JP7365054B2 - リンパ管平滑筋腫症及びその他の疾患に使用するための[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート - Google Patents

リンパ管平滑筋腫症及びその他の疾患に使用するための[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート Download PDF

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Description

本発明は、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患の予防及び/又は治療のための治療薬としての[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートの使用を対象とする。
疾患の予防及び/又は治療に有効な治療用化合物の同定は、生物学的アッセイにおける化合物の活性に基づくことができる。疾患の原因となるメカニズムを模倣する生物学的アッセイは、候補化合物の治療活性を試験するために使用することができる。
多くの疾患の原因となるメカニズムは、生物学的経路の過剰活性である。生物学的経路の活性を低下させることができる化合物は、生物学的経路の過剰活性によって引き起こされる疾患の予防及び/又は治療に有効であり得る。同様に、多くの疾患の原因となるメカニズムは、生体分子の過剰生成である。生体分子の生成量を減らす、又は過剰生成の生体分子の活性を阻止することができる化合物は、生体分子の過剰生成によって引き起こされる疾患の予防及び/又は治療に有効であり得る。
逆に、多くの疾患の原因となるメカニズムは生物学的経路の活性低下である。生物学的経路の活性を増加するとこができる化合物は、生物学的経路の活性低下によって引き起こされる疾患の予防及び/又は治療に有効であり得る。同様に、また多くの疾患の原因となるメカニズムは、生体分子の生成低下である。生体分子の生成量を増加する、又は生成低下の生体分子の生物活性を模倣することができる化合物は、生体分子の生成低下によって引き起こされる疾患の予防及び/又は治療に有効であり得る。
本発明の目的は、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患又は神経変性疾患の予防及び/又は治療のための化合物を提供することである。
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決される。さらに、本発明の利点、態様及び詳細は、本出願の従属請求項、説明、及び実施例から明らかにされる。
MEFは、TSC2ノックアウト(MEF110)マウス及びTSC2+(MEF157)マウスに由来するマウス胚性線維芽細胞である。Tsc2変異は、ヒトにおける結節性硬化症及びリンパ管平滑筋腫症を引き起こすことが知られている。すべての細胞は、37℃、5%COで、細胞増殖を支持するために10%までウシ胎児血清を添加したDMEM組織培養培地で維持した。MEFでは、40Sリボソームの構成要素であり、p70S6キナーゼによってSer236でリン酸化される、リボソームタンパク質S6は、ヒト型及びマウス型の両方のrpS6を検出するリン酸特異的抗体を使用して、ELISA及びウエスタンブロッティングでアッセイすることができる。このアッセイは、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患のための保護又は治療活性を有する化合物についての予測である。細胞を、DMEM+10%血清中で60~80%コンフルエントまで増殖させた。本発明の試験化合物を添加する2時間前に、培地を新鮮な無血清培地で交換した。化合物をDMSO中の原液の1:1000希釈として加えた。ビヒクル対照としてDMSOを加え、試料をさらに60分間インキュベートした。ELISAについて、rpS6のリン酸化状態を保護するために、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中へ細胞を回収した。溶解液は、使用前は-80℃で保存された。試料あたり50μlの溶解液をELISAに使用し、これは製造元の指示に従って実施した。ウエスタンブロッティングでは、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中へ細胞を回収し、SDS-PAGEで分離してからPVDF膜に転写し、抗リン酸化rpS6抗体及び抗トータルrpS6(anti-total-rpS6)抗体とインキュベートした。細胞は化合物を十分に耐容した。ELISAデータを、ビヒクル対照に正規化し、個別の実験からのデータを、個別のバーとして表示する。rpS6リン酸化の損失がrpS6タンパク質の損失の結果ではないことを確認するために、ウエスタンブロットを含む。MEF細胞の疾患関連アッセイシステムで行われた3つの独立した実験では、本発明の化合物は、リボソームタンパク質S6のリン酸化の用量依存的阻害を示した。 MEFは、TSC2ノックアウト(MEF110)マウス及びTSC2+(MEF157)マウスに由来するマウス胚性線維芽細胞である。Tsc2変異は、ヒトにおける結節性硬化症及びリンパ管平滑筋腫症を引き起こすことが知られている。すべての細胞は、37℃、5%COで、細胞増殖を支持するために10%までウシ胎児血清を添加したDMEM組織培養培地で維持した。MEFでは、40Sリボソームの構成要素であり、p70S6キナーゼによってSer236でリン酸化される、リボソームタンパク質S6は、ヒト型及びマウス型の両方のrpS6を検出するリン酸特異的抗体を使用して、ELISA及びウエスタンブロッティングでアッセイすることができる。このアッセイは、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患のための保護又は治療活性を有する化合物についての予測である。細胞を、DMEM+10%血清中で60~80%コンフルエントまで増殖させた。本発明の試験化合物を添加する2時間前に、培地を新鮮な無血清培地で交換した。化合物をDMSO中の原液の1:1000希釈として加えた。ビヒクル対照としてDMSOを加え、試料をさらに60分間インキュベートした。ELISAについて、rpS6のリン酸化状態を保護するために、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中へ細胞を回収した。溶解液は、使用前は-80℃で保存された。試料あたり50μlの溶解液をELISAに使用し、これは製造元の指示に従って実施した。ウエスタンブロッティングでは、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中へ細胞を回収し、SDS-PAGEで分離してからPVDF膜に転写し、抗リン酸化rpS6抗体及び抗トータルrpS6(anti-total-rpS6)抗体とインキュベートした。細胞は化合物を十分に耐容した。ELISAデータを、ビヒクル対照に正規化し、個別の実験からのデータを、個別のバーとして表示する。rpS6リン酸化の損失がrpS6タンパク質の損失の結果ではないことを確認するために、ウエスタンブロットを含む。MEF細胞の疾患関連アッセイシステムで行われた3つの独立した実験では、本発明の化合物は、リボソームタンパク質S6のリン酸化の用量依存的阻害を示した。 621-101細胞は、血管筋脂肪腫に由来するヒト細胞である。これらの細胞は、TSC2変異を証明しており、リンパ管平滑筋腫症を模倣している、使用された疾患由来変異のみを有する細胞である。細胞を、DMEM+10%血清中で60~80%コンフルエントまで増殖させた。本発明の試験化合物を添加する2時間前に、培地を新鮮な無血清培地で交換した。化合物をDMSO中の原液の1:1000希釈として加えた。ビヒクル対照としてDMSOを加え、試料をさらに60分間インキュベートした。ELISAについて、rpS6のリン酸化状態を保護するために、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中に細胞を回収した。溶解液は、使用前は-80℃で保存された。試料あたり50μlの溶解液をELISAに使用し、これは製造元の指示に従って実施した。ウエスタンブロッティングでは、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中に細胞を回収し、SDS-PAGEで分離してからPVDF膜に転写し、抗リン酸化rpS6抗体及び抗トータルrpS6(anti-total-rpS6)抗体とインキュベートした。細胞は化合物を十分に耐容した。621-101細胞の疾患関連アッセイシステムで行われた3つの独立した実験では、本発明の化合物は、リボソームタンパク質S6のリン酸化の用量依存的阻害を示した。
血管及び呼吸器の疾患、線維性疾患及び神経変性疾患を含む群から選択される疾患の治療及び/又は予防の方法に使用するための、[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート([2-[(5-nitro-1,3-thiazol-2-yl)carbamoyl]phenyl]ethanoate)が提供される。
