JP7244332B2 - 多段式パイプ、多段式排水パイプ、多段式排水パイプの施工方法、及び多段式排水パイプの排水構造 - Google Patents

多段式パイプ、多段式排水パイプ、多段式排水パイプの施工方法、及び多段式排水パイプの排水構造 Download PDF

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本発明は、管径の異なる複数の管体を備え、これらの複数の管体のうち一番管径の大きな外管に他の管体が収納可能な多段式パイプ、多段式排水パイプ、多段式排水パイプの施工方法、及び多段式排水パイプの排水構造に関するものである。
従来、管径の異なる複数の管体を備え、これらの複数の管体のうち一番管径の大きな外管に他の管体が収納可能な多段式パイプが知られている。このような多段式パイプは、地盤補強杭として、その他、地盤改良用、液状化対策用、地滑り対策用、地下水排水用などの様々な広範な用途に用いられている。
例えば、特許文献1には、地盤に予め掘削してプレボーリング孔を形成し、そのプレボーリング孔に透水性の複数の管体から収縮自在に組み合わされた多段式パイプを挿入し、周囲を土で埋め戻して排水管を形成する地盤改良工法が記載されている(特許文献1の特許請求の範囲、図面の第1図~第3図等参照)。
しかし、特許文献1に記載の多段式の排水管は、管体同士の接続部分の内管周側にラバーフォーム又は布等を巻き付け、荷重に応じて排水管が収縮できるようにするものであった。このため、特許文献1に記載の多段式の排水管は、管軸方向に沿って管体同士を圧縮する方向に圧縮力が作用した場合、圧縮力に対抗できるものではなく、地盤が沈下したり、管体に荷重が作用したりした場合、多段式パイプが予期せず不要に縮んでしまうという問題があった。
また、特許文献2には、基礎杭建込み位置に、内管1a、中管1b、外管1cからなる伸縮中空杭1を重ねた状態で設置し、ランマー5を用いて砂等の粒状体4とともに径の小さな内管1aから順に地盤に打ち込み、管の内側にコンクリートを打設して基礎杭を造成する方法が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、図面の図1等参照)。
しかし、特許文献2の伸縮中空杭1は、各管の上端に外向きのフランジが形成され、下端に内向きフランジが形成されていることにより、内管から順次に地盤に打ち込むことで伸縮中空杭が延伸する仕組みとなっている。このため、コンクリートを打設しなかった場合は、特許文献1の多段式の排水管と同様に、管軸方向に沿って管体同士を圧縮する方向に圧縮力が作用した場合、圧縮力に対抗できるものではなかった(特許文献2の明細書の段落[0018]、図面の図1等参照)。
特開昭52-132510号公報 特開平11-256625号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、圧縮力にも対抗することができる多段式パイプ、多段式排水パイプ、多段式排水パイプの施工方法、及び多段式排水パイプの排水構造を提供することにある。
第1発明に係る多段式パイプは、管径の異なる複数の管体を備え、これらの複数の管体のうち一番管径の大きな外管に他の管体が収納可能な多段式パイプであって、前記複数の管体同士の間には、延伸したときに互いの管体同士を縮めて圧縮する方向に作用する圧縮力に対抗して管体同士を係止する係止機構が設けられており、前記係止機構は、外側の管体及び内側の管体のいずれか一方に形成された係止凸部と、他方に形成された係止孔とが嵌合することにより管体同士を互いに係止する機構であるいることを特徴とする。
発明に係る多段式パイプは、第1発明において、前記複数の管体は、3本以上の管体からなることを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプは、管径の異なる複数の管体を備え、これらの複数の管体のうち一番管径の大きな外管に他の管体が収納可能な多段式パイプであって、前記複数の管体同士の間には、延伸したときに互いの管体同士を縮めて圧縮する方向に作用する圧縮力に対抗して管体同士を係止する係止機構が設けられ、前記複数の管体の一部には、管内に地下水を排水する排水孔が形成されていることを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプは、第発明において、前記外管には、少なくとも前記排水孔が形成されていないことを特徴とする。
