JP7299929B2 - 薬液投与装置及び薬液投与方法 - Google Patents

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Description

本発明は、薬液投与装置及び薬液投与方法に関し、特に、患者のプロファイルに依存して薬液の投与方法を変更することが可能な薬液投与装置及び薬液投与方法に関する。
近年、皮下注射や静脈内注射などによって、患者の体内に薬液を持続的に投与する治療法が行われている。例えば、糖尿病患者に対する治療法として、患者の体内に微量のインスリンを持続的に注入する治療が実施されている。この治療法では、一日中患者に薬液(インスリン)を投与するために、患者の身体または衣服に固定する持ち運び可能な携帯型の薬液投与装置(いわゆるインスリンポンプ)が用いられている。
そして、このような薬液投与装置において、薬液を貯蔵する筒体内にどれだけの薬液が残っているかを使用者に通知することは、極めて重要なことであった。
しかし、従来の薬液投与装置では、筒体内の薬液の残量が所定量、例えば、3日分の満量が200U(ユニット)であれば、その4分の1の50U(ユニット)になったときに、残量アラートを通知するだけであった。
特許文献1には、筒体内に充填した薬液をプランジャの押圧作用下により生体内に持続的または間欠的に投与する携帯型の薬液投与装置であって、プランジャの押圧作用によって移動するスライドナットの位置によって、筒体内の薬液の残量が所定量になったことをユーザに通知する接触センサが示されている。
国際公開2016/132937号公報
しかしながら、体内に投与する薬液の量には個人差があり、例えば大人と子供(特に小児)では、1日の投与する薬液の量が大きく異なるのが通常である。また、平日、運動時あるいは病気時、食事内容など、患者の状態によっても、投与する薬液の量が変わってくる。したがって、アラートを患者に通知する時点の筒体内の薬液の残量を所定量(例えば、50U)に決めることは適切ではなかった。例えば、小児では、3日間で50U前後のインスリンを充填して使用することがあり、この場合には残量50Uのアラートは余りにも早すぎることになる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、薬液の総投与量から、アラートを発生する薬液の残量を、所定量(例えば、50U)に固定しないで、患者の状況(プロファイル)に応じて変えることができる薬液投与装置及び薬液投与方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、筒体内の薬液の残量が所定値になったときに残量アラートを発する薬液投与装置であって、薬液の総投与量を計算するとともに、薬液の総投与量から残量アラートを発する残量値を計算し、残量アラート信号を出力する演算部と、演算部が出力した残量アラート信号に基づいて残量アラートを発する報知部と、を備える。
そして、演算部は、計算した残量値が所定値以上のときは、薬液の残量が所定値になったときに残量アラート信号を報知部に出力し、計算した残量値が所定値未満のときは、薬液の残量をカウントし、そのカウント値が計算した残量値に達したときに、残量アラート信号を報知部に出力する。
上記課題を解決するため、本発明の薬液投与方法は、薬液投与装置の筒体内の薬液の残量が所定値になったときに残量アラートを発する薬液投与方法であって、以下のステップを含む。
(a)薬液投与装置の薬液の総投与量から残量アラートを発する薬液の残量値を薬液投与装置の演算部計算するステップ、
(b)残量アラートを発する残量値が所定値以上のときは、薬液の残量が所定値になったときに残量アラート信号を薬液投与装置の演算部出力するステップ、
(c)残量アラートを発する残量値が前記所定値未満のときは、薬液の残量が所定値になったときに薬液の残量のカウントを薬液投与装置の演算部開始するステップ、
(d)カウントの値が残量アラートを発する残量値になったときに、残量アラート信号を薬液投与装置の演算部が出力するステップ。
本発明によれば、大人と子供、あるいは患者の状態を考慮して、筒体内の薬液の残量のアラートを患者の最適な状況下で通知することができる。
本発明の一実施形態例に係る薬液投与装置が用いられる薬液投与支援システムの一例を示す構成図である。 本発明の一実施形態例に係る薬液投与装置の分解斜視図である。 本発明の一実施形態例に係る薬液投与装置の断面図である。 本発明の一実施形態例に係る薬液投与装置における薬液の残量低下を示す表示画面である。 本発明の一実施形態例に係る薬液投与装置における、予め設定した投与パターンを変更するときの表示画面Aと、基礎レートパターンを確認して決定するときの表示画面Bである。 本発明の一実施形態例に係る薬液投与装置の機能を説明するためのブロック図である。 本発明の一実施形態例に係る薬液投与方法の手順を説明するためのフローチャートである。
