(第1実施形態)
図1に示すように、車両の排気浄化システム10は、車両に搭載され、第1触媒層30と、第2触媒層31と、第3触媒層32と、流量制御弁40と、バイパス路41と、ECU50と、還元剤供給装置とを備えている。バイパス路41は、第1触媒層30をバイパスする管路である。排気浄化システム10は、内燃機関20から排出される排気を第1触媒層30またはバイパス路41に流通させ、その後、第2触媒層31と、第3触媒層32とに流通させることにより、排気中に含まれる所定成分を浄化可能なシステムとして構成されている。
内燃機関20は、ディーゼルエンジンであり、吸気管11から吸入した空気は、過給装置13によって圧縮されて内燃機関20の燃焼室内に吸入され、この燃焼室内において、燃料噴射弁から噴射された燃料とともに燃焼に供される。
過給装置13は、吸気管11に配置された吸気コンプレッサ14と、排気管12に配置された排気タービン15と、吸気コンプレッサ14と排気タービン15とを連結する回転軸16とを備えている。内燃機関20からの排気により排気タービン15が回転されると、その回転に伴い吸気コンプレッサ14が回転され、吸気の過給が行われる。
排気管12には、上流側から下流側に向かって、流量制御弁40、第1触媒層30、第2触媒層31、第3触媒層32がこの順序で配置されている。排気管12は、上流から順に、第1排気管部42と、第2排気管部43と、第3排気管部44と、第4排気管部45とを備えている。第1排気管部42は、排気管12のうち、流量制御弁40と第1触媒層30の入口との間となる部分である。第2排気管部43は、排気管12のうち、第1触媒層30の出口と第2触媒層31の入口との間となる部分である。第3排気管部44は、排気管12のうち、第2触媒層31の出口と第3触媒層32の入口との間となる部分である。第4排気管部45は、排気管12のうち、第3触媒層32の出口よりも下流となる部分である。図示していないが、車両の外部に排気を排出する排気口は、第4排気管部45よりも下流側に配置されている。排気管12の第1排気管部42には、入口NOxセンサ21が設けられている。入口NOxセンサ21は、第1触媒層30に流入する排気中のNOx量を濃度として検出する。
バイパス路41は、流量制御弁40と第2排気管部43とを接続する位置で、排気管12に対して接続されている。バイパス路41は、第1触媒層30の入口側と出口側とにおいて排気管12に接続されている。
流量制御弁40は、内燃機関20からの排気を第1触媒層30とバイパス路41とに分配して流通させる。内燃機関20からの排気は、第1触媒層30のみに分配されてもよいし、第1触媒層30とバイパス路41との双方に分配されてもよい。なお、後述する図2に示す内燃機関20の排気浄化処理においては実行されない制御ではあるが、流量制御弁40は、内燃機関20からの排気をバイパス路41のみに分配して第1触媒層30に分配する排気量を零にするように制御可能に構成されている。
第1触媒層30は、車両において、内燃機関20に近接して設置されるc/c(close-coupled:エンジン近接)触媒層である。第2触媒層31および第3触媒層32は、車体の床下部に設置されるu/f(under-floor:車体床下)触媒層である。c/c触媒層は、内燃機関20に近接して配置されるため、内燃機関20の運転時には、u/f触媒層よりも高温化し易い傾向がある。
第1触媒層30は、選択還元触媒(SCR触媒)を含む選択還元触媒層(SCR触媒層)である。第1触媒層30には、第1触媒層30の温度を検出する第1触媒温度センサ22が設けられている。SCR触媒は、還元剤により選択的にNOxを還元する触媒である。SCR触媒においては、NOx(NO,NO2)は、還元剤によりN2に還元される。SCR触媒において還元剤として用いられる物質の代表例としては、NH3、炭化水素(HC)、H2、アルデヒド類(RCHO)を挙げることができるが、排気浄化システム10では、第1触媒層30は、NH3を還元剤として用いるSCR触媒層として構成されている。NH3を還元剤として用いる場合には、アンモニア源としての尿素水等が排気管12に供給され、排気管12内でNH3が生成される。
SCR触媒としては、例えば、金属酸化物、セラミックス等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が知られている。より具体的には、還元剤としてNH3を用いるSCR触媒の具体例として、銅(Cu)や鉄(Fe)等をカチオン種として含むZSM5等のゼオライト触媒を例示できる。
第2触媒層31は、主として排気中の窒素酸化物(NOx)以外の成分を浄化する機能を有する浄化触媒を備えた非NOx浄化触媒層である。例えば、排気中の未反応燃料や粒子成分を浄化する機能を有する触媒を第2触媒層31に用いることができる。第2触媒層31に用いられる触媒の具体例としては、ディーゼル酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst:DOC)を含む酸化触媒層(DOC層)や、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(Diesel Particulate Filter;DPF)等を挙げることができる。
