JP7246040B2 - 触媒、触媒の製造方法、及び合成ガスの製造方法 - Google Patents

触媒、触媒の製造方法、及び合成ガスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、触媒、触媒の製造方法、及び合成ガスの製造方法に関する。
ゼオライトに担持された金属は、様々な化学反応の触媒として利用されている。ゼオライトを含む触媒は、例えば、石油化学の諸プロセス、又は排気ガスの浄化に用いられる。触媒活性を有する金属としては、例えば、ニッケル等の遷移金属、又は白金族元素等の貴金属が用いられる。これらの金属は、粒径のオーダーがナノメールである多数の金属粒子として、ゼオライトに担持される。金属粒子は、反応熱に因り、ゼオライトの表面又は内部を移動し易く、金属粒子同士が凝集し易い。その結果、金属粒子の粒径が増加し、金属粒子がゼオライトの細孔を塞ぎ、触媒の比表面積が減少する。つまり、金属粒子のシンタリング(sintering)に因り、触媒の活性が低下する。
金属粒子のシンタリングを抑制する方法として、触媒をゼオライトで被覆する方法が知られている。(下記特許文献1~3参照。)
特開2009-165941号公報 国際公開第2010/101223号パンフレット 特開2003-62466号公報
しかし、触媒の担体のサイズが大きいほど、ゼオライトで被覆された触媒にクラック形成され易く、触媒の表面をゼオライトで均一に被覆し難い。その結果、高温の環境下において金属粒子のシンタリングが起き易く、触媒の活性が低下し易い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属粒子のシンタリングを抑制する触媒、当該触媒の製造方法、及び当該触媒を用いた合成ガスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る触媒は、金属を含む複数の粒子と、ゼオライトと、を備える触媒であって、少なくとも一部の粒子が、ゼオライトの内部に存在し、ゼオライトの内部に存在する粒子の粒径が、ゼオライトの細孔径よりも大きく、触媒の比表面積が、400m/gより大きく700m/g以下である。
空気中で30時間にわたって850℃で加熱された触媒の比表面積が、A1と表されてよく、加熱される前の初期の触媒の比表面積が、A0と表されてよく、(A0-A1)/A0が0%以上30%以下であってよい。
少なくとも一部の金属が、ニッケルであってよい。
少なくとも一部のゼオライトが、MFI型ゼオライトであってよい。
本発明の第一側面に係る触媒の製造方法は、上記の触媒を製造する方法であって、金属元素、界面活性剤及び有機溶媒を含む原料液中で、ミセルを形成する工程と、ミセルを含む原料液にケイ素源を添加することにより、複合化合物を形成する工程と、複合化合物を含む水を、オートクレーブ内で加熱する工程と、を備え、ミセルが、金属元素を含む粒子と、粒子を覆う界面活性剤と、を有し、複合化合物が、粒子と、粒子を覆うシリカと、を有する。
本発明の第二側面に係る触媒の製造方法は、上記の触媒を製造する方法であって、金属のイオン及びケイ素源を含む水溶液を調製する工程と、水溶液を、オートクレーブ内で加熱する工程と、を備える。
本発明の一側面に係る合成ガスの製造方法は、触媒を用いた炭化水素及び二酸化炭素の反応によって、一酸化炭素及び水素を含む合成ガスを得る工程を備え、触媒が、上記の触媒である。
少なくとも一部の炭化水素が、メタンであってよい。
本発明によれば、金属粒子のシンタリングを抑制する触媒、当該触媒の製造方法、及び当該触媒を用いた合成ガスの製造方法が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る触媒の模式的な断面図である。 図2中の(a)は、実施例1及び比較例1其々の合成ガスの製造方法におけるメタンの転化率を示し、図2中の(b)は、実施例1及び比較例1其々の合成ガスの製造方法における二酸化炭素の転化率を示し、図2中の(c)は、実施例1及び比較例1其々の合成ガスの製造方法における水素の収率を示し、図2中の(d)は、実施例1及び比較例1其々の合成ガスの製造方法における一酸化炭素の収率を示す。 図3中の(a)は、実施例2及び比較例2其々の合成ガスの製造方法におけるメタンの転化率を示し、図3中の(b)は、実施例2及び比較例2其々の合成ガスの製造方法における二酸化炭素の転化率を示し、図3中の(c)は、実施例2及び比較例2其々の合成ガスの製造方法における水素の収率を示し、図3中の(d)は、実施例2及び比較例2其々の合成ガスの製造方法における一酸化炭素の収率を示す。 図4は、実施例1及び比較例1其々の合成ガスの製造方法に用いられた触媒に関する熱重量分析の結果を示す。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。図面において、同等の構成要素には同等の符号を付す。本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
図1に示されるように、本実施形態に係る触媒3は、金属を含む複数の粒子1と、ゼオライト2と、を備える。ゼオライト2は多孔質の担体であり、ゼオライト2の細孔2pの内部は反応場である。触媒3の活性点は粒子1の表面に存在する。複数の粒子1のうち少なくとも一部の粒子1は、ゼオライト2の内部に存在する。複数の粒子1がゼオライト2の内部に存在してよい。複数の粒子1がゼオライト2の内部において分散していてよい。触媒3が有する全ての粒子1が、ゼオライト2の内部に存在してもよい。一部の粒子1がゼオライト2の外表面に存在してよい。本発明の効果が得られる限りにおいて、粒子1と同じ金属又はその化合物が、ゼオライト2の外表面に存在してもよい。粒子1と同じ金属又はその化合物が、触媒3の外表面に全く存在していなくてもよい。以下では、金属を含む粒子が、「金属粒子」と表記される。以下では、場合により、図1に示される構造を有する触媒3が「birdcage型触媒」と表記される。
本実施形態に係る合成ガスの製造方法は、触媒3の触媒作用に因る炭化水素及び二酸化炭素(CO)の反応によって、一酸化炭素(CO)及び水素(H)を含む合成ガスを得る工程を備える。炭化水素及び二酸化炭素が、金属粒子1の表面を介して反応することにより、一酸化炭素及び水素が生成する。合成ガスは、C1化学における基本的な原料である。例えば、合成ガスは、低級アルコール又はエーテルの製造に用いられる。また合成ガスは、フィッシャー・トロプシュ法に基づく燃料、潤滑油(基油)又はワックスの製造においても原料として用いられる。合成ガスの製造方法は、炭化水素のドライリフォーミングと言い換えられてよい。本実施形態に係る触媒3は、ドライリフォーミング用の改質触媒と言い換えられてよい。ただし、本実施形態に係る触媒3の用途は、ドライリフォーミングに限定されない。
