JP7365230B2 - シートベルト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の座席に着座する乗員を拘束するシートベルト装置に関する。
例えば自動車等の車両の座席に着座する乗員を拘束し、衝突時などの傷害を抑制するため、3点式のシートベルトが広く用いられている。
3点式のシートベルトは、乗員の腰部前面に沿って車幅方向にわたして設けられるラップベルト部、及び、乗員の胸部前面に沿って斜行して設けられるショルダベルト部を有する。
3点式シートベルトに関する従来技術として、例えば特許文献1には、作動時にショルダウェビングと乗員との間の隙間を少なくしかつ乗員拘束性を向上させるため、乗員がウェビングを装着すると、バックル駆動装置がバックル装置を車両幅方向内側へ移動させてショルダウェビングと乗員との間の隙間を少なくし、さらにショルダウェビングが全体的に車両上方へ移動されることになるので、ショルダウェビングの乗員拘束性を向上させることが記載されている。
特開2007-196881号公報
前面衝突において、乗員の胸部の傷害や、車室内の他部品との2次衝突を軽減するため、シートベルト装置は有効な手段である。
しかし、斜行したショルダベルトを有する3点式シートベルトの場合、ショルダベルトのタング側(低い側)の部分が、乗員の上体の前傾などの挙動や、プリテンショナの作動などに起因するウェビングの張力増加などにより、胸部に対して相対的に上方へせり上がると、肋骨付近を上方へ圧迫し、肋骨に曲げ力を発生させる場合がある。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、簡単な構成によりショルダベルトによる胸部への加害性を抑制したシートベルト装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、少なくとも一部が乗員の腰部前面に沿って車幅方向にわたして配置されるラップベルト部、及び、少なくとも一部が乗員の胸部前面に沿って斜行して配置されるショルダベルト部を有するウェビングと、前記ウェビングの中間部が挿通されるスリット部を有し、前記ラップベルト部と前記ショルダベルト部との間に設けられ、装着時において車体に連結されるタングとを備え、前記タングにおける前記ウェビングの折返し部は、車両の衝突又は衝突の前兆に応じて、車両側面視において下端部が上端部に対して前進する方向に回動し、車両の衝突又は衝突の前兆に応じて前記ウェビングに張力を与えるプリテンショナを備え、前記折返し部は、前記プリテンショナの作動後に前記ウェビングの張力が一時的に低下するときに前記回動を行い、前記折返し部は、非衝突時に前記回動を規制するとともに、前記プリテンショナが作動した際の前記ウェビングの張力に応じて前記回動を許容する回動規制部を有することを特徴とするシートベルト装置である。
これによれば、車両の衝突時にウェビングの折返し部を下端部が上端部に対して前進する方向に回動させることにより、ショルダベルト部がタングから引き出される方向を上方へ振り上げ、乗員の胸部におけるショルダベルト部との当接箇所を上方へ変位させることができ、ショルダベルト部が乗員の肋骨部を下方からすくい上げる挙動が抑制され、胸部への加害性を抑制することができる。
また、タングの内部で完結する簡素な構成により上述した効果を得ることができる。
また、ウェビングの張力が一時的に低下してウェビングが弛み傾向となるときに折返し部の回動を行うことにより、ウェビングの張力が折返し部の回動を阻害することがなく、動作の確実性、信頼性を高めることができる。
また、衝突時にのみ折返し部の回動を許容することにより、通常使用時におけるシートベルト装置の使い勝手に影響を及ぼすことを防止できる。
請求項2に係る発明は、前記タングは、車両の衝突又は衝突の前兆に応じて、前記ウェビングが前記ラップベルト部側と前記ショルダベルト部側との間で通過可能であるフリー状態から、前記ウェビングの前記通過が禁止されたロック状態へ推移するロッキングタングであることを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置である。
これによれば、衝突又は衝突の前兆に応じて、ロッキングタングをロック状態とすることにより、ショルダベルト部の張力が過度に高まって肋骨等への加害性を高めることを防止できる。
また、衝突前後におけるショルダベルト部の長さの変化を抑制し、ショルダベルト部と乗員の上体との接触状態を適切に制御することができる。
請求項3に係る発明は、前記ロッキングタングは、前記フリー状態から前記ロック状態への推移時に本体部に対して相対変位するロック部材を有し、前記折返し部は前記ロック部材に設けられることを特徴とする請求項2に記載のシートベルト装置である。
これによれば、簡単な構成により上述した効果を確実に得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、簡単な構成によりショルダベルトによる胸部への加害性を抑制したシートベルト装置を提供することができる。
