JP7363443B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は既に多くの電子デバイスに採用されているが、これらのデバイスの高性能化に伴い、リチウムイオン二次電池にも更なる高エネルギー密度化が求められており、そのためには、高容量、高電位の正極の開発が急務となっている。
現在、最も広く用いられている正極としてLiCoOというリチウムコバルト酸化物が知られている。LiCoOの理論容量は274mAh/gと非常に高いが、通常は、電圧4.2V程度、容量150mAh/g程度と容量の半分程度しか利用されていない。これ以上のリチウムイオンを活用し、高い容量を得るには、4.2Vを超える高い電圧で充放電する必要がある。この場合、LiCoOの相転移やコバルトイオンの溶出が問題となり、更に酸化電圧上昇に伴う電解液の酸化分解も懸念される。そこで、これらの問題を解決すべく、様々な表面改質が検討されている。
例えば、非特許文献1ではAlによる表面改質によって高電圧でのサイクル特性の改善、また、非特許文献2ではLiCOの被覆によるインピーダンスの低減など、様々な報告がなされている。
J.Electrochem.Soc.,149,A466(2002) J.Power Sources,132 187(2004)
非特許文献2に記載されているLiCOを用いた表面改質を行うと、電解液の分解を促進し、ガスの発生や抵抗増加を招いてしまうという傾向があった。この傾向は特に、高温保存試験等、高温下での試験で顕著となる。
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温保存試験後の内部抵抗の増加が抑制されたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
(1)第1の態様に係るリチウムイオン二次電池は、正極と電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、前記正極は、Li1-xCoO(0≦x≦1)で表されるリチウムコバルト酸化物を含む粒子と、前記粒子の表面に設けられ、LiCOを含む第一被覆層と、前記第一被覆層の表面に設けられ、下記の一般式(1)で表される化合物を含む第二被覆層と、を備える正極活物質を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
Figure 0007363443000001
ただし、一般式(1)において、Rfは、フッ素含有アルキル基である。
(2)記態様に係るリチウムイオン二次電池において、前記第一被覆層の厚みは0.1μm以上1μm以下の範囲内にある構成であってもよい。
本発明によれば、高温保存試験後の内部抵抗の増加が抑制されたリチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の模式断面図である。
以下、実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「リチウムイオン二次電池」
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の模式断面図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、発電素子40と外装体50と電解液(図示略)とを備える。外装体50は、発電素子40の周囲を被覆する。発電素子40は、接続された一対の端子60、62によって外部と接続される。電解液は、外装体50内に収容され、発電素子40内に含浸している。
(発電素子)
発電素子40は、正極20と負極30とセパレータ10とを備える。
<セパレータ>
セパレータ10は、正極20と負極30とに挟まれる。セパレータ10は、正極20と負極30とを隔離し、正極20と負極30との短絡を防ぐ。リチウムイオンは、セパレータ10を通過できる。
セパレータ10は、例えば、電気絶縁性の多孔質構造を有する。セパレータ10は、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
セパレータ10は、例えば、固体電解質であってもよい。固体電解質は、例えば、高分子固体電解質、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質である。高分子固体電解質は、例えば、ポリエチレンオキサイド系高分子にアルカリ金属塩を溶解させたものである。酸化物系固体電解質は、例えば、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO(ナシコン型)、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO(ガラスセラミックス)、Li0.34La0.51TiO2.94(ペロブスカイト型)、LiLaZr12(ガーネット型)、Li2.9PO3.30.46(アモルファス、LIPON)、50LiSiO・50LiBO(ガラス)、90LiBO・10LiSO(ガラスセラミックス)である。硫化物系固体電解質は、例えば、Li3.25Ge0.250.75(結晶)、Li10GeP12(結晶、LGPS)、LiPSCl(結晶、アルジロダイト型)、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3(結晶)、Li3.250.95(ガラスセラミックス)、Li11(ガラスセラミックス)、70LiS・30P(ガラス)、30LiS・26B・44LiI(ガラス)、50LiS・17P・33LiBH(ガラス)、63LiS・36SiS・LiPO(ガラス)、57LiS・38SiS・5LiSiO(ガラス)である。
<正極>
