JP7325821B2 - 食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能または有機酸生産能を評価する方法 - Google Patents

食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能または有機酸生産能を評価する方法 Download PDF

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Description

本発明は、食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能または有機酸生産能を評価する方法に関する。より詳細には、本発明は、例えば、食品成分の1種である食物繊維についてのヒトなどの哺乳動物の腸内での動態を評価することができる食物繊維の腸内での分解性能または有機酸生産能を評価する方法に関する。
ヒトの腸管内では多種・多様な細菌が絶えず増殖を続けており、これらは腸内細菌叢(フローラ)と呼ばれる。腸内細菌叢の研究において、ヒトの腸内環境を再現する腸管模倣培養装置による培養が利用されている。腸内細菌叢の構成バランスをほぼ維持したまま培養可能な培養方法および装置が提案されている(特許文献1および2、ならびに非特許文献1)。
腸管模倣培養は、例えば、食品成分(例えば、イヌリンのような食物繊維)が腸内細菌叢に与える影響を評価するために用いることができる(特許文献1および非特許文献1)。また、腸管模倣培養を利用した潰瘍性大腸炎の検査および潰瘍性大腸炎の治療薬のスクリーニングもまた報告されている(特許文献2)。
ところで、健常なヒトの腸内細菌叢の構成となるよう腸内細菌叢を調整するのに有用な食品として、プレバイオティクス食品が注目されている。プレバイオティクス食品は、宿主に有利に働く腸内常在細菌(有用菌)の「餌」となり、これらの増殖または活性を調節することで宿主に有利な影響をもたらし、宿主の健康を改善する。
しかし、このようなプレバイオティクス食品の腸内における動態についてはいまだ不明なことが多く、食品、医薬品などの製品化への応用に有用となる様々な技術開発が所望されている。
国際公開第2015/136916号 特開2018-198560号公報
腸内細菌学雑誌31(2)104 (2017)「培養系ヒト腸管モデルを用いた難消化性食物繊維の腸内細菌群への影響」
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、哺乳動物における食物繊維の腸内動態を簡易かつ効率よく把握することができる食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能または有機酸生産能を評価する方法を提供することにある。
本発明は、食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能を評価する方法を提供し、この方法は、
(a)健常個体由来の糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する工程;
(b)該工程(a)で得られた培養物に該食物繊維を添加し、さらに嫌気培養を行う工程;および
(c)該工程(b)で得られた培養物中の該食物繊維の分解速度および/または分解率を測定する工程
を含む。
1つの実施形態では、上記工程(a)の嫌気培養が16時間~24時間行われる。
1つの実施形態では、前記哺乳動物がヒトである。
本発明は、食物繊維の哺乳動物腸内での有機酸生産能を評価する方法を提供し、この方法は、
(i)健常個体由来の糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する工程;
(ii)該工程(i)で得られた培養物に該食物繊維を添加し、さらに嫌気培養を行う工程;および
(iii)該工程(ii)で得られた培養物中の該有機酸の量を測定する工程
を含み、
該有機酸は、酢酸および/またはプロピオン酸である。
1つの実施形態では、上記工程(i)の嫌気培養は16時間~24時間行われる。
1つの実施形態では、前記哺乳動物がヒトである。
本発明は、哺乳動物腸内で有機酸生産能を有する食物繊維をスクリーニングする方法を提供し、この方法は、
食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、および
標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該食物繊維の該哺乳動物腸内での有機酸の生産能を推測する工程、
を含み、
該有機酸は、酢酸および/またはプロピオン酸である。
本発明は、食物繊維の哺乳動物腸内の分解性能を予測する方法を提供し、この方法は、
該食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、および
標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の分解速度および/または分解率との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該食物繊維の腸内の分解速度および/または分解率を推測する工程、
を含む。
本発明によれば、哺乳動物における食物繊維の大腸内における動態として、腸内の分解速度および/または分解率、ならびに有機酸生産能を簡便に把握することができる。こうして得られた食物繊維の動態は、同一哺乳動物における他の食物繊維の動態と比較可能であり、これらの結果を食物繊維の腸内発酵性やプレバイオティクス食品としての機能性を予測するための情報として利用することができる。
各種食物繊維添加後24時間培養(培養42時間後)したときの(a)酢酸、(b)プロピオン酸および(c)酪酸の生産量を示すグラフである。 各種食物繊維の(a)分解速度および(b)分解率を示すグラフである。 酢酸濃度に対する食物繊維の(a)分解速度および(b)分解率の関係を示すグラフである。 プロピオン酸濃度に対する食物繊維の(A)分解速度および(B)分解率の関係を示すグラフである。 酪酸濃度に対する食物繊維の(A)分解速度および(B)分解率の関係を示すグラフである。 食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対する(a)酢酸濃度、(b)プロピオン酸濃度および(c)酪酸濃度の関係を示すグラフである。 食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対する食物繊維の(a)分解速度および(b)分解率の関係を示すグラフである。 (a)次世代シーケンサーで得られた配列数(リード数)、(b)OTU数、(c)シャノン・ウィーナー多様性指数および(d)シンプソン指数の結果を示す。 糞便資料および培養液中の全腸内細菌に対する各種腸内細菌門の存在比率を示すグラフである。
(用語の定義)
「プレバイオティクス食品」とは、「宿主に有利に働く腸内常在細菌(有用菌)の「餌」となり、これらの増殖または活性を調節することで宿主に有利な影響をもたらし、宿主の健康を改善する難消化性食品」をいう。プレバイオティクス食品には、オリゴ糖(難消化性オリゴ糖を包含する)、抵抗性デンプン、食物繊維などが挙げられる。
「哺乳動物」としては、ヒト;イヌ、ネコなどの愛玩動物;マウス、ラットなどの試験研究用動物;ブタなどの家畜が挙げられる。なお、本発明において「哺乳動物」には、主に草本を食する草食動物は含まれていないことが好ましい。本発明において「哺乳動物」は好ましくはヒトである。
