JP7253401B2 - 放射線発生装置および放射線発生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線発生装置および放射線発生方法に関する。
工業分野における非破壊検査や、医療分野における検査または放射線治療などの用途でX線(放射線)が用いられている。X線は、加速した電子をターゲットに照射することで制動X線(例えば、エネルギー100keV程度)として発生させることができる。例えば、人体の透視画像のように、検査対象物の密度が比較的低く、もしくは検査対象物の厚さが比較的薄いなどでは、上記制動X線を使用するX線管球を適用可能である。
例えば、特許文献1では、加速エネルギーとなる高周波電力の大部分を高周波損失の小さい誘電体の中に保持することにより、導電損失を低減し、電力効率を高める加速空洞および加速器(加速管)について記載されている。
特開2017-117730号公報
上述したX線管球で発生させるX線では、検査対象物の密度が高く透視方向の厚みが厚い場合など、透過力が不足する。この結果、十分な画像コントラストの情報が得られない問題がある。
ところで、Ir-192などの放射性同位元素から発生するガンマ線は、上述したエネルギー100keV程度の制動X線と比較して高い透過力を持つが、電源供給を切ればX線の発生が停止するX線管球と比較して、放射性同位元素はより慎重な取り扱いが必要である。
また、無酸素銅の共振空洞を使用する常伝導の加速管が一般的に用いられている。この常伝導の加速管は、X線のエネルギーが高く(1MeV以上)、透過力が高いが、高い透過力を持つ十分な出力のX線が得られるだけの平均電流をもった電子を出力するには、高い電力(例えば、最高出力3MWで平均出力3kW)の高周波電力を加速管に供給することが必要であり、クライストロンやマグネトロンなどの大電力RF源と、これを駆動する高電圧電源が必要である。しかし、このような大電力RF源や高電圧電源は、上述したエネルギー100keV程度の制動X線を発生するX線管球と比較して大型であり、車載型にするなどの可搬性が悪い。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、常伝導の加速管と比較して電力効率を向上しつつ小型化を図ることのできる放射線発生装置および放射線発生方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射線発生装置は、導電性を有する筒形状の筐体および前記筐体の内部において誘電体からなる複数のセルを中心部の開口部が前記複数のセルの並ぶ方向に連続するように配列した加速空洞を構成する加速管と、前記加速管に高周波電力を供給するRFアンプと、前記加速管における各前記セルの開口部を通過する荷電粒子を発射する電子銃と、を備える。
本発明の一態様に係る放射線発生装置では、前記RFアンプは、最大出力が100kW以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係る放射線発生装置では、前記RFアンプは、最大出力が10kW以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係る放射線発生装置では、前記RFアンプの出力電力を一定に制御し、前記電子銃における前記荷電粒子の入射時間割合を制御する制御部を備えることが好ましい。
本発明の一態様に係る放射線発生装置では、前記電子銃は、カソードヒータ電圧により前記荷電粒子を放出するカソードと、グリッド電圧により前記荷電粒子を加速するグリッドとを備え、前記制御部は、前記グリッド電圧のオン時間を制御することで前記荷電粒子の入射時間割合を制御することが好ましい。
