以下に本発明の実施形態として第1から第3の各実施形態を例に挙げ、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
まず本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るコネクタの全体斜視図である。なお以下の説明において、上下、左右、および前後の各方向(互いに直交する方向)は、図1などに示す通りである。なおこれらの方向は、コネクタ側から見た接続対象の位置する方向が前方と一致するように、便宜的に定義したものに過ぎない。当該定義により、実際に機器に組み込む際のコネクタの向き等が限定されるものではない。
図1に示すコネクタ5は、一例として、スマートフォン等の携帯装置に組み込まれ、プリント基板等のベース部材(被接続対象の一例)と、アンテナ部材(接続対象の一例)との電気的な接続(電気を導通させる接続)を確保する用途に用いられる。このような用途では、特にコネクタの高さ寸法の抑制(低背化)が強く要求される。なお、本発明に係るコネクタは、この用途に限られるものではなく、例えば、ベース部材とシャーシ等を短絡させてベース部材を接地する用途に用いることもできる。
図1に示すコネクタ5は、弾性部材1と、弾性部材1を保持する保持部材2と、を備えている。弾性部材1と保持部材2とは、例えば、別々に形成される部材であり、それぞれ金属板等の導電性の板材を折り曲げ加工、切欠き加工、押出し加工などすることにより形成される。弾性部材1と保持部材2の両方とも、左右対称の形状に形成されている。
弾性部材1は、接触部10と、左側支持部11と、右側支持部12と、を有する。接触部10は、前方から見て上下左右の各辺を有する矩形状の平板部を有し、平板部における前向きの平面の略中央には、前方に隆起した隆起部101が設けられる。隆起部101に、接触対象としてのアンテナ部材(不図示)の接点が接触される。
左側支持部11は、接触部10の左側に連接する。左側支持部11は、接触部10から斜め左後方へ傾斜するように伸びて形成される。右側支持部12は、接触部10の右側に連接する。右側支持部12は、接触部10から斜め右後方へ傾斜するように伸びて形成される。左右の各支持部11、12は、何れも上下方向を幅方向とする板状となっており、接触部10から伸びる方向および幅方向に直交する方向が板厚方向である。弾性部材1は、接触部10を左右に二分する平面(隆起部101を通る平面)を対称面として、左右対称の形状に形成されている。また弾性部材1の形状は、上下にも対称となっている。
接触部10の上下の縁それぞれからは、ガイド部102、103が後向きに延出する。保持部材2は、後壁部20と、右側カバー部21と、左側カバー部22と、下側側壁部23と、上側側壁部24と、を有する。後壁部20の後向き面には、被接続対象としてのプリント基板等のベース部材(不図示)が半田付けなどにより固定される。
右側カバー部21は、後壁部20の右側端部の下側縁から前方向および上方向の順に折り曲げられるようにして形成され、後壁部20の前向き面S1の右端部を覆う。右側カバー部21の端部は、上側側壁部24の右側端部の前側縁に対して溶接により固定される。上側側壁部24は、後壁部20の上側縁から前向きに延出して形成される。下側側壁部23は、後壁部20の下側縁から前向きに延出して形成される。
後壁部20の右側端部、右側カバー部21、および上側側壁部24の右側端部によって右側収容壁部251が形成される。右側支持部12の先端部は、後壁部20の前向き面S1に接しつつ、右側収容壁部251の内側に形成されるスペースに収容される。
左側カバー部22は、後壁部20の左側端部の下側縁から前方向および上方向の順に折り曲げられるようにして形成され、後壁部20の前向き面S1の左端部を覆う。左側カバー部22の端部は、上側側壁部24の左側端部の前側縁に対して溶接により固定される。
後壁部20の左側端部、左側カバー部22、および上側側壁部24の左側端部によって左側収容壁部252が形成される。左側支持部11の先端部は、後壁部20の前向き面S1に接しつつ、左側収容壁部252の内側に形成されるスペースに収容される。なおコネクタ5を製造する際には、右側カバー部21および左側カバー部22を形成する前に、弾性部材1を保持部材2に(前向き面S1へ載置するように)位置決めしておき、その後に各カバー部21、22を形成するようにしても良い。
左側支持部11および右側支持部12は、接触部10を前向き面S1の前側へ支持するよう形成される。なお、左右の各支持部11、12の上下方向寸法(幅方向寸法)は概ね一定であり、後壁部20の前向き面S1の上下方向寸法(換言すれば、下側側壁部23と上側側壁部24の内面同士の間隔)よりも少し小さくなっている。