金属粒子1に含まれる金属は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、オスミウム(Os)及びイリジウム(Ir)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。金属粒子1が、列挙された上記の金属を含むことにより、合成ガスの収率が高まり易い。金属粒子1に含まれる金属の少なくとも一部は、ニッケルであってよい。金属粒子1に含まれる金属の全部が、ニッケルであってもよい。金属粒子1がニッケルのみからなっていてもよい。金属粒子1がニッケルを含む場合、合成ガスの収率が更に高まり易い。金属粒子1は金属のみからなっていてよい。一つの金属粒子1が、複数種の金属を含んでもよい。触媒3は、組成が異なる複数の金属粒子1を有してよい。組成が異なる複数の金属粒子1が、ゼオライト2の内部に存在していてよい。触媒3における金属粒子1の含有量(担持量)は、触媒3の全体の質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であってよい。触媒3の活性が損なわれない限り、金属粒子1は、列挙された上記の金属に加えて、他の金属を含んでもよい。例えば、触媒3は、上記の金属に加えて、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セシウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イットリウム(Yb)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、錫(Sn)、鉛(Pb)及びビスマス(Bi)からなる群より選ばれる少なくとも一種を更に含んでよい。触媒3の活性が損なわれない限り、金属粒子1は、金属に加えて、非金属元素を含んでもよい。例えば、金属粒子1が酸素又はケイ素を含んでもよい。
ゼオライト2の内部に存在する金属粒子1の粒径d1(長径)は、ゼオライト2の細孔径d2よりも大きい。金属粒子1の粒径d1は算術平均径であってよく、ゼオライト2の細孔径d2も算術平均径であってよい。つまり、ゼオライト2の内部に存在する複数の金属粒子1の粒径d1の算術平均径が、ゼオライト2の細孔径d2の算術平均径よりも大きくてよい。金属粒子1の粒径d1がゼオライト2の細孔径d2よりも大きいため、金属粒子1がゼオライト2の細孔内を移動することは困難である。つまり金属粒子1は、ゼオライト2の骨格(結晶構造)内に包接され、ゼオライト2の骨格によって物理的に拘束されている。金属粒子1がゼオライト2の内部において拘束されているため、金属粒子1が熱によって移動及び凝集することは困難であり、触媒3の比表面積が減少し難い。つまり、金属粒子1がゼオライト2の内部において拘束されているため、金属粒子1同士のシンタリングが起き難く、触媒3の活性が長時間にわたって維持され易い。したがって、合成ガスを高い収率で得ることができる。
金属粒子1は、例えば、球状、針状、又は多面体状であってよい。金属粒子1の粒径d1(長径)は、例えば、1nm以上10nm以下、1nm以上5nm以下、又は2nm以上5nm以下であってよい。ゼオライト2の細孔径d2は、例えば、0.5nm以上0.6nm以下であってよい。触媒3は粉末(多数の粒子)であってよい。つまり、触媒3を構成する個々の粒子が、粒子状のゼオライト2と、粒子状のゼオライト2の内部に存在する複数の金属粒子1とを有していてよい。一つの触媒3の粒子の内部に存在する金属粒子1の数は、例えば、2個以上50個以下であってよい。触媒3の粒径は、例えば、50nm以上1000nm以下であってよい。ただし、触媒3は粉末でなくてもよい。例えば、触媒3は、顆粒状、円柱状、円筒状、球状又は層状であってもよい。金属粒子1の粒径d1は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又はCOパルス法によって測定されてよい。ゼオライト2の細孔径d2は、窒素ガス吸着法、又はアルゴンガス吸着法によって測定されてよい。触媒3の粒径は、TEM、STEM、SEM又は光学顕微鏡によって測定されてよい。触媒3の組成は、例えば、ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)によって特定されてよい。
触媒3の比表面積は、400m/gより大きく700m/g以下である。触媒3の比表面積が上記範囲内であることにより、触媒3の内部において複数の金属粒子1が分散し易く、複数の金属粒子1が互いに接触し難い。その結果、金属粒子1同士の凝集が抑制される。つまり、触媒3の比表面積が上記範囲内であることにより、金属粒子1のシンタリングが抑制される。同様の理由から、触媒3の比表面積は、405m/g以上700m/g以下、410m/g以上700m/g以下、420m/g以上700m/g以下、430m/g以上700m/g以下、440m/g以上700m/g以下、450m/g以上700m/g以下、460m/g以上700m/g以下、470m/g以上700m/g以下、470m/g以上486m/g以下、又は473m/g以上486m/g以下であってよい。触媒3の比表面積は、窒素ガス吸着法又はアルゴンガス吸着法に基づくBET法によって測定されてよい。
空気中で30時間にわたって850℃で加熱された触媒3の比表面積は、A1と表される。加熱される前の初期の触媒3の比表面積は、A0と表される。(A0-A1)/A0は、0%以上30%以下であってよい。(A0-A1)/A0は、熱処理に伴う比表面積の減少率(ΔA)と言い換えられてよい。触媒3の比表面積は熱処理に伴って減少し難く、比表面積の減少率(ΔA)は30%以下である。つまり、熱処理後においても触媒3の十分な比表面積が維持され易いため、触媒3の内部において複数の金属粒子1が分散し易く、複数の金属粒子1が互いに接触し難い。その結果、熱処理後においても金属粒子1同士の凝集が抑制され易い。同様の理由から、比表面積の減少率(ΔA)は、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下であってよい。
従来の改質触媒を用いた合成ガスの製造方法では、改質触媒の活性がコーキング(cоking)によって低減し、合成ガスの収率が低下することがある。つまり、合成ガスの生成に伴ってコーク(炭素)が改質触媒の表面に析出し、金属(活性点)がコークで覆われ、改質触媒の表面における触媒反応が起き難くなる。また改質触媒がゼオライトのように多孔質である場合、担体の表面において開いている細孔がコークで塞がれてしまう。その結果、炭化水素及び二酸化炭素が細孔を介して改質触媒の内部に侵入し難くなり、改質触媒内での触媒反応が起き難くなる。
ゼオライトを有する従来の改質触媒の製造では、含浸法又はイオン交換法によって金属がゼオライトに担持される。したがって、従来の改質触媒の場合、金属がゼオライトの表面(外表面)に担持され易い。ゼオライトの表面に担持された金属が多いほど、合成ガスの生成に伴ってコークが改質触媒の表面に析出し易く、金属がコークで覆われ易い。その結果、改質触媒の表面における触媒反応が起き難くなる。またゼオライトの表面に担持された金属が多いほど、ゼオライトの表面において開いている細孔がコークで塞がれ易く、炭化水素及び二酸化炭素が細孔を介して改質触媒の内部に侵入し難い。その結果、改質触媒内での触媒反応が起き難くなる。
