JP7366823B2 - 飛行体 - Google Patents

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Description

本発明は、飛行体に関する。
従来から、ワイヤや糸などの線状部材によって係留されながら上空を飛行する飛行体が知られている。例えば、非特許文献1には、1本の線状部材によって係留されながら飛行する飛行体が開示されている。特許文献1には、翼部と線状部材とを接続する糸目中心の位置を翼部に対して調整することで翼部の迎角を調整する技術が開示されている。また、特許文献2には、風切り板に形成されている複数の穴のいずれかに線状部材を接続することで糸目中心の位置を調整する技術が開示されている。また、特許文献3には、翼部に設けられている調整用線状部材と係留用線状部材とを接続する接続部材の位置を調整することで、翼部に対する糸目中心の位置を調整する技術が開示されている。また、特許文献4には、翼部の前後を結ぶように配置されている調整用線状部材と、調整用線状部材に沿って翼部の前後方向に移動可能なリングとを備える飛行体であって、リングに係留用線状部材を接続することで、飛行中に係留用線状部材と調整用線状部材との接続位置を変更可能な技術が開示されている。
東昭、凧の飛行性、日本流体学会誌、Vol.8、No.1、pp.9-17、1976
特開2016-93373号公報 実開昭59-11796号公報 実開昭54-72193号公報 特開2018-175460号公報
しかしながら、上記先行技術によっても、飛行体の飛行を安定させる技術については、なお、改善の余地があった。例えば、非特許文献1に記載の技術では、翼部に対する糸目中心の位置が固定されており迎角を変更することができないため、飛行中に風速が急激に変化すると、翼部に発生する空気力が大きく変化し、飛行体の飛行が不安定になるおそれがある。また、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載の技術では、飛行前に糸目中心を調整する必要があるため、飛行中の風速の変化に対応して迎角を変更することはできない。このため、飛行中に風速が急激に変化すると、飛行体の飛行が不安定になるおそれがある。また、特許文献4に記載の技術では、飛行中の飛行体では、係留用線状部材と調整用線状部材とにかかる張力によって、リングと調整用線状部材との間に摩擦力が発生する。この摩擦力は、風速が速くなると大きくなるため、調整用線状部材に沿ってリングが移動できなくなり、係留用線状部材と調整用線状部材との接続位置を調整できなくなるおそれがある。このため、飛行体の飛行が不安定になる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、飛行体において、飛行の安定性を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、線状部材に係留される飛行体が提供される。この飛行体は、風圧から揚力を発生させる翼部と、前記線状部材上に設けられる起点部と、前記翼部と、を接続する接続部と、を備え、前記接続部は、前記翼部が受ける力に応じて弾性変形する変形部を含んでおり、前記変形部の変形によって、前記起点部から前記翼部の一方の端部までの距離と、前記起点部から前記翼部の他方の端部までの距離との比率を変更可能に構成されている。
この構成によれば、起点部と翼部とを接続する接続部は、翼部が受ける力に応じて弾性変形する変形部を含んでいる。接続部では、変形部が弾性変形すると、起点部から翼部の一方の端部までの距離と、起点部から翼部の他方の端部までの距離との比率が変更される。これにより、飛行体が飛行中に受ける風圧の大きさによって翼部が受ける力の大きさが変わると、変形部が変形することで比率を変更されるため、風の強さによって風に対する翼部の傾きである迎角を飛行中に変更することができる。したがって、翼部に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体の飛行の安定性を向上させることができる。
