以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態における液剤塗布装置1を示している。液剤塗布装置1は、作業対象としての基材KZの表面に、液剤であるソルダレジストSRを塗布してレジスト膜RMを形成する装置である。
図1において、液剤塗布装置1は、基台11、ヘッド移動機構12、液剤塗布ヘッド13、基材保持台14および基材保持台移動機構15を備えている。また液剤塗布装置1は、基台11内に制御部16を備えている。制御部16は、ヘッド移動機構12、液剤塗布ヘッド13、基材保持台移動機構15等の各部の作動を制御する。
ヘッド移動機構12は、基台11から上方に延びて設けられた一対の支柱21によって両端が支持されて水平方向に延びたビーム22、ビーム22に取り付けられてビーム22の延びる方向に移動する移動体23および移動体23に対して昇降自在な昇降体24を備えている。本実施の形態では、説明の便宜上、ビーム22の延びる水平方向をY軸方向(左右方向)とし、これと直交する水平方向をX軸方向(前後方向)とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
液剤塗布ヘッド13は昇降体24に取り付けられており、昇降体24とともに移動体23に対して昇降する。液剤塗布ヘッド13はソルダレジストを下方に吐出する。液剤塗布ヘッド13の構成の詳細については後述する。
基材保持台14は基材KZが載置される上面を有しており、内部に図示しない吸着機構を備えている。基材保持台14は上面に基材KZが載置されたら、その基材KZを吸着機構によって吸着保持する。基材保持台移動機構15は基台11と基材保持台14との間に介在し、基材KZを保持した基材保持台14をX軸方向に移動させる。
液剤塗布ヘッド13は、移動体23の(すなわち昇降体24の)Y軸方向への移動によってY軸方向に移動し、昇降体24の昇降によってZ軸方向に移動する。液剤塗布装置1は、液剤塗布ヘッド13のY軸方向およびZ軸方向への移動動作と、基材保持台移動機構15による基材保持台14のX軸方向への移動とを組み合わせることによって、基材保持台14に保持された基材KZの表面の任意の位置の上方に液剤塗布ヘッド13を位置させることができる。
次に、液剤塗布ヘッド13について説明する。図2、図3および図4に示すように、液剤塗布ヘッド13は、ピストン押圧部設置ベース31とブロック体32を有している。ピストン押圧部設置ベース31は、連結部材33を介してヘッド移動機構12の昇降体24に連結されている。
図2、図3および図4に示すように、ブロック体32は、ピストン押圧部設置ベース31の下側に、図示しないボルト等の締結部材によって着脱自在に取り付けられている。ブロック体32には、Z軸方向に延びた複数のシリンダ34が水平方向(Y軸方向にほぼ平行な方向)に一列に並んで設けられている(図4)。
図3および図5において、ブロック体32に形成された複数のシリンダ34それぞれの下部にはノズル37が取り付けられている。ノズル37は上方に開口した有底の円筒形状を有しており、底面をZ軸方向に貫通したノズル口37Kを有している。このようにブロック体32は、下端にノズル37を有する複数のシリンダ34が水平方向に一列に並んで設けられた構成となっている。
図4および図5において、ブロック体32の内部には、ブロック体32の長手方向(Y軸方向)に延びた液剤供給路32Rが設けられている。液剤供給路32RはソルダレジストSRが供給される通路である。液剤供給路32Rは、図4に示すように、ブロック体32のX軸方向の一端側に設けられた液剤供給側接続口32Aと、ブロック体32のX軸方向の他端側に設けられたシリンジ側接続口32Bとの双方に接続している。
図4において、液剤供給側接続口32Aにはバルブ35が設けられている。シリンジ側接続口32Bにはシリンジ36が取り付けられており、シリンジ36は液剤(ソルダレジストSR)を液剤供給路32Rに圧送している。バルブ35は通常は液剤供給側接続口32Aを閉止しているが、液剤供給路32R内から液剤を抜くときや、別途用意された液剤タンクから液剤供給路32Rを通じてシリンジ36に液剤を供給するときには、液剤供給側接続口32Aを開放する。