従来の改質触媒とは対照的に、本実施形態に係るbirdcage型触媒は、金属粒子1を覆うようにゼオライト2が成長することによって合成される。その結果、金属粒子1はゼオライト2の内部に存在し易く、ゼオライト2の外表面に存在し難い。つまり、birdcage型触媒の活性点はゼオライト2の内部に存在し易く、ゼオライト2の外表面に存在し難い。したがって、従来の改質触媒に比べて、birdcage型触媒の表面におけるコーキングは起き難く、ゼオライト2の表面において開いている細孔2pがコークで塞がれ難い。したがって、合成ガスを高い収率で得ることができる。
合成ガスの原料である炭化水素は、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、エチレン及びプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。複数種の炭化水素が原料として用いられてよい。炭化水素は、アルカンであってよい。二重結合を有していないアルカンは触媒3によって分解され易いため、アルカン及び二酸化炭素から合成ガスが生成し易い。炭化水素の一部又は全部がメタンであってよい。メタンを用いることにより、合成ガスの収率が高まり易い。
ゼオライト2は、例えば、MFI型ゼオライト、MEL型ゼオライト,MTW型ゼオライト、BEA型ゼオライト、及びFAU型ゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。上記の各アルファベット三文字は、国際ゼオライト協会の構造委員会(The Structure Commission of The International Zeolite Association; IZA‐SC)によって規定されたゼオライトの構造コードである。MFI型ゼオライトは、例えば、ZSM-5及びシリカライトのうち少なくともいずれかであってよい。
ゼオライト2のケイバン比(Silica‐alumina ratio)は、例えば、5以上1000000以下、5以上100000以下、100以上1000000以下、100以上100000以下、1000以上1000000以下、1000以上100000以下、10000以上1000000以下、又は10000以上100000以下であってよい。ゼオライト2のケイバン比が高いほど、金属粒子1がゼオライト2の内部に存在し易く、ゼオライト2の内部に存在する金属粒子1の粒径d1がゼオライト2の細孔径d2よりも大きくなり易い。その結果、コーキングが抑制され易い。換言すれば、ゼオライト2を構成するシリカのモル数がゼオライト2を構成するアルミナのモル数に比べて大きいほど、birdcage型触媒の構造が得られ易く、コーキングが抑制され易い。例えば、MFI型ゼオライト(シリカライト‐1)のケイバン比は著しく高く、MFI型ゼオライトは実質的にアルミニウムを含まない。つまりMFI型ゼオライトの骨格(結晶構造)中にはアルミニウムが実質的に含まれていない。したがって、ゼオライト2がMFI型ゼオライトである場合、birdcage型触媒の構造が得られ易い。ゼオライト2の一部がMFI型ゼオライトであってよい。ゼオライト2の全体がMFI型ゼオライトであってもよい。MFI型ゼオライトは、原料に由来する不純物として、微量のアルミナを含んでいてもよい。
ドライリフォーミングは、気相反応であってよい。つまり、炭化水素及び二酸化炭素を含む原料ガスが反応器内において触媒3に接触すればよい。ドライリフォーミングは、連続式反応(流通式反応)であってよい。ドライリフォーミングの反応温度は、例えば、500℃以上900℃以下であってよい。反応温度は、触媒の温度と言い換えられてよい。反応時間は、原料ガス(炭化水素及び二酸化炭素)の供給量及び反応温度に応じて調整されてよい。反応時間は、例えば5.0時間以上100時間以下であってよい。反応器内の気圧は、例えば、0.01MPaG以上3.0MPaG以下であってよい。触媒3の単位質量(1g)当たりの原料ガスの供給速度は、例えば、3000LSATP・gcat-1・h-1以上10000LSATP・gcat-1・h-1以下であってよい。LSATPは、標準状態における原料ガスの体積である。原料ガス中の炭化水素のモル数がMCHと表記され、原料ガス中の二酸化炭素のモル数がMCO2と表記される場合、MCO2/MCHは炭化水素分子の炭素数に応じて調整されてよい。例えば、炭化水素がメタンである場合、MCO2/MCHは0.5以上2.0以下であってよい。原料ガスは、炭化水素及び二酸化炭素に加えて、希ガスを更に含んでもよい。
触媒3を諸化学反応に使用する前に、触媒3が有する金属粒子1が還元されてよい。例えば、水素を含むガス中で触媒3が加熱されることによって、金属粒子1が還元されてよい。水素を含むガス中で触媒3が850℃以上の温度で加熱されてよい。この前処理により、触媒3の活性が向上する可能性がある。
(触媒の製造方法)
本実施形態に係る触媒3の製造方法は、金属元素、界面活性剤及び有機溶媒を含む原料液中で、ミセルを形成する工程と、ミセルを含む原料液にケイ素源を添加することにより、複合化合物を形成する工程と、複合化合物を含む水を、オートクレーブ内で加熱する工程(水熱合成工程)と、を備える。ミセルは、金属元素を含む粒子と、当該粒子を覆う界面活性剤と、を有する。複合化合物は、金属元素を含む粒子と、当該粒子を覆うシリカと、を有する。製造方法の詳細は、以下の通りである。以下の製造方法の説明では、金属元素を含む粒子は、「金属粒子」と表記される。金属粒子とは、金属単体の微粒子、金属の水酸化物の微粒子、及び金属の錯イオンの微粒子を含意する。
原料液は、マイクロエマルジョンであってよい。マイクロエマルジョンは、界面活性剤及び有機溶媒を混合することによって調製される。界面活性剤は、金属粒子と結合してミセルを形成する化合物であればよい。界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレン(15)オレインエーテル又はポリオキシエチレン(15)セチルエーテルであってよい。ポリオキシエチレン(15)オレインエーテル又はポリオキシエチレン(15)セチルエーテルを用いることにより、原料液中での金属粒子の成長が適度に抑制され、小さい金属粒子が得られ易い。有機溶媒中でミセルが形成される限り、有機溶媒は限定されない。有機溶媒は、例えば、シクロヘキサンであってよい。原料液に含まれる界面活性剤のモル数がMsと表されてよく、原料液に含まれる界面活性剤の体積がLsリットルと表されてよく、原料液に含まれる有機溶媒の体積がLоsリットルと表されてよく、Ms/(Ls+Lоs)は、0.1以上0.75以下、又は0.3以上0.6以下であってよい。