また、第5発明に係る多段式排水パイプは、第3発明又は第4発明において、前記係止機構は、内側の管体に形成された係止爪と、外側の管体の下端面とが当接することにより管体同士を互いに係止する機構であることを特徴とする。
また、第6発明に係る多段式パイプは、第3発明又は第4発明において、前記係止機構は、外側の管体及び内側の管体のいずれか一方に形成された凸部と、他方に形成された凹部とが嵌合することにより管体同士を互いに係止する機構であることを特徴とする。
また、第7発明に係る多段式パイプは、第3発明又は第4発明において、前記係止機構は、外側の管体及び内側の管体に形成された凸部同士が当接して係合することにより管体同士を互いに係止する機構であることを特徴とする。
そして、第8発明に係る多段式排水パイプは、第3発明又は第4発明において、前記複数の管体は、3本以上の管体からなることを特徴とする。
第9発明に係る多段式排水パイプの施工方法は、請求項又はに記載の多段式排水パイプを管軸方向に地盤に押し込んで貫入する多段式排水パイプの施工方法であって、前記外管に他の管体を収納した状態で地盤に貫入すること特徴とする。
第10発明に係る多段式排水パイプの施工方法は、第9発明において、管径の大きな管体から順次地盤に貫入していくことを特徴とする。
第11発明に係る多段式排水パイプの排水構造は、請求項又はに記載の多段式排水パイプが地盤に貫入されて周囲の地盤から前記管体の内側に排水する多段式排水パイプの排水構造であって、前記複数の管体のうち一番管径の小さな内管が、周囲の地盤の地下水位より下方まで貫入され、前記排水孔から前記内管の内側に地下水を集水して前記地盤の過剰間隙水圧を低減することを特徴とする。
第1発明及び発明によれば、管体同士を縮めて収納する方向に圧縮力が作用した場合でも対抗することができ、地盤が沈下したり、管体に荷重が作用したりした場合でも、多段式パイプが不要に縮んでしまうことを防止することができる。このため、第1発明及び発明によれば、多段式パイプを地盤改良対策や液状化対策のパイプとしても用いることができ、多段式パイプを多用途に用いることが可能となる。
特に、第発明によれば、係止機構を設けるのに、内側の管体に係止爪を形成するだけでよくなる。このため、多段式排水パイプの製造コストを低減することができる。
特に、第発明によれば、多段式排水パイプの圧縮方向だけでなく、引抜方向に力が作用しても対抗することができ、地盤補強杭などの引抜き抵抗が必要な杭としても使用することができ、多段式パイプをさらに様々な用途に用いることが可能となる。
特に、第発明及び第8発明によれば、空頭制限があるような場所でもさらに地盤深くまで多段式パイプ又は多段式排水パイプを貫入させることができ、さらに多段式パイプ又は多段式排水パイプの用途を拡大することができる。このため、第発明及び第8発明によれば、多段式パイプ又は多段式排水パイプを、軟弱地盤が厚く堆積しているような地域でも排水パイプ等とし使用することができる。
発明及び第発明によれば、管内に地下水を排水する排水孔が形成されているので、多段式パイプを排水パイプとして使用することができる。また、第発明及び第発明によれば、排水パイプを多段式としているため、貫入時に排水パイプに振動(バイブレーション)をかける時間が同一全長の一本の排水パイプと比べて短くて済む。このため、貫入時に排水孔などから流入する土砂をさらに少なくすることができる。
特に、第発明によれば、外管には、排水孔が形成されていないので、外管のねじり抵抗が高くなり、径が大きく周面摩擦抵抗が高いため貫入抵抗が最大となる外管挿入時に回転しながら圧入してもねじり切れるおそれを低減することができる。このため、外管の厚さ薄くすることが可能となり、製品コストを低減することができる。また、第発明によれば、外管貫入時に管体内に流入する地下水や土砂を低減することができ、排水パイプの施工を容易に短時間で行うことができる。