本発明の一態様に係る放射線発生装置では、前記記電子銃は、カソードヒータ電圧により前記荷電粒子を放出するカソードと、前記カソードとの間の電位差により前記カソードから放出された電子を引き出して電子ビームとするアノードとを備え、前記制御部は、前記カソードと前記アノードの間に印加する電圧のオン時間を制御することで前記荷電粒子の入射時間割合を制御することが好ましい。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射線発生方法は、導電性を有する筒形状の筐体および前記筐体の内部において誘電体からなる複数のセルを中心部の開口部が前記複数のセルの並ぶ方向に連続するように配列した加速空洞を構成する加速管と、前記加速管に高周波電力を供給するRFアンプと、前記加速管における各前記セルの開口部を通過する荷電粒子を発射する電子銃と、を用い、前記RFアンプの出力電力を一定にしながら、前記電子銃における前記荷電粒子の入射時間割合を変化させる。
本発明によれば、一般的な無酸素銅の共振空洞を使用する常伝導の加速管と比較して数倍から10倍程度の高いQ値を実現できる加速管を用いている。このため、本発明によれば、電力効率を向上でき、高いエネルギーおよび出力のX線を得ることができる。そして、本発明は、クライストロンやマグネトロンなどの大電力RF源、およびこれを駆動する高電圧電源に替えて、RFアンプおよび当該RFアンプを駆動する比較的低電圧の電源を用いても常伝導の加速管を使用した場合よりも高いエネルギーおよび出力のX線を得ることができる。このため、本発明によれば、上記大電力RF源および高電圧電源を用いた場合と比較して、小型化を図ることができ、車載型にするなど可搬性を向上できる。即ち、本発明は、高い電力効率で、電源構成を簡素化することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る放射線発生装置を示す概略構成図である。 図2は、本発明の実施形態に係る放射線発生装置の電子銃を示す概略構成図である。 図3は、本発明の実施形態に係る放射線発生装置の加速管を示す概略構成図である。 図4は、加速管のセル数と無電荷Q値との関係を示すグラフである。 図5は、本発明の実施形態に係る放射線発生装置の作用の一例を示すグラフである。 図6は、本発明の実施形態に係る放射線発生装置の作用の一例を示すグラフである。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る放射線発生装置を示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係る放射線発生装置の電子銃を示す概略構成図である。図3は、本実施形態に係る放射線発生装置の加速管を示す概略構成図である。図4は、加速管のセル数と無電荷Q値との関係を示すグラフである。
図1に示す放射線発生装置は、放射線の一種であるX線を発生するもので、電子銃1と、RF(Radio Frequency)アンプ2と、加速管3と、ターゲット4と、制御部5と、を有する。
電子銃1は、図2に示すように、ヒータ11と、カソード12と、アノード13と、グリッド14と、を有する。ヒータ11は、カソード12を加熱するもので、フィラメント11aと、フィラメント11aに電圧を印加する電源11bと、で構成される。カソード12は、ヒータ11で加熱されることにより、ヒータ11とは反対側の面から電子(荷電粒子)を放射する。アノード13は、カソード12との間の電位差によりカソード12から放出された電子(荷電粒子)を引き出して発射し電子ビームBとする。グリッド14は、正負の電圧の印加により、カソード12から放射された電子がアノード13により引き出されることを許容したり、電子がアノード13により引き出されることを阻止したりする。電子銃1において引き出された電子ビームBは、加速管3に入射される。
RFアンプ2は、加速管3に増幅した高周波電力(マイクロ波)を供給する。本実施形態のRFアンプ2は、最大出力が100kW以下の半導体アンプが適用される。
本実施形態の加速管3は、図3に示す高周波加速空洞(加速空洞)を構成する。加速管3は、高周波加速空洞にRFアンプ2から高周波電力を供給することで、高周波加速空洞に電子銃1から入射した電子ビームBを加速させる。この高周波加速空洞を構成する加速管3は、円筒状の筐体31と、筐体31の内部に配置される誘電体からなる複数のセル32と、を備える。
