以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
本実施形態の放射線検出器は、被写体を透過した放射線を検出して被写体の放射線画像を表す画像情報を出力する機能を有する。本実施形態の放射線検出器は、センサ基板と、放射線を光に変換する変換層と、を備えている(図3、放射線検出器10のセンサ基板12及び変換層14参照)。本実施形態のセンサ基板12が、本開示の基板の一例である。
まず、図1を参照して本実施形態の放射線画像撮影装置における電気系の構成の一例の概略を説明する。図1は、本実施形態の放射線画像撮影装置における電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の放射線画像撮影装置1は、放射線検出器10、制御部100、駆動部102、信号処理部104、画像メモリ106、及び電源部108を備える。本実施形態の制御部100、駆動部102、及び信号処理部104の少なくとも1つが、本開示の回路部の一例である。以下、制御部100、駆動部102、及び信号処理部104を総称する場合、「回路部」という。
放射線検出器10は、センサ基板12と、放射線を光に変換する変換層14(図3参照)と、を備える。センサ基板12は、可撓性の基材11と、基材11の第1の面11Aに設けられた複数の画素30と、を備えている。なお、以下では、複数の画素30について、単に「画素30」という場合がある。
図1に示すように本実施形態の各画素30は、変換層が変換した光に応じて電荷を発生して蓄積するセンサ部34、及びセンサ部34にて蓄積された電荷を読み出すスイッチング素子32を備える。本実施形態では、一例として、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)をスイッチング素子32として用いている。そのため、以下では、スイッチング素子32を「TFT32」という。本実施形態では、センサ部34及びTFT32が形成され、さらに平坦化された層として基材11の第1の面11Aに画素30が形成された層が設けられる。
画素30は、センサ基板12の画素領域35に、一方向(図1の横方向に対応する走査配線方向、以下「行方向」ともいう)及び行方向に対する交差方向(図1の縦方向に対応する信号配線方向、以下「列方向」ともいう)に沿って二次元状に配置されている。図1では、画素30の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素30は行方向及び列方向に1024個×1024個配置される。
また、放射線検出器10には、画素30の行毎に備えられた、TFT32のスイッチング状態(オン及びオフ)を制御するための複数の走査配線38と、画素30の列毎に備えられた、センサ部34に蓄積された電荷が読み出される複数の信号配線36と、が互いに交差して設けられている。複数の走査配線38の各々は、それぞれフレキシブルケーブル112Aを介して、駆動部102に接続されることにより、駆動部102から出力される、TFT32を駆動してスイッチング状態を制御する駆動信号が、複数の走査配線38の各々に流れる。また、複数の信号配線36の各々が、それぞれフレキシブルケーブル112Bを介して、信号処理部104に接続されることにより、各画素30から読み出された電荷が、電気信号として信号処理部104に出力される。信号処理部104は、入力された電気信号に応じた画像データを生成して出力する。なお、本実施形態においてフレキシブルケーブル112に関して「接続」という場合、電気的な接続を意味する。
信号処理部104には後述する制御部100が接続されており、信号処理部104から出力された画像データは制御部100に順次出力される。制御部100には画像メモリ106が接続されており、信号処理部104から順次出力された画像データは、制御部100による制御によって画像メモリ106に順次記憶される。画像メモリ106は所定の枚数分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ106に順次記憶される。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)100A、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)等を含むメモリ100B、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部100Cを備えている。制御部100の一例としては、マイクロコンピュータ等が挙げられる。制御部100は、放射線画像撮影装置1の全体の動作を制御する。
なお、本実施形態の放射線画像撮影装置1では、画像メモリ106及び制御部100等は、制御基板110に形成されている。
また、各画素30のセンサ部34には、各画素30にバイアス電圧を印加するために、共通配線39が信号配線36の配線方向に設けられている。共通配線39が、センサ基板12の外部のバイアス電源(図示省略)に接続されることにより、バイアス電源から各画素30にバイアス電圧が印加される。
電源部108は、制御部100、駆動部102、信号処理部104、画像メモリ106、及び電源部108等の各種素子や各種回路に電力を供給する。なお、図1では、錯綜を回避するために、電源部108と各種素子や各種回路を接続する配線の図示を省略している。
さらに、放射線検出器10について詳細に説明する。図2は、本実施形態の放射線検出器10を、基材11の第1の面11A側からみた平面図の一例である。また、図3は、図2における放射線検出器10のA-A線断面図の一例である。
基材11は、可撓性を有し、例えば、PI(PolyImide:ポリイミド)等のプラスチックを含む樹脂シートである。基材11の厚みは、材質の硬度、及びセンサ基板12の大きさ、すなわち第1の面11Aまたは第2の面11Bの面積等に応じて、所望の可撓性が得られる厚みであればよい。可撓性を有する例としては、矩形状の基材11単体の場合に、基材11の1辺を固定した状態で、固定した辺より10cm離れた位置で基材11の自重による重力で2mm以上、基材11が垂れ下がる(固定した辺の高さよりも低くなる)ものを指す。基材11が樹脂シートの場合の具体例としては、厚みが5μm~125μmのものであればよく、厚みが20μm~50μmのものであればより好ましい。
なお、基材11は、画素30の製造に耐え得る特性を有しており、本実施形態では、アモルファスシリコンTFT(a-Si TFT)の製造に耐え得る特性を有している。このような、基材11が有する特性としては、300℃~400℃における熱膨張率(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)が、アモルファスシリコン(Si)ウェハと同程度(例えば、±5ppm/K)であることが好ましく、具体的には、20ppm/K以下であることが好ましい。また、基材11の熱収縮率としては、厚みが25μmの状態において400℃における熱収縮率が0.5%以下であることが好ましい。また、基材11の弾性率は、300℃~400℃間の温度領域において、一般的なPIが有する転移点を有さず、500℃における弾性率が1GPa以上であることが好ましい。