第9発明及び第10発明によれば、一番貫入抵抗が大きい外管貫入時に、外管に他の管体を収納した状態で地盤に貫入することができる。このため、外管などの各管体の板厚を下げることができるとともに、貫入時の地盤との排水パイプの周面摩擦を低減して貫入抵抗を小さくし、小さな力で排水パイプの貫入作業を行うことができる。
特に、第10発明によれば、所望の地盤深さまで、排水パイプの貫入深さを振り出し式(多段式)に分割して貫入することができ、順次押し出される管体のみに周辺摩擦を生じさせ全体として貫入抵抗を低減することができる。このため、さらに各管体の板厚を下げることができるとともに、貫入時の地盤との排水パイプの周面摩擦を低減して貫入抵抗を小さくし、小さな力で排水パイプの貫入作業を行うことができる。このため、手持ちの油圧杭打機や小型のショベルカーで施工が可能となり、専用機械の搬送費や組立費を省いて排水パイプの施工費用を低減することができる。
第11発明によれば、排水孔から内管の内側に地下水を集水して地盤の過剰間隙水圧を低減するので、液状化対策の排水構造として好適に用いることができる。また、排水パイプには、係止機構が設けられているので、地盤が沈下したり、管体に荷重が作用したりした場合でも、多段式排水パイプが不要に縮んでしまうことを防止することができる。
本発明の第1実施形態に係る多段式排水パイプを中間省略して示す側面図である。 同上の多段式排水パイプの収納状態を示す管軸方向に沿って切断した断面図である。 同上の多段式排水パイプの外管と内管との係止機構を、外管を断面で示し、内管を側面図で示す部分切断断面図である。 同上の多段式排水パイプの先端部分を管軸方向に沿って切断した状態を示す部分拡大断面図である。 同上の多段式排水パイプの外管と内管との係止機構の第1変形例を示す部分断面図である。 同上の係止機構の第2変形例を示す部分断面図である。 同上の係止機構の第3変形例を示す部分断面図である。 同上の係止機構の第4変形例を示す部分断面図である。 同上の係止機構の第5変形例を示す部分断面図である。 本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの施工方法の第1貫入工程を示す工程説明図である。 同上の多段式排水パイプの施工方法の第2貫入工程を示す工程説明図である。 本発明の第2実施形態に係る多段式排水パイプを軟弱地盤まで貫入した地盤排水構造を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプ、多段式排水パイプの排水構造、及び多段式排水パイプの施工方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<多段式排水パイプ>
[第1実施形態]
先ず、図1~図4を用いて、本発明の第1実施形態に係る多段式排水パイプ1について説明する。本発明の実施形態に係る多段式排水パイプ1は、液状化のおそれがある地層を有する地盤に貫入されて液状化対策用排水パイプとして用いられる場合を想定している。図1は、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプ1を中間省略して示す側面図であり、図2は、その多段式排水パイプ1の収納状態を示す管軸方向に沿って切断した断面図である。また、図3は、多段式排水パイプ1の外管2と内管3との係止機構6を、外管2を断面で示し、内管3を側面図で示す部分切断断面図である。そして、図4は、多段式排水パイプ1の先端部分を管軸方向に沿って切断した状態を示す部分拡大断面図である。
本実施形態に係る多段式排水パイプ1は、所定厚さの高耐食性のメッキ鋼管であり、貫入する地盤深さに応じた所定長さの管径の異なる大小2つの管体を備えている。但し、本発明に係る排水パイプは、管径の異なる複数の管体を備え、これらの複数の管体のうち一番管径の大きな外管に他の管体が収納可能な多段式排水パイプであればよく、大小2つの管体からなる物に限られない。
図1、図2に示すように、この多段式排水パイプ1は、管径の大きな管体が外管2であり、管径の小さな管体が内管3である。また、内管3の先端には、凸状の先端キャップ4が嵌着されて(図4も参照)、いる。なお、先端とは、図1に示す管体の貫入方向X側の管端を指し、後端とは、反対側の管端を指すものとする(以下、同じ)。