<薬液投与支援システムの全体構成の説明>
まず、本発明の一実施形態例を説明する前に、本発明の一実施形態例に係る薬液投与装置が用いられる薬液投与支援システムの概要を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、薬液投与支援システム1は、薬液投与装置(ポンプ本体)100と、この薬液投与装置100と組み合わせて用いられるリモートコントローラ200により構成されている。
薬液投与装置100は、長時間にわたって患者にインスリンなどの薬液を投与するために、患者の皮膚に装着して用いられる薬液ポンプである。このような薬液投与装置100は、後述するようにリモートコントローラ200との通信部を備えている。
一方、リモートコントローラ200は、薬液投与装置100を操作するものであるが、患者の皮膚に装着されない状態で、患者が携帯して用いるスマートフォンのような携帯端末である。
リモートコントローラ200は、一体化された操作部200a及び表示部200bを有し、また不図示の制御部、及び薬液投与装置100との通信部を備える。操作部200aは、例えばタッチパネルを設けた表示部200bの表示画面でもよいが、表示部200bから離れた位置に設けた操作ボタンでもよい。
薬液投与支援システム1は、薬液投与装置100によって実施される薬液投与において、インスリンの基礎投与(ベーサル投与)における投与プロファイルの作成と、追加投与(ボーラス投与)の際の投与量(ボーラス量)を算出するためのパラメータを設定する。
この薬液投与支援システム1は、通常リモートコントローラ200によって構成されるが、リモートコントローラ200とは別の、リモートコントローラ200または薬液投与装置100との通信が可能なパーソナルコンピュータやタブレット端末などの端末装置300によって構成してもよい。この場合、図1に示すように、操作部300aと、表示部300bは、一体化されない構成となる。
<薬液投与装置の構成の説明>
次に、本発明の実施形態例に用いられる薬液投与装置100の構成と動作を図2~図4を参照して説明する。本発明に用いられる薬液投与装置100は、筒体18内に充填した薬液をプランジャ20の押圧作用により生体内に持続的または間欠的に投与するインスリンポンプを備える。
図2に示すように、薬液投与装置100は、使い捨てのディスポ部12と、再利用可能なリユース部14と、主にリユース部14に設けられる駆動部40(図3参照)とを有する。ディスポ部12は、片側が開口した平箱形状のベース部16を備える。ベース部16は、不図示のクレードルと着脱可能に形成される。なお、クレードルは、生体内に留置されるカニューレを含み、ユーザ(患者)の皮膚に貼着可能である。
図2及び図3に示すように、ベース部16は、薬液が充填される筒体18と、筒体18内に設けられたプランジャ20と、プランジャ20と同軸に配設された送りねじ軸22と、送りねじ軸22に螺合されたナット部(可動部)24を備える。
筒体18は、ベース部16の長手方向に沿って円筒状に延在する。そして、筒体18の先端部は、外径及び内径が先端に向かって縮径している。筒体18の先端部には、筒体18内へ薬液を導入するための導入ポート26(図2参照)と、筒体18内の薬液を導出するための導出ポート28が設けられている。導出ポート28には、筒体18内の薬液を不図示のカニューレに導く導出管29が連通している。
プランジャ20は、筒体18内に、筒体18の軸線方向に沿って摺動可能に構成されている。すなわち、プランジャ20は、先端側を構成するプランジャ本体30と、プランジャ本体30の後端側を押す押し子32を有している。プランジャ本体30のうち円筒状に形成された後端側には、一対のパッキン34が装着されている。
押し子32は、プランジャ本体30から後方に向かって筒体18の外側まで伸びた一対の延出部36と、延出部36の後端部に設けられた一対の爪部38を備える。送りねじ軸22は、その一端部が軸受39によって軸支されており、ナット部24を移動させる。
駆動部40は、動力源としての電池42と、電池42によって駆動されるモータ44と、モータ44の回転駆動力を減速して伝達するギヤボックス46と、送りねじ軸22と一体で回転可能に係止される伝達軸52を有する。なお、伝達軸52には、ギヤボックス46の出力歯車48に噛み合う平歯車50が固定されている。
本実施形態では、実線で示す電池42及び伝達軸52がディスポ部12に設けられ、二点鎖線で示すモータ44及びギヤボックス46がリユース部14(図2参照)に設けられている。電池42には、ディスポ部12にリユース部14を装着する際に、電池42をモータ44に電気的に接続する端子54が設けられている。伝達軸52は、送りねじ軸22と同軸に配設された状態でベース部16に設けられた一対の軸受56によって軸支されている。 なお、モータ44は、ナット部24がプランジャ20の先端側に移動する方向にのみ送りねじ軸22を回転駆動させるように構成されている。