図2は、右側カバー部21を削除した状態でのコネクタ5の全体斜視図を上段に示し、当該図の右側カバー部21付近の拡大図(A箇所の拡大図)を下段に示す。なお、左側カバー部22側の内部構成については、右側カバー部21側の構成と同様である。
後壁部20の右側端部には、当該右側端部の縁から左側へ向かって伸びるよう切欠き部201が形成される。この切欠き部201の左側縁からは、右方向へ向かって伸びた後、前方向へ伸びるよう突起202が形成されている。一方、後壁部20の左側端部には、当該左側端部の縁から右側へ向かって伸びるよう切欠き部201が形成される。この切欠き部201の右側縁からは、左方向へ向かって伸びた後、前方向へ伸びるよう突起202が形成されている。
右側支持部12の端部近傍には、右側支持部12の接触部10から伸びる方向(つまり、斜め右後方)に見て、手前側の縁121A(斜め左前側の縁)と奥側の縁121B(斜め右後側の縁)とを有する開口部121が形成される。この開口部121の上記奥側には、上記手前側へ伸びるよう突出部122が形成される。一方、左側支持部11の端部近傍には、左側支持部11の接触部10から伸びる方向(つまり、斜め左後方)に見て、手前側の縁121A(斜め右前側の縁)と奥側の縁121B(斜め左後側の縁)とを有する開口部121が形成される。この開口部121の上記奥側には、上記手前側へ伸びるよう突出部122が形成される。
図2は、前方から接触部10を押圧する力を加えていない状態(以下、「初期状態」と称することがある。)のコネクタ5を示している。この状態で、弾性部材1の弾性力によって、突起202には、突出部122の縁(すなわち、縁121B)が僅かに押圧されて当接する。左側カバー部22の内側においても、同様に後壁部20に形成された突起に、左側支持部11に形成された開口部111における左側支持部11の伸びる方向の奥側の縁(不図示)が僅かに押圧されて当接する。
図2に示すコネクタ5の初期状態に対応するコネクタ5の断面図を図4(a)に示す。なお本願での断面図は、特に断りの無い限り、コネクタを上下にほぼ二等分する平面で切断した場合の断面図であるとする。初期状態では、左右両側の突起と開口部の縁が当接されることで、弾性部材1の左右方向位置を規制し、接触部10の左右方向中央位置をセンター位置C1(保持部材2の左右方向中央位置)に合わせることができる。この初期状態における接触部10の平面部は、後壁部20と平行である。
初期状態のコネクタ5において、接触部10(隆起部101)にアンテナ部材によって後方へ押圧する力(図4の力F1)が加えられた場合、左側支持部11は、傾きを変えながら先端部近傍が前向き面S1上を左方向へスライドするように弾性変形し、右側支持部12は、傾きを変えながら先端部近傍が前向き面S1上を右方向へスライドするように弾性変形する。このように弾性部材1が弾性変形した状態においては、弾性部材1はその弾性力によって元の状態に戻ろうとするため、接触部10は前方へ付勢されることになる。
図3は、接触部10が押圧されて最も後方へ移動した状態(以下、「押し込み状態」と称することがある。)でのコネクタ5の全体斜視図を上段に示し、当該図のA箇所の拡大図を下段に示す。この押し込み状態では、右側カバー部21の内側において、突起202が開口部121の縁121A(上記手前側の縁)に当接されて、右側支持部12のスライドが制限される。同様に、左側カバー部22の内側においても、突起が開口部111の上記手前側の縁に当接されて、左側支持部11のスライドが制限される。
このように、保持部材2の左右にそれぞれ設けられる突起は、左側支持部11と右側支持部12のそれぞれのスライドの可動域を規制する規制部として機能する。図3に示すように、左右の支持部11、12がそれぞれ規制されるまでスライドした状態で、図4(b)に示すように接触部10の左右方向中央位置がセンター位置C1に合わせられる。この状態で、接触部10(隆起部101)は弾性力によって不図示のアンテナ部材の接点を押圧して保持されるので、保持部材2に固定されたベース部材とアンテナ部材との電気的な接続をより確実に保持することができる。なお、保持部材2とベース部材が半田付け固定されていれば、これら双方間の電気的接続を容易に確保することが出来る。
接触部10に後方へ押圧する力を加える過程において、左右の支持部11、12が異なる速度で(左右非対称な形態で)スライドしたとしても、いずれかの支持部が有する開口部の縁が突起に先に当接し、その状態にて他方の支持部の開口部の縁が突起に当接するので、接触部10の左右方向中央位置はセンター位置C1に自動的に位置決めされる。この状態における接触部10の平面部は、後壁部20と平行である。
