以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔第1形態例〕
(生理用ナプキン1の基本構成)
本発明に係る生理用ナプキン1は、図1及び図2に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、尿などを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2、3間に介装され、肌側に配置された上層シート10と非肌側に配置された下層シート11との間の所定領域に高吸水性ポリマー12が配置されたポリマーシート4と、前記ポリマーシート4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部位Hを含むように長手方向に所定の区間内において肌側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSを形成するサイド不織布7、7とから主に構成され、かつ前記ポリマーシート4の周囲においては、その長手方向端縁部では前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接合手段によって接合され、またその両側縁部ではポリマーシート4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接合手段によって接合されている。必要に応じて、前記透液性表面シート3とポリマーシート4との間に親水性のセカンドシート(図示せず)を配置してもよい。
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。特に、前記透液性表面シート3の非肌側に隣接して前記ポリマーシート4を配置する場合、後述のように前記ポリマーシート4の上層シート10としてセルロース系繊維からなる不織布が用いられるため、前記透液性表面シート3は、液保持しにくく通液性に優れる合成繊維からなる不織布を用いるのが好ましい。
本生理用ナプキン1の表面側両側部にはそれぞれ長手方向に沿って、かつ生理用ナプキン1の全長に亘ってサイド不織布7,7が設けられ、このサイド不織布7,7の外側部分が側方に延在されるとともに、前記不透液性裏面シート2が側方に延在され、これら側方に延在されたサイド不織布7部分と不透液性裏面シート2部分とをホットメルト接着剤等により接合して側部フラップが形成されている。
前記サイド不織布7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、尿等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングしたSSMSやSMS、SMMSなどの撥水処理不織布を用いるのが望ましく、体液の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるのが望ましい。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができる。
前記サイド不織布7、7は、適宜に折り畳まれて、前記吸収体4の略側縁近傍位置を起立基端として肌側に起立する左右一対の立体ギャザーBSを構成してもよい。
(ポリマーシート4)
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在されるポリマーシート4は、肌側(透液性表面シート3側)に配置された上層シート10と、非肌側(不透液性裏面シート2側)に配置された下層シート11との間の所定領域に、高吸水性ポリマー12が配置された構造を成している。前記高吸水性ポリマー12は、上層シート10と下層シート11との間において、パルプなどの繊維状材料に分散された状態で配置されるのではなく、粉粒状の高吸水性ポリマー12の集合体として単独で配置されている。これにより、前記ポリマーシート4の厚みを薄くでき、生理用ナプキン1の薄型化を図ることが可能となる。