本発明において、「食物繊維」とは、その構成分子中にグリコシド結合を含む単一の物質であって、上記哺乳動物に包含される少なくとも一部の動物が有する消化酵素によって消化されないか、または消化されにくい物質を指して言う。難消化性成分または難消化性物質ということもある。食物繊維の代表的な例としては多糖類が挙げられる。食物繊維は、例えば、植物、動物、微生物などから天然に由来する物質であってもよく、あるいは化学的に合成された物質であってもよい。食物繊維を構成する分子に含まれるグリコシド結合としては、例えば多糖類の場合、構成糖同士が結合する炭素位置に基づいて、1→4グリコシド結合、1→6グリコシド結合、1→2グリコシド結合および1→3グリコシド結合が挙げられる。食物繊維は、哺乳動物の大腸内で分解すると、腸内細菌の嫌気発酵の基質となり、最終代謝産物として有機酸が生産される。このような有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が挙げられる。食物繊維がこのように大腸の腸内細菌の発酵基質となる性質を「発酵性」ともいう。
「総グリコシド結合数」とは、食物繊維を構成する分子(1分子)中に含まれるグリコシド結合の総数をいう。「総グリコシド結合数」は、例えば、食物繊維を構成する分子の種類および構造、構成糖の構造、分子量等から算出することができる。あるいは、「総グリコシド結合数」は、たとえその構成分子の構造が未知であったとしても、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて当該分子中のメチル化分析によって構成糖の結合位置等を把握することにより得ることができる。
「総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合」とは、食物繊維を構成する分子(1分子)中のグリコシド結合の総数に対する、当該分子中の1→2グリコシド結合数と1→3グリコシド結合数との合計の割合をいう。「1→2グリコシド結合数」および「1→3グリコシド結合数)は、それぞれ例えば、食物繊維を構成する分子の種類および構造、構成糖の構造、分子量等から算出することができる。あるいは、これらは、たとえその構成分子の構造が未知であったとしても、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて当該分子中のメチル化分析によって構成糖の結合位置等を把握することにより得ることができる。
「腸内細菌叢」とは、ヒトなどの哺乳動物の大腸の腸内に常在する細菌群をいう。健常なヒトの腸内細菌叢を構成する細菌としては、例えば、門レベルでは、以下の門に属する細菌が挙げられる:ベルコミクロビア門(Verrucomicrobia)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、フソバクテリア門(Fusobacteria)、フィルミクテス門(Firmicutes)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、アクチノバクテリア門(Actinobacteria)など。さらにレベルでは、以下の属または科に属する細菌が挙げられる:ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、コリンセラ属(Collinsella)、バクテロイデス属(Bacteroides)、パラバクテロイデス属(Parabacteroides)、プレボテラ属(Prevotella)、リケネラセアエ科(Rikenellaceae)、ラクトバシラルズ科(Lactobacillales)など。
「健常個体」とは、疾患に罹患していない哺乳動物個体をいう。糞便の採取日前の少なくとも2か月は抗生物質投与を受けていない個体が好ましい。
「標準食物繊維群」とは、有機酸生産量あるいは食物繊維の分解率および/または分解速度が、同じ培養条件下で測定済みであるかもしくは既知であり、かつ総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合および1→3グリコシド結合の合計数の割合が算出されたかもしくは算出可能である、複数の食物繊維で構成される群をいう。
「分解率」および「分解速度」はともに、腸内細菌叢の存在下で細菌による食物繊維の分解で生じる食物繊維の減少の程度を表す指標となる。「分解率」とは、腸内細菌叢の存在下に食物繊維を置いた場合、開始時間Tの食物繊維量(重量)Dに対する一定期間経過後の時間Tで残存する食物繊維量(重量)Dの割合(%)をいい、式D/D×100で表される。「分解率」は、例えば、腸内細菌叢の存在下での培養開始時の初期食物繊維量(重量)に対する培養終了時に残存する最終食物繊維量(重量)の割合として表すことができる。「分解速度」は、腸内細菌叢の存在下に食物繊維を置いた場合、開始時間Tの食物繊維量(重量)Dから一定期間経過後の時間Tの食物繊維量(重量)Dまでの単位時間当たりの変化量(例えば減少量)をいい、式(D-D)/(T-T)で表される。「分解速度」には、腸内細菌叢の存在下の培養を行う場合には、培養液の容量もまた考慮することができる。「分解速度」は、例えば、腸内細菌叢の存在下の培養開始時の初期食物繊維量(重量)から培養終了時に残存する最終食物繊維量(重量)までの変化量を培養液容量当たりかつ単位時間当たりの量(例えば、食物繊維の分解による減少量)として表すことができる。
例えば、本発明の評価方法によって、食物繊維有機酸の生産量あるいは食物繊維の分解率および/または分解速度が測定され、かつ総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合が算出された食物繊維を、標準食物繊維群を構成する食物繊維として利用することができる。
(食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能を評価する方法)
本発明の食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能を評価する方法は、(a)健常個体由来の糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する工程;(b)該工程(a)で得られた培養物に該食物繊維を添加し、さらに嫌気培養を行う工程;および(c)該工程(b)で得られた培養物中の該食物繊維の分解速度および/または分解率を測定する工程を含む。
工程(a)の培養によって、使用した糞便の哺乳動物の大腸環境を模倣する腸内細菌叢を構築する。工程(a)において、培養物は、健常個体由来の糞便を培養培地に添加して調製され得る。培養培地は、嫌気培養に使用可能な培地であればいずれでもよい。糞便は、予め所定の溶媒に懸濁された懸濁液として調製し、培地に添加され得る。嫌気培養用培地として、例えば、GAM培地が用いられる。GAM培地としては、例えば、GAM寒天培地、変法GAM寒天培地、GAM半流動高層培地、GAMブイヨンおよび変法GAMブイヨンが挙げられる。培養前に、培地は例えば、オートクレーブを用いて滅菌され得る(滅菌)。液体培養が好ましく、液状の培養物を「培養液」ともいう。培養の間、培養液は適宜撹拌され得る。糞便は、採取後、培養を開始するまで嫌気性培養スワブなどの容器内に保管され得る。
培養の嫌気的環境は、培地に対して嫌気的ガスを曝気させることにより作り出すことができる。嫌気的ガスは、例えば、窒素、窒素および二酸化炭素、あるいは、窒素および二酸化炭素および水素である。嫌気的ガスの曝気は、所定流量(例えば0.1~1.0dL/分)にて常時行われるかまたは間欠的に行われる。また、嫌気的ガスは、腸内ガスに例えば窒素や二酸化炭素が含まれていることがあるから、窒素と二酸化炭素とからなる混合ガスであることが好ましい。なお、高度な嫌気条件を保つため、常時、嫌気的ガスを曝気するのが好ましい。
