以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の発電セル12が積層された積層体14を備える。燃料電池スタック10は、例えば、複数の発電セル12の積層方向(矢印A方向)が燃料電池自動車の水平方向(車幅方向又は車長方向)に沿うように燃料電池自動車に搭載される。なお、燃料電池スタック10は、複数の発電セル12の積層方向が燃料電池自動車の鉛直方向(車高方向)に沿うように燃料電池自動車に搭載されてもよい。
積層体14の積層方向(矢印A方向)の一端には、ターミナルプレート16a、インシュレータ18a及びエンドプレート20aが、外方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向の他端には、ターミナルプレート16b、インシュレータ18b及びエンドプレート20bが、外方に向かって、順次、配設される。
ターミナルプレート16aには、出力端子22aが電気的に接続されている。ターミナルプレート16bには、出力端子22bが電気的に接続されている。各インシュレータ18a、18bは、電気的絶縁性を有する絶縁プレートである。
各エンドプレート20a、20bは、横長の長方形状を有する。図1及び図2に示すように、エンドプレート20a、20bの各辺間には、連結部材24a~24d(連結バー)が配置される。各連結部材24a~24dの両端は、ボルト26によりエンドプレート20a、20bの内面に固定されている(図1参照)。これにより、連結部材24a~24dは、燃料電池スタック10(積層体14)に積層方向(矢印A方向)の締付荷重を付与する。
連結部材24aは、エンドプレート20a、20bの一方の長辺の中央から一端側にずれて位置している。連結部材24bは、エンドプレート20a、20bの他方の長辺の中央から他端側にずれて位置している。連結部材24c、24dは、エンドプレート20a、20bの各短辺の中央に位置している。
燃料電池スタック10は、積層体14を積層方向と直交する方向から覆うカバー部28を備えている。カバー部28は、エンドプレート20a、20bの短手方向(矢印C方向)の両端の2面を構成する横長プレート形状の一組のサイドパネル30a、30bと、エンドプレート20a、20bの長手方向(矢印B方向)の両端の2面を構成する横長プレート形状の一組のサイドパネル30c、30dとを有する。各サイドパネル30a~30dは、ボルト32によりエンドプレート20a、20bの側面に固定されている。カバー部28は、必要に応じて用いればよく、不要にすることもできる。カバー部28は、サイドパネル30a~30dを一体の鋳物又は一体の押出材で筒状に形成してもよい。なお、上記の連結部材24a、24bは、カバー部28に対して一体的に形成されてもよい。
図3に示すように、発電セル12は、外周に樹脂枠を有する樹脂枠付きMEA34と、樹脂枠付きMEA34を挟持する一対のセパレータとを備える。一対のセパレータは、樹脂枠付きMEA34の一方面に積層されるカソードセパレータ36と、樹脂枠付きMEA34の他方面に積層されるアノードセパレータ38とで構成される。
発電セル12の長辺方向である矢印B方向の一端縁部には、酸化剤ガス入口連通孔42a、冷却媒体入口連通孔44a及び燃料ガス出口連通孔46bが、矢印C方向に配列して設けられる。各発電セル12の酸化剤ガス入口連通孔42aは、複数の発電セル12の積層方向(矢印A方向)に互いに連通し、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。各発電セル12の冷却媒体入口連通孔44aは、矢印A方向に互いに連通し、冷却媒体、例えば、水やエチレングリコール、オイル等を供給する。各発電セル12の燃料ガス出口連通孔46bは、矢印A方向に互いに連通し、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出する。
発電セル12の矢印B方向の他端縁部には、燃料ガス入口連通孔46a、冷却媒体出口連通孔44b及び酸化剤ガス出口連通孔42bが、矢印C方向に配列して設けられる。各発電セル12の燃料ガス入口連通孔46aは、矢印A方向に互いに連通し、燃料ガスを供給する。各発電セル12の冷却媒体出口連通孔44bは、矢印A方向に互いに連通し、冷却媒体を排出する。各発電セル12の酸化剤ガス出口連通孔42bは、矢印A方向に互いに連通し、酸化剤ガスを排出する。
