JP7285387B1 - ヒートシール紙 - Google Patents
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Abstract
Description
生分解性プラスチックとして、ポリ乳酸やポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルが知られている。しかし、脂肪族ポリエステルは、温度が低いと生分解に時間がかかり、海洋などの自然環境での分解速度が遅いという問題がある。
一方、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂は、好気性、嫌気性下での分解性に優れた、微生物産生の熱可塑性プラスチックであり、海洋中などの水中でも微生物により短期間で分解されるという特筆すべき性能を有している。特許文献1には、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体であるポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(以下、PHBHともいう)を含む生分解性ポリエステル水性分散液が、成膜性に優れ、かつ、塗料、接着剤、繊維加工、シート・フィルム加工、紙加工等に適用する際、柔軟で伸びがよく、折り曲げに対して強い樹脂塗膜を与えことが記載されている。
1.紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))を主成分とするフィルムからなるヒートシール層が、アンカー層を介して貼合されており、
前記アンカー層が、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層であることを特徴とするヒートシール紙。
2.前記ポリエステル系樹脂が、生分解性であることを特徴とする1.に記載のヒートシール紙。
アンカー層が、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層であることを特徴とする。
なお、本明細書において「A~B」(A、Bは数値)との記載は、A、Bを含む数値範囲、すなわち「A以上B以下」を意味する。
紙基材は、主としてパルプからなるシート(以下、「基紙」ともいう。)であり、更に填料、各種助剤等を含む紙料を抄紙して得られる。
パルプとしては、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未漂白パルプ(NUKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、脱墨パルプ、古紙パルプなどの木材繊維、ケナフ、竹、麻などから得られた非木材繊維などを用いることができ、適宜配合して用いることが可能である。これらの中でも、紙基材中への異物混入が発生し難いこと、古紙原料としてリサイクル使用する際に経時変色が発生し難いこと、高い白色度を有するため印刷時の面感が良好となり、特に包装材料として使用した場合の使用価値が高くなることなどの理由から、木材繊維の化学パルプ、木材繊維の機械パルプを用いることが好ましく、化学パルプを用いることがより好ましい。具体的には、全パルプに対するLBKP、NBKP等の化学パルプの配合量が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
例えば、包装紙、紙袋、蓋材、敷き紙等の包装材、屋外で使用されるポスター等に使用する場合、紙基材の坪量は、30g/m2以上150g/m2以下が好ましい。軟包装材として使用する場合、紙基材の坪量は、20g/m2以上100g/m2以下が好ましく、35g/m2以上80g/m2以下がより好ましい。なお、軟包装材とは、包装材の中でも、特に20g/m2から100g/m2程度の薄手の紙を用いた、柔軟性に富んだ包装材である。また、紙コップ、紙容器、紙箱、紙皿、紙トレー等に使用する場合、紙基材の坪量は、150g/m2以上300g/m2以下が好ましい。
また、紙基材の密度は、所望される各種品質や取り扱い性等により適宜選択可能であるが、通常は0.5g/cm3以上1.0g/cm3以下のものが好ましい。
また、紙基材の表面を薬剤で処理する場合、表面処理の方法は特に限定されるものでなく、ロッドメタリングサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど公知の塗工装置を用いることができる。
ヒートシール層は、PHBHを主成分とするフィルムからなる。なお、本発明において、「主成分とする」とは、50重量%以上含むことを意味する。
<PHBH>
PHBHは、3-ヒドロキシブチレート(以下、3HBともいう。)と3-ヒドロキシヘキサノエート(以下、3HHともいう。)との共重合体であり、微生物が産生することが知られている生分解性樹脂である。本発明において、PHBHは、微生物由来のものを用いてもよく、石油資源由来のものを用いてもよいが、微生物由来のものを用いることが環境負荷低減の点から好ましい。
培養に用いる炭素源、培養条件は、特開平05-093049号公報、特開2001-340078号公報等に記載の方法に従い得ることができるが、これらには限定されない。
微生物産生PHBHはランダム共重合体である。共重合体のモル比を調整するために、菌体の選択、原料となる炭素源の選択、異なるモル比のPHBHとのブレンド、3HBホモポリマーとのブレンドなどの方法がある。
本発明において、PHBHとして、組成比、重量平均分子量等が異なる2種以上を混合して用いることができる。
滑剤の配合量は、PHBH100重量部に対して0.1~2重量部であることが好ましく、0.2~1重量部がさらに好ましい。
無機充填剤の配合量は、PHBH100重量部に対して0.5~5重量部であることが好ましく、1~3重量部がさらに好ましい。
アンカー層は、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層である。アンカー層は、水分散系塗料の塗工層であることが、製造時の環境への負荷を低減する点から好ましい。なお、塗工層であるか否かは、その断面を電子顕微鏡等で観察することにより判定することができる。
アンカー層は、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む。アンカー層が含むポリエステル系樹脂のガラス転移温度が-25~46℃の範囲内であることにより、ラミネート層密着性に優れたヒートシール紙を得ることができる。これは、ガラス転移温度が46℃以下の場合、ヒートシール加工時の熱によりアンカー層が含むポリエステル系樹脂の少なくとも一部が溶融または結晶構造が緩み、この状態で圧力が加えられることにより、紙の凹凸やPHBHとの間の隙間を埋めるためであると推測される。一方、ガラス転移温度が-25℃未満の場合、隙間に埋まったポリエステル系樹脂の結晶構造が柔らか過ぎるため、ヒートシール層と紙基材とをつなぐアンカーとしての接着機能が不十分になるためであると推測される。このポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、-24℃以上が好ましく、-10℃以上がより好ましく、0℃以上がさらに好ましく、また、19℃以下が好ましく、18℃以下がより好ましく、さらに15℃以下がより好ましい。