(2)上記形態の飛行体において、前記接続部は、前記翼部の一方の端部側から他方の端部側にかけて前記翼部に接続される膜状部材と、前記膜状部材における前記翼部の一方の端部側に接続される第1の線状部材と、前記変形部としての第2の線状部材であって、前記第1の線状部材の弾性率より小さい弾性率を有し、前記膜状部材において前記第1の線状部材より前記翼部の他方の端部側に接続される前記第2の線状部材と、を備え、前記第1の線状部材と前記第2の線状部材のそれぞれは、前記起点部に接続され、前記第2の線状部材が伸縮することによって、前記起点部から前記翼部の一方の端部までの距離と、前記起点部から前記翼部の他方の端部までの距離との比率を変更してもよい。この構成によれば、変形部としての第2の線状部材は、接続部において、翼部の他方の端部側に配置されており、弾性率が第2の線状部材より弾性率が大きい第1の線状部材とともに起点部に接続されている。飛行体が飛行しているとき、第2の線状部材は、翼部が受ける力に応じて弾性変形する一方、第1の線状部材は、翼部が受ける力に応じて変形しにくい。これにより、風圧が大きくなることで第2の線状部材の伸びが第1の線状部材の伸びより大きくなると、翼部の他方の端部が持ち上がり、迎角を小さくすることができる。これにより、風圧の変化による、翼部に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体の飛行の安定性を向上させることができる。
(3)上記形態の飛行体において、前記第1の線状部材の長さは、前記第2の線状部材の自然長より長く、かつ、前記翼部が受ける力によって伸びた状態の前記第2の線状部材の長さより短くてもよい。この構成によれば、第1の線状部材の長さは、第2の線状部材の自然長より長く、かつ、翼部が受ける力によって伸びた状態の第2の線状部材の長さより短い。これにより、翼部が受ける力によって第2の線状部材が伸びることで迎角を徐々に小さくしたあと、第1の線状部材によって翼部の迎角が一定の角度で維持される。これにより、迎角が小さくなりすぎることを抑制することができるため、飛行体が揚力を失って落下することを抑制することができる。したがって、飛行体の飛行の安定性をさらに向上させることができる。
(4)上記形態の飛行体において、前記接続部は、前記膜状部材において、前記第1の線状部材が接続される部分と前記第2の線状部材が接続される部分との間に接続される第3の線状部材を備え、前記第3の線状部材は、前記第1の線状部材の弾性率より小さい弾性率を有しており、前記起点部に接続され、伸縮することによって、前記起点部から前記翼部の一方の端部までの距離と、前記起点部から前記翼部の他方の端部までの距離との比率を変更してもよい。この構成によれば、翼部が受ける力によって第2の線状部材が伸びたあと、第3の線状部材の伸びによって翼部の迎角が調整される。さらに、第3の線状部材が伸びたあと、第1の線状部材によって翼部の迎角が一定の角度で維持される。これにより、第2の線状部材の弾性率と、第3の線状部材の弾性率を調整することで、翼部の迎角を細かく調整することができる。これにより、飛行体の飛行の安定性をさらに向上させることができる。
(5)上記形態の飛行体において、前記接続部は、前記変形部としての第1の膜状部材であって、前記翼部の一方の端部側から他方の端部側にかけて前記翼部に接続される前記第1の膜状部材と、前記第1の膜状部材と前記起点部とを接続する第2の膜状部材と、を備え、前記第1の膜状部材は、前記第2の膜状部材の弾性率より小さい弾性率を有しており、前記第1の膜状部材の幅は、前記翼部の一方の端部側から他方の端部側に向かうにしたがって広くなってもよい。この構成によれば、変形部としての第1の膜状部材は、翼部の一方の端部側から他方の端部側に向かうにしたがって幅が広くなっている。これにより、接続部における翼部の他方の端部側は、翼部が受ける力によって翼部の一方の端部側より伸縮しやすいため、起点部から翼部の一方の端部までの距離と、起点部から翼部の他方の端部までの距離との比率を変更することができる。したがって、風圧の変化による、翼部に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体の飛行の安定性を向上させることができる。また、第1の膜状部材は、翼部が受ける力によって伸縮することができる範囲が比較的広いため、弾性変形の繰り返しによる破損を抑制することができる。また、翼部が複数の線状部材を介して係留される場合に比べ、線状部材どうしの絡まりも抑制することができる。