なお、酸化剤ガス入口連通孔42a及び酸化剤ガス出口連通孔42bと燃料ガス入口連通孔46a及び燃料ガス出口連通孔46bと冷却媒体入口連通孔44a及び冷却媒体出口連通孔44bのそれぞれは、エンドプレート20aにも形成されている(図1参照)。
酸化剤ガス入口連通孔42a、酸化剤ガス出口連通孔42b、燃料ガス入口連通孔46a、燃料ガス出口連通孔46b、冷却媒体入口連通孔44a、冷却媒体出口連通孔44bのそれぞれの大きさ、位置、形状及び数は、本実施形態に限定されず、要求される仕様に応じて適宜設定すればよい。
樹脂枠付きMEA34は、電解質膜・電極構造体(以下、「MEA48」という)と、MEA48の外周部に接合されるとともにこの外周部を周回する樹脂枠部材50(枠部、樹脂フィルム)とを備える。MEA48は、電解質膜52と、電解質膜52の一方の面に設けられたカソード電極54と、電解質膜52の他方の面に設けられたアノード電極56とを有する。
電解質膜52は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜52は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。電解質膜52は、カソード電極54及びアノード電極56に挟持される。
図示は省略するが、カソード電極54は、電解質膜52の一方の面に接合される第1電極触媒層と、当該第1電極触媒層に積層される第1ガス拡散層とを有する。第1電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、第1ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。アノード電極56は、電解質膜52の他方の面に接合される第2電極触媒層と、当該第2電極触媒層に積層される第2ガス拡散層とを有する。第2電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、第2ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。第1ガス拡散層及び第2ガス拡散層のそれぞれは、カーボンペーパ、カーボンクロス等からなる。
電解質膜52の平面寸法は、カソード電極54及びアノード電極56のそれぞれの平面寸法よりも小さい。カソード電極54の外周部とアノード電極56の外周部とは、樹脂枠部材50の内周部を挟持している。樹脂枠部材50は、電気的絶縁性を有するとともに、反応ガス(酸化剤ガス及び燃料ガス)を不透過に構成されている。樹脂枠部材50は、MEA48の外周に設けられている。
樹脂枠付きMEA34は、樹脂枠部材50を用いることなく、電解質膜52を外方に突出させるように形成してもよい。また、樹脂枠付きMEA34は、外方に突出した電解質膜52の両側に枠形状のフィルムを設けるように形成してもよい。
図3において、カソードセパレータ36及びアノードセパレータ38は、長方形状(四角形状)に形成されている。カソードセパレータ36及びアノードセパレータ38のセパレータ本体40は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、或いはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属薄板の断面を波形にプレス成形して構成される。カソードセパレータ36とアノードセパレータ38とは、互いに重ねた状態で外周を溶接、ろう付け、かしめ等により一体に接合され、接合セパレータ39(セパレータ部材)を構成する。
カソードセパレータ36のMEA48に向かう面36aには、酸化剤ガス入口連通孔42aと酸化剤ガス出口連通孔42bとに連通する酸化剤ガス流路58が設けられる。酸化剤ガス流路58は、矢印B方向に直線状に延在する複数の酸化剤ガス流路溝60を有する。各酸化剤ガス流路溝60は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