以上のように、例えば右側においては、同じ突起202によって初期状態(図2)と押し込み状態(図3)の両方における右側支持部12の移動を規制することができるので、構成を容易化することができる。
ここで、図9は、本実施形態との比較例としてのコネクタ50の全体斜視図を左方に、側面図を右方に示す。コネクタ50は、弾性部材501と、保持部材502と、を備える。弾性部材501は接触部5011を有する。弾性部材501の接触部5011と反対側の一端部は、保持部材502に固定される。接続対象を接触部5011に接触させて後方へ押圧する力を加えることで、保持部材502に固定された被接続対象と接続対象との電気的な接続を保持する。
図9のコネクタ50は、支持部501の一端のみが保持部材502に固定される片持ち状態であるため、接触部5011に上下方向の力(力F2)が加えられた場合、接触部5011は変位しやすい。また、接触部5011に後方へ押圧する力(力F3)を加えた場合、接触部5011は、図9右方の実線矢印のように右方へ移動してしまい、真後ろへ移動させることができない。
これに対し、本実施形態のコネクタ5であれば、左右の支持部11、12により接触部10が支持される構成であるため、接触部10に上下方向の力が加えられた場合でも、接触部10が変位しにくい。また、左右の支持部11、12がそれぞれ左右の収容壁部252、251の内壁により上下方向の移動を規制される。
また、接触部10に後方へ押圧する力を加えた場合に、接触部10の左右方向中央位置を初期状態でのセンター位置に保持したまま、接触部10を真後ろへ移動させることが可能である。
また、本実施形態のコネクタ5によれば、左右の支持部11、12の開口部の上記奥側の縁と突起との当接による干渉、および左右の支持部11、12の各先端部と各収容壁部252、251との干渉により、例えば接触部10を前方向に引っ張った場合に、支持部が保持部材2から離脱されることを阻止し得る。
また、初期状態(図5の左方)において接触部10に後方に押圧する力を加えた場合、ガイド部102、103が後方へ移動し、初期状態から所定量移動したところでガイド部102、103は、下側側壁部23と上側側壁部24によって挟まれる状態となる。そして更に接触部10が押し込まれると、ガイド部102、103によってガイドされつつ接触部10は後方に移動し、左右の支持部11、12のスライドが規制された状態となる(図5の右方)。これにより、接触部10を上下方向の移動を規制しつつ押し込むことが可能となる。
なお、同様の効果を得るには、接触部を後方へ所定量移動させたときに上下の各ガイド部によって上下の各側壁部が挟まれる状態となるよう構成してもよい。
また、コネクタ5を搬送して装置へ実装する際に、コネクタ5を吸着して搬送するためのノズルを利用することが可能である。図6(a)は、一例として円筒型のノズルN1にコネクタ5を吸着させた状態の前方視点による模式図であり、図6(b)は、当該状態の下方視点による模式図である。なお図の見易さを考慮して、図6(a)においては、ノズルN1の側壁のみを表示し、図6(b)においては、ノズルN1を上下二分割した場合の断面を表示している。また図7は、図6(b)に示された状態について、ノズルN1の先端部付近を拡大表示した図である。
コネクタ5をノズルN1により吸着する場合、ノズルN1の内壁側に形成される開口部NHの内部に接触部10の隆起部101が収容されるようにノズルN1の端面NSを接触部10の平面上に当接させる。この状態で開口部NH内の気圧を減圧すれば、コネクタ5がノズルN1に吸着される。
図7に示すように、隆起部101は、前後方向を軸とする回転体の側面形状であって、前方へ進むにつれて径方向寸法が小さくなる形状とされている。これにより、ノズルN1の位置ずれによってノズルN1の端面NSが仮に隆起部101の側面に接触した場合でも、ノズルN1が接触部10側へ移動すると、端面NSが隆起部101の側面上を摺動し、開口部NH内部に隆起部101が収容されるようにノズルN1またはコネクタ5が移動する。このように、隆起部101の側面のテーパー形状により、ノズルN1とコネクタ5との位置ずれを自動的に解消し、ノズルN1によって安定的にコネクタ5を吸着することが可能となる。
また本実施形態では、接触部10の中でも隆起部101の先端が最も前方に突出しており、この先端を接続対象に接触させることが出来る。これにより、コネクタ5と接続対象との接触を点接触あるいはこれに近い状態とし、接触面積を小さくして双方の接触状態を安定させることが可能となる。このように隆起部101は、ノズルN1を用いた安定的な吸着を可能とする役割と、接続対象との接触状態を安定させる役割の両方を兼ねている。なお隆起部101は、例えば接触部10の平板部に後側からプレス加工を施すことで、容易に形成され得る。