本発明を適用したシートベルト装置の第1実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。 第1実施形態のシートベルト装置におけるロッキングタングの模式的断面図であって、フリー状態を示すものである。 第1実施形態のシートベルト装置におけるロッキングタングの模式的断面図であって、ロック状態を示すものである。 図2のIV-IV部模式的矢視図である。 図3のV-V部模式的矢視図である。 第1実施形態のシートベルト装置における制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。 第1実施形態のシートベルト装置における衝突時のウェビング張力の推移の一例を示す図である。 第1実施形態のシートベルト装置においてロッキングタングがロック状態に推移した後の状態を模式的に示す斜視図である。 本発明を適用したシートベルト装置の第2実施形態における制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。
<第1実施形態>
以下、本発明を適用したシートベルト装置の第1実施形態について説明する。
第1実施形態のシートベルト装置は、例えば、乗用車等の自動車において、乗員が前方を向いて着座する前席に設けられる3点式シートベルトである。
図1は、第1実施形態のシートベルト装置の構成を模式的に示す斜視図である。
乗員Pが着座するシート10は、クッション11、シートバック12を有する。
クッション11は、シート10の下部に設けられ、乗員Pの臀部及び大腿部が載置される座面部を有する部分である。
シートバック12は、座面部の後端部近傍から上方へ突出して設けられ、乗員Pの背部、肩部等を保持する部分である。
シート10の車幅方向における一方側には、Bピラー20が設けられている。
Bピラー20は、乗員Pが乗降するドア開口の後縁部に沿って上下方向に延在する柱状の車体構造部材である。
シートベルト装置100は、ウェビング110、リトラクタ120、ラッププリテンショナ130、ショルダアンカ140、ロッキングタング150、バックル160等を有して構成されている。
ウェビング110は、例えばポリエステル繊維の編物により可撓性を有するベルト状に形成された部材である。
ウェビング110は、その中間部が挿通され折り返されるロッキングタング150を境として、ラップベルト部111、ショルダベルト部112を有する。
ラップベルト部111は、乗員Pの主に腰部の前面に沿うように、車幅方向に延在して配置されている。
ショルダベルト部112は、乗員Pの主に胸部の前面に沿うように配置されている。
ショルダベルト部112は、車幅方向におけるBピラー20側が高くなるよう、斜行して配置されている。
リトラクタ120は、ウェビング110のショルダベルト112側の端部が連結されるとともに、Bピラー20の下部に取り付けられている。
リトラクタ120は、ウェビング110の余剰部分を巻き取って収容する機能を有する。
ウェビング110は、リトラクタ120から上方側へ引き出されるようになっている。
リトラクタ120には、例えば火薬式のガス発生装置を用いたアクチュエータにより、シートベルト制御ユニット210からの指令に応じて、ショルダベルト部112を牽引するショルダプリテンショナ121(図6参照)が設けられている。
ラッププリテンショナ130は、車体のBピラー20の下端部近傍に設けられ、ウェビング110のラップベルト部111の車幅方向外側の端部が接続されている。
ラッププリテンショナ130は、例えば火薬式のガス発生装置を用いたアクチュエータにより、シートベルト制御ユニット210からの指令に応じて、ラップベルト部111を牽引する機能を有する。
ショルダアンカ140は、車体のBピラー20の上端部付近に設けられ、リトラクタ120から上方へ引き出されたウェビング110のショルダベルト部112が、斜め下方側のロッキングタング150側へ折り返される部分である。
ショルダアンカ140は、Bピラー20に対して、車幅方向にほぼ沿った軸線回りに回動可能であるとともに、リトラクタ130側とロッキングタング150側との間でウェビング110が通過することを妨げないようになっている。
ロッキングタング150は、ウェビング110が挿通された状態で着脱可能にバックル160に取り付けられる部材である。
ウェビング110において、ロッキングタング150よりもプリテンショナ130側の領域がラップベルト部111として機能し、ロッキングタング150よりもショルダアンカ140側の領域がショルダベルト部112として機能する。
ロッキングタング150は、車両の通常使用時(非衝突時)には、ウェビング110の通過を妨げないよう構成されるとともに、車両の衝突等により、ウェビング110の張力が増大した場合には、ウェビング110を拘束し、ラップベルト部111側とショルダベルト部112側との行き来が規制(ロック)されるようになっている。
次に、ロッキングタング150の構成について説明する。
