以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。ここでは、車両用注視誘導装置を含む車両用注視誘導システムについて説明する。
図1に示すように、車両用注視誘導システムは、センサ類として、DSM(Driver Status Monitor)10および周辺監視センサ20を備えている。また、車両用注視誘導システムは、HCU(Human Machine Interface Control Unit)30、イルミネーション40、音声発生装置50およびヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUDという)60を備えている。
DSM10は、ドライバの状態を認識する装置であり、例えば車室内に備えられた近赤外光源および近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成されている。具体的には、DSM10では、近赤外光源からドライバに向けて近赤外光を照射し、近赤外カメラによって撮影すると共に、その撮像画像を制御ユニットによって画像解析し、ドライバの視点位置を測定している。そして、DSM10は、測定した視点位置の情報を、車内LAN70を通じてHCU30へ出力する。
周辺監視センサ20は、自車の周辺環境を監視する自律センサである。一例として、周辺監視センサ20は、歩行者や他車両などの移動する動的物標および路上の構造物や走行区画線などの静止している静的物標といった自車周辺の対象物を検出する。ここでは、周辺監視センサ20として、自車周囲の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ21、自車周囲の所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ22を備えている。周辺監視カメラ21は、撮像装置に相当するもので、自車の周辺画像を撮影し、その撮像データをセンシング情報として車内LAN70へ出力する。周辺監視カメラ21による撮像位置については、注視させたい対象に応じた位置とされていれば良く、任意であるが、ここでは車両前方や車両側方および車両後方を撮像している。ミリ波レーダ22は、探査波を出力すると共にその反射波を取得することで得られた物標との相対速度や相対距離および物標が存在する方位角などの測定結果をセンシング情報として車内LAN70へ逐次出力する。
HCU30は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成された制御部である。HCU30は、DSM10、周辺監視センサ20、イルミネーション40、音声発生装置50およびHUD60と車内LAN70を介して接続されている。HCU30は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、イルミネーション40の点灯や音声発生装置50による音声出力、および、HUD60による表示を制御する。このHCU30が車両用注視誘導装置に相当する。プロセッサがこの制御プログラムを実行することにより、制御プログラムに対応する車両用注視誘導方法が実行される。また、ここで言うメモリが、コンピュータによって読み取り可能なプログラムおよびデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)に相当する。
HCU30は、HUD60での表示制御を行う機能ブロックとして、図1に示すブロック構成とされている。具体的にはHCU30は、ドライバ状態推定部31、走行環境認識部32、リスク推定部33およびHMI(Human Machine Interface)制御部34を備えている。
ドライバ状態推定部31は、DSM10で逐次検出する視点位置の情報からドライバの視点位置や見ている方向、つまり視線を特定する。例えば、ドライバ状態推定部31は、ドライバが車両の前方を見ている状況であるか、それとも脇見している状況であるかなどを推定している。
走行環境認識部32は、周辺監視センサ20からの情報に基づいて、自車両の周辺の状況、すなわち他車両や人などの障害物となり得る物標を認識し、その物標が何であるかを特定すると共に物標の位置や速度および移動方向など物標に関する情報を得ている。具体的には、走行環境認識部32は、周辺監視カメラ21で逐次撮像する撮像画像やミリ波レーダ22で逐次測定する対象物の距離および方位角等をセンシング情報として取得し、これらのセンシング情報に基づいて物標に関する情報を得ている。物標に関する情報としては、自車と物標との相対距離や物標に衝突しないようにする距離、衝突時間TTC等を得ている。例えば、物標が他車両である場合には、物標に関する情報は、車間距離、車間時間、安全車間距離、衝突時間TTC等が挙げられる。
