JP7209487B2 - ろう付け処理後の親水性に優れるアルミニウムフィン及び熱交換器とその製造方法 - Google Patents

ろう付け処理後の親水性に優れるアルミニウムフィン及び熱交換器とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ろう付け処理後の親水性に優れるアルミニウムフィン及び熱交換器とその製造方法に関する。
エアーコンディショナー等の空調用熱交換器には銅製のチューブとアルミニウム製のフィンを機械的に接合した熱交換器が広く使用されている。
しかし、近年の銅地金価格の高騰により、チューブを含めた全ての部材を安価なアルミニウムに置き換える要求が高くなってきている。アルミニウムは軽量性と加工性と熱伝導性に優れた上にリサイクル利用が可能であり、安価な特徴がある。
この種の空調用熱交換器の一例として、以下の特許文献1に記載のように、左右に配置した第1のヘッダ集合管と第2のヘッダ集合管の間に、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配置した複数のアルミニウム合金製偏平管を設け、上下の偏平管の間に上下に蛇行するコルゲートフィンを設けた構成の熱交換器が知られている。
特許文献1に記載の熱交換器は、上下に配列された偏平管の間にフィンの伝熱部を配置し、偏平管の間に通風路を区画し、この通風路を流れる空気と偏平管の内部を流れる流体との間で熱交換がなされる。
また、アルミニウム合金製の押出多孔偏平管に対し結露水の滞留を抑制するためにメタクリル酸エステルの重合体または共重合体を主成分とする合成樹脂とろう付け用フラックスと有機溶剤からなるフラックス組成物を表面に被覆した熱交換器用偏平管が以下の特許文献2に記載されている。
特開2012-163317号公報 特開平11-239867号公報
上述した従来の銅とアルミニウムを組み合わせた熱交換器ではアルミニウム製フィンの親水性向上のため、有機系塗料を予めフィンに塗装したプレコートフィンが用いられている。ところが、アルミニウム製熱交換器では部材接合のため、約600℃の炉中でろう付け熱処理を行う必要があり、有機系塗料が熱処理中に分解してしまうことで、フィンに対し充分な親水性を確保できないという問題があった。
また、プレコートフィンに水ガラス系の無機塗料を用いるとろう付け熱処理後の親水性をある程度確保できるが、フィンの表面に変色が生じ、外観上の不具合を生じる問題がある。
本願発明は、これらの事情に鑑み、ろう付け前に親水性皮膜を予め形成しておくタイプのフィンであっても、ろう付け加熱後にフィンが必要な親水性を示し、かつ、外観上の変色等の問題も生じないフィンを提供するために鋭意検討した結果なされたものである。
本発明ではアルミニウムフィンに対し所定厚さのベーマイト皮膜を付与することによって、ろう付け熱処理後であってもフィンに優れた親水性を付与できること、変色を生じないことを見出した。
本発明は、ろう付け処理後の親水性に優れるアルミニウムフィン及び熱交換器とその製造方法の提供を目的とする。
本発明のアルミニウムフィンは、内部に冷媒流路を備えたアルミニウム又はアルミニウム合金製のチューブと、前記チューブに対しろう付されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウムフィンを備えた熱交換器に備えられたアルミニウムフィンであって、表面と裏面の少なくとも一方に厚さ100~7000Åのベーマイト皮膜からなる親水性皮膜を備え、前記親水性皮膜を設けた面の色彩値が、L:70~100、a:-3~+5、b:-3~+10であることを特徴とする。
本発明のアルミニウムフィンにおいて、厚さ1000~3500Åのベーマイト皮膜からなる親水性皮膜を備えたことが好ましい。
本発明のアルミニウムフィンでは、前記親水性皮膜を設けた面において、ろう付け熱処理後の水接触角が10゜~30゜であることが好ましい。
本発明の熱交換器は、先のいずれかに記載のアルミニウムフィンがアルミニウムまたはアルミニウム合金製のチューブに対しろう付けされ、前記親水性皮膜を設けた面の色彩値がL:70~100、a:-3~+5、b:-3~+10である構成を採用できる。
本発明の熱交換器は、先のいずれかに記載のアルミニウムフィンが複数相互に所定の間隔をあけて配列され、前記複数のアルミニウムフィンを挿入または貫通させたアルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数のチューブが前記アルミニウムフィンにろう付けされ、前記複数のチューブが個々にヘッダ管にろう付けされた構成を採用できる。
本発明の熱交換器において、ろう付け前に前記管体外面にSi粉末とZn含有フラックスを含むろう付け用塗膜が形成され、ろう付け後において前記ろう付け用塗膜から前記ろう材層が形成された構成を採用できる。
本発明の熱交換器において、前記ろう付け用塗膜に含まれていたZnの拡散により前記チューブ表面に犠牲陽極層が形成された構成を採用できる。
本発明に係る熱交換器の製造方法は、先のいずれかに記載のアルミニウムフィンに対し、内部に冷媒流路を備えたチューブをろう付けして熱交換器を製造する方法であって、前記チューブの外面にSi粉末とZn含有フラックスを含むろう付け塗膜を形成し、ろう付け時の熱処理によって前記ろう付け塗膜中のSiとZnをチューブ側に拡散させ、前記チューブの外面側にZnを拡散させた犠牲陽極層を形成することを特徴とする。