カソードセパレータ36には、カソードセパレータ36の外周部を周回してMEA48とカソードセパレータ36との間からの酸化剤ガス(反応ガス)の外部への漏れを防止する第1シール部62が設けられている。第1シール部62は、カソードセパレータ36に一体成形された第1金属ビード部64を有する。第1金属ビード部64は、カソードセパレータ36からMEA48を挟んで反対側に位置するアノードセパレータ38側に突出している。第1シール部62は、第1金属ビード部64の突出端面に塗布等により固着された弾性を有する樹脂材を有してもよい。当該樹脂材は、例えば、ポリエステル繊維で構成される。
第1シール部62は、セパレータ厚さ方向から見て波状に延在している。第1シール部62の波の間隔及び振幅は、良好なシール特性が得られるように適宜設定すればよい。なお、第1シール部62は、直線状に延在してもよい。
アノードセパレータ38のMEA48に向かう面38aには、燃料ガス入口連通孔46aと燃料ガス出口連通孔46bとに連通する燃料ガス流路74が設けられる。燃料ガス流路74は、矢印B方向に延在する複数の燃料ガス流路溝76を有する。各燃料ガス流路溝76は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
アノードセパレータ38には、アノードセパレータ38の外周部を周回してMEA48とアノードセパレータ38との間からの燃料ガス(反応ガス)の外部への漏れを防止する第2シール部80が設けられている。第2シール部80は、アノードセパレータ38に一体成形された第2金属ビード部82を有する。第2金属ビード部82は、アノードセパレータ38からMEA34を挟んで反対側に位置するカソードセパレータ36側に突出している。第2シール部80は、第2金属ビード部82の突出端面に印刷又は塗布等により固着された弾性を有する樹脂材を有してもよい。当該樹脂材は、例えば、ポリエステル繊維で構成される。
第2シール部80は、セパレータ厚さ方向から見て波状に延在している。第2シール部80の波の間隔及び振幅は、良好なシール特性が得られるように適宜設定すればよい。なお、第2シール部80は、直線状に延在してもよい。
第1シール部62及び第2シール部80は、セパレータ厚さ方向(積層方向)から見て互いに重なるように配置されている。そのため、燃料電池スタック10に締付荷重が付与された状態で、第1金属ビード部64及び第2金属ビード部82のそれぞれが弾性変形(圧縮変形)する。また、この状態で、第1シール部62の突出端面が樹脂枠部材50の一方の面50aに接触するとともに第2シール部80の突出端面が樹脂枠部材50の他方の面50bに接触する。
カソードセパレータ36の面36bとアノードセパレータ38の面38bとの間には、冷却媒体入口連通孔44aと冷却媒体出口連通孔44bとに連通する冷却媒体流路88が設けられる。冷却媒体流路88は、矢印B方向に直線状に延在する複数の冷却媒体流路溝90を有する。冷却媒体流路88は、酸化剤ガス流路58の裏面形状と燃料ガス流路74の裏面形状とによって形成される。
図2~図4に示すように、カソードセパレータ36は、上記の酸化剤ガス流路58を構成するセパレータ本体40と、セパレータ本体40の外周部に荷重受け部94a、94bを備える。荷重受け部94aは、セパレータ本体40に形成された支持部92aに設けられている。荷重受け部94bは、セパレータ本体40に形成された支持部92bに設けられている。なお、支持部92a、92b、荷重受け部94a、94bは、セパレータ本体40に1つ設けられるだけでもよく、或いは3以上設けられてもよい。
支持部92aは、セパレータ本体40に一体的に設けられ、セパレータ本体40の一方の長辺から外方(矢印C方向)に向かって突出している。支持部92aは、連結部材24aに対向するようにセパレータ本体40の一方の長辺の中央から一端側にずれた位置にある。なお、支持部92aは、セパレータ本体40に対して接合されてもよい。支持部92aは、セパレータ本体40の一方の長辺から外方に突出していなくてもよい。
図4に示すように、荷重受け部94aは、発電セル12の積層方向に直交した方向(矢印B方向)の外部荷重(衝撃荷重)を受けるための板状部材である。荷重受け部94aは、支持部92aから矢印C方向に向かって外方に突出した凸部96と、支持部92aに接合された取付部98とを備える。また、荷重受け部94aは、凸部96と取付部98にわたって延在する板部102と、凸部96において板部102を覆う絶縁性被覆部104とにより構成される。換言すれば、荷重受け部94aにおいて、凸部96は、板部102及び絶縁性被覆部104からなる部分であり、取付部98は、板部102が露出した部分である。