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、前記血管又は呼吸器の疾患は、通常の間質性肺炎、結節性硬化症及びリンパ管平滑筋腫症を含む群から選択される。
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、前記線維性疾患は、膠原病、間質性肺疾患、ヒト腎疾患、ネフローゼ症候群、肝線維症及び肝硬変を含む群から選択される。
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病及びパーキンソン病を含む群から選択される。
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートは、静脈内投与又は経口投与又は吸入用に製剤化される。
本発明の第2の態様によれば、血管系及び呼吸器系の疾患、線維性疾患及び神経変性疾患を含む群から選択される疾患の治療及び/又は予防の方法に使用するための、[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート及びN,N-ジメチルイミドジカーボンイミドジアミド(N,N-dimethylimidodicarbonimidic diamide)を含む組み合わせ薬剤が提供される。
本発明の第2の態様の特定の実施形態では、前記血管又は呼吸器の疾患は、通常の間質性肺炎、結節性硬化症及びリンパ管平滑筋腫症を含む群から選択される。
本発明の第2の態様の特定の実施形態では、前記線維性疾患は、膠原病、間質性肺疾患、ヒト腎疾患、ネフローゼ症候群、肝線維症及び肝硬変を含む群から選択される。
本発明の第2の態様の特定の実施形態では、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病及びパーキンソン病を含む群から選択される。
本発明の第2の態様による特定の実施形態では、前記組み合わせ薬剤は、静脈内投与又は経口投与又は吸入用に製剤化される。
本発明の第3の態様によれば、[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートを、血管系及び呼吸器系の疾患、線維性疾患及び神経変性疾患を含む群から選択される疾患に罹患する患者に投与することを含む、治療の方法を提供する。
本発明の第4の態様によれば、[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート及びN,N-ジメチルイミドジカーボンイミドジアミドを含む組み合わせ薬剤を、血管系及び呼吸器系の疾患、線維性疾患及び神経変性疾患を含む群から選択される疾患に罹患する患者に投与することを含む、治療の方法が提供される。
血管疾患
血管疾患は、多くの場合、血管系の灌流が低下すること、又は血管を物理的又は生化学的に損傷することが原因である。
末梢血管疾患(PVD)とは、多くの場合、四肢の血管が狭くなると見られる血管疾患として定義される。これらの疾患には主に2種類あり、血管の欠陥は含まれないが、冷感、ストレス又は喫煙などの刺激にむしろ起因する機能的疾患と、動脈硬化性病変、局所炎症又は外傷などの血管系の構造的欠陥に起因する器質的疾患がある。これは、血管の閉塞、血流の異常及び最終的に組織への虚血につながり得る。
末梢血管疾患はまた、腎動脈の動脈硬化性狭窄にも現れ、腎虚血及び腎機能障害につながる可能性がある。
本書で使用されるとおり、「末梢血管疾患」という用語は、末梢性及び自律性の神経障害を含む任意の末梢血管疾患を含む。「末梢血管疾患」の例には、末梢動脈疾患、例えば、動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症及び閉塞性血栓血管炎(バージャー病)を含む慢性動脈閉塞、大血管障害、微小血管障害、糖尿病、血栓性静脈炎、静脈血栓症、レイノー病、レイノー症候群、クレスト症候群、振動による健康被害、シュデック症候群、間欠性跛行、四肢の冷感、四肢の異常な感覚、寒さへの感受性、メニエール病、メニエール症候群、しびれ、感覚の欠如、感覚消失、安静時の痛み、カウザルギー(灼熱痛)、末梢循環機能の障害、神経機能障害、運動機能の障害、運動麻痺、糖尿病性末梢循環障害、腰部脊柱管狭窄症、糖尿病性神経障害、ショック、紅斑症、リウマチ性疾患及び関節リウマチ、などの自己免疫疾患、自律神経障害、糖尿病性自律神経障害、自律神経の不均衡、起立性低血圧、勃起不全、女性の性機能障害、逆行性射精膀胱症、神経原性膀胱、膣の潤滑不良、運動不耐性、心臓除神経、熱不耐性味覚発汗、糖尿病合併症、高血糖、低血糖無意識、低血糖無反応;緑内障、血管新生緑内障、白内障、網膜症、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑症、網膜動脈の閉塞、網膜中心動脈の閉塞、網膜静脈の閉塞、黄斑浮腫、加齢黄斑変性症、加齢円板状黄斑変性症、嚢胞様黄斑浮腫、眼瞼浮腫、網膜浮腫、脈絡網膜症、血管新生黄斑症、ブドウ膜炎、虹彩炎、網膜血管炎、眼内炎、眼球炎、転移性眼科、脈絡膜炎、網膜色素上皮炎、結膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎、眼瞼炎、滲出性網膜剥離、角膜潰瘍、結膜潰瘍、慢性角膜炎、チゲソン角膜炎、進行性モーレン潰瘍、皮膚の損傷、足潰瘍を含む皮膚潰瘍、糖尿病性潰瘍、熱傷潰瘍、下腿潰瘍、術後潰瘍、外傷性潰瘍、帯状疱疹後の潰瘍、放射線潰瘍、薬物性潰瘍、凍傷(寒冷傷害)、しもやけ、壊疽及び突発性壊疽、狭心症/変形性血管炎、冠動脈硬化症(慢性虚血性心疾患、無症候性虚血性心疾患、動脈硬化性心血管疾患)、心筋梗塞、心不全、うっ血性心不全及び無痛性虚血性心疾患、肺水腫、高血圧、肺高血圧症;ポータル高血圧、糖尿病性腎症、褥瘡、腎不全を含む。
本発明の化合物は、実施例1及び2に記載されているアッセイを使用して、血管の疾患及び障害の予防及び/又は治療における活性のある治療薬剤としての効果について試験された。
線維性疾患
線維症又は線維症関連障害は、肝臓、表皮、内胚葉、筋肉、腱、軟骨、心臓、膵臓、肺、子宮、神経系、精巣、卵巣、副腎、動脈、静脈、結腸、小腸、胆道、又は胃に影響を及ぼす。
線維症は一般に、膠質性結合組織の病的又は過剰な蓄積を特徴とする。線維性疾患及び障害には、膠原病、間質性肺疾患、ヒト線維性肺疾患(例えば、閉塞性細気管支炎、特発性肺線維症、既知の病因による肺線維症、肺疾患における腫瘍間質、肺に影響を与える全身性硬化症、ヘルマンスキープドラック症候群、石炭労働者のじん肺、石綿症、珪肺症、慢性肺高血圧症、エイズ関連の肺高血圧症、サルコイドーシスなど)、線維性血管疾患、尿細管間質性及び糸球体線維症、心筋線維症、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、静脈瘤、冠梗塞、脳梗塞、心筋線維症、筋骨格線維症、術後癒着、ヒト腎臓病(例えば、腎炎症候群、アルポート症候群、HIV関連腎症、多発性嚢胞腎、ファブリー病、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、全身性狼瘡に関連する腎炎、など)、皮膚ケロイド形成、進行性全身性硬化症(PSS)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、肝線維症、肝硬変、腎線維症、肺線維症、嚢胞性線維症、慢性移植片対宿主病、強皮症(局所及び全身)、グレーヴス眼症、糖尿病性網膜症、緑内障、ペロニー病、陰茎線維症、膀胱鏡を使用した検査後の尿道狭窄、手術後の内分泌、瘢痕、骨髄線維症、特発性後腹膜線維症、既知の病因による腹膜線維症、薬物誘発性麦角中毒、良性又は悪性の癌に起因する線維症、微生物感染に起因する線維症(例えば、ウイルス性、細菌性、寄生性、真菌性など)、アルツハイマー病、炎症性腸疾患に付随する線維症(クローン病の狭窄形成及び顕微鏡的大腸炎を含む)、化学的又は環境的損傷による誘導性線維症(例えば、がん化学療法、農薬、放射線(例えば、がん放射線療法)など)などを含むが、これらに限定されない。
線維症に関連する疾患には、ループス、移植片対宿主病、強皮症、全身性硬化症、強皮症様障害、サイン強皮症、石灰化症、レイノー食道機能不全、強膜症、毛細血管拡張症、過敏性肺炎、膠原血管病、喘息、肺動脈高血圧、糸球体腎炎、慢性閉塞性肺疾患、心筋梗塞後の線維症、脳卒中又は神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)後の中枢神経系線維症、増殖性硝子体網膜症(PVR)及び関節炎、珪肺症、アスベスト誘発性肺線維症、急性肺損傷及び急性呼吸窮迫症候群(細菌性肺炎誘発性、外傷誘発性、ウイルス性肺炎誘発性、結核性、人工呼吸器誘発性、非肺敗血症誘発性、及び誤嚥誘発性を含む)を含む。
線維性疾患における活性化筋線維芽細胞数の増加
筋線維芽細胞の出現と消失は、それぞれ活性線維症の開始及び消散に相関しているようである。さらに、筋線維芽細胞には多くの表現型特徴があり、肺組織などの線維性組織における多くの病理学的変化を具現する。これらの特徴は、肺線維症などの線維症の病因における筋線維芽細胞の重要な役割について説明を示すようである。さらに、筋線維芽細胞の持続は、進行性疾患を引き起こすことができ、逆に、その消失は消散の指標となることができる。これは、従って、筋線維芽細胞を標的化する今後の治療戦略が生産的であることを示唆する。