本発明に係るアルミニウムフィンであるならば、ろう付け前に規定厚さのベーマイト皮膜を親水性皮膜として形成しておくことにより、ろう付け後であってもアルミニウムフィンに優れた親水性を付与できるとともに、ろう付けによる加熱を経ても親水性皮膜の表面に変色を生じることがなく、外観の美しいアルミニウムフィンを提供できる。
本発明に係る熱交換器であるならば、プレコートフィンに対応する予め親水性皮膜を設けておくタイプのアルミニウムフィンを用いてろう付けによりチューブと接合した構成であるため、プレコートフィンを用いた製造工程と同等の工程で製造可能であり、ろう付け後であっても良好な親水性を付与したアルミニウムフィンを備え、フィンの外観も良好な熱交換器を提供できる。
第1実施形態の熱交換器を示す斜視図である。 図1に示す熱交換器において、チューブの長さ方向に直交する面に沿って横断面をとった断面図である。 図1に示す熱交換器において、チューブの長さ方向に沿って縦断面をとった断面図であり、ろう付け工程前の状態を示すものである。 図1に示す熱交換器において、チューブの長さ方向に沿って縦断面をとった断面図であり、ろう付け工程後の状態を示すものである。 第2実施形態の熱交換器を示す正面図である。 第2実施形態の熱交換器の部分拡大断面図である。 第2実施形態の熱交換器をろう付けする前の熱交換器組立体を示す部分断面図である。
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際の熱交換器と同じであるとは限らない。
図1は、第1実施形態の熱交換器11を示す斜視図である。
第1実施形態の熱交換器11は、ルームエアコンディショナーの室内・室外機用の熱交換器、あるいは、HVAC(Heating Ventilating Air Conditioning)用の室外機、自動車用の熱交換器などの用途に使用されるオールアルミニウム熱交換器である。
この熱交換器11は、図1に示すように左右に離間し平行に配置された一対のヘッダ管14と、一対のヘッダ管14の間に上下に相互に間隔を保って平行に、かつ、ヘッダ管14に対してほぼ直角に接合された複数本の偏平型のチューブ22と、これらチューブ22を構成する管体12の外面(上面又は下面)12bにろう付けされ、外気に熱を放散する複数枚のフィン(アルミニウムフィン)13と、を備えている。左右一対のヘッダ管14のうち一方の上端部には、ヘッダ管14を介しチューブ22に冷媒を供給する供給管15が接続されている。また、他方のヘッダ管14の下端部には、チューブ22を経由した冷媒を回収する回収管16が接続されている。チューブ22、フィン13、ヘッダ管14、供給管15、回収管16は、いずれもアルミニウム又はアルミニウム合金から構成されている。
図2は、チューブ22の長さ方向に直交する面に沿って横断面をとった熱交換器11の部分断面図である。図2に示すように、チューブ22を構成する管体12の内部には幅方向に沿って並ぶ複数(本実施形態では6つ)の冷媒流路12aが形成されている。また、図2に示すようにフィン13には、チューブ22の断面形状に対応する形状の切り欠き部19が、上下に所定の間隔をあけて複数形成されている。切り欠き部19には、それぞれチューブ22が嵌合され、ろう付けにより固定されている。
図3、図4は、熱交換器11においてチューブ22の長さ方向に沿って縦断面をとった部分断面図であり、図3はろう付け工程前の状態を示し、図4はろう付け工程後の状態を示す。フィン13は、チューブ22の長さ方向に沿って複数枚、並列配置されるとともに、切り欠き部19にチューブ22が挿通されている。複数のフィン13は、一定の間隔をおいて相互に平行に並列配置されている。フィン13は、切り欠き部19の周縁部にチューブ22の外面12bに沿ってフィン13の厚さ方向一側に屈曲した屈曲部20を有している。屈曲部20は、例えば、バーリング加工により形成することができる。
チューブ22とフィン13は、一定間隔に並べた複数のフィン13をチューブ22が串刺しするように配置され、フィン13の切り欠き部19内にチューブ22が嵌合され、ろう付けにより固定されている。
図3に示すろう付け前の状態において、フィン13の切り欠き部19に形成された屈曲部20とチューブ22の上面または下面との隙間は10μm以下とすることが好ましい。
本実施形態のフィン13は、切り欠き部19に対しチューブ22を挿通させているが、切り欠き部19に代えてフィン13にスリット状の貫通孔を設け、貫通孔にチューブ22を挿通させた構成としても良い。
以下、熱交換器11の主な構成要素についてより詳細に説明する。
<<フィン>>
フィン13は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板状の基材3と、基材3の第1の面3a及び第2の面3bに設けられた親水性皮膜1とを有している。
<基材>
基材3は、JIS1050系などの純アルミニウム系あるいはJIS3003系のアルミニウム合金を主体とした合金からなる。また、基材3は、JIS3003系のアルミニウム合金に質量%で2%程度のZnを添加したアルミニウム合金からなるものであっても良い。
基材3は、チューブ22を構成する管体12の孔食電位よりも卑の孔食電位となる材質を用いることが好ましい。管体12の腐食は冷媒の漏れ出しにつながるおそれがある。基材3の孔食電位を管体12の孔食電位より卑とすることで、フィン13が優先的に腐食し管体12に孔食が生じることを遅延させることができる。
基材3は、上記組成を有するアルミニウム合金を常法により溶製し、熱間圧延工程、冷間圧延工程、プレス工程などを経て加工される。なお、基材3の製造方法は、本発明において特に限定されるものではなく、既知の製法を適宜採用することができる。