リスク推定部33は、ドライバ状態推定部31で推定した視線や走行環境認識部32で認識した物標に関する情報に基づいて、潜在危険要因があるか否かを判定している。潜在危険要因とは、自車が衝突し得る対象となる物標のことであり、自車が衝突し得る物標が存在している場合には、リスク推定部33において潜在危険要因があると判定される。また、リスク推定部33は、ドライバ状態推定部31で推定した視線や走行環境認識部32で認識した物標に関する情報に基づいて、ドライバが物標を見落としている可能性があることを検出する。例えば、図2に示すように、車両の進行方向に対する物標位置の角度である物標角度θ1と視線の角度である視線角度θ2との差θ1-θ2が求められる。そして、差θ1-θ2が所定の閾値を超えていると、ドライバが物標を見落としている可能性があるとする。
また、リスク推定部33は、走行環境認識部32で認識した物標に関する情報に基づいて、危険シーンとして該当するシーンを算出したり、危険リスクレベルを算出したりしている。
危険シーンは、危険リスクのあるシーンとしてパターン化されたものである。危険シーンについては、複数のパターンを不揮発性メモリ等に記憶してあり、そのパターンに合致した場合に危険シーンであることを算出する。例えば、自車と先行車両との車間時間が所定の閾時間になる状況、左右前方からの割り込み車両が発生する状況、左右前方から人が道路を横断しようとしている状況などが危険シーンのパターンとされる。
危険リスクレベルは、物標に衝突する危険度の高さを示す指標である。危険リスクレベルについては、危険シーン毎の余裕時間として閾値が決められており、例えば車間時間を閾値と比較することにより算出する。例えば、前方車両と自車との車間時間が第1閾値以下になるとレベル1、第1閾値よりも短い第2閾値になるとレベル1よりも危険度が高いレベル2というように、車間時間の長さに応じて危険リスクレベルを設定できる。
なお、危険リスクについては、その有無のみを算出しても良いが、ここでは危険リスクレベルとして段階付けすることで、その段階付けしたレベルに応じた注視誘導が行えるようにしている。また、危険リスクレベルをドライバによる物標の見落としと関連付けて設定するようにしても良い。具体的には、ドライバが物標を見落としている可能性がある場合には、見落としていない場合と比較して、危険リスクレベルが高くなるようにすることができる。さらに、ドライバによる物標の見落としと関連付けて、後述するイルミネーション40による照明タイミングがより早くなるようすることもできる。例えば、ドライバが物標を見落としている可能性がある場合には、見落としていない場合と比較して、第2閾値を長い時間に設定し、危険リスクレベルが高くなるタイミングが早くなるようにすることができる。
HMI制御部34は、リスク推定部33で算出された危険リスクレベルや危険シーンに基づいて、イルミネーション40や音声発生装置50およびHUD60を制御する。このHMI制御部34がイルミネーション40の点灯を制御する指示制御部に相当する。例えば、HMI制御部34は、リスク推定部33で危険リスクレベルが大と算出されていた場合には、危険シーンに応じた警報方法や警報タイミングなどを算出し、それに応じた制御信号を車内LAN70に出力する。そして、この制御信号が車内LAN70を通じてイルミネーション40や音声発生装置50およびHUD60に伝えられるようになっている。なお、ここで挙げた危険シーン毎の警報方法や警報タイミングについては、後で図を用いて説明する。
イルミネーション40は、車室内の広範囲で照明表示を行うことで、ドライバに対して危険な状況であることを認識させ、注視誘導を行うために用いられる。例えば、イルミネーション40は、LED(Light Emission Diode)をライン状としたLED照明によって構成されている。本実施形態の場合、図3に示すように、イルミネーション40は、車両の前方における車幅方向に沿う前方照明部41と、車両の左右側面に沿う側方照明部42とを有した構成とされている。
前方照明部41は、運転席より前方に備えられたもので、例えば車両におけるフロントウィンドシールド71とインストルメントパネル72との境界位置を含め、インストルメントパネル72と車体部品との境界に沿ってライン状に配置されている。ここでは、前方照明部41をドライバが直接視認可能なLED照明としているが、フロントウィンドシールド71と対応する部分ではフロントウィンドシールド71で反射した光がドライバに視認されるものであっても良い。側方照明部42は、例えばサイドドア73におけるドアトリム74、つまりドアの内張りパネルの上端において、サイドガラス75との境界位置に沿って配置されている。ここでは、前方照明部41をドライバが直接視認可能なLED照明としている。これら前方照明部41と側方照明部42については、単色発光が行える照明とされていても良いが、本実施形態では複数色の発光が行える照明とされており、かつ、各所において点灯、消灯、点滅が独立して制御可能な照明とされている。