また、本実施形態の基材11は、自身による後方散乱線を抑制するために、平均粒子径が0.05μm以上、2.5μm以下の、後方散乱線を吸収する無機の微粒子を含む微粒子層を有することが好ましい。なおこのような無機の微粒子としては、樹脂製の基材11の場合、原子番号が、基材11である有機物を構成する原子よりも大きく、かつ30以下である無機物を用いることが好ましい。このような微粒子の具体例としては、原子番号が14のSiの酸化物であるSiO2、原子番号が12のMgの酸化物であるMgO、原子番号が13のAlの酸化物であるAl2O3、及び原子番号が22のTiの酸化物であるTiO2等が挙げられる。このような特性を有する樹脂シートの具体例としては、XENOMAX(登録商標)が挙げられる。
なお、本実施形態における上記の厚みについては、マイクロメーターを用いて測定した。熱膨張率については、JIS K7197:1991に則して測定した。なお測定は、基材11の主面から、15度ずつ角度を変えて試験片を切り出し、切り出した各試験片について熱膨張率を測定し、最も高い値を基材11の熱膨張率とした。熱膨張率の測定は、MD(Machine Direction)方向およびTD(Transverse Direction)方向のそれぞれについて、-50℃~450℃において10℃間隔で行い、(ppm/℃)を(ppm/K)に換算した。熱膨張率の測定には、MACサイエンス社製 TMA4000S装置を用い、サンプル長さを10mm、サンプル幅を2mm、初荷重を34.5g/mm2、昇温速度を5℃/min、及び雰囲気をアルゴンとした。
所望の可撓性を有する基材11としては、樹脂シート等、樹脂製のものに限定されない。例えば、基材11は、厚みが比較的薄いガラス基板等であってもよい。基材11がガラス基板の場合の具体例としては、一般に、一辺が43cm程度のサイズでは、厚さが0.3mm以下ならば可撓性を有しているため、厚さが0.3mm以下のものであれば所望のガラス基板であってもよい。
図2及び図3に示すように、複数の画素30は、基材11の第1の面11Aに設けられている。本実施形態では、基材11の第1の面11Aにおける画素30が設けられた領域を画素領域35としている。
また、基材11の第1の面11Aには、変換層14が設けられている。本実施形態の変換層14は、画素領域35を覆っている。本実施形態では、変換層14の一例としてCsI(ヨウ化セシウム)を含むシンチレータを用いている。このようなシンチレータとしては、例えば、X線照射時の発光スペクトルが400nm~700nmであるCsI:Tl(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)やCsI:Na(ナトリウムが添加されたヨウ化セシウム)を含むことが好ましい。なお、CsI:Tlの可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
変換層14を気相堆積法を用いて形成した場合、図3に示すように、変換層14は、その外縁に向けて厚さが徐々に薄くなる傾斜を有して形成される。以下において、製造誤差及び測定誤差を無視した場合の厚さが略一定とみなせる、変換層14の中央領域を中央部14Aという。また、変換層14の中央部14Aの平均厚さに対して例えば90%以下の厚さを有する、変換層14の外周領域を周縁部14Bという。すなわち、変換層14は、周縁部14Bにおいてセンサ基板12に対して傾斜した傾斜面を有する。なお、以下では、説明の便宜状、センサ基板12において「上」、「下」という場合、変換層14を基準としており、変換層14のセンサ基板12と対向する側を「下」といい、反対側を「上」という。例えば、変換層14は、センサ基板12の上に設けられており、変換層14の周縁部14Bにおける傾斜面は、変換層14が上側から下側に向けて徐々に広がる状態に傾斜している。
また、図3に示すように、本実施形態の変換層14の上には、粘着層60、反射層62、接着層64、及び保護層66が設けられている。
粘着層60は、変換層14の表面全体を覆っている。粘着層60は、反射層62を変換層14上に固定する機能を有する。粘着層60は、光透過性を有していることが好ましい。粘着層60の材料として、例えば、アクリル系粘着剤、ホットメルト系粘着剤、及びシリコーン系接着剤を用いることが可能である。アクリル系粘着剤としては、例えば、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、及びエポキシアクリレート等が挙げられる。ホットメルト系粘着剤としては、例えば、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、EAA(エチレンとアクリル酸の共重合樹脂)、EEA(エチレン-エチルアクリレート共重合樹脂)、及びEMMA(エチレン-メタクリル酸メチル共重合体)等の熱可塑性プラスチックが挙げられる。粘着層60の厚さは、2μm以上7μm以下であることが好ましい。粘着層60の厚さを2μm以上とすることで、反射層62を変換層14上に固定する効果を十分に発揮することができる。更に、変換層14と反射層62との間に空気層が形成されるリスクを抑制することができる。変換層14と反射層62との間に空気層が形成されると、変換層14から発せられた光が、空気層と変換層14との間、及び空気層と反射層62との間で反射を繰り返す多重反射を生じるおそれがある。また、粘着層60の厚さを7μm以下とすることで、MTF(Modulation Transfer Function)及びDQE(Detective Quantum Efficiency)の低下を抑制することが可能となる。
反射層62は、粘着層60の表面全体を覆っている。反射層62は、変換層14で変換された光を反射する機能を有する。反射層62の材料としては、金属、または金属酸化物を含む樹脂材料によって構成されていることが好ましい。反射層62の材料としては、例えば、白PET(Polyethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)、TiO2、Al2O3、発泡白PET、及び鏡面反射アルミ等を用いることができる。白PETとは、PETに、TiO2や硫酸バリウム等の白色顔料を添加したものであり、発泡白PETとは、表面が多孔質になっている白PETである。また、反射層62の材料としては、樹脂フィルムと金属フィルムとの積層膜を用いてもよい。樹脂フィルムと金属フィルムとの積層膜としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の絶縁性のシート(フィルム)に、アルミ箔を接着させる等してアルミを積層したアルペット(登録商標)のシートが挙げられる。反射層62の厚さは、10μm以上、40μm以下であることが好ましい。このように、変換層14の上に反射層62を備えることにより、変換層14で変換された光を、効率的にセンサ基板12の画素30に導くことができる。
接着層64は反射層62の表面全体を覆っている。接着層64の端部は、基材11の第1の面11Aにまで延在している。すなわち、接着層64は、その端部においてセンサ基板12の基材11に接着している。接着層64は、反射層62及び保護層66を変換層14に固定する機能を有する。接着層64の材料として、粘着層60の材料と同じ材料を用いることが可能であるが、接着層64が有する接着力は、粘着層60が有する接着力よりも大きいことが好ましい。