<親水性皮膜>
フィン13は、基材3の第1の面3a及び第2の面3bとそれら以外の周面に、親水性皮膜1を有している。親水性皮膜1は、厚さ100Å~10000Å程度のベーマイト皮膜からなる。
ベーマイト皮膜は、アルミニウム又はアルミニウム合金を90~100℃の高温水に浸漬するか加圧水蒸気中に保持することで生成される皮膜である。
高温水は純水を用いることができるが純水に少量のアンモニア水を添加した水であっても良い。また、脱イオン水を使用し、トリエタノールアミンなどの添加剤を加えてpHを弱アルカリ性に調整し、ベーマイト皮膜の成長性を促進するようにしても良い。
また、ベーマイト皮膜は、アルミニウムフィンの基材3にアルカリ性または中性の塗料を塗布し、乾燥後、湯洗または水洗して得ることもできる。
ベーマイト皮膜からなる親水性皮膜1は、ろう付け処理の前に、フィン13の基材3に対し形成されたプレコート皮膜と呼称できる皮膜である。
ベーマイト皮膜はろう付け後に目的の親水性を発揮し、ろう付け性に悪影響がなく、ろう付け後において変色しないように、前述の厚さ100Å~10000Åであることが好ましい。
ベーマイト皮膜の厚さが100Å未満であると、ろう付け後の後述する乾湿繰り返し試験後の水接触角が悪くなり、ベーマイト皮膜の厚さが10000Åを超えると、後述するろう付け塗膜を用いた場合のろう付け性が低下する問題がある。ベーマイト皮膜の厚さについて、最も優れた水接触角と優れたろう付け性を両立させるためには、1000~7000Åの範囲が好ましく、2000~3500Åの範囲がより好ましい。
<<チューブ>>
図3に示すように、チューブ22は、管体12と、管体12の外面(上面または下面)12bに形成されるろう材層5と、を有している。管体12は、図2に示すようにその内部に複数の冷媒流路12aが形成された偏平多穴管である。また、チューブとしてはアルミニウム合金ブレージングシートを折り曲げて成形する事で作製した管も使用する事ができる。
管体12は、例えば、JIS1050系などの純アルミニウム系あるいはJIS3003系のアルミニウム合金を主体とした合金からなる。一例として、Si:0.10~0.60%、Fe:0.1~0.6質量%、Mn:0.1~0.6質量%、Ti:0.005~0.2質量%、Cu:0.1質量%未満、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を押出することにより作製されたものである。
管体12は、ろう付け工程を経て形成されたフィレット5A、並びにフィン13の基材3の孔食電位よりも貴の孔食電位となる材質を用いることが好ましい。これにより、管体12の腐食が開始される前にフィレット5A及びフィン13の基材3の腐食が開始され、管体12の腐食を遅延させることができる。
図3に示すろう付け前のチューブ22の管体12には、フィン13が接合される外面12bの一部に、Si粉末:1.0~5.0g/mと、Zn含有フッ化物系フラックス(KZnF):3.0~20.0g/mと、バインダ(例えば、アクリル系樹脂):0.5~8.5g/mからなる配合組成のろう材層5が形成されている。
図3に示すろう付け前の熱交換器11において、チューブ22のろう材層5は、フィン13の屈曲部20のチューブ22と対向する部分(対向面20a)とチューブ22との間に位置する。ろう材層5は、600℃前後の加熱(ろう付け工程)後に冷却されることで、対向面20aとチューブ22との間に満たされた状態で固化し、図4に示すようにフィレット5A(ろう材層)となりフィン13とチューブ22をろう付け接合する。
図2に示すように、管体12の外面12bは、平坦な表面(上面)6A及び裏面(下面)6Bと、これら表面6A及び裏面6Bに隣接する第1の側面6C及び第2の側面6Dとからなる。第1の側面6Cは、フィン13の切り欠き部19の開口側に位置し外部に開放されている。第2の側面6Dは、第1の側面6Cの反対側に位置し切り欠き部19に囲まれて配置されている。
ろう材層5は、一例として、管体12の外面12bのうちフィン13と当接する領域に、即ち、管体12の表面6Aと裏面6Bに形成されている。また、ろう付け後の管体12の表面6A、裏面6Bには、ろう材層5に含まれていたSiとZnがろう付け温度で管体12側に拡散し、管体12の表層部にSiとZnを含む犠牲陽極層が形成される。
以下、前記ろう材層5を構成する組成物について説明する。
<Si粉末>
Si粉末は、チューブ22の管体12を構成するAlと反応し、フィン13とチューブ22を接合するろうを形成するが、ろう付け時にZn含有フラックスとSi粉末が溶融してろう液となる。
このろう液にフラックス中のZnが均一に拡散し、管体12の表面に均一に広がる。液相であるろう液内でのZnの拡散速度は固相内の拡散速度より著しく大きいので、これにより均一なZn拡散がなされ、管体12表面の面方向のZn濃度がほぼ均一となる。また、管体12の表面から深さ方向への拡散について見ると、SiはAlと共晶となって融点を下げるので、管体12の表面では共晶組成となった状態にZnが拡散し管体12の表面に所定厚さの犠牲陽極層が生成する。この犠牲陽極層の生成によりチューブ22の耐食性を向上できる。
<Si粉末塗布量:1.0~5.0g/m
Si粉末の塗布量が1.0g/m未満であると、ろう形成が不十分となるおそれがあり、塗布量が5.0g/mを超えると、チューブの溶融量が増加してチューブの肉厚が減少して、好ましくない。このため、ろう材層5におけるSi粉末の含有量は1.0~5.0g/mとすることが好ましい。