音声発生装置50は、必要に応じて、ドライバに注意を喚起するための音声報知を行うものである。音声発生装置50としては、車室内において音声での報知を行えるものであればどのようなものであっても良く、例えばスピーカやブザーなどが用いられる。
HUD60は、自車のインストルメントパネル72内に設置される。HUD60は、例えば液晶式又は走査式等のプロジェクタにより、HCU30から出力される制御信号が示す画像データに基づく表示画像を形成する。表示画像としては危険シーンに応じた画像が用いられ、例えば潜在危険要因となる物標を強調する強調表示や、衝突の可能性が有ることを示す警報マークを表示する警告表示などとされる。
HUD60は、プロジェクタによって形成される表示画像を、例えば凹面鏡等の光学系を通じて、投影部材としてのフロントウィンドシールド71に規定された投影領域61に投影する。フロントウィンドシールド71の投影領域61に反射された表示画像は、運転席に着座するドライバに視認される。
以上のようにして、本実施形態の車両用注視誘導システムが構成されている。続いて、このように構成された車両用注視誘導システムの作動について、図4に示す注視誘導処理のフローチャートと図5~図8に示す危険シーン毎の処理態様を参照して説明する。
例えば、車両に備えられるイグニッションスイッチなどの始動スイッチがオンされ、ドライバが図示しない操作スイッチなどを操作して注視誘導を要求すると、HCU30の各機能部が協働して図4に示す注視誘導処理を実行する。この処理は、HCU30にて所定の制御周期毎に実行される。
まず、ステップS100に示すように、潜在危険要因となり得る物標を検出する。具体的には、リスク推定部33において、走行環境認識部32で認識した物標に関する情報に基づいて、先行車両や人などの物標の有無や物標までの距離などを算出することで、潜在危険要因となり得る物標を検出している。
次に、ステップS110に進み、潜在危険要因となる物標が有るか否かを判定する。ここでは、ステップS100で潜在危険要因となり得る物標を検出すると、自車と物標までの距離や自車の速度、物標の移動方向などに基づいて、自車と衝突し得る物標が有るか否かを判定している。
そして、ステップS110で肯定判定されるとステップS120で危険フラグをセットしてからステップS140に進み、否定判定されるとステップS130に進んで危険フラグをクリアして処理を終了する。
ステップS140では、ドライバ視線情報の検出、つまりドライバの視点位置や見ている方向となる視線を検出すると共に、ドライバがステップS110で潜在危険要因有りと判定された対象となる物標を見落としている可能性があることを検出する。この処理は、ドライバ状態推定部31での算出結果に基づいて行われる。
その後、ステップS150に進み、危険リスクレベルや危険シーンを算出する。上記したように、危険リスクレベルや危険シーンの算出については、リスク推定部33にて行っている。
さらに、ステップS160に進み、ステップS150で算出された危険リスクレベルや危険シーンに応じたイルミネーション40の点灯開始位置の選択を行う。具体的には、ステップS140で検出したドライバ視線情報からドライバの視線に基づいて、イルミネーション40の点灯開始位置を選択している。例えば、視線が車両の左前方を向いている場合であれば、前方照明部41のうちの左側端を点灯開始位置としたり、前方照明部41と視線とが交差する位置を点灯開始位置としたりする。この点灯開始位置は、ドライバの視線と危険シーンとの関係から予め決められており、その関係に基づいて選択される。
そして、ステップS170に進み、注視誘導方法として、イルミネーション40の点灯のさせ方である点灯方法選択を行う。点灯方法については、ステップS160と同様、ドライバの視線と危険シートの関係に基づいて予め決められている。また、この際に、点灯方法選択に加えて、ドライバへの報知方法設定、つまりHUD60を用いての情報表示や音声発生装置50を用いての音声報知を行う否かについて、さらにはこれらによる報知を行う場合の報知方法の設定についても行っている。
このようにして、イルミネーション40の点灯方法選択やドライバへの報知方法が設定されると、HCU30は、それらを示す制御信号を車内LAN70に出力する。これにより、車内LAN70を通じて制御信号がイルミネーション40や音声発生装置50およびHUD60に伝えられ、イルミネーション40や音声発生装置50およびHUD60にて、制御信号が示す点灯方法や報知方法を実現される。以上により、注視誘導処理が完了する。
