JP7321394B2 - 懸濁重合用分散剤及びビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]下記式(1)で表される構造を有し、下記式(2)を満たすビニルアルコール系重合体を含有する、懸濁重合用分散剤;
前記式(1)中、Rは炭素数4以上の炭化水素基である。
前記式(2)中、[X]は前記ビニルアルコール系重合体の全構造単位に対する前記式(1)で表される構造の含有率(モル%)であり、[Ra,1]は前記式(1)で表される構造と塩化ビニルとのHSP距離((J/cm3)1/2)である。
[2]前記ビニルアルコール系重合体のけん化度が60モル%以上99.5モル%以下である、[1]の懸濁重合用分散剤;
[3]前記ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度が150以上5,000以下である、[1]又は[2]の懸濁重合用分散剤;
[4]前記ビニルアルコール系重合体が下記式(3)を満たす、[1]~[3]のいずれかの懸濁重合用分散剤;
3.5≦[X]×105/[Ra,2]2≦25 (3)
前記式(3)中、[X]の定義は前記式(2)と同じであり、[Ra,2]は前記式(1)で表される構造と水とのHSP距離((J/cm3)1/2)である。
[5][1]~[4]のいずれかの懸濁重合用分散剤の存在下で、ビニル系化合物の懸濁重合を行う工程を備える、ビニル系重合体の製造方法
のいずれかを提供することにより達成される。
本発明の懸濁重合用分散剤(以下「分散剤」と称することがある)は、ビニルアルコール系重合体(PVA)を含有する。
前記PVAは、ビニルアルコール単位を構造単位として有する重合体である。前記PVAは下記式(1)で表される構造を有する。式(1)で表される構造は、通常、PVAの末端に位置する。
0.4≦[X]×102/[Ra,1]2≦3.0 (2)
-(C=O)-(CH2)m-CH3 (4)
V=33.5+16.1m+10.8 (5)
δd=(420+270m+290)/V (6)
δp=770/V (7)
δh=(2000/V)1/2 (8)
[Ra,1]={4(δD1-δd)2+(δP1-δp)2+(δH1-δh)2}1/2 (9)
3.5≦[X]×105/[Ra,2]2≦25 (3)
[Ra,2]={4(δD2-δd)2+(δP2-δp)2+(δH2-δh)2}1/2 (10)
粘度平均重合度=([η]×104/8.29)(1/0.62) (11)
-CO-(CH=CH)p- (12)
式(12)中、pは、1~5の整数である。
本発明の分散剤に含まれるPVAの製造方法は特に限定されないが、例えば、変性剤として炭素数5以上のアルデヒドを添加してビニルエステル単量体を重合し、得られたビニルエステル系重合体をけん化する方法が挙げられる。
本発明の分散剤は、前記PVAを含み、さらに他の成分を含んでいてもよい。本発明の分散剤の不揮発分中の前記PVAの含有量の下限としては、30質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、70質量%、90質量%又は99質量%がさらに好ましい場合もある。本発明の分散剤の不揮発分中の前記PVAの含有量の上限は100質量%であってよい。本発明の分散剤に含まれていてよい前記PVA以外の不揮発分は、前記PVA以外のPVA、PVA以外の樹脂、界面活性剤、可塑剤等の添加剤、製造時に用いられた各化合物等が挙げられる。本発明の分散剤の不揮発分中の全てのPVAの含有量の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%、90質量%又は99質量%がさらに好ましい場合もある。本発明の分散剤の不揮発分中の全てのPVAの含有量の上限は100質量%であってよい。また、本発明の分散剤における揮発分の含有量は、通常20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。本発明の分散剤に含まれ得る揮発分としては、アルコール、水等が挙げられる。すなわち、本発明の分散剤は、実質的に本発明のPVAからなるものであってよい。本発明の分散剤の形状は特に限定されないが、通常、粉体である。
本発明のビニル重合体の製造方法は、本発明の分散剤の存在下でビニル系化合物を懸濁重合する工程を備える。ビニル系単量体としては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル単量体;(メタ)アクリル酸これらのエステル及び塩;マレイン酸、フマル酸、これらのエステル及び無水物;スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が挙げられる。これらのうち、塩化ビニルを単独で、又は塩化ビニルと共重合することが可能な単量体と共に懸濁重合することが好適である。塩化ビニルと共重合することができる単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレンなどのα-オレフィン;無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類;アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が挙げられる。
PVAの粘度平均重合度はJIS K 6726:1994に準じて測定した。具体的には、PVAのけん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまで再けん化し、得られたPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて下記式(11)により粘度平均重合度を求めた。
粘度平均重合度=([η]×104/8.29)(1/0.62) (11)
PVAのけん化度は、JIS K 6726:1994に記載の方法により求めた。