ナット部24は、略直方体形状に形成されたナット部本体58と、ナット部本体58に設けられたスライド部60を有する。ナット部本体58には、送りねじ軸22が螺合するねじ孔62と、ねじ孔62を両側から挟むようにして形成されて、爪部38が挿通する一対の貫通孔64とが設けられている。ナット部本体58の外面には、例えば、金属材料等で構成された補強カバー66が装着されている。
スライド部60は、プランジャ20の軸線方向に沿って伸びた案内壁68に添ってスライドする。図3に示すように、使用前の状態では、ナット部24はプランジャ20に接触しない初期位置にあり、送りねじ軸22の回転作用で初期位置から移動し、プランジャ20に接触してプランジャ20を先端側に押圧する。
図2に示すように、リユース部14は、ベース部16の開口を閉塞する蓋体70と、蓋体70に設けられた制御部72を備える。制御部72には、ナット部24の初期位置を検出するセンサ(初期位置検出センサ)74と、ナット部24が所定位置に到達したことを検出するセンサ(所定位置検出センサ)76と、アラート部78と、図3に示す駆動部40が設けられている。所定位置検出センサ76は、筒体18内の薬液の残量を検出する。そして、所定位置検出センサ76は、筒体18内の薬液が所定量以下(例えば、50U以下)になったときに、アラート部78を作動させる残量スイッチとして機能する。すなわち、所定位置検出センサ76は、ナット部24が、筒体18内の薬液が所定量になる所定位置まで移動したときに、ナット部24に接触する接触センサである。
初期位置検出センサ74は、ナット部24を移動させる前の状態でナット部24が初期位置にあるか否かを検出する。具体的には、初期位置検出センサ74は、リユース部14をディスポ部12に装着したときに、初期位置にあるナット部24が接触する接触センサである。この初期位置検出センサ74によりナット部24が初期位置にあるか否かを容易に検出することが可能になる。なお、接触センサはあくまでも一例であって、初期位置検出センサ74及び所定位置検出センサ76を非接触センサとして構成することも可能である。
このように、所定位置検出センサ76を接触または非接触センサとして構成することにより、ナット部24が所定位置(薬液の残量アラートを発する位置)に来たか否かを容易に検出することができる。また、初期位置検出センサ74及び所定位置検出センサ76はリユース部14に設けているが、初期位置検出センサ74及び所定位置検出センサ76の両方またはいずれか一方をディスポ部12側に設けるようにしてもよい。
報知部としてのアラート部78は、一種類のアラート音だけを出力するようにしてもよいが、複数種類のアラート音を出力するようにすることもできる。その場合には、音の周波数、振幅、出力時間あるいは出力回数の少なくとも1つを異ならせるようにすればよい。なお、アラート部78は、必ずしも必要ではなく、残量アラートを音声で発生される代わりに、図1に示した、リモートコントローラ200または端末装置300の表示部200b、300bに薬液の残量が少なくなったことを表示するようにしてもよい。
<薬液投与装置の動作/作用の説明>
本発明に用いられる薬液投与装置100は、上記のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用について説明する。
ユーザ(患者)が包装容器からディスポ部12を取り出した状態では、ディスポ部12の筒体18内に薬液は充填されていない。このとき、ナット部24はプランジャ20に接触しない初期位置にある。
次に、ユーザ(患者)は、筒体18に対するプランジャ20の位置を調節し、薬液が密閉保存されている薬液容器から筒体18内に適切な量の薬液を充填する。そして、リユース部14をディスポ部12に装着する。これにより、リユース部14のギヤボックス46の出力歯車48がディスポ部12の平歯車50に噛み合い、ディスポ部12の電池42から電力がリユース部14の構成部品に供給される。
制御部72は、この電池42の電力により起動され、初期位置検出センサ74により、ナット部24が初期位置にあることを検出する。なお、ディスポ部12は、使用済みのものではなく、未使用品であるとする。
次に、ユーザは、薬液投与装置100のプライミングを行う。具体的には、図1に示したリモートコントローラ200を操作して、薬液投与装置100のモータ44を回転駆動させる。すると、モータ44の回転駆動力がギヤボックス46、平歯車50、伝達軸52を介して送りねじ軸22に伝達される。そして、送りねじ軸22が回転し、ナット部24が案内壁68をスライドしながらプランジャ20側に進行する。