図5に示すように、ブロック体32に形成された複数のシリンダ34それぞれは同じくブロック体32に形成された液剤供給路32Rと連通している。上述したように、シリンジ36はソルダレジストSRを液剤供給路32Rに圧送しているため、各シリンダ34には常時、液剤供給路32Rを通じてソルダレジストSRが流入し得るようになっている。
図4において、複数のシリンダ34それぞれには、ピストンユニット38が上方から挿入して取り付けられている。各ピストンユニット38は、ピストン41、スリーブ42、付勢ばね43、キャップ44およびサークリップ45を備えている(図5)。
図5および図6(a),(b)において、ピストンユニット38のピストン41は全体としてZ軸方向に延びた形状を有しており、そのZ軸方向の中間部には、水平面内に広がった鍔部51を備えている。スリーブ42は、全体としてZ軸方向に延びた中空筒状の形状を有している。図6(a),(b)に示すように、スリーブ42は大径の下段部42aと小径の上段部42bを有しており、下段部42aと上段部42bの間には下段部42aの上面の一部から成る段差面42cが形成されている。スリーブ42の内部にはピストン41が下方から挿通されている。
図6(a),(b)において、付勢ばね43は上下方向に延びた弦巻ばねから構成されている。付勢ばね43はスリーブ42の上段部42bを内部に挿通させており、下端をスリーブ42の段差面42cに当接させている。キャップ44はZ軸方向に延びた筒状の部材から構成されており、内部を上下方向に延びた貫通孔には、ピストン41が下方から挿通されている。サークリップ45はキャップ44の上方において、ピストン41の上部に取り付けられている。
各ピストンユニット38において、付勢ばね43は、スリーブ42の段差面42cと、サークリップ45(直接的にはキャップ44)との間に挟まれて押し縮められた状態になっている。ピストン41に外力が作用していない初期状態(図6(a))において、サークリップ45は、付勢ばね43の復元力によって、スリーブ42の段差面42cから遠ざかる方向(上方)に押圧されている。このため、サークリップ45と連結されているピストン41は、初期状態において、鍔部51をスリーブ42の下段部42aの下面に当接させた状態となっている。
ピストン41は、上記初期状態からスリーブ42に対して上端部41Jが押し下げられると(図6(b)中に示す矢印KF)、その全体がスリーブ42に対して下方へ相対移動する(図6(b))。これにより付勢ばね43は段差面42cとキャップ44との間で更に押し縮められる。このためピストン41を押し下げる外力が除去されると、ピストン41は付勢ばね43の復元力によってキャップ44とともに上方へ押し上げられ、初期状態(図6(a))に復帰する。
図4において、ピストン押圧部設置ベース31は、ヒータブロック61、プッシャ案内ブロック62および断熱部材63を備えている。ヒータブロック61は図示しないヒータによって加熱され、ブロック体32を常温よりも高い所定の温度に昇温させる。ブロック体32を常温よりも高い温度にまで昇温させるのは、液剤供給路32R内の液剤(ソルダレジストSR)の粘度を最適の状態にするためである。
図4および図5において、プッシャ案内ブロック62はヒータブロック61の上方に位置している。プッシャ案内ブロック62は複数のプッシャ通路62Lを有している。これら複数のプッシャ通路62Lは、ブロック体32が有する複数のシリンダ34の配置に合わせてX軸方向に一列に並んでおり、それぞれ、直下に位置するシリンダ34とZ軸方向の軸線を一致させている。各プッシャ通路62Lにはブシュ62Bが圧入されている。
図4および図5において、断熱部材63は水平面内に広がった板状の部材から成り、ヒータブロック61とプッシャ案内ブロック62との間に介装されている。断熱部材63は、ヒータによって加熱されたヒータブロック61の熱がプッシャ案内ブロック62に伝達されるのを防止する機能を有する。ヒータブロック61、プッシャ案内ブロック62および断熱部材63は、図示しないボルトによって一体に組み付けられている。