0.1質量%のPVA水溶液を調製し、(株)島津製作所製吸光光度計「UV2450」を用いて320nmの吸光度(光路長10mm)を測定した。
下記の方法により、HSP距離[Ra,1]((J/cm3)1/2)及びHSP距離[Ra,2]((J/cm3)1/2)を算出した。
まず、PVAをけん化度99.5モル%以上まで再けん化後、メタノールで洗浄した。得られたPVAの1質量%D2O溶液(内部標準として0.1質量%トリメチルシリルプロパン酸を添加)をサンプルとして用いて、1H-NMR測定を行った(400MHz、80℃、積算256回)。変性剤として直鎖アルキルアルデヒドを用いた場合、前記式(1)で表される構造として、下記式(4)で表される構造が形成される。そして、式(4)中のmは、1H-NMR測定の結果から、下記式(13)により求められる。
-(C=O)-(CH2)m-CH3 (4)
m={(ピーク(a)の積分値)×3}/{(ピーク(b)の積分値)×2}+2 (13)
式(13)中、ピーク(a)は、1.22~1.38ppmの間に存在するアルキル鎖のメチレンに由来するピークを表し、ピーク(b)は、0.80~0.92ppmの間に存在するアルキル鎖のメチルに由来するピークを表す。ピーク(b)が存在せず、0.94~1.08ppm付近にピークが存在する場合はm=1とし、ピーク(a)もピーク(b)も存在しない場合はm=0とした。
1H-NMRスペクトルから得られた構造をもとに、前記式(5)~(10)を用いて、HSP距離[Ra,1]及びHSP距離[Ra,2]を算出した。
後述するように、合成例12においては1-ヘキセンを、合成例13においては1-デセンを変性剤として用いた。このとき得られるPVAは、側鎖にアルキル基を有する。アルキル基と塩化ビニル又は水とのHSP距離[Rb]を参考値として算出した。具体的には、下記の方法によりRbを算出した。
前記と同様の方法で1H-NMR測定を行った。変性剤としてα-オレフィンを用いた場合は、PVAに導入された変性剤に由来する下記式(14)で表される構造中のnは、下記式(15)により求められる。
-(CH2)n-CH3 (14)
n={(ピーク(c)の積分値/2)/{ピーク(d)の積分値}/3} (15)
式(15)中、ピーク(c)は、1.1~1.3ppmの間に存在するピークを表し、ピーク(d)は、0.80~0.92ppmの間に存在するピークを表す。
続いて、HSP距離を算出した。式(14)で表される構造のモル体積は、下記式(16)により算出でき、HSP値は、下記式(17)~(19)で算出できる。
V=33.5+n×16.1 (16)
δd=(420+n×270)/V (17)
δp=0 (18)
δh=0 (19)
続いて、Rbを下記式(20)を用いて計算した。塩化ビニルモノマーのHSP値は、(δD、δP、δH)=(15.4、8.1、2.4)とし、水のHSP値は(δD、δP、δH)=(15.5、16.0、42.4)とした。
Rb={4(δD-δd)2+(δP-δp)2+(δH-δh)2}1/2 (20)
後述するように、合成例14においては1-オクタンチオールを、合成例15においては1-ヘキサンチオールを変性剤として用いた。このとき得られるPVAは、末端にアルキルチオール基を有する。アルキルチオール基と塩化ビニル又は水とのHSP距離を、山本秀樹著「SP値:基礎・応用と計算方法」(2005年発行、情報機構)及びJ. Brandrup著「POLYMER HANDBOOK(FOURTH EDITION)」(2003年発行、Wiley)に記載の方法に基づき、上述した方法と同様にして、参考値として算出した。
PVAの全構造単位に対する変性剤により変性された単位の含有率(モル%)を「変性率」と称する。なお、変性剤により変性された単位が式(1)で表される構造であるとき、変性率は、ビニルアルコール系重合体の全構造単位に対する式(1)で表される構造の含有率[X](モル%)と同義である。
1H-NMR測定を行い、変性率(モル%)を算出した。PVAをけん化度99.5モル%以上まで再けん化後、メタノールで洗浄した。得られたPVAの1質量%D2O溶液(内部標準として0.1質量%トリメチルシリルプロパン酸を添加)をサンプルとして用いて、1H-NMR測定を行った(400MHz、80℃、積算256回)。PVAの主鎖のメチン基に由来するピークの積分値[M]、変性剤に由来する構造に含まれるメチル基に由来するピークの積分値[O]及び変性剤1分子当たりのメチル基の数qを用いて、下記式(21)により、変性率(モル%)を求めた。なお、PVAの主鎖のメチン基に由来するピークは3.8~4.0ppmに存在する。また、変性剤に由来する構造に含まれるメチル基に由来するピークは、変性剤が例えば炭素数4以上の直鎖アルキルアルデヒドの場合、0.80~0.92ppmに存在する。
変性率(モル%)={([O]/(3×q))/[M]}×100 (21)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び重合開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル1000質量部及び1-オクタナール21.5質量部を仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.1質量部を添加し重合を開始した。60℃で3時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合停止時の固形分濃度は51.2質量%、重合率50%であった。続いて、30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の単量体の除去を行い、ビニルエステル系重合体のメタノール溶液(濃度34.5質量%)を得た。