<Si粉末粒度:最大粒径:D(99):30μm以下>
Si粉末の粒度がD(99)において30μm以下であれば、均一な犠牲陽極層を形成することが可能である反面、30μmを超えると、局部的に深いエロージョンが生成し、均一な犠牲陽極層を形成できなくなるおそれがある。このため、Si粉末の粒度は、最大粒径D(99)において30μm以下が好ましい。なお、D(99)とは、体積割合で小さい粒から累積し、全体の99%となる粒の粒径のことである。これらの値は、いずれもレーザ光散乱法で測定することができる。
<Zn含有フラックス、非Zn含有フラックス>
Zn含有フラックスは、ろう付に際し、管体12の表面にZn拡散層からなる犠牲陽極層を形成し、耐孔食性を向上させる効果がある。また、ろう付時に管体12の外面の酸化膜を破壊し、ろうの広がり、ぬれを促進してろう付け性を向上させる作用を奏する。このZn含有フラックスは、Znを含まないフラックスに比べ活性度が高いので、比較的微細なSi粉末を用いても良好なろう付け性が得られる。Zn含有フラックスは、KZnF、ZnF、ZnClのうち、1種または2種以上を用いることができる。Zn含有フラックスに対し、非Zn含有フラックスを添加しても良い。
非Zn含有フラックスとしてフッ化物系フラックスあるいはフルオロアルミン酸カリウム系のフラックスはKAlFを主成分とするフラックスであり、添加物を加えた種々の組成が知られている。KAlF+KAlFなる組成のもの、Cs(x)(y)(z)などを例示できる。他に、LiF、KF、CaF、AlF、KSiF等のフッ化物を添加したフッ化物系フラックス(例えば、フルオロアルミン酸カリウム系のフラックス)を用いることもできる。Znフラックスに加えてフッ化物系フラックス(例えばフルオロアルミン酸カリウム系のフラックス)を添加することでろう付け性向上に寄与する。
<フラックス塗布量:3.0~20.0g/m
Zn含有フッ化物系フラックスの塗布量が3.0g/m未満であると、熱交換器11とした場合の電位差が低くなり、犠牲効果が発揮されないおそれがある。また、被ろう付け材(管体12)の表面酸化皮膜の破壊除去が不十分なためにろう付け不良を招くおそれがある。一方、塗布量が20.0g/mを超えると、電位差が過大となり、腐食速度が増加し、犠牲陽極層の存在による防食効果が短時間になるおそれがある。このため、Zn含有フッ化物系フラックスの塗布量を3.0~20.0g/mとすることが好ましい。Zn含有フッ化物系フラックスは、一例としてKZnFを用いることができる。前述の非Zn含有フラックスは、Zn含有フラックスに加えて添加することができる。
<バインダ>
ろう材層5には、Si粉末、Zn含有フッ化物系フラックスに加えてバインダを含むことができる。バインダの例としては、好適にはアクリル系樹脂を挙げることができる。 バインダは犠牲陽極層の形成に必要なSi粉末とZn含有フラックスを管体12の表面6A、裏面6Bに固着する作用があるが、バインダの塗布量が0.5g/m未満であると、ろう付け時にSi粉末やZnフラックスが管体12から脱落し、均一な犠牲陽極層が形成されないおそれがある。一方、バインダの塗布量が8.5g/mを超えると、バインダ残渣によりろう付け性が低下し、均一な犠牲陽極層が形成されないおそれがある。このため、バインダの塗布量は、0.5~8.5g/mとすることが好ましい。なお、バインダは、通常、ろう付けの際の加熱により蒸散する。
Si粉末、フラックス及びバインダからなるろう材層5の形成方法は、本発明において特に限定されるものではなく、スプレー法、シャワー法、フローコータ法、ロールコータ法、刷毛塗り法、浸漬法、静電塗布法などの適宜の方法によって行うことができる。
また、ろう材層5の形成領域は、管体12の表面6A、裏面6B、及び第2の側面6Dの全体としても良く、また一部としても良い。さらに、本実施形態の管体12は第1の側面6Cにろう材層5が形成されていないが、塗布方法によっては第1の側面6Cにも一部形成されてしまうことがある。本発明はこのようなものを排除しない。
<<製造方法>>
上述したフィン13及びチューブ22を備えた熱交換器11の製造方法の一例について以下に説明する。
まず、チューブ22、及びフィン13、を用意する。フィン13は、基材3の第1の面3a及び第2の面3bを含めて全面に親水性皮膜1を形成しておく。フィン13を上述した高温水中に保持するなどの方法によりフィン13の全面に厚さ100~4000Åのベーマイト皮膜を形成しておく。
フィン13には、切り欠き部19とその周縁の屈曲部20とが形成されている。また、チューブ22として、管体12の外面12bの一部に予めろう材層5が形成されたものを用意する。
次に、図3に示すように、複数枚のフィン13を並列に配置し、切り欠き部19にチューブ22を挿通する。
次に、ろう材層5の融点以上の温度、例えば580~620℃に加熱するろう付け工程を行う。加熱によって、管体12の外面12bに形成されたろう材層5が溶融し、ろう液となる。このろう液は、毛管力によりフィン13の屈曲部20の対向面20aと管体12の外面12bの間の隙間に流れ、隙間を満たす。さらに、冷却することで、図4に示すように、ろう液が固化しフィレット5A(ろう材層)を形成する。このフィレット5Aにより、チューブ22とフィン13とが接合される。
ろう付けに際し、不活性雰囲気などの適切な雰囲気で適温に加熱して、ろう材層5を溶融させる。この場合、フラックスの活性度が上がって、フラックス中のZnが被ろう付け材(フィン13の基材3)の肉厚方面に拡散するのに加え、ろう材及び被ろう付け材の双方の表面の酸化皮膜を破壊してろう材と被ろう付け材との間の濡れを促進する。