本発明においては、嫌気培養は、培養液のpHを培養の開始時において、好ましくは6.2~6.7、より好ましくは6.2~6.5に設定される。培養の開始時(例えば、糞便を含む培養液を嫌気的環境下に置いた時点)に上記範囲内のpHとすることにより、使用した糞便に対応する哺乳動物の大腸内pHに適合させることができる。培養の開始時の培養液のpHが上記範囲内であればよく、その後はpHの調整は特に行わずにそのまま放置してもよく、あるいはpHの極端な低下を防ぐため必要に応じてpH調節剤によって上記範囲内にpHを調節してもよい。好ましくは、培養開始後、pHに関しては放置する。pHに関して「放置する」とは、培養中、上記範囲内にpHを維持することを意図した操作(例えば、pH調節剤またはアルカリ添加によるpH調節)を行わないことをいう。
培養温度は、使用した糞便に対応する哺乳動物の大腸内環境を模倣するという理由から、当該哺乳動物の体温付近の温度が用いられることが好ましい。例えば、ヒトの糞便を用いる場合、培養温度は、ヒト健常者の体温付近の温度であるという理由から、好ましくは36℃~38℃であり、より好ましくは36℃~37℃である。
培養の様式は問わないが、好ましくは、1回バッチ式である。
工程(a)の培養期間は、腸内細菌叢を構築可能な期間であることが好ましい。腸内細菌叢の構築により、腸内細菌叢の細菌による食物繊維の分解性能が発揮され得る。添加の工程(a)の培養期間は、例えば、12時間を上回り、好ましくは16~24時間、より好ましくは18~24時間である。工程(a)の培養期間が12時間以下である場合、腸内細菌の増殖が十分でなく細菌叢を十分に構築できておらず、細菌叢の細菌による食物繊維の分解または有機酸生産が観測可能な程度の量にて行われなくなることがある。工程(a)の培養期間が24時間を超える場合、腸内細菌叢はそれまでの時間内で、細菌による食物繊維の分解または有機酸生産が観測可能な程度に十分構築されており、評価方法の期間全体を長期化することとなり、迅速性を損なうことがある。
工程(b)では、上記工程(a)で得られた培養物に食物繊維を被験物質として添加し、さらに嫌気培養を行う。被験物質である食物繊維を「被験食物繊維」ともいう。被験食物繊維は、例えば、培養液1Lに対し、例えば、6g~12g、好ましくは8g~10gにて添加される。上記添加量範囲は、食物繊維の分解および有機酸の生産量の測定により適した量である。工程(b)では、食物繊維の添加以外は、工程(a)の嫌気培養が引き続き行われる。工程(b)の培養期間は、対象動物の消化管内における固形食物の滞在期間に基づいて適宜決定することができる。例えば、哺乳動物がヒト(成人)である場合、工程(b)の培養期間は、ヒト消化管内における食物(固形物)の滞在時間を考慮して、例えば、20時間~30時間であり、好ましくは23時間~25時間である。
工程(c)に関して、分解速度および分解率は、添加した食物繊維量および工程(b)で得られた培養物の食物繊維量を対比することによって決定することができる。培養物を当該分野で公知の技術(例えば濾過)を用いて固液分離して得られる上清を用いて測定してもよい。分解速度は、例えば、1時間当たりの培養物(培養液)中の食物繊維量(g/L/h)として表すことができる。分解率は、例えば、添加した食物繊維量に対する食物繊維添加培養の終了時に残存する食物繊維量の割合(%)として表すことができる。糞便試料または培養物中の食物繊維量の測定は、当業者に周知の方法を用いて行うことができる。このような方法としては、例えば、酵素-重量法、ならびに酵素-重量法と高速液体クロマトグラフィー(HPLC)との組み合わせによる方法(酵素-HPLC法)が挙げられる。
このように、本願発明の方法によってインビトロで食物繊維の分解速度および/または分解率を求めることによって、インビボにおけるその食物繊維による腸内発酵の速度および/または腸内発酵に利用される食物繊維の割合を推測することができる。食物繊維の分解速度が高いことは、腸内分解性能が高いことの指標となる。腸内分解性能が高い場合は腸内で食物繊維が消化および分解され、嫌気発酵が促され得る。後述の実施例に示すように、本発明の糞便培養では、食物繊維の分解速度が高いほど、有機酸の生産量が増大する傾向にある。食物繊維の分解速度が低いことはその哺乳動物における腸内分解性能が低いことの指標となる。腸内分解性能が低い場合はその哺乳動物の腸内で食物繊維が分解されずに滞留し、よって体内で消化できずに便として排出される傾向にある。よって、分解速度が高い食物繊維は、腸内発酵での有機酸の増産が期待され、分解速度が遅い食物繊維は、排便増加の効果が期待される。
(食物繊維の哺乳動物腸内での有機酸生産能を評価する方法)
本発明の食物繊維の哺乳動物腸内での有機酸生産能を評価する方法は、(i)健常個体由来の糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する工程;(ii)該工程(i)で得られた培養物に該食物繊維を添加し、さらに嫌気培養を行う工程;および(iii)該工程(ii)で得られた培養物中の該有機酸の量を測定する工程を含む。ここで「有機酸」とは、酢酸および/またはプロピオン酸である。
工程(i)および(ii)は、上記の工程(a)および(b)と同様である。
工程(iii)に関して、食物繊維添加による有機酸生産量は、例えば、工程(ii)の培養の終了時の有機酸量を、食物繊維無添加以外は同条件の培養の終了時の有機酸量に対する割合として表すことができる。当該分野で公知の技術(例えば、濾過)によって培養物を固液分離して得られる上清中の有機酸の濃度を測定してもよい。有機酸の濃度は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することができる。
このようにインビトロで食物繊維添加による有機酸生産量を求めることによって、その食物繊維の腸内での発酵性(例えば、腸内発酵による有機酸の生産能)を推測することができる。
(哺乳動物腸内で有機酸生産能を有する食物繊維をスクリーニングする方法)
本発明によれば、哺乳動物腸内で有機酸生産能を有する食物繊維をスクリーニングする方法が提供される。有機酸は、酢酸および/またはプロピオン酸である。
上記スクリーニング方法では、食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に基づいて、有機酸の生産能が推測される。この推測は、例えば、標準食物繊維群と同じ培養条件下で測定された値に対する相対評価として、有機酸の生産能(例えば単位時間あたりの有機酸の生産量)の高低を示す傾向の結果として得られる。「高低」とは、例えば、標準食物繊維群を構成するすべての食物繊維の最高有機酸濃度と最低有機酸濃度との中間の値を基準に区分することができる。
食物繊維、および標準食物繊維群を構成する食物繊維の総グリコシド結合数、1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数は、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いることによって糖鎖構造解析を行うことにより決定することができる。次いで、このようにして得られた総グリコシド結合数、1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数に基づいて、総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合を算出することができる。
標準食物繊維群を構成する食物繊維の腸内での有機酸の生産能は、例えば、本発明の有機酸生産能の評価方法に基づいて、推測することができる。有機酸生産能の評価方法を、標準食物繊維群を構成する複数の食物繊維について同条件で培養することによって行う。