(6)上記形態の飛行体において、前記接続部は、前記起点部に接続される膜状部材と、前記翼部の一方の端部側から他方の端部側まで前記翼部に沿って配置されており、前記膜状部材を支持する、前記変形部としての支持部材であって、前記翼部の一方の端部側が前記翼部に固定されている前記支持部材を備え、前記支持部材は、前記翼部が受ける力の大きさに応じて、前記翼部の他方の端部側が前記翼部から離れるように弾性変形してもよい。この構成によれば、変形部としての支持部材は、翼部の一方の端部側が翼部に固定されており、翼部が受ける力の大きさに応じて、翼部の他端側が翼部から離れるように弾性変形する。これにより、起点部から翼部の一方の端部までの距離と、起点部から翼部の他方の端部までの距離との比率を変更することができるため、翼部に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができる。したがって、飛行体の飛行の安定性を向上させることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、飛行体を用いたシステム、および、飛行体の製造方法の形態でも実現することができる。
第1実施形態の飛行体の側面図である。 飛行体の上面図である。 低速の風を受けて飛行する第1実施形態の飛行体の模式図である。 高速の風を受けて飛行する第1実施形態の飛行体の模式図である。 飛行体に発生する空気力を説明する模式図である。 第1実施形態の飛行体の効果を説明する模式図である。 第2実施形態の飛行体の側面図である。 第3実施形態の飛行体の側面図である。 低速の風を受けて飛行する第3実施形態の飛行体の模式図である。 風速の変化による第3実施形態の飛行体の変化を説明する図である。 高速の風を受けて飛行する第3実施形態の飛行体の模式図である。 第4実施形態の飛行体の側面図である。 低速の風を受けて飛行する第4実施形態の飛行体の模式図である。 風速の変化による第4実施形態の飛行体の変化を説明する図である。 高速の風を受けて飛行する第4実施形態の飛行体の模式図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の飛行体1の側面図である。図2は、飛行体1の上面図である。本実施形態の飛行体1は、大気の状態を観測するために用いられる。具体的には、飛行体1を比較的高高度の上空での所定の位置(目標位置)に滞在させることで、図示しない観測機器を用いて、所定の位置の温度および風速などの計測を行う。なお、飛行体1が適用される分野は、大気観測に限定されず、風を利用して比較的長時間上空に滞在させることで行うことができる、例えば、上空からの目標物の撮影などにも利用される。本実施形態の飛行体1は、翼部10と、キール20と、2本の分岐ライン26、27と、を備える。飛行体1は、1本のメインライン8を介して図示しない地上の設備に接続されている、いわゆる、シングルラインカイトである。なお、説明の便宜上、図1~図5では、図1及び図2に示す飛行前の飛行体1において、翼部10の先端部15aが向いている方向をx軸方向とし、飛行前の翼部10の膜体15を含む平面においてx軸に垂直な方向をy軸方向とし、x軸とy軸とに直交する方向をz軸方向とする。本実施形態では、飛行体1が飛行するときの鉛直方向は、z軸方向となる。メインライン8は、特許請求の範囲の「線状部材」に相当する。キール20と、2本の分岐ライン26、27とは、特許請求の範囲の「接続部」に相当する。
翼部10は、例えば、フレキシブル翼のデルタカイトであって、複数のフレームとしてのメインスパイン11、スプレッダ12、および、一対のスパー13、14と、膜体15と、を備える。翼部10は、飛行体1の飛行中に作用する風圧から、揚力を発生させる。
メインスパイン11は、x軸方向における翼部10の長さとほぼ同じ長さの棒状の部材であって、翼部10においてx軸に沿って配置されている(図2参照)。メインスパイン11の先端部11aは、膜体15の先端部15aに固定されており、メインスパイン11の後端部11bは、膜体15の後端部15bの中央に固定されている。これにより、メインスパイン11は、膜体15のx軸方向の張りを維持する。膜体15の先端部15aは、特許請求の範囲の「翼部の一方の端部」に相当する。膜体15の後端部15bは、特許請求の範囲の「翼部の他方の端部」に相当する。
スプレッダ12は、メインスパイン11と同様に、棒状の部材であって、翼部10においてy軸に沿って配置されている。すなわち、メインスパイン11とスプレッダ12とは、翼部10において直交するように配置されている(図2参照)。スプレッダ12の2つの端部12a、12bのそれぞれは、膜体15に形成されているスプレッダホルダ15c、15dに収納されている。これにより、スプレッダ12は、膜体15のy軸方向の張りを維持する。