そして、外管2と内管3との間には、両者を延伸したときに外管2と内管3を縮めて圧縮する方向に作用する圧縮力に対抗し、外管2に内管3が入り込まないように管体同士を係止する係止機構6が設けられている。
(外管)
図1,図2に示すように、外管2は、鋼管からなる円筒状の外管本体20から主に構成されている。そして、この外管本体20は、先端部21から後端部22まで管径が略同一径のストレートな直管の管体であり、後述の排水孔H1も形成されていない無孔管である。
(内管)
内管3は、外管2の内径より外径が小さな円筒状の鋼管からなる内管本体30から主に構成されている。そして、内管本体30の先端側の管端付近には、他の部分より縮径された先端部31が形成され、他の部分は、後端部32まで管径が略同一径のストレートな直管の管体となっている。
また、図1に示すように、内管本体30の外周面には、地下水や過剰間隙水を透水する所定径(例えば、直径5mm)の排水孔H1が、所定ピッチ(例えば、10mm)で多数穿設されている。このため、多段式排水パイプ1は、液状化のおそれがある地層に貫入された場合は、排水孔H1を通じて地下水を内管3の内側に集水して排水することができ、過剰間隙水圧を地盤から逃がすことができる。なお、排水とは、地盤内の地下水等を内管3の内側に通水することを指し、必ずしも多段式排水パイプ1からポンプアップして地表まで汲み上げることを指していない。
前述のように、内管3は、外管2の内径より外径が小さい。このため、図2に示すように、外管2に他の管体である内管3が収納可能となっている。そのため、外管2に内管3が収納された状態で搬送することができ、搬送効率が良い。
(先端キャップ)
図4に示すように、内管3の先端部31には、多段式排水パイプ1の貫入時の土圧抵抗を低減するため、円錐状の先端キャップ4が嵌着されている。この先端キャップ4は、ポリプロピレンから形成されている。勿論、先端キャップ4は、抵抗の少ない形状であれば、特に素材が限定されるものではなく、ポリプロピレンなどの樹脂に限られず、ダグタイル鋳鉄などの金属製であっても構わない。
(係止機構)
次に、図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る係止機構6について説明する。図3に示すように、内管3の後端部32には、先端側が細く、後端側が厚くなった弾性体である金属製の三角楔状の複数の係止爪33が、内管3の円筒体の表面から一定ピッチで半径方向に突出形成されている。この係止爪33と外管2の先端部21の端面(下端面)とが当接することにより、圧縮力に対抗して外管2と内管3とを互いに係止する係止機構6を構成している。
なお、この係止爪33は、内管本体30の鋼管と同一材から形状変形して形成してもよいし、別材からねじ止めなどで機械的に、又は溶接などで後付けしてもよい。また、係止爪33の形状も三角楔状に限られず、板バネ等を取り付ける構造としてもよい。要するに、係止爪33は、外管2の先端部21の端面と係止可能な突起物であればよい。
以上説明した係止機構6によれば、内側の管体である内管3に係止爪33を形成するだけで係止機構を構成することができる。このため、多段式排水パイプ1の製造コストを低減することができる。
次に、図5を用いて、前述の係止機構の第1変形例である係止機構7について説明する。図5は、多段式排水パイプ1の第1変形例に係る係止機構7を示す管軸方向に沿って切断した部分断面図である。図5に示すように、係止機構7は、外管2の内周面に円周方向に沿って形成された凹部23と、内管3の外周面に円周方向に沿って形成された凸部34と、から構成されている。係止機構7は、凸部34が凹部23に嵌まり込んで嵌合することにより、外管2と内管3との相対移動を拘束する機能を有している。
なお、凹部23及び凸部34は、いずれも円周方向の全周に亘って設けられる必要はなく、一定間隔をおいて、離間して設けられていてもよい。
以上説明した係止機構7によれば、係止機構6と相違して、多段式排水パイプ1の圧縮方向だけでなく、引抜方向に力が作用しても対抗することができ、地盤補強杭などの引抜き抵抗が必要な杭としても使用することができる。このため、多段式排水パイプ1をさらに様々な用途に用いることが可能となる。