食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合と、その食物繊維による有機酸の生産能との間の関係は、例えば、上記割合の増大につれて酢酸量およびプロピオン酸量は低下することがある。このため、標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と、該標準食物繊維群の有機酸の生産能との間の相関を示す「相対曲線」を作成すれば、所定の食物繊維に対して、有機酸の生産量を、必ずしも実験的手法を用いて確認することなく、当該「相対曲線」による計算的手法を用いて推測することができる。このような「相対曲線」としては、例えば、上記割合(B)と、該標準食物繊維群の有機酸の生産量との関係を表す図およびグラフ、ならびにこれらを数学的に表現した数式およびそれを組み込んだコンピュータプログラムが挙げられる。
上記「相対曲線」は例えば以下のようにして作成される。まず、有機酸の生産能に関して測定済みまたは既知の複数種の食物繊維について、それらの食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対するそれらの有機酸の生産能がプロットされる。次いで、このプロットされた情報に基づいて、当業者に公知の手法を用いて近似曲線または近似式が作成または算出される。このようにして得られる近似曲線が線形性を有するか非線形を有するかは特に限定されない。本発明においては、例えば、最小二乗法に基づいて、近似曲線(近似直線)および決定因子(R)が決定されてもよい。本発明において、相対曲線が最小二乗法に基づく近似曲線を用いる場合、より正確な有機酸の生産能を把握することができるとの理由から、得られる決定因子(R)は、好ましくは0.7~1、より好ましくは0.8~1の範囲内にある近似曲線を用いることが好ましい。このように作成された相対曲線を用いて、食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)から当該食物繊維の有機酸の生産能が推測される。
相対曲線に基づいて推測された有機酸の生産能から、その哺乳動物の腸内での有機酸の生産能の高低の傾向を予測することができる。これにより、哺乳動物腸内で有機酸生産能を有する食物繊維をスクリーニングや食物繊維の当該哺乳動物腸内での発酵性の予測が可能となる。
(食物繊維の哺乳動物腸内の分解性能を予測する方法)
本発明によれば、食物繊維の哺乳動物腸内の分解性能を予測する方法が提供される。
上記予測方法では、食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に基づいて、食物繊維の哺乳動物腸内の分解速度および/分解率が推測される。この推測により得られた値は、例えば、標準食物繊維群と同じ培養条件下で測定された値に対する相対値として用いることができる。
標準食物繊維群を構成する食物繊維の分解速度および分解率は、例えば、本発明の分解性能の評価方法に基づいて、決定することができる。分解性能の評価方法は、例えば標準食物繊維群を構成する複数の食物繊維について同条件で培養することによって行うことができる。
食物繊維および標準食物繊維群を構成する食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合は上記と同様にして決定される。
食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合と、その食物繊維の分解速度および分解率との間の関係は、例えば、上記割合の増大につれて食物繊維の分解速度および分解率は低下することがある。このため、標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と、該標準食物繊維群の食物繊維の分解速度および分解率との間の相関を示す「相対曲線」を作成すれば、所定の食物繊維に対して、食物繊維の分解速度および分解率を、必ずしも実験的手法を用いて確認することなく、当該「相対曲線」による計算的手法を用いて推測することができる。このような「相対曲線」としては、例えば、上記割合(B)と、該標準食物繊維群の食物繊維の分解速度および分解率との関係を表す図およびグラフ、ならびにこれらを数学的に表現した数式およびそれを組み込んだコンピュータプログラムが挙げられる。
上記「相対曲線」は例えば以下のようにして作成される。まず、食物繊維の分解速度および分解率に関して測定済みまたは既知の複数種の食物繊維について、それらの食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対するそれらの食物繊維の分解速度および分解率がプロットされる。次いで、このプロットされた情報に基づいて、当業者に公知の手法を用いて近似曲線または近似式が作成または算出される。このようにして得られる近似曲線が線形性を有するか非線形を有するかは特に限定されない。本発明においては、例えば、最小二乗法に基づいて、近似曲線(近似直線)および決定因子(R)が決定されてもよい。本発明において、相対曲線が最小二乗法に基づく近似曲線を用いる場合、より正確な食物繊維の分解速度および分解率を把握することができるとの理由から、得られる決定因子(R)は、好ましくは0.7~1、より好ましくは0.8~1の範囲内にある近似曲線を用いることが好ましい。このように作成された相対曲線を用いて、食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)から当該食物繊維の食物繊維の分解速度および分解率が推測される。
相対曲線に基づいて得られた分解速度および/または分解率の予測から、哺乳動物腸内での食物繊維の分解速度および/または分解率の高低の傾向を予測することができる。これにより、哺乳動物腸内で有機酸の生産能を有する食物繊維のスクリーニングや食物繊維の腸内発酵性または排便増加効果の予測などを行うことができる。
本発明によれば、哺乳動物における食物繊維の大腸内における動態として、当該哺乳動物腸内の分解速度および/または分解率、ならびに有機酸生産能を簡便に評価することができる。したがって、食物繊維の腸内発酵性やプレバイオティクス食品の機能性予測としての活用が期待される。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1:食物繊維添加培養)
8人の健常者から糞便試料を採取した。なお実験参加者は、2か月以上にわたりいかなる抗生物質も受けていない者であった。糞便試料は採取後、嫌気性培養スワブ(212550 BD BBL Culture Swab;ベクトン・ティッキンソンアンドカンパニー製)内に保管し、実験室に送付した。
マルチチャンネル培養器(Bio Jr.8;エイブル株式会社製)を用いるヒト大腸を模した1回バッチ式培養装置を作製した。本インビトロモデル装置は、8つの並列した独立の容器からなり、各容器に、100mLのオートクレーブ(115℃にて15分間)した岐阜大学処方嫌気性培地(GAM培地[Code 05422];日水製薬株式会社製)を入れ、pHを0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5,0.1M NaHPOおよび0.1M NaHPOの68.5:31.5(モル比)混合物からなる)添加により6.5に調整したものであった。培養前に37℃にて1時間、0.2μm PTFE膜(ポール・コーポレーション製)を通して濾過滅菌した窒素および二酸化炭素混合ガス(N:CO=80:20(体積比))に曝気(15mL/分)することにより、培養容器の嫌気性条件を構築した。接種物の調製のため、糞便試料を、1%のL-アスコルビン酸(和光純薬工業株式会社製)を添加した0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5,0.1M NaHPOおよび0.1M NaHPOの68.5:31.5(モル比)混合物からなる)2mL中に懸濁した。100μLの上記糞便懸濁液を各培地含有容器内に接種して、嫌気培養を開始した。培養の間、培地を濾過滅菌した混合ガスに曝気することにより、嫌気性条件を維持した。