保護層66は、変換層14の全体を覆うとともに、その端部がセンサ基板12の一部を覆う状態に設けられている。保護層66は、変換層14への水分の浸入を防止する防湿膜として機能する。保護層66の材料として、例えば、PET、PPS(PolyPhenylene Sulfide:ポリフェニレンサルファイド)、OPP(Oriented PolyPropylene:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、PEN(PolyEthylene Naphthalate:ポリエチレンナフタレート)、PI等の有機材料を含む有機膜や、パリレン(登録商標)を用いることができる。また、保護層66として、樹脂フィルムと金属フィルムとの積層膜を用いてもよい。樹脂フィルムと金属フィルムとの積層膜としては、例えば、アルペット(登録商標)のシートが挙げられる。
一方、図2及び図3に示すように、基材11の第1の面11Aの外縁部には複数(図2では、16個)の端子113が設けられている。端子113としては、異方性導電フィルム等が用いられる。図2及び図3に示すように、複数の端子113の各々には、フレキシブルケーブル112が電気的に接続されている。具体的には、図2に示すように、基材11の一辺に設けられた複数(図2では8個)の端子113の各々に、フレキシブルケーブル112Aが熱圧着されている。フレキシブルケーブル112Aは、いわゆるCOF(Chip on Film)であり、フレキシブルケーブル112Aには、駆動IC(Integrated Circuit)210が搭載されている。駆動IC210は、フレキシブルケーブル112Aに含まれる複数の信号線に接続されている。なお、本実施形態では、フレキシブルケーブル112A及び後述するフレキシブルケーブル112Bについて、各々を区別せずに総称する場合、単に「フレキシブルケーブル112」という。
フレキシブルケーブル112Aにおける、センサ基板12の端子113と電気的に接続された一端と反対側の他端は、駆動基板200に電気的に接続される。一例として、本実施形態では、フレキシブルケーブル112Aに含まれる複数の信号線は、駆動基板200に熱圧着されることにより、駆動基板200に搭載された回路及び素子等(図示省略)と電気的に接続される。なお、駆動基板200とフレキシブルケーブル112Aとを電気的に接続する方法は、本実施形態に限定されず、例えば、コネクタにより、電気的に接続する形態としてもよい。このようなコネクタとしては、ZIF(Zero Insertion Force)構造のコネクタや、Non-ZIF構造のコネクタ等が挙げられる。
本実施形態の駆動基板200は、可撓性のPCB(Printed Circuit Board)基板であり、いわゆるフレキシブル基板である。また、駆動基板200に搭載される回路部品(図示省略)は主にデジタル信号の処理に用いられる部品(以下、「デジタル系部品」という)である。デジタル系部品は、後述するアナログ系部品よりも、比較的面積(大きさ)が小さい傾向がある。デジタル系部品の具体例としては、デジタルバッファ、バイパスコンデンサ、プルアップ/プルダウン抵抗、ダンピング抵抗、及びEMC(Electro Magnetic Compatibility)対策チップ部品、及び電源IC等が挙げられる。なお、駆動基板200は、必ずしもフレキシブル基板でなくてもよく、非可撓性のリジッド基板であってもよいし、リジッドフレキ基板を用いてもよい。
本実施形態では、駆動基板200と、フレキシブルケーブル112Aに搭載された駆動IC210とにより、駆動部102が実現される。なお、駆動IC210には、駆動部102を実現する各種回路及び素子のうち、駆動基板200に搭載されているデジタル系部品と異なる回路が含まれる。
一方、フレキシブルケーブル112Aが電気的に接続された基材11の一辺と交差する辺に設けられた複数(図2では8個)の端子113の各々には、フレキシブルケーブル112Bが電気的に接続されている。フレキシブルケーブル112Bは、フレキシブルケーブル112Aと同様に、いわゆるCOFであり、フレキシブルケーブル112Bには、信号処理IC310が搭載されている。信号処理IC310は、フレキシブルケーブル112Bに含まれる複数の信号線(図示省略)に接続されている。
フレキシブルケーブル112Bにおける、センサ基板12の端子113と電気的に接続された一端と反対側の他端は、信号処理基板300に電気的に接続される。一例として、本実施形態では、フレキシブルケーブル112Bに含まれる複数の信号線は、信号処理基板300に熱圧着されることにより、信号処理基板300に搭載された回路及び素子等(図示省略)と接続される。なお、信号処理基板300とフレキシブルケーブル112Bとを電気的に接続する方法は、本実施形態に限定されず、例えば、コネクタにより、電気的に接続する形態としてもよい。このようなコネクタとしては、ZIF構造のコネクタや、Non-ZIF構造のコネクタ等が挙げられる。また、フレキシブルケーブル112Aと駆動基板200とを電気的に接続する方法と、フレキシブルケーブル112Bと信号処理基板300とを電気的に接続する方法は、同様で有ってもよいし、異なっていてもよい。例えば、フレキシブルケーブル112Aと駆動基板200とは、熱圧着により電気的に接続し、フレキシブルケーブル112Bと信号処理基板300とはコネクタにより電気的に接続する形態としてもよい。
本実施形態の信号処理基板300は、上述した駆動基板200と同様に、可撓性のPCB基板であり、いわゆるフレキシブル基板である。信号処理基板300に搭載される回路部品(図示省略)は主にアナログ信号の処理に用いられる部品(以下、「アナログ系部品」という)である。アナログ系部品の具体例としては、チャージアンプ、アナログデジタルコンバータ(ADC)、デジタルアナログコンバータ(DAC)、及び電源IC等が挙げられる。また、本実施形態の回路部品は、比較的部品サイズが大きい電源周りのコイル、及び平滑用大容量コンデンサも含む。なお、信号処理基板300は、必ずしもフレキシブル基板でなくてもよく、非可撓性のリジッド基板であってもよいし、リジッドフレキ基板を用いてもよい。
本実施形態では、信号処理基板300と、フレキシブルケーブル112Bに搭載された信号処理IC310とにより、信号処理部104が実現される。なお、信号処理IC310には、信号処理部104を実現する各種回路及び素子のうち、信号処理基板300に搭載されているアナログ系部品と異なる回路が含まれる。
なお、図2では、駆動基板200及び信号処理基板300が各々、複数(2つずつ)設けられている形態について説明したが、駆動基板200及び信号処理基板300の数は、図2に示した数に限定されない。例えば、駆動基板200及び信号処理基板300の少なくとも一方を、1つの基板とした形態であってもよい。
一方、図3に示すように、本実施形態の放射線検出器10では、フレキシブルケーブル112を端子113に熱圧着することにより、フレキシブルケーブル112が端子113に電気的に接続される。なお、図3は、フレキシブルケーブル112Bと放射線検出器10との電気的な接続に関する構造の一例を示す図であるが、本実施形態のフレキシブルケーブル112Aと放射線検出器10との電気的に接続に関する構造も、図3に例示した形態と同様である。
また、図3に示すように、本実施形態の放射線検出器10のセンサ基板12における、基材11の第2の面11Bには、第2の面11Bに近い方から順に、帯電防止層48、及び電磁シールド層44が設けられている。
帯電防止層48は、センサ基板12が帯電するのを防止する機能を有し、静電気の影響を抑制する機能を有する。帯電防止層48しては、帯電防止塗料「コルコート」(商品名:コルコート社製)、PET、及びPP(PolyPropylene:ポリプロピレン)等を用いることができる。