ナット部24がプランジャ20の先端側に進行すると、一対の爪部38がナット部24の貫通孔64に挿通し、一対の延出部36が互いに近接するように撓む。爪部38が貫通孔64を通り抜けると、爪部38は元の位置に復帰し、ナット部24がプランジャ20に対して係止される。これにより、ナット部24は、プランジャ20の先端側を押圧できるようになる。そして、さらに、ナット部24を進行させることにより、筒体18内の薬液がプランジャ20に押圧されて導出管29の内孔が薬液で満たされてプライミングが完了する。
その後、ユーザは、不図示のクレードルを皮膚の所定位置に貼着して、穿刺機構を用いてクレードルに係止されているカニューレを生体内に留置させる。薬液投与装置100をクレードルに接続すると、導出管29とカニューレが連通し、制御部72にある不図示のモータ制御部がモータ44を回転制御することにより筒体18内の薬液が生体内に持続的または間欠的に投与される。
そして、所定位置検出センサ76は、初期位置から移動したナット部24が所定位置(筒体18内の薬液の残量アラートを発する位置)に来たことを検出する。すなわち、ナット部24が所定位置に来ると、所定位置検出センサ76がONになり、アラート部78からアラート音が出力される。
または、リモートコントローラ200の表示部200bの表示画面に残量アラートが表示される。ここでは、図4に示すように、「リザーバーの残量低下 のこり50Uです」といった表示がなされる。これにより、ユーザは、筒体18内の薬液の残量が所定量(例えば、50U)になったことを知ることができる。そして、所定量よりも多い量の薬液を間欠的に投与する場合には、ディスポ部12を未使用品に交換する等の処置をとることができる。
<本発明の実施形態例としての薬液投与装置の動作>
以上説明した点は、既に特許文献1に開示されている技術であるが、本発明の実施形態例の薬液投与装置100は、さらに、筒体18内の薬液のアラートする残量を、ユーザの体重(大人と小児の違い)や状態に応じて、ソフトウェア的に変更できるようにした点に特徴がある。以下、図5~図7を参照して、本発明の実施形態例である薬液投与装置100の動作について説明する。
まず、本発明の実施形態例では、設定した基礎レートパターンの一日の総投与量から、通常、薬液の残量がアラートされる値(例えば、50U)の残量スイッチ(図2の所定位置検出センサ76)を使うか否かが判断される。そして、50Uの残量スイッチを使わないと判断された場合、つまり、残量アラートを発する値が50U以下の場合には、50U以下の薬液の残量Xをソフトウェア的に設定し、薬液の残量がXになったときに残量アラートを通知するようにする。なお、残量アラートを出す残量を50Uとした点は、あくまでも一例であり、このアラートを発する残量値は、患者のプロファイルに応じて所定の値(以下、「所定値」)に設定される。
図5Aは、例として、コントローラ200に保存されている基礎レート投与を設定する際の3つのパターン1~3を示している。パターン1は、通常の平日の基礎レート投与を選定するパターンである。パターン2は、患者が運動したときの基礎レート投与パターンであり、この場合は、平常時よりも少ない投与量となる。パターン3は、ユーザが病気の状態のときの基礎レート投与パターンであり、この場合には個々のユーザによって投与量が異なってくる。
いずれの基礎レート投与パターンでも、大人と小児、あるいは太っている人とやせている人では、一日の総投与量が異なるため、予め設定した基礎レート投与パターン1~3の中からユーザのプロファイルに応じて基礎レート投与パターンを選択する。なお、基礎レート投与パターンは、図5Aに示した3つのパターンに限定されない。他にユーザである患者の体重差などにより設定を変更することもできる。基礎レート投与パターンの変更は、リモートコントローラ200の表示画面(図5A)のいずれかをタッチすることによって行われる。
平均的な体重の大人であれば、通常は、筒体18内に充填される3日分の薬液の満量は200U程度であり、残量が4分の1の50Uになったときに、残量アラートを発するように設定される。この値は、大人であっても体重の多少により、変化する値である。また、小児の場合には、体重の多少にも関係するが、3日間で総投与する薬液の量は通常60U程度に設定される。
すなわち、小児であれば、基礎レートの1日の総投与量が10.20U、ディスポ部12の交換頻度が3日に1回、ボーラス量を含めたマージンを2倍とすると、3日間の総投与量は、以下の通りになる。
10.20[U] ×3[日]×2[倍]=61.2[U]
この3日分の総投与量61.2Uの4分の1で残量アラートを発するように設定した場合、
61.2[U]÷4=15.3[U]
になり、薬液の残量が15.3Uになったときに、残量アラートを発するようにすればよい。つまり、通常の大人の設定値である50Uより、小さい値を残量アラート値として設定する必要がある。
