JP7327183B2 - ターボ分子ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、ターボ分子ポンプに関する。
半導体装置や液晶表示パネルの製造工程では、CVD装置などのプロセスチャンバ内において、絶縁膜、金属膜、半導体膜等の成膜や、エッチング等の処理を行う。プロセスチャンバの真空排気には、例えば、ターボ分子ポンプが用いられる。ターボ分子ポンプは、プロセスチャンバの真空排気だけでなく、プロセスチャンバ内のプロセスガスの排気にも使用される。プロセスガスを排気すると、プロセスガスに起因する生成物がターボ分子ポンプの排気経路に堆積しやすい。そのような生成物の堆積を防止するために、ターボ分子ポンプのベース部等の外周にヒータを設けてベース温度を昇温することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
生成物の昇華温度は、真空度が低くなるほど、すなわち、圧力が高くなるほど高くなり、ターボ分子ポンプの吸気側よりも排気側に生成物が堆積しやすい。プロセスチャンバの排気に用いられるターボ分子ポンプは、一般に、タービン翼を備えたターボポンプ部と、ネジ溝ポンプのような中間流領域における排気に効果的なポンプ部とを備えている。特許文献1のターボ分子ポンプでは、ベース部外周にヒータを設けてベース温度を昇温することにより、排気側に設けられたネジ溝ポンプへの生成物堆積を低減するようにしている。
特開2019-218876号公報
しかしながら、生成物の堆積はネジ溝ポンプ部だけでなく、ターボポンプ部のネジ溝ポンプ部に近いステータ翼にも生じやすく、生成物堆積によるステータ翼とロータ翼との接触という問題が生じるおそれがあった。
本発明の第1の態様によるターボ分子ポンプは、ロータ軸方向に配置された複数段のロータ翼および前記複数段のロータ翼の排気下流側に配置される円筒ロータが形成されたポンプロータと、排気口が設けられるベース部と、前記複数段のロータ翼に対してロータ軸方向に交互に配置され、前記複数段のロータ翼と共にターボポンプ部を構成する複数段のステータ翼と、前記複数段のステータ翼をそれぞれ挟持し、挟持した前記複数段のステータ翼を前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に位置決め配置する複数のスペーサリングと、前記円筒ロータの外周側に所定隙間を介して配置され、前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に固定される円筒ステータと、前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に配置され、前記円筒ステータおよび前記ステータ翼を加熱するヒータと、を備える。
本発明の第2の態様によるターボ分子ポンプは、ロータ軸方向に配置された複数段のロータ翼および前記複数段のロータ翼の排気下流側に配置される円筒ロータが形成されたポンプロータと、排気口が設けられるベース部と、前記複数段のロータ翼に対してロータ軸方向に交互に配置される複数段のステータ翼と、前記複数段のステータ翼をそれぞれ挟持し、挟持した前記複数段のステータ翼を前記ベース部に位置決め配置する複数のスペーサリングと、前記円筒ロータの外周側に所定隙間を介して配置され、前記ベース部に固定される円筒ステータと、前記円筒ステータおよび前記複数段のステータ翼の内の前記ベース部に最も近い最下段のステータ翼を加熱するヒータと、を備え、前記複数段のロータ翼は、表面が第1放射率であるロータ翼と、表面が前記第1放射率よりも小さな第2放射率であるロータ翼とを含み、前記複数段のロータ翼の内、前記ベース部に最も近い最下段のロータ翼を含む1段以上のロータ翼は、前記第2放射率に設定されている。
本発明によれば、ロータ翼への生成物堆積の低減を図ることができる。
図1は、ターボ分子ポンプの概略構成を示す断面図である。 図2は、ロータ翼の一例を示す平面図である。 図3は、ステータ翼の一例を示す平面図である。 図4は、図1のターボポンプ部とネジ溝ポンプ部の一部分を拡大して示した図である。 図5は、ポンプロータの各表面の放射率を説明する図である。 図6は、黒色ニッケルメッキ層の構造を示す模式図である。 図7は、放射率構成の第1の変形例を示す図である。 図8は、放射率構成の第2の変形例を示す図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、実施の形態におけるターボ分子ポンプ1の概略構成を示す断面図である。図1に示すターボ分子ポンプ1は磁気軸受式のターボ分子ポンプであり、回転体Rは磁気軸受により磁気浮上支持される。なお、本発明は、磁気軸受式以外のターボ分子ポンプにも同様に適用することができる。