図2および図4において、ピストン押圧部設置ベース31(詳細にはプッシャ案内ブロック62)には複数のピストン押圧部70が設けられている。これら複数のピストン押圧部70は、全体として、ピストン41の並び方向(Y軸にほぼ平行な方向)に並んでいる。
図3、図4、図7(a),(b)および図8において、各ピストン押圧部70は、アーム支持部71、アーム72、押圧部材としてのプッシャ73およびピエゾ素子74を備えている。アーム支持部71は、図3および図8に示すように、複数のピストン41をその並び方向(これらの図中、符号「PJ」の軸線で表す)と直交する水平方向(X軸にほぼ平行な方向)から挟む2つのサイド領域GR1,GR2に取り付けられている。アーム72は、アーム支持部71から片持ち状態で、複数のピストン41の並び方向と直交する水平方向(X軸にほぼ平行な方向)に延びている。アーム72の先端部にはプッシャ保持部72Hが設けられている。
図7(a),(b)において、プッシャ73はZ軸方向に延びた形状を有しており下端にピストン当接部73Kを備えている(図3および図5も参照)。プッシャ73はその上端部がアーム72の先端部のプッシャ保持部72Hに保持されており、ピストン当接部73Kをプッシャ案内ブロック62に形成されたプッシャ通路62L内(詳細にはブシュ62B内)に位置させている。このためプッシャ保持部72Hがプッシャ73を上下方向に移動させるように動作すると、プッシャ73のピストン当接部73Kはブシュ62B内を昇降する。
図7(a),(b)において、ピエゾ素子74はアーム72の上側と下側にひとつずつ設けられている。上側のピエゾ素子74(上側ピエゾ素子74a)と下側のピエゾ素子74(下側ピエゾ素子74b)はそれぞれ、一端側がアーム72のプッシャ保持部72Hに連結されており、他端側がアーム支持部71に連結されている。
上下のピエゾ素子74はともに、電圧が印加されていない状態では、伸長も収縮もしていない基準長さとなっている。上下のピエゾ素子74がともに基準長さであるときのプッシャ保持部72Hの姿勢を「基準の姿勢」と称するとすると、プッシャ保持部72Hが基準の姿勢となっているとき(図7(a))、プッシャ73はZ軸方向のストロークの最下位置に位置した状態となっている(図5)。
図5に示すように、プッシャ73は、Z軸方向のストロークの最下位置に位置した状態において、ピストン当接部73Kをピストン41の上端部41Jに上方から当接させており、付勢ばね43を若干押し縮めて(付勢ばね43の復元力に抗して)、ピストン41を下方に押圧している。この状態ではピストン41の下端がノズル37の底面に上方から当接しており、ノズル口37Kはピストン41によって閉止された状態となっている。
プッシャ保持部72Hが上記基準の姿勢にある状態から上下のピエゾ素子74に電圧が印加されると、上側ピエゾ素子74aは基準長さから収縮し、下側ピエゾ素子74bは基準長さから伸長する。これによりプッシャ保持部72Hはアーム72の先端部を支点にして基準の姿勢から先端上げ方向に傾動し(図7(b)中に示す矢印RR)、プッシャ73は持ち上げられて、ピストン当接部73Kはブシュ62B内を上昇する(図7(b)および図9(a)中に示す矢印LL)。
ピストン当接部73Kがブシュ62B内を上昇すると、ピストン41は付勢ばね43の付勢力(復元力)によって押し上げられ、ピストン当接部73Kに追随してシリンダ34内を上昇する(図5→図9(a))。これによりノズル37とピストン41との間には空間SPが生じ(図9(a))、液剤供給路32R内のソルダレジストSRがシリンダ34内に流入する。
上記のようにプッシャ73が持ち上げられた状態で上下のピエゾ素子74への電圧の印加が解除されると、上側ピエゾ素子74aと下側ピエゾ素子74bはそれぞれ基準長さに戻る。これによりプッシャ保持部72Hは先端上げ方向に傾動された状態から先端を下げる方向に傾動して基準の姿勢に復帰し、プッシャ73はZ軸方向のストロークの最下位置まで降ろされて、ピストン当接部73Kはブシュ62B内を下降する(図9(b)中に示す矢印DD)。