板部102は、ステンレス等の金属材料により構成される。板部102は、セパレータ本体40と同じ材料により構成されてもよい。板部102は、平面形状が扁平な略六角形状の被埋設部102aを有する。一方、板部102は、取付部98において、平面形状が略長方形状(四角形状)の露出部102bを有する。
板部102の板厚は、セパレータ本体40の板厚よりも厚く設定されている。板部102の板厚は、例えばセパレータ本体40の板厚の2倍以上であるとよい。なお、板部102の板厚は、発電セル12の厚さ等を勘案して適宜設定されればよい。
絶縁性被覆部104は、絶縁性樹脂材料により構成され、例えば、板部102に対してインサート成形することで板部102に一体化される。絶縁性被覆部104は、被埋設部102aの両面(板部102の面102s1、102s2)を一体的に被覆する。
絶縁性被覆部104は、セパレータ厚さ方向から見て被埋設部102aよりも一回り大きい略六角形状に形成されている。すなわち凸部96において、絶縁性被覆部104の外縁部は、被埋設部102aの外縁部よりも外側を周回している。
荷重受け部94aの凸部96は、連結部材24aに形成された凹部100aの内周と係合する(図2参照)。図4及び図5に示すように、凸部96の中央部には、燃料電池スタック10の製造時に各発電セル12の位置決め用のロッド106を挿通するための位置決め孔108が形成されている。位置決め孔108は、板部102(被埋設部102a)及び絶縁性被覆部104を厚さ方向(矢印A方向)に貫通している。なお、ロッド106は、各発電セル12の位置決めが完了した後で位置決め孔108から抜き取られてもよいし、位置決め孔108に残されてもよい。
取付部98は、支持部92aの矢印B方向の中央部に位置している。取付部98は、支持部92aの面(カソードセパレータ36の面36a)に重ねられた状態で溶接(例えばレーザ溶接)により支持部92aに対して接合されている。接合によって、露出部102bにおける板部102の面102s1が、カソードセパレータ36のセパレータ本体40の面36aに密着する。
図2に示すように、支持部92bは、カソードセパレータ36に一体的に設けられ、カソードセパレータ36の他方の長辺から外方(矢印C方向)に向かって突出している。支持部92bは、連結部材24bに対向するようにカソードセパレータ36の他方の長辺の中央から他端側にずれた位置にある。なお、支持部92bは、カソードセパレータ36に対して接合されてもよい。支持部92bは、カソードセパレータ36の他方の長辺から外方に突出していなくてもよい。
荷重受け部94bは、発電セル12の積層方向に直交した方向(矢印B方向)の外部荷重(衝撃荷重)を受けるための板状部材である。荷重受け部94bは、上記した荷重受け部94aと同様に構成されている。換言すれば、荷重受け部94bは、荷重受け部94aを上下反転した形状を有する。そのため、荷重受け部94bの詳細な構成の説明については省略する。なお、荷重受け部94bの凸部96は、連結部材24bに形成された凹部100bの内周と係合する(図2参照)。
また図2~図4に示すように、カソードセパレータ36の面36aには、第1リブ118a、118bが樹脂枠付きMEA34に向かって一体で突出形成されている。第1リブ118aは、第1シール部62と荷重受け部94aとの間に位置し、第1シール部62の延在方向(矢印B方向)に沿って取付部98と略同じ長さだけ矢印B方向に延在している。第1リブ118bは、第1シール部62と荷重受け部94bとの間に位置し、第1シール部62の延在方向(矢印B方向)に沿って取付部98と略同じ長さだけ矢印B方向に延在している。
図3に示すように、アノードセパレータ38の面38bには、第2リブ120a、120bが樹脂枠付きMEA34に向かって突出形成されている。第2リブ120aは、第2シール部80よりも外周側に位置するとともに第1リブ118aに対向し、第2シール部80の延在方向(矢印B方向)に沿って第1リブ118aと略同じ長さだけ延在している。第2リブ120bは、第2シール部80よりも外周側に位置するとともに第1リブ118bに対向し、第2シール部80の延在方向(矢印B方向)に沿って第1リブ118bと略同じ長さだけ延在している。