DOCは、排気に含まれる粒子状物質(Particulate matter:PM)中の可溶有機成分(Soluble Organic Fraction:SOF)や、排気中のCO及びHCを酸化する触媒である。DOCとしては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が用いられている。DOCの代表例としては、Pt,Pd等の貴金属触媒をアルミナやゼオライトに担持した触媒を例示できる。排気管12に配置する場合には、コージェライトまたはSiC(炭化ケイ素)を材料とするハニカム構造の担体にPt,Pdを担持した形態で用いられることが多い。
DPFは、排気中の粒子状成分を浄化する触媒を備えた粒子捕集フィルタである。DPFとしては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が用いられている。DPFの代表例としては、Pt,Pd等の貴金属触媒をコージェライトまたはSiCを材料とするハニカム構造の担体に担持した触媒を例示できる。DPFは、排気中の粒子状物質(Perticulate Matter:PM)をろ過して捕集する。本実施形態では、図1に示すように、上流側に配置されたDOC層31aと、下流側に配置されたDPF層31bとによって、第2触媒層31が構成されている場合を例示して説明する。
第3触媒層32は、排気中のNOxを還元反応により浄化するNOx浄化触媒を含むNOx浄化触媒層32aを備えている。第3触媒層32は、必要に応じて、NOx浄化触媒層32aの下流側に、還元剤除去層32bを備えるように構成することができる。NOx浄化触媒層32aには、NOx浄化触媒層32aの温度を検出する第2触媒温度センサ23が設置されている。NOx浄化触媒としては、SCR触媒、LNT(Lean NOx Trap)触媒等を例示することができる。なお、NOx浄化触媒層32aにおいてNOx浄化触媒としてSCR触媒を用いる場合には、第1触媒層30と共通の還元剤を利用可能な触媒を用いることが好ましい。第1触媒層30とNOx浄化触媒層32aとについて還元剤供給装置を一部共有化でき、排気浄化システム10の構成を簡略化できる。
LNT触媒は、内燃機関20の通常運転時はNOxを触媒上に吸着させ、時折、リッチスパイク(燃料を多めに噴射すること)により、排出ガス中の酸素(O2)を低減させ、かつ、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を増加させる。そして、吸着したNOxと反応させて窒素に還元する。LNT触媒としては、例えば、金属酸化物、セラミックス等の担体と、貴金属または卑金属の活性種と、NOx吸着種とを含む触媒が用いられている。より具体的には、LNT触媒の具体例として、Pt,Pd,Rh等の貴金属種と、NOx吸着種としてのバリウム(Ba)やセリウム(Ce)を含む触媒を例示できる。LNT触媒の別称としては、NSR(NOx Strage Reduction)触媒、NAC(NOx Absorption Catalyst)、DPNR(Diesel Particulate-NOx Reduction)触媒等を挙げることができる。本明細書においては、LNT触媒という用語は、上記別称で称される各触媒を含む意味で用いる。
還元剤除去層32bとしては、NOx浄化触媒層32aにおいて利用されず通過した還元剤を除去するための触媒を備えた触媒層が配置される。例えば、NOx浄化触媒層32aとしてNH3を還元剤とするSCR触媒を用いる場合には、アンモニアスリップ触媒(ammonia slip catalyst;ASC)を還元剤除去層32bの触媒として用いることが好ましい。ASCは、酸化触媒であり、主に、NH3がSCR触媒をスリップして(すり抜けて)外気中に放出されることを抑制する目的で設置される。ASCにおいて、NH3は、N2やH2O、NOxに変換される。本実施形態では、以下、NOx浄化触媒層32aとしてSCR触媒を用い、還元剤除去層32bとしてASCを用いた場合を例示して説明する。
還元剤供給装置は、第1触媒層30等においてアンモニア源を供給する。アンモニア源は、NH3自体であってもよいし、尿素水等の化学反応等によりNH3を生成する物質であってもよい。これら還元剤供給装置は、排気管12に接続されたインジェクタ61、62を備えている。図示を省略しているが、還元剤供給装置は、アンモニア源としての尿素水を貯蔵するタンクと、タンクからインジェクタ61,62に尿素水を供給するためのポンプ等を備えている。還元剤供給装置は、インジェクタ61、62から、尿素水を排気管12内に噴射することができる。
インジェクタ61、62から排気管12内に供給された尿素水は、その液滴が排気管12の内壁面等に衝突して微細化し、もしくは、壁面に付着して蒸発する。その後、下記式(1)に示す熱分解反応、下記式(2)に示す加水分解により、還元剤としてのNH3を生成する。
CO(NH2)2→NH3+HNCO … (1)
HNCO+H2O→NH3+CO2 … (2)
NH3が生成されることにより、第1触媒層30およびNOx浄化触媒層32aにおいて、SCR触媒により、NH3を還元剤として下記式(3)~(5)に示す触媒反応が起こる。なお、下記式(3)は、Fast反応、式(4)はStandard反応、式(5)はSlow反応と呼ばれる。