培養18時間後に、食物繊維を添加濃度1.0(w/v)%(1.0g/100mL)で添加し、さらに24時間培養した(合計で42時間培養した)。食物繊維の添加後0時間、3時間、6時間、9時間、12時間および24時間にて容器の側面の突出部分より培養液の一部を回収した。回収した培養液を分析した。糞便試料および培養液は、分析に供するまで-20℃下に保管した。
以下の食物繊維を用いた:ポリデキストロース(PDS:「ライテス II」、Dupont Nutrient & Biosciences社製)、レジスタントグルカン(RGN:「フィットファイバー#80」、日本食品化工株式会社製)、難消化性デキストリン(DEX-1:「ニュートリオースFM06」、ロケット社製)、難消化性デキストリン(DEX-2:「プロミタ85」、ロケット社製)、難消化性デキストリン(DEX-2:「ファイバーソル2」、松谷化学工業株式会社製)、イソマルトデキストリン(IMD:「ファイバリクサ」、株式会社林原製)。
表1は、各食物繊維のグリコシド結合の割合(%)および分子量を示す。各種グリコシド結合の割合(%)は、メチル化分析にて糖鎖の構成糖の結合炭素位置を決定して1→4、1→6、1→2、1→3の各グリコシド結合の数を求めて、算出した。メチル化分析は、CuineおよびKerekの方法(Carbohydr Res. Doi:10.1016/0008-6215(84)85242-8)にしたがった。ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC(7890A;アジレント・テクノロジー株式会社製)-MS(Jms-Q1000GC;日本電子株式会社製))を以下の条件下で行った:カラム:BD-225キャピラリーカラム(30mL×0.25mmID×0.15μmフィルム;アジレント・テクノロジー株式会社製);カラム温度:170℃で1分間加熱し、次いで210℃まで3℃/分で昇温し、210℃で20分維持した;注入温度:210℃;溶離液:ヘリウム)。分子量は糖1分子の平均値に基づいて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。HPLCの測定を以下の条件下で行った:カラム:TSKgel G6000PWXL、G3000PWXL、G2500PWXL (300mm X 7.8mm ID)(東ソー株式会社製);カラム温度:80℃;溶離液:蒸留水;流速:0.5mL/min;検出:示差屈折率;注入量:100 μL。サンプルは終濃度1%(w/w)で蒸留水中に準備した。標準試料としてSTANDARD P-82、マルトース、グルコースを使用した。
Figure 0007325821000001
以下、各種食物繊維を「PDX」、「RGN」、「DEX-1」、「DEX-2」、「DEX-3」および「IMD」にて表す。
(実施例2:有機酸分析)
実施例1において食物繊維の添加後0時間および24時間にて回収した培養液を、有機酸(短鎖脂肪酸:酢酸、プロピオン酸および酪酸)の濃度の測定のために使用した。培養液を濾過して得た濾液を、Aminex HPX-87Hカラム(バイオ-ラッドラボラトリーズ社製)およびRID-10A示差屈折率検出器(株式会社島津製作所製)を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(株式会社島津製作所製)に供して酢酸、プロピオン酸、および酪酸の量を測定した。HPLCを、0.6mL/分の流速にて移動相として5mM HSOを用いて65℃にて操作した。
図1は、各種食物繊維添加後24時間培養(培養42時間後)したときの(a)酢酸、(b)プロピオン酸および(c)酪酸の生産量を示すグラフである。生産量は、食物繊維添加の場合の各有機酸量を食物繊維無添加のコントロールの場合に対する相対比として表した。なおコントロールでは、(a)酢酸、(b)プロピオン酸および(c)酪酸はそれぞれ90.3±15.0mM、28.9±8.95mMおよび13.5±12.0mMで生産された(平均±SD、n=8)。グラフ中の*は、ダネットの検定によりコントロールの値(n=8)と有意差があることを示す(*p<0.05および**p<0.01)。なおデータは中央値と四分位範囲(25%タイル~75%タイル)にて示した。
(実施例3:食物繊維の分解速度および分解率)
実施例1において食物繊維の添加後0時間および24時間にて回収した培養液を、食物繊維の分解速度および分解率の決定のために使用した。分解速度および分解率の決定のために、培養液を酵素-重量法にて得た濾液をHPLCに供して、食物繊維量を決定した。
培養液(5mL)をリン酸緩衝液(15mL、0.08M、最終pH6.0)と混合した。食物繊維の総量を、Total Dietary Fiber Assay Kit(シグマ-アルドリッチ社製、TDF-100A)に記載の手順に従って測定した。熱安定性α-アミラーゼでゲル化し、次いでプロテアーゼおよびアミログルコシダーゼで消化し、試料中のタンパク質およびデンプンを除去した。アンバーライトIRA67および200CT(H)HGを用いて、残存不純物を除去した。2つのTSKgel G2500PWxlカラム(東ソー株式会社製)を備えたHPLC(株式会社島津製作所製)によって、食物繊維の難消化部分を定量した。
図2は、各種食物繊維の(a)分解速度および(b)分解率を示すグラフである。分解速度(g/L/h:1時間当たりの濃度)をlinearly degrading valuesを用いて算出した。データは中央値と四分位範囲(25%タイル~75%タイル)にて示した。分解率(%)を初期の食物繊維添加時(18時間培養後)の食物繊維量に対する食物繊維添加後24時間(42時間培養後)の食物繊維量の割合として算出した。グラフ中の*は、ウィルコクソンの符号付順位和検定によりコントロールの値(n=8)と有意差があることを示す(*p<0.05および**p<0.01)。
(実施例4:有機酸濃度と食物繊維分解の相関分析)
食物繊維分解速度および分解率について、各種有機酸の濃度に対してプロットをとり、相関関係を調べた。これらの結果を図3~5に示す。
図3は、酢酸濃度に対する食物繊維の(A)分解速度および(B)分解率の関係を示すグラフである。図4は、プロピオン酸濃度に対する食物繊維の(A)分解速度および(B)分解率の関係を示すグラフである。図5は、酪酸濃度に対する食物繊維の(A)分解速度および(B)分解率の関係を示すグラフである。酢酸およびプロピオン酸は、食物繊維の分解速度および分解率のそれぞれに対して相関関係を示した。分解速度が速いほど、また分解率が高いほど、酢酸およびプロピオン酸の生産が増大した。食物繊維の分解率が高まるにつれて、酢酸およびプロピオン酸については有機酸生産能も増大した。酪酸では食物繊維の分解速度および分解率との間では相関関係が見られなかった。
(実施例5:有機酸濃度と1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計との相関分析)
各種食物繊維について、食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対して有機酸濃度のプロットをとり、相関関係を調べた。「総グリコシド結合数」とは、1→2グリコシド結合数、1→3グリコシド結合数、1→4グリコシド結合数および1→6グリコシド結合数の合計である。