第1リブ118aと第2リブ120aは、樹脂枠部材50を間に挟んで互いに対向する。同様に、第1リブ118bと第2リブ120bは、樹脂枠部材50を間に挟んで互いに対向する。第1リブ118a、118bは、アノードセパレータ38のうち荷重受け部94a、94bを支持する部位の剛性を向上させる。
図3及び図4に示すように、アノードセパレータ38は、カソードセパレータ36の支持部92a、92bの対向位置に、セパレータ本体41から突出する突出部110a、110bを備える。突出部110aは、セパレータ本体41に一体的に設けられ、セパレータ本体41の一方の長辺の中央から一端側にずれた位置で外方(矢印C方向)に向かって突出している。突出部110aは、積層方向に対向する支持部92aと同形状に形成されている。また突出部110bは、セパレータ本体41に一体的に設けられ、セパレータ本体41の他方の長辺の中央から他端側にずれた位置で外方(矢印C方向)に向かって突出している。突出部110bは、積層方向に対向する支持部92bと同形状に形成されている。
さらに、本実施形態に係る樹脂枠部材50は、その平面形状がカソードセパレータ36のセパレータ本体40の平面形状よりも若干大きく形成され、カソードセパレータ36の外周から突出している。なお、アノードセパレータ38のセパレータ本体41の平面形状は、カソードセパレータ36と同一である。つまり、樹脂枠部材50の外周部は、カソードセパレータ36の外周部及びアノードセパレータ38の外周部よりも若干外側に突出している。
樹脂枠部材50は、カソードセパレータ36の支持部92a、92b(及びアノードセパレータ38の)の対向位置に突出部112a、112bを備える。突出部112aは、樹脂枠部材50に一体的に設けられ、樹脂枠部材50の一方の長辺の中央から一端側にずれた位置で外方(矢印C方向)に向かって突出している。突出部112aは、積層方向に対向する支持部92aよりも一回り大きな相似形状に形成されている。また突出部112bは、樹脂枠部材50に一体的に設けられ、樹脂枠部材50の他方の長辺の中央から他端側にずれた位置で外方(矢印C方向)に向かって突出している。突出部112bは、積層方向に対向する支持部92bよりも一回り大きな相似形状に形成されている。
上記したように、燃料電池スタック10は、発電セル12の積層前に、カソードセパレータ36とアノードセパレータ38を接合した接合セパレータ39を形成する。図4及び図5に示すように、接合セパレータ39において、カソードセパレータ36の支持部92aとアノードセパレータ38の突出部110aとが互いに重なる。また図示は省略するが、接合セパレータ39において、カソードセパレータ36の支持部92bとアノードセパレータ38の突出部110bとが互いに重なる。荷重受け部94a、94bは、接合セパレータ39において、支持部92a、92bが突出部110a、110bに重なる面と反対側の面(カソードセパレータ36の面36a)に溶接される。
セパレータ本体40と荷重受け部94a、94bとの溶接により形成される溶接加工部114は、取付部98を構成する板部102の長手方向(矢印B方向)に沿って延在している。図5に示すように、溶接加工部114は、板部102の他に、接合セパレータ39(カソードセパレータ36及びアノードセパレータ38の各セパレータ本体40、41)を厚さ方向に貫通するように形成される。溶接加工部114は、溶接によりカソードセパレータ36及びアノードセパレータ38の各セパレータ本体40、41、及び板部102が溶融して接合した金属材料から構成される。
溶接加工部114は、荷重受け部94a、94bの板部102の面102s2から露出し、反対側のアノードセパレータ38の面38aから露出する。溶接加工部114において溶接ビームの入射方向の両側の端部は、溶接工程においてそれぞれ板部102の面102s2、アノードセパレータ38の面38aから厚さ方向(矢印A方向)に隆起する、所謂溶接スパッタが形成される。
このため、溶接加工部114は、溶接後において、図6に示すように押圧装置200の押圧体202によって押圧されることで、溶接加工部114の両側の端部は、押圧によって平坦状の押圧部115に形成されていることが好ましい。或いは、溶接加工部114の端部は、押圧装置200とは異なる機械加工手段(切削、研磨等)によって平坦状に形成されてもよい。なお図5中において、押圧部115は、板部102の面102s2及びアノードセパレータ38の面38aに対して面一に形成されている。