次に、このメタノール溶液にさらにメタノールを加えて調製したビニルエステル系重合体のメタノール溶液174.6質量部(溶液中の前記重合体60質量部)に、水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液3.7質量部、酢酸メチル20質量部及びイオン交換水2.0質量部を添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液の前記重合体濃度30質量%、前記重合体中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比0.013、けん化溶液の含水率1質量%)。水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加後、約12分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕した。さらに40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル160質量部とメタノール40質量部を加えて、40℃で30分間放置洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した後、脱液して得られた白色固体を40℃で真空乾燥を16時間行い、PVA(PVA-1)を得た。PVA-1の物性を表2に示す。
PVA―1をソックスレー抽出器を用いて酢酸メチルで十分に洗浄し40℃で16時間真空乾燥した。洗浄後PVA-1の1質量%DMSO溶液(内部標準として0.05容積%テトラメチルシランを添加)をサンプルとして用いて、1H-NMR測定を行った(400MHz、80℃、積算256回)。この結果を元にPVA-1における全構造単位に対するホルミル基の含有率を求めたところ、3.0ミリモル%以下であった。
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時に使用する変性剤の種類や添加量等の重合条件;けん化時におけるビニルエステル重合体の濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に示すように示すように変更したこと以外は、合成例1と同様の方法により各PVA(PVA-2~8、10~13、17、19)を製造した。なお、PVA-8は、PVA-8AとPVA-8Bの各ポリ酢酸ビニルメタノール溶液を6:4で混合した後、けん化を行った。PVA-2~8、10~13、17、19の物性を表2に示す。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、連鎖移動剤滴下口及び重合開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル1200質量部及び1-オクタンチオール0.18質量部を仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また1-オクタンチオールのメタノール溶液(濃度1.8質量%)を窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.75質量部を添加し重合を開始した。前記反応器に、前記1-オクタンチオールのメタノール溶液を滴下して重合溶液中の単量体組成比を一定に保ちながら、60℃で2時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合停止時の固形分濃度は39.4質量%、重合率は40%であった。また、添加した1-オクタンチオールは、当初仕込み量とあわせて2.05質量部であった。続いて、30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の単量体の除去を行い、ビニルエステル系重合体のメタノール溶液(濃度38.2質量%)を得た。次に、このメタノール溶液にさらにメタノールを加えて調製したビニルエステル系重合体のメタノール溶液175.8質量部(溶液中の前記重合体60質量部)に、水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液2.5質量部、酢酸メチル20質量部及びイオン交換水2.0質量部を添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液の前記重合体濃度25質量%、前記重合体中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比0.0075、けん化溶液の含水率1質量%)。水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加後約10分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、さらに40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル160質量部とメタノール40質量部を加えて、40℃で30分間放置洗浄した。この洗浄操作を2回繰り返した後、脱液して得られた白色固体を40℃で真空乾燥を16時間行い、PVA(PVA-14)を得た。PVA-14の物性を表2に示す。
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、変性剤の種類や添加量等の重合条件;けん化時におけるビニルエステル重合体の濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に示すように示すように変更したこと以外は、合成例14と同様の方法によりPVA(PVA-15)を製造した。PVA-15の物性を表2に示す。
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、変性剤を使用しないこと等の重合条件;けん化時におけるビニルエステル重合体の濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に示すように示すように変更したこと以外は、合成例1と同様の方法によりPVA(PVA-16)を製造した。PVA-16の物性を表2に示す。