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O … (3)
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O … (4)
6NO2+8NH3→7N2+12H2O … (5)
なお、排気浄化システム10におけるNOxの浄化率Yr(%)は、内燃機関20から排出される排気中のNOx量を入口NOx量Niとし、第3触媒層32から流出する排気中のNOx量を出口NOx量Noとした場合、下記式(6)により算出できる。
Yr(%)=100×(Ni-No)/Ni …(6)。
NOxの浄化率Yrは、排気中に含まれる各成分の成分量の検出値または推定値を取得し、取得した検出値または推定値に基づいて、推定できる。各成分の成分量は、各種センサによって検出された検出値であってもよいし、その成分量に関係する他のパラメータ等に基づいて推定された推定値であってもよい。
ECU50は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータを主体として構成された電子制御ユニットであり、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、前述した各種センサの検出信号に基づいて、内燃機関20および排気浄化システム10の各種制御を実行する。ECU50は、内燃機関20の燃焼制御を実行するとともに、流量制御弁40を制御し、インジェクタ61,62からの還元剤供給量を制御する制御装置としての機能を有する。入口NOxセンサ21、第1触媒温度センサ22、第2触媒温度センサ23の検出値は、ECU50に出力される。
ECU50は、温度情報取得部51と、記憶部52と、バイパス量算出部53と、排気量制御部54と、吸着量推定部55と、目標吸着量算出部56と、還元剤制御部57と、を備えている。
温度情報取得部51は、第1触媒層30の温度情報およびNOx浄化触媒層32aの温度情報を取得する。各触媒層の温度情報とは、各触媒層の温度や、温度に関連する他のパラメータを意味し、例えば、各触媒層の昇温開始時からの経過時間、内燃機関20の暖機の完了、内燃機関20の冷却戻り水の水温、内燃機関20の始動時からの燃料消費量、経過時間、走行距離等を挙げることができる。
具体的には、温度情報取得部51は、第1触媒層30の温度情報として第1触媒温度センサ22の検出値を用い、NOx浄化触媒層32aの温度情報として第2触媒温度センサ23の検出値を用いてもよいし、第1触媒層30の温度またはNOx浄化触媒層32aの温度に関連する他のパラメータを温度情報として取得してもよい。温度情報取得部51は、温度情報を推定してもよい。例えば、第1触媒層30の上流または下流に位置する第1排気管部42や第2排気管部43に温度センサが設置されている場合には、その検出値に基づいて第1触媒層30の温度を推定し、温度情報として用いてもよい。または、内燃機関20の回転速度や負荷等の燃焼状態に基づいて、内燃機関20からの排気の温度を推定し、この排気温度に基づいて第1触媒層30の温度を推定し、温度情報として用いてもよい。
記憶部52は、温度情報取得部51により取得された温度情報を記憶することができる。例えば、入口NOxセンサ21、第1触媒温度センサ22、第2触媒温度センサ23の検出値を記憶する。また、バイパス量算出部53、排気量制御部54、吸着量推定部55、目標吸着量算出部56、還元剤制御部57において算出された各種の算出値等を記憶することができる。ECU50には、上記の検出値や算出値の他に、予め実験やシミュレーションで求めた各種パラメータの関係を示すマップや数式等が記憶されている。
バイパス量算出部53は、第1触媒層30の温度情報に基づいて、バイパス路41に流入する排気量であるバイパス側排気量Bを算出する。より具体的には、第1触媒層30の温度情報が、第1触媒層30の温度T1が所定の温度閾値X1よりも高いことを示す場合に、第1触媒層30の温度T1が高いほどバイパス側排気量Bを増加させるように構成されている。
温度閾値X1は、排気浄化システム10の次回の起動時に第1触媒層30に確保すべきNH3の吸着量に基づいて、設定することができる。例えば、冷間始動時に要求されたNOx浄化率を達成するために必要な必要NH3吸着量を求め、第1触媒層30における飽和吸着量が必要NH3吸着量よりも高くなるような温度を温度閾値X1として設定し、ECU50に記憶させてもよい。必要NH3吸着量は、上記式(3)~(5)に示す反応式から得られる量論比等に基づいて算出できる。
バイパス側排気量Bは、例えば、第1触媒層30の現在の温度T1と、温度閾値X1との差に基づいて設定することが好ましい。例えば、温度差(T1-X1)が大きいほど、バイパス側排気量Bの割合を大きくしてもよい。バイパス量算出部53は、ECU50に予め記憶された、第1触媒層30の温度T1とバイパス側排気量Bとの関係を示すマップ等に基づいて、バイパス側排気量Bを算出できる。