ろう付けに際し、チューブ22の管体12を構成するアルミニウム合金のマトリックスの一部がろう材層5の組成物と反応してろうとなって、チューブ22の管体12とフィン13がろう付けされる。管体12の上面表層部と下面表層部ではろう付けによってフラックス中のZnが拡散して管体12内側よりも卑になった犠牲陽極層が形成される。
<<効果>>
本実施の形態の構造によれば、良好なろう付けがなされ、管体12とフィン13との間に十分なサイズのフィレット5A(ろう材層)が形成される。
このフィレット5Aは、管体12及びフィン13よりも孔食電位が卑となっている。したがって、管体12及びフィン13と比較して優先的に腐食し、管体12及びフィン13の孔食を遅延させることができる。
また、ろう材層5を溶融、固化させる工程を経た後であっても、ベーマイト皮膜からなる親水性皮膜1は残留し、フィン13に親水性を付与することができる。
なお、チューブ22のろう材層5を溶融、固化させてフィン13とチューブ22を接合する工程において、同時に、チューブ22にヘッダ管14をろう付け接合することが好ましい。
図4に示すろう付け後のフィン13には、ろう付け時の熱処理工程を経たベーマイト皮膜からなる親水性皮膜1が形成されているので、フィン13の親水性を高くすることができる。
ベーマイト皮膜からなる親水性皮膜1は、ろう付け時の600℃前後の温度の加熱工程を経ても親水性を保つことができる。したがって、親水性皮膜1は、熱交換器11の組み立て前にフィン13の基材3に予め形成するプレコート工程により形成できる。ろう付け後にポストコートで親水性皮膜を形成する工程は不要となるために、製造工程を簡素化した熱交換器11を提供できる。
上述した実施形態においては、ろう付けするためのろう材層5をチューブ22の表面または裏面などの外面に設けた構造を採用したが、ろう材層5を略し、チューブ22とフィン13のろう付け接合予定部分の周囲に置きろうを配し、置きろうを用いてろう付けした構造を採用しても良い。
ろう付け時の加熱により置きろうを溶融させてチューブ22とフィン13との境界部分に溶融状態のろうを行き渡らせることでチューブ22とフィン13をろう付け接合しても良い。
また、フィン13を芯材層とろう材層からなる2層構造のブレージングシートで構成し、チューブ22にはろう材層を設けない構造を採用してもよい。
この場合、芯材層の片面あるいは両面に上述のベーマイト層を設けることができる。あるいは、芯材層の両面にベーマイト層を設けたろう材層を積層した3層構造(芯材+ベーマイト層を設けた両面側のろう材層による3層構造)のブレージングシートからフィン13を構成することもできる。
ブレージングシートを用いる場合に、一例として、芯材が、質量%でMn:0.5~2.0%、Si:1.3%以下、Fe:0.25%以下、Cu:0.5%以下、Zn:4.0%以下を含有し、残部Al及び不可避不純物の組成を有するアルミニウム合金からなり、ろう材層が、質量%でSi:5.0-13.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物の組成を有するアルミニウム合金からなる組合せを例示することができる。
上述した実施形態においては、図1、図2に示すプレートフィン構造の熱交換器に本発明を適用した例について説明したが、本発明の技術は他の構造の熱交換器、例えば、コルゲートフィンを用いた熱交換器に適用しても良い。
図5は、コルゲートフィンを適用した熱交換器の第2実施形態を示す正面図である。
この第2実施形態の熱交換器30は、左右に離間して平行に配置されたヘッダーパイプ31、32と、これらのヘッダーパイプ31、32の間に相互に間隔を保って平行に、かつ、ヘッダーパイプ31、32に対して直角に接合された複数の扁平状のチューブ33と、各チューブ33に付設された波形のフィン(コルゲートフィン)34を主体として構成されている。ヘッダーパイプ31、32、チューブ33及びフィン34は、アルミニウム合金から構成されている。チューブ33を構成するアルミニウム合金は第1実施形態の熱交換器11のチューブ22を構成するアルミニウム合金と同等のアルミニウム合金を適用できる。フィン34を構成するアルミニウム合金は第1実施形態の熱交換器11のフィン13を構成するアルミニウム合金と同等のアルミニウム合金を適用できる。
ヘッダーパイプ31、32の相対向する側面に複数のスリット36が各パイプの長さ方向に定間隔で形成され、これらヘッダーパイプ31、32の相対向するスリット36にチューブ33の端部を挿通してヘッダーパイプ31、32間にチューブ33が架設されている。また、ヘッダーパイプ31、32間に所定間隔で架設された複数のチューブ33、33の間にフィン34が配置され、これらのフィン34がチューブ33の表面側あるいは裏面側にろう付されている。
図6に示す如く、ヘッダーパイプ31、32のスリット36に対してチューブ33の端部を挿通した部分においてろう材により第1のフィレット部38が形成され、ヘッダーパイプ31、32に対しチューブ33がろう付されている。また、波形のフィン34において波の頂点の部分を隣接するチューブ33の表面または裏面に対向させてそれらの間の部分に生成されたろう材により第2のフィレット部39が形成され、チューブ33の表面側と裏面側に波形のフィン34がろう付されている。