原料液に含まれる金属元素は、原料液に含まれる金属塩に由来してよい。金属塩が水に溶解する限り、金属塩は限定されない。金属塩は、例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。金属塩は、錯体であってよい。金属塩は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、金、銀、オスミウム及びイリジウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を含んでよい。複数種の金属塩が原料液に含まれてよい。金属塩は、水溶液として原料液(マイクロエマルジョン)へ添加されてよい。金属塩は、原料液(マイクロエマルジョン)中の水相(例えば水滴)に含有され易い。
還元剤が原料液へ添加されることにより、原料液中で金属元素(イオン)が還元されてよい。還元剤は、例えば、アンモニアの水溶液であってよい。還元力に優れたヒドラジン、又は水素化ホウ素ナトリウムが還元剤として原料液へ添加されてもよい。還元剤が添加されるときの原料液の温度は、0℃以上60℃以下、又は40℃以上50℃以下であってよい。原料液の温度が高いほど、金属イオンが還元され易い。原料液の温度が高過ぎる場合、原料液中に生成した金属粒子が凝集し易い。また原料液の温度が高過ぎる場合、還元剤が原料液中の有機溶媒と反応し易く、原料液が発火する恐れがある。Ni、Fe、Co及びCu等の、還元され難い金属元素が原料液に含まれる場合、金属元素を還元することなく、ミセルを形成することも可能である。例えば、原料液中で金属元素から水酸化物が形成されてよく、この水酸化物の微粒子がミセル内に含まれてよい。原料液中で金属元素から錯イオンが形成されてもよく、この錯イオンの微粒子がミセル内に含まれてもよい。
ミセルが原料液中で形成された後、ミセルを含む原料液にケイ素源を添加することにより、複合化合物が原料液中で形成される。複合化合物は、金属粒子と、金属粒子の表面を覆うシリカ(SiO)と、を有する。つまり、金属粒子を構成する金属とケイ素源に由来するケイ素との結合により、複合化合物が形成される。複合化合物は、金属粒子と、金属粒子の表面を覆うアモルファスシリカと、を有してよい。ケイ素源は、ケイ素のアルコキシドであってよい。ミセルを構成する水滴内で、ケイ素のアルコキシド同士の加水分解反応及び重縮合反応が起きることにより、シリカが金属粒子の表面に形成され易い。ケイ素のアルコキシドは、例えば、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、及びオルトケイ酸テトラプロピルからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。アルコキシ基が短いほど、ケイ素のアルコキシドが加水分解され易く、金属粒子を覆うシリカ層の厚みが均一になり易い。したがって、ケイ素のアルコキシドは、オルトケイ酸テトラメチル及びオルトケイ酸テトラエチルのうち少なともいずれかであることが好ましい。ケイ素源は、シランカップリング剤であってもよい。ケイ素源に加えて、アルミニウム源(例えば、アルミノケイ酸塩)が原料液へ添加されてもよい。原料液中のケイ素源の含有量は、例えば、2質量%以上40質量%以下であってよい。
ミセルを含む原料液に対して、ケイ素源と共に水が添加されてよい。水の添加により、ケイ素源が加水分解され、複合化合物が形成され易い。例えば、水の添加によりケイ素のアルコキシドが加水分解され、シリカが金属粒子の表面に形成され易い。水は酸又は塩基を含んでよい。酸又は塩基は、ケイ素源の加水分解を促進する触媒として機能する。酸は、例えば、塩酸であってよい。塩基は、例えば、アンモニアであってよい。
ケイ素源の加水分解中において、原料液のpHは、7以上11以下であってよい。ケイ素源の加水分解後において、原料液のpHが、7以上11以下であってもよい。原料液のpHが7より低い場合、各複合化合物のSiO層が互いに反応し易く、複合化合物が凝集し易い。この好ましくない反応により、原料液が固化する場合もある。また、凝集した複合化合物が水熱合成工程に用いられた場合、最終的に得られるゼオライトの粒径が大き過ぎて、触媒の比表面積が小さい。一方、原料液のpHが11より高い場合、複合化合物のSiO層が溶解し易い。
ケイ素源の加水分解中において、原料液の温度は0℃以上50℃以下であってよい。ケイ素源の加水分解後において、原料液の温度は0℃以上50℃以下であってよい。原料液の温度が0℃より低い場合、SiO層同士の反応は抑制されるが、ケイ素源の加水分解が進行し難く、SiO層の形成に要する時間が極端に長い。一方、原料液の温度が50℃より高い場合、ケイ素源の加水分解は進行し易いが、各複合化合物のSiO層が互いに反応し易く、複合化合物が凝集し易い。
原料液中でのミセルの形成と並行して、複合化合物が原料液中で形成されてよい。換言すれば、原料液中の金属イオンの還元と並行して、ケイ素源が原料液へ形成されてよい。
以上の工程を経た原料液から、複合化合物が分離される。複合化合物を原料液から分離する方法は、例えば、濾過、遠心分離、及び、加熱又は減圧による有機溶媒の蒸発、からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
マイクロエマルジョンから分離された上記の複合化合物は、水へ添加される。複合化合物を含む水は、密閉されたオートクレーブ中で加熱される。その結果、水熱合成反応が進行して、金属粒子を内包するゼオライトが水中で生成される。
上記のケイ素源が複合化合物と共に水へ添加されてよい。テンプレート剤が複合化合物と共に水へ添加されてよい。ケイ素源及びテンプレート剤の両方が複合化合物と共に水へ添加されてよい。テンプレート剤は、ゼオライトの構造を規定する化合物である。テンプレート剤はゼオライトの構造に応じて選択されてよく、テンプレート剤は限定されない。ゼオライトがMFI型ゼオライトである場合、テンプレート剤はテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドであってよい。水へ添加されるテンプレート剤の質量は、複合化合物に含まれるシリカの質量の0.1倍以上0.5倍以下であってよい。
オートクレーブ内の水の温度は、例えば、80℃以上180℃以下、又は80℃以上120℃以下であってよい。水熱合成の時間は、例えば、24時間以上120時間以下であってよい。
水熱合成工程によって得られた生成物(沈殿物)は、水から分離される。生成物を水から分離する方法は、例えば、濾過、遠心分離、及び、加熱又は減圧による水の蒸発、からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。減圧雰囲気又は真空雰囲気中で、生成物は乾燥されてよい。加熱により、生成物が乾燥されてもよい。乾燥された生成物を焼成することにより、本実施形態に係る触媒が得られる。テンプレート剤が用いられる場合、生成物を焼成することにより、テンプレート剤が焼失する。焼成温度は、例えば、400℃以上600℃以下であってよい。焼成時間は、例えば、1時間以上48時間以下であってよい。焼成の雰囲気は、大気又は酸化的雰囲気であってよい。焼成温度及び焼成時間が上記範囲内であることにより、テンプレート剤が十分に焼失し易く、金属粒子及びゼオライトの過度の成長及び凝集が抑制される。