図2、図3は、第1実施形態のシートベルト装置におけるロッキングタングの模式的断面図であって、フリー状態、ロック状態をそれぞれ示している。
図4は、図2のIV-IV部模式的矢視図である。
図5は、図3のV-V部模式的矢視図である。
ロッキングタング150は、本体部151、空間部152、ラップベルトスリット153、ショルダベルトスリット154、ロック部材155、タングプレート156等を有する。
本体部151は、ウェビング110がラップベルト部111側とショルダベルト部112側との間で折り返された状態で挿通される部分である。
本体部151は、例えば衝突事故発生時にウェビング110に作用する最大張力に対して十分な強度をもつよう、例えば金属材料や硬質の樹脂材料等を組み合わせて構成されている。(図2,3においては、簡素化して図示している。)
空間部152は、本体部151の内部に形成された空洞状の部分であり、ウェビング110の一部、及び、ロック部材155等を収容する。
空間部152の内面には、摺動面部152a、ロック凹部152bが形成されている。
摺動面部152aは、凹曲面状に形成され、ロック部材155の摺動面部155aと当接するとともに、ロック部材155の動作時にこの摺動面部155aと相互に摺動する部分である。
摺動面部152aは、本体部151におけるラップベルトスリット153、ショルダベルトスリット154の間の領域の内面部に形成されている。
ロック凹部152は、ウェビング110に所定以上の張力が負荷され、ロック部材155が移動した際に、ロック部材155と協働してウェビング110を挟持し、ロックする部分である。
ロック凹部152bは、空間部152の内面であって、摺動面部152aとショルダベルトスリット154を挟んで隣接する領域に形成されている。
ラップベルトスリット153、ショルダベルトスリット154は、本体部151の表面から空間部152の内部まで貫通して形成され、ウェビング110が挿通される開口である。
ラップベルトスリット153、ショルダベルトスリット154は、ウェビング110の幅方向(図2、図3における紙面と直交する方向)に沿った長手方向を有する長孔状のスリットとして形成されている。
ラップベルトスリット153は、ラップベルト部111の端部が空間部152の内部に導入されるものである。
ショルダベルトスリット154は、ショルダベルト部112の端部が空間部152の内部に導入されるものである。
ロック部材155は、空間部152の内部に配置されるとともに、ウェビング110の張力増大に応じて、ウェビング110の通過を許容するフリー(解放)位置から、ウェビング110を拘束するロック位置へ移動する可動部材である。
ロック部材155は、摺動面部155a、ウェビング当接部155b、ウェビング拘束部155c等を有する。
摺動面部155aは、本体部151の内面部152における摺動面部152aに対して摺動可能な状態で当接する凸曲面状の部分である。
ウェビング当接部155bは、摺動面部155aの一方の端部側(図2、図3における下方)に設けられ、ウェビング110の折り返し箇所と当接する凸部(折返し部)である。
ウェビング当接部155bは、車両の通常使用時の側面視において、図4に示すように、下端部が上端部に対して車両前方側となるように後傾して配置されている。
ウェビング拘束部155cは、ロッキングタング150がロック状態である際に、ロック凹部152bと協働してウェビング110を挟持、拘束し、ラップベルト部111側とショルダベルト部112側との間でウェビング110がロッキングタング150を通過して移動しないようロックするものである。
ウェビング拘束部155cは、摺動面部155aのウェビング当接部155b側とは反対側の端部側(図2、図3における上方)に設けられている。
ウェビング110は、ウェビング当接部155bにおいてラップベルト部111側からショルダベルト側112側へ折り返される。
ロッキングタング150がフリー状態であるときには、ウェビング110は、ウェビング当接部155bの表面に沿って滑走することにより、ロッキングタング150を自由に通過可能(ラップベルト部111側又はショルダベルト部112側へ通過可能)な状態となっている。
車両の衝突時にウェビング110に作用する張力が増大すると、ロッキングタング150は、図2,4に示すフリー状態から、図3,5に示すロック状態へ移行する。
ロック部材155は、ウェビング110の張力によって図2,3における上方へ引き上げられ、摺動面部152a、155aが相互に摺動しつつ移動する。
ロック部材155の移動範囲の終端においては、ロック部材155のウェビング拘束部155cは、空間部152に形成されたロック凹部152bとの間でウェビング110を拘束する。
図4、図5に示すように、ロック部材155は、フリー状態からロック状態へ推移する際に、車両側面視においてウェビング当接部155bの下端部が、上端部に対して相対的に前進しかつ上昇するように回動する。
車幅方向から見たときのロック部材155のフリー状態における位置からロック状態における位置までの移動軌跡は、前方側が凸となる円弧状に湾曲している。