回転体Rは、ポンプロータ2と、ポンプロータ2に締結されたロータシャフト3とを備えている。ポンプロータ2には、ターボポンプ部2Aを構成する複数段のロータ翼20a~20dと、ターボポンプ部2Aの排気下流側のネジ溝ポンプ部2Bを構成する円筒ロータ21とが形成されている。一方、ポンプロータ2の周囲には、ターボポンプ部2Aを構成する複数段のステータ翼22a,22bと、ネジ溝ポンプ部2Bを構成する円筒ステータ23とが設けられている。ネジ溝ポンプ部2Bにおいては、円筒ステータ23の内周面または円筒ロータ21の外周面にネジ溝が形成されている。
複数段のステータ翼22a,22bは複数のスペーサリング24a~24dによりポンプベース4上に位置決めされ、複数段のロータ翼20a~20dに対してロータ軸方向に交互に配置される。円筒ステータ23は、円筒ロータ21の外周側に所定隙間を介して配置され、ポンプベース4に固定される。図2,3は、ロータ翼20aおよびステータ翼22aの平面図を示したものである。ロータ翼20aには、複数のブレード200が放射状に形成されている。図3に示すように、ステータ翼22aはロータ翼間に配置可能なように2つに分割されている。ステータ翼22aには、半リング状の内側リブ部201の外径側に複数のブレード202が放射状に形成されている。
図1に示すように、ロータシャフト3は、ポンプベース4に設けられたラジアル磁気軸受6A,6Bとアキシャル磁気軸受6Cとによって磁気浮上支持され、モータ7により回転駆動される。各磁気軸受6A~6Cは電磁石と変位センサとを備えおり、変位センサによりロータシャフト3の浮上位置が検出される。ロータシャフト3の回転数は回転数センサ8により検出される。磁気軸受6A~6Cが作動していない場合には、ロータシャフト3は非常用のメカニカルベアリング9A,9Bbによって支持される。
ポンプベース4は、排気口41が形成されたベース部4aと、モータ7等が設けられるモータハウジング部4bとを備えている。上述した円筒ステータ23は、ベース部4aに固定されている。吸気口10aが形成されたポンプケーシング10は、ポンプベース4のベース部4aにボルト固定される。排気口41には排気ポート42が設けられ、この排気ポート42に補助ポンプ(不図示)が接続される。ポンプロータ2が締結されたロータシャフト3をモータ7により高速回転すると、吸気口10a側の気体分子が排気ポート42側へと排気される。なお、ポンプベース4において、ベース部4aとモータハウジング部4bとは図1に示すように一体構成とされても良いし、別体構成とされても良い。ベース部4aには、円筒ステータ23とステータ翼22bを加熱するためのヒータ5が設けられている。
図4は、図1のターボポンプ部2Aとネジ溝ポンプ部2Bの一部分を拡大して示した図である。図4に示すように、ターボポンプ部2Aは、8段のロータ翼20a~20dと7段のステータ翼22a,22bとで構成されている。ロータ翼およびステータ翼の各段数については一例を示したものであり、図4に示す段数に限定されない。
8段のロータ翼は、翼構成の異なる4種類のロータ翼20a,20b,20c,20dで構成されている。ロータ翼20a,20b,20cは1段ずつ設けられ、ロータ翼20aは5段設けられている。7段のステータ翼は、翼構成の異なる2種類のステータ翼22a,22bで構成されている。ステータ翼22aは2段設けられ、ステータ翼22bは5段設けられている。一般に、ポンプロータ2やステータ翼22a,22bはアルミ合金で形成され、スペーサリング24a~24dはアルミ合金やステンレス等で形成される。アルミ合金を用いる場合には、耐食性の観点からメッキ等の耐食処理が施される場合が多い。
7段のステータ翼22a,22bは、8段のスペーサリング24a~24dにより挟持されている。8段のスペーサリング24a~24dで挟持された複数段のステータ翼22a,22bは、ベース部4a上に載置される。ベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分、すなわち、ベース部4aにおいてターボポンプ部2A側に面する表面が形成された部分には、リング状の係合部43が形成されている。最も排気下流側に配置される最下段のスペーサリング24dは、係合部43の外周と係合することで、ベース部4a上に位置決め配置される。その結果、複数段のロータ翼20a~20dに対して、複数段のステータ翼22a~22bが適切な位置に配置される。
円筒ステータ23にはフランジ状の固定部23aが形成されており、その固定部23aを、ベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分にボルト45により固定する。ベース部4aにおいて、ターボポンプ部2A(最下段ロータ翼20d)と対向する部分(ベース部4aの上面)には、加熱用のヒータ5が設けられている。ヒータ5は、ベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分の、円筒ステータ23の固定部と最下段のスペーサリング24dの係合部との間、すなわち、円筒ステータ23が固定される部分の外周側の部分に配置される。ヒータ5は、例えば円環形状に形成されているが、これに限定されない。