また、図8に示すように、コネクタ5の構成であれば、接触部10と左右の支持部11、12それぞれとのなす角度を調整することで接触部10の高さを変更することが容易である。図8の例であれば、接触部10と右側支持部12とのなす角度をθ1(約150度)、θ2(約160度)と設定することにより、それぞれ接触部10の高さをH1、H2と変更することができる。そのため、例えば同等形状の金属板材を用いながら、製品仕様等に応じて、接触部10の高さを種々変更したコネクタ5を製造することも容易である。
なお、接触部10を後方へ押圧する力(接触力)と、接触部10の保持部材2からの高さである製品高さ(図4の製品高さH)との関係は、接触力を大きくする程、製品高さがリニアに低くなる関係となる。製品仕様の一例としては、接触力0gのときに製品高さが0.9mmとなり、接触力95gfのときに製品高さが0.3mmとなるようにし、この範囲内でワーキングエリアが設定される。
また上記実施形態では、左右の支持部11、12は共にスライドすることが可能な構成としたが、いずれか一方の支持部を保持部材2に固定し、他方のみをスライド可能に構成してもよい。このようにしても、従来技術に比べて、接触部10に上下方向の力が加えられた場合に接触部10が変位し難くなるという効果を得ることができる。
また、上記実施形態では支持部の数は左右の2つとしたが、例えば、左右に加えて上下方向へ更に伸びる支持部を設け、合計4つの支持部を接触部10に連接させてもよい。ただし、先の実施形態のほうが、少ない支持部で効率良く、安定した接触部10の支持が可能となる。
また、コネクタ5の製造時に、左右の支持部11、12のいずれかの先端部が上側側壁部24の端部と一体化し、弾性部材1が図1とは表裏逆となるように折り返された状態から、弾性部材1を図1の状態へ折り返し、支持部と上側側壁部24とを接続する部分を切断してもよい。これにより、1枚の金属板などの板材からコネクタ5を効率的に製造することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と同様の構成については詳述を省き、相違点について主に説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係るコネクタの全体斜視図である。図10(a)は、当該コネクタの斜め前方から見た斜視図であり、図10(b)は、当該コネクタの斜め後方から見た斜視図である。
図10に示すコネクタ51は、導電性の弾性部材1と、保持部材2と、を備える。弾性部材1は、接触部10、左側支持部11および右側支持部12を有する。接触部10に連接する左側支持部11は、伸びる方向の奥側において二股に分かれて形成される接触片1101と接触片1102を有する。接触部10に連接する右側支持部12は、伸びる方向の奥側において二股に分かれて形成される接触片1201と接触片1202を有する。接触片1101および1102の各先端部は、保持部材2に含まれる左側収容壁部252の内部に収容される。接触片1201および1202の各先端部は、保持部材2に含まれる右側収容壁部251の内部に収容される。
保持部材2に含まれる後壁部20においては、接触片1101、1102にそれぞれ対応する位置に前後に貫通する開口部2013、2014が形成される。すなわち、開口部2013、2014それぞれを介して接触片1101、1102が後面側に露出する。また、後壁部20においては、接触片1201、1202にそれぞれ対応する位置に前後に貫通する開口部2011、2012が形成される。すなわち、開口部2011、2012それぞれを介して接触片1201、1202が後面側に露出する。
後壁部20の後面側には、不図示のプリント基板等のベース部材(図13のベース部材61)が配置される。接触片1101、1102、1201、および1202は、それぞれ後方へ傾斜するように伸びてベース部材(被接続対象)の前向き面(図13の前向き面S2)に開口部2013、2014、2011および2012を介して接する。
図11は、右側カバー部21を削除した状態でのコネクタ51の全体斜視図を上段に示し、当該図の右側カバー部21付近の拡大図(B箇所の拡大図)を下段に示す。なお、左側カバー部22側の内部構成については、右側カバー部21側の構成と同様であるので、説明は省く。
後壁部20における右側支持部12の伸びる方向の奥側には、第1孔部2015が形成される。第1孔部2015の上記奥側の縁からは、手前側へ向かって伸びた後、前方向へ伸びるよう第1突起2016が形成される。また、右側支持部12は、接触片1201の先端部と1202の先端部とを架橋する架橋部1203を有する。