正極20は、正極集電体22と正極活物質層24とを有する。正極活物質層24は、正極集電体22の少なくとも一面に形成されている。正極活物質層24は、正極集電体22の両面に形成されていてもよい。
[正極集電体]
正極集電体22は、例えば、導電性の板材である。正極集電体22は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属薄板である。
[正極活物質層]
正極活物質層24は、例えば、正極活物質と導電助材とバインダーとを有する。
正極活物質は、正極活物質粒子と、正極活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆している第一被覆層と、第一被覆層の表面の少なくとも一部を被覆している第二被覆層と、を有する。
正極活物質粒子は、Li1-xCoO(0≦x≦1)で表されるリチウムコバルト酸化物を含む。正極活物質粒子は、リチウムコバルト酸化物を単独で含むリチウムコバルト酸化物粒子であってもよいし、リチウムコバルト酸化物粒子と、その他の正極活物質粒子とを含む混合物粒子であってもよい。リチウムコバルト酸化物以外の正極活物質は、例えば、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMna2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどである。これらの正極活物質は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。混合物粒子は、リチウムコバルト酸化物を80質量%以上含むことが好ましい。
正極活物質粒子は、平均粒子径が1μm以上50μm以下の範囲内にあることが好ましい。
第一被覆層は、LiCOを含む。第一被覆層は、LiCOを単独で含むLiCO層であってもよいし、LiCOと、LiCO以外の炭酸塩を含む混合物層であってもよい。LiCO以外の炭酸塩は、例えば、CoCO、MnCO、NiCOである。これらの炭酸塩は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。混合物層は、LiCOを80質量%以上含むことが好ましい。
記第一被覆層の厚みは、0.1μm以上1μm以下の範囲内にあることが好ましい。
第二被覆層は、下記の一般式(1)で表される化合物を含む。第二被覆層は、下記の一般式(1)の化合物を単独で含む単一層であってもよいし、下記の一般式(1)の化合物と、その他のジカーボネート化合物を含む混合物層であってもよい。混合物層は、下記の一般式(1)で表される化合物を80質量%以上含むことが好ましい。
Figure 0007363443000002
ただし、一般式(1)において、Rfは、フッ素含有アルキル基である。フッ素含有アルキル基は、炭素原子数が1~3の範囲にあることが好ましい。フッ素含有アルキル基は、フッ素元素を1~3個有することが好ましい。フッ素含有アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としてはヒドロキシ基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。フッ素含有アルキル基の例としては、-CHF-CH、-CHF-CHOHを挙げることができる。
正極活物質は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極活物質粒子とLiCOとを混合して、正極活物質粒子の表面にLiCOを付着させて、第一被覆層(LiCO層)を形成する。正極活物質粒子とLiCOとの混合は、ボールミルなどのせん断力を付与しながら原料を混合する装置を用いることができる。
次に、第一被覆層で被覆した正極活物質粒子と、フッ素含有炭化水素基を有する環状カーボネート化合物とを混合し、加熱して、第一被覆層のLiCOと環状カーボネート化合物とを反応させることによって、一般式(1)の化合物を生成させて、第二被覆層を形成する。環状カーボネート化合物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネートを用いることができる。第一被覆層のLiCOと環状カーボネート化合物とを反応させて第二被覆層を形成することによって、第一被覆層と第二被覆層との密着性が向上し、リチウムイオン二次電池を高温保存試験した後の内部抵抗の増加がより確実に抑制することができる。
導電助材は、正極活物質層24内に点在している。導電助材は、正極活物質層24における正極活物質の間の導電性を高める。導電助材は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物である。導電助材は、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層24は導電助材を含まなくてもよい。
バインダーは、正極活物質層24における正極活物質25同士を結合する。バインダーは、公知のものを用いることができる。バインダーは、例えば、フッ素樹脂である。フッ素樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等である。
上記の他に、バインダーは、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFMVE-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムでもよい。
<負極>
負極30は、例えば、負極集電体32と負極活物質層34とを有する。負極活物質層34は、負極集電体32の少なくとも一面に形成されている。
[負極集電体]
負極集電体32は、例えば、導電性の板材である。負極集電体32は、正極集電体22と同様のものを用いることができる。
[負極活物質層]