電磁シールド層44は、外部からの電磁波ノイズの影響を抑制する機能を有する。電磁シールド層44の材料としては、例えば、アルペット(登録商標)等の樹脂フィルムと金属フィルムとの積層膜等を用いることができる。
また、図2及び図3に示すように、変換層14の上、具体的には保護層66の上に、粘着剤42によって、多孔質層50を含む補強基板40が設けられている。
補強基板40は、基材11の剛性を補強する機能を有する。本実施形態の補強基板40は、基材11よりも曲げ剛性が高く、変換層14と対向する面に対して垂直方向に加えられる力に対する、寸法変化(変形)が、基材11の第2の面11Bに対して垂直方向に加えられる力に対する、寸法変化よりも小さい。なお具体的には、補強基板40の曲げ剛性は、基材11の曲げ剛性の100倍以上であることが好ましい。また、本実施形態の補強基板40の厚みは、基材11の厚みよりも厚い。例えば、基材11として、XENOMAX(登録商標)を用いる場合、補強基板40の厚みは0.1mm~0.25mm程度が好ましい。
具体的には、本実施形態の補強基板40は、曲げ弾性率が150MPa以上、2500MPa以下の素材を用いることが好ましい。補強基板40は、基材11の撓みを抑制する観点からは、基材11よりも曲げ剛性が高いことが好ましい。なお、曲げ弾性率が低くなると曲げ剛性も低くなり、所望の曲げ剛性を得るためには、補強基板40の厚みを厚くしなくてはならず、放射線検出器10全体の厚みが増大してしまう。上述の補強基板40の材料を考慮すると、140000Pacm4を越える曲げ剛性を得ようとする場合、補強基板40の厚みが、比較的厚くなってしまう傾向がある。そのため、適切な剛性が得られ、かつ放射線検出器10全体の厚みを考慮すると、補強基板40に用いる素材は、曲げ弾性率が150MPa以上、2500MPa以下であることがより好ましい。また、補強基板40の曲げ剛性は、540Pacm4以上、140000Pacm4以下であることが好ましい。
また、本実施形態の補強基板40の熱膨張率は、変換層14の材料の熱膨張率に近い方が好ましく、より好ましくは、変換層14の熱膨張率に対する補強基板40の熱膨張率の比(補強基板40の熱膨張率/変換層14の熱膨張率)が、0.5以上、2以下であることが好ましい。このような補強基板40の熱膨張率としては、30ppm/K以上、80ppm/K以下であることが好ましい。例えば、変換層14がCsI:Tlを材料とする場合、熱膨張率は、50ppm/Kである。この場合、変換層14に比較的近い材料としては、熱膨張率が60ppm/K~80ppm/KであるPVC(Polyvinyl Chloride:ポリ塩化ビニル)、や熱膨張率が65ppm/K~70ppm/KであるPET、熱膨張率が65ppm/KであるPC(Polycarbonate:ポリカーボネート)、等が挙げられる。
補強基板40は、弾力性の観点からは、降伏点を有する材料を含むことがより好ましい。なお、本実施形態において「降伏点」とは、材料を引っ張った場合に、応力が一旦、急激に下がる現象をいい、応力とひずみとの関係を表す曲線上で、応力が増えずにひずみが増える点のことをいい、材料について引っ張り強度試験を行った際の応力-ひずみ曲線における頂部を指す。降伏点を有する樹脂としては、一般的に、硬くて粘りが強い樹脂、及び柔らかくて粘りが強く、かつ中程度の強度の樹脂が挙げられる。硬くて粘りが強い樹脂としては、例えば、PC等が挙げられる。また、柔らかくて粘りが強く、かつ中程度の強度の樹脂としては、例えば、PP等が挙げられる。
また、上述したように、本実施形態の補強基板40は、多孔質層50を含む。図4Aには、本実施形態の多孔質層50の一例を、放射線検出器10の上面側からみた平面図である。また、図4Bは、図4Aにおける多孔質層50のB-B線断面図の一例である。
図4A及び図4Bに示すように、多孔質層50は、複数の貫通孔51を有する。図4A及び図4Bに示した多孔質層50は、開口部が円形状であり、上面50Aから下面50Bへ貫通する複数の貫通孔51が並列に並んだ、いわゆるパンチング構造を有している。このように複数の貫通孔51を有することにより、補強基板40が軽量化される。
なお、多孔質層50の貫通孔51の開口径D、ピッチP、及び開口率は、補強基板40の曲げ剛性に影響を与える。例えば、貫通孔51の開口率が大きくなるほど、補強基板40の曲げ剛性が低くなる傾向がある。なお、開口率とは、貫通孔51の開口部分の全体面積に占める割合のことをいい、開口径Dに対して、ピッチPが小さくなれば、開口率は高くなる。例えば、図4Aに示した多孔質層50の場合、開口率は、下記(1)式により計算される。
開口率(%)=(78.5×D2)/P2 ・・・(1)
そのため、補強基板40を軽量化し、かつ上述した所望の曲げ剛性を得るためには、貫通孔51のピッチPは、1mm以上、50mm以下、開口径Dは、0.5mm以上、50mm以下、及び開口率は10%以上、50%以下が好ましい。
なお、貫通孔51の形状、例えば、貫通孔51の開口部の形状及び配置等は、図4A及び図4Bに示した形態に限定されない。例えば、図5Aに示すように、貫通孔51が互い違いに配置されていてもよい。図5Aに示した例では、貫通孔51が列ごとに、半ピッチずれて配置されている形態を示している。また、例えば、図5Bに示すように、貫通孔51の開口部の形状が六角形状であってもよい。
また、多孔質層50は、複数の貫通孔51を有していればよく、パンチング構造を有するものに限定されない。また、貫通孔51は、多孔質層50の少なくとも一部を貫通すればよく、例えば、上面50Aと下面50Bとを貫通するものに限定されない。
多孔質層50の他の例として、図6A及び図6Bには、ハニカム構造を有する多孔質層50の一例を示す。図6Aは、ハニカム構造を有する多孔質層50の一例を、放射線検出器10の上面側からみた平面図である。また、図6Bは、図6Aに示した多孔質層50を、放射線検出器10の側面側からみた側面図の一例である。
図6A及び図6Bに示した多孔質層50は、ハニカム構造を形成する、複数の六角形状の貫通孔51を有している。なお、ハニカム構造の多孔質層50においても、貫通孔51の開口径D及びピッチPが、補強基板40の曲げ剛性に影響を与えるため、貫通孔51の開口径D及びピッチPの値は、上述した範囲内であることが好ましい。
なお、ハニカム構造を有する多孔質層50の場合、図6Cに示した一例のように、貫通孔51を有さない保護板502と保護板503との間に、ハニカム構造の多孔質板501をサンドイッチしたサンドイッチ構造としてもよい。また、多孔質層50は、保護板502及び保護板503のいずれか一方と、多孔質板501との積層体であってもよい。このように、保護板502及び保護板503の少なくとも一方を有することにより、接着面となる表面積が大きくなるため、例えば、多孔質層50を変換層14上面へ貼り合わせ易くなり、また、多孔質層50が変換層14に確りと固定される。
また、図7Aには、フルート構造を有する多孔質層50の一例を、放射線検出器10の側面側からみた側面図の一例を示す。図7Aに示した多孔質層50は、いわゆる、ライナーに対応する保護板505と保護板506との間に、波形の中芯504が挟まれたフルート構造としてもよい。なお、フルート構造を有する多孔質層50の場合、図7Aに示した形態に限定されず、保護板505及び保護板506の少なくとも一方を有していればよい。
