以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略構成図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型の複合機(複写機、プリンタ、ファクシミリ装置の機能を有する。)である。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。各画像形成部SY、SM、SC、SKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成部Sは、後述する感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、1次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6を有して構成される。
トナー像(トナー画像)を担持する第1の像担持体としての、回転可能なドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1は、図中矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、画像情報に基づいて露光手段としての露光装置(レーザースキャナー装置)3によって走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。
感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーが付着する(反転現像方式)。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。露光装置3によって形成される静電像は、小さいドット画像の集合体となっており、ドット画像の密度を変化させることで感光ドラム1上に形成するトナー像の濃度を変化させることができる。本実施例では、各色のトナー像は、それぞれ最大濃度が1.5~1.7程度となっており、最大濃度の時のトナーの載り量は0.4~0.6mg/cm2程度となっている。
4個の感光ドラム1の表面に当接可能なように、トナー像を担持する第2の像担持体としての、無端状のベルトで構成された中間転写体である中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、別の像担持体から1次転写されたトナー像を記録材に2次転写するために搬送する中間転写体の一例である。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラとしての駆動ローラ71、テンションローラ72、及び2次転写対向ローラ73に張架されている。駆動ローラ71は、中間転写ベルト7に駆動力を伝達する。テンションローラ72は、中間転写ベルト7の張力を一定に制御する。2次転写対向ローラ73は、後述する2次転写ローラ8の対向部材(対向電極)として機能する。中間転写ベルト7は、駆動ローラ71が回転駆動されることで、図中矢印R2方向(時計回り)に300~500mm/sec程度の搬送速度(周速度)で回転(周回移動)する。テンションローラ72は、付勢手段としてのばねの力によって、中間転写ベルト7を内周面側から外周面側へ押し出すような力が加えられており、この力によって中間転写ベルト7の搬送方向へは2~5kg程度のテンションがかけられている。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、1次転写手段としてのローラ型の1次転写部材である1次転写ローラ5が配置されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて押圧されて、感光ドラム1と中間転写ベルト7とが接触する1次転写部(1次転写ニップ)N1を形成する。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写部N1において、1次転写ローラ5の作用によって、回転している中間転写ベルト7上に静電的に転写(1次転写)される。1次転写工程時に、1次転写ローラ5には、1次転写電源(図示せず)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である1次転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。例えばフルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト7上に重ね合わされるようにして順次転写される。
中間転写ベルト7の外周面側において、2次転写対向ローラ73に対向する位置には、2次転写手段としてのローラ型の2次転写部材である2次転写ローラ8が配置されている。2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して2次転写対向ローラ73に向けて押圧されて、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とが接触する2次転写部(2次転写ニップ)N2を形成する。中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、2次転写部N2において、2次転写ローラ8の作用によって、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とに挟持されて搬送されている記録材(シート、転写材)Pに静電的に転写(2次転写)される。記録材Pは、典型的には紙(用紙)であるが、これに限定されるものではなく、耐水紙のように樹脂で形成された合成紙、OHPシートなどのプラスチックシート、布などが用いられることもある。2次転写工程時に、2次転写ローラ8には、2次転写電源(高圧電源回路)20から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である2次転写電圧(2次転写バイアス)が印加される。記録材Pは、記録材カセット(図示せず)などに収容されており、給送ローラ(図示せず)などによって記録材カセットから1枚ずつ給送され、レジストローラ9へと送られる。この記録材Pは、レジストローラ9によって、一旦停止させられた後、中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて2次転写部N2へと供給される。
トナー像が転写された記録材Pは、搬送部材などによって定着手段としての定着装置10へと搬送される。定着装置10は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱及び加圧することで、記録材Pにトナー像を定着(溶融、固着)させる。その後、記録材Pは、画像形成装置100の装置本体の外部に排出(出力)される。
また、1次転写工程後に感光ドラム1の表面に残留したトナー(1次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1の表面から除去されて回収される。また、2次転写工程後に中間転写ベルト7の表面に残留したトナー(2次転写残トナー)や紙粉などの付着物は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置74によって中間転写ベルト7の表面から除去されて回収される。