負極活物質層34は、負極活物質を含む。また必要に応じて、導電助材、バインダーを含んでもよい。
負極活物質は、イオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のリチウムイオン二次電池に用いられる負極活物質を使用できる。負極活物質は、例えば、金属リチウム、リチウム合金、イオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ、ゲルマニウム等のリチウム等の金属と化合することのできる金属、SiO(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子である。
負極活物質層34は、上述のように例えば、シリコン、スズ、ゲルマニウムを含んでもよい。シリコン、スズ、ゲルマニウムは、単体元素として存在してもよいし、化合物として存在してもよい。化合物は、例えば、合金、酸化物等である。一例として、負極活物質がシリコンの場合、負極30はSi負極と呼ばれることがある。負極活物質は、例えば、シリコン、スズ、ゲルマニウムの単体又は化合物と炭素材との混合系でもよい。炭素材は、例えば天然黒鉛である。また負極活物質は、例えば、シリコン、スズ、ゲルマニウムの単体又は化合物の表面が炭素で被覆されたものでもよい。炭素材及び被覆された炭素は、負極活物質と導電助材との間の導電性を高める。負極活物質層がシリコン、スズ、ゲルマニウムを含むと、リチウムイオン二次電池100の容量が大きくなる。
負極活物質層34は、リチウムを含んでもよい。リチウムは、金属リチウムでもリチウム合金でもよい。負極活物質層34は、金属リチウム又はリチウム合金でもよい。リチウム合金は、例えば、Si、Sn、C、Pt、Ir、Ni、Cu、Ti、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Alからなる群から選択される一種以上の元素と、リチウムと、の合金である。一例として、負極活物質が金属リチウムの場合、負極30はLi負極と呼ばれることがある。負極活物質層34は、リチウムのシートでもよい。
負極30は、作製時に負極活物質層34を有さずに、負極集電体32のみであってもよい。リチウムイオン二次電池100を充電すると、負極集電体32の表面に金属リチウムが析出する。金属リチウムはリチウムイオンが析出した単体のリチウムであり、金属リチウムは負極活物質層34として機能する。
導電助材及びバインダーは、正極20と同様のものを用いることができる。負極30におけるバインダーは、正極20に挙げたものの他に、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等でもよい。セルロースは、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)でもよい。
(端子)
端子60、62は、それぞれ正極20と負極30とに接続されている。正極20に接続された端子60は正極端子であり、負極30に接続された端子62は負極端子である。端子60、62は、外部との電気的接続を担う。端子60、62は、アルミニウム、ニッケル、銅等の導電材料から形成されている。接続方法は、溶接でもネジ止めでもよい。端子60、62は短絡を防ぐために、絶縁テープで保護することが好ましい。
(外装体)
外装体50は、その内部に発電素子40及び電解液を密封する。外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止する。
外装体50は、例えば図1に示すように、金属箔52と、金属箔52の各面に積層された樹脂層54と、を有する。外装体50は、金属箔52を高分子膜(樹脂層54)で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムである。
金属箔52としては例えばアルミ箔を用いることができる。樹脂層54には、ポリプロピレン等の高分子膜を利用できる。樹脂層54を構成する材料は、内側と外側とで異なっていてもよい。例えば、外側の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等を用い、内側の高分子膜の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。
(電解液)
電解液は、外装体50内に封入され、発電素子40に含浸している。電解液は、非水電解液であり、例えば、非水溶媒と電解質とを有する。電解質は、非水溶媒に溶解している。
非水溶媒は、例えば、環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有する。環状カーボネートは、電解質を溶媒和する。環状カーボネートは、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートである。鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させる。鎖状カーボネートは、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートである。非水溶媒は、その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等を含んでいてもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積比にして、例えば、1:9~1:1である。
電解質は、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等である。
「リチウムイオン二次電池の製造方法」
