーに変化させることで音を減衰させるものであるので、図4に示すように空間を空けて、一気通貫に敷設する必要は無い。
図5に乾式二重床の懐内で二次元の共鳴が生じている場合の音圧分布モデルを示す。
薄い色は音圧が高く、濃い色は音圧が低いことを示す。例えば、図5の床寸法が3m(短辺幅W)×4m(長辺幅D)である場合、1,0モードは43Hz、0,1モードは57Hz、1,1モードは72Hzである。
一般的な寸法の居室では、これらのモードが重量床衝撃音で重要な63Hz帯域(オクターブ)に含まれる。
図5(a)の1,0モードでは長辺幅Dの中央付近が低音圧を示し、図5(b)の0,1モードでは、短辺幅Wの中央付近が低音圧を示し、図5(c)の1,1モードでは、短辺幅Wの中央付近と長辺幅Dの中央付近が低音圧を示している。
このような共鳴が生じている場合、音圧が低いところでは、音の粒子速度が速い。すなわち空気の粒子が激しく振動する。したがって、この空気が激しく振動している箇所に、通気性材料を設置すると、抵抗を受け、空気の振動エネルギーが熱に変わって共鳴が抑制され、懐内全体の音圧が低減される。この図5によっても、通常の大きさの居室の乾式二重床では、図2(a)に示される各辺を2分割する線上に通気性材料を配置することが適していることが示される。
なお、室が大きな場合、これらのモードに相当する周波数は、63Hz帯域よりも低い帯域に含まれ、63Hz帯域においては、より高次のモードが含まれる。その場合、図2(b)あるいは図2(c)に示される位置に通気性材料を設置するのが適していることになる。
<乾式二重床の懐内の空気が床衝撃音にどのような影響を与えうるかを調べる実験>
乾式二重床の懐内の空気が床衝撃音にどのような影響を与えうるかを調べる実験を行った。この実験では、実験室のコンクリート床に壁の代わりとなる枠を設置し、その内側に平面寸法3.8m×4.7mの乾式二重床を下記の条件で施工した。乾式二重床の端部の詳細を図6に示す。実験ではJIS A 1418-2に適合する衝撃力特性(1)をもつ衝撃源を用い、乾式二重床を設置した条件と設置しないコンクリート素面床の条件で、それぞれ重量床衝撃音を測定した。
1.乾式二重床の平面寸法は3.8m×4.7mとした。この場合、懐内の共鳴が生じれば、1,0モードは37Hz、0,1モードは45Hz、1,1モードは58Hzに生じる。
乾式二重床の端部の条件は次の3通りである。
(1)枠と乾式二重床との間に隙間を2mm形成(図6(a)隙間有り)
(2)枠と乾式二重床との隙間に養生テープを貼り、隙間を塞いだ(図6(b)隙間なし)
(3)枠を外し、乾式二重床の懐が外部に開放されるようにした(図6(c)枠なし)
2.測定結果
(1)床衝撃音低減量:それぞれの乾式二重床の条件で測定した床衝撃音レベルを乾式二重床を施工しない状態のコンクリートスラブ素面の条件で測定した結果から引いた値を床衝撃音低減量として図7に示す。
縦軸の下方(マイナス量)は増幅を示している。共振や共鳴の現象があれば、低減量に鋭く落ち込みが生じる。つまりその周波数帯域で大きく増幅していることがわかる。
前述の共振系(乾式二重床の床パネル板材を質量とし、支持脚の底部のゴムをバネとした共振系)はこの試験体では50Hzから60Hz付近であると想定されるが、「隙間あり」および「隙間なし」の結果では、それとは異なる周波数40Hz帯域に目立った落ち込みがある。一方、「枠なし」の結果には40Hzの落ち込みは観察されない。
(2)さらに、詳しく検討するために、乾式二重床の懐内の音圧を測定した結果を図8に示す。
懐内の1,0モードは37Hz、0,1モードは45Hz、1,1モードは58Hzであり、図8(a)(b)(c)のそれぞれに印を付している。「隙間なし」「隙間あり」
では、これらの周波数付近の値が大きいのに対し、「枠なし」では大幅に小さくなっている。
図7の実験結果に見られる40Hzの低減量の落ち込みが、乾式二重床の懐内の音圧上昇によるものであることは図8の測定結果から明らかであるが、この音圧上昇が本当に懐内の二次元の音の共鳴によるものであるかを調べるために、別途、FEM解析による数値計算を用いて検討を行った。
数値計算では乾式二重床の懐内の空気に着目するため、乾式二重床の板部と空気のみをモデル化して、支持脚はモデルに入れずに計算を行った。