次に、図6を用いて、前述の係止機構の第2変形例である係止機構8について説明する。図6は、多段式排水パイプ1の第2変形例に係る係止機構8を示す管軸方向に沿って切断した部分断面図である。図6に示すように、係止機構8は、外管2の内周面に円周方向に沿って形成された凸部24と、内管3の外周面に円周方向に沿って形成された凹部35と、から構成されている。係止機構8は、凸部24が凹部35に嵌まり込んで嵌合することにより、外管2と内管3との相対移動を拘束する機能を有している。
なお、凸部24及び凹部35は、いずれも円周方向の全周に亘って設けられる必要はなく、一定間隔をおいて、離間して設けられていてもよい。
以上説明した係止機構8によれば、係止機構7と同様に、多段式排水パイプ1の圧縮方向だけでなく、引抜方向に力が作用しても対抗することができ、地盤補強杭などの引抜き抵抗が必要な杭としても使用することができる。このため、多段式排水パイプ1をさらに様々な用途に用いることが可能となる。
次に、図7を用いて、前述の係止機構の第3変形例である係止機構9について説明する。図7は、多段式排水パイプ1の第3変形例に係る係止機構9を示す管軸方向に沿って切断した部分断面図である。図7に示すように、係止機構9は、外管2の内周面に円周方向に沿って形成された断面矩形のリブ状の凸部25と、内管3の外周面に円周方向に沿って所定間隔を置いて形成された凸部である三角楔状の係止爪36と、から構成されている。このため、係止機構9は、凸部25が係止爪36に当接することにより、外管2と内管3とを軸方向に圧縮する圧縮力に対抗する機能を有している。
なお、凸部25も係止爪36に対応する位置にのみ設け、円周方向の全周に亘って設けられる必要はない。逆に、係止爪36を円周方向の全周に亘って設三角形リブ状に形成してもよい。
以上説明した係止機構9によれば、係止機構6と同様に、引抜方向に作用する応力には対抗することはできない。但し、凸部25を二重に設け、その間に、係止爪36を挟み込んで係止する機構とすることもできる。
次に、図8を用いて、前述の係止機構の第4変形例である係止機構10について説明する。図8は、多段式排水パイプ1の第4変形例に係る係止機構10を示す管軸方向に沿って切断した部分断面図である。図8に示すように、係止機構10は、外管2の内周面に形成された係止孔26と、内管3の外周面に形成された係止凸部37と、から構成されている。係止機構10は、係止凸部37が係止孔26に嵌まり込んで嵌合することにより、外管2と内管3との相対移動を拘束する機能を有している。なお、係止孔26及び係止凸部37は、いずれも一定間隔をおいて、離間して設けられている。
以上説明した係止機構10によれば、係止機構7,8と同様に、多段式排水パイプ1の圧縮方向だけでなく、引抜方向に力が作用しても対抗することができ、地盤補強杭などの引抜き抵抗が必要な杭としても使用することができる。このため、多段式排水パイプ1をさらに様々な用途に用いることが可能となる。
次に、図9を用いて、前述の係止機構の第5変形例である係止機構11について説明する。図9は、多段式排水パイプ1の第5変形例に係る係止機構11を示す管軸方向に沿って切断した部分断面図である。図9に示すように、係止機構11は、外管2の内周面に形成された係止孔27と、内管3の外周面に形成された前述の係止爪36と上下が反転した係止爪38と、から構成されている。係止機構11は、係止爪38が係止孔27に嵌まり込んで嵌合することにより、外管2と内管3との相対移動を拘束する機能を有している。なお、係止孔27及び係止爪38は、いずれも一定間隔をおいて、離間して設けられている。
以上説明した係止機構11によれば、係止機構7,8,10と同様に、多段式排水パイプ1の圧縮方向だけでなく、引抜方向に力が作用しても対抗することができ、地盤補強杭などの引抜き抵抗が必要な杭としても使用することができる。その上、係止機構11は、圧縮力に対しては、係止爪38が、上方にいくにしたがって細くなり、下端は平面となっているため、圧縮方向への対向力は、他の係止機構より高くなっている。
<多段式排水パイプの施工方法>