筐体31は、円筒形状の円筒部31a、および円筒部31aの両側端に設けられる円板状の端板31bを有する。筐体31は、例えば、導電性が高い金属材料であり、無酸素銅などの純金属、ステンレスに銀メッキまたは銅メッキが施された材料などである。または、筐体31は、場合によっては、銀メッキまたは銅メッキが施されたセラミックスなどの誘電体を用いることもできる。こうした金属製の材料、または、金属製のメッキが施された誘電体を用いることにより、筐体31の表面は、導電性が確保される。各端板31bは、円板状の中心に円形状の開口部31baが形成されている。開口部31baは、電子ビームBが通過する。
セル32は、筐体31の内部で、筐体31の一側の端板31bから他側の端板31bまで、電子ビームBのビーム軸Baの延在方向に直列に配置される。セル32は、円筒部32aと円板部32bと円環部32cとを有する。
円筒部32aと円板部32bと円環部32cは、誘電体であって、表面には金属コーティングなどを施さずに用いられる。セル32に用いられる誘電体は、誘電損失が低い誘電体であり、アルミナやサファイアなどのセラミックスである。本実施形態において、セル32に用いられる誘電体の誘電損失を示す指標であるtanδ(誘電正接)は、例えば、1×10-3以下の範囲である。
なお、低誘電損失の誘電体として、誘電損失が室温で7.5×10-6程度という低い値を有するセラミックス(高純度アルミナ)の開発例がある(Applied Physics Letters,(米),2002,Vol. 81, No.26, p. 5021-5023)。また、低損失誘電体の高周波特性に関する先行研究において、例えば、サファイアのtanδが、温度T[K]5に比例し、室温でtanδ=10-5のものが、80Kではtanδ=10-7まで減少するという実験結果がある(Physics LettersA,(オランダ),1987,Vol. 120, No.6, p. 300-305)。
円筒部32aは、円筒形状の中心軸が筐体31の円筒部31aの中心軸(電子ビームBのビーム軸Ba)と同軸上に配置される。円筒部32aは、直径が筐体31の円筒部31aの直径よりも小さい。円筒部32aの直径は、全てのセル32において同一であってもよいし、端部側が中間部側よりも大きく設定されるなどセル32ごとに異なってもよい。円筒部32aの端部に円板部32bが接続される。
円板部32bは、中心に円形状の開口部32baが形成された板状部材である。開口部32baの直径は、円筒部32aの直径よりも小さい。開口部32baは、複数のセル32の並ぶ方向に設けられ電子ビームBが通過する。円板部32bの面上に対して垂直方向に円筒部32aが設置される。また、円板部32bは、筐体31の端板31bから離隔した位置に配置され、円筒部32aが端板31bと接触する。なお、複数のセル32は、全てのセル32が円筒部32aと円板部32bを備えるわけではなく、円筒部32aのみ、または円板部32bのみの場合もある。
円環部32cは、セル32の製造上の都合や、支持構造の安定化のため、円筒部32aの内側に設けられる円板部32bの延長上であって、円筒部32aの外側に設けられる。セル32は、円板部32bと円環部32cが一体化された部材に対し円筒部32aを接続することができる。また、円板部32bを、円環部32cを介して筐体31の内周面で支持することができる。
この加速管3は、通過する電子ビームBのビーム軸Baの近傍に加速方向の電場が形成される。セル32の円板部32bの板面がビーム軸Baに対して垂直方向になるように、開口部32baを有する円板部32bが円筒部32aの内側に設置される。これにより、円板部32bの開口部32baの内側で、ビーム軸Baの延在方向に加速電場を集中させることが可能となり、シャントインピーダンスを上げることができる。