<本発明の実施形態例の薬液投与装置の機能説明>
図6は、本発明の実施形態例の薬液投与装置(ポンプ本体)100と、リモートコントローラ200の機能を示すブロック図である。
薬液投与装置100は、電源部101、駆動部102、残量検出部103、出力部104、日時管理部105、データ記憶部106、本体通信部107、及びこれらを制御する本体演算部108を備える。
電源部101は、薬液投与装置100を構成する各構成要素に電力を供給するためのものであり、例えば図2、図3に示す電池42及びこれを収納する不図示の電池ボックス、さらには電池42からの電力の供給をオン/オフする不図示のスイッチなどで構成される。
駆動部102は、薬液投与装置100を装着した患者に対して薬液投与を実施するためのものであり、図3の駆動部40に相当する。すなわち、図2、図3で述べたように、駆動部102は、投与する薬液を収容する筒体18、筒体18内において摺動される押し子32、押し子32を移動させるためのモータ44及びギヤボックス46等で構成される。
残量検出部103は、残量スイッチ(図2、図3の所定位置検出センサ76)と不図示のカウンタ部で構成される。カウンタ部は、モータ44の回転数をカウントする。残量検出部103は、所定位置検出センサ76によりアラートを行うべき所定量(例えば、50U)の薬液の残量が検出されると、本体演算部108に検出信号を出力する。そして、本体演算部108は、アラート部78を作動させて警報音を発生させる。あるいは本体通信部107を介してリモートコントローラ200にアラートを告げる信号が送られ、リモートコントローラ200の表示部200bの表示画面上に、例えば、図4に示されるような「リザーバーの残量低下 のこり50Uです」といった表示がなされる。
また、残量検出部103は、カウンタ部がカウントしたモータ44の回転数を本体演算部108に出力する。本体演算部108は、残量検出部103から出力されたモータ44の回転数に基づいて薬液の残量をカウントする。
但し、このアラートを発するのは、あくまでも3日分の総投与量の4分の1になる薬液の量が50U以上のときである。3日分の総投与量の4分の1になる薬液の量が50U未満のときは、所定位置検出センサ76の位置が検出されても、アラートを発することなく、不図示のカウンタ部により、筒体18内の薬液の残量がカウントされる。この薬液の残量のカウントは、モータ44の回転数を不図示のエンコーダでカウントすることにより行われる。
そして、筒体18内の薬液の残量が、アラートを発する残量アラート値Xに一致した時点で、薬液投与装置100の本体演算部108は、本体通信部107を介して、リモートコントローラ200にアラートを表示するための信号を送る。この薬液投与装置100からのアラート信号を受けて、リモートコントローラ200のコントローラ演算部208は、表示部204の表示画面にアラート、例えば、図4に類似する「リザーバーの残量低下 のこりXです」といった表示を行う。
報知部としての出力部104は、例えば図2に示すアラート部78であり、常時は、薬液投与装置100とリモートコントローラ200との通信が途絶えたときに、本体演算部108からの指示により警報を出力する。この警報としては、振動または音などを単独で、または併用してもよいし、光を発するものであってもよい。
日時管理部105は、日時管理を行うプログラム機能であり、日時情報を出力するために、一般的なマイクロコンピュータに搭載されている機能である。この日時管理部105は、電源がオフの状態であっても電力が供給されるので、正確な日時情報を出力することができる。
データ記憶部106には、薬液投与装置100を制御する各種データが記憶されるが、このデータの中には、リモートコントローラ200において、患者の基礎レート投与パターンに基づいて、計算されたアラートを発する薬液の残量アラート値Xが含まれる。他にも、例えばコントローラ忘れ防止機能データ、自動ボーラス投与データ、投与履歴データ、基本レート投与データ(ベーサル投与データ)、及びペアリング用データ等がある。なお、これらのデータについては、本実施形態例との直接的な関係はなく、また先行特許文献である特開2017-148393公報に詳細に記載されているので説明は省略する。
本体通信部107は、薬液投与装置100とリモートコントローラ200との間で無線通信を行う。本体通信部107は送信部と受信部とを有し、所定の波長帯域の電波、例えば極超短波またはマイクロ波を使った無線通信を行う。この本体通信部107は、本体演算部108からの指示により、ペアリングされたリモートコントローラ200におけるコントローラ通信部207との間で信号の送受信を行い、コントローラ通信部207との間での通信を確立する。