ただし、押圧部115は、板部102やアノードセパレータ38に対して積層方向にわずかに突出していることがある(図5中の2点鎖線も参照)。例えば、溶接加工部114において積層方向に突出する端部(押圧部115)の位置は、絶縁性被覆部104の積層方向の端面よりも低く形成される。
上記したように、燃料電池スタック10は、荷重受け部94a、94bを有する接合セパレータ39と、樹脂枠付きMEA34とを交互に積層することで構成される。以下、樹脂枠付きMEA34を挟んで互いに隣接し合う2つの接合セパレータ39のうち一方を第1接合セパレータ39aといい、他方を第2接合セパレータ39bという。第1接合セパレータ39aのアノードセパレータ38と、第2接合セパレータ39bのカソードセパレータ36と、これらに挟まれた樹脂枠付きMEA34とにより発電セル12が形成される。
図5において、第1接合セパレータ39aのアノードセパレータ38と、第2接合セパレータ39bのカソードセパレータ36と、その間に挟まれた樹脂枠付きMEA34とで構成される発電セル12を第1発電セル12aという。第1接合セパレータ39aのカソードセパレータ36と、第2接合セパレータ39bのアノードセパレータ38と、その間に挟まれた樹脂枠付きMEA34とで構成される発電セル12を第2発電セル12bという。
また上記したように、樹脂枠部材50の平面形状は、カソードセパレータ36及びアノードセパレータ38の平面形状よりも一回り大きい。このため、第1接合セパレータ39aの荷重受け部94a、94bの取付部98と、第2接合セパレータ39bの荷重受け部94a、94bの取付部98との間は、樹脂枠部材50の突出部112a、112bが隙間を介して配置されている。
そして、第1接合セパレータ39aの取付部98が溶接される溶接加工部114と、第2接合セパレータ39bの取付部98が溶接される溶接加工部114とは、互いにセパレータ本体40、41及び板部102の面方向に互いにずれて千鳥状に設けられている。以下、第1接合セパレータ39aの溶接加工部114を第1溶接加工部114aといい、第2接合セパレータ39bの溶接加工部114を第2溶接加工部114bという。
具体的には、第1溶接加工部114aは、第1接合セパレータ39aの荷重受け部94a、94bにおいて取付部98の端部寄り(図5中の下側)に設けられる。その一方で、第2溶接加工部114bは、第2接合セパレータ39bの荷重受け部94a、94bにおいて取付部98の凸部96寄り(図5中の上側)に設けられる。換言すれば、第1溶接加工部114aと、第2溶接加工部114bとは、積層方向において互いにずれて重ならない位置にある。
燃料電池スタック10は、第1接合セパレータ39aと第2接合セパレータ39bが積層方向に交互に繰り返して積層されることで、第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bとが積層方向に千鳥状に配置される。このため、第1溶接加工部114a及び第2溶接加工部114bが溶接によってアノードセパレータ38の面38aや板部102の面102s2から突出するように形成されても、第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bの接触が回避される。
本実施形態に係る燃料電池スタック10及びセパレータ11は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その動作について説明する。
図1に示すように、酸化剤ガスは、エンドプレート20aの酸化剤ガス入口連通孔42aに供給される。燃料ガスは、エンドプレート20aの燃料ガス入口連通孔46aに供給される。冷却媒体は、エンドプレート20aの冷却媒体入口連通孔44aに供給される。
酸化剤ガスは、図3に示すように、酸化剤ガス入口連通孔42aからカソードセパレータ36の酸化剤ガス流路58に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路58に沿って矢印B方向に移動し、MEA48のカソード電極54に供給される。一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔46aからアノードセパレータ38の燃料ガス流路74に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路74に沿って矢印B方向に移動し、MEA48のアノード電極56に供給される。従って、各MEA48では、カソード電極54に供給される酸化剤ガスと、アノード電極56に供給される燃料ガスとが、電気化学反応により消費されて、発電が行われる。