メインスパイン11と、スプレッダ12とのそれぞれは、膜体15を挟むように配置されている。本実施形態では、メインスパイン11は、膜体15に対してz軸方向のマイナス側に配置され、スプレッダ12は、膜体15に対してz軸方向のプラス側に配置されている。
一対のスパー13、14は、いずれも棒状の部材であって、スプレッダ12の両端におけるそれぞれの延長上に配置されている。一対のスパー13、14のそれぞれは、翼部10の2つの前縁部15e、15fのそれぞれに配置されている。スパー13、14の先端部13a、14aのそれぞれは、メインスパイン11の先端部11aよりもx軸方向のマイナス側であり、かつ、スプレッダ12よりx軸方向のプラス側に位置し、膜体15に形成されているスパーホルダ15g、15hのそれぞれに収納されている。スパー13、14の後端部13b、14bのそれぞれは、膜体15の後端部15bの両端15i、15jに位置し、膜体15に形成されているスパーホルダ15k、15lに収納されている。すなわち、スパー13、14の後端部13b、14bと、メインスパイン11の後端部11bとは、膜体15の後端部15b上に並んで配置されている。スパー13、14の中心軸C13、C14のそれぞれは、翼部10の先端部15a側に、スプレッダ12の中心軸C12に対して90度未満となる角度αを形成している。
膜体15は、略三角形状の薄膜であって、例えば、布などの軟質材料から形成されている。膜体15は、飛行前では略三角形状の平面である本体部15mと、メインスパイン11を収容する胴体袋部15nを有する。本体部15mにおけるx軸方向のプラス側には、膜体15の先端部15aから後端部15bにわたって、袋状の前縁袋部15o、15pが形成されている。前縁袋部15o、15pは、スパー13、14、および、スパーホルダ15g、15h、15k、15lを収容する。本体部15mにおいて、前縁袋部15oと前縁袋部15pとの間には、スプレッダホルダ15c、15dが配置されている。胴体袋部15nは、本体部15mに対して、スプレッダ12が配置されている側とは反対側に配置されている。胴体袋部15nは、メインスパイン11を収容する。
キール20は、胴体袋部15nにおいて、本体部15mに接続する側と反対側に配置される。キール20は、略台形形状の膜体であって、本体部15mから張り出すように形成されている(図1参照)。本実施形態では、キール20の翼部10側の端部21のx軸方向の長さは、後述する分岐ライン26、27が接続される側の端部22のx軸方向の長さより長い。キール20は、飛行中の飛行体1の直進性を向上する。
2本の分岐ライン26、27は、キール20の端部22と、メインライン8とを接続する。分岐ライン26と分岐ライン27は、メインライン8上に設けられる糸目中心25に接続する。糸目中心25は、特許請求の範囲の「起点部」に相当する。
分岐ライン26は、キール20の端部22において、キール20の前側、すなわち、x軸方向のプラス側に接続されている(図1に示す符号26a)。分岐ライン26は、例えば、綿、ポリエステル繊維、アラミド繊維、スペクトラ繊維など、メインライン8と同じ材料から形成されている。分岐ライン26は、特許請求の範囲の「第1の線状部材」に相当する。
分岐ライン27は、キール20の端部22において、キール20の後側、すなわち、x軸方向のマイナス側に接続されている(図1に示す符号27a)。分岐ライン27は、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのエラストマーや、コイルばねなど、分岐ライン26に比べ弾性率が小さい、すなわち、弾性変形しやすい材料から形成されている。本実施形態では、力が作用していない分岐ライン27の長さ、いわゆる、分岐ライン27の自然長は、分岐ライン26の自然長に比べ短い。なお、図1~4の図面に示す分岐ライン27には、分岐ライン27の伸縮の度合いを表すため、分岐ライン27上に一定の間隔で並べた複数の点P27を示している。分岐ライン27は、特許請求の範囲の「第2の線状部材」に相当する。
次に、本実施形態の飛行体1の飛行中の作用について説明する。飛行体1では、飛行中の風速の変化に応じて、翼部10に対する糸目中心25の位置が変更される。これにより、飛行体1は、飛行中に風圧を受けて翼部10の迎角を受動的に変更することができる。