以下では、上記の製造方法が「2ステップ法」(Two‐step法)と表記される。2ステップ法の特徴は、水熱合成前に複合化合物を原料液(マイクロエマルジョン)から分離することである。
上記の2ステップ法では、原料液中における複合化合物の形成過程、又は水熱合成の過程において、金属塩から金属粒子(図1に示される金属粒子1)が形成される。そして水熱合成の過程において、ゼオライト2が金属粒子1の周りに成長する。その結果、金属粒子1がゼオライト2内に包接され、金属粒子1がゼオライト2の骨格によって物理的に拘束される。換言すれば、ゼオライト2が金属粒子1の周りに成長するため、ゼオライト2の骨格が損なわれることなく、ゼオライト2の細孔径d2よりも大きい粒径d1を有する金属粒子1がゼオライト2内に包接される。また2ステップ法によれば、触媒3の比表面積を、400m/gより大きく700m/g以下である範囲に制御することが可能である。金属粒子1の粒径及び触媒3の比表面積は、金属塩及びケイ素源等の各原料の使用量及び配合比、金属イオンの還元の諸条件、ケイ素源の加水分解の諸条件、水熱合成工程の諸条件、及び生成物の焼成の諸条件等によって制御されてよい。
従来の含浸法又はイオン交換法の場合、ゼオライトが合成された後、金属粒子又は金属イオンがゼオライトへ担持される。したがって、ゼオライトの細孔径よりも大きい粒径を有する金属粒子がゼオライトの細孔内へ侵入することは困難である。仮に、金属粒子又は金属イオンがゼオライトの細孔内へ侵入して、金属粒子がゼオライトの内部で成長する場合、金属粒子の粒径がゼオライトの細孔径よりも大きくなることによって、ゼオライト2の骨格が破壊されてしまう。以上の理由から、本実施形態に係る触媒3(birdcage型触媒)を、従来の含浸法又はイオン交換法によって製造することは困難である。
2ステップ法の比較対象である「ワン‐ポット法」(One‐Pot法)は、以下の通りである。
ワン‐ポット法では、複合化合物が原料液(マイクロエマルジョン)から分離されない。ワン‐ポット法の水熱合成工程では、複合化合物を含む原料液と水との混合物が、オートクレーブ中で加熱される。
ワン-ポット法によって得られる触媒は、複数の金属粒子と、ゼオライトと、を備え、少なくとも一部の金属粒子が、ゼオライトの内部に存在し、ゼオライトの内部に存在する金属粒子の粒径が、ゼオライトの細孔径よりも大きい。しかし、ワン‐ポット法によって得られる触媒の比表面積は、400m/gを超えることが困難である。ワン‐ポット法によって得られる触媒は、2ステップ法によって得られる触媒に比べてドライリフォーミングの活性に劣っている。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明に係る触媒を、以下の「1ステップ法」(One‐step法)によって製造することもできる。
1ステップ法は、金属のイオン及びケイ素源を含む水溶液を調製する工程と、水溶液をオートクレーブ内で加熱する工程(水熱合成工程)と、を備える。1ステップ法では、界面活性剤及び有機溶媒が原料として用いられず、ミセルが原料液中で形成されない。つまり、1ステップ法において調製される水溶液は、界面活性剤及び有機溶媒を含まない。1ステップ法では、ミセルの形成を経由することなく、触媒が合成される。1ステップ法は、シリカで覆れた金属粒子(複合化合物)を原料液から分離する工程を備えない。
1ステップ法の場合も、水溶液中の金属イオンは、金属塩に由来してよい。つまり、1ステップ法で調製される水溶液は、金属塩を含んでよい。1ステップ法で用いられる金属塩は、2ステップ法で用いられる金属塩と同じであってよい。1ステップ法で用いられるケイ素源は、2ステップ法で用いられるケイ素源と同じであってよい。1ステップ法で調製される水溶液は、テンプレート剤を含んでよい。1ステップ法で用いられるテンプレート剤は、2ステップ法で用いられるテンプレート剤と同じであってよい。界面活性剤及び有機溶媒を除いて、2ステップ法で用いられる全原料が、1ステップ法で調製される水溶液に含まれてよい。1ステップ法で用いられる各原料の配合比は、2ステップ法で用いられる各原料の配合比と同じであってよい。1ステップ法の水熱合成工程の諸条件は、2ステップ法の水熱合成工程の諸条件と同じであってよい。
本発明に係る触媒は、流動接触分解、不飽和炭化水素の水素化、炭化水素の脱水素又は排ガスの浄化に用いられてよい。
以下では実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[改質触媒の作製]
以下の2ステップ法により、実施例1の触媒を作製した。
界面活性剤及び有機溶媒を混合することによって、原料液(マイクロエマルジョン)を得た。界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテルを用いた。有機溶媒としては、シクロヘキサンを用いた。原料液における界面活性剤の含有量は0.5モル/リットルに調整した。
硝酸ニッケル(Ni(NO)の水溶液を上記の原料液へ滴下した後、ヒドラジン一水和物を原料液へ加えて、ニッケル-ヒドラジン錯体を形成した。硝酸ニッケルの水溶液の濃度(硝酸ニッケルの含有量)は、18質量%であった。硝酸ニッケルの水溶液の添加量は、5ccであった。ヒドラジン一水和物の添加量は、6ccであった。ヒドラジン一水和物が添加されるときの原料液の温度は、50℃に調整された。
ニッケル-ヒドラジン錯体の形成後、更にオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及びアンモニア水溶液を原料液に添加した。その結果、ニッケルイオンが還元され、ニッケルからなる金属粒子と、金属粒子を包接するアモルファスシリカと、を有する複合化合物が、原料液中で形成された。原料液へ加えられたオルトケイ酸テトラエチルの質量は、20gであった。アンモニア水溶液の濃度は、1モル/リットルであった。アンモニア水溶液の添加量は、18ccであった。オルトケイ酸テトラエチル及びアンモニア水溶液が添加されるときの原料液の温度は、50℃に調整された。
以上の工程を経た原料液から複合化合物を分離した。分離方法は、遠心分離であった。
原料液から分離された上記の複合化合物を、水へ加えた。更にテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液とオルトケイ酸テトラエチルを、水へ加えた。テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液の濃度(テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの含有量)は、10質量%であった。水へ加えられたテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液の質量は、41.5gであった。水へ加えられたオルトケイ酸テトラエチルの質量は、10.9gであった。