前記ポリマーシート4の肌側層を構成する前記上層シート10としては、親水性のセルロース系繊維を含有する不織布で構成されている。前記親水性のセルロース系繊維としては、綿繊維やパルプ繊維などの天然由来のものや、レーヨン繊維、アセテート繊維、リヨセル繊維などの人工セルロース系繊維が挙げられる。前記綿繊維としては、木綿の原綿、精錬・漂白した綿繊維あるいは精錬・漂白後、染色を施した綿繊維、精錬・漂白した脱脂綿繊維、さらには糸もしくは布帛になったものを解繊した反毛等、あらゆる綿繊維を使用できるが、上層シート10における液の吸収スピード及び拡散性を高めるため、特に綿繊維の表面に付着しているコットンワックスの天然油脂を脱脂した脱脂綿繊維を使用するのが好ましい。前記上層シート10は、親水性のセルロース系繊維のみから構成され、化学繊維を含有しないのが望ましいが、セルロース系繊維の含有率が50重量%以上、好ましくは90重量%以上であればそれ以外の繊維を含んでいてもよい。特に望ましい形態は、セルロース系繊維が100重量%のセルロース系繊維のみからなるものである。
前記上層シート10として天然由来の繊維を用いる場合、後段で詳述するクレム吸水の試験結果(表1参照。)から明らかなように、パルプ繊維などからなる紙(クレープ紙)よりも、綿繊維100重量%からなる不織布を用いるのが好ましい。後述するクレム吸水試験の結果、綿繊維100重量%からなる不織布は、紙(クレープ紙)よりも3倍~4倍程度の拡散性が向上できる。
特に、前記上層シート10として、綿繊維100重量%からなるスパンレース不織布を用いるのが望ましい。これにより、上層シート10における液の吸収スピードがより速くなるとともに、面方向への液拡散性に特に優れるようになる。綿繊維100重量%とは、綿繊維単独で使用され、化学繊維を含まないことである。
前記上層シート10の不織布の加工法は問わないが、高吸水性ポリマー12の脱落を防止するため、スパンボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法など、得られる製品の繊維密度が大きくなる加工法とするのが好ましい。特に、上層シート10における体液の吸収スピード及び拡散性を高めるため、スパンレース法を用いるのが好ましい。スパンレース不織布は、接着剤を使用しない、柔軟性に優れる等の利点を有する。
前記上層シート10の目付けは、20~40g/m2、好ましくは27~30g/m2とし、厚みは0.25~0.50mm、好ましくは0.3~0.4mmとするのが好ましい。前記目付けは5cm×30cm×10枚の重量を電子天秤で計り平米換算して算出する。また、前記厚みはJIS-L1906に準拠して求める。
前記上層シート10は、表裏を貫通する開孔、即ち不織布製造時の水流交絡工程において、繊維材料をメッシュ状支持体に担持させることによって形成したものや、製造後の不織布にパンチ(打ち抜き)加工を施したものなど、上層シート10に何らかの開孔処理を施すことにより形成した多数の開孔が設けられたものでもよいし、開孔を有さない無孔のものでもよい。前記開孔が設けられたものでは、上層シート10における通液性が向上し、上層シート10の保水量が低減できるとともに、吸水能力及び液拡散性が向上できるようになる。一方、前記開孔が設けられないものでは、高吸水性ポリマー12の脱落が防止でき、装着感が良好になるとともに、逆戻りが防止できるようになる。前記開孔は、上層シート10の全面に設けてもよいし、製造後の不織布にパンチ加工を施すことにより一部にのみ設けてもよい。一部に設ける場合は、例えば、後述する上層シート10と下層シート11とを接合する接合部16を含む領域にのみ前記開孔を設け、前記高吸水性ポリマー12が配置される領域には設けないことにより、高吸水性ポリマー12の配置領域における吸水前の高吸水性ポリマー12の脱落を防止しつつ、前記接合部16においては接着剤やヒートシールにより溶融した下層シート11が前記開孔を通じて上層シート10に浸透しやすくして、接合部16の接合強度を高めるようにしてもよい。
一方、上述のように、前記上層シート10として無孔のものを使用することも可能である。肌側への高吸水性ポリマー12の脱落を防止する観点からは、むしろ無孔のものを用いるのが好ましい。前記「無孔」とは、何らかの開孔処理によって表裏を貫通する開孔が形成されないことであり、後段で詳述するように、不織布製造時の水流交絡工程において、繊維材料をメッシュ状支持体に担持させることによって形成した開孔や、製造後の不織布にパンチ加工を施すことによって形成した開孔などを有さないことである。
前記上層シート10は、表面がほぼ平坦に形成されたものでもよいし、図3に示されるように、肌側の面又は非肌側の面に、生理用ナプキン1の長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間隔をあけて形成された多数の畝部13、13…と、隣り合う畝部13、13の間に配置された、生理用ナプキン1の長手方向に沿って延びるとともに前記畝部13より非肌側又は肌側に窪んだ多数の溝部14、14…とが形成された畝溝構造を成していてもよい。前記畝部13は、溝部14より、繊維量が多く、かつ高密度に形成するのが好ましい。これによって、繊維の毛細管現象により相対的に高密度の前記畝部13に沿った生理用ナプキン1の長手方向への体液の拡散が生じやすくなる。