続いて、上記のような注視誘導処理を行った場合の実際の動作について、危険シーンの一例を挙げて、その危険シーン毎に、図5~図8および図9~図12を参照して説明する。なお、図5~図8は、危険シーン毎の自車と物標との関係毎に、ドライバによる見落としの有無、危険リスクレベル、HUD60での表示状態、イルミネーション40の表示形態、音声発生装置50の音声報知の有無について図表化してある。
(1)危険シーン1の動作
まず、図5、図9を参照して、危険シーン1として、自車V1と先行車両V2との車間時間が短くなった場合について説明する。
図5中の状態1に示したように、自車V1の前に、自車V1と同じ走行車線を走行する先行車両V2が存在しない場合、もしくは先行車両V2が存在していたとしても車間時間が長い場合には、危険リスクレベルが0となる。この場合には、HUD60による表示は行われず、音声発生装置50による音声報知も無しになる。また、イルミネーション40による照明は、安全であることを想起させる色、例えば緑色や青色などの中性色や寒色による照明を行うようにする。なお、このような照明を行うタイミングは、車両の起動スイッチがオンされた場合や車速が1以上となった場合などとすることができる。
図5中の状態2に示したように、自車V1と先行車両V2との車間距離が縮まってきて車間時間が第1閾値以下になると危険リスクレベルが1となる。この場合において、ドライバの視線が車両の前方を向いており、物標となる先行車両V2の見落としが無いと想定される場合には、まだ危険リスクレベルが高くない。このため、イルミネーション40での照明は状態1のままとし、HUD60による表示や音声発生装置50による音声報知も無しにしている。
図5中の状態3に示したように、自車V1と先行車両V2との車間距離がさらに縮まってきて車間時間が第2閾値以下になると危険リスクレベルが2となる。この場合において、ドライバの視線が車両の前方を向いており、先行車両V2の見落としが無いと想定される場合には、イルミネーション40のうちドライバの前方に位置している部分を点灯することで、ドライバに前方への注視を誘導する。このときには、イルミネーション40での表示色を状態1や状態2から変えて、危険が迫っていることを想起させる色、例えばオレンジ色などの暖色にしている。さらに、HUD60による表示として、図9に示すように、先行車両が近づいてきていることを想起させられるように、同一の走行車線上に先行車両の表示を行う。
ただし、この場合には、ドライバが先行車両V2を見落としておらず気づいていると考えられることから、音声発生装置50による音声報知については無しにしている。
一方、図5中の状態4のように、状態2と同様、危険リスクレベルが1であったとしても、ドライバが車両の左前方を向いていてドライバが先行車両V2を見落としている可能性があるという状況の場合がある。このような場合には、まだ危険リスクレベルが高くないが、ドライバに危険リスクが有ることの気づきを与え、危険リスクの方向に注視を誘導することが好ましい。
このため、イルミネーション40については、前方照明部41のうちドライバの視線の方向である車両の左側端を点灯開始位置として点灯を開始し、状態4の上方の図中に矢印A1で示したように点灯位置をドライバの前方位置に移動させていく。そして、イルミネーション40の点灯がドライバの前方位置まで移動させられると、状態4の下方の図中に示したように、その位置で停止させて点灯を継続し、ドライバに前方を注視させる。イルミネーション40による表示色については任意であるが、ここでも危険が迫っていることを想起させ、かつ、ドライバが照明に注意を向けやすいように、オレンジ色などの暖色にしている。さらに、HUD60による表示として、図9に示す表示を行うようにしている。ただし、この場合にも、まだ危険リスクレベルが1であるため、音声発生装置50による音声報知については無しにしている。
さらに、図5中の状態5のように、危険リスクレベルが2になってもドライバが車両の左前方を見ていて先行車両V2を見落としている可能性がある場合がある。この場合には、状態4と同様、状態5の上方の図中に示したようにイルミネーション40の点灯を移動させる表示を行う。また、その後、状態5の下方の図中に示したように、ドライバの前方まで移動させられると、その位置で停止させてイルミネーション40を点滅させることで、ドライバに前方をより注視させる。加えて、HUD60による表示として、図9に示す表示を行うようにしつつ、音声発生装置50による音声報知も行って、確実にドライバに物標を気づかせるようにする。