筐体31内において配置されるセル32の円筒部32aの内径や外径、円板部32b間の間隔、円板部32bの開口部32baの内径、筐体31の円筒部31aの内径などが調整されることによって、加速管3の内部に励振される加速モードの電磁場分布が調整される。また、円筒部32aによって、電子ビームBが通過するビーム軸Baの付近に高周波電力が蓄積されることが可能となる。その結果、筐体31の端板31bの金属表面に対して平行な向きに発生する高周波磁場を低減化し、金属表面での導体損失を減らせる。
例えば、セル32が5個配置される場合、図4に示すように、Q値は約60,000となり、室温で一般的な無酸素銅の共振空洞を使用する常伝導の加速管と比較して数倍以上の高いQ値を実現できる。このため、本実施形態の加速管3は、室温で常伝導の加速管よりも高い電力効率を持つ。常伝導の加速管は、銅製である場合、Q値が10,000程度である。図4は、セル32の数が多いほどQ値が高くなる傾向にあることを示している。これは、セル32の数が多いほど加速管3がビーム軸Baの延在方向で長くなり、加速管3内で損失するエネルギーの割合が少なくなるためである。図4に示したQ値の結果を導く演算は、計算プログラム(Poisson Superfish:ロスアラモス国立研究所(http://laacg.lanl.gov/laacg/services/download_sf.phtml))によって行った。
計算条件には、セル32の円筒部32aと円板部32bにおける誘電体として、上述した高純度アルミナの物性値を使用し、筐体31における金属として、無酸素銅の物性値を使用した。セル32の円筒部32aの内径や外径、筐体31の内径を変化させ、加速管3内に所定の共振周波数のπモードの電磁場分布が励振されるように、加速管3の構造をシミュレーションすることによって、円筒部32aの内径や外径及び筐体31の内径を算出した。そして、算出された構造を用いて、Q値を演算した。πモードとは、円板部32bで挟まれたビーム軸Baを含む各真空部分において、位相が180°ずれた共振電場が交互に並ぶモードをいう。
Q値は下式で表される。
Q=(2πf・U)/(P_loss)
ここで、
U:高周波加速空洞に蓄積された電磁波のエネルギー
P_loss:高周波加速空洞内で損失された電磁波のエネルギー(電磁波の1周期あたり)
f:電磁波の周波数
である。
なお、上述した加速管3の例では、円環部32cが円板部32bの板面の延長上に設けられる場合について説明したが、この場合に限定されない。すなわち、円環部32cは、各円板部32bに対応して設けられる必要はなく、円板部32bよりも少ない数で配置されてもよいし、円板部32bの延長上ではなく、円板部32bの延長上からずれた位置に設けられてもよい。すなわち、円環部32cは、円筒部32aおよび円板部32bを支持できるように、筐体31の内周面と円筒部32aの外周面の間に配置されていればよい。
また、本実施形態に係る加速管3は、筐体31の端板31bに隣接するセル32において、ビーム軸Baの周囲に円筒部32dが設けられていてもよい。円筒部32dは、端板31bの開口部31baおよび円板部32bの開口部32baの内径と同一の内径を有し、一端部が筐体31の端板31bに接続され、他端部が円板部32bに接続される。円筒部32dは、円筒部32aと円板部32bと円環部32cと同様に誘電体である。円筒部32dをさらに設けることで、筐体31の端板31bにおいて金属表面に対して平行な向きに発生する高周波磁場を更に低減化できる。円筒部32dを設けない形態と比較して約2倍の高いQ値を実現できる。
また、本実施形態に係る加速管3は、図には明示しないが、セル32において直径の異なる円筒部32aが複数、同心円状に設けられていてもよい。これにより、加速管3の高周波加速空洞は、高次のモードを加速モードに使用することができる。また、その結果、Q値をさらに高くできる。直径の異なる円筒部32aは、筐体31の端板31bに隣接する二つのセル32として設けられ、中心軸が同軸上に配置されて端板31bに近づくほど直径が大きくなるように設けられる。加速モードの次数がnであるとき、円筒部32aはn-1個設けられる。すなわち、加速モード次数が2であるとき、円筒部32aは一つ設けられ、加速モード次数が3であるとき直径の異なる円筒部32aは二つ設けられる。この直径の異なる円筒部32aを有するセル32において円筒部32dを設けてもよい。