本発明のヒートシール紙は、紙基材に、ヒートシール層となるPHBHを主成分とするフィルムを、アンカー層を介して貼合することにより、製造することができる。なお、ヒートシール層は、紙基材の片面のみ、または両面に設けることができる。
アンカー層の塗工量(乾燥重量)は、その性能を発揮できるのであれば特に制限されないが、例えば、片面あたり0.1g/m2以上10.0g/m2以下である。
ヒートシール層の厚さは特に制限されないが、例えば、5μm以上300μm以下であることが好ましい。ヒートシール層の厚さ5μm未満では、ヒートシール性が十分に発揮できない場合がある。また、ヒートシール層の厚さが300μmを超えると、ヒートシール層が剛直となりすぎて、ヒートシール紙としての加工性が低下する場合があるとともに、コストが増加する。ヒートシール層の厚さは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、また、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましい。
ヒートシール層が耐水層でもある本発明のヒートシール紙は、包装紙、紙袋、紙容器、紙箱、紙コップ、(軟)包装材、紙皿、紙トレー、屋外で使用されるポスター等として好適に用いるができる。
ヒートシール層が耐油層でもある本発明のヒートシール紙は、ハンバーガー、ホットドッグ、フライドポテト、唐揚げ、ポテトチップス等の油分を多く含む食品用の(軟)包装材や包装紙、天ぷら等の揚げ物用の敷き紙、紙皿、紙トレー、紙コップ等として好適に用いることができる。
紙基材(坪量170g/m2のカップ原紙に澱粉系サイズ剤が片面あたり2g/m2サイズプレスにより塗工されている)上に、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、GX1451、Tg:-25℃、バイオマス由来モノマー使用、バイオマス度(ISO 16620準拠)70%)の10重量%濃度の水性分散液を、乾燥重量で塗工量が3.1g/m2となるようにバーブレード法で塗工し、105℃、1分乾燥してアンカー層とした。
このアンカー層上に、重量平均分子量が60万のPHBHを膜厚30μmとなるよう溶融押し出しにより積層して、ヒートシール紙を得た。
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z3310、Tg:-20℃、重量平均分子量:15000)を、乾燥重量で塗工量が3.3g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例3]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、GX1450、Tg:7℃、生分解性)を乾燥重量で塗工量が2.9g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例4]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、GX1449、Tg:8℃、生分解性)を乾燥重量で塗工量が3.2g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例5]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z880、Tg:20℃、重量平均分子量:15000)を乾燥重量で塗工量が3.1g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例6]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z730、Tg:46℃、重量平均分子量:3000)を乾燥重量で塗工量が3.1g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z221、Tg:47℃、重量平均分子量:14000)を乾燥重量で塗工量が2.5g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例2]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、RZ105、Tg:52℃、重量平均分子量:16000)を乾燥重量で塗工量が3.3g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例3]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、RZ570、Tg:60℃、重量平均分子量:23000)を乾燥重量で塗工量が2.8g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例4]
アンカー層として、ポリエステル系樹脂(互応化学工業株式会社製、Z561、Tg:64℃、重量平均分子量:27000)を乾燥重量で塗工量が2.5g/m2となるように塗工した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
得られたヒートシール紙について、以下に示す評価を行った。結果を表1に示す。
・ラミネート層密着性
得られたヒートシール紙から1辺40mmの正方形の試験片を2枚切り出し、ヒートシール層同士を接触させて、加圧温度130℃、加圧圧力1.5kgf/cm2、加圧時間3.0秒でヒートシールした。
カッター刃で、ヒートシール層から深さ2mmの切れ目を入れ、その切れ目からヒートシール層を手剥離させたときの力の感じ方と剥離後の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
5:材破が発生する(紙基材が破壊される)。
4:部分的に材破が発生する(紙基材が破壊される)。
3:強い抵抗感を感じるが、材破は生じない。
2:少し抵抗感を感じるが、容易に剥離することができる。
1:抵抗感なく、非常に容易に剥離することができる。
また、実施例2、3が含むポリエステルの生分解性は、JIS K6950の水系培養液中の好気的究極生分解度(評価機器OxiTOP―IDS、試験温度33℃下での7日後の値)が40%以上であることから、より早期に自然界で生分解されることができる。これにより、ヒートシール紙はアンカー層がまず分解され、紙基材とフィルムとに分離されるため、それぞれの表面積が増えて微生物が接触しやすくなり、結果、PHBHを主成分とするフィルムの生分解性が早まり、ヒートシール紙全体の生分解性が向上する。
Claims (2)
- 紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))を主成分とするフィルムからなるヒートシール層が、アンカー層を介して貼合されており、
前記アンカー層が、ガラス転移温度が-25~46℃であるポリエステル系樹脂を含む塗工層であることを特徴とするヒートシール紙。 - 前記ポリエステル系樹脂が、生分解性であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール紙。
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