ここで、本実施例では、中間転写ベルト7は、内周面側から外周面側に樹脂層、弾性層、表層の3層構造を有する無端状のベルトである。樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリイミド、ポリカーボネートなどを用いることができる。樹脂層の厚さは、70~100μmが好適である。また、弾性層を構成する弾性材料としては、ウレタンゴム、クロロプレンゴムなどを用いることができる。弾性層の厚さは、200~250μmが好適である。また、表層の材料としては、中間転写ベルト7の表面へのトナーの付着力を小さくして、2次転写部N2においてトナーを記録材Pへ転写しやすくする材料が望ましい。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂などのうちの1種類又は2種類以上の樹脂材料を使用することができる。あるいは、弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)、ブチルゴムなどの弾性材料のうちの1種類又は2種類以上を使用することができる。また、これらの材料に、表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂などの粉体、粒子を1種類又は2種類以上、あるいはこれらの粉体、粒子のうち1種類又は2種類以上の粒径を異ならせたものを分散させて使用することができる。なお、表層の厚さは、5~10μmが好適である。中間転写ベルト7は、カーボンブラックなどの電気抵抗調整用の導電剤が添加されて電気抵抗が調整され、好ましくは体積抵抗率が1×109~1×1014Ω・cmとされている。
また、本実施例では、2次転写ローラ8は、芯金(基材)と、芯金の周囲にイオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)で形成された弾性層と、を有して構成される。本実施例では、2次転写ローラ8の外径は24mm、2次転写ローラ8の表面粗さRzは6.0~12.0(μm)である。また、本実施例では、2次転写ローラ8の電気抵抗値はN/N(23℃、50%RH)において2kVを印加して測定した場合1×105~1×107Ω、弾性層の硬度はAsker-C硬度で30~40°程度である。また、本実施例では、2次転写ローラ8の長手方向(回転軸線方向)の幅(記録材Pの搬送方向と略直交する方向の長さ)は310~340mm程度である。本実施例では、2次転写ローラ8の長手方向の幅は、画像形成装置100が搬送を保証する記録材Pの幅(搬送方向と略直交する方向の長さ)のうちの最大の幅(最大幅)より長い。本実施例では、記録材Pは2次転写ローラ8の長手方向の中央を基準として搬送されるため、画像形成装置100が搬送を保証する記録材Pは全て2次転写ローラ8の長手方向の長さ範囲内を通過する。これにより、様々なサイズの記録材Pを安定して搬送し、また様々なサイズの記録材Pにトナー像を安定して転写することが可能とされている。
図2は、2次転写に関する構成の模式図である。2次転写ローラ8は中間転写ベルト7を介して2次転写対向ローラ73と当接することで2次転写部N2を形成している。2次転写ローラ8には、出力電圧値が可変の2次転写電源20が接続されている。2次転写対向ローラ73は、電気的に接地(グランドに接続)されている。2次転写部N2を記録材Pが通過している際に、2次転写ローラ8にトナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である2次転写電圧が印加され、2次転写部N2に2次転写電流が供給されることで、中間転写ベルト7上のトナー像が記録材P上へ転写される。本実施例では、2次転写時に2次転写部N2には、例えば+20~+80μAの2次転写電流が流される。なお、本実施例の2次転写対向ローラ73に対応するローラを転写部材として用いてこれにトナーの正規の帯電極性と同極性の2次転写電圧を印加し、本実施例の2次転写ローラ8に対応するローラを対向電極として用いてこれを電気的に接地してもよい。
本実施例では、各種の情報に基づいて、2次転写部N2を記録材Pが通過している際のリミッタ制御(電流リミッタ制御)における、2次転写電流の上限値及び下限値(「2次転写電流範囲」)が決められる。詳しくは後述するように、この各種の情報は、次の各情報を含む。まず、画像形成装置100の装置本体に設けられた操作部31(図3)や画像形成装置100と通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部装置200(図3)で指定された条件(記録材Pの種類など)に関する情報である。また、環境センサ32(図3)の検知結果に関する情報である。また、2次転写部N2に記録材Pが到達する前に検知される2次転写部N2の電気抵抗に関する情報である。そして、2次転写部N2を記録材Pが通過している際に、2次転写部N2に流れる2次転写電流を検知しながら、該2次転写電流が上記2次転写電流範囲の電流となるように、2次転写電源20から定電圧制御で出力される2次転写電圧が制御される。ここで、特に、本実施例では、2次転写電流範囲は、2次転写部N2を通過する記録材Pの幅に関する情報に基づいて変化させられる。なお、本実施例では、操作部31や外部装置200から入力される情報に基づいて記録材Pの幅や厚さに関する情報が取得される。ただし、画像形成装置100内に記録材Pの幅や厚さを検知する検知手段を設けて、この検知手段によって取得される情報に基づいて制御を行うことも可能である。
本実施例では、このような制御を行うために、2次転写電源20には、2次転写部N2(すなわち、2次転写ローラ8あるいは2次転写電源20)に流れる電流(2次転写電流)を検知する電流検知手段(電流検知部)としての電流検知回路21が接続されている。また、2次転写電源20には、2次転写電源20が出力している電圧(2次転写電圧)を検知する電圧検知手段(電圧検知部)としての電圧検知回路22が接続されている。なお、制御部50が電圧検知部として機能し、2次転写電源20から出力する電圧の指示値から、2次転写電源20が出力している電圧を検知するようになっていてもよい。本実施例では、2次転写電源20と、電流検知回路21と、電圧検知回路22とは、同一の高圧基板内に設けられている。
2.制御態様
図3は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。制御手段としての制御部(制御回路)50は、演算処理を行う中心的素子である演算制御手段としてのCPU51、記憶手段としてのRAM52、ROM53などのメモリ(記憶媒体)などを有して構成される。書き換え可能なメモリであるRAM52には、制御部50に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ROM53には制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。CPU51とRAM52、ROM53などのメモリとは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。また、制御部50には、2次転写ローラ8の使用量と相関する情報(使用履歴情報)として、2次転写ローラ8の使用開始時からの画像形成枚数を記憶する、記憶手段で構成されたカウンタ54が設けられている。
制御部50には、画像形成装置100に設けられた画像読み取り装置(図示せず)やパーソナルコンピュータなどの外部装置200が接続されている。また、制御部50には、画像形成装置100に設けられた操作部(操作パネル)31が接続されている。操作部31は、制御部50の制御によりユーザーやサービス担当者などの操作者に各種情報を表示する表示部と、操作者が画像形成に関する各種設定などを制御部50に入力するための入力部と、を有して構成される。操作部31は、表示部の機能と入力部の機能とを備えたタッチパネルなどで構成されていてよい。制御部50には、操作部31や外部装置200から、記録材Pの種類などの画像形成に関する制御指令を含むジョブの情報が入力される。なお、記録材Pの種類とは、普通紙、厚紙、薄紙、光沢紙、コート紙などの一般的特徴に基づく属性、メーカー、銘柄、品番、坪量、厚さなど、記録材Pを区別可能な任意の情報を包含するものである。なお、制御部50は、記録材Pの種類の情報を、該情報が直接的に入力されることで取得できる他、例えば記録材Pを収納する給送部のカセットが選択されることで、予めそのカセットと関係付けられて設定された情報から取得することもできる。また、制御部50には、2次転写電源20と、電流検知回路21と、電圧検知回路22と、が接続されている。本実施例では、2次転写電源20は、2次転写ローラ8に定電圧制御された直流電圧である2次転写電圧を印加する。なお、定電圧制御は、転写部(すなわち、転写部材)に印加される電圧の値が略一定の電圧値となるようにする制御である。また、制御部50には、環境センサ32が接続されている。本実施例では、環境センサ32は、画像形成装置100の筐体内の雰囲気の温度及び湿度を検知する。環境センサ32により検知された温度及び湿度の情報は、制御部50に入力される。制御部50は、環境センサ32によって検知された温度及び湿度に基づいて画像形成装置100の筐体内の雰囲気の水分量(含水分量、絶対水分量)を求めることができる。環境センサ32は、画像形成装置100の内部又は外部の少なくとも一方の温度又は湿度の少なくとも一方を検知する環境検知手段の一例である。制御部50は、画像読み取り装置や外部装置200からの画像情報、操作部31や外部装置200からの制御指令に基づき、画像形成装置100の各部を統括的に制御して、画像形成動作を実行させる。