カソード電極54に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔42bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード電極56に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔46bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔44aに供給された冷却媒体は、カソードセパレータ36とアノードセパレータ38との間に形成された冷却媒体流路88に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、MEA48を冷却した後、冷却媒体出口連通孔44bから排出される。
燃料電池スタック10は、外部から矢印B方向の衝撃荷重が加わると、荷重受け部94aが連結部材24aの凹部100aを構成する壁面に接触するとともに荷重受け部94bが連結部材24bの凹部100bを構成する壁面に接触する。これにより、発電セル12が矢印B方向に位置ずれすることが抑えられる。
また図5に示すように、第1接合セパレータ39aの荷重受け部94a、94bを接合している第1溶接加工部114aと、第2接合セパレータ39bの荷重受け部94a、94bを接合している第2溶接加工部114bとが互いに面方向にずれている。燃料電池スタック10は、樹脂枠付きMEA34を挟んで第1接合セパレータ39aと第2接合セパレータ39bが積層方向に交互に積層されることで、第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bが千鳥状に配置されている。
ここで、図5中に2点鎖線で示すように、溶接加工部114(第1溶接加工部114a、第2溶接加工部114b)の端部は、溶接によって板部102の面102s1やアノードセパレータ38の面38aから積層方向に突出形成される場合がある。本実施形態において第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bの間には、薄膜の樹脂枠部材50の突出部112a、112bが介在することで、第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bの接触を防止する効果がある。
ただし、突出した第1溶接加工部114aや第2溶接加工部114bは、樹脂枠部材50を変形又は損傷して積層方向に突出する可能性がある。これに対し、面方向にずれて千鳥状に配置された第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bとは、互いに接触することが回避される。従って、第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bの接触による、第1接合セパレータ39aのアノードセパレータ38と第2接合セパレータ39bのカソードセパレータ36の短絡を効果的に防止することができる。
また、溶接加工部114(第1溶接加工部114a、第2溶接加工部114b)の端部は、溶接後の加工により平坦状の押圧部115を有する。そのため、第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bの接触をより確実に回避することができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。例えば、第1溶接加工部114aと第2溶接加工部114bは、互いに面方向にずれて配置されていればよく、複数の発電セル12を積層した形態で積層方向に千鳥状に配置されることに限定されない。また、荷重受け部94a、94bは、カソードセパレータ36の面36a側に接合されるだけでなく、アノードセパレータ38の面38a側に接合されてもよい。
上記の実施形態から把握し得る技術的思想及び効果について、以下に記載する。