患者は通常、活性化線維芽細胞の数が増加した活性線維症の証拠を示し、その多くは筋線維芽細胞の表現型の特徴を持っている。これらの部位では、正常な肺胞構造の消失により、細胞外マトリックスの体積量の増加が明らかである。動物モデルの研究は、筋線維芽細胞が活性線維症部位におけるI型コラーゲン遺伝子発現の主要な供給源であることを示している。インビトロ研究は、特定のサイトカインの影響下でのこれらの細胞の線維芽細胞からの分化を示すが、一酸化窒素媒介アポトーシスに対するそれらの感受性を示す。筋線維芽細胞の分化を促進することに加えて、形質転換増殖因子-β1(TGF-β1)はアポトーシスに対する保護を提供する。したがって、周知の線維形成性サイトカインは、筋線維芽細胞の出現及びアポトーシス刺激に対向して生存することの両方にとって重要である。これは、様々な組織の線維症の多様なモデルにおけるこのサイトカインが非常に重要であることと一致する。これらの特性を考慮すると、筋線維芽細胞の持続又は長期生存は、特定の形態の肺損傷が進行性疾患を引き起こし、末期疾患で終結する理由を理解するための鍵となり得る。
肺線維症には、多様な病因があるが、この過程に特有の共通の特徴、つまり正常な肺組織構造を破壊する細胞外マトリックスの異常な蓄積が存在する。このマトリックスの主な細胞源は、線維症の活性期間中に線維化病変の多くを占める間葉細胞集団である。この集団は、いくつかの主要な表現型に関して異種である。これらの表現型の1つは、筋線維芽細胞であり、これは、α平滑筋アクチンでの発現により、及び真正の平滑筋細胞と該線維芽細胞との間に介在する特徴により一般的に識別される。創傷治癒及び組織修復/線維症の部位での筋線維芽細胞の新たな出現は、活性線維症の期間と関連しており、創傷の収縮に関与していると考えられる。さらに、活性細胞外マトリックスの蓄積が進行している部位における筋線維芽細胞の局在化は、線維性病変の発生におけるこれらの細胞の重要な役割を示唆する。
線維性疾患におけるTGF-β1ファミリーレベルの増加
形質転換増殖因子β1(TGF-β1)ファミリーのタンパク質は、これまでに検討されたいずれのサイトカインの細胞外マトリックス蓄積に対して、最も強力な刺激効果を有する。肺線維症の動物モデルでは、TGF-β1遺伝子発現が、コラーゲン遺伝子発現及びタンパク質蓄積に一時的かつ空間的に関連している。TGF-β1抗体は、マウスのブレオマイシン誘発性肺線維症におけるコラーゲン蓄積を低減し、ヒト線維症性肺組織はTGF-β1遺伝子及びタンパク質発現の増強を示す。いくつかの証拠により、TGF-βは肺線維症の中心的な調節因子であることが示唆される。TGF-βを過剰発現するいくつかの動物モデルは、限定的な炎症でない広範な進行性線維症を示した。これは、TGF-βが肺線維症の進行において支配的な役割を果たす可能性があることを示唆している。そのため、治療的な取り組みは、例えば、抗TGF-β1抗体、又はピルフェニドンなどのTGF-β1のモジュレータによるTGF-β活性の阻害に焦点を当てることである。ピルフェニドンは、TGF-β1遺伝子発現をインビボで阻害し、結果としてTGF-β1媒介コラーゲン合成を阻害し、患者のIPFの進行を遅延させるようである。他の新規で有望な抗線維化剤は、リラキシン(コラーゲンのTGF-β媒介過剰発現を阻害し、コラゲナーゼを増加する)、スラミン(成長因子を阻害する)、プロスタグランジンE2(コラーゲン生成を阻害する)、ロバスタチン(線維芽細胞アポトーシスの誘導による肉芽組織の形成を阻止する)を含む。
TGF-βのレベルの増加に関連する肺関連疾患には、未熟児の慢性肺疾患、特発性肺線維症、急速な進行性肺線維症、巨細胞間質性肺炎、肺移植後の急性拒絶反応、肺移植後のサイトメガロウイルス肺炎、閉塞性細気管支炎、石綿症石炭労働者のじん肺、珪肺症、組織球症、サルコイドーシス、好酸球性肉芽腫、強皮症、全身性エリテマトーデス、リンパ管平滑筋腫症、肺腺癌の中枢性線維症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患及び喘息を含む。
線維性疾患におけるTNF-αレベルの増加
間質性線維症における腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の重要な役割は、このサイトカインの過剰発現又は欠損を表示するいずれかのトランスジェニックマウスを使用して確立される。TNF-αを過剰発現するように遺伝子的に改変されたマウスは、肺線維症を発症する。対照的に、TNF-α無しのマウスは、ブレオマイシン誘発性線維症に対して顕著な耐性を示す。TNF-αは、インビトロで線維芽細胞の複製及びコラーゲンの合成を刺激することができ、マウスにおけるブレオマイシンの投与後に、肺のTNF-α遺伝子発現が上昇する。可溶性TNF-α受容体は、マウスモデルでの肺線維症を低減し、そしてトランスジェニックマウスでのTNF-αの肺の過剰発現は肺線維症を特徴とする。CFA又は石綿肺の患者では、気管支肺胞洗浄液由来のマクロファージが、対照と比較して増加した量のTNF-αを放出する。
増加したTNF-αは、例えば、内臓の線維症、皮膚又は真皮の線維化障害、及び眼の線維症状態を含む、任意の組織に影響を与える線維症又は線維症関連症状を誘発し得る。内臓(例えば、肝臓、肺、腎臓、心臓血管、胃腸管)の線維症は、肺線維症、特発性線維症、自己免疫線維症、骨髄線維症、肝硬変、静脈閉塞性疾患、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、三日月型糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎間質性線維症、シクロスポリンを受けている被験者の腎線維症、同種移植拒絶、HTV関連腎症などの症状において発生する。他の線維症関連障害には、全身性硬化症、好酸球増加-筋肉痛症候群、及び眼内線維症などの線維症関連CNS障害を含む。真皮線維化障害には、例えば、強皮症、モルフィア、ケロイド、肥厚性瘢痕、家族性皮膚膠腫、及びコラーゲン型の結合組織母斑を含む。眼の線維性症状には、糖尿病性網膜症、手術後の瘢痕化(例えば、緑内障フィルタリング手術後及び交差眼(斜視)手術後)、及び増殖性硝子体網膜症などの症状を含む。本発明の方法により治療され得るさらなる線維性症状は、例えば、関節リウマチ、長期の関節痛及び関節の劣化に関する疾患、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、モーフィア、レイノー症候群、及び鼻ポリポーシスを引き起こし得る。
線維性疾患におけるマトリックスメタロプロテアーゼレベルの増加
間質性肺線維症(IPF)患者の肺に見られる細胞外マトリックス(ECM)の異常な再形成は、少なくとも部分的に、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)及びメタロプロテアーゼの組織阻害剤(TIMP)との間の不均衡に起因する。正常な肺線維芽細胞は、MMP-9をインビトロで形成しないが、IPFの肺からの線維芽細胞はMMP-9を強く発現する。さらに、IPFの患者の線維芽細胞は、全てのTIMPレベルの増加を示す。この場合、TIMPがいくつかの細胞集団のアポトーシスに関与し得る。特発性肺線維症の未治療患者から得られる肺胞マクロファージのインビトロの研究では、健常人から採取したマクロファージと比較してMMP-9分泌の著しい増加が示された。ブロマイシン誘導肺線維症の動物モデルでは、MMPが、気管支肺胞洗浄(BAL)液中で上昇することが示されている。実際、MMPの合成阻害剤であるバチマスタットは、ブレオマイシン誘発肺線維症を大幅に軽減することが示されている。これは、肺の線維性疾患の発症におけるMMPの重要性を再度指摘している。いくつかの研究から、MMPの作用により増殖因子及びサイトカインが放出される可能性があることが示されている。これらの線維化促進因子は、それらが活性化し得る前に、細胞外マトリックス又は担体タンパク質からそれらの活性又は放出に、タンパク質分解処理を必要とする。実際に、インスリン様成長因子(IGF)、TGF-β1、TNF-αなどの肺線維症の病因に関与するいくつかの重要な要素のタンパク質分解活性化処理は、MMPの作用を通して発生し、それにより阻害性タンパク質間相互作用からそれらを活性又は放出する。例えば、インビボでのIGFは、6つの高親和性IGF結合タンパク質(IGFBP1~6)によって隔絶されている。これは、IGF受容体との相互作用を阻害する。成人及び小児のIPF及び間質性肺疾患を調査した研究では、IPF、IGFBP-3及びIFP-2のレベルの他に、IPF BAL液が増加することを示している。MMPは近年、IGF結合タンパク質の開裂を調節することで、標的細胞のIGF作用に影響を与えるために、該複合リガンドを遊離することが示されている。また、ゼラチナーゼ、MMP-9及びMMP-2が、潜在性TGF-β複合体のタンパク質分解活性に関与し得ることも観察されている。さらに、MMP阻害剤バチマスタットは、TGF-β及びTNF-αの量の減少に関連するBAL液中のMMP-9活性を低下させる。