このようにして、ドライバの視線が物標と異なる方向となっていた場合であっても、ドライバが認識できる位置からイルミネーション40による照明を開始し、物標側に点灯を移動させるという注視誘導方法とすることで、ドライバに物標を気づかせることができる。
(2)危険シーン2の動作
次に、図6、図10を参照して、危険シーン2として、自車V1の隣の車線、ここでは右側車線の先行車両となる割込車両V3が車線変更で自車の前に割り込もうとして自車V1に接近してきた場合について説明する。
図6中の状態1に示したように、自車V1の前に割込車両V3が存在しない場合については、図5と同様である。
図6中の状態2に示したように、割込車両V3が自車V1の前に車線変更しようとしてきた場合に、車間距離が縮まってきて車間時間が第1閾値以下になると危険リスクレベルが1となる。この場合において、ドライバの視線が車両の前方を向いており、物標となる割込車両V3の見落としが無いと想定される場合には、まだ危険リスクレベルが高くない。このため、イルミネーション40での照明は状態1のままとし、HUD60による表示や音声発生装置50による音声報知も無しにしている。
図6中の状態3に示したように、自車V1と割込車両V3との車間距離がさらに縮まってきて車間時間が第2閾値以下になると危険リスクレベルが2となる。この場合において、ドライバの視線が車両の前方を向いており、割込車両V3の見落としが無いと想定される場合には、自車V1の右前方の割込車両V3に注視を誘導すべく、前方照明部41のうちドライバの右前方に位置している部分を点灯する。このときには、イルミネーション40での表示色を状態1や状態2から変えて、危険が迫っていることを想起させる色にしている。さらに、HUD60による表示として、図10に示すように、割込車両V3が有ることを想起させられるように、右側車線上の上方位置に割込車両V3の表示を行う。なお、この場合も、ドライバが先行車両を見落としておらず気づいていると考えられることから、音声発生装置50による音声報知については無しにしている。
一方、図6中の状態4のように、状態2と同様、危険リスクレベルが1であったとしても、ドライバが車両の左前方を向いていてドライバが割込車両V3を見落としている可能性があるという状況の場合がある。このような場合には、まだ危険リスクレベルが高くないが、ドライバに危険リスクが有ることの気づきを与え、危険リスクの方向に注視を誘導することが好ましい。
このため、イルミネーション40については、前方照明部41のうちドライバの視線の方向である車両の左側端を点灯開始位置として点灯を開始し、状態4の上方の図中に矢印A1で示したように点灯位置をドライバの前方位置に移動させていく。そして、イルミネーション40の点灯がドライバの前方位置まで移動させられると、状態4の上方および下方の図中に矢印A2で示したように、その位置で今度は前方照明部41のうちの右側端から点灯を移動させるスライド点灯を行う。つまり、割込車両V3の割込の方向に沿ってスライド点灯させることで、ドライバに右前方を注視させる。イルミネーション40による表示色については任意であるが、ここでも危険が迫っていることを想起させ、かつ、ドライバが照明に注意を向けやすいように、暖色にしている。さらに、HUD60による表示として、図10に示す表示を行うようにしている。ただし、この場合にも、まだ危険リスクレベルが1であるため、音声発生装置50による音声報知については無しにしている。
なお、図中の矢印A2については、右前方の割込車両V3を注視させたいため、スライド点灯を1度だけ行うのではなく、ドライバの前方位置において繰り返し行うようにしても良い。また、点灯が左前端から移動させられたのち、右前端でスライド点灯させられるという状況になり、ドライバに左側端から割込車両V3が侵入してくると勘違いさせる可能性があるため、左前端では瞬間的に単に点灯させるだけとしても良い。
さらに、図6中の状態5のように、危険リスクレベルが2になってもドライバが車両の左前方を見ていて割込車両V3を見落としている可能性がある場合がある。この場合には、状態4と同様、状態5の上方の図中に示したようにイルミネーション40の点灯を矢印A1のように移動させる表示を行ったのちに、矢印A2のようにスライド点灯を行う。加えて、HUD60による表示として、図10に示す表示を行うようにしつつ、音声発生装置50による音声報知も行って、確実にドライバに物標を気づかせるようにする。
このようにして、ドライバの視線が物標と異なる方向となっていた場合であっても、ドライバが視認できる位置からイルミネーション40による照明を開始するという注視誘導方法とすることで、ドライバに物標を気づかせることができる。なお、ここでは割込車両V3が自車V1の右前から接近してきた場合について説明したが、左前から接近してくるような場合も同様である。