図6は、食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対する(a)酢酸濃度、(b)プロピオン酸濃度および(c)酪酸濃度の関係を示すグラフである。酢酸およびプロピオン酸は、総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対して相関関係を示した。特にプロピオン酸で、高い相関性を示した。総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合が大きいほど、酢酸およびプロピオン酸の生産量が少なかった。酪酸では相関関係はみられなかった。
(実施例6:食物繊維の分解速度および分解率と1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計との相関分析)
各種食物繊維について、食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対して有機酸濃度のプロットをとり、相関関係を調べた。
図7は、食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合に対する食物繊維の(a)分解速度および(b)分解率の関係を示すグラフである。分解速度および分解率は、総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合および1→3グリコシド結合の合計数の割合に対して相関関係を示した。総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合が大きいほど分解速度および分解率は低くなり、ヒト大腸内で分解を受けにくく、この割合が小さいほど分解速度および分解率は高くなり、ヒト大腸内で分解を受けやすいと考えられた。酪酸ではこのような相関は見られなかった。
(参考例1:糞便中の細菌分析)
実施例1において食物繊維の添加後24時間にて回収した培養液から細菌叢の菌のゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAから細菌16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を増幅して次世代シーケンサーにより配列解析を行い、細菌多様性分析および細菌構成分析を行った。手順を以下に示す。
プライマー対S-D-Bact-0341-b-S-17(配列番号1)およびS-D-Bact-0785-a-A-21(配列番号2)を用いて、抽出したゲノムDNAを鋳型に細菌16S rRNA遺伝子を増幅に供した。イルミナアダプターオーバーハングヌクレオチド配列(イルミナ株式会社製)を遺伝子特異的配列に付加した。製造者の指示に従ってPCRサイクリング反応を行った。確認したアンプリコンAMPure XP DNA精製ビーズ(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて精製し、25μlの10mM Tris(pH8.5)中に溶出した。アンプリコンをAgilent Bioanalyzer 2100 DNA 1000チップ(アジレント・テクノロジー株式会社製)において定量し、等モル濃度でプールした。16S rRNA遺伝子産物(内部コントロール(PhiXコントロールV3;イルミナ株式会社製)と共に)を、600サイクルMiSeq試薬キット(イルミナ株式会社製)と共にMiSeqシーケンサー(イルミナ株式会社製)を用いて、ペアエンドシーケンスに供した。PhiX配列を切り出し、20以上のQスコアのペアエンドリードを、ソフトウェアパッケージQIIMEバージョン1.9.1を用いてつなげた。キメラ配列を同定し、ライブラリーから排除した。Ribosomal Database Project(RDP) Classifierを用いてGreenGenes系統学的データベースによって、ペアエンドリードを系統学的に分類した。97%類似性に達したOTU(Operational Taxonomic Unit)を、シャノン・ウィーナー指数およびシンプソン指数の多様性比較のために用いた。
リアルタイムPCRをTP700 Thermal Cycler Dice Real Time System Lite(タカラバイオ株式会社製)を用いて行った。Takagi, Rら,PLoS One 11, e0160533 (2016)に記載のように、全腸内細菌をターゲットにするプライマーセットを用いた増幅を行った。
シャノン・ウィーナー多様性指数およびシンプソン指数を、QIIMEソフトウェアパッケージを用いて算出した。ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定を用いて、OTU数、シャノン・ウィーナー多様性指数およびシンプソン指数に関する有意差を決定した。0.05未満のP値を有意と判断した。
図8は、(a)次世代シーケンサーで得られた配列数(リード数)、(b)OTU数、(c)シャノン・ウィーナー多様性指数および(d)シンプソン指数の結果を示す。なお、培養開始時の糞便試料を「FEC」と表し、食物繊維無添加時の培養液を「CUL」と表す。データは中央値と四分位範囲(25%タイル~75%タイル)にて示した。OTU数、シャノン・ウィーナー多様性指数およびシンプソン指数について、食物繊維無添加時の培養液と食物繊維添加時の培養液との間には有意差がなかった。
図9は、糞便資料および培養液中の全腸内細菌に対する各種腸内細菌門の存在比率を示すグラフである。16S rRNA遺伝子産物の配列分析から、検出された細菌は、未分類細菌、ベルコミクロビア門(Verrucomicrobia)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、フソバクテリア門(Fusobacteria)、フィルミクテス門(Firmicutes)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)およびアクチノバクテリア門(Actinobacteria)に分類された。図9中、「HS1」から「HS8」は8人の各健常者由来糞便を示し、各「HS」内でFEC、CUL、PDX、RGN、DEX-1、DEX-2、DEX-3およびIMDの順に結果を示す。各種腸内細菌科の存在比率についても、食物繊維無添加時の培養液と食物繊維添加時の培養液との間で大きな差異は見られなかった。
よって、糞便培養により形成された腸内細菌叢は、食物繊維の添加と無添加の場合との間で大きな差異は見られなかった。
(実施例7:糞便中の細菌分析)
食物繊維としてIMDのみを用い、かつ食物繊維添加前の培養時間を12時間、18時間および24時間のいずれかとしたこと以外は、実施例1と同様に培養を行った。食物繊維IMD添加培養の終了時にIMD添加培養液および無添加培養液を採取し、IMDの分解速度を決定し、以下の結果が得られた:
食物繊維添加前の培養時間が12時間であった場合の分解速度:0.48g/L/h
食物繊維添加前の培養時間が18時間であった場合の分解速度:0.86g/L/h
食物繊維添加前の培養時間が24時間であった場合の分解速度:0.91g/L/h
同じ食物繊維に対して食物繊維添加前の培養時間を変更した場合、12時間培養では食物繊維の分解速度が低く、培養液中に腸内細菌が十分に増殖しておらず、分解性能が低いと考えられたかった。これに対し、18時間培養と24時間培養とでは食物繊維の分解速度はほぼ変わらなかった。この結果からは、18時間培養が、食物繊維の分解性能を調べるために最適であると考えられた。
本発明は、飲食品および医薬品の製造に有用である。