肺線維症は、多くの誘発事象への肺の急性炎症反応の非常に一般的な結果であり得る。線維性変化による慢性肺損傷は、識別可能な炎症事象又は潜行性の未知の事象によって引き起こされ得る。炎症過程には、好中球及びマクロファージなどの様々な種類の炎症細胞の浸潤、炎症性サイトカイン及びケモカインの分泌、及びマトリックス再構築プロテイナーゼの分泌を含み得る。
線維性疾患におけるCCL18レベルの増加
ヒト肺胞マクロファージ(AM)による代替活性化のマーカーであるシステイン-システイン(CC)ケモカインリガンド18(CCL18)の発現と調節は、肺線維症の患者で増加し、かつ肺機能試験パラメータと負の相関があることが示されている。したがって、CCL18は肺線維症の理想的な診断マーカーである。
神経変性疾患
本発明はまた、一般的に、哺乳類の中枢神経系の細胞を損傷又は傷害から保護する、神経学的領域及び方法にも関連する。
中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)に対する様々な種類の損傷又は外傷は、深刻かつ長期の神経学的及び/又は精神医学的症状及び障害をもたらす可能性がある。これが起こりえるものの1つは、中枢神経系(CNS)の神経細胞又は他の細胞の進行性の死、例えば、神経変性又はニューロン変性である。
例えば、アルツハイマー病、多発性硬化症、脳血管事故(CVA)/脳卒中、外傷性脳損傷、脊髄損傷、視神経の変性(例えば、虚血性視神経症又は網膜変性)及び他の中枢神経系障害の結果である神経変性は、その高い発生率及び長期後遺症の頻度の両方による巨大な医療及び公的な健康についての問題である。動物実験及び臨床試験では、アミノ酸伝達物質(特にグルタミン酸)、酸化ストレス、及び炎症反応がこれらの症状において細胞死に強く寄与していることが示されている。損傷時又は虚血性発作時に、損傷したニューロンは、周囲のニューロンに対して興奮毒性である、大量の神経伝達物質グルタミン酸を放出する。グルタミン酸は、哺乳類神経系の興奮性シナプス伝達物質である、負の帯電アミノ酸である。グルタミン酸の濃度は神経終末においてミリモルの範囲に達することができるが、その細胞外濃度は神経毒性を防ぐために低レベルに維持される。グルタミン酸は、高濃度で存在する場合、ニューロンに対して毒性であり得ることがわかっている。「興奮毒性」という用語は、高用量で適用した場合にグルタミン酸(及びそのような興奮性アミノ酸)がニューロンに及ぼし得る細胞毒性の作用を示すために使用される。
網膜を含むいずれの種類の中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)の損傷又は傷害を有する患者は、神経保護的方法により恩恵を受け得る。この神経系の損傷は、例えば、結果として神経細胞の死又は損傷をもたらす、急性損傷、低酸素虚血、又はその組み合わせを含むがこれらに限定されない急性神経変性疾患などの神経系に対する突然の発作又は急性の損傷の形態を取り得る。急性傷害には、閉鎖性、鈍的又は貫通性の脳外傷、限局性脳外傷、びまん性脳損傷、脊髄損傷、頭蓋内又は椎骨の病変(これらに限定されないが、脊髄の挫傷、貫通、剪断、圧迫又は裂傷病変又はむち打ち症揺れ乳児症候群を含む)を含むがこれらに限定されない。
また、一般的に酸素又は血液の供給の遮断は、脳血管障害、脳虚血又は脳梗塞(塞栓性閉塞及び血栓症に起因する脳虚血又は梗塞を含む)、網膜虚血(糖尿病又はその他)、緑内障、網膜変性、多発性硬化症、毒性及び虚血性視神経症、急性虚血後の再灌流、周産期低酸素性虚血性損傷、心停止又は任意の種類の頭蓋内出血(硬膜外、硬膜下、クモ膜下又は脳内出血を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない、低酸素症及び/又は虚血の場合と同様に、急性損傷を引き起こす可能性がある。
神経系組織の外傷又は損傷はまた、アルツハイマー病、ピック病、びまん性レビー小体病、進行性核上性麻痺(スチールリチャードソン症候群)、他系統変性(シャイドレーガー症候群)、神経変性に関連する慢性てんかん症状、運動ニューロン疾患(筋萎縮性側索硬化症)、多発性硬化症、退行性運動失調、皮質基底変性、ALS、グアムのALS-パーキンソン痴呆複合体、亜急性硬化性全脳炎、ハンチントン病、パーキンソン病、シヌクレイン病(多系統萎縮症を含む)、原発性進行性失語症、線条体黒質変性症、マチャドジョセフ病又は3型脊髄小脳失調症及びオリーブ橋小脳変性症、球麻痺及び偽球麻痺、脊髄及び脊髄延髄筋萎縮症(ケネディ病)、原発性側索硬化症、家族性痙性対麻痺、ウェルドニッヒ・ホフマン病、クーゲルベルク・ウェランダー病、テイサック病、サンドホフ病、家族性痙性疾患、ウォルファート・キューゲルベルク・ウェランダー病、痙性対麻痺、進行性多巣性白質脳症、家族性自律神経失調症(ライリーデイ症候群)又はプリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・ストラスラー・シャインカー病、クル病又は致命的な家族性不眠症を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない、長期間にわたる進行性の神経細胞死又は障害に関連するような、より慢性的かつ進行性の神経変性障害の形態も取り得る。
さらに、神経系への外傷及び進行性損傷は、進行性、悪化型の双極性障害又は統合失調性感情障害又は統合失調症、衝動制御障害、強迫性障害(OCD)、側頭葉てんかん及びパーソナリティ障害における行動変化を含むがこれらに限定されない、様々な精神疾患において発生し得る。
1つの好ましい実施形態では、本発明の化合物は、様々な精神障害の神経系への外傷及び進行性の損傷に関与する障害に神経保護を提供するために使用されることが可能である。これらの障害は、統合失調感情障害、統合失調症、衝動制御障害、強迫性障害(OCD)及びパーソナリティ障害からなる群から選択される。
さらに、外傷及び損傷は、加齢性認知症、血管性認知症、びまん性白質疾患(ビンスワンガー病)、内分泌性又は代謝起源性の認知症、頭部外傷及びびまん性脳損傷の認知症、ピック病を含むがこれに限定されないプギリスティカ型認知症又は前頭葉型認知症に関連する神経変性障害を含むがこれらに限定されない、明白かつ広範囲にわたる記憶喪失に関連する障害の形態をとる。
ニューロンの損傷に関連する他の障害には、網膜を含む神経系の化学的、毒性、感染性及び放射線の障害に関連する障害、胎児の発達中の損傷、出生時の未熟児、無酸素虚血、肝臓、血糖、尿毒症、電解質及び内分泌起源の傷害、精神医学的起源の傷害(精神病理学、うつ病又は不安症を含むが、これらに限定されない)、末梢疾患及び神経叢の傷害(神経叢麻痺を含む)又はニューロパチーによる傷害(多巣性、感覚性、運動性、感覚運動性、自律神経性、感覚自律性又は脱髄性ニューロパチー(ギランバレー症候群又は慢性炎症性脱髄性多発根神経障害を含むが、これらに限定されない)、又は感染症、炎症、免疫障害、薬物乱用、薬物治療、毒素、外傷(圧迫、挫傷、裂傷、又はセグメント化外傷を含むがこれらに限定されない)に起因するニューロパチー、代謝障害(内分泌又は腫瘍随伴を含むがこれらに限定されない)、シャルコー・マリー・トゥース病(1a型、1b型、2型、4a型又は1-X型結合性を含むがこれらに限定されない)、フリードライヒ運動失調症、異染性白質ジストロフィー、レフスム病、副腎皮質尿路症、運動失調毛細血管拡張症、ジェリンソッタス(A型又はB型を含むが、これらに限定されない)、ランバート・イートン症候群又は脳神経の障害を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない。
本明細書で使用されるとおり、「神経保護」という用語は、ヒトを含む哺乳動物の中枢又は末梢の神経系における神経細胞、軸索又はそれらの支持細胞の機能障害、変性又は死の重症度を阻害、防止、改善又は低減することを意味するものとする。これには、必要とする患者における、神経変性疾患の治療又は予防、興奮毒性に対する保護、又は化合物の細胞毒性作用の改善(例えば、グルタミン酸などの興奮性アミノ酸、毒素、又はアポトーシスの即時又は遅延誘導を含むがこれに限定されない、細胞毒性副作用を即時又は遅延させる予防的又は治療的化合物)を含む。
本明細書で使用されるとおり、「神経保護剤による治療が必要な患者」という用語は、患者の現在の臨床状態又は予後が、神経障害又は精神障害の発症、延長、悪化、又は治療に対する耐性の増加を防止するように神経保護を提供することで恩恵を受けることができる傷害、又は任意の上記の症候群若しくは障害を現在有する、又は発症する可能性のある任意の患者を指す。
本明細書で使用されるとおり、「治療する」又は「治療」という用語は、損傷、病理、又は症状の予防又は改善の成功のいずれかを示し、症状の削減、回復、縮小、又は患者に病理又は症状をより耐容可能にさせること;変性の速度を遅くさせること又は軽減;最終点をより少ない変性にさせること;又は被験者の身体的又は精神的な幸福を改善することなどのいずれの客観的又は主観的パラメータを含む。症状の治療又は改善は、身体的検査、神経学的検査及び/又は精神的評価の結果を含む、客観的又は主観的なパラメータに基づくことができる。
いくつかの実施形態では、本発明は神経保護の方法を提供する。特定の実施形態では、未だに神経系の細胞への損傷又は傷害の臨床的徴候又は症状を発症していないが、神経系への損傷又は外傷のため、あるいは生化学的又は遺伝的のいずれかの既知のいくつかの体質のため、又はこれらの障害の1つ以上の検証バイオマーカーの発見のため、神経細胞損傷の発症の高リスクの群に属する可能性がある患者に対して、治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