上述したように、円筒ステータ23および下流側のステータ翼22b(特に、最も排気下流側に配置される最下段のステータ翼22b)には生成物が堆積しやすい。なお、ポンプロータ2は、ガス排気に伴って生じる熱等により温度が上昇し、さらに磁気浮上支持されているのでポンプロータ2の熱が周囲に逃げにくい。そのため、ロータ側(ロータ翼20a~20dおよび円筒ロータ21)の温度は、ヒータ5を使用しない場合のステータ側(ステータ翼22a~22bおよび円筒ステータ23)に比べて高温となり、ステータ側に比べて生成物堆積が抑えられる。
本実施の形態では、ベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分に、円筒ステータ23が固定されるとともに、複数のスペーサリング24a~24dにより挟持された複数のステータ翼22a~22bが積層して載置されている。そして、ベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分に配置したヒータ5によって、ベース部4aを加熱するようにした。ヒータ5によりベース部4aのターボポンプ部2Aと対向する部分を加熱すると、ヒータ5が配置されたベース部分が加熱昇温されて、その加熱された部分から固定部23aを通って円筒ステータ23へと熱が移動する。同様に、加熱された部分から最下段のスペーサリング24dを介して最下段のステータ翼22bへと熱が移動する。
ヒータ5をベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分に配置することで、ヒータ5から円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bまでの熱伝達経路が非常に短くなり、円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bを効果的に加熱することができる。例えば、図4の破線で示すようにヒータ50をベース部4aの外周面に配置する構成の場合に比べて、ヒータ5から円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bまでの熱伝達経路がより短くなる。その結果、円筒ステータ23およびステータ翼22bの温度をより高温まで昇温させることができ、円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bへの生成物堆積をより効果的に低減することができる。
ところで、ヒータ5でベース部4aを加熱すると、最下段のステータ翼22bの温度が隣接するロータ翼20dの温度よりも高温になる場合がある。もちろん、ヒータ50でまたはヒータ5およびヒータ50の両方でベース部4aを加熱した場合も、最下段のステータ翼22bの温度が隣接するロータ翼20dの温度よりも高温になる場合がある。そのような場合、高温側のステータ翼22bから低温側のロータ翼20dへの輻射伝熱により、最下段(8段目)のロータ翼20dの温度が上昇することになる。高速回転するポンプロータ2におけるロータ翼20dの温度上昇は、ロータ翼20dの寿命に影響する。そのため、ロータ翼20dの温度は生成物堆積が防止できる範囲内においてより低温に保つのが好ましい。
本実施の形態では、輻射伝熱によりポンプロータ2から周囲の固定側部材であるステータ翼22a~22b、円筒ステータ23およびモータハウジング部4b等へ熱を逃がして温度上昇を抑えるために、ポンプロータ2の表面の放射率を、ポンプロータ2の表面に対向する固定側部材の表面の放射率よりも高く設定している。ただし、ヒータ5により円筒ステータ23や最下段のステータ翼22bを加熱しているので、ステータ側からの輻射伝熱の影響を低減するために、例えば、円筒ロータ21の外周側の面の放射率、および、最下段(8段目)のロータ翼20dの吸気側および排気側の両面の放射率を、1~7段目のロータ翼の表面の放射率よりも低く設定している。そのように設定することで、ヒータ5による加熱により円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bが高温状態になった場合でも、円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bからポンプロータ2側への輻射伝熱を低減することができる。
図5は、複数段のロータ翼20a~20dおよび円筒ロータ21が形成されたポンプロータ2、複数段のステータ翼22a,22bおよび円筒ステータ23の、各表面の放射率を説明する図である。各表面の内、太い実線で示した面は第1の放射率(以下では、高放射率と呼ぶ)とされ、細い実線で示した面は第1の放射率よりも小さな第2の放射率(以下では、低放射率と呼ぶ)とされる。ポンプロータ2に関しては、円筒ロータ21の外周面、および最下段(8段目)のロータ翼20dの表面を低放射率とし、ポンプロータ2のその他の面は高放射率とした。なお、図5に示す例ではポンプロータ2の内周面を高放射率としたが、低放射率としても良い。また、ステータ翼22a,22bおよび円筒ステータ23の表面は、全て低放射率としている。ポンプロータ2の太い実線で示した面を高放射率とすることでポンプロータ2からの放熱を向上させて、ポンプロータ2が許容温度を越える温度となるのを防止している。