まず、正極20を作製する。正極20は、正極活物質、導電助材、バインダー及び溶媒を混合して、ペースト状の正極スラリーを作製する。正極スラリーを構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。次いで、正極スラリーを、正極集電体22に塗布する。塗布方法は、特に制限はない。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
続いて、正極集電体22上に塗布された正極スラリー中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、正極スラリーが塗布された正極集電体22を、80℃~150℃の雰囲気下で乾燥させる。次いで、得られた塗膜をプレスして、正極活物質層24を高密度化することで、正極20が得られる。プレスの手段は、例えばロールプレス機、静水圧プレス機等を用いることができる。
次いで、負極30を作製する。負極30は、正極20と同様に作製できる。負極30は、負極活物質、バインダー及び溶媒を混合して、ペースト状の負極スラリーを作製する。負極スラリーを負極集電体32に塗布し、乾燥することで負極30が得られる。
次いで、作製した正極20及び負極30の間にセパレータ10が位置するようにこれらを積層して、発電素子40を作製する。発電素子40が捲回体の場合は、正極20、負極30及びセパレータ10の一端側を軸として、これらを捲回する。
最後に、発電素子40を外装体50に封入する。電解液は外装体50内に注入する。電解液を注入後に減圧、加熱等を行うことで、発電素子40内に電解液が含浸する。熱等を加えて外装体50を封止することで、リチウムイオン二次電池100が得られる。
そして、作製されたリチウムイオン二次電池100をエージングする。エージングは、作製されたリチウムイオン二次電池を予備充電する工程であり、不良品を除くことができる。エージングは、例えば、4.5V(vsLi/Li)以上の電圧で行う。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、正極がLi1-xCoO(0≦x≦1)で表されるリチウムコバルト酸化物を含む粒子と、この粒子の表面に設けられ、LiCOを含む第一被覆層と、この第一被覆層の表面に設けられ、上記の一般式(1)で表される化合物を含む第二被覆層とを備えるので、高温保存試験後の抵抗増加が抑制される。このような効果が得られる理由については明らかとなっていないが、以下のように考えている。すなわち、第二被覆層中に含まれる一般式(1)の化合物は、第一被覆層中に含まれるLiCOと電解液との接触を抑制するだけではなく、構造中にLiCO残渣を有するため第一被覆層との密着性が高い被膜となる。更に、構造中にフッ素イオンを含むことで化学的に安定となり、高温保存時の電解液との反応も抑制することができる。これにより、高温保存試験後の抵抗増加が抑制されると考えられる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
(正極の作製)
LiCoO(LCO)97質量部と、LiCO3質量部とをボールミルを用いて混合して、LCOの粒子表面をLiCOで被覆した。得られたLiCO被覆LCOのLiCO層の膜厚を、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ株式会社製)を用いて粒子断面サンプルを作成した後に、走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて測定した結果、LiCO層の膜厚は0.5μmであった。次いで、LiCO被覆LCOと、エタノールと、フルオロエチレンカーボネートとを、還流器を備えた反応容器に投入して、撹拌しながら80℃の温度で、2時間加熱した。室温まで放冷した後、反応容器から反応生成物を取り出して、エタノールで洗浄した後、乾燥した。得られた乾燥物の表面を、NMRを用いて分析した結果、LiCO被覆層(第一被覆層)の表面に、上記一般式(1)で表されている化合物(ただし、Rfは、-CHF-CH)の単一物相(第二被覆層)が形成されていることが確認された。以上のようにして、正極活物質を得た。
正極活物質80質量部、カーボンブラック10質量部、PVDF10質量部をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散させ、正極活物質層形成用のスラリーを調整した。このスラリーを、厚さ20μmのアルミ金属箔の一面に、正極活物質の塗布量が9.0mg/cmとなるように塗布し、100℃で乾燥することで正極活物質層を形成した。その後、ローラープレスによって加圧成形し、正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質と導電助材とバインダーとを混合し、負極合剤を作製した。負極活物質はグラファイト、導電助材はカーボンブラック、バインダーはカルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)とした。負極活物質と導電助材とバインダーは質量比で90:5:5とした。この負極合剤を、蒸留水に分散させて負極スラリーを作製した。そして、厚さ10μmの銅箔の一面に、負極スラリーを塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去して負極活物質層を形成した。
(リチウムイオン二次電池の作製)
作製した負極と正極とを、所定の形状に打ち抜き、厚さ25μmのポリプロピレン製のセパレータを介して交互に積層し、負極9枚と正極8枚とを積層することで積層体を作製した。