従って、いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物は、神経傷害の発症のリスクがあるが臨床的な証拠をまだ発症していない被験者の神経保護を対象としている。この患者は、単に、対象者、その家族、病歴、神経損傷を引き起こすリスクが平均を超えていることを示す身体診察又は試験のいずれかの要素を認識することによって決定される「より大きなリスク」にあり得る。そのため、利用可能な手段による患者が「より大きなリスク」にさらされる可能性の決定は、本発明の方法で患者を治療すべきかどうかを判断するために使用することができる。
したがって、例示的な実施形態では、本発明の方法及び化合物による治療の恩恵を受けることができる被験者は、承認されたスクリーニング方法を使用して神経損傷のリスク因子を特定するために識別されることが可能である。これらのスクリーニング方法には、例えば、閉鎖的又は貫通的な頭部外傷、CNS感染症、脳血管疾患を含むがこれに限定されない細菌性又はウイルス性脳卒中、脳腫瘍、脳浮腫、嚢虫症、ポルフィリン症、代謝性脳症、鎮静催眠又はアルコール離脱症状を含むがこれらに限定されない離脱症状、出生時の無酸素症又はあらゆる種類の出生傷害を含む異常な周産期歴、脳性麻痺、学習障害、多動、子供の頃の熱性けいれんの病歴、てんかん重積症の病歴、てんかん又は発作関連障害の家族歴、ルピスを含む脳の炎症性疾患、コカイン中毒を含むがこれに限定されない直接又は胎盤移行による薬物中毒、親の血族関係、及び向精神薬を含む神経系に毒性のある薬による治療などを含むこれらに限定されない危険因子を決定するための、例えば、従来の精密検査を含む。
臨床的徴候又は症状のない患者において、神経保護剤による治療が有益であり得る患者を決定することは、様々な「代理マーカー」又は「バイオマーカー」に基づく。
本明細書で使用されるとおり、「代理マーカー」及び「バイオマーカー」という用語は互換的に使用され、神経損傷の存在又は将来の発症に確実に相関できる解剖学的、生化学的、構造的、電気的、遺伝的又は化学的指標又はマーカーを指す。場合によっては、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)、又は陽電子放出断層撮影(PET)などの脳画像撮影法は、被験者が神経細胞損傷の危険性があるかどうかを決定するために使用することができる。本発明の方法に適するバイオマーカーには、MRI、CT又は他の画像化技術による、海馬における硬化、萎縮又は体積損失又は明白な内側側頭葉硬化(MTS)又は類似の関連する解剖学的病理の決定;タンパク質又は他の生化学的バイオマーカーなどの分子種の患者の血液、血清、又は組織での検出、例えば、毛様体神経栄養因子(CNTF)のレベルの上昇又はニューロン分解産物の血清レベルの上昇;又は患者が神経保護薬による治療を必要としている代理マーカー又はバイオマーカーからの他の証拠を含むがこれらに限定されない。
今後、さらに多くの広く多様な検出技術を利用するこのようなバイオマーカーが開発されることが予想される。本明細書で後者の用語が使用される場合、ニューロン損傷の存在又は今後に可能性のある発症のそのようなマーカー又は指標は、本発明の化合物及びこの方法による治療の必要性を決定するために本発明の方法に使用され得ることが意図される。
被験者がニューロン損傷を有する、又は発症する危険性があることを決定することはまた、例えば、完全な病歴、身体検査、及び一連の関連する血液試験を含む医学的評価なども含む。また、脳波(EEG)、CT、MRI又はPETスキャンもまた含むことができる。ニューロン損傷又は傷害を発症するリスクの増加の決定はまた、遺伝子発現プロファイリング又はプロテオミクス技術を含む遺伝子検査によっても行うこともできる。神経保護剤によって安定化又は改善される可能性のある精神障害、例えば双極性障害、統合失調感情障害、統合失調症、衝動制御障害などについて、上記の試験には、現在の状態の検査、及び例えば、ライフチャートなど、時間の経過に伴う、かつ患者が時間の経過とともに受けた他の治療との関係における気分障害の症状及び精神病の症状などの患者の症状の経過の詳細な履歴を含むことができる。これら及び他の専門的かつ日常的な方法により、臨床医は、本発明の方法及び配合物を使用する治療を必要とする患者を選択することができる。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の実施での使用に適した化合物は、単独で、又は少なくとも1つ以上の他の化合物又は治療剤、例えば、他の神経保護剤又は抗てんかん剤、抗けいれん剤と組み合わせて投与される。これらの実施形態では、本発明は患者の神経損傷を治療又は予防するための方法を提供する。該方法は、治療を必要とする患者に、本明細書に開示される化合物の有効量を、神経保護を提供する能力、若しくは発作又はてんかん発生を治療又は予防する能力、又は本発明の化合物の神経保護効果を増強する能力を有する、1つ又は複数の他の化合物又は治療剤の有効量と組み合わせて投与するステップを含む。
本明細書で使用されるとおり、化合物、治療剤また既知の薬物と本発明の化合物との「組み合わせ投与」という用語は、既知の薬物及び該化合物の両方が治療効果を有するような時点で、薬物及び1つ以上の化合物を投与することを意味する。場合によっては、この治療効果は相乗的である。このような同時投与は、本発明の化合物の投与に関して、薬物の同時(すなわち、同じ時間に)、又は前後の投与を含み得る。該技術分野の当業者は、本発明の特定の薬物及び化合物の投与の適切なタイミング、順序及び投薬量を決定することに困難ではない。
前記1つ以上の他の化合物又は治療剤は、1つ以上の以下の特性:抗酸化活性;NMDA受容体拮抗薬活性、内因性GABA阻害の増強;NOシンターゼ阻害剤活性;鉄結合能、例えば鉄キレート剤;カルシウム結合能、例えばCa(II)キレート剤;亜鉛結合能、例えば亜鉛(II)キレート剤;ナトリウム又はカルシウムイオンチャネルを効果的に遮断する能力、又は患者のCNSでカリウム又は塩素イオンチャネルを開く能力、を有する化合物から選択され得る。
医薬組成物
本発明の態様は、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物を製造するための、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と一緒に、活性成分として、化合物[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート(ニタゾキサニドとしても知られている)を使用することに関する。
このような医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、希釈剤、潤滑剤、着色剤、甘味剤、香味剤、保存剤などと一緒に、有効成分として、化合物[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートを含む。本発明の医薬組成物は、従来の固体又は液体の担体又は希釈剤及び従来の薬学的に製造されたアジュバント中で適切な投与量レベルで既知の方法で調製することができる。
好ましくは、化合物[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートは、経口投与に適する、吸入投与に適する、又は静脈内投与に適する。
投与形態は、例えば、吸入、粉末物及び堆積物、ピル、錠剤、フィルム錠剤、コーティング錠剤、カプセル、リポソーム製剤、マイクロ製剤及びナノ製剤を含む。さらに、本発明はまた、肺への吸入の調製のための薬学的調製剤、非経口的適用、例えば、皮膚、皮内(intradermal)、胃内、皮内(intracutan)、血管内、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、膣内、頬内、経皮(percutan)、直腸、皮下、舌下、局所、又は経皮(transdermal)の適用を含み、典型的なビヒクル及び/又は希釈剤に加え、調製剤が、本発明による化合物[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートを含有する。
本発明の化合物はまた、その薬学的に活性な塩の形態で投与することができる。適切な薬学的に活性な塩は、酸付加塩及びアルカリ又はアルカリ土類塩を含む。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム又はカルシウムの塩を得ることができる。