本発明の第1の態様は、電解質膜・電極構造体48とセパレータ部材(接合セパレータ39)とをそれぞれ複数備え、電解質膜・電極構造体48とセパレータ部材とが交互に積層された燃料電池スタック10であって、各セパレータ部材は、電解質膜・電極構造体48に対向する反応ガス流路が形成されたセパレータ本体40と、セパレータ本体40の外周部に重なるとともに外周部から外方に突出し、外周部に重なる部分にてセパレータ本体40と溶接により接合された荷重受け部94a、94bとを有し、セパレータ部材と荷重受け部94a、94bとの溶接により形成された溶接加工部114は、セパレータ部材と荷重受け部94a、94bとを厚さ方向に貫通しており、互いに隣接するセパレータ部材の溶接加工部114は、セパレータ本体40の面方向に互いにずれて配置されている。
上記によれば、燃料電池スタック10は、隣接するセパレータ部材(接合セパレータ39)の溶接加工部114同士が互いに接触することを回避して、電解質膜・電極構造体48を挟んで配置されるセパレータ部材同士の短絡を防ぐことができる。従って、燃料電池スタック10は、発電セル12の発電をより安定的に行うことが可能となる。
また、溶接加工部114は、電解質膜・電極構造体48とセパレータ部材(接合セパレータ39)の積層方向に沿って千鳥状に配置されている。これにより、燃料電池スタック10は、複数の発電セル12全体で溶接加工部114の短絡を簡単に防止することができる。さらに、セパレータ本体40と荷重受け部94a、94bの溶接では、位置をずらした溶接加工部114を2種類製造すればよいため、製造効率の低下を抑制することができる。
また、電解質膜・電極構造体48の外周部には、絶縁性を有する樹脂枠部材50が設けられ、互いに隣接するセパレータ部材(接合セパレータ39)の溶接加工部114の間には、樹脂枠部材50が配置されている。これにより、燃料電池スタック10は、溶接加工部114による短絡を一層確実に防止することができる。
また、荷重受け部94a、94bは、セパレータ本体40に溶接される取付部98と、取付部98からセパレータ本体40の外方に突出する凸部96とを有し、凸部96は、複数の発電セル12の側方を延在する部材(連結部材24a、24b)の凹部100a、100bに収容されている。すなわち、荷重受け部94a、94bの取付部98は、溶接加工部114を介してセパレータ本体40に強固に接合される。そして、燃料電池スタック10は、取付部98から突出した凸部96を部材の凹部100a、100bに収容した荷重受け部94a、94bによって、積層方向に直交する方向に荷重を受けた際に複数の発電セル12がずれることを良好に抑制することができる。
また、溶接加工部114の端部は、溶接後に押圧された押圧部115を有する。これにより、溶接加工部114の端部(押圧部115)の突出が抑制され、溶接加工部114の短絡をより一層確実に防止することができる。
また、溶接加工部114の端部は、平坦状に形成されている。これにより、溶接加工部114の短絡をさらに確実に防止することができる。
また本発明の第2の態様は、発電セル12を構成する電解質膜・電極構造体48の両面に各々積層されるセパレータ11のうち一方面に積層されるセパレータ11(カソードセパレータ36)であって、当該セパレータ11は、電解質膜・電極構造体48に対向する反応ガス流路が形成されたセパレータ本体40と、セパレータ本体40の外周部に重なるとともに外周部から外方に突出し、外周部に重なる部分にてセパレータ本体40と溶接により接合された荷重受け部94a、94bとを有し、セパレータ本体40と荷重受け部94a、94bとの溶接により形成された溶接加工部114は、セパレータ本体40と荷重受け部94a、94bとを厚さ方向に貫通しており、溶接加工部114は、電解質膜・電極構造体48の他方面に積層される他のセパレータ11(アノードセパレータ38)の溶接加工部114に対してセパレータ本体40の面方向に位置がずれている。これによりセパレータ11は、簡単な構成によって溶接加工部114による短絡を抑制することができる。
また、溶接加工部114の端部は、溶接後に押圧された押圧部115を有する構成でもよい。これにより溶接加工部114の短絡をより一層確実に防止することができる。
また、溶接加工部114の端部は、平坦状に形成されていてもよい。これにより溶接加工部114の短絡をさらに確実に防止することができる。