合成例9では、PVA-1を130℃で1時間熱処理を行い、PVA-9を合成した。また、合成例18では、PVA-17を130℃で1時間熱処理を行い、PVA-18を合成した。PVA-9、18の物性を表2に示す。
得られたPVA-1を懸濁重合用分散剤として用いて、下記の方法で塩化ビニルの懸濁重合を行った。次いで、得られた塩化ビニル重合体粒子について、平均粒子径、粗大粒子量及び可塑剤吸収性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
前記で得られたビニルアルコール系共重合体を、塩化ビニルに対して1000ppmに相当する量となるように脱イオン水に溶解させ、分散剤水溶液を調製した。このようにして得られた分散剤水溶液1150gを、容量5Lのオートクレーブに仕込んだ。次いでオートクレーブにクミルパーオキシネオデカノエートの70%トルエン溶液0.65g及びt-ブチルパーオキシネオデカノエートの70%トルエン溶液1.05gを仕込んだ。オートクレーブ内の圧力が0.0067MPaになるまで脱気して酸素を除いた。その後、塩化ビニル800gを仕込み、オートクレーブ内の内容物を57℃に昇温して、撹拌下に重合を開始した。重合開始時におけるオートクレーブ内の圧力は0.83MPaであった。重合を開始してから3.5時間が経過し、オートクレーブ内の圧力が0.70MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニルを除去した。その後、重合スラリーを取り出し、65℃にて17時間乾燥を行い、塩化ビニル重合体粒子を得た。
(1)塩化ビニル重合体粒子の平均粒子径
タイラーメッシュ基準の金網を使用して、乾式篩分析により粒度分布を測定し、その結果をロジン・ラムラー(Rosin-Rammler)分布式にプロットして平均粒子径(dp50;メジアン径)を算出した。
目開き250μmの篩(JIS標準篩のメッシュ換算では、60メッシュ)を通過しなかった塩化ビニル重合体粒子の含有量を質量%で表示した。数字が小さいほど粗大粒子が少なく、粒度分布がシャープであり、重合安定性に優れていることを示している。
脱脂綿を0.02g詰めた容量5mLのシリンジの質量を量り(A(g)とする)、そこに塩化ビニル重合体粒子0.5gを入れ質量を量り(B(g)とする)、そこにジオクチルフタレート(DOP)1gを入れ15分静置後、3000rpm、40分遠心分離して質量を量った(C(g)とする)。そして、下記式(22)により可塑剤吸収性(%)を求めた。可塑剤吸収性が高いほど、加工が容易で主にシートへの加工時にブツ等の外観に生じる欠点を生じにくいことを示す。なお、重合が不安定で平均粒子径や粗大粒子量が多い場合、可塑剤吸収性が高くなるが、これは重合体粒子の空隙率によるものではない。本評価において、平均粒子径が180μmより小さいときの可塑剤吸収性が27%以上のとき可塑剤吸収性は良好とし、29%以上のとき可塑剤吸収性がより良好と判断した。
可塑剤吸収性(%)=100×[{(C-A)/(B-A)}-1] (22)
懸濁重合用分散剤として用いたPVAの種類を表3に記載の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。結果を表3に示す。
なお、実施例の中でも、加熱処理したPVA-9を用いた実施例9の可塑剤吸収性はそれほど高くないが、分散剤の使用量を低減することで可塑剤吸収性を改善できる。PVA-9の重合安定性は極めて高いため、使用量を低減しても平均粒子径を十分に小さく保つことができる。また、PVAに対する加熱処理の有無のみ異なる実施例1と実施例9とを比較すると、加熱処理したPVA-9を用いた実施例9は、重合安定性が顕著に向上していることがわかる。一方、同様にPVAに対する加熱処理の有無のみ異なる比較例7と比較例8とを比較すると、加熱処理により改善効果は小さい。式(1)で表される構造を有し且つ式(2)を満たすPVAに対して加熱処理をすることで、重合安定性が顕著に向上することが示唆される。
また、実施例の中でも、[X]×102/[Ra,1]2(変性率とHSP距離とのパラメータA)及び[X]×105/[Ra,2]2(変性率とHSP距離とのパラメータB)が比較的小さいPVA-10を用いた実施例10は、重合安定性がやや低い結果となった。これらのパラメータが適切に調整されたPVAを用いることで、重合安定性がより高まることがわかる。
Claims (5)
- 前記ビニルアルコール系重合体のけん化度が60モル%以上99.5モル%以下である、請求項1に記載の懸濁重合用分散剤。
- 前記ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度が150以上5,000以下である、請求項1又は2に記載の懸濁重合用分散剤。
- 前記ビニルアルコール系重合体が下記式(3)を満たす、請求項1~3のいずれかに記載の懸濁重合用分散剤。
3.5≦[X]×105/[Ra,2]2≦25 (3)
前記式(3)中、[X]の定義は前記式(2)と同じであり、[Ra,2]は前記式(1)で表される構造と水とのHSP距離((J/cm3)1/2)である。 - 請求項1~4のいずれかに記載の懸濁重合用分散剤の存在下で、ビニル系化合物の懸濁重合を行う工程を備える、ビニル系重合体の製造方法。
Applications Claiming Priority (3)
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| JP2020184322 | 2020-11-04 | ||
| JP2020184322 | 2020-11-04 | ||
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