前記上層シート10は、図4に示されるように、前記綿繊維によって、生理用ナプキン1の長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間隔をあけて形成された多数の縦筋21、21…と、生理用ナプキン1の幅方向に沿って延びるとともに長手方向に間隔をあけて形成された隣接する前記縦筋21、21間を繋ぐ多数の横筋22、22…とが形成されるとともに、前記縦筋21と横筋22とで囲まれた部分に前記開孔20が形成された構造を成していてもよい。
前記開孔20を形成する場合は、スパンレース製造時の水流交絡工程において、繊維材料をメッシュ状支持体に担持させることで形成することができる。この場合、使用するメッシュの条件を変更することで、個々の開孔サイズ、開孔率を調整することが可能である。もちろん、製造後の不織布にパンチ(打ち抜き)加工を施して開孔20を形成しても良い。前記開孔20は、上層シート10の全体に設けても良いが、少なくとも体液排出部位Hを含む領域に形成する。好ましくは、体液排出部位Hを含み、製品長さ方向に吸収体長さの15%以上、製品幅方向に吸収体幅の50%以上、さらに好ましくは、体液排出部位Hを含み、製品長さ方向に吸収体長さの50%以上、製品幅方向に吸収体幅の70%以上の領域に設けるようにする。開孔の形成領域が、製品長さ方向に吸収体長さの15%未満でかつ製品幅方向に吸収体幅の50%未満である場合には、体液排出範囲をカバーすることができない事態が発生し、高吸水性ポリマー12によるゲルブロッキングが生じやすくなる。
前記開孔20を形成する場合は、図4に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向に長い縦長の形状で形成するのが好ましい。このため、円形の開孔よりも液体が透過しやすくなるので、この開孔20を通じて体液の一部が上層シート10を通過し、上層シート10の保水量がある程度抑制できるようになる。また、体液が開孔20を通過する際、液体が縦長に変形しながら通り抜けるため、体液の拡散方向がナプキン長手方向に制御でき、横方向への拡散が抑えられ、横漏れしづらくなる。なお、スパンレースの場合は、開孔形状が一様にはなりずらいが、前記開孔20の形状は、概ね矩形状~角の取れた長孔形状若しくは楕円形状のような形状となる。前記開孔20の大きさは、吸水前の高吸水性ポリマー12が脱落しにくい大きさで形成するのが好ましい。
前記縦筋21の幅W1は、0.5~2.5mm、好ましくは0.8~1.3mmとするのがよく、前記横筋22の幅W2は、0.2~1.6mm、好ましくは0.3~0.7mmとするのがよい。また、前記幅W1とW2との比(W1/W2)は、1.2~2.0、好ましくは1.5~2.0とするのがよい。前記縦筋21の幅W1を横筋22の幅W2より大きくすることによって、縦筋21に沿った生理用ナプキン1の長手方向への液拡散が生じやすくなる。
前記縦筋21は、横筋22より、繊維量が多く、かつ高密度に形成されている。これによって、体液が上層シート10を通過する際、繊維の毛細管現象により相対的に高密度の前記縦筋21に沿った生理用ナプキン1の長手方向への拡散が生じやすくなる。また、前記開孔20を通過する体液と上層シート10を浸透する体液の拡散方向が生理用ナプキン1の長手方向で一致するため、前記開孔20を通過する体液に引き込まれるようにして上層シート10の縦筋21を浸透するので、上層シート10の液残りが極力抑制されるようになる。
前記繊維量の測定は、JIS P8207の「紙製用パルプのふるい分け試験方法」に従い行うことができる。また、前記密度の測定は、JIS P8118「厚さ及び密度の試験方法」に従い行うことができる。
前記上層シート10に開孔20を設けた場合、前記開孔から高吸水性ポリマー12が脱落しやすくなるとともに、開孔20を通じて高吸水性ポリマー12に吸収された体液が逆戻りしやすくなるので、これらを防止するため、透液性表面シート3とポリマーシート4との間にセカンドシート(図示せず)を設けるか、又は前記透液性表面シート3として、無孔の不織布を使用することにより、ポリマーシート4から脱落した高吸水性ポリマー12や逆戻りした体液が肌面に接触しにくい構造とするのが好ましい。前記無孔の不織布とは、上述の上層シート10と同様に、何らかの開孔処理によって表面を貫通する開孔が形成されないことである。