ここで、画像形成装置100は、1つの開始指示(プリント指示)により開始される、単一又は複数の記録材Pに画像を形成して出力する一連の動作であるジョブ(プリント動作)を実行する。ジョブは、一般に、画像形成工程、前回転工程、複数の記録材Pに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に記録材Pに形成して出力する画像の静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写、2次転写を行う期間であり、画像形成時(画像形成期間)とはこの期間のことをいう。より詳細には、これら静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写、2次転写の各工程を行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程は、複数の記録材Pに対する画像形成を連続して行う際(連続画像形成)の記録材Pと記録材Pとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時(非画像形成期間)とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置100の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。本実施例では、非画像形成時に、2次転写電流の上限値及び下限値(「2次転写電流範囲」)を決定する制御などが実行される。
3.2次転写電圧制御
次に、本実施例における2次転写電圧の制御について説明する。図4は、本実施例における2次転写電圧の制御の手順の概略を示すフローチャート図である。図4は、本発明の説明の便宜上、ジョブの開始前に2次転写ローラ8の交換を行う場合の手順を例として示している。
まず、制御部50は、2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報を取得する(S101)。本実施例では、制御部50は、2次転写ローラ8の使用履歴情報としての2次転写ローラ8の使用開始時からの画像形成枚数を、カウンタ54に逐次積算して記憶させる。また、制御部50は、カウンタ54のカウント値が所定の閾値に達すると、操作部31や外部装置200に、2次転写ローラ8の寿命に関する情報として2次転写ローラ8の交換を促す情報を表示させる。ユーザーやサービス担当者などの操作者は、この表示に応じて、2次転写ローラ8の交換を行うことができる。そして、操作者が、2次転写ローラ8を新品の2次転写ローラ8に交換し、操作部31に表示される2次転写ローラ8の交換を実施したことを入力するためのボタン(図示せず)を操作する。これにより、制御部50に2次転写ローラ8が交換されたことを示す信号が入力され、制御部50は2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報を取得することができる。本実施例では、操作部31が、転写部材が交換されたことを示す情報を取得する取得手段として機能する。制御部50は、2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報を取得すると、カウンタ54に保存されている2次転写ローラ8の使用履歴情報をクリア(本実施例ではカウント値を0にリセット)する(S102)。なお、2次転写ローラ8の使用履歴情報は、画像形成枚数に限定されるものではなく、2次転写ローラ8の使用量と相関する指標値であれば任意に使用することができ、例えば、2次転写ローラ8の回転時間、回転回数、電圧印加時間などでもよい。また、制御部50は、2次転写ローラ8の使用履歴情報をクリアするのとほぼ同時に、2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報をRAM52に記憶させる(S103)。
次に、制御部50は、操作部31又は外部装置200からのジョブの情報を取得すると、ジョブの動作を開始させる(S104)。本実施例では、このジョブの情報には、操作者が指定する画像情報、画像を形成する記録材Pのサイズ(幅、長さ)、記録材Pの厚さと関連する情報(厚さ又は坪量)、記録材Pがコート紙であるか否かといった記録材Pの表面性と関連する情報(紙種カテゴリーの情報)が含まれる。制御部50は、このジョブの情報をRAM52に書き込む(S105)。
次に、制御部50は、環境センサ32により検知される環境情報を取得する(S106)。また、ROM53には、環境情報と、中間転写ベルト7上のトナー像を記録材P上へ転写させるための転写電流の目標値(目標電流)Itargetと、の相関関係を示す情報がテーブルデータなどとして格納されている。制御部50は、S106で読み取った環境情報に基づいて、上記環境情報と目標電流Itargetとの関係を示す情報から、環境に対応した目標電流Itargetを求め、これをRAM52に書き込む(S107)。
なお、環境情報に応じて目標電流Itargetを変えるのは、環境によってトナーの電荷量が変化するからである。上記環境情報と目標電流Itargetとの関係を示す情報は、予め実験などによって求めたものである。ここで、トナーの電荷量は、環境以外にも、現像装置4にトナーを補給するタイミング、現像装置4から出ていくトナー量といった使用履歴によっても影響を受けることがある。画像形成装置100は、これらの影響を抑制するために、現像装置4内のトナーの電荷量がある一定範囲内の値となるように構成されている。しかし、環境情報以外にも、中間転写ベルト7上のトナーの電荷量を左右する要因が分かっていれば、その情報によっても目標電流Itargetを変えてよい。また、画像形成装置100にトナーの電荷量を測定する測定手段を設け、この測定手段によって得られたトナーの電荷量の情報に基づいて目標電流Itargetを変えてもよい。
次に、制御部50は、RAM52に、2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報が記録されているか否かを確認する(S108)。
制御部50は、S108で2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報が記録されていると判断した場合、中間転写ベルト7上のトナー像、及びトナー像が転写される記録材Pが2次転写部N2に到達する前に、次のようにして2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する(S109)。本実施例では、この場合、少なくとも3水準の試験電圧又は試験電流を用いる多点ATVC制御(Active Transfer Voltage Control)(「多点抵抗情報取得処理」)により2次転写部N2(本実施例では主に2次転写ローラ8)の電気抵抗に関する情報を取得する。つまり、2次転写ローラ8と中間転写ベルト7とが接触させられた状態で、2次転写電源20から2次転写ローラ8に、少なくとも3水準の所定の電圧(試験電圧)又は電流(試験電流)を供給する。なお、この試験電圧又は試験電流を総称して「試験バイアス」ともいう。そして、所定の電圧を供給している際の電流値、又は所定の電流を供給している際の電圧値を検知して、電圧と電流との関係(電圧電流特性)を取得する。この電圧と電流との関係は、2次転写部N2(本実施例では主に2次転写ローラ8)の電気抵抗に応じて変化する。本実施例の構成では、上記電圧と電流との関係は、電流が電圧に対して線形に変化(比例)するものではなく、図5に示すように電流が電圧の2次以上の多項式で表されるように変化するものである。そのため、本実施例では、上記電圧と電流との関係を多項式で表すことができるように、2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する際に供給する所定の電圧又は電流は、3点(3水準)以上の多段階とした。特に、本実施例では、この場合の試験バイアスとして、3水準の試験電圧を用いた(図6、図7参照)。