排気量制御部54は、内燃機関20の運転中において、第1触媒層30の温度情報が、第1触媒層30の温度T1が所定の温度閾値X1よりも高いことを示す場合に、バイパス量算出部53により算出されたバイパス側排気量Bに基づいて、触媒側排気量Vを低減するように流量制御弁40を制御する。内燃機関20から排出される排気量Eは、触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bとの総和である(E=V+B)ため、バイパス側排気量Bを決定することにより、触媒側排気量Vも決定される。排気量制御部54は、例えば、バイパス側排気量Bと、触媒側排気量Vとに基づいて、分配比(B/V)を算出し、分配比(B/V)によって流量制御弁40を制御してもよい。なお、触媒側排気量Vは、第1触媒層30にアンモニア源を輸送するために必要な排気量である輸送排気量Vmin以上に制御されることが好ましい。
排気量制御部54によって、内燃機関20の運転中に触媒側排気量Vを低減することにより、内燃機関20からの排気が高温であっても、第1触媒層30に排気から供給される熱量を低減することができ、第1触媒層30の温度を低下させることができる。また、バイパス側排気量Bは、第1触媒層30を通過しないで第2触媒層31および第3触媒層32に流入するが、内燃機関20からの排気が高温の場合には、第2触媒層31および第3触媒層32の温度も高温であり、触媒活性が高い状態である。このため、第2触媒層31および第3触媒層32によって、バイパス路41を通過した排気中のNOxを十分に浄化することができる。
排気量制御部54は、第2触媒層31や、第3触媒層32における触媒の活性化状態に基づいて、バイパス量算出部53により算出されたバイパス側排気量Bに関わらず、バイパス側排気量Bおよび触媒側排気量Vを制御可能に構成されていてもよい。例えば、バイパス量算出部53により、バイパス側排気量Bを増加する算出結果が得られていても、NOx浄化触媒層32aのNOx浄化触媒が低活性の状態である場合には、バイパス側排気量Bを増加することを禁止してもよい。NOx浄化触媒層32aにおけるNOx浄化触媒は、その温度情報に基づいて、推定することができる。具体的には、例えば、NOx浄化触媒層32aに含まれるNOx浄化触媒の活性化温度を温度閾値Y1として用いて、NOx浄化触媒層32aの温度情報が、NOx浄化触媒層32aの温度が温度閾値Y1よりも低いことを示す場合に、バイパス側排気量Bを増加することを禁止してもよい。そして、NOx浄化触媒層32aの温度情報が、NOx浄化触媒層32aの温度が温度閾値Y1以上となった場合に、禁止を解除し、バイパス側排気量Bを増加することを許可してもよい。
排気量制御部54は、内燃機関20の通常運転時には、内燃機関20の運転状態や、各触媒層の活性化状態に応じて、適宜、触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bとの分配比を制御してもよい。例えば、内燃機関20の通常運転時には、バイパス側排気量Bを零に制御する通常モードの制御を実行し、第1触媒層30にNH3を吸着させる要求があった場合等に、第1触媒層30の温度情報に基づいて、触媒側排気量Vを低減し、バイパス側排気量Bを増加する吸着モードの制御を実行するように構成されていてもよい。例えば、排気量制御部54は、内燃機関20の停止指令時など、内燃機関20が運転を停止することが指示または推定される場合に、通常モードから吸着モードに切り替えて、停止指令後から内燃機関20が実際に停止されるまでの間に吸着モードでの制御を実行してもよい。また、例えば、排気量制御部54は、第1触媒層30におけるNH3吸着量が所定の閾値よりも低減したことが検出または推定される場合に、通常モードから吸着モードに切り替え、その後、NH3吸着量が所定の閾値以上まで回復した場合に、吸着モードから通常モードに切り替えてもよい。
排気量制御部54は、実際の触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bについて検出値または推定値を取得し、流量制御弁40のフィードバック制御を実行可能に構成されていてもよい。実際の触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bは、例えば、バイパス路41、第1排気管部42、第2排気管部43に流量センサを設置し、その検出値を実測値として用いてもよい。または、内燃機関20からの排気量の検出値または推定値と、流量制御弁40の分配比とに基づいて、実際の触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bとを推定してもよい。なお、内燃機関20からの排気量は、内燃機関20に供給される空気の流量を検出するエアフローセンサの検出値および内燃機関20の燃焼状態に基づいて推定できる。