図11は、アンテナ部材によって接触部10を押圧する力を加えていない初期状態での図であり、この状態で、弾性部材1の弾性力によって、第1突起2016には、架橋部1203が押圧されて当接する。左側カバー部22の内側においても、同様に後壁部20に形成された突起に、左側支持部11に形成された架橋部が押圧されて当接する。
図11に示すコネクタ51の初期状態に対応するコネクタ51の側面図を図13(a)に示す。初期状態では、左右両側の突起と架橋部が当接されることで、弾性部材1の左右方向位置を規制し、接触部10の左右方向中央位置をセンター位置C1に合わせることができる。
初期状態のコネクタ51において、接触部10(隆起部101)にアンテナ部材62によって後方へ押圧する力が加えられた場合、左側支持部11は傾きを変えながら弾性変形し、接触片1101、1102がベース部材61の前向き面S2上を左方向へスライドする。このとき、右側支持部12は傾きを変えながら弾性変形し、接触片1201、1202がベース部材61の前向き面S2上を右方向へスライドする。
図12は、接触部10の押圧が完了した状態でのコネクタ51の全体斜視図を上段に示し、当該図のB箇所の拡大図を下段に示す。後壁部20における右側支持部12の伸びる方向の手前側には、第2孔部2017が形成される。第2孔部2017の上記手前側の縁からは、奥側へ向かって伸びた後、前方向へ伸びるよう第2突起2018が形成される。
図12に示す状態では、第2突起2018が、接触片1201、1202、および架橋部1203によって囲まれて形成される開口部1204の上記手前側の縁に当接され、右側支持部12のスライドが制限される。同様の原理によって、左側支持部11のスライドも制限される。
このように、保持部材2の左右にそれぞれ設けられる第2突起は、左側支持部11と右側支持部12のそれぞれのスライドの可動域を規制する規制部として機能する。図12に示すように、左右の支持部がそれぞれ規制されるまでスライドした状態で、図13(b)に示すように接触部10の左右方向中央位置がセンター位置C1に合わせられる。この状態で、接触部10(隆起部101)は弾性力によってアンテナ部材62の接点を押圧して保持され、接触片1101、1102、1201、および1202は、それぞれベース部材61の接点を押圧して保持される。これにより、ベース部材61とアンテナ部材62との電気的な接続をより確実に保持することができる。
本実施形態では弾性部材1がベース部材61へ直接接触するため、必ずしも保持部材2とベース部材61との電気的接続を確保する必要は無く、半田付けを省略してこれら双方間の固定を簡易的なものとすることも可能である。また、左右の支持部材11、12によって直接的に電気的な接続を確立できるので、保持部材2は必ずしも導電性である必要はなく、樹脂等の絶縁材から構成されてもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と同様の構成については詳述を省き、相違点について主に説明する。図14は、本発明の第3実施形態に係るコネクタ52の全体斜視図であり、図15は、コネクタ52を前方から見た構成図である。また図16は、初期状態であるコネクタ52の断面図である。第3実施形態(後述する第4実施形態も同様)では、弾性部材1と保持部材2の両方とも左右対称かつ上下対称の形状に形成されており、これらを用いて形成されるコネクタも、左右対称かつ上下対称の形状に形成されている。これにより、左右および上下方向でのコネクタの特性の偏り等を抑制することが可能である。
本実施形態における保持部材2は、右側カバー部21と左側カバー部22が設けられていない(省略されている)点で、第1実施形態における保持部材2とは異なっている。その代わりに第3実施形態のコネクタ52では、初期状態において、保持部材2の左側の突起202が、弾性部材1の左側の開口部121における右側の縁に引っ掛かり、かつ、保持部材2の右側の突起202が、弾性部材1の右側の開口部121における左側の縁に引っ掛かることにより、弾性部材1が保持部材2から離脱することは阻止される。
より詳細に説明するとコネクタ52では、図16に示すように、右側の突起202は、右側の切欠き部201の左側の縁からほぼ前方向へ伸びた部分P1と、当該部分P1の伸びた方向の先端から左方向へ伸びた部分P2を有するように形成されている。また、左側の突起202は、左側の切欠き部201の右側の縁からほぼ前方向へ伸びた部分P3と、当該部分P3の伸びた方向の先端から右方向へ伸びた部分P4を有するように形成されている。一方、初期状態では、弾性部材1の右側の開口部121の左側の縁は、右側の突起202の先端位置α1よりも右寄りに位置し、左側の開口部121の右側の縁は、左側の突起202の先端位置α2よりも左寄りに位置する。