本発明の化合物は、有機酸及び無機酸を有する、薬学的に許容できる塩を形成する。このような酸付加塩の形成に適する酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、スルホン酸、ホスホン酸、過塩素酸、硝酸、ギ酸、プロピオン酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、亜硝酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、エチレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフチルスルホン酸、スルファニル酸、カンファースルホン酸、チャイナ酸(china acid)、マンデル酸、o-メチルマンデル酸、水素ベンゼンスルホン酸、ピクリン酸、アジピン酸、D-o-トリル酒石酸、タルトロン酸、α-トルイル酸、(o,m,p)-トルイル酸、ナフチルアミンスルホン酸、及び当業者によく知られている他の鉱酸又はカルボン酸である。該塩は、従来の方法で塩を生成するために、自由塩基の形態を十分な量の所望の酸と接触させることによって調製される。
本発明による医薬組成物は、一般的には、意図される投与の形態、すなわち、従来の医薬実務と一致する、錠剤、カプセル(固体充填、半固体充填又は液体充填のいずれか)、構成粉末、エアゾール製剤の形態での経口投与用の形態に関して選択される適切な担体材料と一緒に投与される。他の適切な製剤は、ゲル、エリキシル、分散性顆粒、シロップ、懸濁液、クリーム、ローション、溶液、乳濁液、懸濁液、分散液などである。持続的な放出のための適切な剤形は、活性成分を含浸し、そしてこのような含浸化又はカプセル化多孔質ポリマーマトリックスを含有する錠剤形態又はカプセルに成形される、制御放出ポリマーマトリックス、又は様々な分解率の層を有する錠剤を含む。医薬組成物は、5~95重量%の該化合物を含み得る。
薬学的に許容される担体として、賦形剤及び/又は希釈剤は、ラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体充填カプセル)を使用することができる。
適切な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖、トウモロコシ甘味料、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス、アカシアなどの天然及び合成ガムを含む。これらの剤形での使用について言及され得る滑沢剤の中で、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどがある。崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、グアーガムなどを含む。必要に応じて、甘味剤及び香味剤及び保存剤も含まれ得る。上記の用語の一部、すなわち、崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤などは、以下でより詳しく説明される。
吸入に適したエアロゾルの調製には、溶液及び粉末状の固体を含み得、これらは、窒素などの不活性圧縮ガスなどの薬学的に許容できる担体と組み合わせて使用できる。
さらに、本発明の組成物は、治療効果を最適化するために、1つ以上の構成成分又は有効成分の制御放出率を提供するために、持続的な放出形態で製剤化され得る。持続的な放出のための適切な剤形は、活性成分を含浸し、かつこのような含浸化又はカプセル化多孔質ポリマーマトリックスを含有する錠剤形態又はカプセルに成形される制御放出ポリマーマトリックス、又は様々な分解率の層を含有する層化錠剤を含む。
液体の形態の調製物には、溶液、懸濁液及び乳濁液を含む。例として、非経口の注射用の、又は経口溶液、懸濁液及び乳濁液用に甘味料及び乳白剤が追加される、水又は水-プロピレングリコールの溶液が言及され得る。液体形態の調製物はまた、鼻腔内投与のための溶液を含み得る。
坐剤を調製するために、カカオバターなどの脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスが最初に溶解され、攪拌又は類似の混合によって有効成分がその中に均一に分散される。次に、溶融した均質な混合物を、有用なサイズの金型に注ぎ、冷却して固化させる。
また、経口投与又は非経口投与用の液体形態調製物へ使用直前に変換することを目的とした固体形態調製物も含まれる。このような液体形態には、溶液、懸濁液及び乳濁液を含む。
本発明の化合物は、経皮的に送達可能でもあり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル及び/又は乳濁液の形態をとることができ、この目的のために従来の技術のようにマトリックス又はリザーバータイプの経皮パッチに含まれ得る。
カプセルという用語は、活性成分を含む組成物を保持又は含有するために、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、変性ゼラチン又はデンプンで形成される特殊な容器又は筐体を指す。ハードシェルカプセルは、比較的ゲル強度の高い骨及び豚の皮のゼラチンの混合で通常、形成される。カプセル自体には、少量の染料、不透明剤、可塑剤及び防腐剤を含み得る。
錠剤とは、適切な希釈剤を有する有効成分を含有する、圧縮又は鋳型成形された固体剤形を意味する。錠剤は、当業者によく知られている、湿式造粒、乾式造粒、又は圧密によって得られる混合物又は造粒を圧縮することで調製できる。
経口ゲルとは、親水性半固体マトリックス中に分散又は可溶化される活性成分を指す。
構成粉末とは、有効成分及び適切な希釈剤を含有する粉末混合物を指し、水又はジュースに懸濁することができる。
適切な希釈剤とは、通常、組成物又は剤形の大部分を構成する物質である。適切な希釈剤には、ラクトース、スクロース、マンニトール及びソルビトールなどの糖、小麦、トウモロコシ、米及びジャガイモに由来するデンプン、並びに微結晶性セルロースなどのセルロースが含まれる。組成物中の希釈剤の量は、組成物全体の約5~約95重量%、好ましくは約25~約75重量%、より好ましくは約30~約60重量%、最も好ましくは約40~50重量%の範囲であり得る。
崩壊剤とは、バラバラに崩れて(崩壊して)薬を放出することを助けるために組成物に添加される材料を指す。適切な崩壊剤には、デンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウムなどの「冷水溶性」化改変デンプン、ローカストビーン、カラヤ、グアー、トラガカント及び寒天などの天然及び合成ガム、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウムなどの架橋微結晶性セルロース及び微結晶性セルロース、アルギン酸及びアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ベントナイトなどの粘土、及び発泡性混合物を含む。組成物中の崩壊剤の量は、組成物の約1~約40重量%、好ましくは組成物の2~約30重量%、より好ましくは組成物の約3~20重量%、そして最も好ましくは、約5~約10重量%の範囲であり得る。
結合剤は、粉末を結合又は「接着する」物質を特徴とし、顆粒を形成することによってそれらを凝集させ、よって製剤の「接着剤」として働く。結合剤は、希釈剤又は増量剤に、すでに利用可能な凝集力を加える。適切な結合剤には、スクロースなどの糖、小麦、トウモロコシ、米及びジャガイモに由来するデンプン;アカシア、ゼラチン、トラガカントなどの天然ガム;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムなどの海藻の誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース系材料;ポリビニルピロリドン;及びケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの無機物を含む。組成物中の結合剤の量は、組成物の約1~30重量%、好ましくは組成物の約2~約20重量%、より好ましくは約3~約10重量%、さらにより好ましくは約3~約6重量%の範囲であり得る。
潤滑剤とは、錠剤、顆粒などを、圧縮した後に、摩擦や摩耗を減らすことで金型又はダイから離脱できるように、剤形に添加される物質を指す。適切な潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸カリウムなどの金属ステアリン酸塩;ステアリン酸;高融点ワックス;及び塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、及びd’l-ロイシンなどの水溶性潤滑剤を含む。潤滑剤は通常、顆粒の表面上及びそれらと打錠機の部品との間に存在する必要があるため、圧縮前の最後のステップで添加される。組成物中の潤滑剤の量は、組成物の約0.05~約15重量%、好ましくは組成物の0.2~約5重量%、より好ましくは約0.3~約3%、そして最も好ましくは組成物の約0.3~約1.5重量%の範囲であり得る。
滑剤は、固化を防止し、造粒の流動特性を改善して、結果として流動を滑らかで均一にする材料である。適切な滑剤には、二酸化ケイ素及びタルクが含まれる。組成物中の滑剤の量は、組成物の約0.01~10重量%、好ましくは全組成物の0.1%~約7重量%、より好ましくは約0.2~5重量%、最も好ましくは約0.5~約2重量%の範囲であり得る。
着色剤は、組成物又は剤形に着色を与える賦形剤である。このような賦形剤には、食品等級の染料、及び粘土又は酸化アルミニウムなどの適切な吸着剤に吸着された食品等級の染料が含まれる。着色剤の量は、組成物の約0.01~10重量%、好ましくは約0.05~6重量%、より好ましくは組成物の約0.1~約4重量%、最も好ましくは約0.1~約1%の範囲で可変である。