以上の工程を経た水をオートクレーブに容れてから、オートクレーブを密閉した。オートクレーブ内の水を加熱することにより、オートクレーブ内で水熱合成を進行させた。水熱合成の温度は、100℃に調整した。水熱合成の時間は72時間であった。
上記の水熱合成によって得られた生成物(沈殿物)を、遠心分離によって水から分離離した。水熱合成の生成物を洗浄し、且つ乾燥した後、生成物を焼成した。焼成温度は550℃に調整した。焼成時間は12時間であった。焼成の雰囲気は、大気であった。
以上の方法により、実施例1の触媒を得た。実施例1の触媒は粉末であった。触媒におけるニッケルの担持量は、1.0質量%に調整した。
[触媒の分析]
粉末X線回折法によって、触媒のX回折パターンを測定した。X回折パターンは、MFI型ゼオライトに固有の回折線ピークを有していた。透過型電子顕微鏡(TEM)によって、触媒を観察した。TEMによる観察の結果、ニッケルを含む複数の金属粒子(ニッケル粒子)がゼオライトの内部に存在していることが確認された。またTEMによる観察の結果、ゼオライトの内部に存在するニッケル粒子の粒径d1は、およそ2nm以上6nm以下であることが確認された。MFI型ゼオライトの細孔径は0.5nm以上0.6nm以下である。したがって、ゼオライトの内部に存在するニッケル粒子の粒径は、MFI型ゼオライトの細孔径よりも大きいことが確認された。つまり、実施例1の触媒は、birdcage型触媒であった。
[ドライリフォーミング]
実施例1の触媒を用いたメタンのドライリフォーミングを実施した。ドライリフォーミングは、下記化学反応式1で表される。以下では、場合により、ドライリフォーミングが「DRM」と表記される。ドライリフォーミングの詳細は以下の通りであった。
CH+CO→2CO+2H (1)
270mgの触媒を固定床流通式反応器内に設置した。前処理では、反応器内の触媒の温度を800℃に維持しながら、水素ガス及び窒素ガスを反応器内へ1時間供給し続けた。反応器内へ供給される水素ガスの流量は、30mLSATP/minであった。反応器内へ供給される窒素ガスの流量は、30mLSATP/minであった。前処理後、反応器内の触媒の温度を600℃に維持しながら、原料ガスを反応器内へ継続的に供給した。そして、反応器から排出される生成物(ガス)を、GC‐TCDで断続的に分析した。GC‐TCDとは、ガスクロマトグラフィー‐熱伝導度型検出器(Gas Chromatography‐Thermal Conductivity Detector; GC‐TCD)を意味する。原料ガスは、メタン(CH)、二酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)及びヘリウム(He)からなる混合ガスであった。触媒の単位質量(1g)当たりの原料ガスの供給速度は、20LSATP・gcat-1・h-1に維持した。反応器内へ供給されるメタンの流量は、20mLSATP/minであった。反応器内へ供給される二酸化炭素の流量は、20mLSATP/minであった。反応器内へ供給されるアルゴンの流量は、40mLSATP/minであった。反応器内へ供給されるヘリウムの流量は、10mLSATP/minであった。以上のドライリフォーミングを5時間にわたって継続した。
GC‐TCDを用いた生成物の分析の結果、生成物が一酸化炭素(CO)及び水素(H)を含むことが確認された。GC‐TCDを用いた生成物の分析に基づき、メタンの転化率RCH4、二酸化炭素の転化率RCO2、一酸化炭素の収率YCO、及び水素の収率YH2を算出した。RCH4、RCO2、YCO及びYH2其々の定義は以下の各数式によって定義される。各反応時間が経過した時点におけるRCH4、RCO2、YH2及びYCOは、下記表1に示される。
CH4(mоl%)=100×{[CH-[CH}/[CH (1)
数式1中の[CHは、単位時間内に原料ガスとして反応器へ供給されたメタンのモル数である。数式1中の[CHは、単位時間内に未反応物として反応器から排出されたメタンの単位時間当たりのモル数である。
CO2(mоl%)=100×{[CO-[CO}/[CO (2)
数式2中の[COは、単位時間内に原料ガスとして反応器へ供給された二酸化炭素のモル数である。数式2中の[COは、単位時間内に未反応物として反応器から排出された二酸化炭素のモル数である。
H2(mоl%)=100×[H/2[CH (3)
数式3中の[CHは、単位時間内に原料ガスとして反応器へ供給されたメタンの単位時間当たりのモル数である。数式3中の[Hは、単位時間内に生成物として反応器から排出された水素のモル数である。
CO(mоl%)=100×[CO]/2[CH (4)
数式4中の[CHは、単位時間内に原料ガスとして反応器へ供給されたメタンのモル数である。数式4中の[CO]は、単位時間内に生成物として反応器から排出された一酸化炭素のモル数である。
メタンの転化率RCH4の経時変化は、図2中の(a)に示される。図2中の(a)の横軸(Time оn stream)は反応時間であり、図2中の(a)の縦軸(Methane cоnversiоn)はメタンの転化率RCH4である。
二酸化炭素の転化率RCO2の経時変化は、図2中の(b)に示される。図2中の(b)の横軸(Time оn stream)は反応時間であり、図2中の(b)の縦軸(CO cоnversiоn)は二酸化炭素の転化率RCO2である。
水素の収率YH2の経時変化は、図2中の(c)に示される。図2中の(c)の横軸(Time оn stream)は反応時間であり、図2中の(c)の縦軸(Hydrоgen yield)は水素の収率YH2である。
一酸化炭素の収率YCOの経時変化は、図2中の(d)に示される。図2中の(d)の横軸(Time оn stream)は反応時間であり、図2中の(d)の縦軸(CO yield)は一酸化炭素の収率YCOである。
[ドライリフォーミング後の触媒の分析]
上記のドライリフォーミング後の触媒を、TEMで観察した。TEMによる観察の結果、ニッケルを含む複数の金属粒子(ニッケル粒子)がゼオライトの内部に存在していることが確認された。またTEMによる観察の結果、ゼオライトの内部に存在するニッケル粒子の粒径d1は、およそ2nm以上6nm以下であることが確認された。つまり、ゼオライトの内部に存在するニッケル粒子の粒径d1は、ドライリフォーミング後においても変化していなかった。
[熱重量測定]
上記のドライリフォーミングに用いた触媒の熱重量(Thermo Gravimetry; TG)測定を行った。TG測定では、触媒の大気中で加熱して、2.5時間かけて触媒の温度を119℃から900℃まで上昇させた。そして各温度における触媒の質量を測定した。実施例1のTG測定の結果は、図4中の実線によって示される。図4の横軸は触媒の温度(単位:℃)であり、図4の縦軸Δw(単位:質量%)は、下記数式5によって定義される。