また、右側支持部12の右端近傍が前方へ僅かに曲げられたことにより、右側支持部12の最も後側に位置する後端部分P5は丸みを帯びた曲面状となっている。更に、左側支持部11の左端近傍が前方へ僅かに曲げられたことにより、左側支持部11の最も後側に位置する後端部分P6も丸みを帯びた曲面状となっている。上記の各部分P5、P6は初期状態においても後壁部20に接しており、アンテナ部材62(接続対象の一例)により接触部10が後方へ押圧されると、これらの部分P5、P6が後壁部20の前面をスライドしながら弾性部材1が変形し、最終的にコネクタ52は押し込み状態となる。この押し込み状態では、アンテナ部材62は下側側壁部23および上側側壁部24の前端縁に当たっているため、アンテナ部材62がこれ以上後方に移動することは阻止される。
また本実施形態では、下側側壁部23および上側側壁部24の内側の面の左右方向中央位置において、内側に突出した接触用突起Pxが設けられている。すなわち、下側側壁部23の上側の面においては上方へ突出した接触用突起Px(下側の接触用突起Px)が設けられ、上側側壁部24の下側の面においては下方へ突出した接触用突起Px(上側の接触用突起Px)が設けられている。
初期状態において、下側の接触用突起Pxは下側のガイド部102に接触し、上側の接触用突起Pxは上側のガイド部103に接触している。更に、接触部10が後方へ押圧されて弾性部材1が変形する際、下側の接触用突起Pxは下側のガイド部102をスライドし、上側の接触用突起Pxは上側のガイド部103をスライドするようになっており、上下における接触用突起Pxとガイド部102、103との接触は常に維持される。
これにより弾性部材1と保持部材2が接触する箇所として、右側支持部12の後端部分P5および左側支持部11の後端部分P6の2箇所に加え、少なくとも、上下における接触用突起Pxの2箇所が確保される。このように弾性部材1と保持部材2の接触箇所を多く確保したことにより、弾性部材1(接触部10)に接触する接続対象と保持部材2(後壁部20)に接触する被接続対象との間における電気抵抗を低減させることができ、高周波信号の伝送等においても有利となっている。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と同様の構成については詳述を省き、相違点について主に説明する。図17は、本発明の第4実施形態に係るコネクタ53の全体斜視図である。図18は、初期状態であるコネクタ53の断面図であり、図19は、押し込み状態であるコネクタ53の断面図である。また図20は、コネクタ53の組立て前の状態における各部品1、2の斜視図であり、図21は、図20に示す各部品1、2を下方から見た図である。また、図22はコネクタ53の六面図であり、平面図は前方視点の図に相当する。本図において、右側面図は左側面図と同じであるため省略し、背面図は正面図と同じであるため省略している。
本実施形態の保持部材2は一例として、左右方向寸法は3.5mm程度、上下方向寸法は1.2mm程度、および前後方向寸法(後壁部20の後向き面から各側壁部23、24の前端までの距離)は0.3mm程度となっている。また、初期状態であるコネクタ52の前後方向寸法(後壁部20の後向き面から隆起部101の先端までの距離)は、0.52mm程度となっている。
本実施形態における各支持部11、12に設けられた開口部121は、図20等に示すように、左または右側の端部が閉じられておらず開放されており、左または右側の縁に設けた切欠きの形状となっている。左側支持部11の開口部121は、左側支持部11の左寄り部分における上下方向中央領域に形成されており、前後へ貫通するとともに左側が閉じられていない(上下と右側は閉じられている)。右側支持部12の開口部121は、右側支持部12の右寄り部分における上下方向中央領域に形成されており、前後へ貫通するとともに右側が閉じられていない(上下と左側は閉じられている)。これにより、左側支持部11の左寄り部分には、上側の延出部11Uと下側の延出部11Dがそれぞれ斜め左後方へ伸びるように形成されており、これらの延出部11U、11Dの間に開口部121が存在している。また、右側支持部12の右寄り部分には、上側の延出部12Uと下側の延出部12Dがそれぞれ斜め右後方へ伸びるように形成されており、これらの延出部12U、12Dの間に開口部121が存在している。
なお、各突起202は各開口部121を後方から貫通するように設けられている。各開口部121の大きさは、弾性部材1が初期状態から押し込み状態まで変形しても、各突起202が各開口部121の縁へ当たらないように設定されている。