本体演算部108は、本体通信部107で受信した各種のデータをデータ記憶部106に記憶する。また本体演算部108は、リモートコントローラ200から送信された信号に基づいて、駆動部102を駆動し、また出力部104から警報を出力する。さらに、本体演算部108は、データ記憶部106に記憶された各種データに基づいて、駆動部102を駆動し、薬液投与装置100を装着したユーザ(患者)に対して、インスリンのベーサル投与及びボーラス投与を制御する。
<リモートコントローラ200の機能説明>
リモートコントローラ200は、図6に示すように、電源部201、入力部202、出力部203、表示部204、日時管理部205、データ記憶部206、コントローラ通信部207、及びこれらを制御するコントローラ演算部208を備える。
上記各構成要素のうち、薬液投与装置100の構成要素と同じ機能を持つものは、重複する説明を省略し、薬液投与装置100とは異なる機能を持つ構成要素についてのみ説明を加える。
本実施形態例では、表示部204に、薬液の残量が所定値以下になったときのアラートが表示されるほかに、各種の設定内容、入力部202による入力内容、あるいは薬液投与装置100での投与履歴等が表示される。この表示部204は、例えば液晶ディスプレイを用いて構成されている。なお、図4、図5は、表示部204に表示される表示画面の一例であり、表示部204には、この画面以外にも、薬液投与装置100の動作に用いられる各種データなどが表示される。
入力部202は、電源のオンオフ操作、薬液投与装置100によるインスリンの投与の設定、及び表示部204での表示内容等のデータを入力する。入力部202は、例えばキーパッドや、表示部204の前面に設けたタッチパネルで構成される。
出力部203、日時管理部205、データ記憶部206、コントローラ通信部207の機能は、薬液投与装置100の出力部104,日時管理部105、データ記憶部106、本体通信部107と同様なので、ここでは説明を省略する。
コントローラ演算部208は、入力部202において入力された各種の設定や、アラートを発する薬液の残量アラート値Xを、データ記憶部206に記憶する。そして、アラートを発する薬液の残量アラート値Xを含む、薬液投与装置100側で必要とされるデータを、コントローラ通信部207を介して薬液投与装置100の本体通信部107に送信する。
<本発明の実施形態例の薬液投与方法の手順に係る動作説明>
図7は、本発明の一実施形態例に係る薬液投与方法の手順を説明するためのフローチャートである。
図7に示すように、薬液の投与を開始する前に、まず薬液投与の基礎レート投与パターンを選択する(ステップS1)。ステップS1では、図5Aに示されるような、リモートコントローラ200の表示部204に表示される複数の基礎レート投与パターンの中から、患者の状態(プロファイル)に応じて最適な基礎レート投与パターンが選択される。この選択は入力部202によって行われる。
そして、コントローラ演算部208は、患者の状態(プロファイル)に応じて、残量アラートを発する際の残量アラート値Xを計算する(ステップS2)。既に述べたように、このアラートを発する残量アラート値Xは、患者が大人であるか、小児であるかによって異なる。また、投薬の時期が平時か、運動時か、あるいは病気時などによっても異なってくるので、基礎レート投与の際にアラートを発する最適な残量アラート値Xを計算する必要がある。なお、このアラートを発するときの残量アラート値Xの計算は、薬液投与装置100の本体演算部108で行うようにしてもよい。
この場合、本体演算部108は、データ記憶部106に記憶されている患者に応じた基礎レートの1日の総投与量をベースにして計算する。例えば、既に述べたように、患者が小児であれば、基礎レートの1日の総投与量を10.20U、ディスポ部12の交換頻度を3日に1回、ボーラス量を含めたマージンを2倍として、3日間の総投与量を61.2Uと計算する。そして、この3日分の総投与量61.2Uの4分の1の15.3Uになったとき、すなわち、X=15.3Uで残量アラートを発するように設定する。
なお、平時における大人の基礎レート投与パターンでは、アラートを発する薬液の残量アラート値Xを、例えば50Uに設定することが一般的であることは、既に説明した通りである。したがって、残量スイッチ(図2の所定位置検出センサ76)の位置は、図3に示すように、残量アラートを発生するか否かにかかわらず、一定の値、例えば残量値が50Uになる位置に設定しておく。
次に、本体演算部108は、求められた残量アラート値Xが50U未満であるか否かが判断される(ステップS3)。ステップS3において、残量アラート値Xが50U以上であると本体演算部108が判断した場合には(ステップS3のNO)、薬液投与が開始され(ステップS4)、薬液の残量が所定値50Uになった段階で、残量アラートを発するための残量スイッチが使用される(ステップS5)。なお、ステップS4とステップS5は、この順序である必要はない。ステップS5の「残量スイッチの使用」をステップS4の「薬液投与開始」の前に持って来てもさしつかえない。