一方、前記下層シート11としては、有孔または無孔の不織布が用いられる。不織布の繊維素材としては、化学繊維が含有されている。具体的には、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の熱可塑性の合成繊維の他、これら合成繊維に、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を含めることができる。前記不織布の加工法は問わないが、高吸水性ポリマー12の脱落を防止するため、スパンボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法など、得られた製品の繊維密度が大きくなる加工法とするのが好ましい。前記下層シート11は、化学繊維のみで構成され、再生繊維や天然繊維を含有しないのが望ましいが、化学繊維の含有率が50重量%以上、好ましくは90重量%以上であればそれ以外の繊維を含んでいてもよい。
前記高吸水性ポリマー12としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。
図5~図7に示されるように、前記ポリマーシート4には、高吸水性ポリマー12が配置された複数の画成領域15…が設けられるとともに、各画成領域15の周囲に、上層シート10及び下層シート11を接合する非肌側に窪む凹状の接合部16が設けられている。すなわち、前記上層シート10と下層シート11との間に介在される高吸水性ポリマー12は、上層シート10及び下層シート11を接合する接合部16によって区画された所定の画成領域15にのみ配置され、前記接合部16を含むそれ以外の領域には配置されていない。前記高吸水性ポリマー12が配置された画成領域15では、上層シート10と下層シート11との間に高吸水性ポリマー12が所定の目付以上で介在している。それ以外の領域では、上層シート10と下層シート11との間に高吸水性ポリマー12が全く存在しないか、前記画成領域15に高吸水性ポリマー12を散布する際のこぼれ落ちなどにより若干量の高吸水性ポリマー12が存在するが、その量が前記画成領域15に配置されたポリマー量と比較して極端に少なくなっている。前記接合部16が非肌側に窪む凹状に形成されるとは、前記高吸水性ポリマー12が配置された画成領域15の表面より非肌側に窪んでいることにより、前記接合部16に沿って表面を体液が流れやすく成されていることである。
前記上層シート10及び下層シート11を接合する接合部16としては、公知の方法を制限なく採用することができるが、特に、前記上層シート10の外面側からの圧搾と同時に加熱融着するヒートシール又はホットメルトなどの接着剤を用いるのが好ましい。前記ヒートシールでは、上層シート10を構成するセルロース系繊維は溶融しないが、下層シート11に含有される化学繊維が熱可塑性を有しているため、溶融した化学繊維の一部が上層シート10の繊維間に溶け込んだり、前記上層シート10に開孔20が形成される場合には、前記開孔20を通じて溶融した化学繊維の一部が上層シート10の表面側に達した状態で、硬化することにより上層シート10と下層シート11とを接合することができる。
前記接合部16は、画成領域15の周囲に沿って連続的に配置してもよいし、図6に示されるように、間欠的に複数配置してもよい。前記接合部16を画成領域15の周囲を取り囲むように連続的に配置することにより、この接合部16に沿って体液が連続的に流れやすくなり、体液の拡散性に優れるようになる。一方、前記接合部16を連続的に配置した場合には、高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤したときに接合部16が剥離しにくく、膨潤した高吸水性ポリマー12が流動できずに、ゲルブロッキングを生じやすくなるおそれがあるため、これらを防止するため間欠的に配置するのも効果的である。隣り合う接合部16、16の離隔距離は任意であるが、内部に配置された高吸水性ポリマー12の移動が防止できる程度の長さとするのが好ましい。
前記ポリマーシート4の目付としては、10~300g/m2、好ましくは30~100g/m2とするのがよい。