Δw=100×(w-wdry)/wdry (5)
数式5中のwは、各温度における触媒の質量である。数式5中のwdryは、120℃における触媒の質量である。
TG測定前の触媒の質量は、11.2mgであった。120℃における触媒の質量wdryは、11.0mgであった。900℃における触媒の質量wは、10.9mgであった。ドライリフォーミング中に触媒に付着したコークの全ては、900℃において燃焼し、触媒から除去されたことが推測される。したがって、900℃における触媒の質量wは、コークが除去された触媒の真の質量とみなされる。一方、ドライリフォーミング中に触媒に付着したコークは、120℃において全く燃焼していないことが推測される。したがって、120℃における触媒の質量wdryは、触媒の真の質量wと、ドライリフォーミング中に触媒に付着したコークの質量wCOKEの和(w+wCOKE)に等しいとみなされる。つまり、ドライリフォーミング中に触媒に付着したコークの質量wCOKEは、wdry-wに等しい。wdry及びwから算出されたwCOKEは、0.1gであった。100×wCOKE/wは、約0.92質量%であった。以下では、場合により、100×wCOKE/wが、「コーク量」と表記される。
[比表面積の測定]
未使用の実施例1の触媒の比表面積A0を、窒素ガス吸着法に基づくBET法によって測定した。未使用の実施例1の触媒を、空気中で30時間にわたって850℃で加熱した。加熱後の触媒3の比表面積A1を、A0と同様の方法によって測定した。実施例1の(A0-A1)/A0を算出した。実施例1のA0、A1及び(A0-A1)/A0は、下記表5に示される。下記表5中のΔAは、(A0-A1)/A0を意味する。
(比較例1)
MFI型ゼオライト(シリカライト‐1)からなる粉末を、硝酸ニッケルの水溶液中に浸漬した。MFI型ゼオライトを硝酸ニッケルの水溶液中に浸漬した後、MFI型ゼオライトを乾燥した。乾燥されたMFI型ゼオライトを550℃で12時間焼成した。以上の含浸法により、比較例1の触媒を作製した。比較例1の触媒は粉末であった。比較例1の触媒におけるニッケルの担持量は、1.0質量%に調整した。
実施例1と同様の方法で、比較例1の触媒に関する分析及び測定が実施された。分析及び測定の結果は、下記表5に示される。比較例1の触媒の表面には、ニッケルからなる多数の金属粒子が担持されていることが確認された。したがって、多くのニッケル粒子は触媒の外表面に存在していた。つまり、比較例1の触媒は、birdcage型触媒ではなかった。
比較例1の触媒を用いたメタンのドライリフォーミングを実施した。比較例1のドライリフォーミングは2.5時間にわたって継続した。触媒及び継続時間の違いを除いて実施例1と同様の方法で、比較例1のドライリフォーミングを実施した。比較例1のドライリフォーミングの結果は、下記表2、図2中の(a)、図2中の(b)、図2中の(c)及び図2中の(d)に示される。
ドライリフォーミングに用いた比較例1の触媒のTG測定を、実施例1と同様の方法で行った。比較例1のTG測定の結果は、図4中の破線によって示される。TG測定前の比較例1の触媒の質量は、9.8mgであった。120℃における比較例1の触媒の質量wdryは、9.6mgであった。900℃における触媒の質量wは、6.2mgであった。wdry及びwから算出された比較例1のwCOKEは、3.4であった。100×wCOKE/wは、約54.84質量%であった。
Figure 0007246040000001
Figure 0007246040000002
ドライリフォーミングの反応時間の違いに関わらず、実施例1の二酸化炭素の転化率、水素及び一酸化炭素の収率は、比較例1に比べて高かった。実施例1のwCOKEは比較例1のwCOKEよりも著しく小さく、実施例1の100×wCOKE/wも比較例1の100×wCOKE/wよりも著しく小さかった。つまり、実施例1の触媒は、コーキングを抑制する点において比較例1の触媒よりも優れていることが確認された。
(実施例2)
実施例2のドライリフォーミングでは、実施例1の触媒を用いた。実施例2のドライリフォーミングでは、50mgの触媒を固定床流通式反応器内に設置した。実施例2の前処理では、反応器内の触媒の温度を850℃に維持しながら、水素ガス及び窒素ガスを反応器内へ1時間供給し続けた。実施例2のドライリフォーミングでは、反応器内の触媒の温度を850℃に維持しながら、原料ガスを反応器内へ継続的に供給した。実施例2のドライリフォーミングでは、触媒の単位質量(1g)当たりの原料ガスの供給速度は、108LSATP・gcat-1・h-1に維持した。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2のドライリフォーミングを実施した。実施例2のドライリフォーミングの結果は、下記表3、図3中の(a)、図3中の(b)、図3中の(c)及び図3中の(d)に示される。
(比較例2)
比較例2のドライリフォーミングでは、比較例1の触媒を用いた。触媒の違いを除いて実施例2と同様の方法で、比較例2のドライリフォーミングを実施した。比較例2のドライリフォーミングの結果は、下記表4、図3中の(a)、図3中の(b)、図3中の(c)及び図3中の(d)に示される。
Figure 0007246040000003
Figure 0007246040000004
ドライリフォーミングの反応時間の違いに関わらず、実施例2のメタン及び二酸化炭素の転化率、並びに水素及び一酸化炭素の収率のいずれも、比較例2に比べて高かった。実施例2のTG測定では、触媒の質量は殆ど変化しなかった。比較例2のTG測定においても、触媒の質量は殆ど変化しなかった。これらのTG測定の結果は、実施例2及び比較例2其々のドライリフォーミングの反応温度が高かったことに起因する、と推察される。
(実施例3)
以下の1ステップ法により、実施例3の触媒を作製した。
テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液及びオルトケイ酸テトラエチルを、水へ加えた。テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液の濃度(テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの含有量)は、10質量%であった。水へ加えられたテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液の質量は、37.5gであった。水へ加えられたオルトケイ酸テトラエチルの質量は、12gであった。
続いて、硝酸ニッケルの水溶液を上記の水へ加えた。硝酸ニッケルの水溶液の濃度(硝酸ニッケルの含有量)は、18質量%であった。硝酸ニッケルの水溶液の添加量は、0.64ccであった。