本実施形態における保持部材2は、右側カバー部21と左側カバー部22が設けられていない(省略されている)点で、第1実施形態における保持部材2とは異なっている。その代わりに第4実施形態のコネクタ53では、初期状態において、保持部材2の左側の突起202が、弾性部材1の左側の開口部121における右側の縁に引っ掛かり、かつ、保持部材2の右側の突起202が、弾性部材1の右側の開口部121における左側の縁に引っ掛かることにより、弾性部材1が保持部材2から離脱することは阻止される。
より詳細に説明するとコネクタ53では、図18に示すように、右側の突起202は、右側の切欠き部201の右側の縁からほぼ前方向へ伸びた部分P1と、当該部分P1の伸びた方向の先端から左方向へ伸びた部分P2を有するように形成されている。また、左側の突起202は、左側の切欠き部201の左側の縁からほぼ前方向へ伸びた部分P3と、当該部分P3の伸びた方向の先端から右方向へ伸びた部分P4を有するように形成されている。一方、初期状態では、弾性部材1の右側の開口部121の左側の縁は、右側の突起202の先端位置α1よりも右寄りに位置し、左側の開口部121の右側の縁は、左側の突起202の先端位置α2よりも左寄りに位置する。そのため、左側の突起202が左側の開口部121の縁に引っ掛かり、右側の突起202が右側の開口部121の縁に引っ掛かることになる。
また、右側支持部12の右端近傍(上側の延出部12Uと下側の延出部12Dのそれぞれの右端近傍)が前方へ僅かに曲げられたことにより、右側支持部12の最も後側に位置する後端部分P5は丸みを帯びた曲面状となっている。更に、左側支持部11の左端近傍(上側の延出部11Uと下側の延出部11Dのそれぞれの左端近傍)が前方へ僅かに曲げられたことにより、左側支持部11の最も後側に位置する後端部分P6も丸みを帯びた曲面状となっている。
上記の各部分P5、P6は初期状態においても後壁部20に接しており、アンテナ部材62(接続対象の一例)により接触部10が後方へ押圧されると、これらの部分P5、P6が後壁部20の前面をスライドしながら弾性部材1が変形し、最終的にコネクタ52は押し込み状態(図19を参照)となる。初期状態では、下方視による接触部10と各支持部12、13との角度θは160°程度(図18を参照)であるのに対し、押し込み状態での当該角度θは170°以上となっている。初期状態における当該角度は、135°~175°の範囲内であることが望ましく、特に150°~170°の範囲内であることが好ましい。
この押し込み状態では、アンテナ部材62は下側側壁部23および上側側壁部24の前端縁に当たっているため、アンテナ部材62がこれ以上後方に移動することは阻止される。また、この押し込み状態では、後述する各ガイド部102L、102R、103L、103Rが後壁部20に当たることによっても、アンテナ部材62がこれ以上後方に移動することは阻止される。なお弾性部材1は、左側支持部11における上側の延出部11Uと下側の延出部11D、および、右側支持部12における上側の延出部12Uと下側の延出部12Dの、少なくとも計4箇所で後壁部20の前面に接触する。そのため本実施形態では、接続対象と被接続対象との間に当該接触による並列回路が形成される格好となり、これらの間における電気抵抗を低減させることができ、高周波信号の伝送等においても有利となっている。
本実施形態では、第1実施形態での各ガイド部102、103に相当する部分は、左右に分けて設けられている。すなわち図20に示すように、接触部10の上側の縁においては、左寄りの箇所からはガイド部103Lが、右寄りの箇所からはガイド部103Rが、それぞれ後向きに延出している。また、接触部10の下側の縁においては、左寄りの箇所からはガイド部102Lが、右寄りの箇所からはガイド102Rが、それぞれ後向きに延出している。また、下側側壁部23における左右に離れた所定の2箇所それぞれには、下側側壁部23の一部が上方へ突出するように折り曲げられた突出片23L、23Rが設けられている。更に、上側側壁部24における左右に離れた所定の2箇所それぞれには、上側側壁部24の一部が上方へ突出するように折り曲げられた突出片24L、24Rが設けられている。
突出片23Lの右側の面は、ガイド部102Lの左側の縁に近接しており、突出片23Rの左側の面は、ガイド部102Rの右側の縁に近接しており、突出片24Lの右側の面は、ガイド部103Lの左側の縁に近接しており、突出片24Rの左側の面は、ガイド部103Rの右側の縁に近接している。これにより、上側側壁部24に設けられた各突出片24L、24Rは、上側のガイド部103L、103Rの左右方向への動きを阻止し、下側側壁部23に設けられた各突出片23L、23Rは、下側のガイド部102L、102Rの左右方向への動きを阻止する。そのため、接触部10の左右への位置ずれを防ぐことができ、接触部10の左右方向位置をセンター位置に位置決めすることが可能であるとともに、接触部10の傾きもより確実に防ぐことができる。これにより、接触部10の前面(コネクタ53をノズルに吸着させる際の吸着面)を水平に維持することができ、ノズルでコネクタ53を吸着する際の吸着ミス(吸着漏れ等)をより確実に防ぐことができる。