(3)危険シーン3の動作
次に、図7、図11を参照して、危険シーン3として、自車V1が右側車線に車線変更する際に、その車線変更先の車線に後方車両V4が存在し、自車V1と後方車両V4とが接近した場合について説明する。なお、自車の車線変更については、HCU30が図示しない方向指示器の状態を表す信号を車内LAN70から入手したり、周辺監視カメラ21の画像から自車V1と走行線との関係から検出したりすることができる。
図7中の状態1に示したように、自車V1の右側方に後方車両V4が存在しない場合については、図5と同様である。
図7中の状態2に示したように、自車V1が右側車線に車線変更する場合に、その車線の後方車両V4との車間距離が縮まってきて車間時間が第1閾値以下になると危険リスクレベルが1となる。この場合において、ドライバの視線が右前方のサイドミラーを向いているなど、物標となる後方車両V4の見落としが無いと想定される場合には、まだ危険リスクレベルが高くない。このため、イルミネーション40での照明は状態1のままとし、HUD60による表示や音声発生装置50による音声報知も無しにしている。
図7中の状態3に示したように、自車V1と後方車両V4との車間距離がさらに縮まってきて車間時間が第2閾値以下になると危険リスクレベルが2となる。この場合において、ドライバの視線が物標を確認できる方向、例えば右前方のサイドミラーを向いているなど、物標となる先行車両の見落としが無いと想定される場合には、自車V1の右後方の後方車両V4に注視を誘導すべく、車両右側の側方照明部42を点灯する。このときには、イルミネーション40での表示色を状態1や状態2から変えて、危険が迫っていることを想起させる色にしている。さらに、HUD60による表示として、図11に示すように、後方車両V4が有ることを想起させられるように、右側車線上の下方位置に後方車両V4の表示を行う。なお、この場合も、ドライバが後方車両V4を見落としておらず気づいていると考えられることから、音声発生装置50による音声報知については無しにしている。
一方、図7中の状態4のように、状態2と同様、危険リスクレベルが1であったとしても、ドライバが車両の前方や右前方を向いていてドライバが物標となる後方車両V4を見落としている可能性があるという状況の場合がある。このような場合には、まだ危険リスクレベルが高くないが、ドライバに危険リスクが有ることの気づきを与え、危険リスクの方向に注視を誘導することが好ましい。
このため、イルミネーション40については、ドライバの視線に応じて注視誘導を行うための点灯開始位置を選択し、その点灯開始位置から点灯を開始させる。例えば、ドライバが前方を見ていた場合には、ドライバの視線の方向を含むように、状態4の上方の図中に矢印A1で示したような前方照明部41のうちの車両の左側端を点灯開始位置として点灯を開始し、点灯位置をドライバの前方位置に移動させていく。また、ドライバが右前方を見ていた場合には。状態4の下方の図中に矢印A2で示したような前方照明部41のうちのドライバの前方位置を点灯開始位置として点灯を開始し、点灯位置をドライバの前方位置に移動させていく。そして、イルミネーション40の点灯がドライバの右側端まで移動させられると、状態4の上方および下方の図中に示したように、車両右側の側方照明部42を点灯し、ドライバに右後方もしくは右側ミラーを注視させる。イルミネーション40による表示色については任意であるが、ここでも危険が迫っていることを想起させ、かつ、ドライバが照明に注意を向けやすいように、暖色などにしている。さらに、HUD60による表示として、図11に示す表示を行うようにしている。ただし、この場合にも、まだ危険リスクレベルが1であるため、音声発生装置50による音声報知については無しにしている。
さらに、図7中の状態5のように、危険リスクレベルが2になってもドライバが車両の左前方等を見ていて物標を見落としている可能性がある場合がある。この場合には、状態4と同様、状態5の上方の図中に示したようにイルミネーション40の点灯を矢印A1のように移動させる表示を行ったのちに、車両右側の側方照明部42を点灯する。加えて、HUD60による表示として、図11に示す表示を行うようにしつつ、音声発生装置50による音声報知も行って、確実にドライバに物標を気づかせるようにする。
このようにして、ドライバの視線が物標と異なる方向となっていた場合であっても、ドライバが視認できる位置からイルミネーション40による照明を開始するという注視誘導方法とすることで、ドライバに物標を気づかせることができる。なお、ここでは後方車両V4が自車V1の右後から接近してきた場合について説明したが、左後から接近してくるような場合も同様である。