以上の構成からなる本生理用ナプキン1の体液の吸収形態について図5に基づいて説明する。前記透液性表面シート3を透過してポリマーシート4に達した体液は、親水性に優れる上層シート10に素早く吸収されるとともに、この上層シート10内を面方向の広い範囲に素早く拡散しながら、拡散する過程で随時下層側の高吸水性ポリマーに吸水される。このように、上層シート10において体液を面方向に拡散させつつ高吸水性ポリマーに吸水するため、高吸水性ポリマー層の特定の領域に体液が集中せず、高吸水性ポリマー12によるゲルブロッキングが生じにくくなる。また、ポリマーシート4に達した体液が上層シート10に素早く吸収されるとともに、上層シート10に吸収された体液が直ぐ下層側に隣接して配置された高吸水性ポリマー12に吸収保持されるため、ポリマーシート4全体として吸収スピードが速く逆戻りしにくいなどの吸収性能に優れるようになる。
また、前記上層シート10が親水性のセルロース系繊維を含有する不織布からなるとともに、前記下層シート11が化学繊維を含有する不織布からなるため、上層シート10と下層シート11とを接合するヒートシールや接着剤などの接合強度が低く抑えられ、高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤したときの圧力によって、前記上層シート10と下層シート11との接合が解除されやすくなっており、この接合部16の接合が解除されることにより、膨潤した高吸水性ポリマー12がこれまで接合部16であった領域まで移動して、高吸水性ポリマー12同士の間隙が確保できるため、ゲルブロッキングが生じにくくなる。例えば、前記接合部16としてヒートシールを用いた場合、上述したように、上層シート10を構成するセルロース系繊維は熱溶着しないため、ヒートシールによる上層シート10と下層シート11との接合は、下層シート11に含有された化学繊維の一部が熱溶融し、この熱溶融した化学繊維が上層シート10に浸透して固化することにより成されている。このようにして接合された接合部16は、上層シートと下層シートが両方とも化学繊維で構成され、両者が熱溶融して固化したものと比べて接合強度が小さく、高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤した際の圧力によって接合が解除されやすくなる。また、前記接合部16として接着剤を用いた場合、上層シート10が体液を吸収しやすい性質を有しているため、上層シート10の吸水により接着剤の接着強度が弱まり、高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤した際の圧力によって接合が解除されやすくなる。更に、セルロース系繊維を含有する不織布は、化学繊維からなる不織布と比べて破断強度が低いため、高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤したときの圧力によって、接合部16の繊維の一部(厚み方向の下層側の一部)が引き裂かれ、接合が解除される場合もある。
更に、前記高吸水性ポリマー12が配置された複数の画成領域15の周囲には、前記上層シート10及び下層シート11を接合する非肌側に窪む凹状の接合部16が設けられており、体液の吸収に際して、体液が前記凹状の接合部16を流れてより広い範囲に分散するため、体液が特定の領域に集中せず、ゲルブロッキングがより確実に防止できる。
以下、前記ポリマーシート4について更に詳細に説明すると、前記画成領域15は、ポリマーシート4の平面視で、上層シート10及び下層シート11の外縁まで達しない上層シート10及び下層シート11の中間領域に形成されている。これにより、高吸水性ポリマー12が上層シート10と下層シート11との間に配置された状態が維持でき、ポリマーシート4からのこぼれ落ちが防止できる。
前記上層シート10及び下層シート11の外縁部では、前記接合部16の外側に前記接合部16より接合強度が高い周方向に連続する外縁接合部(図示せず)を設けるか、前記画成領域15を区画する前記接合部16のうち最も外縁部に近い部分の接合強度を高めることによって、高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤し接合部16の接合が剥離したときに、外縁部から高吸水性ポリマー12がこぼれ落ちるのを防止するのが好ましい。前記接合部16より接合強度を高めるには、接合部の幅寸法を大きくしたり、接着強度の強い接着剤を使用したりすることにより行うことができる。