なお、本実施例では、多点ATVC制御における試験バイアスは3水準としたが、これに限定されるものではなく、例えば5水準などより多い水準であってもよい。この水準の数は、十分な精度で電圧電流特性を取得できること、制御にかかる時間を必要以上に長くしないことなどの観点から適宜選択できるが、典型的には10水準以下で十分である場合が多い。ただし、多点ATVC制御(第2の試験モード)における少なくとも1水準の試験バイアスの電圧の絶対値は、後述する通常ATVC制御(第1の試験モード)における最も大きい試験バイアスの電圧の絶対値よりも大きくする。より詳細には、多点ATVC制御(第2の試験モード)における少なくとも1水準の試験バイアスの電圧の絶対値は、該多点ATVC制御(第2の試験モード)に後続する画像形成時の2次転写電圧の目標電圧の絶対値の80%以上かつ2次転写電源20の出力可能電圧(保証電圧)の絶対値以下とする。例えば、2次転写電圧の目標電圧が2500Vの場合、多点ATVC制御(第2の試験モード)における少なくとも1水準の試験バイアスの電圧の絶対値は、2000V以上かつ2次転写電源20の出力可能電圧の絶対値(例えば3000V)以下とする。これにより、新品の2次転写ローラ8が装着された後の最初の画像形成におけるリミッタ制御の2次転写電流範囲を精度よく求めることができる。
次に、制御部50は、電圧をV、電流をIとしたときに、上記3点の検知結果に基づく電圧電流特性を下記式1に示す2次多項式で近似する。このとき、本実施例では、制御部50は、下記式1中の各係数A0、B0、C0を最小二乗法により算出し、RAM52に記憶させる(すでに各係数が記憶されている場合はその値を更新する)(S110)。
I=A0×V2+B0×V+C0 ・・・式1
一方、制御部50は、S108で2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報が記録されていないと判断した場合、中間転写ベルト7上のトナー像、及びトナー像が転写される記録材Pが2次転写部N2に到達する前に、次のようにして2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する(S111)。本実施例では、この場合、少なくとも1水準の試験電圧又は試験電流を用いる通常ATVC制御(「抵抗情報取得処理」)により2次転写部N2(本実施例では主に2次転写ローラ8)の電気抵抗に関する情報を取得する。つまり、2次転写ローラ8と中間転写ベルト7とが接触させられた状態で、2次転写電源20から2次転写ローラ8に、少なくとも1水準の所定の電圧(試験電圧)又は電流(試験電流)を供給する。そして、所定の電圧を供給している際の電流値、又は所定の電流を供給している際の電圧値を検知する。特に、本実施例では、この場合の試験バイアスとして、1点(1水準)の試験電流I1、より詳細には、S107で取得した目標電流Itargetを用いる。
次に、制御部50は、上記1点の試験電流I1と、この試験電流の供給時の検知電圧V1と、RAM52に記憶されている多点ATVC制御で取得した係数A0、B0、C0と、に基づいて、上記式1の電圧電流特性を下記式2のように補正する(S112)。このとき、本実施例では、制御部50は、下記式2中の各係数A1、B1、C1を、それぞれ下記式3、式4、式5から求める。なお、上記式1(各係数A0、B0、C0での近似式)において電圧V=V1とした時の電流値をI0とする。
I=A1×V2+B1×V+C1 ・・・式2
A1=(I1/I0)×A0
=(I1/(A0×V12+B0×V1+C0))×A0 ・・・式3
B1=(I1/I0)×B0
=(I1/(A0×V12+B0×V1+C0))×B0 ・・・式4
C1=(I1/I0)×C0
=(I1/(A0×V12+B0×V1+C0))×C0 ・・・式5
つまり、通常ATVC制御の試験電流I1と、通常ATVC制御で試験電流I1を供給した際の検知電圧V1を式1に適用して求めた電流値I0と、の比を用いて、式1を補正して式2の電圧電流特性を求める。
ここで、図6は、2次転写ローラ8を新品の2次転写ローラ8に交換する前後で同じ試験バイアスを印加した場合の2次転写部N2の電圧電流特性を示すグラフ図である。交換前の2次転写ローラ8は、使用時の電圧印加によって内部のイオン分布が偏り、電気抵抗が上昇する。そのため、交換前の2次転写ローラ8では、同じ試験電圧を印加した場合に流れる電流は新品の2次転写ローラ8よりも小さい。このように、2次転写部N2の電圧電流特性を2次多項式で近似した場合の近似曲線は、2次転写ローラ8を交換する前後で大きく異なる。なお、図6において、3点の試験バイアスは電圧値が約380V、約1590V、約2600Vである。
また、図7は、2次転写ローラ8の交換後に1点の試験バイアスで電圧電流特性を求めて交換前の係数A0、B0、C0で補正した近似曲線(点線)と、2次転写ローラ8の交換後に3点の試験バイアスで求めた近似曲線(実線)と、を示すグラフ図である。両近似曲線は、1点の試験バイアス付近での差は小さいが、その試験バイアスよりも電流(又は電圧)が大きくなるにつれて、また電流(又は電圧)が小さくなるにつれて差が大きくなる。そのため、2次転写ローラ8を交換した場合に係数A0、B0、C0を新たに取得しなければ、正しく電圧電流特性を求めることができない。なお、図7において、1点の試験バイアスは電圧値が約1590Vであり、3点の試験バイアスは電圧値が約380V、約1590V、約2600Vである。
次に、制御部50は、2次転写電源20から2次転写ローラ8に印加すべき2次転写電圧の目標値(目標電圧)を求める(S113)。つまり、制御部50は、S107でRAM52に書き込まれた目標電流Itargetと、S110又はS112で求めた電圧と電流との関係と、に基づいて、2次転写部N2に記録材Pが無い状態で目標電流Itargetを流すために必要な電圧値Vbを求める。この電圧値Vbは、2次転写部分担電圧に相当する。また、ROM53には、図8に示すような、記録材分担電圧Vpを求めるための情報が格納されている。本実施例では、この情報は、記録材Pの坪量の区分ごとの、雰囲気の水分量と記録材分担電圧Vpとの関係を示す、テーブルデータとして設定されている。なお、制御部50は、環境センサ32により検知される環境情報(温度・湿度)に基づいて雰囲気の水分量を求める。制御部50は、S105で取得したジョブの情報の中に含まれる記録材Pの坪量の情報と、S106で取得した環境情報と、に基づいて、上記テーブルデータから記録材分担電圧Vpを求める。そして、制御部50は、2次転写部N2を記録材Pが通過している際に2次転写電源20から2次転写ローラ8に印加する2次転写電圧Vtrの初期値として、上記VbとVpとを足し合わせたVb+Vpを求め、これをRAM52に書き込む。本実施例では、記録材Pが2次転写部N2に到達するまでに、転写電圧Vtrの初期値を求め、記録材Pが2次転写部N2に到達するタイミングに備える。別法として、通常ATVC(S111、S112)を経た後のS113の処理では、通常ATVC制御において目標電流Itargetを供給した際の検知電圧V1を2次転写分担電圧Vbとして用いて、2次転写電圧Vtrの初期値を求めてもよい。
なお、図8に示すような記録材分担電圧Vpを求めるためのテーブルデータは、予め実験などによって求められたものである。ここで、記録材分担電圧(記録材Pの電気抵抗分の転写電圧)Vpは、記録材Pの厚さと関連する情報(坪量)以外にも、記録材Pの表面性によっても変化することがある。そのため、上記テーブルデータは、記録材Pの表面性と関連する情報によっても記録材分担電圧Vpが変わるように設定されていてよい。また、本実施例では、記録材Pの厚さと関連する情報(更には記録材Pの表面性と関連する情報)は、S105で取得されるジョブの情報の中に含まれている。しかし、画像形成装置100に記録材Pの厚さや記録材Pの表面性を検知する測定手段を設け、この測定手段によって得られた情報に基づいて記録材分担電圧Vpを求めるようにしてもよい。