(4)危険シーン4の動作
次に、図8、図12を参照して、危険シーン4として、自車V1の前方において歩行者P1が道路を横断、ここでは左前方から横断しようとしている場合について説明する。
図8中の状態1に示したように、自車V1の左前方に歩行者P1が存在しない場合については、図5と同様である。
図8中の状態2に示したように、歩行者P1が自車V1の左前方で道路を横断しようとしてきた場合に、自車V1と歩行者P1との間の距離が縮まってきて歩行者P1に到達するまでの衝突時間TTCが第1閾値以下になると危険リスクレベルが1となる。この場合において、ドライバの視線が車両の前方を向いており、物標となる歩行者P1の見落としが無いと想定される場合には、まだ危険リスクレベルが高くない。このため、イルミネーション40での照明は状態1のままとし、HUD60による表示や音声発生装置50による音声報知も無しにしている。
図8中の状態3に示したように、自車V1と歩行者P1との間の距離がさらに縮まってきて衝突時間TTCが第2閾値以下になると危険リスクレベルが2となる。この場合において、ドライバの視線が車両の前方を向いており、歩行者P1の見落としが無いと想定される場合には、自車V1の左前方の歩行者P1に注視を誘導すべく、前方照明部41のうちドライバの右前方に位置している部分、例えば車両の中央位置を点灯する。このときには、イルミネーション40での表示色を状態1や状態2から変えて、危険が迫っていることを想起させる暖色にしている。さらに、HUD60による表示として、図12に示すように、歩行者P1が有ることを想起させられるように、道路の左側の上方位置に歩行者P1の表示を行う。なお、この場合も、ドライバが先行車両を見落としておらず気づいていると考えられることから、音声発生装置50による音声報知については無しにしている。
一方、図8中の状態4のように、状態2と同様、危険リスクレベルが1であったとしても、ドライバが車両の右前方を向いていてドライバが歩行者P1を見落としている可能性があるという状況の場合がある。このような場合には、まだ危険リスクレベルが高くないが、ドライバに危険リスクが有ることの気づきを与え、危険リスクの方向に注視を誘導することが好ましい。
このため、イルミネーション40については、前方照明部41のうちドライバの視線の方向である車両の右側端を点灯開始位置として点灯を開始し、状態4の上方の図中に矢印A1で示したように点灯位置をドライバの前方位置よりも左側まで移動させていく。そして、イルミネーション40の点灯が車両の中央位置まで移動させられると、状態4の上方の図中に示したように、その位置で前方照明部41を点灯させてドライバに歩行者P1側を注視させる。イルミネーション40による表示色については任意であるが、ここでも危険が迫っていることを想起させ、かつ、ドライバが照明に注意を向けやすいように、暖色にしている。さらに、HUD60による表示として、図12に示す表示を行うようにしている。ただし、この場合にも、まだ危険リスクレベルが1であるため、音声発生装置50による音声報知については無しにしている。
また、ドライバが車両の左前方を見ていて歩行者P1を見落としていなかったとしても、歩行者P1の動向をドライバに認識させることが好ましい。この場合には、前方照明部41のうちドライバの視線の方向である車両の左側端を点灯開始位置として点灯を開始し、状態4の下方の図中に矢印A2で示したように点灯位置を車両の中央位置に移動させていく。そして、イルミネーション40の点灯が車両の中央位置まで移動させられると、状態4の下方の図中に示したように、その位置で前方照明部41を点灯させてドライバに歩行者P1側を注視させる。この場合の表示色についても、上記と同様の理由で暖色にしている。これにより、ドライバが歩行者P1を見落としていなくても、歩行者P1に注意を向けることが可能となる。
なお、上記した危険シーン2のように割込車両V3などの他車両が自車V1側に移動してくる場合と本危険シーン4のように歩行者P1が道路を横断しようとする場合とで表示方法を変えるとドライバにその表示内容を認識させることが可能となるため好ましい。例えば、危険シーン2のように、他車両が自車V1側に移動してくる場合にはスライド点灯を行い、歩行者P1が道路を横断しようとする場合には単なる点灯や点滅とすることができる。また、点灯が車両の左前端から中央位置まで移動させられるという状況になり、ドライバに左側端から割込車両V3が侵入してくると勘違いさせる可能性があるため、左前端では瞬間的に単に点灯させるだけとしても良い。