図3は、低速の風を受けて飛行する本実施形態の飛行体1の模式図である。飛行体1は、比較的低速の風Wsを受けて飛行しているとき、翼部10に発生する空気力に起因するメインライン8とキール20との間の張力は、分岐ライン27にのみかかる状態となっており、このとき、分岐ライン26はたるんだ状態となる(図3参照)。これにより、糸目中心25は、後述する高速の風を受けて飛行する飛行体1に比べ、翼部10に対して翼部10の後端部15b側に位置するため、翼部10の迎角αs1は、比較的大きくなる。
図4は、高速の風を受けて飛行する本実施形態の飛行体1の模式図である。飛行体1は、図3に示す状態から風速が速くなると、翼部10が受ける風Whによる風圧が大きくなるため、分岐ライン27が伸びる。風速がある程度以上になると分岐ライン26のたるみがなくなり(図4参照)、飛行体1は、分岐ライン26、27のそれぞれに、メインライン8とキール20との間の張力がかかった状態で、飛行する。これにより、糸目中心25は、図3に示す状態から翼部10に対して翼部10の先端部15a側に移動し、翼部10の迎角αh1は、迎角αs1に比べ小さくなる。なお、図4では、説明の便宜上、メインライン8は、図3の場合と同じ角度となるように示している。
図3および図4で説明した翼部10に対する糸目中心25の移動について、さらに詳しく説明する。図3では、糸目中心25から翼部10の先端部15aまでの距離を距離Lfs1とし、糸目中心25から翼部10の後端部15bまでの距離を距離Lbs1とすると、翼部10に対する糸目中心25の位置を(Lfs1/Lbs1)と表すことができる。また、図4では、糸目中心25から翼部10の先端部15aまでの距離を距離Lfh1とし、糸目中心25から翼部10の後端部15bまでの距離を距離Lbh1とすると、翼部10に対する糸目中心25の位置を(Lfh1/Lbh1)と表すことができる。本実施形態では、飛行体1は、(Lfs1/Lbs1)と(Lfh1/Lbh1)との比率を変更可能に構成されており、図3と図4との関係においては、比率の関係は、以下の式(1)のようになる。
(Lfs1/Lbs1)>(Lfh1/Lbh1)・・・(1)
図5は、飛行体1に発生する空気力を説明する模式図である。ここで、図5を用いて、翼部10に発生する空気力について説明する。翼部10に発生する空気力は、翼部10が風を受けることで発生する。具体的には、翼部10は、図5に示すように、z軸方向のマイナス側の翼面WS1に、風W1による風圧を受ける。なお、本実施形態の翼部10は、本体部15mの風圧を受ける側に胴体袋部15nを有しているが、ここでは、便宜的に、本体部15mの風圧を受ける側の面のみを翼面WS1とする。空気力は、特許請求の範囲の「翼部が受ける力」に相当する。
翼部10では、翼面WS1に受ける風圧によって、翼面WS1とは反対側の翼面WS2に、圧力差による空気力A1が発生する。このとき、空気力A1を鉛直方向でもあるz軸方向と、水平方向でもあるx軸方向とに分解した力が、翼部10を鉛直方向に上昇させる揚力Af1と、翼部10に対して風W1の風向に作用する抗力Ad1となる(図5参照)。なお、実際には、翼面WS1、WS2の断面形状は、風W1の風圧によって複雑な形状となるが、ここでの空気力の説明、および、図5においては、便宜上、平面形状とした。したがって、上述した空気力についての考察は、翼部10の断面において、前端部15aと後端部15bとを結ぶことで形成されるコード線WSを用いて説明しても同様である。
1本の線状部材で係留されている飛行体では、上述した空気力、すなわち、揚力および抗力の変化は、飛行の安定性に影響を及ぼす。例えば、突風などによって風速が急激に速くなると、空気力も急激に大きくなる。これにより、揚力も急激に大きくなるため、飛行体が急上昇し、飛行が不安定になるおそれがある。また、抗力が急激に大きくなると、所望の位置を飛行していた飛行体の位置が大きくずれるため、風向の変化などの外乱によって飛行が不安定になるおそれがある。また、急激な空気力の増加によって翼部の左右に働く空気力に差が生じると、飛行体は左右のバランスを崩して不安定になるおそれがある。
図6は、本実施形態の飛行体1の効果を説明する模式図である。図6(a)には、本実施形態の飛行体1の飛行状態を示し、図6(b)には、比較例の飛行体9の飛行状態を示している。図6(a)および図6(b)のそれぞれには、(i)風速が遅いときの飛行状態と、(ii)風速が速いときの飛行状態を示している。なお、図6では、説明の便宜上、メインライン8は、いずれの場合にも同じ角度となるように示している。