Claims (22)

  1. 哺乳動物腸内での有機酸生産能を有する水溶性食物繊維をスクリーニングする方法であって、
    水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、および
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該水溶性食物繊維の該哺乳動物腸内での有機酸の生産能を推測する工程、
    を含み、
    該有機酸が、酢酸および/またはプロピオン酸である、方法。
  2. 哺乳動物腸内での有機酸生産能を有する水溶性食物繊維をスクリーニングする方法をコンピュータに実装させるプログラムであって、該方法は、
    水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、および
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該水溶性食物繊維の該哺乳動物腸内での有機酸の生産能を推測する工程、
    を含み、
    該有機酸が、酢酸および/またはプロピオン酸である、プログラム。
  3. 水溶性食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能を予測する方法であって、
    水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、および
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の分解速度および/または分解率との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該水溶性食物繊維の腸内の分解速度および/または分解率を推測する工程、
    を含む、方法。
  4. 水溶性食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能を予測する方法をコンピュータに実装させるプログラムであって、該方法は、
    水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、および
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の分解速度および/または分解率との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該水溶性食物繊維の腸内の分解速度および/または分解率を推測する工程、
    を含む、プログラム。
  5. 水溶性食物繊維を含む物質が哺乳動物においてプレバイオティクスとして機能するかを評価する方法であって、
    水溶性食物繊維を含む物質の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物における有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該物質の該哺乳動物における有機酸の生産能を推測する工程、および
    該有機酸の生産能に基づいて、プレバイオティクスとして機能するかを評価する工程
    を含み、
    該有機酸が、酢酸および/またはプロピオン酸である、方法。
  6. 前記プレバイオティクスは、食品または医薬品である、請求項5に記載の方法。
  7. 水溶性食物繊維を含む物質が哺乳動物においてプレバイオティクスとして機能するかを評価する方法をコンピュータに実装させるプログラムであって、該方法は、
    水溶性食物繊維を含む物質の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物における有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該物質の該哺乳動物における有機酸の生産能を推測する工程、および
    該有機酸の生産能に基づいて、プレバイオティクスとして機能するかを評価する工程
    を含み、
    該有機酸が、酢酸および/またはプロピオン酸である、プログラム。
  8. 哺乳動物における、水溶性食物繊維を含む物質の腸内動態および/または腸内発酵性を評価または予測する方法であって、
    水溶性食物繊維を含む物質の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物における有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該物質の該哺乳動物における有機酸の生産能を推測する工程、および
    該有機酸の生産能に基づいて、腸内動態および/または腸内発酵性を評価または予測する工程
    を含み、
    該有機酸が、酢酸および/またはプロピオン酸である、方法。
  9. 哺乳動物における、水溶性食物繊維を含む物質の腸内動態および/または腸内発酵性を評価または予測する方法をコンピュータに実装させるプログラムであって、該方法は、
    水溶性食物繊維を含む物質の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物における有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該物質の該哺乳動物における有機酸の生産能を推測する工程、および
    該有機酸の生産能に基づいて、腸内動態および/または腸内発酵性を評価または予測する工程
    を含み、
    該有機酸が、酢酸および/またはプロピオン酸である、プログラム。
  10. 水溶性食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能および/または有機酸生産能を評価または予測するための培養装置であって、
    糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する手段と、
    総グリコシド結合数を求める手段と
    該水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める手段と、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と、(i)該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線、および/または(ii)該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の分解速度および/または分解率との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から、(i)該水溶性食物繊維の該哺乳動物腸内での有機酸の生産能を推測する手段、および/または(ii)該水溶性食物繊維の腸内の分解速度および/または分解率を推測する手段と
    を含む培養装置。
  11. 水溶性食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能および/または有機酸生産能を評価または予測するための組み合わせ物であって、
    糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する培養装置と、
    総グリコシド結合数を求める手段と