吸着量推定部55は、第1触媒層30に吸着されたアンモニア量(NH3量)である推定吸着量Aeを推定する。推定吸着量Aeは、第1触媒層30に供給されたNH3量の総和である供給NH3量Apから、第1触媒層30において消費されたNH3量の総和である消費NH3量Acを減算することによって、算出される。すなわち、Ae=Ap-Acにより、推定吸着量Aeを算出できる。供給NH3量Apは、アンモニア源の供給量に、アンモニア源から上記式(1)(2)により生成するNH3の割合である転化率を乗算することにより、算出できる。消費NH3量Acは、上記(3)~(5)に示す反応等により消費されるNH3量と、第1触媒層30から脱離して排出されるNH3量とを含む。消費NH3量Acは、第1触媒層30の温度情報、第1触媒層30に供給される排気の流量、流速、NOx濃度等のパラメータと関係付けることができ、その関係は、予め実験等により求められ、マップ化されてECU50に記憶されている。吸着量推定部55は、第1触媒層30の温度情報、第1触媒層30に供給される排気の流量、流速、NOx濃度等を取得して、ECU50に記憶されたマップに基づいて、消費NH3量Acを推定することができる。
目標吸着量算出部56は、第1触媒層30に吸着させるNH3の目標量である目標吸着量Atを算出する。目標吸着量Atは、第1触媒層30におけるNH3の最大吸着量Amaxに基づいて設定してすることが好ましい。NH3の最大吸着量Amaxは、いわゆる飽和吸着量に相当し、第1触媒層30の温度が高いほど少なくなり、第1触媒層30の温度が低いほど多くなる。最大吸着量Amaxに漸近すると、吸着速度の低下等により吸着効率が低下して、第1触媒層30に供給されたNH3が吸着されないで通過することが懸念される。このため、目標吸着量Atは、最大吸着量Amaxよりに対して余裕を取り、所定量(例えば、数十%程度)だけ少ない値に設定することが好ましい。
還元剤制御部57は、還元剤供給装置のインジェクタ61,62から排気管12へ供給するアンモニア源の供給量や供給タイミング等を制御する。アンモニア源が尿素である場合には、上記式(1)(2)に基づいて、還元剤制御部57は、内燃機関20からの排気に含まれるNOx量、要求されるNOx浄化率、第1触媒層30およびNOx浄化触媒層32aにおける触媒の活性化状態や還元剤等の吸着状態等に応じて、インジェクタ61,62から排気管12に供給するアンモニア源の供給量や供給タイミング等を制御する。また、還元剤制御部57は、アンモニア源の供給量に応じて、インジェクタ61,62における噴射率と噴射時間とを設定する。
還元剤制御部57は、第1触媒層30やNOx浄化触媒層32aに含まれるNOx浄化触媒の活性化状態に応じて、インジェクタ61,62から供給するアンモニア源の供給量や供給タイミングを制御するように構成されていてもよい。NOx浄化触媒の活性化状態とは、NOxを浄化する還元反応の触媒反応の活性度を意味する。NOxを浄化する還元反応は、NOx浄化触媒の活性化状態が高い状態にあるほど起こり易く、低い状態にあるほど起こりにくい。NOx浄化触媒の活性化状態は、NOx浄化触媒の温度等により変化する。還元剤制御部57は、温度情報取得部51が取得する第1触媒層30の温度情報およびNOx浄化触媒層32aの温度情報に基づいて、各触媒層に含まれるNOx浄化触媒の活性化状態を判断することができる。
例えば、還元剤制御部57は、第1触媒層30およびNOx浄化触媒層32aの活性化状態が十分に高い状態である場合には、各触媒層においてNOxの還元反応活性が十分に得られるため、NOxの還元反応のために要するアンモニア源を供給するように制御してもよい。具体的には、例えば、NOx浄化触媒を含む各触媒層の温度が、所定の温度閾値を超える場合に、NOx浄化触媒の活性化状態が十分に高い状態であると判定することができるため、インジェクタ61,62から各触媒層にアンモニア源を供給するように制御してもよい。この場合、温度閾値は、例えば、各触媒層に含まれる所定のNOx浄化触媒の活性温度TAに設定することができる。より具体的には、例えば、NOx浄化触媒層32aに含まれるSCR触媒の活性温度TAに設定してもよい。
なお、活性温度TAとは、NOx浄化触媒のNOx浄化能力(触媒の有する最大浄化能力を100%とする指標)が高確率(例えば90%程度)となる温度である。SCR触媒、LNT触媒等のNOx浄化触媒においては、触媒活性の殆ど無い低温域から触媒温度が上昇するに際して、触媒活性が著しく上昇して高確率に達する。そして、触媒温度が活性温度TAに達した後の高温域において、触媒活性は略一定となる。例えば、触媒活性の著しい上昇が完了した触媒温度を活性温度TAとして用いることができる。
また、還元剤制御部57は、第1触媒層30の温度情報に基づいて、第1触媒層30におけるNH3の吸着量を増加させるために、アンモニア源を供給するように構成されていてもよい。この場合、還元剤制御部57は、吸着量推定部55により推定された推定吸着量Aeおよび目標吸着量算出部56により算出された目標吸着量Atに基づいて、アンモニア源の供給量等を決定するように構成されていることが好ましい。例えば、還元剤制御部57は、推定吸着量Aeが目標吸着量Atよりも少ない場合に、第1触媒層30に供給するアンモニア源を供給するように還元剤供給装置を制御してもよい。既にアンモニア源の供給を実行している場合には、還元剤制御部57は、推定吸着量Aeが目標吸着量Atよりも少ない場合に、第1触媒層30へのアンモニア源の供給量を増加する制御を実行してもよい。アンモニア源の供給量は、推定吸着量Aeおよび目標吸着量Atに基づいて算出できる。例えば、還元剤制御部57は、推定吸着量Aeが目標吸着量Atとの差(At-Ae)や、比率(Ae/At)が大きいほど、アンモニア源の供給量を多く設定するように構成されていてもよい。