フィン34は、先の実施形態のフィン13と同様に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板状の基材と、基材の第1の面及び第2の面に設けられた親水性皮膜とを有している。この例の親水性皮膜は先の実施形態において適用された親水性皮膜1と同等の親水性皮膜からなる。
本実施形態の熱交換器30は、ヘッダーパイプ31、32とそれらの間に架設された複数のチューブ33と複数のフィン34とを組み付けて図7に示す如く熱交換器組立体41を形成し、これを加熱してろう付けすることにより製造されたものである。なお、ろう付け時の加熱によってチューブ33の表面側と裏面側にはZn拡散層42が形成されている。
ろう付前のチューブ33には、フィン34が接合される表面と裏面に、先に説明したろう材層5と同等組成のろう付用塗膜37が塗布されている。チューブ33は先に説明したチューブ22と同等の偏平多穴管からなり、その内部に複数の冷媒通路33Cが形成されるとともに、平坦な表面(上面)33A及び裏面(下面)33Bと、これら表面33A及び裏面33Bに隣接する側面とを具備する。
ヘッダーパイプ31、32を構成するアルミニウム合金は、Al-Mn系をベースとしたアルミニウム合金が好ましい。
例えば、Mn:0.05~1.50%を含有することが好ましく、他の元素として、Cu:0.05~0.8%、Zr:0.05~0.15%を含有することができる。
図7は、フィン34との接合面にろう付用塗膜37を塗布したチューブ33を使用して、ヘッダーパイプ31、32、チューブ33及びフィン34を組み立てた状態を示す熱交換器組立体41の部分拡大図であって、加熱ろう付けする前の状態を示している。図7に示す熱交換器組立体41において、チューブ33はその一端をヘッダーパイプ31に設けたスリット36に挿入し取り付けられている。また、ヘッダーパイプ31、32の芯材31Aの表面側にろう材層43が設けられている。
図7に示すように組み立てられたヘッダーパイプ31、32、チューブ33及びフィン34からなる熱交換器組立体41を加熱炉などにおいてろう材の融点以上の温度に加熱し、加熱後に冷却すると、ろう材層43、ろう付用塗膜37が溶けた後に固化して図6に示すようにヘッダーパイプ31とチューブ33、チューブ33とフィン34が各々接合され、図5と図6に示す構造の熱交換器30が得られる。この時、ヘッダーパイプ31、32の内周面のろう材層43は溶融してスリット36近傍に流れ、第1のフィレット部38を形成してヘッダーパイプ31、32とチューブ33とが接合される。また、チューブ33の表裏面のろう付用塗膜37は溶融してAl-SiろうあるいはAl-Si-Znろうとなり、毛管力によりフィン34近傍に流れ、第2のフィレット部39を形成してチューブ33とフィン34とが接合される。また、ヘッダーパイプ31、32の表面に設けられていたろう材層43はろう付け後に表面に僅かに残留する。
ろう付に際し、加熱炉などにおいて不活性雰囲気などの適切な雰囲気で適温に加熱して、ろう付用塗膜37、ろう材層43を溶解させる。そうすると、フラックスの活性度が上がって、フラックス中のZnが被ろう付材(チューブ33)表面側または下面側に析出し、その肉厚方面に拡散するのに加え、ろう材及び被ろう付材の双方の表面の酸化皮膜を破壊してろう材と被ろう付材との間のぬれを促進する。
ろう付の条件は特に限定されない。一例として、加熱炉内を窒素雰囲気とし、熱交換器組立体41を昇温速度5℃/分以上でろう付温度(実体到達温度)580~620℃に加熱し、ろう付温度で30秒以上保持し、ろう付温度から400℃までの冷却速度を10℃/分以上として冷却してもよい。
チューブ33の上面と下面ではろう付によってフラックス中のZnが拡散してチューブ33の表面側または下面側にZn拡散層42が形成され、チューブ表面側または下面側でZnの拡散を受けている領域がチューブ33の肉厚方向の内部側(Znの拡散を受けていない領域)よりも卑になる。ここで、チューブ33の肉厚方向の内部側とはZn拡散層42が形成されているチューブ33の表面領域あるいは裏面領域よりチューブ33の肉厚方向に深い領域を示す。
図5、図6に示す熱交換器30において、フィン34の両面に厚さ100Å~4000Å程度のベーマイト皮膜からなる親水性皮膜が形成されている。このため、上述の熱交換器11と同等の親水性を得ることができる。即ち、図5、図6に示すろう付け後のフィン34には、ろう付け時の熱処理工程を経たベーマイト皮膜からなる親水性皮膜が形成されているので、フィン34の親水性を高くすることができる。
上述のベーマイト皮膜からなる親水性皮膜は、ろう付け時の600℃前後の温度の加熱工程を経ても親水性を保つことができる。したがって、親水性皮膜は、熱交換器30の組み立て前にフィン34の基材に予め形成するプレコート工程により形成できる。ろう付け後にポストコートで親水性皮膜を形成する工程は不要となるために、製造工程を簡素化した熱交換器30を提供できる。
その他、熱交換器30は、先の形態の熱交換器11と同様に優れた耐食性を得ることができる。
なお、この第2実施形態においては、コルゲートフィンを用いた熱交換器30として、ろう付けするためのろう材層37をチューブ33の上面または下面などの外面に設けた構造を採用したが、ろう材層37を略し、チューブ33とフィン34のろう付け接合予定部分の周囲に置きろうを配した構造を採用しても良い。
ろう付け時の加熱により置きろうを溶融させてチューブ33とフィン34との境界部分に溶融状態のろうを行き渡らせることでチューブ33とフィン34をろう付け接合しても良い。
また、フィン34を芯材層とろう材層からなる2層構造のブレージングシートで構成し、チューブ33にはろう材層37を設けていない構造を採用してもよい。