前記画成領域15は、上層シート10及び下層シート11に対し前記接合部16で区画された複数のセルに分割された状態で配置するのが望ましい。これにより、高吸水性ポリマー12の偏りが防止でき、シート全体に亘ってほぼ均等な吸水能力が得られるようになる。前記高吸水性ポリマー12は、ホットメルト接着剤などでシートに固定するのが好ましい。
複数のセルに分割された前記画成領域15の平面配置パターンは、図5に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向に延びるとともに幅方向に間隔をあけて複数並列配置してもよいし、図6に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向及び幅方向に沿って格子状に設けてもよい。前記格子状に設ける場合、前記画成領域15は、生理用ナプキン1の長手方向及び幅方向に沿って整列した正格子状(図6)に配置してもよいし、長手方向又は幅方向に沿って1列おきに半ピッチずつずらした千鳥格子状(図示せず)に配置してもよい。前記画成領域15の平面配置パターンは、周囲を区画する前記接合部16の配置を変更することにより、種々のパターンで形成することができる。
特に、前記ポリマーシート4は、図6に示されるように、平面視で、少なくとも上下左右位置が上層シート10及び下層シート11を接合する接合部16によって囲まれるとともに、生理用ナプキン1の長手方向及び幅方向に沿って正格子状に配列され、内部に高吸水性ポリマー12が配置された複数の画成領域15、15…に区画された構造とするのが好ましい。
前記画成領域15の配置パターンは、図示例のように、平面形状が生理用ナプキン1の長手方向に長い略楕円形状を成し、この画成領域15、15…を正格子状に配置することにより、隣接する4つの画成領域15、15…の中央に、内部に高吸水性ポリマー12が配置されない略菱形の画成領域17が区画されるようにするのが好ましい。
より具体的に説明すると、前記ポリマーシート4は、図6に示されるように、上層シート10と下層シート11とが、千鳥格子状配置で設けられた第1接合部16aによって接合されるとともに、上下左右位置に存在する4つの各第1接合部16a、16a…同士を結ぶ斜め中間位置に設けられた第2接合部16bによって接合されている。前記千鳥格子状配置とは、ピッチが同じ隣り合う行又は列を、1行おき又は1列おきに半ピッチずらして配置したものであり、1行おき又は1列おきに上下方向及び左右方向に整列するように配置したものである。また、本書において、上下位置とは、生理用ナプキン1の長手方向(前後方向)に一致する方向の位置であり、左右位置とは、生理用ナプキン1の幅方向に一致する方向の位置である。
また、前記ポリマーシート4は、前記第1接合部16aと第2接合部16bとによって囲まれるとともに、ナプキン長手方向及び幅方向に沿って正格子状に配列された、内部に高吸水性ポリマー12が封入された複数の第1画成領域15と、隣接する(上下方向及び左右方向に近接する)4つの第1画成領域15、15…の中央に位置するとともに、斜め4方向が前記第2接合部16bによって囲まれた、内部に高吸水性ポリマー12が配置されない第2画成領域17とに区画されている。
すなわち、前記第1画成領域15は、上下左右位置にそれぞれ配置された第1接合部16a、16a…と、上下左右位置の中間であって斜め4方向位置にそれぞれ配置された第2接合部16b、16b…とによって囲まれている。また、前記第2画成領域17は、正格子状に配列された前記第1画成領域15、15…が上下方向及び左右方向に近接する4つの第1画成領域15、15…で囲まれた中央に位置し、斜め4方向がそれぞれ前記第2接合部16bによって囲まれている。
ある1つの第1画成領域15を基準としてみたとき、その周囲には、ナプキン長手方向にそれぞれ第1画成領域15が隣接するとともに、ナプキン幅方向にそれぞれ第1画成領域15が隣接し、かつこれら周囲に配置された第1画成領域15、15…の中間であって、基準となる中央の第1画成領域15の斜め4方向にそれぞれ第2画成領域17が隣接している。
前記第1画成領域15では、図6及び図7に示されるように、前記第1接合部16a及び第2接合部16bで囲まれた領域内の上層シート10が、概ね中央部を頂点としてドーム状に肌側に膨出することにより、上層シート10と下層シート11との間に空間部が形成されるようになっている。