ターゲット4は、加速管3により加速された加速電子B’が照射される金属(液体金属)を有し、当該金属に加速電子B’が衝突することで制動X線を発生させる。
制御部5は、例えば、コンピュータであり、電子銃1における加速管3への電子ビームBの入射タイミングや、入射デューティ(入射時間割合)を制御したり、RFアンプ2における加速管3へ供給する高周波電力の出力を制御したりすることで、放射線発生装置を統括的に制御できる。
上述したように、本実施形態の放射線発生装置は、一般的な無酸素銅の共振空洞を使用する常伝導の加速管と比較して数倍から10倍程度の高いQ値を実現できる加速管3を用いている。このため、本実施形態の放射線発生装置によれば、電力効率を向上でき、高いエネルギーおよび出力のX線を得ることができる。そして、本実施形態の放射線発生装置は、クライストロンやマグネトロンなどの大電力RF源、およびこれを駆動する高電圧電源に替えて、上述したRFアンプ2および当該RFアンプ2を駆動する比較的低電圧の電源を用いても常伝導の加速管を使用した場合よりも高いエネルギーおよび出力のX線を得ることができる。このため、本実施形態の放射線発生装置によれば、上記大電力RF源および高電圧電源を用いた場合と比較して、小型化を図ることができ、車載型にするなど可搬性を向上できる。即ち、本実施形態の放射線発生装置は、高い電力効率で、電源構成を簡素化することができる。
本実施形態の放射線発生装置では、電子銃1は、重量が5kg~20kg、体積がφ100mm×200mm~φ250mm×500mm程度であり、RFアンプ2は、重量が20kg~100kg、体積を底面積として19インチラックサイズに基づき高さ200mm~2m程度であり、加速管3は、重量が30kg~80kg、体積がφ100mm×300mm~φ200mm×800mm程度であり、ターゲット4は、重量が5kg~15kg、体積がφ50mm×100mm~φ100mm×200mm程度であり、制御部5は、体積が600mm×800mm×1800mm程度である。従って、車両などの移動体に積載することができる可搬性を有することができる。
また、本実施形態の放射線発生装置では、RFアンプ2は、最大出力が100kW以下であることで、小型化に大きく寄与することができる。
また、本実施形態の放射線発生装置では、RFアンプ2は、最大出力が10kW以下であることで、さらに小型化に大きく寄与することができる。
図5は、本実施形態に係る放射線発生装置の作用の一例を示すグラフである。
本実施形態の放射線発生装置では、制御部5により、RFアンプ2の出力電力を一定に制御し、電子銃1における電子ビームBの入射デューティ(入射時間割合)を制御する。具体的に、図5(a)および図5(b)に示すように、RFアンプ2の出力電力を一定とすると、時間の経過と共に加速管3の高周波加速空洞内に蓄積される電磁波の蓄積エネルギーVが上昇する。制御部5は、蓄積エネルギーVが所定高さとなったタイミングで電子銃1における電子ビームBを加速管3の高周波加速空洞内に入射する。図5(a)および図5(b)では、電子ビームBの入射タイミングを(1)~(3)で示している。電子銃1における電子ビームBの入射は、制御部5において、グリッド14に印加するグリッド電圧をオンオフ制御することで行われる。
図5(a)では、電子銃1における電子ビームBの入射デューティDを比較的小さく下げて制御し、図5(b)では、電子銃1における電子ビームBの入射デューティDを比較的大きく上げて制御した例を示している。電子銃1における電子ビームBの入射デューティDは、制御部5において、グリッド14に印加するグリッド電圧のオン時間を制御することで行われる。
図5(a)に示すように、電子ビームBの入射デューティDを下げると、この入射デューティDによって加速管3の高周波加速空洞内に蓄積された電磁波の蓄積エネルギーVの消費が小さい。このため、加速管3の高周波加速空洞内により高い高周波電力が蓄積された状態で電子ビームBを入射することになる。このため、高いエネルギーの加速電子B’を得ることができ、X線のエネルギーが比較的大きくなるように変化させることができる。