次に、図10,図11を用いて、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの施工方法について説明する。前述の多段式排水パイプ1を地下深くに液状化のおそれがある地層G1を有する地盤Gに貫入して液状化対策として地盤排水構造12を構築する場合を例示して説明する。
(第1貫入工程)
図10は、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの施工方法の第1貫入工程を示す工程説明図である。本実施形態に係る多段式排水パイプの施工方法では、図10に示すように、先ず、プレボーリングを行わず、多段式排水パイプ1を直接地盤に貫入する第1貫入工程を行う。
具体的には、油圧ショベルの先端にブレーカーを取り付けた0.2m3級の小型の重機や手持ちの杭打機を用いて、振動(バイブレーション)をかけつつ、多段式排水パイプ1を押し下げて地盤に貫入する。このとき、内管3が外管2に収納され、内管3の先端に先端キャップ4が嵌着された状態で、多段式排水パイプ1を地盤に貫入する。
本工程では、内管3は、外管2に収納された状態で地中に貫入される。このとき、多段式排水パイプ1を地中に貫入する際の貫入抵抗は、先端キャップ4を介して作用する先端部の圧入抵抗と、外管2の地盤との周面摩擦抵抗だけである。このため、従来の施工方法と比べて、多段式排水パイプ1の全長の半分程度しか周面摩擦抵抗がかからないこととなる。よって、貫入時の地盤との多段式排水パイプ1の周面摩擦を低減して貫入抵抗を小さくし、小さな力で排水パイプの貫入作業を行うことができる。
また、本工程では、図10に示すように、多段式排水パイプ1の先端に先端キャップ4が装着された状態で貫入するので、先端キャップ4の凸状の形態で貫入抵抗を低減しつつ貫入することができる。
なお、前述の多段式排水パイプ1では、液状化のおそれがある地層G1の深さから外管2の長さを設定しており、図10に示す外管2には、排水孔H1が設けられていないが、多数の排水孔H1を設けてもよい。
但し、外管2を無孔管とすることにより、外管2のねじり抵抗が高くなり、径が大きく周面摩擦抵抗が高いため貫入抵抗が最大となる外管2の挿入時に回転しながら圧入してもねじり切れるおそれを低減することができる。このため、外管2の厚さ薄くすることが可能となり、製品コストを低減することができる。また、外管2を無孔管とすれば、外管2の貫入時に管体内に流入する地下水や土砂を低減することができ、多段式排水パイプ1の施工を容易に短時間で行うことができる。
(第2貫入工程)
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの施工方法では、図11に示すように、前工程で貫入した外管2から、内管3をさらに地中に貫入する第2貫入工程を行う。
本工程でも、小型の重機や手持ちの杭打機を用いて、振動(バイブレーション)をかけつつ、多段式排水パイプ1の内管3を押し下げて地盤に貫入する。
本工程の完了により、本発明の第1実施形態に係る地盤排水構造の構築が完了する。これにより、液状化のおそれがある地層G1に内管3を貫入させることができ、内管3の排水孔H1を介して液状化のおそれがある地層G1から地下水を内管3の内側に流入させることができる。よって、液状化のおそれがある地層G1の過剰間隙水圧を低減して消散させることができ、液状化対策工とすることができる。
<地盤排水構造>
次に、図11を用いて、前述の本実施形態に係る多段式排水パイプの施工方法により構築される地盤排水構造12について簡単に説明する。地盤排水構造12は、地下水位より下方に位置し、地下深くに地液状化のおそれがあるとなる地層G1を有する地盤Gの排水構造である。そして、この地盤Gに多段式排水パイプ1が打ち込まれて地盤Gから多段式排水パイプ1の内側に排水する構造となっている。ここで、排水とは、前述のように、地盤G内の地下水等を内管3の内側に通水することを指し、必ずしも多段式排水パイプ1からポンプアップして地表まで汲み上げることを指していない。但し、地盤排水構造12は、多段式排水パイプ1内に溜まった地下水をポンプアップして地表まで汲み上げる構造としても良いことは云うまでもない。
また、地盤排水構造12では、前述のように、内管3には、液状化のおそれがある地層G1まで貫入されており、内管3の内側に地下水を流入させて過剰間隙水圧を逃がすものである。このため、液状化対策工が耐久性のあるものとなり、液状化のおそれがある地層G1を長期に亘って液状化させることなく構造物の支持が可能な健全な地盤として維持することができる。