ECU50は、さらに、内燃機関20の燃焼状態を制御する燃焼制御を実行する機能を有する。より具体的には、ECU50は、内燃機関20に供給する燃料や空気の量またはタイミング等を制御することにより、排気中の各成分の成分量を制御可能に構成されていてもよい。
図2に、ECU50が実行する排気浄化処理のフローチャートを示す。図2に係る処理は、一定の周期で繰り返し実行される。
ステップS101では、排気量制御前の第1触媒層30の温度情報として、第1触媒温度センサ22の検出する第1触媒層30の温度T1を取得する。取得された温度T1は、排気量制御前の第1触媒層30の温度情報としてECU50に記憶される。その後、ステップS102に進む。
ステップS102では、温度T1が所定の温度閾値X1以上であるか否かを判定する。なお、第1触媒層30における飽和吸着量が、冷間始動時に要求されたNOx浄化率を達成するために必要な必要NH3吸着量に等しくなる温度をXnとすると、温度閾値X1は、余裕を取って、温度Xnよりも僅かに低い温度に設定されている(X1<Xn)。ステップS102においてT1≧X1である場合には、ステップS103に進む。T1<X1である場合には、処理を終了する。
ステップS103では、温度T1に基づいて、バイパス側排気量Bを決定する。内燃機関20から排出される排気量Eは、触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bとの総和である(E=V+B)ため、バイパス側排気量Bを決定することにより、触媒側排気量Vも決定される。例えば、図3に示すように、触媒側排気量Vおよびバイパス側排気量Bは、温度T1がT1≧X1である場合に、温度T1の上昇に伴い、略直線的に変化させてもよい。具体的には、T1≧X1である場合に、温度T1の上昇量に略比例させて、触媒側排気量Vを減量するとともにバイパス側排気量Bを増量してもよい。また、図3に示すように、触媒側排気量Vは、第1触媒層30にアンモニア源を輸送するために必要な排気量である輸送排気量Vmin以上に制御される。このため、V=Vminに到達した後には、温度T1に関わらず、触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bは一定となる。図3に示す関係は、ECU50に予めマップまたは数式として記憶されており、このマップ等を参照して、温度T1に基づいて触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bとを決定し、ECU50に記憶する。その後、ステップS104に進む。
ステップS104では、決定した触媒側排気量Vおよびバイパス側排気量Bに基づいて、流量制御弁40の開度を制御する。その後、ステップS105に進む。
ステップS105では、排気量制御後の第1触媒層30の温度情報として、第1触媒温度センサ22の検出する第1触媒層30の温度T2を取得する。取得された温度T2は、排気量制御後の第1触媒層30の温度情報としてECU50に記憶される。その後、ステップS106に進む。
ステップS106では、温度T2とバイパス側排気量Bとに基づいて、目標吸着量Atを算出する。予め実験等により、SCR触媒層に吸着可能なNH3の最大値である最大吸着量Amaxと、SCR触媒層に流れる排気の流速や流量、排気中のNH3濃度、SCR触媒層の触媒温度等のパラメータとの関係が求められ、ECU50に記憶されている。ステップS106では、温度T2とバイパス側排気量Bとに基づいて、ECU50に記憶されたマップを参照し、最大吸着量Amaxを推定する。そして、図4に示すように、最大吸着量Amaxよりも低くなるように目標吸着量Atを設定する。目標吸着量Atを算出した後、ステップS107に進む。
ステップS107では、還元剤供給装置を制御して、インジェクタ61から第1触媒層30にアンモニア源として尿素水を供給する。より具体的には、NH3を生成するアンモニア源として尿素水の供給を実行する。尿素水の供給が停止されている場合には、供給を開始し、尿素水の供給が既に実行されている場合には、供給が続行される。その後、ステップS108に進む。
ステップS108では、第1触媒層30に現在吸着しているNH3の吸着量である推定吸着量Aeを推定する。推定吸着量Aeは、例えば、第1触媒層30に供給されたNH3量の積算値(供給NH3量Ap)から、第1触媒層30において消費されたNH3量の積算値(消費NH3量Ac)を減算した値として推定することができる。ECU50には、ApおよびAcと、インジェクタ61から第1触媒層30に供給された尿素水の供給量、第1触媒温度センサ22からの温度情報等の各種パラメータとの関係を示すマップが、予め記憶されており、このマップを参照することにより、推定吸着量Aeを推定できる。
ステップS109では、推定吸着量Aeが目標吸着量At以上であるか否かを判定する。Ae≧Atである場合には、ステップS110に進み、尿素水の供給を停止した後、処理を終了する。Ae<Atである場合には、尿素水の供給を停止することなく、処理を終了する。なお、ステップS109において、Ae<Atである場合には、尿素水の供給量を増加するように還元剤供給装置を制御してもよい。