さらに、図8中の状態5のように、危険リスクレベルが2になってもドライバが車両の右前方を見ていて歩行者P1を見落としている可能性がある場合がある。また、左前方を見ていても歩行者P1を見落としている可能性がある場合もある。これらの場合には、状態4と同様にイルミネーション40の点灯およびHUD60の表示を行い、加えて、音声発生装置50による音声報知も行って、確実にドライバに物標を気づかせるようにする。
このようにして、ドライバの視線が物標と異なる方向となっていた場合であっても、ドライバが視認できる位置からイルミネーション40による照明を開始するという注視誘導方法とすることで、ドライバに物標を気づかせることができる。なお、ここでは、イルミネーション40の点灯を車両の中央位置まで移動させたが、少なくともドライバ側に移動させれば良い。また、ここでは歩行者P1が自車V1の左前から接近してきた場合について説明したが、右前から接近してくるような場合も同様である。また、歩行者P1に限らず、自車V1の右前もしくは左前から出会い頭に車両が出てきた場合も同様の表示や報知を行うことが可能である。出会い頭の場合には、HUD60による表示60による表示については、例えば図13に示す表示のように、出会い頭の他車両V5について、他車両V5が侵入する側に表示することができる。
以上説明したように、車室内の広い範囲においてイルミネーション40を設置して、イルミネーション40の点灯をドライバが確認できるようにしている。そして、ドライバの視線を加味して、危険リスクがある場合にドライバが物標を見落としている可能性があるときには、イルミネーション40のうちドライバの視線に対応する位置から点灯し、物標を確認できる方向に点灯を移動させている。このように、ドライバの視線が物標と異なる方向となっていた場合であっても、ドライバが視認できる位置からイルミネーション40による照明を開始するという注視誘導方法とすることで、ドライバに物標を気づかせることができる。
また、危険リスクが無い状態もしくは危険リスクレベルが低い状態、かつ、ドライバが潜在危険要因となる物標を認識している場合には、安全であることを想起させる色での点灯を行っている。そして、危険リスクレベルが高くなったり、危険リスクレベルが高くなくてもドライバが潜在危険要因となる物標を認識していない可能性があったりする場合には、危険が迫っていることを想起させる色での点灯を行っている。これにより、危険が無い場合や危険性が少ない場合にはドライバに安心感を与えた運転を可能にしつつ、危険性が高い場合にはドライバにより危険が接近していることを認識させることが可能となる。
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
例えば、イルミネーション40の配置場所や形態については様々なものが想定される。少なくとも車両の左右方向にわたってイルミネーション40が備えられていれば良く、イルミネーション40がライン状であっても点在したものであっても良い。特に、側方照明部42の配置場所については、ドアトリム74を例に挙げたが、サイドドア73の窓枠などのどこかの場所やAピラーなどに配置されていても良い。また、前方照明部41と側方照明部42の双方を備えた構成としたが、少なくとも前方照明部41があれば良い。
また、上記実施形態では、運転席が右側である右ハンドル車を例に挙げたが、左ハンドル車についても同様の注視誘導方法を適用した車両用注視誘導装置とすることができる。つまり、ドライバの視線が物標と異なる方向となっているときに、ドライバの視線に基づいてドライバが認識できる位置からイルミネーション40を点灯させ、物標側に移動させるようにすれば、運転席の位置は問わない。
また、上記実施形態では、危険リスクレベルを0~2の段階で示し、危険リスクが有る場合のレベルを1、2で表したが、これも一例を示したに過ぎない。すなわち、危険リスクレベルの高さに応じてイルミネーション40の点灯形態もしくは音声発生装置50による音声報知の形態などを変えれば良い。例えば、危険シーン1では、危険リスクレベルが所定の基準より低いときにはイルミネーション40の点灯を移動させたのちにドライバの前方位置で点灯を継続し、基準よりも高いときには点灯ではなく点滅に変えるようにすれば良い。
また、上記実施形態では、危険が迫っていることを想起する色と安全であることを想起する色という異なる色を使用してイルミネーション40の点灯を行っているが、少なくとも危険が迫ってきている際に点灯が行われれば良い。また、必ずしも危険が迫っていることを想起する色や安全であることを想起する色である必要は無く、それぞれが異なる色であれば良い。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。