乾式二重床の寸法は実験と同様に3.8m×4.7mとし、乾式二重床上を加振して懐内の音圧レベルを求めた。
乾式二重床の条件として、以下の3条件で計算を行った。
(a)「隙間なし」を模擬して枠部にあたる側面を設定した上、側面のダンピングを小さく設定した場合
(b)「隙間あり」を模擬して枠部にあたる側面を設定した上、側面のダンピングを大きく設定した場合
(c)「枠なし」を模擬して枠部にあたる側面を設けず開放した場合
図9に懐内の音圧レベル計算結果を示す。計算では加振力はいずれの周波数も同一としたため、音圧は相対レベルとして示す。また、加振力特性の違いがあるため周波数全帯域としての傾きなどは実験値と比較できないが、対象としている40Hz周辺の低次モードが生じる周波数範囲の特徴を比較する。
計算結果には実験と同様に、隙間なしの条件(a)では音圧のピークが見られる。これらのピークが生じる周波数において懐内の音圧分布を描くと図10のように、1,0モード、0,1モード、1,1モードの分布がみえる。したがって、これらの周波数付近で音圧が上昇しているのは懐内の二次元の共鳴によることが確認でき、それが低減量を低下させていたことがわかる。
また、図9の隙間ありの条件(b)ではこれらのピークが見えにくくなり音圧レベルも小さくなっている。枠なしの条件(c)ではこの付近の音圧レベルが小さくなっている。
これら計算の結果には実験の結果と一致した傾向が示されている。
つまり、乾式二重床懐内では2次元の共鳴が生じ、それを解消できれば床衝撃音の低減量も向上されるということである。
<2次元の一部を切り出した管状の試験体における実験>
では、本発明の技術である、乾式二重床の懐内の音の粒子速度が速い箇所に通気性材料を設置することで、懐内の共鳴現象が抑制されて懐内全体の音圧レベルが小さくなるか、という点についてであるが、これを確認するために、別途、実験を行った。
この実験では現象を単純化するために、実際は2次元である乾式二重床懐空間を1次元の音場に置き換えて検討した。つまり、2次元の一部を切り出した管状の試験体において実験を行った。
音響管内部にはスピーカによって音(ランダムノイズ)を発生させた。この音響管の中央を仕切るように通気性材料を設置し、設置なしと設置ありのそれぞれの条件における管内部の音圧を比較した。通気性材料としてはグラスウール(密度32kg/m3、厚さ50mm、流れ抵抗300~14,000Pa・s/m)を使用した。
まず、通気性材料が設置されていない場合の音圧レベル測定結果を図12に示す。図下に示す周波数特性をみると、音響管の中では共鳴が生じ、それらの周波数において音圧が上昇している。1次のモードが低減を狙うモードであり60Hzに生じている。この周波数において音圧分布を描くと、管の中央部で音圧が低い。つまりここでは粒子速度が非常に速くなっているということである。ちなみに、63Hz帯域より高い周波数に生じる2次モード、4次モードについても同様に音圧分布を描くと、4次モードでは1次モードと同様に中央で粒子速度が速いということがわかる。
次に、通気性材料を設置した条件の結果を図13に示す。中央に設置した場合(図左)、1次の音圧が大幅に低減されている。通気性材料による低減が確認できた。ちなみに、63Hz帯域より高い周波数に生じる4次モードについても低減されている。4次モードも1次モードと同様に管の中央部において粒子速度が速いため、ここに通気性材料が設置されると音が低減されるのである。仮に、室の寸法(この実験では管の長さ)が大きければ4次モードは63Hz帯域に含まれるので、室の寸法が大きい場合にもこのように通気性材料を設置することが音の低減に有効であることがわかる。
ところで、上述の通気性材料による低減が、単に吸音性の材料を設置した効果ではないことを示すために、音響管の端部に通気性材料を設置した条件についても実験を行った。図13の右側に結果を示すが、端部設置では1次の共鳴による音圧上昇を低減することはできない。端部では粒子速度が速くないため、ここに通気性材料を設置しても音による空気の振動のエネルギーが熱に変換されないため低減できないのである。