以上の手順で、硝酸ニッケル、オルトケイ酸テトラエチル、及びテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドを含む水溶液が調製された。この水溶液をオートクレーブに容れてから、オートクレーブを密閉した。オートクレーブ内の水を加熱することにより、オートクレーブ内で水熱合成を進行させた。水熱合成の温度は、100℃に調整した。水熱合成の時間は72時間であった。
上記の水熱合成によって得られた生成物(沈殿物)を、遠心分離によって水から分離離した。水熱合成の生成物を洗浄し、且つ乾燥した後、生成物を焼成した。焼成温度、焼成時間及び焼成の雰囲気は、実施例1と同じであった。
以上の方法により、実施例3の触媒を得た。実施例3の触媒は粉末であった。実施例3の触媒におけるニッケルの担持量は、1.0質量%に調整した。
実施例1と同様の方法で、実施例3の触媒に関する分析及び測定が実施された。分析及び測定の結果は、下記表5に示される。実施例3の場合も、ニッケルを含む複数の金属粒子(ニッケル粒子)がMFI型ゼオライトの内部に存在しており、ゼオライトの内部に存在するニッケル粒子の粒径は、MFI型ゼオライトの細孔径よりも大きかった。つまり、実施例3の触媒は、birdcage型触媒であった。
実施例1と同様の方法で、実施例3の触媒を用いたドライリフォーミングを実施した。実施例3のドライリフォーミングの結果は、下記表5に示される。
(実施例4)
実施例4のドライリフォーミングでは、実施例3の触媒を用いた。触媒の違いを除いて実施例2と同様の方法で、実施例4の触媒を用いたドライリフォーミングを実施した。実施例4のドライリフォーミングの結果は、下記表5に示される。
(比較例3)
以下のワン‐ポット法により、比較例3の触媒を作製した。
実施例1と同様の方法で、比較例3の原料液が調製された。実施例1と同様の方法で、比較例3の原料液中において複合化合物が形成された。
しかし、比較例3の場合、複合化合物は原料液から分離されず、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液とオルトケイ酸テトラエチルが、複合化合物を含む比較例3の原料液へさらに添加された。比較例3におけるテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びオルトケイ酸テトラエチル其々の使用量は、実施例1と同じであった。
以上の工程を経た原料液をオートクレーブに容れてから、オートクレーブを密閉した。オートクレーブ内の原料液を加熱することにより、オートクレーブ内で水熱合成を進行させた。水熱合成の温度は、100℃に調整した。水熱合成の時間は72時間であった。
上記の水熱合成によって得られた生成物(沈殿物)を、遠心分離によって原料液から分離離した。水熱合成の生成物を洗浄し、且つ乾燥した後、生成物を焼成した。焼成温度、焼成時間及び焼成の雰囲気は、実施例1と同じであった。
以上の方法により、比較例3の触媒を得た。比較例3の触媒は粉末であった。比較例3の触媒におけるニッケルの担持量は、1.0質量%に調整した。
実施例1と同様の方法で、比較例3の触媒に関する分析及び測定が実施された。分析及び測定の結果は、下記表5に示される。比較例3の場合も、ニッケルを含む複数の金属粒子(ニッケル粒子)がMFI型ゼオライトの内部に存在しており、ゼオライトの内部に存在するニッケル粒子の粒径は、MFI型ゼオライトの細孔径よりも大きかった。つまり、比較例3の触媒は、birdcage型触媒であった。しかし、比較例3の触媒の比表面積は、400m/gよりもはるかに小さかった。
実施例1と同様の方法で、比較例3の触媒を用いたドライリフォーミングを実施した。比較例3のドライリフォーミングの結果は、下記表5に示される。
(比較例4)
比較例4のドライリフォーミングでは、比較例3の触媒を用いた。触媒の違いを除いて実施例2と同様の方法で、比較例4の触媒を用いたドライリフォーミングを実施した。比較例4のドライリフォーミングの結果は、下記表5に示される。
下記表5に示されるメタンの転化率は、各反応時間における転化率の平均値である。
Figure 0007246040000005
本発明によれば、触媒に含まれる金属粒子のシンタリングを抑制することが可能である。
1…金属を含む粒子、2…ゼオライト、2p…ゼオライトの細孔、3…改質触媒、d1…ゼオライトの内部に存在する粒子の粒径、d2…ゼオライトの細孔径。

Claims (6)

  1. 金属を含む複数の粒子と、ゼオライトと、を備える触媒であって、
    少なくとも一部の前記金属が、ニッケルであり、
    少なくとも一部の前記粒子が、前記ゼオライトの内部に存在し、
    前記ゼオライトの内部に存在する前記粒子の粒径が、前記ゼオライトの細孔径よりも大きく、
    前記触媒の比表面積が、400m/gより大きく700m/g以下であり、
    前記触媒が合成ガスの製造方法に用いられ、
    前記合成ガスの前記製造方法が、前記触媒を用いた炭化水素及び二酸化炭素の反応によって、一酸化炭素及び水素を含む合成ガスを得る工程を備え
    少なくとも一部の前記炭化水素が、メタンである、
    触媒。
  2. 空気中で30時間にわたって850℃で加熱された前記触媒の比表面積が、A1であり、
    加熱される前の初期の前記触媒の比表面積が、A0であり、
    (A0-A1)/A0が0%以上30%以下である、
    請求項1に記載の触媒。
  3. 少なくとも一部の前記ゼオライトが、MFI型ゼオライトである、
    請求項1又は2に記載の触媒。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の触媒を製造する方法であって、
    金属元素、界面活性剤及び有機溶媒を含む原料液中で、ミセルを形成する工程と、
    前記ミセルを含む前記原料液にケイ素源を添加することにより、複合化合物を形成する工程と、
    前記複合化合物を含む水を、オートクレーブ内で加熱する工程と、
    を備え、
    前記金属元素が、ニッケルであり、
    前記ミセルが、前記金属元素を含む粒子と、前記粒子を覆う前記界面活性剤と、を有し、
    前記複合化合物が、前記粒子と、前記粒子を覆うシリカと、を有する、
    触媒の製造方法。
  5. 請求項1~のいずれか一項に記載の触媒を製造する方法であって、
    前記金属のイオン及びケイ素源を含む水溶液を調製する工程と、
    前記水溶液を、オートクレーブ内で加熱する工程と、
    を備える、
    触媒の製造方法。
  6. 触媒を用いた炭化水素及び二酸化炭素の反応によって、一酸化炭素及び水素を含む合成ガスを得る工程を備え、
    前記触媒が、請求項1~のいずれか一項に記載の触媒であり、
    少なくとも一部の前記炭化水素が、メタンである、
    合成ガスの製造方法。
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