本実施形態において、特に限定されないが、例えば、高放射率とは放射率が0.7以上を示し、低放射率とは放射率が0.4未満を示す。高放射率とするための方法としては、例えば、黒色ニッケルメッキ(放射率0.7程度)を表面に形成する方法や、アルミニウム合金の母材の表面をアルマイト処理(放射率0.9程度)する方法などがあるが、これらに限定されない。低放射率とするための方法としては、例えば、ニッケルメッキ(放射率0.2程度)を施したり、アルミニウム合金の母材を表面処理なし(酸化面で放射率0.1~0.2程度)で使用することが考えられるが、これらに限定されない。
本実施の形態では、高放射率の表面処理として黒色ニッケルメッキ層を形成し、低放射率の表面処理としてニッケルメッキ(無電解ニッケルメッキ)層を形成した。図6は黒色ニッケルメッキ層の構造を示す模式図である。ポンプロータ2、ステータ翼22a,22bおよび円筒ステータ23にはアルミニウム合金が用いられており、アルミニウム合金の母材Mの表面に無電解メッキ法でNi-P(ニッケル-リン)301層を形成する。次に、Ni-P301層を下地として、Ni-P302層を無電解メッキ法により形成する。最後に、Ni-P302層の表面をエッチング処理して黒色酸化被膜303の層を形成する。なお、図6のNi-P302層を省略して、Ni-P301層に黒色酸化被膜303を形成しても良い。
図7,8は、図5に示した放射率構成の変形例を示す図である。図7に示す第1の変形例では、円筒ロータ21の外周面および最下段のロータ翼20dの表面と、最下段のロータ翼20dに隣接する7段目(下から2段目)のロータ翼20dの表面を低放射率とした。7段目のロータ翼20dの下面は、ヒータ5により加熱される最下段のステータ翼22bの上面と対向している。第1の変形例では、7段目のロータ翼20dの表面を低放射率に設定して、最下段のステータ翼22bから7段目のロータ翼20dへの輻射伝熱を低減することで、7段目のロータ翼20dの温度上昇も低減するようにしている。
図8に示す第2の変形例では、4段目から最下段(8段目)までのロータ翼20dの全てについて、表面を低放射率とした。ヒータ5の加熱によるステータ翼の温度上昇は、ヒータ5に最も近い最下段(8段目)のステータ翼22bが最も大きく、7段目、6段目のようにヒータ5からからの熱伝達経路が長くなるに従って温度上昇は小さくなる。第2の変形例では、8段目のステータ翼22bの温度上昇だけでなく、それよりも上段のステータ翼の温度上昇も考慮して、4段目から8段目までのロータ翼20dの表面を低放射率とした。
上述した例示的な実施の形態および変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
[1]一態様に係るターボ分子ポンプは、ロータ軸方向に配置された複数段のロータ翼および前記複数段のロータ翼の排気下流側に配置される円筒ロータが形成されたポンプロータと、排気口が設けられるベース部と、前記複数段のロータ翼に対してロータ軸方向に交互に配置され、前記複数段のロータ翼と共にターボポンプ部を構成する複数段のステータ翼と、前記複数段のステータ翼をそれぞれ挟持し、挟持した前記複数段のステータ翼を前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に位置決め配置する複数のスペーサリングと、前記円筒ロータの外周側に所定隙間を介して配置され、前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に固定される円筒ステータと、前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に配置され、前記円筒ステータおよび前記ステータ翼を加熱するヒータと、を備える。
図4に示すように、円筒ステータ23がベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分に固定され、複数のスペーサリング24dにより挟持された複数のステータ翼22bがベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分に積層載置され、ベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分に配置したヒータ5によってベース部4aを加熱することで、円筒ステータ23およびステータ翼22bを加熱昇温させるようにした。そのような構成とすることで、ヒータ5から円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bまでの熱伝達経路が非常に短くなり、図4の破線で示すヒータ50のようにベース部4aの外周面に配置する構成の場合に比べて、円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bをより高温まで加熱昇温することができる。その結果、円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bへの生成物堆積をより効果的に低減することができる。