上記のとおり、排気浄化システム10によれば、ECU50は、ステップS102~S104に示すように、第1触媒層30の温度T1が所定の温度閾値X1よりも高いことを示す場合には、バイパス側排気量Bを決定して、触媒側排気量Vを低減する。このため、内燃機関20の運転中に、第1触媒層30に供給される排気が高温であっても、触媒側排気量Vが低減されることにより第1触媒層30に供給される排気熱量が低減されて、SCR触媒層の温度をNH3の吸着に適した低い温度に制御することができる。また、ECU50は、流量制御弁40を制御して触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bとを制御するため、バイパス路41側に分配された排気は、第1触媒層30を迂回した後、第2触媒層31および第3触媒層32を通過してから、排気管12から排出される。第2触媒層31および第3触媒層32は、内燃機関の通常の運転時と同様に、触媒層の温度が高い状態であるため、第1触媒層30を迂回させた排気は、第2触媒層31および第3触媒層32を通過することにより浄化され、排気浄化システム10全体を通してのNOx浄化率の低下を抑制できる。
さらに、ECU50は、ステップS105~S110に示すように、第1触媒層30におけるNH3の推定吸着量Aeが目標吸着量Atよりも小さい場合に、第1触媒層30に尿素水を供給するように還元剤供給装置を制御する。このため、第1触媒層30の温度をNH3の吸着に適した低い温度に制御した状態で、第1触媒層30におけるNH3の吸着量を目標吸着量Atに向けて増加させることができる。
また、第1触媒層30の温度をNH3の吸着により適した低い温度に制御した状態で、尿素水を供給するため、供給された尿素水がNH3となって第1触媒層30に吸着されることなく通過することを抑制できる。内燃機関20の運転中に、図2に示す排気浄化処理を繰り返し実行することにより、第1触媒層30の温度は徐々に低下して、内燃機関20の次回の起動時にNOx浄化率を達成するために必要な必要NH3吸着量を確保できる温度に到達する。このため、内燃機関20の冷間始動時など、第1触媒層30やNOx浄化触媒層32aの触媒温度が低い場合に内燃機関20を起動する場合においても、NH3の吸着量を確保することによりNOxの還元反応の反応速度を速くすることができ、排気浄化システム10全体を通してのNOxの浄化率の低下を抑制することができる。特に、排気浄化システム10では、第1触媒層30は、c/c触媒層であり、内燃機関20に近接して配置されるため、u/f触媒層である第2触媒層31および第3触媒層32よりも早期に高温化し易い傾向がある。早期に高温化し易い第1触媒層30に十分にNH3が吸着された状態で、内燃機関20を起動できるため、冷間始動時においても、NOx浄化率の低下を効果的に抑制できる。
また、ECU50は、ステップS103において、触媒側排気量Vが、第1触媒層30に尿素水を輸送するために必要な排気量である輸送排気量Vmin以上となる範囲で、バイパス側排気量Bを決定する。このため、供給された尿素水が確実に第1触媒層30に輸送され、第1触媒層30へのNH3の吸着に寄与できる。
(変形例)
図1に示す排気浄化システム10では、流量制御弁40と第1触媒層30の入口との間に、第1触媒層30に尿素水を供給可能なインジェクタ61が設置されていたが、これに替えて、例えば、図5に示すように、内燃機関20と流量制御弁40との間にインジェクタ63が設置されており、インジェクタ63から第1触媒層30への尿素水の供給が実行されるように構成されていてもよい。インジェクタ63から供給された尿素水は、流量制御弁40における触媒側排気量Vとバイパス側排気量Bとの分配比に応じて、第1触媒層30と、バイパス路41とに分配される。バイパス路41側に供給された尿素水は、下流に配置された第3触媒層32のNOx浄化触媒層32aにおいてNOx還元反応により消費され、過剰量は還元剤除去層32bにより除去される。バイパス路41からNOx浄化触媒層32aに到達するまでの工程で、上記式(1)および(2)に示す尿素水からNH3を生成する反応が進行するため、NH3としてNOx浄化触媒層32aに供給される割合が向上し、NOx浄化触媒層32aにおけるNOx還元反応が促進される。
また、図1に示す排気浄化システム10では、排気管12側に第1触媒層30が配置され、排気管12から分岐するようにバイパス路41が配置されていたが、これらは互いに逆に配置されていてもよい。また、第1触媒層30は、第3触媒層32と同様に、SCR触媒層と、その後段に配置されたASC層とを含むように構成されていてもよい。この場合、第1触媒温度センサ22は、SCR触媒層の温度を取得可能に設置されることが好ましい。
上記の各実施形態によれば、下記の効果を得ることができる。
排気浄化システム10は、内燃機関20からの排気中の所定成分を浄化する機能を有し、SCR触媒層としての第1触媒層30と、NOx浄化触媒層32aと、還元剤供給装置(例えば、インジェクタ61,62)と、流量調整機構(例えば、流量制御弁40およびバイパス路41)と、制御装置として機能するECU50と、を備える。