なお、実験ではグラスウール密度32kg/m3、厚さ50mmのほかにも、さまざまな通気性材料について同様の実験を行ったところ、流れ抵抗が100~300Pa・s/mの材料では、グラスウール密度32kg/m3、厚さ50mmと比較すれば効果は小さいものの、ある程度の低減(約5dB)が得られた。流れ抵抗が700~5,000Pa・s/mの通気性材料の場合にはグラスウール密度32kg/m3、厚さ50mmと同等以上の低減が得られた。
これらの結果から、乾式二重床の懐内の共鳴現象によって床衝撃音は増幅されるので、これを抑えれば低減が可能であり、このためには共鳴によって粒子速度が速くなっている箇所、すなわち床辺を2分割または4分割する線上部に通気性材料を設置することが有効であることが解る。
<二重天井に対する実施形態>
本実施形態は、二重天井の懐内に通気性の材料を設置し、懐内の2次元共鳴現象を生じさせにくくすることによって床衝撃音を低減する。
通気性材料は、図15に概略構造を示すように天井の懐内を仕切るように設置する。
通気性材料の設置箇所は室の平面を等分するようにする。室の辺が4m未満の場合は辺を2分割し、辺が4m以上の場合は4分割する位置を目安にして設置する(図16参照)。
なお、「目安」とは、取り付け箇所の状況などによっては正確に中央に設置することは難しいことがあるので、2分割の付近や4分割の付近を含むものである。通気性材料の位置が多少ずれても低減効果を大きく損なうことはない。
通気性の材料としては膜、布、網、グラスウール等の多孔質ボードまたはマット、パンチングメタルなどの穴空き板、ハニカム板が挙げられる。
通気性材料は適度な流れ抵抗をもつものとする。流れ抵抗rf[Pa・s/m]は下式で表されるものである。流れ抵抗は、100Pa・s/m~10,000Pa・s/mの範囲が適度である。
Figure 0007207901000003
通気性材料の設置方法として、コンクリート天井スラブから下げる、または二重天井のボードあるいは板材に留め具などで取り付ける、あるいは単に載せる。
通気性材料は水平方向に連続して設置してもよいし、下地を避けるためなどの理由で隙間を空けて設置してもよい。図17に通気性材料を二重天井内に隙間を空けて設置した例を示す。図17(a)は平面的に隙間を空けた例であり、図17(b)はコンクリート天井に取り付け、石膏ボードなどの天井板との間に隙間を設けた例である。
(発明の原理)
前述のように、二重天井は板材を質量とし、天井内空気をバネとした共振系となっており、その共振周波数が主な増幅の原因と考えられている。しかし、増幅の原因はバネ・マスによる共振のみではなく、懐内の二次元共鳴現象も大きく影響して増幅が生じる。
その共鳴の周波数fは二重天井の平面寸法によって異なる。例えば3m×4mであったとすると、懐内の0,1モードは57Hz、1,0モードは43Hz、1,1モードは72Hzである。これらの周波数付近において床衝撃音が増幅されやすい。fは式4で計算できる。
Figure 0007207901000004
ここで
fは共振周波数、Lxは二重天井のx方向の辺の長さ、Lyは二重天井のy方向の辺の長さ、nxはx方向の次数、nyはy方向の次数。
懐内の音圧分布は図18のようになり、音圧が低いところでは空気の粒子が激しく振動する。このとき、激しく振動している箇所、つまり図16の点線の位置に通気性の材料を設置すると抵抗が生じ、空気の振動が熱に変わって音圧が下がる。なお、一般の寸法の居室では天井懐内の0,1モード、1,0モード、1,1モードが重量床衝撃音で重要な63Hz帯域(オクターブ)に含まれるため、図18のとおりの音圧分布となり、通気性材料の設置位置としては図16(a)に示す位置となる。室が大きい場合、これらのモードに相当する周波数は63Hz帯域よりも低い帯域に含まれ、63Hz帯域にはより高次のモードが含まれる。その場合、図16(b)あるいは(c)の点線に示す位置に通気性材料を設置する。
(確認試験)
二重天井の懐内の音の粒子速度が速い箇所に通気性材料を設置することで、懐内の共鳴現象が抑制されて懐内全体の音圧レベルが小さくなるか、という点について、これを確認するために、実験を行った。
この実験では現象を単純化するために、実際は二次元である二重天井懐空間を一次元の音場に置き換えて検討した。つまり、二次元の一部を切り出した管状の試験体において実験を行った。試験モデルを図19に示す。