積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより開口部を形成した。外装体内には、非水電解液を注入した。非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)が等量混合された溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)1.0mol/Lを溶解させた。そして、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例2~5]
正極の作製において、LCOとLiCOとの混合比率を変えることによって、第LiCO(第一被覆層)の厚みが、下記の表1に記載の値である正極活物質を得た。この正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2~5に係るリチウムイオン二次電池を作製した。実施例2~5のLCOとLiCOとの混合比率(LCO:LiCO)は、質量比で、実施例2で99.5:0.5とし、実施例3で93:7とし、実施例4で87:13とし、実施例5で80:20とした。
[実施例6]
正極の作製において、還流溶媒としてエタノールの代わりにエタノールと水とを、体積比で1:1(エタノール:水)の混合比率で含む混合溶媒を用いることによって、第二被覆層の一般式(1)のRfが、表1に示すフッ素含有アルキル基とされた正極活物質を得た。この正極活物質を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
[実施例7~9]
正極の作製において、LCOの代わりに、LCOと、表1に示すその他の正極活物質粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例7~9に係るリチウムイオン二次電池を作製した。表1中、実施例7のNMCは、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNiMnCoO)を表し、実施例8のNCAは、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(LiNiCoAlO)を表し、実施例9のLFPは、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を表す。
[比較例1]
正極の作製において、第二被覆層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
[比較例2]
正極の作製において、第一被覆層及び第二被覆層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例2に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
[評価]
(1)初回充放電後セル抵抗
実施例1~9及び比較例1~2で作製したリチウムイオン二次電池について、充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、25℃の恒温槽(エスペック株式会社製)内で電流密度80μA/cm2の定電流充電で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行った後、電流密度80μA/cm2の定電流放電で電池電圧が2.8Vとなるまで放電を行った。その後、デジタルマルチメーター(日置電機株式会社製)を用いて直流抵抗を測定した。その結果を、表1に示す。
(2)高温保存試験後セル抵抗の測定
実施例1~9及び比較例1~2で作製したリチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置を用い、充電レート電流密度80μA/cmの定電流充電で電池電圧が4.2Vとなるまで充電を行い、温度を80℃に設定した恒温槽内で6時間静置させた。6時間後、電池を取り出して室温で15分間放熱させた後、デジタルマルチメーターで直流抵抗を測定した。その結果を、表1に示す。
Figure 0007363443000003
表1の結果から、第一被覆層と第二被覆層とを有する実施例1~9のリチウムイオン二次電池は、初回充放電後セル抵抗が低く、かつ高温保存試験後セル抵抗が低いことがわかる。これに対して、第一被覆層のみを有する比較例1のリチウムイオン二次電池は、初回充放電後セル抵抗は低いが、高温保存試験後セル抵抗は高くなった。また、第一被覆層と第二被覆層のいずれも有しない比較例2のリチウムイオン二次電池は、初回充放電後セル抵抗と高温保存試験後セル抵抗のいずれも高くなった。
10 セパレータ
20 正極
22 正極集電体
24 正極活物質層
30 負極
32 負極集電体
34 負極活物質層
40 発電素子
50 外装体
52 金属箔
54 樹脂層
60、62 端子
100 リチウムイオン二次電池

Claims (2)

  1. 正極と電解液とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、Li1-xCoO(0≦x≦1)で表されるリチウムコバルト酸化物を含む粒子と、
    前記粒子の表面に設けられ、LiCOを含む第一被覆層と、
    前記第一被覆層の表面に設けられ、下記の一般式(1)で表される化合物を含む第二被覆層と、を備える正極活物質を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
    Figure 0007363443000004
    ただし、一般式(1)において、Rfは、炭素原子数が1~3の範囲にあるフッ素含有アルキル基である。
  2. 前記第一被覆層の厚みは、0.1μm以上1μm以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
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