[2]上記[1]に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記ヒータは、前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分の、前記円筒ステータの固定部が固定される部分と、最下段の前記スペーサリングが係合する部分との間に配置されている。
[3]上記[1]または[2]に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記複数段のロータ翼は、表面が第1放射率であるロータ翼と、表面が前記第1放射率よりも小さな第2放射率であるロータ翼とを含み、前記複数段のロータ翼の内、前記ベース部に最も近い最下段のロータ翼を含む1段以上のロータ翼は、前記第2放射率に設定されている。
図4に示すように、ベース部4aにおいてターボポンプ部2Aと対向する部分に配置したヒータ5によって円筒ステータ23およびステータ翼22bを加熱した場合に、最下段のステータ翼22bの温度が、それに隣接するロータ翼20dの温度よりも高くなることがある。そのような場合であっても、最下段のロータ翼20dを含む1段以上のロータ翼を第2放射率(低放射率)に設定することで、ステータ翼から低放射率に設定されたロータ翼への輻射伝熱が低減され、輻射伝熱によるロータ翼の温度上昇を低減することができる。
なお、図4に示したターボポンプ部2Aでは、最も下流側はロータ翼20dで構成されているが、さらにもう一段ステータ翼22bを下流側に設けた構成のターボポンプ部2Aとすることも可能である。そのような場合であっても、最下段のロータ翼を低放射率とすることで、最下段のロータ翼はその下側に配置される最下段のステータ翼からの輻射伝熱による熱流入が低減され、最下段のロータ翼の温度上昇を低減することができる。
[4]一態様に係るターボ分子ポンプは、ロータ軸方向に配置された複数段のロータ翼および前記複数段のロータ翼の排気下流側に配置される円筒ロータが形成されたポンプロータと、排気口が設けられるベース部と、前記複数段のロータ翼に対してロータ軸方向に交互に配置される複数段のステータ翼と、前記複数段のステータ翼をそれぞれ挟持し、挟持した前記複数段のステータ翼を前記ベース部に位置決め配置する複数のスペーサリングと、 前記円筒ロータの外周側に所定隙間を介して配置され、前記ベース部に固定される円筒ステータと、前記円筒ステータおよび前記複数段のステータ翼の内の前記ベース部に最も近い最下段のステータ翼を加熱するヒータと、を備え、前記複数段のロータ翼は、表面が第1放射率であるロータ翼と、表面が前記第1放射率よりも小さな第2放射率であるロータ翼とを含み、前記複数段のロータ翼の内、前記ベース部に最も近い最下段のロータ翼を含む1段以上のロータ翼は、前記第2放射率に設定されている。
ヒータ5により円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bが加熱される構成においては、最下段のステータ翼22bを含む排気下流側のステータ翼への生成物堆積を低減することができる。さらに、加熱により温度上昇したステータ翼からロータ翼への輻射伝熱が大きくなるが、最下段のロータ翼20dを含む1段以上のロータ翼を第2放射率(低放射率)に設定することで、ステータ翼から低放射率に設定されたロータ翼への輻射伝熱が低減され、低放射率に設定されたロータ翼の温度上昇を低減することができる。なお、円筒ステータ23および最下段のステータ翼22bを加熱するヒータの配置としては、図4のヒータ5のような配置だけでなく、ヒータ50のようにベース部4aの外周面に設ける構成や、ヒータ5およびヒータ50の両方を設ける構成でも良い。
[5]上記[3]または[4]に記載のターボ分子ポンプにおいて、前記複数段のロータ翼の内、前記ベース部に最も近い最下段のロータ翼および前記最下段のロータ翼に隣接する段のロータ翼は、前記第2放射率に設定されている。図7に示すように、7段目のロータ翼20dの下面は、ヒータ5により加熱される最下段のステータ翼22bの上面と対向している。そのため、7段目のロータ翼20dの表面を低放射率に設定して、最下段のステータ翼22bから7段目のロータ翼20dへの輻射伝熱を低減することにより、7段目のロータ翼20dの温度上昇を低減することができる。