図7Aに示した多孔質層50では、中芯504によるフルートの延在方向は、補強基板40の面内方向である。このようにフルート構造を有する多孔質層50の場合、中芯504により、多孔質層50の側面から反対側の側面に貫通する複数の貫通孔51が形成される。
フルート構造を有する多孔質層50の場合、ピッチP及び厚みTが、補強基板40の曲げ剛性に影響を与える。例えば、厚みTに比してピッチが大きくなるほど、曲げ剛性が低くなる傾向がある。そのため、補強基板40を軽量化し、かつ上述した所望の曲げ剛性を得るためには、フルート構造のピッチPは、厚みT以上、厚みTの3倍以下が好ましい。また、厚みTとしては、2mm以下が好ましい。
また、図8には、ポーラス構造を有する多孔質層50の一例を、放射線検出器10の側面側からみた側面図の一例を示す。ポーラス構造を有する多孔質層50の場合、JIS H 7009の規格に則した気孔率、特に貫通孔51である貫通気孔の気孔率、及び気孔径が、補強基板40の曲げ剛性に影響を与える。例えば、気孔率が大きくなるほど、曲げ剛性が低くなる傾向がある。なお、気孔率とは、貫通気孔に限定されず全ての気孔を含むポーラス構造体の体積である、かさ体積に対する気孔の体積の比率であり、貫通気孔率とは、かさ体積に対する貫通気孔の体積の比率である。また、気孔径とは、気孔の直径であり、異方性気孔の場合は、長軸方向が垂直となる断面の気孔の直径である。そのため、補強基板40を軽量化し、かつ上述した所望の曲げ剛性を得るためには、ポーラス構造の気孔率は15%以上、50%以下、かつ気孔径が0.3μm以上、5mm以下が好ましい。
上記のような多孔質層50の材料として樹脂としては、例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)、CFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastics:炭素繊維強化熱可塑性樹脂)PVC、PET、PP、及びPEの少なくとも一つが挙げられる。また、多孔質層50の材料として金属としては、例えば、アルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一つが挙げられる。なお、多孔質層50は、これらのうち、CFRPがより好ましい。特に、図6Cに示したハニカム構造の多孔質層50における保護板502及び503、図7Aに示したフルート構造における保護板505及び506の各々は、炭素繊維の延伸方向が異なる2層のCFRPを組み合わせて用いることにより、より曲げ剛性を向上させることができるため、好ましい。
なお、補強基板40は、複数の多孔質層50が積層された積層体を含んでいてもよい。例えば、補強基板40は、樹脂製の多孔質層50と、金属製の多孔質層50が積層された積層体を含んでいてもよい。この場合の補強基板40は、樹脂製の多孔質層50による帯電を金属製の多孔質層50により抑制することができる。また例えば、補強基板40は、貫通孔51の位置が異なる、複数の多孔質層50が積層された積層体を含んでいてもよい。この場合の補強基板40は、貫通孔51、より具体的には開口の位置を各多孔質層50でずらすことにより、熱伝導性を向上することができる。
また例えば、補強基板40は、フルート構造のピッチP及び厚みTが異なる2層の多孔質層50が積層された積層体を含んでいてもよい。図7Bには、この場合のフルート構造を有する多孔質層50の一例を、放射線検出器10の側面側からみた側面図の一例を示す。図7Bに示した補強基板40は、ピッチP1、かつ厚みT1のフルート構造を有する多孔質層507と、ピッチP2、かつ厚みT2のフルート構造を有する多孔質層508とが積層された積層体を含んでいる。この場合の補強基板40は、曲げ剛性をより高くすることができる。
さらに、放射線画像撮影装置1について詳細に説明する。図9Aは、本実施形態の放射線検出器10を、基材11の第2の面11B側から放射線が照射されるISS(Irradiation Side Sampling)方式に適用した場合の放射線画像撮影装置1の断面図の一例である。また、図9Bは、本実施形態の放射線検出器10を、変換層14側から放射線が照射されるPSS(Penetration Side Sampling)方式に適用した場合の放射線画像撮影装置1の断面図の一例である。
上記の放射線検出器10を用いた放射線画像撮影装置1は、図9A及び図9Bに示すように、筐体120に収納された状態で使用される。図9A及び図9Bに示すように、筐体120内には、放射線検出器10、電源部108、及び信号処理基板300等の回路部が放射線の入射方向に並んで設けられている。図9Aの放射線検出器10は、被写体を透過した放射線が照射される筐体120の照射面120A側の天板に、基材11の第2の面11B側が対向する状態に配置されている。より具体的には、筐体120の照射面120A側の天板に、補強基板40が対向する状態に配置されている。また、図9Bの放射線検出器10は、筐体120の照射面120A側の天板に、基材11の第1の面11A側が対向する状態に配置されている。より具体的には、筐体120の照射面120A側の天板に、変換層14の上面が対向する状態に配置されている。
また、図9A及び図9Bに示すように、筐体120内には、放射線検出器10を透過した放射線が出射される側に中板116がさらに設けられている。中板116としては、例えば、アルミや銅製のシートが挙げられる。銅製のシートは入射される放射線によって2次放射線を発生し難く、よって、後方、すなわち変換層14側への散乱を防止する機能を有する。なお、中板116は、少なくとも変換層14の放射線が出射する側の面全体を覆い、また、変換層14全体を覆うことが好ましい。また、中板116には、信号処理基板300等の回路部が固定されている。
筐体120は、軽量であり、放射線、特にX線の吸収率が低く、且つ高剛性であることが好ましく、弾性率が十分に高い材料により構成されることが好ましい。筐体120の材料として、曲げ弾性率が10000MPa以上である材料を用いることが好ましい。筐体120の材料として、20000MPa~60000MPa程度の曲げ弾性率を有するカーボンまたはCFRPを好適に用いることができる。
放射線画像撮影装置1による放射線画像の撮影においては、筐体120の照射面120Aに被写体からの荷重が印加される。筐体120の剛性が不足する場合、被写体からの荷重によりセンサ基板12に撓みが生じ、画素30が損傷する等の不具合が発生するおそれがある。10000MPa以上の曲げ弾性率を有する材料からなる筐体120内部に、放射線検出器10が収納されることで、被写体からの荷重によるセンサ基板12の撓みを抑制することが可能となる。
なお、筐体120は、筐体120の照射面120Aと、その他の部分とで、異なる材料で形成されていてもよい。例えば、照射面120Aに対応する部分は、上記のように放射線の吸収率が低く、且つ高剛性であり、弾性率が十分に高い材料で形成し、その他の部分は、照射面120Aに対応する部分と異なる材料、例えば、照射面120Aの部分よりも弾性率が低い材料で形成してもよい。
なお、本実施形態の多孔質層50は、複数の貫通孔51を有するため、貫通孔51の部分と、貫通孔51以外の部分とで放射線の透過量が異なることにより、変換層14に到達する放射線量が異なる場合がある。この場合、放射線検出器10により得られる放射線画像に画像ムラが生じる懸念がある。そのため、本実施形態の放射線検出器10は、ISS方式の放射線画像撮影装置1に適用することが好ましい。