一方、図5(b)に示すように、電子ビームBの入射デューティDを上げると、この入射デューティDによって加速管3の高周波加速空洞内に蓄積された電磁波の蓄積エネルギーVの消費が大きい。このため、加速管3の高周波加速空洞内の高周波電力の蓄積が抑えられた状態で電子ビームBを入射することになる。このため、低いエネルギーの加速電子B’を得ることができ、X線のエネルギーが比較的小さくなるように変化させることができる。この図5(b)の場合、加速電子B’エネルギーは低くなるが、平均電流は高くなる。
このように、本実施形態の放射線発生装置では、RFアンプ2の出力電力を一定に制御し、電子銃1における電子ビームBの入射時間割合を制御する制御部5を備える。また、本実施形態の放射線発生方法では、RFアンプ2の出力電力を一定にしながら、電子銃1における電子ビームBの入射時間割合を変化させる。
従って、加速管3により加速される加速電子B’のエネルギーを変化させることができ、ターゲット4で発生するX線のエネルギーを変化させることができる。即ち、RFアンプ2の出力電力を一定に保ったままで、検査対象物や用途に合わせ、X線のエネルギーを変化させることができる。
また、本実施形態の放射線発生装置では、制御部5は、電子銃1におけるグリッド14の電圧のオン時間を制御することで電子ビームBの入射時間割合を制御することが好ましい。
電子銃1においては、上述したように、カソード12がヒータ11で加熱されることにより電子を放射するため、ヒータ11のフィラメント11aに電圧を印加する電源11bをオンオフ制御でオンとなる時間割合を制御することで、電子ビームBの入射時間割合を制御することができるが、加熱に起因するため、電子の放射量が安定するのに時間を要す。この点、グリッド14の電圧をオンオフ制御すると、カソード12で放射している電子がアノード13により引き出されることを制御できるため、電子の放射量が安定する。従って、電子銃1のカソード12からの出力電流の最大値を一定としたままで、入射デューティDを変化させる。このため、電子銃1の運転条件(カソードヒータ電圧や、グリッド電圧)を一定としつつ、グリッド電圧のオンオフのタイミングのみ制御して電圧のオンとなる時間割合を制御すればよいため、速いエネルギーの切り替えに対して対応できる。
なお、グリッド14のない2極管構造の電子銃の場合、出力電流量の調整はヒータ電源11bの出力電流値によりカソード12の温度を変化させて行うため、短い時間で電流値を切り替えることが難しいが、本実施形態によれば、ヒータ電源11bの出力電流は概一定としたままでカソード12とアノード13の間に印加する電圧のオンオフ制御を行うことでオンとなる時間割合によりエネルギーの切り替えを行うことができる。
図6は、本実施形態に係る放射線発生装置の作用の一例を示すグラフである。
本実施形態の放射線発生装置では、上述したように、一般的な無酸素銅の共振空洞を使用する常伝導の加速管と比較して数倍から10倍程度の高いQ値を実現できる加速管3を用いている。
ここで、加速管内に所定パルスの高周波電圧Pを投入し始めてから一定のレベルまで蓄積エネルギーVが蓄積されるまでのフィリングタイムについて、図6に示す。図6において、高周波電圧Pは、所定パルスで投入される。常伝導の加速管における高周波電圧Pが投入されてからのフィリングタイムT1を図6に破線で示す。また、本実施形態の加速管3における高周波電圧Pが投入されてからのフィリングタイムT2を図6に実線で示す。常伝導の加速管のフィリングタイムT1は、例えば1μs以下であるが、本実施形態の加速管3のフィリングタイムT2は、例えば数μs以上と長い。従って、蓄積エネルギーVが最大に蓄積された時点でのグリッド電圧のオンオフのタイミング制御がし易くなる。この結果、電子銃1におけるグリッド14の電圧をオンオフ制御することでの電子ビームBの入射デューティDの制御を容易に実施できる。
1 電子銃
11 ヒータ
11a フィラメント
11b 電源
12 カソード