緩衝液、緩衝液系、緩衝溶液及び緩衝化溶液という用語は、水素イオン濃度又はpHに関して使用される場合、酸又はアルカリの添加による、又は溶媒の希釈によるpHの変化に対向する系、特に水溶液の能力を指す。好ましい緩衝系は、ギ酸塩(pKa=3.75)、乳酸塩(pKa=3.86)、安息香酸(pKa=4.2)、シュウ酸塩(pKa=4.29)、フマル酸塩(pKa=4.38)、アニリン(pKa=4.63)、酢酸塩緩衝液(pKa=4.76)、クエン酸塩緩衝液(pKa2=4.76、pKa3=6.4)、グルタミン酸塩緩衝液(pKa=4.3)、リン酸塩緩衝液(pKa=7.20)、コハク酸塩(pKa1=4.93;pKa2=5.62)、ピリジン(pKa=5.23)、フタル酸塩(pKa=5.41);ヒスチジン(pKa=6.04)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸;pKa=6.15);マレイン酸(pKa=6.26);カコジル酸塩(ジメチルアルシネート、pKa=6.27)、炭酸(pKa=6.35)、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(pKa=6.62);PIPES(4-ピペラジンビス-(エタンスルホン酸;ビス-トリス-プロパン(1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-プロパン)、pKa=6.80)、エチレンジアミン(pKa=6.85)、ACES2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸;pKa=6.9)、イミダゾール(pKa=6.95)、MOPS(3-(N-モルヒネ)-プロパンスルホン酸;pKa=7.20)、ジエチルマロン酸(pKa=7.2)、TES(2-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノエタンスルホン酸;pKa=7.50)及びHEPES(N-2-ヒドロキシルエチルピペラジン-N´-2-エタンスルホン酸;pKa=7.55)緩衝液又は3.8~7.7の間のpKaを持つ他の緩衝液からなる群から選択され得る。
酢酸塩などのカルボン酸緩衝剤及びフマル酸塩、酒石酸塩及びフタル酸塩などのカルボン酸二酸緩衝剤並びにクエン酸塩などのカルボン酸三酸緩衝剤の群が好ましい。好ましい緩衝液の別の群は、硫酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、水酸化及びリン酸化カルシウム緩衝液などの無機緩衝液に代表される。好ましい緩衝液の別の群は、イミダゾール、ジエチレンジアミン、及びピペラジンなどの窒素含有緩衝液である。
TES、HEPES、ACES、PIPES、[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(TAPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-プロパンスルホン酸(EPPS)、4-モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)及びN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)などのスルホン酸緩衝液もまた好ましい。
好ましい緩衝液の別の群は、グリシン、グリシルグリシン、グリシルグリシルグリシン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン及びN-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]グリシン(トリシン)などのグリシン緩衝液である。
グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、N,N,N-トリメチルリジン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、O-ホスホセリン、γ-カルボキシグルタミン酸塩、ε-N-アセチルリジン、ω-N-メチルアルギニン、シトルリン、オルニチン及びそれらの誘導体などのアミノ酸緩衝液もまた好ましい。
以下の緩衝液もまた好ましい。
好ましくは、有効pH範囲が2.7~8.5、より好ましくは3.8~7.7を有する緩衝液である。各緩衝液の有効pH範囲は、pKa -1~pKa +1として定義でき、Kaは緩衝液内の弱酸のイオン化定数であり、pKa=-logKである。
最も好ましくは、医薬用途に適した緩衝液、例えば、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、及びコハク酸塩の緩衝液など、患者への投与に適した緩衝液である。一般的に使用される薬学的緩衝液の特に好ましい例は、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、グルタミン酸塩緩衝液及びリン酸塩緩衝液である。カルボン酸緩衝液の群もまた、最も好ましい。本明細書で使用されるとおり、「カルボン酸緩衝液」という用語は、カルボン酸一酸緩衝液及びカルボン酸二酸緩衝液、並びにカルボン酸三酸緩衝液を指す。もちろん、緩衝液の組み合わせ、特に本明細書で言及される緩衝液の組み合わせも、本発明に有用である。
いくつかの適切な薬学的緩衝液は、クエン酸塩緩衝液(好ましくは約20~200mMの最終製剤濃度、より好ましくは約30~120mMの最終濃度)又は酢酸塩緩衝液(好ましくは約20~200mMの最終製剤濃度)又はリン酸塩緩衝液(好ましくは約20~200mMの最終製剤濃度)である。
本発明の化合物の製剤化及び投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」マック出版社、ペンシルバニア州イーストンに見出され得る。本明細書で言及される少なくとも1つの化合物を含む適切な組成物は、適切な液体の医薬担体又は任意の他の製剤、例えば、錠剤、ピル、フィルム錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、カプセル、粉末及び堆積物、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、乳濁液などにおける化合物の溶液であり得る。
吸入による投与の場合、凍結乾燥の調製物の粒子直径は、好ましくは2~5μmの間、より好ましくは3~4μmの間である。凍結乾燥の調製物は、吸入器、例えばM-NEB(登録商標)吸入器(NEBU-TEC、エルセンフェルト、ドイツ)を使用する投与に特に適している。凍結乾燥の調製物は、滅菌蒸留水又は吸入投与に適した任意のその他の液体で再水和することができる。
あるいは、静脈内投与には、凍結乾燥の製品を滅菌蒸留水又は任意のその他の静脈内投与に適した液体で再水和することができる。
滅菌蒸留水又は別の適切な液体での投与のための再水和後、凍結乾燥調製物は、再水和された化合物調製物の標的組織、すなわち静脈内投与用の血液又は吸入投与用の肺組織に近似の生理学的浸透圧を有するべきである。したがって、再水和される製剤は、実質的に等張であることが好ましい。
治療方法
本発明の別の態様は、本発明による化合物を含む医薬組成物を必要とする患者に投与することを含む、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、神経変性疾患の予防及び/又は治療の方法に関する。
したがって、「予防」又は「治療」という用語は、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患の症状を予防、阻害、又は阻止するために、本発明の化合物の投与を含む。いくつかの例では、本発明の化合物による治療は、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患の症状を予防、阻害、又は阻止するために、他の保護化合物と組み合わせて行われる。
本明細書で使用されるとおり「活性剤」又は「治療剤」という用語は、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患の症状及び/又は進行を予防、阻害、又は阻止できる薬剤を指す。
本明細書で使用されるとおり、「治療効果」という用語は、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患の症状及び/又は進行を予防、阻害、又は阻止するために、保護効果の効果的な提供を指す。
本明細書で使用されるとおり、「治療有効量」という用語は、治療を必要とする被験者又は患者において、上で定義のとおり、治療効果を生み出すのに十分な量の本発明の化合物を意味する。
本明細書で使用されるとおり、「被験者」又は「患者」という用語は、本発明の組成物を投与することができるヒトの患者又は被験者を含む、ヒトを含むがこれに限定されない任意の哺乳動物を意味する。哺乳類という用語には、ヒト患者及び非ヒト霊長類、並びにウサギ、ラット、マウスなどの実験動物を含む。