また、第2画成領域17では、図6及び図8に示されるように、前記第2接合部16bによって斜め4方向が囲まれた領域内の上層シート10が、概ね中央部を頂点として略四角錐状に肌側に膨出することにより、上層シート10と下層シート11との間に空間部が形成されるようにしてもよいし、図9に示されるように、上層シート10が下層シート11の上面に空間部が形成されることなく隣接して積層されることにより、上層シート10と下層シート11との間に空間部が形成されないようにしてもよい。図8に示されるように、肌側に膨出する第2画成領域17を設けた場合には、高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤したときの圧力によって接合部16の接合が解除された際、膨潤した高吸水性ポリマー12が移動できる空間がより広く確保され、ゲルブロッキングが確実に防止できる。一方、図9に示されるように、第2画成領域17において上層シート10と下層シート11とを隣接して積層した場合には、第2画成領域17において、上層シート10と透液性表面シート3との間に空間が形成されるため、上層シート10に吸水された体液が透液性表面シート3に逆戻りするのが抑制される。
前記第1画成領域15は、内部に前記高吸水性ポリマー12が配置されたポリマー配置領域である。前記第2画成領域17は、内部に高吸水性ポリマー12が配置されないポリマー無配置領域であってもよいし、内部に高吸水性ポリマー12が配置されたポリマー配置領域であってもよい。第2画成領域17をポリマー配置領域とする場合には、図8に示されるように、肌側に膨出する空間部を設けるのが好ましい。
前記第2接合部16bの接合強度は、前記第1接合部16aの接合強度より小さく設定されており、高吸水性ポリマー12が吸液して膨潤したときの圧力により、第1接合部16aより第2接合部16bの接合が優先的に剥離するように成されているのが好ましい。すなわち、第1接合部16aの接合強度>第2接合部16bの接合強度、の関係を有するのが好ましい。前記第2接合部16bの接合強度を第1接合部16aの接合強度より小さくすることによって、高吸水性ポリマー12が吸液して膨潤したとき、比較的弱い力で第2接合部16bの接合が剥離するようになる。また、更に高吸水性ポリマー12の膨潤が進み、より大きな力を生じたときには、前記第1接合部16aの接合も剥離するようになる。前記第2接合部16bの接合強度を前記第1接合部16aの接合強度より小さくするには、第2接合部16bの面積を第1接合部16aの面積より小さくすることにより成すことができる。
前記画成領域15を格子状に配置した場合において、前記接合部16は、図10に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向及び幅方向に延びる複数の連続線によって構成することも可能である。これにより、前記画成領域15の平面配置パターンは、矩形状の画成領域15が正格子状に配置されるようになる。
また、前記接合部16は、図11及び図12に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向に延びるとともに、幅方向に所定の間隔で複数配置した構成としてもよい。これにより、前記画成領域15は、生理用ナプキン1の長手方向に延びるとともに、幅方向に間隔をあけた多数の帯状に配置されるようになる。このため、長手方向に延びる接合部16に沿って体液が流れやすいとともに、長手方向に延びる画成領域15に沿って体液が拡散しやすくなるため、縦拡散が促進されるとともに、幅方向への体液拡散が抑制される結果、横漏れが防止できるようになる。この場合の前記接合部16は、図11に示されるように、生理用ナプキン1の幅方向に凹凸を繰り返す波状線でもよいし、図12に示されるように、直線でもよい。図11に示す例では隣り合う波状線の位相が一致しているが、位相を180度ずらした逆位相の状態で配置してもよい(図示せず)。位相を一致させた場合には(図11)、隣り合う波状線の間隔が常に等しいため、高吸水性ポリマー12が膨潤したときの圧力によって、どの場所でも均等に接合が解除されやすくなるが、逆位相とした場合には(図示せず)、隣り合う接合部16、16の間隔が狭い部分の方が高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤したときの接合部16に作用する圧力が大きくなり、接合が優先的に解除されやすくなるという利点がある。
(クレム吸水試験)
綿繊維100重量%からなるスパンレース不織布とクレープ紙との拡散性を比較するため、JIS P8141に基づく吸水度試験(クレム法)を行った。その結果を表1に示す。表1は、各時間経過時の上昇した水の高さ(距離)を測定したものである。
〔第2形態例〕