[6]上記[3]から[5]までのいずれかに記載のターボ分子ポンプにおいて、前記第1放射率のロータ翼の表面には黒色ニッケルメッキ層が形成され、前記第2放射率のロータ翼の表面にはニッケルメッキ層が形成されている。このようなメッキ層をロータ翼に形成することにより、各ロータ翼は所望の放射率とされるだけではなく、耐食性にも優れている。
[7]上記[3]から[6]までのいずれかに記載のターボ分子ポンプにおいて、前記第1放射率は、放射率が0.7以上であり、前記第2放射率は、放射率が0.4未満である。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1…ターボ分子ポンプ、2…ポンプロータ、2A…ターボポンプ部、2B…ネジ溝ポンプ部、4…ポンプベース、4a…ベース部、4b…モータハウジング部、5…ヒータ、20a~20d…ロータ翼、21…円筒ロータ、22a,22b…ステータ翼、23…円筒ステータ、24a~24d…スペーサリング、41…排気口、43…係合部

Claims (7)

  1. ロータ軸方向に配置された複数段のロータ翼および前記複数段のロータ翼の排気下流側に配置される円筒ロータが形成されたポンプロータと、
    排気口が設けられるベース部と、
    前記複数段のロータ翼に対してロータ軸方向に交互に配置され、前記複数段のロータ翼と共にターボポンプ部を構成する複数段のステータ翼と、
    前記複数段のステータ翼をそれぞれ挟持し、挟持した前記複数段のステータ翼を前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に位置決め配置する複数のスペーサリングと、
    前記円筒ロータの外周側に所定隙間を介して配置され、前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に固定される円筒ステータと、
    前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分に配置され、前記ベース部を加熱することで、前記円筒ステータおよび前記ステータ翼を加熱するヒータと、を備えるターボ分子ポンプ。
  2. 請求項1に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記ヒータは、前記ベース部において前記ターボポンプ部と対向する部分の、前記円筒ステータの固定部が固定される部分と、最下段の前記スペーサリングが係合する部分との間に配置されている、ターボ分子ポンプ。
  3. 請求項1または2に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記複数段のロータ翼は、表面が第1放射率であるロータ翼と、表面が前記第1放射率よりも小さな第2放射率であるロータ翼とを含み、
    前記複数段のロータ翼の内、前記ベース部に最も近い最下段のロータ翼を含む1段以上のロータ翼は、前記第2放射率に設定されている、ターボ分子ポンプ。
  4. ロータ軸方向に配置された複数段のロータ翼および前記複数段のロータ翼の排気下流側に配置される円筒ロータが形成されたポンプロータと、
    排気口が設けられるベース部と、
    前記複数段のロータ翼に対してロータ軸方向に交互に配置される複数段のステータ翼と、
    前記複数段のステータ翼をそれぞれ挟持し、挟持した前記複数段のステータ翼を前記ベース部に位置決め配置する複数のスペーサリングと、
    前記円筒ロータの外周側に所定隙間を介して配置され、前記ベース部に固定される円筒ステータと、
    前記ベース部を加熱することで、前記円筒ステータおよび前記複数段のステータ翼の内の前記ベース部に最も近い最下段のステータ翼を加熱するヒータと、を備え、
    前記複数段のロータ翼は、表面が第1放射率であるロータ翼と、表面が前記第1放射率よりも小さな第2放射率であるロータ翼とを含み、
    前記複数段のロータ翼の内、前記ベース部に最も近い最下段のロータ翼を含む1段以上のロータ翼は、前記第2放射率に設定されている、ターボ分子ポンプ。
  5. 請求項3または4に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記複数段のロータ翼の内、前記ベース部に最も近い最下段のロータ翼および前記最下段のロータ翼に隣接する段のロータ翼は、前記第2放射率に設定されている、ターボ分子ポンプ。
  6. 請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記第1放射率のロータ翼の表面には黒色ニッケルメッキ層が形成され、前記第2放射率のロータ翼の表面にはニッケルメッキ層が形成されている、ターボ分子ポンプ。
  7. 請求項3から請求項6までのいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記第1放射率は、放射率が0.7以上であり、前記第2放射率は、放射率が0.4未満である、ターボ分子ポンプ。
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