本発明の化合物[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートは、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、神経変性疾患の予防及び/又は治療のために使用することができる、又は別の治療用化合物との組み合わせ投与において使用することができる。本明細書で使用されるとおり、化合物、治療剤又は既知の薬物と、本発明の化合物との「組み合わせ投与」という用語は、既知の薬物及び化合物の両方が治療効果を有するような時点で、薬物及び1つ以上の化合物を投与することを意味する。場合によっては、この治療効果は相乗的である。このような同時投与は、本発明の化合物の投与に関して、薬物の同時(すなわち、同じ時間に)、又は前後の投与を含み得る。該技術分野の当業者は、本発明の特定の薬物及び化合物の投与の適切なタイミング、順序及び投薬量を決定することに困難ではない。
化合物活性の定義
a)~g)に一覧する以下のいずれか1つの活性を示した場合、化合物には治療活性を有すると見なされる。
a)化合物が、過剰活性の生物学的経路の活性を阻害することが可能である。
b)化合物が、過剰生成された生体分子の生成を阻害することが可能である。
c)化合物が、過剰生成された生体分子の活性を阻害することが可能である。
d)化合物が、活性低下の生物学的経路の活性を増加させることが可能である。
e)化合物が、生成低下の生体分子の生成を増加させることが可能である。
f)化合物が、生成低下の生体分子の活性を模倣することが可能である。
g)化合物が、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患の症状及び/又は進行を予防、阻害、又は阻止することが可能である。
本明細書にて使用されるとおり、「阻害」とは、生物学的経路又は分子活性の活性又は生成の10~100%の間の低下として定義される。より好ましくは、生物学的経路又は分子活性の活性又は生成の低下は、25~100%の間である。さらにより好ましくは、生物学的経路又は分子活性の活性又は生成の低下は、50~100%の間である。
本明細書にて使用されるとおり、「増加」とは、生物学的経路又は分子の活性又は生成の10~100%の間の増加として定義される。より好ましくは、生物学的経路又は分子活性の活性又は生成の増加は、25~100%の間である。さらにより好ましくは、生物学的経路又は分子活性の活性又は生成の増加は、50~100%の間である。
本明細書で使用されるとおり、「模倣」とは、生成低下の生物分子に依存する生物学的経路の活性の10~100%の間の増加として定義される。より好ましくは、生物学的経路の活性の増加は、25~100%の間である。さらにより好ましくは、生物学的経路の活性の増加は、50~100%の間である。
化合物
以下の化合物は、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患の予防及び/又は治療のための治療薬剤としての活性について試験された。
[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート、CAS55981-09-4、及びN,N-ジメチルイミドジカーボンイミドジアミド、CAS657-24-9(メトホルミンとしても知られる)。
さらに、本発明は、薬学的活性剤として、すなわち治療剤としての化合物[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート及びN,N-ジメチルイミドジカーボンイミドジアミドの使用に関する。
本明細書で使用されるとおり、「発明の化合物」という用語は、上記化合物の塩、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、プロドラッグ及び水和物も指すものとする。
「プロドラッグ」という用語は、生理的条件下の上記の化合物を生成又は放出することができる任意の前駆化合物を指す。
化合物[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートを、実施例に記載されるアッセイを使用して活性について試験した。
これらのアッセイは、mTOR経路の活性に対する化合物の効果を試験するために使用される。mTOR経路活性のリードアウトとして、リボソームタンパク質rp60のリン酸化を使用する。mTOR経路の脱制御/過剰活性は、結節性硬化症及びリンパ管平滑筋腫症の根本的メカニズムであることが示されている。したがって、これらのアッセイは、疾患の原因となるメカニズムを模倣する。
試験される化合物は市販されている。
実施例1(図1):
MEFは、TSC2ノックアウト(MEF110)マウス及びTSC2+(MEF157)マウスに由来するマウス胚性線維芽細胞である。Tsc2変異は、ヒトにおける結節性硬化症及びリンパ管平滑筋腫症を引き起こすことが知られている。
すべての細胞は、37℃、5%COで、細胞増殖を支持するために10%までウシ胎児血清を添加したDMEM組織培養培地で維持した。
MEFでは、40Sリボソームの構成要素であり、p70S6キナーゼによってSer236でリン酸化される、リボソームタンパク質S6は、ヒト型及びマウス型の両方のrpS6を検出するリン酸特異的抗体を使用して、ELISA及びウエスタンブロッティングでアッセイすることができる。このアッセイは、呼吸器及び血管の疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患のための保護又は治療活性を有する化合物についての予測である。
細胞を、DMEM+10%血清中で60~80%コンフルエントまで増殖させた。本発明の試験化合物を添加する2時間前に、培地を新鮮な無血清培地で交換した。
化合物をDMSO中の原液の1:1000希釈として加えた。ビヒクル対照としてDMSOを加え、試料をさらに60分間インキュベートした。
ELISAについて、rpS6のリン酸化状態を保護するために、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中へ細胞を回収した。溶解液は、使用前は-80℃で保存された。試料あたり50μlの溶解液をELISAに使用し、これは製造元の指示に従って実施した。ウエスタンブロッティングでは、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中へ細胞を回収し、SDS-PAGEで分離してからPVDF膜に転写し、抗リン酸化rpS6抗体及び抗トータルrpS6(anti-total-rpS6)抗体とインキュベートした。
細胞は化合物を十分に耐容した。
ELISAデータを、ビヒクル対照に正規化し、個別の実験からのデータを、個別のバーとして表示する。rpS6リン酸化の損失がrpS6タンパク質の損失の結果ではないことを確認するために、ウエスタンブロットを含む。
MEF細胞の疾患関連アッセイシステムで行われた3つの独立した実験では、本発明の化合物は、リボソームタンパク質S6のリン酸化の用量依存的阻害を示した。
実施例2(図2):
621-101細胞は、血管筋脂肪腫に由来するヒト細胞である。これらの細胞は、TSC2変異を証明しており、リンパ管平滑筋腫症を模倣している、使用された疾患由来変異のみを有する細胞である。
細胞を、DMEM+10%血清中で60~80%コンフルエントまで増殖させた。本発明の試験化合物を添加する2時間前に、培地を新鮮な無血清培地で交換した。
化合物をDMSO中の原液の1:1000希釈として加えた。ビヒクル対照としてDMSOを加え、試料をさらに60分間インキュベートした。
ELISAについて、rpS6のリン酸化状態を保護するために、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中に細胞を回収した。溶解液は、使用前は-80℃で保存された。試料あたり50μlの溶解液をELISAに使用し、これは製造元の指示に従って実施した。ウエスタンブロッティングでは、プロテアーゼ阻害剤及びホスファターゼ阻害剤の両方を含有する200μlの細胞溶解緩衝液中に細胞を回収し、SDS-PAGEで分離してからPVDF膜に転写し、抗リン酸化rpS6抗体及び抗トータルrpS6(anti-total-rpS6)抗体とインキュベートした。
細胞は化合物を十分に耐容した。
621-101細胞の疾患関連アッセイシステムで行われた3つの独立した実験では、本発明の化合物は、リボソームタンパク質S6のリン酸化の用量依存的阻害を示した。


Claims (4)

  1. 節性硬化症又はリンパ管平滑筋腫症の治療及び/又は予防の方法に使用するための、[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエートを含む医薬組成物
  2. 静脈内投与又は経口投与又は吸引用に製剤化される、請求項1に記載の医薬組成物
  3. 節性硬化症又はリンパ管平滑筋腫症の治療及び/又は予防の方法に使用するための、[2-[(5-ニトロ-1,3-チアゾール-2-イル)カルバモイル]フェニル]エタノエート及びN,N-ジメチルイミドジカーボンイミドジアミドを含む組み合わせ薬剤。
  4. 静脈内投与又は経口投与又は吸引用に製剤化される、請求項に記載の組み合わせ薬剤。
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