次いで、第2形態例に係る生理用ナプキン1Aに用いられるポリマーシート4Aについて、図13に基づいて説明する。なお、説明の簡略化のため、上記第1形態例と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
第2形態例に係る生理用ナプキン1Aでは、肌側に配置された上層シート10と非肌側に配置された下層シート11との間に中間シート19が配設されるとともに、少なくとも前記上層シート10と中間シート19との間の所定領域に高吸水性ポリマー12が配置されたポリマーシート4Aを備える点で上記第1形態例に係る生理用ナプキン1と相違する。そして、前記上層シート10が親水性のセルロース系繊維を含有する不織布からなるとともに、前記中間シート19及び下層シート11の少なくとも一方が化学繊維を含有する不織布からなり、かつ前記ポリマーシート4Aに、高吸水性ポリマー12が配置された複数の画成領域15が設けられるとともに、前記画成領域15の周囲に、高吸水性ポリマー12が配置されない前記上層シート10、中間シート19及び下層シート11を接合する非肌側に窪む凹状の接合部16が設けられている。
前記中間シート19は、前記上層シート10と下層シート11との間に配設され、前記上層シート10及び下層シート11とほぼ同形状に形成されている。前記中間シート19としては、下層シート11の繊維素材に応じて、適宜選択することができる。すなわち、下層シート11が親水性のセルロース系繊維を含有する不織布からなる場合、中間シート19としては、化学繊維を含有する不織布が用いられる。また、下層シート11が化学繊維を含有する不織布からなる場合、中間シート19としては、化学繊維を含有する不織布を用いてもよいし、親水性のセルロース系繊維を含有する不織布を用いてもよい。
本第2形態例に係る生理用ナプキン1Aでは、上記第1形態例に係る生理用ナプキン1による効果に加えて、特に、前記中間シート19を親水性のセルロース系繊維を含有する不織布で構成することにより、中間シート19に吸水して広い範囲に拡散した体液が、中間シート19の少なくとも上層側に配置された高吸水性ポリマー12に吸水されるため、より確実にゲルブロッキングが生じにくくなるとともに、高吸水性ポリマー12への吸水性に優れるようになる。
図13に示される形態例では、前記高吸水性ポリマー12は、上層シート10と中間シート19との間にのみ配置され、中間シート19と下層シート11との間には配置されていない。
変形例として、図14に示されるように、上層シート10と中間シート19との間及び中間シート19と下層シート11との間のそれぞれの所定領域に高吸水性ポリマー12を配置してもよい。すなわち、中間シート19の上層側及び下層側の両方に高吸水性ポリマー12が配置されている。
この変形例においては、ゲルブロッキングを防止する観点から、前記中間シート19として、親水性のセルロース系繊維を含有する不織布を用いるのが望ましい。これにより、中間シート19においても前記上層シート10と同様に、吸水して広い範囲に拡散しながら、中間シート19の上層側及び下層側にそれぞれ配置された高吸水性ポリマー12に随時吸水されるため、より確実にゲルブロッキングを防止できるとともに、高吸水性ポリマー12への吸水性に優れるようになる。
また、前記中間シート19として親水性のセルロース系繊維を含有する不織布を用いた場合、前記中間シート19に前記開孔20を設けるのが好ましい。これにより、中間シート19と下層シート11との間に配置された高吸水性ポリマー12への通液性が良好になるとともに、前記接合部16においてこの開孔20を通じて上層シート10と下層シート11とが直接接合できるため、下層シート11、中間シート19及び上層シート10の接合強度をある程度高めることができる。
一方、図14に示される実施形態において、接合部16の接合を解除しやすくする観点から、前記中間シート19として化学繊維を含有する不織布を用い、前記下層シート11として親水性のセルロース系繊維を含有する不織布を用いることができる。ヒートシールによって前記接合部16を形成した際、前記中間シート19に含有される化学繊維が溶融して上層シート10及び下層シート11に浸透することにより、上層シート10、中間シート19及び下層シート11が接合できるとともに、上層シート10及び下層シート11がそれぞれセルロース系繊維を含有する不織布からなるため、接合強度が低く抑えられ、高吸水性ポリマー12が吸水して膨潤したときの圧力によって接合部16の接合が解除されやすくなる。