ピストン当接部73Kはブシュ62B内を下降するとき、ピストン41の上端部41Jを下方に押圧する。これによりピストン41はシリンダ34内で押し下げられ、押し下げられたピストン41は、その下端を勢いよくノズル37の底面に当接させる。このようなピストン41の動作により、シリンダ34内に流入していたソルダレジストSRは、ノズル口37Kから下方(ブロック体32の下方)に吐出される(図9(b))。
このように本実施の形態において、ピストン押圧部70はそれぞれ、押圧部材であるプッシャ73によりピストン41を上方から押圧してシリンダ34内で押し下げることにより、シリンダ34内に供給された液剤(ここではソルダレジストSR)を、ノズル37から下方に勢いよく吐出させる構成となっている。このため液剤がペースト状のソルダレジストSRであり、その粘度が比較的高い場合であっても、その高い粘度に抗して一定量(ピストン41の上昇によって形成された空間SPの大きさに応じた一定量)の液剤をノズル37から吐出させることが可能である。
上述のように、上下のピエゾ素子74の伸縮動作はそのままプッシャ73の駆動動作に対応しており、各ピストン押圧部70が備える上下のピエゾ素子74は、制御部16により制御されてプッシャ73を上下方向に駆動し、プッシャ73にピストン41を押圧させる押圧駆動素子となっている。なお、複数のピストン押圧部70それぞれのプッシャ73の駆動動作(ピエゾ素子74の伸縮動作)は、制御部16によって個別に制御されるようになっている。
ここで、各ノズル37から吐出されるソルダレジストSRの量(吐出量)は、ピストン41がシリンダ34内を上昇するときの上昇量が大きいほど多く、上昇量が小さいほど少ない。ピストン41の上昇量は、そのピストン41に対応するピストン押圧部70の上下のピエゾ素子74の動作量(伸縮量)に対応しているので、制御部16から各ピストン押圧部70のピエゾ素子74の動作(動作量)を制御することで、複数のノズル37それぞれから吐出されるソルダレジストSRの吐出量を個別にかつ自在に調節することができる。
このように本実施の形態において、制御部16は、複数のピストン押圧部70の動作を個別に制御して、ブロック体32に一列に並んだ複数のノズル37それぞれから個別にソルダレジストSRを吐出させる吐出制御手段となっている。
前述したように、各ピストン押圧部70を構成するアーム支持部71は、複数のピストン41をその並び方向と直交する水平方向から挟む2つのサイド領域GR1,GR2に位置して設けられている。このため、複数のピストン押圧部70が全体としてピストン41の並び方向に一列に並ぶことにより、複数のアーム72も全体としてピストン41の並び方向に並ぶが、これら複数のアーム72は、図3および図8に示すように、プッシャ73を保持した先端部(すなわちプッシャ保持部72H)からアーム支持部71へ向かって延びる水平方向が、隣接するもの同士で互いに逆方向になっている。すなわち、複数のピストン41の並びの一端側に位置するピストン41から順に番号を1,2,3,・・・と付した場合、奇数の番号が付されたピストン41を駆動するピストン押圧部70のアーム72はプッシャ73から一方のサイド領域GR1に延びており、偶数の番号が付されたピストン41を駆動するピストン押圧部70のアーム72は、プッシャ73から他方のサイド領域GR2に延びている。
このような構成では、複数のピストン41の並び方向(Y軸にほぼ平行な方向)に隣接するピストン41同士の間隔(図8中に示す間隔W1)よりも、アーム支持部71のピストン41の並び方向の寸法(図8中に示す寸法W2)の方が大きい場合であっても、隣接するピストン41同士の間隔(すなわち隣接するノズル37同士の間隔を小さく取ることができる。このため、液剤塗布ヘッド13の全体をコンパクトな構成とすることができる。
本実施の形態における液剤塗布装置1では、図10に示すように、液剤塗布ヘッド13が備える複数のノズル37の並び方向(図中において、符号「NJ」の軸線で示す)は、液剤塗布ヘッド13の移動方向(Y軸方向。符号「DJ」の軸線で示す)に対し、平面視において非平行になっている。すなわち、図10に示すように、複数のノズル37の並び方向と、液剤塗布ヘッド13の移動方向とは、平面視において、所定の角度θだけ傾いた状態となっている(図11も参照)。