そして、患者への薬液の投与が行われ、図3のスライド部60が移動して、残量スイッチが押下されたか否かが本体演算部108によって判断される(ステップS6)。ステップS6で残量スイッチが押下されなければ(ステップS6のNO)、押下されるまで待機する。ステップS6で残量スイッチが押下された場合(ステップS6のYES)、残量検出部103から検出信号が本体演算部108に出力される。そして、本体演算部108は、残量アラート信号を出力部104や、リモートコントローラ200に出力する。出力部104や、リモートコントローラ200の出力部203や表示部204は、筒体18内の薬液の残量値が所定値50Uになったことを患者に対して残量アラートとして通知し(ステップS7)、処理を終了する。
次に、ステップS3で、計算された残量アラート値Xが所定値50U未満であると判断された場合には(ステップS3のYES)、本体演算部108は、残量アラートを発する値を残量アラート値Xに設定し(ステップS8)、薬液投与を開始する(ステップS9)。
その後、薬液の投与が進むと、本体演算部108はスライド部60により残量スイッチが押下されたか否かを判断する(ステップS10)。このステップS10の判断は、アラートを発する残量アラート値Xが50U未満のときには、必ずしも必要とされないものである。ここでは、残量スイッチが押下されても、残量アラートは発生されない。
つまり、残量スイッチは単に所定位置検出スイッチとして用いられるものであるから、残量スイッチの位置は、残量アラートを発するか否かにかかわらず、常に、図3のスライド部60がスライドする案内壁68の所定位置(薬液の残量が50Uの位置)にセットされている。したがって、アラートを発生する残量アラート値Xが50U未満であれば、残量スイッチが押下されても、残量アラート信号は出力されない。
ステップS10で、残量スイッチが押下されると(ステップS10のYES)、本体演算部108は、残量スイッチが押された後の筒体18内の薬液の残量のカウントを開始する(ステップS11)。このカウントは、例えば、残量検出部103のカウンタ部によってモータ44の回転数に基づいて行われる。または、残量検出部103のカウンタ部がカウントしたモータ44の回転数から、プランジャ20の移動量を算出し、薬液の残量をカウントしてもよい。なお、カウンタ部としてモータ44の回転数をカウントする例を説明したが、これに限定されるものではなく、カウンタ部として送りねじ軸22の回転数をカウントしてもよいし、プランジャ20の移動量を直接カウントしてもよい。
次に、本体演算部108は、ステップS11の残量カウント値が、アラートを発する残量アラート値Xに等しくなったか否かを判断する(ステップS12)。ここで、残量カウント値とは、残量スイッチの位置での残量(50U)から、残量検出部103のカウンタ部がカウントしたモータ44の回転数に基づいて算出した薬液量、すなわち、残量スイッチを押下した後に送液した薬液量を減じた値となる。ステップS12の処理は、残量カウント値が、アラートを発する残量アラート値Xになるまで繰り返される(ステップS12のNO)。そして、ステップS12で、残量カウント値がアラートを発する残量アラート値Xになったとき(ステップS12のYES)に、薬液投与装置100の本体演算部108は、残量アラート信号を出力部104や、リモートコントローラ200に出力する。これにより、アラート部78によりアラート音を発生させるか、あるいは本体通信部107を経由して、リモートコントローラ200の表示部204に残量アラートが表示され、患者に対して残量アラートが通知される(ステップS7)。
図7の例では、ステップS9の薬液投与開始後に、残量スイッチが押下されてから、ステップS11の残量カウントを開始している。しかし、残量アラートを発する残量アラート値Xが所定値50U未満の場合には、残量スイッチの押下と関係なく、残量カウントの開始を行うことも可能である。
例えば、ステップS9の薬液投与開始のタイミングでステップS11の残量カウントを開始することもできる。ただし、この場合、導入ポート26から筒体18内へ充填した薬液の満量を正確に知る必要がある。なぜなら、薬液の満量は、ユーザ毎に、また同じユーザでもプロファイルによって異なるからである。また、筒体18内の気泡を除去した場合に、正確な満量を知ることも難しくなるからである。