この場合、芯材層の両面に上述のベーマイト層を設けることができる。あるいは、芯材層の両面にベーマイト層を設けたろう材層を積層した3層構造(芯材層+ベーマイト層を設けた両面側のろう材層による3層構造)のブレージングシートからフィン34を構成することもできる。
ブレージングシートを用いる場合に、一例として、芯材が、質量%でMn:0.5~2.0%、Si:1.3%以下、Fe:0.25%以下、Cu:1.3%以下、Zn:4.0%以下を含有し、残部Al及び不可避不純物の組成を有するアルミニウム合金からなり、ろう材層が、質量%で5.0~13.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物の組成を有するアルミニウム合金からなる組合せを例示することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<<サンプルの作製>>
Si:0.4~1.0質量%、Mn:1.0~2.0質量%、Zn:1.0~3.5質量%を含み、残部不可避不純物とAlとからなる板状の基材に対し、以下の表1に示す種類、厚さのベーマイト皮膜からなる親水性皮膜を90℃の高温水に浸漬することで形成した。親水性皮膜の膜厚は、高温水に浸漬する時間5分~30分を調整することによって調整した。
幾つかのサンプルは、親水性皮膜の形成にベーマイト皮膜の代わりに塗料を用い、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ケイ酸ナトリウムのいずれかをプレコート塗膜として塗布後、240℃で焼き付けて後記する表1に示す膜厚になるように形成した。
「膜厚測定」
ベーマイト皮膜およびプレコート皮膜の膜厚測定は、X線光電子分光分析装置(XPS)によるデプスプロファイルを用いて測定した。分析は、アルバックファイ社製PHI5000VersaProbeIIIを用いて、X線源:25W、パスエネルギー:26eV、ステップ:0.05eVで行なった。スパッタリング条件は加速電圧:2kV、ラスター範囲:2mm×2mm、SiOスパッタレート:4.7nm/minで行なった。膜厚はSiO換算値にて算出した。
次に、Si:0.3~0.5質量%、Mn:0.2~0.4質量%を含み残部不可避不純物とAlからなるチューブ用アルミニウム合金を溶製し、この合金を横断面形状(肉厚0.26mm×幅17.0mm×全体厚1.5mm)であって、扁平状の熱交換器用アルミニウム合金の管体とした。
さらに、この管体の表面(上面)、裏面(下面)、並びに第2の側面にろう材層を形成した。ろう材層は、Si粉末(D(99)粒度10μm)3gと、Zn含有フラックス(KZnF粉末:D(50)粒度2.0μm)6g、及び、アクリル系樹脂バインダ1g、溶剤としての3-メトキシ-3-メチル-1ブタノールとイソプロピルアルコール16gの混合物からなる溶液をロール塗布し、乾燥させることで形成した。
前記チューブ11本とコルゲート加工により波型に成形した前記フィン(10枚)を用いてフィンに対しチューブを10段組み立て、仮のミニコア試験体を構成し、これらの試験体を窒素雰囲気の炉内に600℃×3分保持する条件でろう付けを行った。このろう付けにより、ろう付け皮膜が形成されていたチューブの表面及び裏面に、犠牲陽極層が形成されるとともに、ベーマイト皮膜からなる親水性皮膜を備えたフィンがろう付けされたので、これらを熱交換器試験体とした。
<<試験>>
次に、これらの熱交換器試験体を用いて以下に説明するフィンの変色観察試験、親水性評価試験、ろう付け性評価試験を行った。
[フィンの変色観察試験]
600℃×3分のろう付後のフィンについて、色差計にて測定される色彩値が、L:70~100、a:-3~+5、b:-3~+10の範囲を満たすものについては変色なしと判断した。また、色彩値がL:70~100、a:-3~+5、b:-3~+10の範囲を満たさないものは変色ありと判断した。
[親水性:乾湿繰返し試験後の水接触角]
600℃×3分のろう付後の試験体について、流水に8時間浸漬後、16時間乾燥を行なう工程を1サイクルとし、14サイクル実施した後のフィン表面の水接触角を測定した。この時の水接触角が40°以下であれば良好な親水性を有すると判断した。
[ろう付性:フィン接合率評価試験]
ろう付接合された各フィンについて、チューブからフィンをはぎ取り、チューブ表面に残存するフィン接合跡を観察した。そして、未接合箇所(ろう付を行なったが接合部跡が残らなかった箇所)の数をカウントした。一つの試験体に対して100か所の観察を行ない、80か所以上(80%以上)が正常に接合されているものを良好なろう付性を有すると判断した。
Figure 0007209487000001
表1に示す結果から明らかなように、ベーマイト皮膜をプレコート皮膜としてフィンに形成しておき、このフィンを用いて熱交換器のミニコア試験体を構成し、ろう付け塗膜を用いてろう付けすることで、フィン表面の変色を生じていない、親水性に優れた、ろう付け性においても優秀な熱交換器を製造できることがわかった。
乾湿繰返し試験後の接触角の値は10~30゜の範囲を示した。流水8時間浸漬後、16時間乾燥するサイクルを14サイクル実施するという過酷な試験環境下であっても実施例のミニコア試験体は、フィン表面の接触角を低い値に維持できる優れた親水性を得ることができた。
これらに対し、No.12の比較例はベーマイト皮膜が薄すぎるために乾湿繰返し試験後の接触角が大きくなった。No.13の比較例はベーマイト皮膜が厚すぎたためにろう付け性に劣る結果となった。