第1触媒層30は、内燃機関20の排気管12内に設置され、NH3を還元剤として排気中のNOxを還元反応により浄化するSCR触媒を含む。NOx浄化触媒層32aは、排気管12内の第1触媒層30の下流側に設置され、排気中のNOxを浄化するNOx浄化触媒(例えば、SCR触媒やLNT触媒)を含む。還元剤供給装置は、インジェクタ61,62等により構成され、第1触媒層30にアンモニア源を供給する。流量調整機構は、例えば、流量制御弁40およびバイパス路41によって構成され、内燃機関20からの排気の一部を、第1触媒層30を迂回してNOx浄化触媒層32aに通過させることにより、第1触媒層30に流入する排気量である触媒側排気量Vを調整する。
ECU50は、排気量制御部54と、還元剤制御部57とを備える。排気量制御部54は、第1触媒層30の温度情報が、第1触媒層30の温度T1が所定の温度閾値X1よりも高いことを示す場合に、触媒側排気量Vを低減するように流量調整機構としての流量制御弁40を制御する。還元剤制御部57は、排気量制御部54により触媒側排気量Vを低減する制御が実行された場合に、第1触媒層30にアンモニア源を供給するように還元剤供給装置を制御する。このため、第1触媒層30の温度をアンモニアの吸着に適した低い温度に制御した状態で、アンモニア源を供給することができる。その結果、供給したアンモニア源が、確実に第1触媒層30におけるNH3の吸着量の増加に寄与するように制御できる。また、排気量制御部54は、内燃機関20からの排気の一部が、第1触媒層30を迂回してNOx浄化触媒層32aを通過するように、流量制御弁40等を制御するため、第1触媒層30を迂回した排気をNOx浄化触媒層32aにより浄化することができる。排気浄化システム10によれば、内燃機関の運転中に、任意に、次回の内燃機関の起動時に備えて、SCR触媒層にアンモニアを十分に吸着させることができるため、次回の内燃機関20の起動時には、第1触媒層30におけるNH3吸着量が確保された状態で排気浄化システム10を起動できる。このため、第1触媒層30におけるNH3の吸着量の不足に起因してNOxの浄化率が低下することを抑制できる。特に、冷間始動時などの各触媒層の温度を上げてNOx還元反応の反応速度を速くすることが困難な場合でも、内燃機関20に近い上流側に配置された第1触媒層30においてNH3の吸着量を確保することにより、排気浄化システム10から排出される排気について、NOxの浄化率が低下することを抑制できる。
ECU50は、さらに、吸着量推定部55と、目標吸着量算出部56とを備えるように構成されている。吸着量推定部55は、第1触媒層30に吸着されたNH3の量である推定吸着量Aeを推定する。目標吸着量算出部56は、SCR触媒層に吸着させるNH3の目標量である目標吸着量Atを算出する。そして、還元剤制御部57は、推定吸着量Aeが目標吸着量Atよりも少ない場合に、アンモニア源の供給量を供給する制御を実行するように構成されていてもよい。推定吸着量Aeおよび目標吸着量Atに基づいてアンモニア源の供給量を制御できるため、アンモニア源を過剰に供給することを回避できる。
さらに、吸着量推定部55は、還元剤供給装置から供給されたNH3量の総和と、SCR触媒層が消費するNH3量の総和とに基づいて、推定吸着量Aeを推定するように構成されている。推定吸着量Aeを精度よく算出することができるため、アンモニア供給源の供給量をより適切に制御できる。
排気浄化システム10は、さらに、流量調整機構として、第1触媒層30の上流側と、第1触媒層30の下流側かつNOx浄化触媒層32aの上流側とを接続するバイパス路41を利用可能に構成されている。そして、ECU50は、さらに、バイパス量算出部53を備えている。バイパス量算出部53は、第1触媒層30の温度情報に基づいて、バイパス路に流入する排気量であるバイパス側排気量Bを算出する。排気量制御部54は、バイパス側排気量Bに基づいて、触媒側排気量Vを制御する。バイパス路41を通過した排気中のNOxは、第1触媒層30の下流側に配置されたNOx浄化触媒層32aを通過して浄化されるため、排気浄化システム10から排出される排気におけるNOx浄化率を確保できる。
バイパス量算出部53は、第1触媒層30の温度情報が、第1触媒層30の温度が所定の温度閾値よりも高いことを示す場合に、第1触媒層30の温度が高いほどバイパス側排気量Bを増加させるように構成されていてもよい。そして、排気量制御部54は、バイパス側排気量Bの増加に応じて触媒側排気量Vを低減するように構成されていてもよい。バイパス側排気量Bを増加させ、触媒側排気量Vを低減させるほど、第1触媒層30の温度が低下するため、第1触媒層30の温度が高いほどバイパス側排気量Bを増加させることにより、適切に第1触媒層30の温度を制御することができる。
さらに、排気量制御部54は、触媒側排気量Vを、第1触媒層30にアンモニア源を輸送するために必要な排気量である輸送排気量Vmin以上に制御するように構成されている。このため、供給されたアンモニア源が確実に第1触媒層30に輸送され、第1触媒層30におけるアンモニア吸着量の増加に寄与できる。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。