    該水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める手段と、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と、(i)該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線、および/または(ii)該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の分解速度および/または分解率との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から、(i)該水溶性食物繊維の該哺乳動物腸内での有機酸の生産能を推測する手段、および/または(ii)該水溶性食物繊維の腸内の分解速度および/または分解率を推測する手段と
    の組み合わせ物。
  12. 水溶性食物繊維を含む物質が哺乳動物においてプレバイオティクスとして機能するかを評価するためのシステムであって、
    糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する手段と、
    総グリコシド結合数を求める手段と
    該水溶性食物繊維を含む物質の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める手段と、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物における有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該物質の該哺乳動物における有機酸の生産能を推測する手段と、
    該有機酸の生産能に基づいて、プレバイオティクスとして機能するかを評価する手段と
    を含む、システム。
  13. 哺乳動物における、水溶性食物繊維を含む物質の腸内動態および/または腸内発酵性を評価または予測するためのシステムであって、
    糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する手段と、
    総グリコシド結合数を求める手段と
    該水溶性食物繊維を含む物質の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める手段と、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物における有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該物質の該哺乳動物における有機酸の生産能を推測する手段と、
    該有機酸の生産能に基づいて、腸内動態および/または腸内発酵性を評価または予測する手段と
    を含む、システム。
  14. 水溶性食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能および/または有機酸生産能を評価または予測するためのシステムであって、
    糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する手段と、
    総グリコシド結合数を求める手段と
    該水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める手段と、
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と、(i)該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線、および/または(ii)該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の分解速度および/または分解率との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から、(i)該水溶性食物繊維の該哺乳動物腸内での有機酸の生産能を推測する手段、および/または(ii)該水溶性食物繊維の腸内の分解速度および/または分解率を推測する手段と
    を含む、システム。
  15. 水溶性食物繊維の哺乳動物腸内での分解性能を評価する方法であって、
    (a)健常個体由来の糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する工程;
    (b)該工程(a)で得られた培養物に該水溶性食物繊維を添加し、さらに嫌気培養を行う工程;および
    (c)該工程(b)で得られた培養物中の該水溶性食物繊維の分解速度および/または分解率を測定する工程
    を含み、該水溶性食物繊維が、
    該水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、および
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の分解速度および/または分解率との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該水溶性食物繊維の腸内の分解速度および/または分解率を推測する工程、
    を含む方法によって該哺乳動物腸内での分解性能が予測されたものである、方法。
  16. 前記工程(a)の嫌気培養が16時間~24時間行われる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記哺乳動物がヒトである、請求項15または16に記載の方法。
  18. 前記腸内細菌叢の構築が、窒素および二酸化炭素を含む嫌気的ガスを培地に対して曝気させることにより作り出された嫌気的環境において、前記糞便を少なくとも12時間以上にわたって嫌気培養することによって行われ、
    前記嫌気的環境が、36℃~38℃、pH6.2~6.7である、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 水溶性食物繊維の哺乳動物腸内での有機酸生産能を評価する方法であって、
    (i)健常個体由来の糞便を用いて嫌気培養を行い、腸内細菌叢を構築する工程;
    (ii)該工程(i)で得られた培養物に該水溶性食物繊維を添加し、さらに嫌気培養を行う工程;および
    (iii)該工程(ii)で得られた培養物中の該有機酸の量を測定する工程
    を含み、該水溶性食物繊維が、
    該水溶性食物繊維の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(A)を求める工程、および
    標準食物繊維群の総グリコシド結合数に対する1→2グリコシド結合数および1→3グリコシド結合数の合計の割合(B)と該標準食物繊維群の該哺乳動物腸内の有機酸の生産量との間の相関を示す相対曲線を用いて、該割合(A)から該水溶性食物繊維の該哺乳動物腸内での有機酸の生産能を推測する工程、
    を含む方法によってスクリーニングされたものであり、
    該有機酸が、酢酸および/またはプロピオン酸である、方法。
  20. 前記工程(i)の嫌気培養が16時間~24時間行われる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記哺乳動物がヒトである、請求項19または20に記載の方法。
  22. 前記腸内細菌叢の構築が、窒素および二酸化炭素を含む嫌気的ガスを培地に対して曝気させることにより作り出された嫌気的環境において、前記糞便を少なくとも12時間以上にわたって嫌気培養することによって行われ、
    前記嫌気的環境が、36℃~38℃、pH6.2~6.7である、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
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