次に、制御部50は、2次転写部N2を記録材Pが通過している際に通紙部分に流してよい電流の範囲(「通紙部電流範囲(通過部電流範囲)」)を決定する処理を行う(S114)。ROM53には、図9に示すような、画像不良を抑制する観点から2次転写部N2を記録材Pが通過している際に通紙部分に流してよい電流の範囲を求めるための情報が格納されている。本実施例では、この情報は、雰囲気の水分量と、通紙部分に流してよい電流の上限値及び下限値と、の関係を示すテーブルデータとして設定されている。なお、このテーブルデータは、予め実験などによって求められたものである。ここで、通紙部分に流してよい電流の範囲は、記録材Pの幅によって変化する。本実施例では、上記テーブルデータは、A4サイズ相当の幅(297mm)の記録材Pを想定して設定されている。本実施例では、まず、制御部50は、S106で取得した環境情報に基づいて、上記テーブルデータから、A4サイズ相当の通紙部分に流してよい電流の範囲を求める。次に、制御部50は、S105で取得したジョブの情報の中に含まれる記録材Pの幅の情報に基づいて、A4サイズ相当の通紙部分に流してよい電流の範囲を補正する。つまり、上記テーブルデータに基づいて求めた電流の範囲はA4サイズ相当の幅(297mm)に対応するものである。例えば、実際に画像形成に使用する記録材Pの幅がA5縦送り相当の幅(149mm)、すなわち、A4サイズ相当の幅の半分の幅である場合は、次のようにする。つまり、A4サイズに対応する上限値及び下限値がそれぞれ半分になるように、記録材Pの幅に比例した電流の範囲に補正する。
なお、画像不良を抑制する観点から通紙部分に流してよい電流の範囲は、環境情報以外にも、記録材Pの厚さ、表面性によっても変化することがある。そのため、上記テーブルデータは、記録材Pの厚さと関連する情報(坪量)、記録材Pの表面性と関連する情報によっても電流の範囲が変化するように設定されていてよい。通紙部分に流してよい電流の範囲は、計算式として設定されていてもよい。また、通紙部分に流してよい電流の範囲は、記録材Pのサイズごとに複数のテーブルデータや計算式として設定されていてもよい。
次に、制御部50は、次の各情報に基づいて、非通紙部分に流れる電流(「非通紙部電流(非通過部電流)」)を求める(S115)。S105で取得したジョブの情報の中に含まれる記録材Pの幅の情報、S110又はS112求めた2次転写部N2に記録材Pが無い状態での2次転写部N2の電圧と電流との関係の情報、及びS113で求めた2次転写電圧Vtrの情報である。例えば、2次転写ローラ8の幅が338mmであり、S105で取得した記録材Pの幅がA5縦送り相当の幅(149mm)である場合、非通紙部分の幅は2次転写ローラ8の幅から記録材Pの幅を差し引いた189mmとなる。そして、S113で求めた2次転写電圧Vtrが例えば2500Vであり、S110又はS112で求めた電圧と電流との関係から、該2次転写電圧Vtrに対応する電流が80μAであるものとする。なお、これは、図7に示した2次転写ローラ8の交換後に3点の試験バイアスで求めた電圧電流特性の近似曲線に基づく例である。この場合、上記2次転写電圧Vtrに対応して非通紙部分に流れる電流は、次の比例計算、
80μA×189mm/338mm=44.7μA
から求めることができる。つまり、上記2次転写電圧Vtrに対応する電流80μAを、2次転写ローラ8の幅338mmに対する非通紙部分の幅189mmの割合分だけ小さくする比例計算によって、非通紙部分に流れる電流を求めることができる。
仮に、図7に示した例において、2次転写ローラ8の交換後に1点の試験バイアスで電圧電流特性を求めて交換前の係数A0、B0、C0で補正した近似曲線を用いて、2次転写ローラ8の交換後に非通紙部分に流れる電流を求めた場合を考える。この場合、該近似曲線において2次転写電圧Vtrが2500Vのときの電流が70μAであり、非通紙部分に流れる電流は下記のようになり、上記3点の試験バイアスで求めた近似曲線に基づく値(44.7μA)との間に約5.6μAの差が生じてしまう。
70μA×189mm/338mm=39.1μA
次に、制御部50は、2次転写部N2を記録材Pが通過している際の2次転写電流の上限値及び下限値(「2次転写電流範囲」)を求め、求めた2次転写電流範囲をRAM52に記憶させる(S116)。つまり、制御部50は、S114で求めた通紙部電流の上限値及び下限値のそれぞれにS115で求めた非通紙部電流を足し合わせ、2次転写電流範囲を求める。例えば、A4サイズ相当の幅に対応する通紙部分に流してよい電流の範囲の上限値が40μA、下限値が30μAの場合について考える。この場合、実際に画像形成に使用する記録材Pの幅がA5縦送り相当の幅であるときは、通紙部分に流してよい電流の範囲の上限値は20μA、下限値は15μAとなる。そして、S115で求めた非通紙部分に流れる電流が上記例のように44.7μAであるときは、2次転写電流範囲の上限値は64.7μA、下限値は59.7μAとなる。
このように、2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を検知することで、非通紙部分に流れる電流を精度よく求めることができる。そして、通紙部分に流してよい電流範囲と非通紙部分に流れる電流とを足し合わせた電流をリミッタ制御における2次転写電流範囲として設定する。これにより、様々な状況やユーザーの使用状況で変動する2次転写部N2及び記録材Pの電気抵抗、記録材Pのサイズ、記録材Pの厚さなどによらず、適切な画像を出力することが可能となる。
次に、制御部50は、2次転写部N2に記録材Pが到達してから2次転写部N2に記録材Pが存在する間、2次転写電圧Vtrを印加した際の2次転写電流を電流検知回路21により検知する(S117)。また、制御部50は、検知した2次転写電流値と、S116で求めた2次転写電流範囲とを比較し、2次転写電源20が出力する2次転写電圧Vtrを必要に応じて補正する(S118)。つまり、制御部50は、検知した2次転写電流値がS116で求めた2次転写電流範囲の値(下限値以上かつ上限値以下)の場合は、2次転写電源20が出力している2次転写電圧Vtrを変えずにそのまま維持する(S119)。一方、制御部50は、検知した2次転写電流値がS116で求めた2次転写電流範囲から外れている(下限値未満又は上限値を超える)場合は、該2次転写電流範囲の値となるように2次転写電源20が出力する2次転写電圧Vtrを補正する(S120)。本実施例では、上限値を超えている場合は、2次転写電圧Vtrを低下させて、2次転写電流が上限値を下回った時点で2次転写電圧Vtrの補正を止め、その時点の2次転写電圧Vtrを維持する。本実施例では、2次転写電圧Vtrは、所定の変更幅ΔVpで段階的に低下させる。また、本実施例では、下限値を下回っている場合は、2次転写電圧Vtrを上昇させて、2次転写電流が下限値を上回った時点で2次転写電圧Vtrの補正を止め、その時点の2次転写電圧Vtrを維持する。本実施例では、2次転写電圧Vtrは、所定の変更幅ΔVpで段階的に上昇させる。本実施例では、S117~S120の動作は、所定の検知時間(電流を検知する期間)と、所定の応答時間(電圧を変更する期間)と、を交互に繰り返すようにして行う。また、この検知時間と応答時間とを2次転写部N2に記録材Pがある間(より詳細には記録材Pの画像形成領域が2次転写部N2を通過している間)繰り返し行う。これにより、2次転写部N2を記録材Pが通過している際に検知される2次転写電流がS113で求めた2次転写電流範囲に収まるように、2次転写電圧Vtrが補正されていく。