このため、液剤塗布ヘッド13が備える複数のノズル37は、液剤塗布ヘッド13の進行方向であるY軸方向だけでなく、液剤塗布ヘッド13の進行方向と直交する方向(X軸方向)にも複数並んだものと同等の構成となっている。なお、隣接するノズル37の間のX軸方向の間隔は、上記角度θの値が大きいほど、大きくなる。
本実施の形態では、図12に示すように、基材保持台14に保持された基材KZの表面上の領域のうち、ソルダレジストSRの着弾点として選択し得る位置を、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に並んだ多数のグリッドGDによって定めている。各グリッドGDの位置は、基材保持台14を(或いは基材保持台14に保持した基材KZを)基準とした座標(Xi,Yi:iは整数)によって表すことができる(図12)。このため、基材KZの表面におけるレジスト膜RMを形成する領域(「レジスト膜形成領域」と称する)は、そのレジスト膜形成領域内に位置する全てのグリッドGDの座標を指定することで規定することができる。
本実施の形態では、ヘッド移動機構12によって液剤塗布ヘッド13をY軸方向に移動させる動作と、基材保持台移動機構15によって基材保持台14をX軸方向に移動させる動作とを組み合わせて行うことで、全てのグリッドGDの上方を液剤塗布ヘッド13が備える複数のノズル37のいずれかが通過するようにすることができる。このため、レジスト膜形成領域内のグリッドGDの上方をノズル37が通過するときに、そのノズル37からソルダレジストSRを吐出させて対象とするグリッドGDの位置に着弾させることで、基材KZの表面に定めた任意の領域として定めたレジスト膜形成領域に、レジスト膜RMを形成することができる。
本実施の形態では、マトリクス状に配置されたグリッドGDのX軸方向の間隔であるX軸方向グリッド間隔Px(図12)は、隣接する2つのノズル37の間の間隔であるノズル間隔NL(図11)の角度θについての正弦の値(NLsinθ)と一致するように設定されている(すなわち、Px=NLsinθ)。これにより、液剤塗布ヘッド13をY軸方向に移動させるひとつの動作で、X軸方向に並ぶ複数個(ノズル37の個数)分のグリッドGDにソルダレジストSRを着弾させて、X軸方向に幅を持った帯状のレジスト膜RMを形成することができる(図10)。このような構成では、液剤塗布ヘッド13が、ノズル37の並び方向が液剤塗布ヘッド13の移動方向に対して平行であり(θ=0)、液剤塗布ヘッド13をY軸方向に移動させるひとつの動作で、X軸方向にひとつ分のグリッドGDにしかソルダレジストSRを着弾させることができない構成となっている場合と比較して、レジスト膜RMの形成に要する時間を短縮化することができる。
図13は、基材保持台14に保持された基材KZの表面の複数のグリッドGDの位置のそれぞれにソルダレジストSRが着弾した状態を示している。この図から分かるように、グリッドGDの位置に着弾したソルダレジストSRは、グリッドGDの位置を中心として平面視においてほぼ円形(ドット状)に広がった形状となる。
図13では、グリッドGDの位置に着弾したソルダレジストSRの平面視における半径Rは、X軸方向グリッド間隔Pxの半分の長さとほぼ同じ長さであり、かつ、マトリクス状に配置されたグリッドGDのY軸方向の間隔であるY軸方向グリッド間隔Py(図12も参照)の半分の長さとほぼ同じ長さになっている。このような場合には、マトリクス状に配置された複数のグリッドGDそれぞれの位置に着弾したソルダレジストSRは、Y軸方向とX軸方向それぞれに隣接して着弾した他のソルダレジストSRと十分な範囲で重なり合うため、基材KZの表面に形成されるレジスト膜RMの膜厚はその全体がほぼ均一の厚さTH(図13)になる。従って、液剤塗布ヘッド13における角度θの値は、グリッドGDの位置に着弾したソルダレジストSRの平面視における広がり具合(上記半径R)との関係に基づいて設定されることになる。