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明の薬液投与装置及び薬液投与方法は、ここで説明した実施形態に限らず、請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図6では、薬液投与装置100とリモートコントローラ200をネットワークで接続する構成として示しているが、コントローラ200の構成を薬液投与装置200に組み込んで、これらを一体化した薬液投与装置とすることもできる。
上述した実施形態例では、薬液投与装置としてインスリンを投与するインスリンポンプを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。投与する薬液としては、鎮痛剤、抗癌治療薬、HIV薬、鉄キレート薬、肺高血圧症治療薬等のその他各種の薬液を用いてもよい。
1…薬液投与支援システム、100…薬液投与装置(ポンプ本体)、200…リモートコントローラ、300…端末装置、12…ディスポ部、14…リユース部、16…ベース部、18…筒体、20…プランジャ、26…導入ポート、28…導出ポート、24…ナット部、40…駆動部、42…電池、52…伝達軸、60…スライド部、22…送りねじ軸、70…蓋体、72…制御部、78…アラート部、76…所定位置検出センサ(残量スイッチ)、74…初期位置検出センサ、 101、201…電源部、102…駆動部、103…残量検出部、104、203…出力部、105、205…日時管理部、106、206…データ記憶部、107…本体通信部、108…本体演算部、202…入力部、204…表示部、207…コントローラ通信部、208…コントローラ演算部

Claims (8)

  1. 筒体内の薬液の残量が所定値になったときに残量アラートを発する薬液投与装置であって、
    前記薬液の総投与量から残量アラートを発する残量値を計算し、残量アラート信号を出力する演算部と、
    前記演算部が出力した残量アラート信号に基づいて前記残量アラートを発する報知部と、
    を備え、
    前記演算部は、
    前記計算した前記残量値が所定値以上のときは、前記薬液の残量が前記所定値になったときに前記残量アラート信号を前記報知部に出力し、
    前記計算した前記残量値が前記所定値未満のときは、前記薬液の残量をカウントし、そのカウント値が前記計算した前記残量値に達したときに、前記残量アラート信号を前記報知部に出力する、
    薬液投与装置。
  2. 前記筒体内の薬液の残量を検出する残量スイッチを設け、
    前記演算部は、前記残量アラート信号を出力する残量値が前記所定値以上のときは、前記残量スイッチを押下したタイミングで前記残量アラート信号を出力する、
    請求項1に記載の薬液投与装置。
  3. 前記演算部は、前記計算した前記残量アラート信号を出力する前記残量値が前記所定値未満のときには、前記残量スイッチの押下時点から前記薬液の残量のカウントを開始する
    請求項2に記載の薬液投与装置。
  4. 前記演算部は、前記計算した前記残量アラート信号を出力する前記残量値が前記所定値未満のときには、前記残量スイッチの押下とは無関係に、基礎レート投与パターンに従って基礎レート投与を開始した時点から、前記薬液の残量のカウントを開始する、
    請求項2に記載の薬液投与装置。
  5. 前記報知部は、振動、音、表示又はこれらの併用により前記残量アラートを発する
    請求項1~4のいずれか一項に記載の薬液投与装置。
  6. 前記筒体内を移動するプランジャの移動量をカウントするカウンタ部を設け、
    前記演算部は、前記カウンタ部がカウントした前記プランジャの移動量から前記薬液の残量をカウントする
    請求項1~5のいずれか一項に記載の薬液投与装置。
  7. 前記薬液を投与する基礎レート投与パターンが格納される記憶部を設け、
    前記演算部は、前記基礎レート投与パターンに基づいて、前記薬液の総投与量を計算する
    請求項1~6のいずれか一項に記載の薬液投与装置。
  8. 薬液投与装置の筒体内の薬液の残量が所定値になったときに残量アラートを発する薬液投与方法であって、
    前記薬液投与装置の前記薬液の総投与量から残量アラートを発する前記薬液の残量値を前記薬液投与装置の演算部計算するステップと、
    前記残量アラートを発する前記残量値が前記所定値以上のときは、前記薬液の残量が前記所定値になったときに残量アラート信号を前記薬液投与装置の前記演算部出力するステップと、
    前記残量アラートを発する前記残量値が前記所定値未満のときは、前記薬液の残量が前記所定値になったときに前記薬液の残量のカウントを前記薬液投与装置の前記演算部開始するステップと、
    前記カウントの値が前記残量アラートを発する前記残量値になったときに、残量アラート信号を前記薬液投与装置の前記演算部が出力するステップと、
    を含む薬液投与方法。
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