ここで、リミッタ制御における2次転写電圧の変更幅ΔVpは、例えば、次のようにして設定することができる。濃度ムラを抑制する観点などから、記録材Pの単位搬送距離あたりの2次転写電流の変更量を予め設定することができる。また、この記録材Pの単位搬送距離あたりの2次転写電流の変更量と、記録材Pの搬送速度と、2次転写電流のサンプリング時間とから、1回の2次転写電圧の変更による2次転写電流の変更量を設定することができる。そして、1回あたりの2次転写電圧の変更量である変更幅ΔVpは、この2次転写電流の変更量に相当する2次転写電圧の変更量に設定することができる。この場合、1回あたりの2次転写電流の変更量の情報を予め設定してROM53に格納しておくことができる。そして、制御部50は、ATVC制御により求めた電圧電流特性を用いて、上記2次転写電流の変更量から1回あたりの2次転写電圧の変更量である変更幅ΔVpを求めることができる。つまり、ATVC制御により求めた2次転写部N2の電気抵抗に関する情報に応じて、所定の2次転写電流の変更量に相当する2次転写電圧の変更量である変更幅ΔVpを求める。これにより、急激な2次転写電流の変化を抑制して、濃度ムラを抑制することが可能となる。
また、別法として、ATVC制御により求めた電圧電流特性を用いて、検知電流と2次転写電流範囲の下限値(下限値を下回っていた場合)又は上限値(上限値を上回っていた場合)との差分に相当する変更幅ΔVpを求めてもよい。つまり、ATVC制御により求めた2次転写部N2の電気抵抗に関する情報に応じて、検知電流と2次転写電流範囲の下限値又は上限値との差分を無くすことのできる変更幅ΔVpを求めることができる。これにより、1回の2次転写電圧の変更により、2次転写電流を2次転写電流範囲付近(典型的には下限値又は上限値)まで補正することができる。なお、この場合、2次転写電流範囲の上限値又は下限値との差分を無くすのに足る電圧よりも大きい電圧を変更幅ΔVpとしてもよい。また、この場合、2次転写電流を十分に所定の電流範囲付近まで補正できれば、制御の誤差などにより、補正後の2次転写電圧により供給される2次転写電流が所定の電流範囲から十分に小さい範囲で外れることがあってもよい。
その後、制御部50は、ジョブの全ての画像を記録材Pに転写して出力し終えるまで、S117~S120の処理を繰り返す(S121)。
なお、ここでは、本発明の説明の便宜上、ジョブの開始前に2次転写ローラ8の交換を行う場合の手順について説明したが、ジョブの開始前に2次転写ローラ8の交換が行われない場合は、制御部50は、S104以降の処理を行えばよい。
このように、本実施例では、画像形成装置100は、記録材Pが転写部N2を通過している際に、前記転写部材に印加する電圧が所定電圧となるように定電圧制御する制御部50を備えている。この制御部50は、電流検知部21の検知結果が所定範囲内となるように電流検知部21の検知結果に基づいて転写部材8に印加する電圧を制御する。また、画像形成装置100は、転写部材8が交換されたことを示す交換情報を取得する取得手段31を有する。また、制御部50は、転写部N2に記録材Pが無い状態で、転写部材8に少なくとも1水準の試験電圧又は試験電流を供給し、その際の電源20が出力する電圧及び電流検知部21により検知される電流の情報を取得する第1の試験モードを実行し、該第1の試験モードで取得した上記情報に基づいて少なくとも画像形成時の上記所定電圧(転写電圧の目標電圧)を設定可能である。それと共に、制御部50は、転写部N2に記録材Pが無い状態で、転写部材8に複数水準の試験電圧又は試験電流を供給し、その際の電源20が出力する電圧及び電流検知部21により検知される電流の情報を取得する第2の試験モードを実行し、該第2の試験モードで取得した上記情報に基づいて画像形成時の上記所定電圧及び上記所定範囲(リミッタ制御の転写電流範囲)を設定可能である。ここで、第2の試験モードにおける少なくとも1水準の試験電圧又は試験電流を供給する際に電源20が出力する電圧の絶対値は、第1の試験モードにおける試験電圧又は試験電流を供給する際に電源20が出力する電圧の絶対値のうち最も大きい値よりも大きい。そして、制御部50は、取得手段31により交換情報が取得された場合には、転写部材8の交換後の最初の画像形成よりも前に第2の試験モードを実行し、該第2の試験モードで取得した上記情報に基づいて該最初の画像形成時の上記所定電圧及び上記所定範囲を設定する。より詳細には、第2の試験モードにおける上記少なくとも1水準の試験電圧又は試験電流を供給する際に電源20が出力する電圧の絶対値は、該第2の試験モードの実行後の最初に行われる画像形成ジョブで設定される上記所定電圧の絶対値の80%以上かつ電源20の出力可能電圧の絶対値以下である。本実施例では、制御部50は、転写部材8の交換後の最初の第2の試験モードを、該交換後の最初の画像形成を行うジョブを開始する際の準備動作時に実行する。
また、本実施例では、制御部50は、第2の試験モードで取得した上記情報に基づいて電圧電流特性を取得し、該電圧電流特性に基づいて転写部N2に記録材Pが無い状態で転写部材8に所定の電流を供給するための電圧値を取得し、該電圧値に基づいて上記所定電圧を設定する。これと共に、制御部50は、該電圧電流特性に基づいて転写部N2に記録材Pが無い状態で転写部材8に所定の電圧が印加された場合に転写部材8に流れる電流値を取得し、該電流値に基づいて上記所定範囲を設定する。また、本実施例では、制御部50は、第1の試験モードよりも前に実行された第2の試験モードで取得した電圧電流特性を該第1の試験モードで取得した上記情報に基づいて補正し、該補正後の電圧電流特性に基づいて転写部N2に記録材Pが無い状態で転写部材8に所定の電流を供給するための電圧値を取得し、該電圧値に基づいて上記所定電圧を設定する。また、本実施例では、制御部50は更に、第1の試験モードよりも前に実行された第2の試験モードで取得した電圧電流特性を該第1の試験モードで取得した上記情報に基づいて補正し、該補正後の電圧電流特性に基づいて転写部N2に記録材Pが無い状態で転写部材8に所定の電圧が印加された場合に転写部材8に流れる電流値を取得し、該電流値に基づいて上記所定範囲を設定する。本実施例では、S109、S110の処理が第1の試験モードに相当する。また、本実施例では、S111、S112の処理が第2の試験モードに相当する。
なお、第2の試験モードは、2次転写ローラ8の交換後の最初の画像形成よりも前の他、例えば次のような場合にも実行することができる。例えば、画像形成装置100の電源投入後の最初の画像形成前に実行することができる。また、前回の第2の試験モードの実行からの2次転写ローラ8の使用量と相関する指標値が所定の条件を満たす(例えば所定の閾値を超える)場合に実行することができる。また、前回の第2の試験モードの実行時からの環境(温度、湿度、あるいは絶対水分量)の変化が所定の条件を満たす(例えば所定の閾値を超える)場合に実行することができる。これらの場合には、2次転写ローラ8の電気抵抗が比較的大きく変化していることが考えられるからである。
また、本実施例では、第1の試験モードの結果に基づいて、2次転写電圧の目標電圧を設定すると共に、第2の試験モードの結果を補正してリミッタ制御の2次転写電流範囲を設定したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1の試験モードの結果に基づいて該第1の試験モードに後続する2次転写電圧の目標電圧を設定し、該第1の試験モードに後続する画像形成時のリミッタ制御の2次転写電流範囲については該第1の試験モードよりも前に設定されたものを用いてもよい。
以上説明したように、本実施例では、2次転写ローラ8の交換後の最初の画像形成よりも前に多点ATVC制御(第2の試験モード)を実行し、その結果に基づいて2次転写電圧の目標電圧及びリミッタ制御の2次転写電流範囲を設定する。この多点ATVC制御では、少なくとも3水準の試験バイアスを用いて2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する。一方、2次転写ローラ8が交換されていない場合には、通常ATVC制御(第1の試験モード)を実行し、その結果に基づいて少なくとも2次転写電圧の目標電圧を設定する。更に、通常ATVC制御の結果に基づいて、多点ATVC制御の結果を補正してリミッタ制御の2次転写電流範囲を設定してもよい。この通常ATVC制御における最も大きい試験バイアスの電圧の絶対値は、多点ATVC制御における少なくとも1水準の試験バイアスの電圧の絶対値よりも小さい。これにより、2次転写ローラ8の寿命が短くなることを抑制しつつ、2次転写ローラ8の交換後の最初の画像形成におけるリミッタ制御の2次転写電流範囲を精度よく求めることができる。また、2次転写ローラ8の交換後に1つの第2の試験モードで2次転写電圧の目標電圧とリミッタ制御の2次転写電流範囲とを設定することで、これらを個別の試験モードで設定する場合よりも、制御を簡略化し、制御にかかる時間を短くすることができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1では、通常ATVC制御において、1水準の試験バイアスを用いて2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得した。これに対して、通常ATVC制御で複数水準の試験バイアスを用いて2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得することも可能である。次のような場合に、2水準以上(例えば2~3水準)の試験バイアスを用いて2次転写部N2の電気抵抗に関する情報(電圧電流特性)を取得することが望ましい場合がある。例えば、両面画像形成のジョブ、複数の異なる種類の記録材Pに画像を形成するジョブ、カラー画像形成と白黒画像形成との切り替えを含むジョブなど、目標電流をジョブの実行中に変更するジョブを実行する場合などである。