次に、本実施の形態における液剤塗布装置1を用いて、基材KZの表面の全域にレジスト膜RMを形成する場合を例とした液剤塗布装置1の動作の制御について説明する。この場合、制御部16は、図14(a)に示す第1工程、図14(b)に示す第2工程、図14(c)に示す第3工程、図14(d)に示す第4工程がこの順序で実行されるように各部の動作を制御する。
制御部16は、第1工程では、液剤塗布ヘッド13をY軸方向へ移動させながら(図14(a)中に示す矢印M1)、複数のノズル37それぞれが通過する複数のグリッドGDの位置にソルダレジストSRを着弾させる。これにより基材KZの表面には、Y軸方向に延びた帯状のレジスト膜RMが形成される(図14(a))。この工程で形成される帯状のレジスト膜RMのX軸方向の寸法である幅方向寸法HS(図14(a))は、図10に示すように、一列に並んだ複数のノズル37から成るノズル列の一端から他端までの距離の全長がZLである場合には、HS=ZLsinθとなる。
制御部16は、第2工程では、基材保持台移動機構15によって、基材保持台14を(すなわち基材KZを)、所定の移動量だけX軸方向へ移動させる(図14(b)中に示す矢印M2)。この工程で基材保持台14をX軸方向へ移動させる移動量は、第1工程で形成された帯状のレジスト膜RMの幅方向寸法HSよりも、X軸方向グリッド間隔Pxだけ大きい量であるMx(=HS-Px)とする。
制御部16は、第3工程では、第1工程とは反対の方向に液剤塗布ヘッド13を移動させながら(図14(c)中に示す矢印M3)、複数のノズル37それぞれが通過する複数のグリッドGDの位置にソルダレジストSRを着弾させる。この工程によって、基材KZの表面に、Y軸方向に延びた新たなレジスト膜RMが形成される。
第3工程で形成される新たな帯状のレジスト膜RMの幅方向寸法がHSは、第1工程で形成された帯状のレジスト膜RMの幅方向寸法HSと同じであるが、その帯状のレジスト膜RMのX軸方向の位置が、第1工程で形成された帯状のレジスト膜RMに対してMx(=HS-Px)だけずれているので、第3工程で形成された帯状のレジスト膜RMは、第1工程で形成された帯状のレジスト膜RMと、X軸方向グリッド間隔Pxだけ重なることになる。このため、第1工程で形成されたレジスト膜RMと、第3工程で形成されたレジスト膜RMとの間においても、レジスト膜RMの膜厚の均一性が維持される。
制御部16は、第4工程では、第2工程の場合と同様に、基材保持台移動機構15によって基材保持台14を、MX(=HS-Px)だけX軸横行へ移動させる(図14(d)中に示す矢印M4)。この第4工程が終了したら、制御部16は、上述の第1工程~第4工程からなるサイクルを繰り返し実行する。これにより、基材KZの表面の全域にレジスト膜RMを形成することができる。なお、基材KZの表面の全域ではなく、その一部にのみレジスト膜RMを形成しようとする場合には、レジスト膜RMを形成しようとする領域(レジスト膜形成領域)内のグリッドGDにのみソルダレジストSRを着弾させればよい。
前述したように、各ノズル37から吐出されるソルダレジストSRの量(吐出量)は、対応するピストン押圧部70からピストン41のシリンダ34内での上昇量を制御することで所望に変化させることができる。このため、基材KZの表面上の局所的な部分におけるソルダレジストSRの吐出量(グリッドGDの位置に着弾するソルダレジストSRの量)を自在に調整することができ、基材KZの表面に凹凸形状があるような場合であっても、凹部ではソルダレジストSRの吐出量を多くし、凸部ではソルダレジストSRの吐出量を少なくすることで、基材KZの表面の凹凸形状によらず、形成される液剤の膜(レジスト膜RM)の膜高さを均一にすることが可能である。
また、本実施の形態における液剤塗布ヘッド13では、前述したように、ブロック体32はピストン押圧部設置ベース31の下側に着脱自在に取り付けられた構成となっており、ヘッド移動機構12の昇降体24にピストン押圧部設置ベース31が連結された状態のまま、ブロック体32をピストン押圧部設置ベース31から取り外すことができる(図15)。このため、ソルダレジストSRの吐出部であってメンテナンスが頻繁に必要となるノズル37のほか、シリンダ34、ピストン41および液剤供給路32R等のメンテナンス作業を容易に行うことが可能である。