これにより、ロッキングタング150からショルダベルト部112が引き出される方向は、通常時に対して衝突時には上方へ振り上げられるよう変位する。
なお、ロック部材155には、車両の通常使用時(非衝突時)には本体部151に対する相対変位を規制するとともに、例えばプリテンショナの作動によるウェビング110の張力増大に応じて規制が解除される図示しない回動規制部を有する構成とすることができる。
回動規制部として、例えば、本体部151とロック部材155との一方、他方にそれぞれピン及びこのピンが挿入される係合穴部を設け、ウェビング110の張力増加に応じて、ピンが折損するなどして規制が解除される構成とすることができる
タングプレート156は、ロッキングタング150の使用時における下端部から突出し、バックル160の係合機構と係合する部材である。
タングプレート156は、例えば鋼板等の金属材料により、平板状に形成されている。
タングプレート156の上部は、本体部151の下部にインサート成型などにより埋設され固定されている。
バックル160は、車体におけるシート10のクッション11の車幅方向内側であって後端部に近接する箇所に取り付けられている。
バックル160は、ロッキングタング150のタングプレート157が挿入された際にこれと係合する係合機構、及び、係合機構を解除するリリース機構等を有する。
バックル160の車幅方向内側の面部には、リリース機構を解除させるリリースボタン161が設けられている。
シートベルト装置100は、以下説明する制御システムを有する。
図6は、第1実施形態のシートベルト装置における制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。
制御システム200は、シートベルト制御ユニット210、着座センサ220、シートベルト着用センサ230、加速度センサ240、環境認識ユニット250等を有する。
シートベルト制御ユニット210は、衝突又はその前兆を検出し、シートベルト装置100に設けられた各アクチュエータ(プリテンショナ)に対して指令を与えるものである。
着座センサ220は、シート10のクッション11に設けられた荷重センサであって、シート10への乗員Pの着座有無を検出するものである。
シートベルト着用センサ230は、バックル160に設けられ、バックル160にロッキングタング150が連結された状態(シートベルト着用状態)を検出するものである。
加速度センサ240は、例えば車体の前端部などに設けられ、車体に作用する前後方向等の加速度を検出するものである。
加速度センサ240は、車両の衝突を検出するセンサとして用いられる。
環境認識ユニット250は、各種センサや車車間通信、路車間通信などの通信を利用して、自車両周囲の道路形状や、他車両、歩行者、建築物、地形、樹木等の障害物等に関する情報等を認識するものである。
環境認識ユニット250には、ステレオカメラ装置251、ミリ波レーダ装置252、レーザスキャナ装置253、通信装置254等が接続されている。
ステレオカメラ装置251は、撮像範囲を車両前方に向けかつ車幅方向に離間して配置された一対のカメラ、及び、各カメラの撮像画像に公知のステレオ画像処理を施す画像処理部を有する。
ミリ波レーダ装置252は、例えば30乃至300GHzの電波を用いて自車両前方等に存在する障害物の自車両に対する相対位置、相対速度等を検出するものである。
レーザスキャナ装置253は、パルス状のレーザ光を照射するとともに、これに対する散乱光を測定することにより、自車両周囲の障害物の形状及び位置を検出する3D LIDARである。
通信装置254は、車車間通信、路車間通信により、上述した各センサにより検出が困難な障害物(例えば、建築物などで遮蔽された箇所から出現する他車両等)に関する情報を取得する。
環境認識ユニット250は、車両の実際の衝突に先立ち、衝突が発生する可能性が極めて高い状態(衝突の前兆)を検出する機能を有する。
衝突の前兆に応じて、シートベルト制御ユニット210は、ショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130を作動させる。
図7は、第1実施形態のシートベルト装置における衝突時のウェビング張力の推移の一例を示す図である。
図7において、横軸は時間を示し、縦軸は張力を示している。また、図7において、ラップベルト部の張力を実線、ショルダベルト部の張力を破線で示す。
先ず、時間T1において、環境認識ユニット250が他車両等との前面衝突が不可避である状態(プリクラッシュ状態)を判別すると、ウェビング110の弛みを軽減するためショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130が作動し、ラップベルト部111、ショルダベルト部112の張力が一時的に高まり、その後やや低下する。
ショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130の作動によりウェビング110の張力(一例として、ラップベルト部111の張力とショルダベルト部112の張力とのうち大きいもの)が増加して閾値Th1以上となる時間T2において、ロッキングタング150のロック部材155は回動を開始する。これと連動し、ウェビング当接部155bの下端部は、前端部に対して車両前方側へ前進する方向に回動を開始する。
上述したようにウェビング110の張力は、各プリテンショナの作動後に一旦低下してウェビング110が弛み傾向となるが、この時期はウェビング110の張力がロック部材155の回動を妨げることがないため、ロック部材155の回動が促進される。
時間T3において、車両が実際に障害物に衝突し、車体に前後方向加速度が作用して、乗員Pのシート10に対する相対前進が開始される。
これにより、ラップベルト部111、ショルダベルト部112の張力はともに増加を開始するが、このときの張力は、ラップベルト部111のほうがショルダベルト部112に対して大きくなっている。
その後、時間T4においてウェビング110の張力(一例として、ラップベルト部111の張力とショルダベルト部112の張力とのうち大きいもの)がさらに大きくなり、閾値Th2以上になると、ロッキングタング150がロック状態となる。
これとともに、ウェビング当接部155bの回動も終了する。
その後、乗員Pの上体の前進が大きくなり、ショルダベルト部112の張力はさらに大きくなる。
図8は、第1実施形態のシートベルト装置においてロッキングタングがロック状態に推移(ウェビングの折返し部が回動)した後の状態を模式的に示す斜視図である。
ウェビング110の折返し部であるロック部材の155のウェビング当接部155bが、下端部が上端部に対して前進する方向に回動することにより、ショルダベルト部112がロッキングタング150から引き出される方向が上方へ振り上げられる。
これにより、ショルダベルト部112が乗員Pの胸部と当接する箇所は上方へ変位する。
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)車両の衝突時にウェビング110の折返し部であるウェビング当接部155bを、下端部が上端部に対して前進する方向に回動させることにより、ショルダベルト部112がロッキングタング150から引き出される方向を上方へ振り上げ、乗員Pの胸部におけるショルダベルト部112との当接箇所を上方へ変位させることができる。
この際、ショルダベルト部112がロッキングタング150から引き出される方向の上方への振り上げ角度の変化は大きなものではないが、ショルダベルト部112が乗員Pの肋骨部Rを下方からすくい上げる挙動は、ショルダベルト部112が肋骨部Rと小さな角度で交差するように当接することで発生するため、ショルダベルト部112と肋骨部Rとが交差する角度θ(図8参照)がわずかでも大きくなるように当接させることにより、肋骨部Rを下方からすくい上げる挙動を抑制する効果がある。
これにより、胸部への加害性を抑制することができる。
また、ロッキングタング150の内部で完結する簡素な構成により上述した効果を得ることができる。
(2)衝突又は衝突の前兆に応じて、ロッキングタング150をロック状態とすることにより、ショルダベルト部112の張力が過度に高まって肋骨等への加害性を高めることを防止できる。
また、衝突前後におけるショルダベルト部112の長さの変化を抑制し、ショルダベルト部112と乗員Pの上体との接触状態を適切に制御することができる。
(3)ウェビング当接部155bをロック部材155の一部に一体的に形成することにより、簡単な構成により上述した効果を確実に得ることができる。
(4)ウェビング当接部155bを有するロック部材155は、ショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130の作動後にウェビング110の張力が一時的に低下するときに回動を行うことにより、ウェビング110の張力が一時的に低下してウェビングが弛み傾向となるときにロック部材155の回動が行なわれることになり、ウェビング110の張力がロック部材155の回動を阻害することがなく、動作の確実性、信頼性を高めることができる。
(5)非衝突時にロック部材155の回動を規制するとともに、ショルダプリテンショナ121、ラッププリテンショナ130が作動した際のウェビング110の張力に応じて回動を許容する回動規制部を設けることにより、通常使用時におけるシートベルト装置の使い勝手に影響を及ぼすことを防止できる。
<第2実施形態>
次に、本発明を適用したシートベルト装置の第2実施形態について説明する。
以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図9は、第2実施形態のシートベルト装置における制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。