本実施形態の放射線画像撮影装置1の製造方法について図10A~図10Fを参照して説明する。なお、本実施形態の放射線画像撮影装置1の製造方法は、本実施形態の放射線検出器10の製造方法を含む。
図10Aに示すように、センサ基板12を形成するために、基材11に比べて厚さの厚いガラス基板等の支持体400に、剥離層402を介して、基材11が設けられる。例えば、ラミネート法により基材11を形成する場合、支持体400上に、基材11となるシートを貼り合わせる。基材11の第2の面11Bが剥離層402に接する。なお、基材11を形成する方法は、本実施形態に限定されず、例えば、塗布法で基材11を形成する形態であってもよい。
さらに、基材11の第1の面11Aに、画素30及び端子113が形成される。画素30は、第1の面11Aの画素領域35に、SiN等を用いたアンダーコート層(図示省略)を介して形成される。また、基材11の2つの辺の各々に沿って複数の端子113が形成される。
また、図10Bに示すように、画素30が形成された層(以下、単に「画素30」という)の上に、変換層14が形成される。本実施形態では、センサ基板12上に直接、真空蒸着法、スパッタリング法、及びCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相堆積法によって柱状結晶としてCsIの変換層14が形成される。この場合、変換層14における画素30と接する側が、柱状結晶の成長方向基点側となる。
なお、変換層14としてCsIのシンチレータを用いる場合、本実施形態と異なる方法で、センサ基板12に変換層14を形成することもできる。例えば、アルミやカーボンの基板等に気相堆積法によってCsIを蒸着させたものを用意し、CsIの基板と接していない側と、センサ基板12の画素30とを粘着性のシート等により貼り合わせることにより、センサ基板12に変換層14を形成してもよい。この場合、アルミ等の基板も含めた状態の変換層14全体を保護層により覆った状態のものを、センサ基板12の画素30と貼り合わせることが好ましい。なお、この場合、変換層14における画素30と接する側が、柱状結晶の成長方向の先端側となる。
また、本実施形態の放射線検出器10と異なり、変換層14としてCsIに替わり、GOS(Gd2O2S:Tb)等を用いてもよい。この場合、例えば、GOSを樹脂等のバインダに分散させたシートを、白PET等により形成された支持体に粘着層等により貼り合わせたものを用意し、GOSの支持体が貼り合わせられていない側と、センサ基板12の画素30とを粘着性のシート等により貼り合わせることにより、センサ基板12に変換層14を形成することができる。なお、変換層14にCsIを用いる場合の方が、GOSを用いる場合に比べて、放射線から可視光への変換効率が高くなる。
さらに、センサ基板12に形成された変換層14の上に、粘着層60を介して反射層62を設ける。さらに、接着層64を介して保護層66を設ける。
次に、図10Cに示すように、フレキシブルケーブル112を、センサ基板12に電気的に接続する。具体的には、端子113に、駆動IC210または信号処理IC310が搭載されたフレキシブルケーブル112を熱圧着させて、端子113とフレキシブルケーブル112とを電気的に接続する。これにより、センサ基板12にフレキシブルケーブル112が電気的に接続される。
次に、図10Dに示すように、変換層14の上に、補強基板40を設ける。具体的には、保護層66で覆われた変換層14の上に、粘着剤42を設けた補強基板40を貼り合わせる。
この後、図10Eに示すように変換層14が設けられたセンサ基板12を支持体400から剥離する。以下、本工程を、剥離工程という。メカニカル剥離の場合、図10Eに示した一例では、センサ基板12の基材11における、フレキシブルケーブル112Bが電気的に接続された辺と対向する辺を剥離の起点とする。そして、起点となる辺からフレキシブルケーブル112が電気的に接続された辺に向けて徐々にセンサ基板12を支持体400から、図10Eに示した矢印D方向に引きはがすことにより、センサ基板12を支持体400から剥離する。
なお、剥離の起点とする辺は、センサ基板12を平面視した場合における、最長の辺と交差する辺が好ましい。換言すると、剥離により撓みが生じる撓み方向Yに沿った辺は、最長の辺であることが好ましい。一例として、本実施形態では、剥離の起点を、フレキシブルケーブル112Bが電気的に接続された辺と対向する辺としている。
次に、図10Fに示すように、基材11の第2の面11Bに、帯電防止層48、電磁シールド層44、及び補強基板40を順次、設ける。具体的には、基材11の第2の面11Bに、帯電防止層48及び電磁シールド層44を、塗布等により形成する。
さらに、放射線検出器10及び回路部等を、筐体120に収納することにより、図9Aまたは図9Bに示した放射線画像撮影装置1が製造される。具体的には、 また、基材11の第2の面11B側、具体的には、電磁シールド層44が、照射面120Aと対向する状態で、放射線検出器10を筐体120に収納することで、図9Aに示した放射線画像撮影装置1が製造される。また、補強基板40が、照射面120Aと対向する状態で、放射線検出器10を筐体120に収納することで、図9Bに示した放射線画像撮影装置1が製造される。
なお、上記の工程は一例であり、例えば、図10Cを用いて説明したフレキシブルケーブル112をセンサ基板12に接続する工程を、図10Eを参照して説明した剥離工程の後に行ってもよい。すなわち、フレキシブルケーブル112が端子113に接続されていない状態のセンサ基板12を、支持体400から剥離した後、端子113にフレキシブルケーブル112を電気的に接続してもよい。また例えば、図10Dを参照して説明した補強基板40を設ける工程を、図10Eを参照して説明した剥離工程の後に行ってもよい。すなわち、補強基板40が設けられていない状態のセンサ基板12を、支持体400から剥離した後、変換層14の上に補強基板40を設けてもよい。なお、上記工程のように、剥離工程の前に、センサ基板12に補強基板40を設けておくことにより、剥離工程において、補強基板40によって剛性が補強された状態のセンサ基板12を支持体400から剥離する。そのため、例えば、剥離工程において基材11が撓むことに起因する、変換層14の基材1からの剥離を抑制することができる。
なお、上記では、補強基板40の大きさ(面積)がセンサ基板12の基材11と同様の形態について説明したが、補強基板40の大きさ(面積)は、上述の形態に限定されない。例えば、図11Aに示すように、補強基板40が基材11よりも大きい形態としてもよい。なお、具体的な補強基板40の大きさは、放射線検出器10を収納する筐体120の内部の大きさ等に応じて定めることができる。図11Aに示した放射線検出器10では、補強基板40の端部が、基材11、すなわちセンサ基板12の端部よりも外側に位置している。
このように補強基板40の大きさを基材11よりも大きくすることにより、例えば、放射線画像撮影装置1を落下させる等して、筐体120に衝撃が加わり筐体120の側面(照射面120Aと交差する面)が凹んだ場合に、筐体120の側面に補強基板40が干渉する。一方、センサ基板12は、補強基板40よりも小さいため、筐体120の側面に干渉し難くなる。従って、図11Aに示した放射線検出器10によれば、放射線画像撮影装置1に加わる衝撃がセンサ基板12に与える影響を抑制することができる。