アルミニウムのろう付けは、ろう付け熱処理時にアルミニウム表面に存在する酸化皮膜をフラックスの効果により脆弱化させ、その表面を溶融したろう材が流動する事で多数の箇所を一括で接合できる特徴がある。これに対し、ベーマイト皮膜であるアルミニウム水和酸化膜層が厚すぎる場合、ろう材塗料中に含まれるフラックスでは酸化皮膜を脆弱化させる効果が充分に得られず、溶融したろう材の流動が阻害される事でろう付性が低下することがわかった。
No.14の比較例はベーマイト皮膜に換えてアクリル樹脂をプレコート皮膜とした例、No.15の比較例はベーマイト皮膜に換えてポリビニルアルコールをプレコート皮膜とした例、No.16の比較例はベーマイト皮膜に換えてカルボキシメチルセルロースをプレコート皮膜とした例である。これら有機材料の皮膜をプレコート皮膜として用いると、ろう付け時に600℃に加熱されたことで各樹脂が損傷し、これらの樹脂が本来有するべき親水性が大きく損なわれた。
No.17の比較例はベーマイト皮膜に換えてケイ酸ナトリウムをプレコート皮膜とした例、No.18の比較例はベーマイト皮膜に換えてケイ酸リチウムをプレコート皮膜とした例である。これらのケイ酸塩皮膜は上述の樹脂の皮膜より加熱に強い材料であるので、ろう付け後の親水性は優れているものの、皮膜表面が変色したので色変わりが大きく、ろう付け後のフィンとして外観上の不具合を呈する結果となった。
これらの試験結果から、望ましい範囲の膜厚のベーマイト皮膜をプレコート皮膜としてフィンの表面に用いた熱交換器であるならば、親水性に優れ、外観上の変色の問題が無く、ろう付け性にも優れた熱交換器を提供できることがわかった。
1…親水性皮膜、3…基材、3a…第1の面、3b…第2の面、5…ろう材層、5A…フィレット(ろう材層)、6A…表面、6B…裏面、6C…第1の側面、6D…第2の側面、11…熱交換器、12…管体、12a…冷媒流路、12b…外面、13…フィン、14…ヘッダ管、15…供給管、16…回収管、19…切り欠き部、20…屈曲部、20a…対向面、22…チューブ。

Claims (9)

  1. 内部に冷媒流路を備えたアルミニウム又はアルミニウム合金製のチューブと、前記チューブに対しろう付されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウムフィンを備えた熱交換器に備えられたアルミニウムフィンであって、表面と裏面の少なくとも一方に厚さ100~7000Åのベーマイト皮膜からなる親水性皮膜を備え、前記親水性皮膜を設けた面の色彩値が、L:70~100、a:-3~+5、b:-3~+10であることを特徴とするろう付け処理後の親水性に優れるアルミニウムフィン。
  2. 厚さ1000~3500Åのベーマイト皮膜からなる親水性皮膜を備えたことを特徴とする請求項1に記載のろう付け処理後の親水性に優れるアルミニウムフィン。
  3. 前記親水性皮膜を設けた面において、ろう付け熱処理後の水接触角が10゜~30゜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のろう付け処理後の親水性に優れるアルミニウムフィン。
  4. 請求項1~請求項3のいずれかに記載のアルミニウムフィンがアルミニウムまたはアルミニウム合金製のチューブに対しろう付けされ、前記親水性皮膜を設けた面の色彩値がL:70~100、a:-3~+5、b:-3~+10であることを特徴とする熱交換器。
  5. 請求項1~請求項3のいずれかに記載のアルミニウムフィンがコルゲートフィンであり、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数のチューブが並列配置され、これらチューブ間に前記コルゲートフィンがろう付けされ、前記複数のチューブが個々にヘッダパイプにろう付けされたことを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
  6. 請求項1~請求項3のいずれかに記載のアルミニウムフィンが複数相互に所定の間隔をあけて配列され、前記複数のアルミニウムフィンを挿入または貫通させたアルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数のチューブが前記アルミニウムフィンにろう付けされ、前記複数のチューブが個々にヘッダ管にろう付けされたことを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
  7. ろう付け前に前記管体外面にSi粉末とZn含有フラックスを含むろう付け用塗膜が形成され、ろう付け後において前記ろう付け用塗膜から前記ろう材層が形成されたことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の熱交換器。
  8. 前記ろう付け用塗膜に含まれていたZnの拡散により前記チューブ表面に犠牲陽極層が形成されたことを特徴とする請求項7に記載の熱交換器。
  9. 請求項1~請求項3のいずれかに記載のアルミニウムフィンに対し、内部に冷媒流路を備えたチューブをろう付けして熱交換器を製造する方法であって、前記チューブの外面にSi粉末とZn含有フラックスを含むろう付け塗膜を形成し、ろう付け時の熱処理によって前記ろう付け塗膜中のSiとZnをチューブ側に拡散させ、前記チューブの外面側にZnを拡散させた犠牲陽極層を形成することを特徴とする熱交換器の製造方法。
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