第2実施形態は、第1実施形態のように、ウェビング110の張力に応じてロック状態に推移するパッシブ式のロッキングタング150に代えて、シートベルト制御ユニット210からの指令に応じて作動するロッキングタング駆動アクチュエータ170によりフリー状態からロック状態へ推移するアクティブ式のロッキングタング150を備えている。
ロッキングタング駆動アクチュエータ170として、例えば、火薬式のガス発生装置を用いたアクチュエータや、電動アクチュエータ等の各種アクチュエータを用いることができる。
シートベルト制御ユニット210は、衝突又はその前兆の検出に応じて、ロッキングタング駆動アクチュエータ170に指令を与える。
これにより、ロッキングタング150は、フリー状態からロック状態へ推移するが、ロック部材155のウェビング当接部155b(折返し部)は、このとき下端部が上端部に対して前進する方向に回動する。
以上説明した第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果と同様の効果に加えて、ロッキングタング150のロック及びウェビング110の折返し部の回動をロッキングタング駆動アクチュエータ170で行うことにより、作動タイミングの設定自由度、及び、作動の確実性を高めることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車両及びシートベルト装置の構成は、上述した各実施形態に限らず、適宜変更することができる。
例えば、シートベルトを構成する各部品の形状、構造、機能、配置、個数などは、適宜変更することができる。
(2)各実施形態における折返し部を回動させる機構の構成は一例であって、適宜変更することができる。
例えば、タングの内部構造は一例であって適宜変更することが可能である。
例えば、各実施形態では、ロッキングタングのロック部材(可動部材)が全体的に回動して折返し部が回動するよう構成しているが、これに代えて、例えばウェビングの張力などにより折返し部が設けられた部材が変形あるいは破壊して、折返し部がタング本体に対して回動するようにしてもよい。
(3)各実施形態において、タングとしてロッキングタングを用いているが、本発明はロック機構を持たないタングを有するシートベルト装置にも適用することが可能である。
10 シート 11 クッション
12 シートバック 20 Bピラー
100 シートベルト装置 110 ウェビング
111 ラップベルト部 112 ショルダベルト部
120 リトラクタ 121 ショルダリトラクタ
130 ラッププリテンショナ 140 ショルダアンカ
150 ロッキングタング 151 本体部
152 空間部 152a 摺動面部
152b ロック凹部 153 ラップベルトスリット
154 ショルダベルトスリット 155 ロック部材
155a 摺動面部 155b ウェビング当接部
155c ウェビング拘束部 156 タングプレート
160 バックル 161 リリースボタン
170 ロッキングタング駆動アクチュエータ
200 制御システム 210 シートベルト制御ユニット
220 着座センサ 230 シートベルト着用センサ
240 加速度センサ 250 環境認識ユニット
251 ステレオカメラ装置 252 ミリ波レーダ装置
253 レーザスキャナ装置 254 通信装置

Claims (3)

  1. 少なくとも一部が乗員の腰部前面に沿って車幅方向にわたして配置されるラップベルト部、及び、少なくとも一部が乗員の胸部前面に沿って斜行して配置されるショルダベルト部を有するウェビングと、
    前記ウェビングの中間部が挿通されるスリット部を有し、前記ラップベルト部と前記ショルダベルト部との間に設けられ、装着時において車体に連結されるタングと
    を備え、
    前記タングにおける前記ウェビングの折返し部は、車両の衝突又は衝突の前兆に応じて、車両側面視において下端部が上端部に対して前進する方向に回動し、
    車両の衝突又は衝突の前兆に応じて前記ウェビングに張力を与えるプリテンショナを備え、
    前記折返し部は、前記プリテンショナの作動後に前記ウェビングの張力が一時的に低下するときに前記回動を行い、
    前記折返し部は、非衝突時に前記回動を規制するとともに、前記プリテンショナが作動した際の前記ウェビングの張力に応じて前記回動を許容する回動規制部を有すること
    を特徴とするシートベルト装置。
  2. 前記タングは、車両の衝突又は衝突の前兆に応じて、前記ウェビングが前記ラップベルト部側と前記ショルダベルト部側との間で通過可能であるフリー状態から、前記ウェビングの前記通過が禁止されたロック状態へ推移するロッキングタングであること
    を特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
  3. 前記ロッキングタングは、前記フリー状態から前記ロック状態への推移時に本体部に対して相対変位するロック部材を有し、
    前記折返し部は前記ロック部材に設けられること
    を特徴とする請求項2に記載のシートベルト装置。
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