なお、補強基板40により放射線画像撮影装置1に加わる衝撃がセンサ基板12に与える影響を抑制する観点からは、図11Aに示すように、補強基板40の端部の少なくとも一部が、基材11の端部よりも外部に突出していればよい。例えば、補強基板40の大きさが基材11よりも小さい場合であっても、基材11の端部よりも外部に突出する補強基板40の端部が、筐体120の側面に干渉するため、衝撃がセンサ基板12に与える影響を抑制することができる。
また例えば、図11B及び図11Cに示すように、補強基板40が基材11よりも小さい形態としてもよい。図11Bに示した例では、端子113と対向する位置には、補強基板40が設けられていない。すなわち、放射線検出器10における補強基板40の面積は、基材11の面積から端子113が設けられた領域の面積を減算した値よりも小さい。一方、図11Cに示した例では、補強基板40の端部が、変換層14の周縁部14Bに位置しており、変換層14が基材11の第1の面11A全体を覆う領域よりも狭い領域に、補強基板40が設けられている。
不具合や位置ずれ等により、基材11(センサ基板12)に電気的に接続したフレキシブルケーブル112や部品を取り外して、新たに接続し直すことをリワークという。このように、補強基板40を基材11よりも小さくすることにより、補強基板40の端部に邪魔されずに、リワークを行うことができるため、フレキシブルケーブル112のリワークを容易にすることができる。
なお、放射線画像撮影装置1及び放射線検出器10の構成及び製造方法は、上述した形態に限定されない。例えば、以下の変形例1~変形例4に示す形態としてもよい。なお、上述した形態及び変形例1~変形例4の各々を適宜、組み合わせた形態としてもよく、また変形例1~変形例4に限定されるものでもない。
(変形例1)
本変形例では、図12A及び図12Bを参照し、放射線検出器10における補強基板40が、支持部材72によって支持されている形態について説明する。図12A及び図12Bの各々には、上記図3に示した放射線検出器10のA-A線断面図に相当する、本変形例の放射線検出器10の断面図の一例を示す。
図12Aに示した放射線検出器10では、補強基板40の端部が、支持部材72によって支持されている。すなわち、支持部材72の一端は、フレキシブルケーブル112、または基材11の第1の面11Aに接続され、支持部材72の他端は、粘着剤42により補強基板40の端部に接続されている。なお、支持部材72は、基材11の外縁部全体に設けられていてもよいし、外縁の一部分に設けられていてもよい。このように基材11との間に空間を形成しつつ延伸する補強基板40の端部を支持部材72によって支持することで、変換層14がセンサ基板12から剥離するのを抑制することができる。また、端子113に接続されたフレキシブルケーブル112上に支持部材72を設けることにより、フレキシブルケーブル112が端子113から剥離するのを抑制することができる。
一方、図12Bに示した放射線検出器10では、補強基板40の端部よりも内側の位置が、支持部材72によって支持されている。図12Bに示した例では、支持部材72を設ける位置が、フレキシブルケーブル112及び端子113が設けられた領域外のみとしている。図12Bに示した例では、支持部材72の一端は、基材11の第1の面11Aに接続され、支持部材72の他端は、粘着剤42により補強基板40の端部に接続されている。このように、フレキシブルケーブル112及び端子113の上に支持部材72を設けないことにより、フレキシブルケーブル112のリワークを容易にすることができる。
このように本変形例の放射線検出器10によれば、補強基板40を支持部材72で支持することにより、基材11の端部近傍にまで補強基板40による剛性の補強効果が得られ、基材11が撓むのを抑制する効果を作用させることができ、そのため、本変形例の放射線検出器10によれば、変換層14がセンサ基板12から剥離するのを抑制することができる。
(変形例2)
本変形例では、図13を参照し、放射線検出器10における変換層14の周囲が封止されている形態について説明する。図13には、上記図3に示した放射線検出器10のA-A線断面図に相当する、本変形例の放射線検出器10の断面図の一例を示す。
図13に示すように、変換層14の周縁部14Bを封止部材70によって封止する形態としてもよい。図13に示す例では、上記のように基材11、変換層14、及び補強基板40によって生じた空間に封止部材70が設けられている。具体的には、変換層14の周縁部14Bに対応する領域、及びさらにその外側の領域において、変換層14(保護層66)と補強基板40との間に形成された空間に封止部材70が設けられている。封止部材70の材料は特に限定されず、例えば、樹脂を用いることが可能である。
封止部材70を設ける方法は特に限定されない。例えば、粘着層60、反射層62、接着層64、及び保護層66で覆われた変換層14上に、粘着剤42によって補強基板40を設けた後、変換層14(保護層66)と補強基板40との間に形成された空間に、流動性を有する封止部材70を注入し、補強基板40を硬化させてもよい。また、例えば、基材11上に変換層14、粘着層60、反射層62、接着層64、及び保護層66を順次形成した後、封止部材70を形成し、粘着層60、反射層62、接着層64、及び保護層66で覆われた変換層14及び封止部材70を覆う状態に、粘着剤42によって補強基板40を設けてもよい。
また、封止部材70を設ける領域は、図13に示した形態に限定されない。例えば、基材11の第1の面11A全体に封止部材70が設けられていてもよく、フレキシブルケーブル112が電気的に接続された端子113を、フレキシブルケーブル112と共に封止してもよい。
このように、変換層14と補強基板40との間に形成された空間に、封止部材70を充填し、変換層14を封止することで、補強基板40の変換層14からの剥離を抑制することができる。さらに、変換層14は、補強基板40及び封止部材70の双方によりセンサ基板12に固定される構造となるため、基材11の剛性がより補強される。
なお、本変形例と上記変形例1とを組み合わせる場合、換言すると、放射線検出器10が、封止部材70及び支持部材72を備える場合、支持部材72、補強基板40、変換層14、及び基材11で囲われる空間の一部または全体に封止部材70を充填して、封止部材70により封止する形態とすることができる。
(変形例3)
上記形態では、多孔質層50における複数の貫通孔51の密度が均一な形態について説明したが、多孔質層50における複数の貫通孔51の密度が不均一な形態であってもよい。より具体的には、多孔質層50は、基材11の第1の面11Aに沿って並ぶ複数の領域における、各領域の貫通孔51の密度が異なっていてもよい。
多孔質層50は、大気に比べて多孔質層50の方が熱伝導率が比較的高いため、貫通孔51の密度が小さいほど、多孔質層50の熱伝導率が高くなる。例えば、信号処理基板300等の回路部は、他の部品よりも発熱量が多い傾向がある。そのため、発熱する部品の近くや、筐体120内において熱が高くなる位置等では、多孔質層50における貫通孔51の密度を他の部分よりも小さくして、熱伝導率を高くしてもよい。
この場合の多孔質層50の一例を図14Aに示す。図14Aに示した多孔質層50では、回路部が設けられた位置に対応する領域52における貫通孔51の密度が、他の領域53における貫通孔51の密度よりも小さい。