以上説明したように、本実施の形態における液剤塗布装置1が備える液剤塗布ヘッド13では、ピストン41をプッシャ73により押圧してシリンダ34内で押し下げることで液剤をノズル37から吐出させるようになっているので、比較的粘度が高いソルダレジストSRのようなペースト状の液剤であってもノズル37から一定量を確実に吐出させることができる。また、複数のピストン押圧部70を個別に制御することで、各ノズル37からのソルダレジストSRの吐出量を調節できるので、基材KZの表面上の局所的な部分において凹凸形状がある場合には、その凹凸部の高さに応じてソルダレジストSRの吐出量を変えることが可能である。このため本実施の形態における液剤塗布ヘッド13(液剤塗布ヘッド13を用いた液剤塗布装置1)によれば、基材KZの表面の凹凸形状によらず、比較的粘度が高いペースト状の液剤(例えばソルダレジストSR)をほぼ均一の膜高さで塗布することができる。
また、本実施の形態における液剤塗布ヘッド13では、複数のシリンダ34がそれぞれブロック体32に直接形成された構成であるため、複数のシリンジを横方向に並べて設けたような構成と異なり、隣接する液剤の吐出口(本実施の形態ではノズル口37K)同士の間隔を極めて密にすることができる。このため、基材KZの表面で隣り合うドット状のソルダレジストSRの間隔を小さくすることができ、液剤塗布ヘッド13のコンパクト化に資するだけでなく、きめの細かいソルダレジストSRの塗布制御を行うことが可能である。
また、本実施の形態における液剤塗布ヘッド13では、各ピストン41を下方に押圧するピストン押圧部70が、アーム支持部71から複数のピストン41の並び方向と直交する水平方向に延びたアーム72によってプッシャ73をZ軸方向に駆動する構成となっており、各プッシャ73を押圧するシリンダ機構をピストン41の列の上方に一列に配置した場合等と比較して極めてコンパクトな構成となっている。しかも、本実施の形態では、ピストン41の並び方向に並んだ複数のアーム72は、プッシャ73を保持した先端部からアーム支持部71に向かって延びる水平方向が、隣接するもの同士で互いに逆方向になっている。このため、複数のピストン41の並び方向(Y軸にほぼ平行な方向)に隣接するピストン41同士の間隔よりも、アーム支持部71のピストン41の並び方向の寸法の方が大きい場合であっても、隣接するピストン41同士の間隔(すなわち隣接するノズル37同士の間隔を小さく取ることができ、この面でも液剤塗布ヘッド13の全体をコンパクトな構成にすることができる。
また、本実施の形態における液剤塗布装置1では、複数のノズル37の並び方向が、液剤塗布ヘッド13の移動方向に対して平面視において非平行であり、液剤塗布ヘッド13の移動方向と直交する水平方向にもノズル37が複数並んでいるのと同等の構成になっている。このため、基材KZに対して液剤塗布ヘッド13を移動させながら各ノズル37からソルダレジストSRを吐出させることで、液剤塗布ヘッド13の移動方向と直交する方向に広がった帯状のレジスト膜RMを基材KZの表面に形成することができ、レジスト膜RMの形成に要する時間を短縮化することが可能である。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、液剤塗布装置1によって基材KZに塗布する液剤はソルダレジストSRであったが、これは一例であり、液剤はソルダレジストSRに限定されない。
また、上述の実施の形態において示したピストン押圧部70は、ピストン41を上方から押圧してシリンダ34内で押し下げることができればよく、上述の実施の形態に示した構成のものに限定されない。また、制御部16により制御されてプッシャ73を上下方向に駆動する押圧駆動素子として、上述の実施の形態ではピエゾ素子を例示したが、押圧駆動素子は必ずしもピエゾ素子でなくてもよい。