また、左側支持部11および右側支持部12それぞれは、上側の縁の概ね中央部(図17に示す部分Q1)で上側側壁部24に近接しており、下側の縁の概ね中央部(図17に示す部分Q2)で下側側壁部23に近接している。これにより、弾性部材1の上下への位置ずれを防ぐことができ、弾性部材1の上下方向中央位置と保持部材2の上下方向中央位置を常時一致させることが可能である。なお図18に示すように、初期状態における弾性部材1の前後方向位置については、左右それぞれにおいて突起202が開口部121の縁に引っ掛かることで位置決めされる。
またコネクタ53の製造工程の一例としては、図20および図21に示す状態(左右の突起202が斜め前方へ伸びた状態)の保持部材2に対し、突起202が開口部121を通るように弾性部材1を接近させる第1工程と、第1工程の後に左右の突起202を図18に示す状態に折り曲げる第2工程と、を含む工程が挙げられる。第2工程が行われた後は、コネクタ53の左右それぞれにおいて突起202が開口部121の縁に引っ掛かるため、弾性部材1の離脱は抑制される。なお、弾性部材1と保持部材2の両方とも左右対称かつ上下対称の形状に形成されているため、第1工程において弾性部材1または保持部材2の向きが左右で逆になっていても、同じ形状のコネクタ53を製造することが可能である。
<その他>
以上に説明したように本発明の各実施形態のコネクタは、導電性の弾性部材1(少なくとも一部が前方の接続対象に接触する接触部、および該接触部に連接する支持部を有する部材)と、保持部材2(被接続対象側に固定され、前記導電性弾性部材を保持する部材)と、を備え、接続対象を被接続対象へ電気的に接続するコネクタである。なお第1、第3、および第4実施形態では、前記支持部は、前記接触部から後方へ傾斜するように伸びて前記保持部材の前向き面に接し、前記接触部を前記前向き面の前側へ支持するように形成されている。一方で第2実施形態では、前記支持部は、前記接触部から後方へ傾斜するように伸びて前記被接続対象の前向き面に接し、前記接触部を前記前向き面の前側へ支持するように形成されている。何れの実施形態においても、弾性部材1は、前記接触部が後方へ押されることにより、前記支持部が前記前向き面をスライドするように弾性変形する。
そのため各実施形態のコネクタは、接続対象との接触部分の移動を適正化するとともに、低背化が容易となっている。より具体的に説明すると、弾性部材1は、接触部が後方へ押されることにより支持部が前記前向き面をスライドするように弾性変形するため、図4に示すように、接触部を無理なく真直ぐ後方へ移動させることが可能である。そのため、接触部が接続対象と左右方向へ擦れることは防がれ、接触部と接続対象との特に左右方向の位置決めを的確に行うことが容易である。この点、先述した特許文献1の構成によれば、平行部は湾曲部付近を中心とした回転を伴いながら下方へ移動するため、平行部が接続対象と擦れることによる摩耗等の問題が懸念される。
また、先述した特許文献1の構成では、湾曲部の曲率半径を小さくするにも限界がありコネクタの低背化が容易ではないが、各実施形態のコネクタでは当該湾曲部のような構成は不要であり、前記接触部と前記前向き面との前後方向の距離を短くして低背化が容易である。例えば図4(b)に示すように、本実施形態では、接触部10を前向き面S1へ近接させて高さ寸法を極めて小さくすることが可能である。しかし特許文献1の構成の場合には、仮に平行部を極力下方へ押さえたとしても、湾曲部の高さ寸法はあまり小さくならない。更に本実施形態では、弾性部材1自体が接続対象を前方へ付勢するバネの役割を果たすため、前記接触部と前記前向き面の間にコイルばね等を設ける必要も無く、この点からも低背化に有利である。
なお各実施形態において、左右の支持部11、12それぞれは接触部10に連接した板状であって、保持部材2は、左右の支持部11、12それぞれに対応する突起202それぞれを有している。また、各実施形態の開口部121は少なくとも上下が閉じられており、左右の突起202それぞれは、対応する支持部の開口部121を後方から貫通している。左側支持部11に対応する突起202は、左側支持部11における開口部121の右側の縁に引っ掛かり、右側支持部12に対応する突起202は、右側支持部12における開口部121の左側の縁に引っ掛かることにより、弾性部材1の保持部材2からの離脱が阻止される。
本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。