音響管内部にはスピーカによって音(ランダムノイズ)を発生させた。この音響管の中央を仕切るように通気性材料を設置し、設置なしと設置ありのそれぞれの条件における管内部の音圧を比較した。通気性材料としてはグラスウール(密度32kg/m3、厚さ50mm、流れ抵抗300~14,000Pa・s/m)を使用した。
まず、通気性材料が設置されていない場合の音圧レベル測定結果を図20に示す。図下に示す周波数特性をみると、音響管の中では共鳴が生じ、それらの周波数において音圧が上昇している。1次のモードが低減を狙うモードであり60Hzに生じている。この周波数において音圧分布を描くと、管の中央部で音圧が低い。つまりここでは粒子速度が非常に速くなっているということである。ちなみに、63Hz帯域より高い周波数に生じる2次モード、4次モードについても同様に音圧分布を描くと、4次モードでは1次モードと同様に中央で粒子速度が速いということがわかる。
次に、通気性材料を設置した条件の結果を図21に示す。中央に設置した場合(図左)、1次の音圧が大幅に低減されている。通気性材料による低減が確認できた。ちなみに、63Hz帯域より高い周波数に生じる4次モードについても低減されている。4次モードも1次モードと同様に管の中央部において粒子速度が速いため、ここに通気性材料が設置されると音が低減されるのである。仮に、室の寸法(この実験では管の長さ)が大きければ4次モードは63Hz帯域に含まれるので、室の寸法が大きい場合にもこのように通気性材料を設置することが音の低減に有効であることがわかる。
ところで、上述の通気性材料による低減が、単に吸音性の材料を設置した効果ではないことを示すために、音響管の端部に通気性材料を設置した条件についても実験を行った。図21の右側に結果を示すが、端部設置では1次の共鳴による音圧上昇を低減することはできない。端部では粒子速度が速くないため、ここに通気性材料を設置しても音による空気の振動のエネルギーが熱に変換されないため低減できないのである。
なお、実験ではグラスウール密度32kg/m3、厚さ50mmのほかにも、さまざまな通気性材料について同様の実験を行ったところ、流れ抵抗が100~300Pa・s/mの材料では、グラスウール密度32kg/m3厚さ50mmと比較すれば効果が小さいものの、ある程度の低減(約5dB)が得られた。流れ抵抗が700~5,000の通気性材料の場合にはグラスウール密度32kg/m3厚さ50mmと同等以上の低減が得られた。
これらの結果から、二重天井の懐内の二次元共鳴現象によって床衝撃音は増幅されることとなるので、これを抑えれば低減が可能であり、このためには共鳴によって粒子速度が速くなっている箇所、すなわち二重天井の辺を2分割または4分割する線上部に通気性材料を設置することが有効であることが解る。
前述のように、通気性材料は上部または下部に多少の隙間があっても効果は得られる。図22は図19の実験装置を使い、通気性材料を、隙間を設けて設置した場合(図22(a))に、その効果がどのように変化するかを調べた結果である。(a)は隙間を設けたモデルであり、(b)は隙間を10mm、(c)は隙間を20mm、(d)は隙間を30mmとした結果を示す。この図からもわかるように、隙間がある場合でも通気性材料がない場合と比較すると音が低減している。ただし、隙間無く設置した場合と比較すると低減効果が小さくなっている。
(二重天井内に通気性材料を設置する検討)
(天井下地材の上に通気性材料を設置する例)
実際に住宅に施工される二重天井では、図23に示すような下地材が用いられ、この下側に天井の板材が設置されている。下地を避けて通気性材料を設置した場合、図24のように懐高さに比して大きな隙間が生じてしまう。
(野縁部に切欠きを設けた通気性材料を設置する例)
野縁の高さ分の隙間が発生することを避ける場合には、通気性材料に下地を避けるような処理をあらかじめ施しておくとよい。例えば、野縁と直行する通気性材料については、図25に示すように切り欠いた凹部を設けておく。特に、通気性材料が多孔質ボードのようにある程度の可撓性がある材料の場合は、懐寸法よりも通気性材料の寸法を若干大きめにしておけば、治具やネジ等を用いずに、下地と天井の間に押し入れるだけで設置を済ませることが可能である。
(野縁と平行に通気性材料を設置する例)