[第2実施形態]
次に、図12を用いて、本発明の第2実施形態に係る多段式排水パイプ1’について説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る多段式排水パイプ1’を液状化のおそれがある地層(軟弱地層)G1まで貫入した地盤排水構造を示す図である。第2実施形態に係る多段式排水パイプ1’が、前述の多段式排水パイプ1と相違する主な点は、外管2と内管3に加え、これらの管体の丁度中間の管径である中管13を備えている点である。その他の点は、多段式排水パイプ1と略同構成となっている。
中管13は、図12に示すように、外管2と同様に、先端部から後端部まで管径が略同一径のストレートな直管の管体であり、排水孔H1も形成されていない無孔管である。
また、外管2と中管13、中管13と内管3との間には、前述の係止機構6が設けられている。このため、多段式排水パイプ1’に作用する圧縮力に対抗することができる。勿論、管体同士の間には、係止機構6~11のいずれの係止機構を設けてもよいことは云うまでもない。
また、多段式排水パイプ1’は、外管2に他の管体(中管13と内管3)を収納した状態で地盤Gに貫入し、管径の大きな管体から外管2、中管13、内管3の順番で順次地盤Gに貫入していく。このため、貫入時の地盤Gとの多段式排水パイプ1’の周面摩擦を低減して貫入抵抗を小さくし、小さな力で貫入作業を行うことができる。
但し、多段式排水パイプ1’は、特許文献2のように、何らかの治具を使って、内管3、中管13、外管2の順番で管径の小さな管体から順次地盤Gに貫入していくことも可能である。しかし、管径の小さな管体から順次地盤Gに貫入していくと、外管2を地盤Gに貫入させる際には、多段式排水パイプ1’の全周面の周面摩擦が貫入抵抗として作用してしまうため、施工上は、不利となる。
この多段式排水パイプ1’によれば、最終的に長くなる多段式排水パイプ1’を外管2に収容した状態で地盤Gに貫入することができる。このため、橋梁下の地盤や上空に架線があるような空頭制限があるような場所でも、地盤深くまで多段式排水パイプ1’を貫入させることができる。よって、地盤Gに地下深くに液状化のおそれがある地層G1がある場合でも、有孔管である内管3をその深さまで貫入して、多段式排水パイプ1’を、液状化対策用のパイプとし使用することができる。
以上説明した本実施形態に係る多段式排水パイプ1,1’、多段式排水パイプ1の施工方法、及び地盤排水構造12によれば、多段式排水パイプ1の貫入深さを、第1貫入工程及び第2貫入工程のように、振り出し式(多段式)に多段階に分割して貫入することができる。このため、貫入時の地盤Gとの多段式排水パイプ1の周面摩擦を低減して貫入抵抗を小さくし、小さな力で貫入作業を行うことができる。このため、前述のように、手持ちの油圧杭打機や小型のショベルカーで施工が可能となり、専用機械の搬送費や組立費を省いて排水パイプの施工費用を低減することができる。
また、本実施形態に係る多段式排水パイプ1,1’、多段式排水パイプ1の施工方法、及び地盤排水構造12によれば、係止機構6~11のいずれかが設けられているので、管体同士を縮めて収納する方向に圧縮力が作用した場合でも対抗することができる。このため、地盤が沈下したり、管体に荷重が作用したりした場合でも、多段式排水パイプ1が不要に縮んでしまうことを防止することができる。このため、多段式排水パイプ1を地盤改良対策や液状化対策のパイプとしても用いることができ、多段式排水パイプ1を多用途に用いることが可能となる。
それに加え、本実施形態に係る多段式排水パイプ1,1’、多段式排水パイプ1の施工方法、及び地盤排水構造12によれば、貫入時に多段式排水パイプ1,1’に振動(バイブレーション)をかける時間が通常の一本の排水パイプと比べて短くて済む。このため、貫入時に多段式排水パイプ1の排水孔H1などから流入する土砂をさらに少なくすることができる。
また、多段式排水パイプ1,1’は、外管2に内管3が収納されたコンパクトな状態で搬送することができる(図2参照)。よって、搬送効率が良く、その点でも多段式排水パイプ1,1’の施工費用を低減することができる。