通常ATVC制御において複数水準の試験バイアスを用いる場合、試験バイアスの電流値は目標電流Itargetに近い電流値に設定することが好ましい。これは、例えば毎回のジョブの前回転工程時など、高い頻度で2次転写ローラ8に大きな電流、電圧を供給すると、2次転写ローラ8の電気抵抗の上昇が進み、2次転写ローラ8の寿命が短くなるからである。
図10は、次の2つの近似曲線を示すグラフ図である。1つは、2次転写ローラ8の交換後に目標電流Itarget付近の3点の試験バイアスで電圧電流特性を求めて交換前の係数A0、B0、C0で補正した近似曲線(点線)である。他の1つは、2次転写ローラ8の交換後に目標電流Itargetに対して大きく振った3点の試験バイアスで求めた近似曲線(実線)である。両近似曲線は、目標電流Itargetに近い3点の試験バイアス付近での差は小さいが、その試験バイアスよりも電流(又は電圧)が大きくなるにつれて、また電流(又は電圧)が小さくなるにつれて差が大きくなる。そのため、2次転写ローラ8を交換した場合に試験バイアスを目標電流に対して大きく振って係数A0、B0、C0を新たに取得しなければ、正しく電圧電流特性を求めることができない。なお、図10において、目標電流付近の3点の試験バイアスは電圧値が約1300V、約1425V、約1550Vであり、目標電流に対して大きく振った3点の試験バイアスは電圧値が約380V、約1590V、約2600Vである。
図11は、本実施例における2次転写電圧の制御の手順の概略を示すフローチャート図である。図11は、本発明の説明の便宜上、ジョブの開始前に2次転写ローラ8の交換を行う場合の手順を例として示している。
S201~S208の処理は、図4に示す実施例1におけるS101~S108の処理と同じであるので説明を省略する。
制御部50は,S208で2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報が記録されていると判断した場合、中間転写ベルト7上のトナー像、及びトナー像が転写される記録材Pが2次転写部N2に到達する前に、次のようにして2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する(S209)。本実施例では、この場合、粗多点ATVC制御(「粗多点抵抗情報取得処理」)により2次転写部N2(本実施例では主に2次転写ローラ8)の電気抵抗に関する情報を取得する。つまり、2次転写ローラ8と中間転写ベルト7とが接触させられた状態で、2次転写電源20から2次転写ローラ8に、少なくとも3水準、かつ、2次転写電源20が出力可能な電圧の絶対値の上限付近及び下限付近を含む試験バイアスを供給する。なお、上記上限付近の試験バイアスと上記下限付近の試験バイアスとの間の少なくとも1水準の試験バイアスは、目標電流付近に設定することが望ましい。そして、所定の電圧を供給している際の電流値、又は所定の電流を供給している際の電圧値を検知する。特に、本実施例では、この場合の試験バイアスとして、3水準の試験電圧を用いた(図10参照)。
なお、本実施例では、粗多点ATVC制御における試験バイアスは3水準としたが、これに限定されるものではなく、例えば5水準などより多い水準であってもよい。この水準の数は、十分な精度で電圧電流特性を取得できること、制御にかかる時間を必要以上に長くしないことなどの観点から適宜選択できるが、典型的には10水準以下で十分である場合が多い。ただし、粗多点ATVC制御(第2の試験モード)における少なくとも1水準の試験バイアスの電圧の絶対値は、後述する通常ATVC制御(第1の試験モード)における最も大きい試験バイアスの電圧の絶対値よりも大きくする。より詳細には、粗多点ATVC制御(第2の試験モード)における少なくとも1水準の試験バイアスの電圧の絶対値は、該粗多点ATVC制御(第2の試験モード)に後続する画像形成時の2次転写電圧の目標電圧の絶対値の80%以上かつ2次転写電源20の出力可能電圧(保証電圧)の絶対値以下とする。なお、本実施例における粗多点ATVC制御は、実質的に実施例1における多点ATVC制御と同じである。
次に、制御部50は、電圧をV、電流をIとしたときに、上記3点の検知結果に基づく電圧電流特性を前述の式1に示す2次多項式で近似する。このとき、実施例1と同様に、制御部50は、前述の式1中の各係数A0、B0、C0を最小二乗法により算出し、RAM52に記憶させる(すでに各係数が記憶されている場合はその値を更新する)(S210)。
一方、制御部50は、S208で2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報が記録されていないと判断した場合、中間転写ベルト7上のトナー像、及びトナー像が転写される記録材Pが2次転写部N2に到達する前に、次のようにして2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する。本実施例では、この場合、S207で取得した目標電流Itarget付近の少なくとも2水準の試験バイアスを用いる通常ATVC制御(「多点抵抗情報取得処理」)により2次転写部N2(本実施例では主に2次転写ローラ8)の電気抵抗に関する情報を取得する。つまり、本実施例では、2次転写ローラ8と中間転写ベルト7とが接触させられた状態で、2次転写電源20から2次転写ローラ8に、3水準の試験電流I1、I2、I3を供給する。
ここで、この通常ATVC制御での目標電流Itarget付近の試験バイアスは、例えば、電流の絶対値が目標電流Itarget±20μA以内、典型的には±10μA以内である。また、この通常ATVC制御での目標電流Itarget付近の試験バイアスは、例えば、電圧の絶対値が目標電流Itargetに対応する電圧(Vb)±500V以内、典型的には±200V以内である。なお、本実施例では、通常ATVC制御における試験バイアスは3水準としたが、これに限定されるものではなく、例えば5水準などより多い水準であってもよい。この水準の数は、十分な精度で目標電流Itarget付近の電圧電流特性を取得できること、制御にかかる時間を必要以上に長くしないことなどの観点から適宜選択できるが、典型的には10水準以下で十分である場合が多い。
次に、制御部50は、次のようにして、粗多点ATVC制御で取得した電圧電流特性を補正する(S212)。まず、制御部50は、上記3点の試験電流I1、I2、I3と検知電圧V1、V2、V3とから直線近似することで、目標電流Itargetに対応する2次転写部分担電圧Vbを求める。次に、制御部50は、目標電流Itargetと、2次転写部分担電圧Vbと、RAM52に記憶されている粗多点ATVC制御で取得した係数A0、B0、C0と、に基づいて、前述の式1の電圧電流特性を前述の式2のように補正する。このとき、本実施例では、制御部50は、前述の式2中の各係数A1、B1、C1を、それぞれ下記式6、式7、式8から求める。なお、前述の式1(各係数A0、B0、C0での近似式)において電圧V=Vbとした時の電流値をI0とする。
A1=(Itarget/I0)×A0