図14Aに示した放射線検出器10では、多孔質層50の領域52における貫通孔51の密度が他の領域53における貫通孔51の密度に比べて小さいため、領域52における放熱性を高くすることができる。そのため、筐体120内における熱量が不均一になるのを抑制することができる。例えば、センサ基板12の面方向に不均一に熱が伝わった場合、伝わった熱に応じて、画素30のセンサ部34において生じる暗電流が変化し、放射線画像に画像ムラが生じる場合がある。これに対して、図14Aに示した放射線検出器10では、発熱量が多い位置に対応する領域52における熱伝導率を高くすることができるため、センサ基板12の面方向に不均一に熱が伝わるのを抑制することができ、放射線画像の画像ムラを抑制することができる。
一方、多孔質層50は、貫通孔51の密度が大きいほど、軽量化することができる。筐体120内の部品の配置により、筐体120全体の重量のバランスを均一にし難い場合がある。例えば、電源部108は、他の部品よりも重い傾向がある。そのため、重い部品の近く等では、多孔質層50における貫通孔51の密度を他よりも小さくして、その部分の重量を軽くしてもよい。
この場合の多孔質層50の一例を図14Bに示す。図14Bに示した多孔質層50では、電源部108が設けられた位置に対応する領域54における貫通孔51の密度が、他の領域55における貫通孔51の密度よりも大きい。
図14Bに示した放射線検出器10では、多孔質層50の領域54における貫通孔51の密度が、他の領域55における貫通孔51の密度に比べて大きいため、領域54を他の領域55に比べて軽量化することができる。そのため、図14Bに示した放射線検出器10では、筐体120全体の重量のバランスを調整することができ、放射線画像撮影装置1の使い勝手を向上することができる。
(変形例4)
本変形例では、放射線画像撮影装置1の変形例について、図15A~図15Cを参照して説明する。図15A~図15Cの各々は、本変形例の放射線画像撮影装置1の断面図の一例である。
図15Aには、筐体120の照射面120A側の天板の内壁面に、放射線検出器10が接しているISS方式の放射線画像撮影装置1の一例が示されている。図15Aに示した例では、筐体120の照射面120A側の天板の内壁面に、電磁シールド層44が接している。この場合、放射線検出器10と筐体120の内壁面とは、接着層を介して接着されていてもよいし、接着層を介さずに単に接触しているだけでもよい。このように放射線検出器10と筐体120の内壁面とが接していることにより、放射線検出器10の剛性がより確保される。
また、図15Bには、放射線検出器10、制御基板110及び電源部108等の回路部が図中横方向に並置されているISS方式の放射線画像撮影装置1の一例が示されている。換言すると、図15Bに示した放射線画像撮影装置1では、放射線検出器10と回路部とが、放射線の照射方向と交差する方向に並んで配置されている。
なお、図15Bでは、電源部108及び制御基板110の両方を放射線検出器10の一方の側、具体的には、矩形状の画素領域35の一方の辺の側に設けた形態を示したが、電源部108及び制御基板110等の回路部を設ける位置は図15Bに示した形態に限定されない。例えば、電源部108及び制御基板110等の回路部を、画素領域35の対向する2辺の各々に分散させて設けてもよいし、隣接する2辺の各々に分散させて設けてもよい。このように、放射線検出器10と回路部とを、放射線の照射方向と交差する方向に並んで配置することにより、筐体120の厚さ、より具体的には放射線が透過する方向の厚さを、より小さくすることができ、放射線画像撮影装置1の薄型化が図れる。
また、放射線検出器10と回路部とを、放射線の照射方向と交差する方向に並んで配置する場合、図15Cに示す放射線画像撮影装置1のように、電源部108及び制御基板110等の回路部の各々が設けられている筐体120の部分と、放射線検出器10が設けられている筐体120の部分とで、筐体120の厚みが異なっていてもよい。
図15B及び図15Cに示す例のように、電源部108及び制御基板110等の回路部が、放射線検出器10よりも厚みを有している場合がある。このような場合、図15Cに示す例のように、電源部108及び制御基板110等の回路部の各々が設けられている筐体120の部分の厚みよりも、放射線検出器10が設けられている筐体120の部分の厚みの方が薄くてもよい。 図15Cに示した放射線画像撮影装置1によれば、放射線検出器10の厚さに応じた極薄型の放射線画像撮影装置1を構成することができる。
なお、図15Cに示した例のように、電源部108及び制御基板110等の回路部の各々が設けられている筐体120の部分と、放射線検出器10が設けられている筐体120の部分とで、厚みを異ならせる場合、両部分の境界部に段差が生じていると境界部120Bに接触した被検者に違和感等を与える懸念がある。そのため、境界部120Bの形態は傾斜を有する状態とすることが好ましい。また、電源部108及び制御基板110等の回路部の各々が収納される筐体120の部分と、放射線検出器10が収納される筐体120の部分とを異なる材質で形成してもよい。
以上説明したように、上記の各放射線検出器10は、センサ基板12と、変換層14と、補強基板40とを備える。センサ基板12は、可撓性の基材11の画素領域35に、放射線から変換された光に応じて発生した電荷を蓄積する複数の画素30が形成されている。変換層14は、基材11の画素30が設けられた第1の面11Aの側に設けられ、かつ放射線を光に変換する。補強基板40は、変換層14の基材11側の面と反対側の面に設けられ、かつ複数の貫通孔51を有する多孔質層50を含み、基材11の剛性を補強する。
従って、上記の各放射線検出器10では、曲げ剛性が高く、かつ耐熱性を向上することができる。特に、ISS方式の放射線画像撮影装置1では、補強基板40の多孔質層50が有する貫通孔51が放射線画像に与える影響を抑制しつつ、上記効果を得ることができる。
なお、放射線画像撮影装置1及び放射線検出器10の構成及びその製造方法は、図1~図15Cを参照して説明した形態に限定されるものではない。例えば、上記では、補強基板40が多孔質層50のみを含む形態について説明したが、補強基板40は、多孔質層50以外の部材を含んでいてもよい。例えば、補強基板40が、多孔質層50と、CFRP等による剛性板とが積層された積層体を含んでいてもよい。また、上記の各放射線検出器10では、変換層14の上側に補強基板40が設けられた形態について説明したが、基材11の第2の面11B側にも補強基板40を設けてもよく、例えば、電磁シールド層44に補強基板40を貼り付けてもよい。また、基材11の第2の面11Bに、基材11の剛性を補強するためのCFRP等による剛性板が設けられていてもよい。
また例えば、上記図1に示したように画素30がマトリクス状に2次元配列されている態様について説明したがこれに限らず、例えば、1次元配列であってもよいし、ハニカム配列であってもよい。また、画素の形状も限定されず、矩形であってもよいし、六角形等の多角形であってもよい。さらに、画素領域35の形状も限定されないことはいうまでもない。
その他、上記実施形態及び各変形例における放射線画像撮影装置1及び放射線検出器10等の構成や製造方法等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
2020年3月5日出願の日本国特許出願2020-038171号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。