13 アノード
14 グリッド
2 RFアンプ
3 加速管
31 筐体
31a 円筒部
31b 端板
31ba 開口部
32 セル
32a 円筒部
32b 円板部
32ba 開口部
32c 円環部
32d 円筒部
4 ターゲット
5 制御部

Claims (6)

  1. 導電性を有する筒形状の筐体および前記筐体の内部において誘電体からなる複数のセルを中心部の開口部が前記複数のセルの並ぶ方向に連続するように配列した加速空洞を構成する加速管と、
    前記加速管に高周波電力を供給するRFアンプと、
    前記加速管における各前記セルの開口部を通過する荷電粒子を発射する電子銃と、
    前記RFアンプの出力電力を一定に制御し、前記電子銃における前記荷電粒子の入射時間割合を制御する制御部と、
    を備え、
    前記電子銃は、カソードヒータ電圧により前記荷電粒子を放出するカソードと、グリッド電圧により前記荷電粒子を加速するグリッドとを備え、前記制御部は、前記カソードヒータ電圧および前記グリッド電圧を一定としつつ、前記グリッド電圧のオン時間を制御することで前記荷電粒子の入射時間割合を制御する、放射線発生装置。
  2. 導電性を有する筒形状の筐体および前記筐体の内部において誘電体からなる複数のセルを中心部の開口部が前記複数のセルの並ぶ方向に連続するように配列した加速空洞を構成する加速管と、
    前記加速管に高周波電力を供給するRFアンプと、
    前記加速管における各前記セルの開口部を通過する荷電粒子を発射する電子銃と、
    前記RFアンプの出力電力を一定に制御し、前記電子銃における前記荷電粒子の入射時間割合を制御する制御部と、
    を備え、
    前記電子銃は、カソードヒータ電圧により前記荷電粒子を放出するカソードと、前記カソードとの間の電位差により前記カソードから放出された電子を引き出して電子ビームとするアノードとを備え、前記制御部は、前記カソードヒータにおけるヒータ電源の出力電流を一定としつつ、前記カソードと前記アノードの間に印加する電圧のオン時間を制御することで前記荷電粒子の入射時間割合を制御する、放射線発生装置。
  3. 前記RFアンプは、最大出力が100kW以下である、請求項1または2に記載の放射線発生装置。
  4. 前記RFアンプは、最大出力が10kW以下である、請求項1または2に記載の放射線発生装置。
  5. 導電性を有する筒形状の筐体および前記筐体の内部において誘電体からなる複数のセルを中心部の開口部が前記複数のセルの並ぶ方向に連続するように配列した加速空洞を構成する加速管と、前記加速管に高周波電力を供給するRFアンプと、カソードヒータ電圧により荷電粒子を放出するカソード、およびグリッド電圧により前記荷電粒子を加速するグリッドを含み前記加速管における各前記セルの開口部を通過する荷電粒子を発射する電子銃と、を用い、
    前記RFアンプの出力電力を一定にしながら、前記電子銃における前記カソードヒータ電圧および前記グリッド電圧を一定としつつ、前記グリッド電圧のオン時間を制御することで前記荷電粒子の入射時間割合を変化させる、放射線発生方法。
  6. 導電性を有する筒形状の筐体および前記筐体の内部において誘電体からなる複数のセルを中心部の開口部が前記複数のセルの並ぶ方向に連続するように配列した加速空洞を構成する加速管と、前記加速管に高周波電力を供給するRFアンプと、カソードヒータ電圧により荷電粒子を放出するカソード、および前記カソードとの間の電位差により前記カソードから放出された電子を引き出して電子ビームとするアノードを含み前記加速管における各前記セルの開口部を通過する荷電粒子を発射する電子銃と、を用い、
    前記RFアンプの出力電力を一定にしながら、前記電子銃における前記カソードヒータにおけるヒータ電源の出力電流を一定としつつ、前記カソードと前記アノードの間に印加する電圧のオン時間を制御することで前記荷電粒子の入射時間割合を変化させる、放射線発生方法。
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