=(Itarget/(A0×Vb2+B0×Vb+C0))×A0 ・・・式6
B1=(Itarget/I0)×B0
=(Itarget/(A0×Vb2+B0×Vb+C0))×B0 ・・・式7
C1=(Itarget/I0)×C0
=(Itarget/(A0×Vb2+B0×Vb+C0))×C0 ・・・式8
つまり、目標電流Itargetと、通常ATVC制御で得た近似直線から求めた2次転写部分担電圧Vb(目標電流Itargetに対応する電圧)を式1に適用して求めた電流値I0と、の比を用いて、式1を補正して式2の電圧電流特性を求める。
S213~S221の処理は、図4に示す実施例1におけるS113~S121の処理と同様であるので説明を省略する。ただし、本実施例では、通常ATVC制御(S211、S212)を経た後のS213の処理では、上述のように通常ATVC制御で得た近似直線から求めた2次転写部分担電圧Vbを用いて、2次転写電圧Vtrの初期値を求める。
このように、本実施例では、制御部50は、第1の試験モードにおいて転写部材8に複数水準の試験電圧又は試験電流を供給して取得した電圧及び電流の情報に基づいて電圧電流特性を取得し、該電圧電流特性に基づいて転写部N2に記録材が無い状態で転写部材8に所定の電流を供給するための電圧値を取得し、該電圧値に基づいて所定電圧(転写電圧の目標電圧)を設定する。本実施例では、S209、S210の処理が第1の試験モードに相当する。また、本実施例では、S211、S212の処理が第2の試験モードに相当する。
以上説明したように、本実施例では、2次転写ローラ8の交換後の最初の画像形成よりも前に粗多点ATVC制御(第2の試験モード)を実行し、その結果に基づいて2次転写電圧の目標電圧及びリミッタ制御の2次転写電流範囲を設定する。この粗多点ATVC制御では、少なくとも3水準、かつ、2次転写電源20が出力可能な電圧の絶対値の上限付近及び下限付近を含む試験バイアスを用いて2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する。一方、2次転写ローラ8が交換されていない場合には、複数水準の試験バイアスを用いた通常ATVC制御(第1の試験モード)を実行し、その結果に基づいて少なくとも2次転写電圧の目標電圧を設定する。更に、通常ATVC制御の結果に基づいて、粗多点ATVC制御の結果を補正してリミッタ制御の2次転写電流範囲を設定してもよい。この通常ATVC制御における最も大きい試験バイアスの電圧の絶対値は、粗多点ATVC制御における少なくとも1水準の試験バイアスの電圧の絶対値よりも小さい。これにより、実施例1と同様の効果が得られると共に、通常ATVC制御による目標電流に対応する目標電圧の設定精度が向上する。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1、2では、制御部50は、2次転写ローラ8の交換後の最初の第2の試験モードを、該交換後の最初の画像形成を行うジョブを開始する際の準備動作時に実行した。本実施例では、制御部50は、2次転写ローラ8の交換後の最初の第2の試験モードを、該交換後の最初の画像形成を行うジョブの開始指示が入力される前に実行する。
図12は、2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報が取得された直後に2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する場合の手順の概略を示すフローチャート図である。
まず、制御部50は、2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報を取得する(S301)。なお、本実施例においても、実施例1と同様にして2次転写ローラ8の交換が行われる。また、本実施例においても、実施例1と同様に、操作者により操作部31に表示される2次転写ローラ8の交換を実施したことを入力するためのボタン(図示せず)が操作されることで、制御部50に2次転写ローラ8が交換されたことを示す信号が入力される。そして、制御部50は、2次転写ローラ8が交換されたことを示す情報を取得すると、カウンタ54に保存されている2次転写ローラ8の使用履歴情報をクリア(本実施例では画像形成枚数のカウント値を0にリセット)する(S302)。
次に、制御部50は、実施例2で説明したものと同様の粗多点ATVC制御を実行し(S303)、2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する(S304)。そして、制御部50は、実施例2と同様にして粗多点ATVC制御での検知結果を前述の式1に示す2次多項式で近似し、該式1中の各係数A0、B0、C0をRAM52に記憶させる(すでに各係数が記憶されている場合はその値を更新する)(S305)。このように、本実施例では、制御部50は、2次転写ローラ8の交換後の最初の第2の試験モードを、取得手段たる操作部31により交換情報が取得されたことに連動して、該交換後の最初の画像形成を行うジョブの開始指示が入力される前に実行する。ただし、これに限定されるものではない。例えば、2次転写ローラ8の交換を実施したことを入力するためのボタンとは別に操作部31に表示される、粗多点ATVC制御の実施を指示するためのボタンを操作者が操作することで、第2の試験モードが実行されるようになっていてもよい。
その後、最初の画像形成前には、上記2次転写ローラ8の交換直後の粗多点ATVC制御で得た電圧電流特性を用いて、実施例1、2で説明したのと同様にして2次転写電圧の目標電圧及びリミッタ制御の2次転写電流範囲を設定することができる。つまり、その最初の画像形成を行うジョブの開始指示が入力された後、最初の画像形成を行うまでの間に粗多点ATVC制御などの第2の試験モードを実行する必要はない。
なお、上記2次転写ローラ8の交換直後の粗多点ATVC制御の後の最初の画像形成前に、実施例1、2で説明したのと同様の通常ATVC制御を実行してもよい。その場合、実施例1、2で説明したのと同様、その通常ATVC制御の結果に基づいて、上記2次転写ローラ8の交換直後の粗多点ATVC制御で得た電圧電流特性を補正して用いることができる。
以上説明したように、本実施例では、2次転写ローラ8の交換直後に、該交換後の最初の画像形成を行うジョブの開始指示が入力される前に、粗多点ATVC制御(第2の試験モード)を実行して2次転写部N2の電気抵抗に関する情報を取得する。これにより、実施例1、2と同様の効果が得られると共に、2次転写ローラ8の交換後の最初の画像形成を行うジョブの開始時の準備動作を簡略化することができる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
リミッタ制御は、電流の上限値及び下限値のうちいずれか一方のみを設けて行うこともできる。例えば、標準的な記録材よりも電気抵抗が大きい記録材が用いられ、転写電流が下限値を下回ることが多いことがわかっている場合などには、下限値のみを設けることができる。逆に、標準的な記録材よりも電気抵抗が小さい記録材が用いられ、転写電流が上限値を上回ることが多いことがわかっている場合などには、上限値のみを設けることができる。つまり、リミッタ制御において転写電流が所定範囲内となるようにするとは、下限値以上の電流とすること、上限値以下の電流とすること、及び下限値以上かつ上限値以下とすることを包含するものである。
また、転写部材が交換されたことを示す交換情報を取得する取得手段は、操作者が操作する操作部に限定されるものではない。例えば、該取得手段として、転写部材が交換されたことを自動的に検知する検知手段(機械的、電気的、磁気的などの任意の動作原理に基づいて転写部材の着脱を検知するセンサなど)を画像形成装置に設けてもよい。
また、上述の実施例では、記録材は、搬送方向と略直交する方向における転写部材の中央を基準として搬送されたが、これに限定されるものではなく、例えば一方の端部側を基準として搬送される構成とされていてもよく、本発明を等しく適用することができる。
また、本発明は、画像形成部を一つだけ有するモノクロ画像形成装置にも等しく適用することができる。この場合、本発明は、感光ドラムなどとされる像担持体から記録材にトナー像が転写される転写部に関して適用されることになる。