以上、実施形態に係る多段式排水パイプ1,1’、多段式排水パイプ1の施工方法、及び地盤排水構造12について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、例示した実施形態によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1,1’:多段式排水パイプ(多段式パイプ)
2:外管(管体)
20:外管本体
21:先端部
22:後端部
23:凹部
24,25:凸部
26,27:係止孔
3:内管(管体)
30:内管本体
31:先端部
32:後端部
33,38:係止爪
34:凸部
35:凹部
36:係止爪
37:係合凸部
H1:排水孔
4:先端キャップ
7~11:係止機構
12:地盤排水構造(排水パイプの排水構造)
13:中管(管体)
G:地盤
G1:液状化のおそれがある地層(地下水位下の地層)
X:貫入方向

Claims (11)

  1. 管径の異なる複数の管体を備え、これらの複数の管体のうち一番管径の大きな外管に他の管体が収納可能な多段式パイプであって、
    前記複数の管体同士の間には、延伸したときに互いの管体同士を縮めて圧縮する方向に作用する圧縮力に対抗して管体同士を係止する係止機構が設けられており、
    前記係止機構は、外側の管体及び内側の管体のいずれか一方に形成された係止凸部と、他方に形成された係止孔とが嵌合することにより管体同士を互いに係止する機構であること
    を特徴とする多段式パイプ。
  2. 前記複数の管体は、3本以上の管体からなること
    を特徴とする請求項に記載の多段式パイプ。
  3. 管径の異なる複数の管体を備え、これらの複数の管体のうち一番管径の大きな外管に他の管体が収納可能な多段式パイプであって、
    前記複数の管体同士の間には、延伸したときに互いの管体同士を縮めて圧縮する方向に作用する圧縮力に対抗して管体同士を係止する係止機構が設けられ、
    前記複数の管体の一部には、管内に地下水を排水する排水孔が形成されていること
    を特徴とする多段式排水パイプ。
  4. 前記外管には、少なくとも前記排水孔が形成されていないこと
    を特徴とする請求項に記載の多段式排水パイプ。
  5. 前記係止機構は、内側の管体に形成された係止爪と、外側の管体の下端面とが当接することにより管体同士を互いに係止する機構であること
    を特徴とする請求項3又は4に記載の多段式排水パイプ。
  6. 前記係止機構は、外側の管体及び内側の管体のいずれか一方に形成された凸部と、他方に形成された凹部とが嵌合することにより管体同士を互いに係止する機構であること
    を特徴とする請求項3又は4に記載の多段式パイプ。
  7. 前記係止機構は、外側の管体及び内側の管体に形成された凸部同士が当接して係合することにより管体同士を互いに係止する機構であること
    を特徴とする請求項3又は4に記載の多段式排水パイプ。
  8. 前記複数の管体は、3本以上の管体からなること
    を特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の多段式排水パイプ。
  9. 請求項又はに記載の多段式排水パイプを管軸方向に地盤に押し込んで貫入する多段式排水パイプの施工方法であって、
    前記外管に他の管体を収納した状態で地盤に貫入すること
    特徴とする多段式排水パイプの施工方法。
  10. 管径の大きな管体から順次地盤に貫入していくこと
    を特徴とする請求項に記載の多段式排水パイプの施工方法。
  11. 請求項又はに記載の多段式排水パイプが地盤に貫入されて周囲の地盤から前記管体の内側に排水する多段式排水パイプの排水構造であって、
    前記複数の管体のうち一番管径の小さな内管が、周囲の地盤の地下水位より下方まで貫入され、前記排水孔から前記内管の内側に地下水を集水して前記地盤の過剰間隙水圧を低減すること
    を特徴とする多段式排水パイプの排水構造。
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