また、野縁と平行する方向に設置する通気性材料については、二重天井と天井スラブ間に、野縁受けを避けて設置すれば隙間を生じさせることがない。二重天井を貼りながら通気性材料を押し込むように設置することもできるが、図26に示すように、野縁間に治具を渡し、その上に通気材を設置すると二重天井を貼る前に通気材の設置を行うことができ、作業性が向上する。このとき、通気性材料が多孔質ボードのようにある程度の可撓性がある材料の場合は、治具を通す位置に切り込みを入れるだけでよく、凹部に加工する必要がない。
1 乾式二重床
2 床懐(懐高さh)
3 通気性材料
4 床パネル
5 コンクリートスラブ
6 支持脚
11 床パネル固着部
12 スラブ固着部
21 二重天井(吊り天井)
22 天井懐
23 通気性材料
31 壁構造
32 空気層
33 通気性材料
34 壁板材
35 コンクリート壁体

Claims (7)

  1. 空気層を挟んで2つの平板部材が形成された建築構造において、
    空気層が共鳴を生じる際に音の粒子速度が速い箇所に膜状又は薄板状の通気性材料が設置されている衝撃音低減構造であって、
    通気性材料は、流れ抵抗100Pa・s/m~10,000Pa・s/mであり、
    築構造が乾式二重床であり、この二重床に形成される空気層内であって、辺を2分割または4分割する線上部、あるいは2.5mから3.5mごとに通気性材料が空気層を仕切るように設置されていることを特徴とする衝撃音低減構造。
  2. 空気層を挟んで2つの平板部材が形成された建築構造において、
    空気層が共鳴を生じる際に音の粒子速度が速い箇所に膜状又は薄板状の通気性材料が設置されている衝撃音低減構造であって、
    通気性材料は、流れ抵抗100Pa・s/m~10,000Pa・s/mであり、
    建築構造が二重天井であり、この二重天井に形成される空気層内であって、辺を2分割または4分割する線上部、あるいは2.5mから3.5mごとに、該二重天井内に隙間をあけて通気性材料が空気層を仕切るように設置されていることを特徴とする衝撃音低減構造。
  3. 通気性材料が、膜、布、網、マット、パンチングメタル、穴空き板、ハニカム板、繊維質材、多孔質ボードのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝撃音低減構造。
  4. 空気層を挟んで2つの平板部材が形成されており、一方の平板部材に付与された衝撃によって生ずる衝撃音が他方の平板部材を介して伝わる衝撃音伝達構造において、
    空気層が共鳴を生じる際に音の粒子速度が速い箇所に、流れ抵抗100Pa・s/m~10,000Pa・s/mである通気性材料を設置することにより、衝撃音を低減する方法であって、
    衝撃音伝達構造として乾式二重床を備えた建物であって、通気性材料を空気層の辺を2分割または4分割する線上に設置して、主に63Hz帯域における床衝撃音を低減することを特徴とする衝撃音を低減する方法。
  5. 空気層を挟んで2つの平板部材が形成されており、一方の平板部材に付与された衝撃によって生ずる衝撃音が他方の平板部材を介して伝わる衝撃音伝達構造において、
    空気層が共鳴を生じる際に音の粒子速度が速い箇所に、流れ抵抗100Pa・s/m~10,000Pa・s/mである通気性材料を設置することにより、衝撃音を低減する方法であって、
    衝撃音伝達構造として二重天井を備えた建物であって、通気性材料を空気層の辺を2分割または4分割する線上に、該二重天井内に隙間をあけて設置して、主に63Hz帯域における床衝撃音を低減することを特徴とする衝撃音を低減する方法。
  6. 通気性材料の設置方法として、乾式二重床板に設置する、または乾式二重床の脚部に取り付ける、あるいはコンクリート床上に設置することを特徴とする請求項に記載の衝撃音を低減する方法。
  7. 二重天井に通気性材料を設置する方法として、天井の野縁に接触する部分を切り欠いて凹部を設けた通気性材料を野縁に設置する、あるいは、天井の隣接する野縁の間に治具を介して通気性材料を係止して設置することを特徴とする請求項5に記載の衝撃音を低減する方法。
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