最初に、図6(b)に示す、飛行中の比較例の飛行体9に発生する空気力について説明する。図6(b)に示す比較例の飛行体9は、いわゆる、シングルラインカイトであって、風を受けて揚力を発生する翼部91と、キール92とを備える。比較例の飛行体9では、キール92がメインライン8と接続する糸目中心93は、キール92の翼部91とは反対側に位置しており固定されている。このため、メインライン8の角度が変更されない場合、風速の大きさに関わらず、迎角αs0と、迎角αh0とは、ほぼ同じ大きさとなるため、翼部91に発生する空気力の大きさは、原則、風速に応じて大きくなる。すなわち、風速が速くなると、翼部91に発生する揚力と抗力も、風速に応じて大きくなる(図6(b)参照)。揚力と抗力が大きくなると、上述したように、同じ場所にとどまりにくくなるだけでなく、飛行が不安定になりやすい。
一方、図6(a)に示す本実施形態の飛行体1では、図3および図4で説明したように、風速が速くなると、上述したように糸目中心25が翼部10の先端部15a側に移動する。これにより、風速が速いときの翼部10の迎角αh1は、風速が遅いときの翼部10の迎角αs1に比べ小さくなるため、飛行状態で翼部10に発生する空気力の大きさは、比較例と比べて、風速が速くなってもさほど大きくならない。これにより、本実施形態の飛行体1では、風速が変化しても、揚力と抗力の変化が制御されるため、飛行の安定性を保つことができる。
以上説明した、本実施形態の飛行体1によれば、糸目中心25と翼部10との間には、翼部10が受ける力に応じて弾性変形する分岐ライン27を含んでいる。分岐ライン27が弾性変形すると、糸目中心25から翼部10の先端部15aまでの距離と、糸目中心25から翼部10の後端部15bまでの距離との比率が変更される。これにより、飛行体1が飛行中に受ける風圧の大きさによって翼部10が受ける力の大きさが変わると、分岐ライン27が変形することで比率を変更されるため、風の強さによって風に対する翼部10の傾きである迎角を変更することができる。したがって、翼部10に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体1の飛行の安定性を向上させることができる。
また、本実施形態の飛行体1によれば、分岐ライン27は、キール20の後側に配置されており、分岐ライン27より弾性率が大きい分岐ライン26とともに糸目中心25に接続されている。飛行体1が飛行しているとき、分岐ライン27は、翼部10が受ける力に応じて弾性変形する一方、分岐ライン26は、翼部10が受ける力に応じて変形しにくい。これにより、風圧が大きくなることで分岐ライン27の伸びが分岐ライン26の伸びより大きくなると、翼部10の後端部15bが持ち上がり、迎角を小さくすることができる。これにより、風圧の変化による、翼部10に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体1の飛行の安定性を向上させることができる。
また、本実施形態の飛行体1によれば、分岐ライン26の長さは、分岐ライン27の自然長より長く、かつ、翼部10が受ける力によって伸びた状態の分岐ライン27の長さより短い。これにより、翼部10が受ける力によって分岐ライン27が伸びることで迎角を徐々に小さくしたあと、分岐ライン26によって翼部10の迎角が一定の角度で維持される。これにより、迎角が小さくなりすぎることを抑制することができるため、飛行体1が揚力を失って落下することを抑制することができる。したがって、飛行体1の飛行の安定性をさらに向上させることができる。
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の飛行体2の側面図である。第2実施形態の飛行体2では、第1実施形態の飛行体1と比較して、3本の分岐ラインを備える点が異なる。
本実施形態の飛行体2は、翼部10と、キール20と、3本の分岐ライン26、27、28と、を備える。飛行体2は、1本のメインライン8を介して図示しない地上の設備に接続されている、シングルラインカイトである。なお、説明の便宜上、図7に示す飛行前の飛行体2において、翼部10の先端部15aが向いている方向をx軸方向とし、飛行前の翼部10の膜体15を含む平面においてx軸に垂直な方向をy軸方向とし、x軸とy軸とに直交する方向をz軸方向とする。
分岐ライン28は、キール20の端部22と、メインライン8とを接続する。分岐ライン28は、分岐ライン26および分岐ライン27とともに、メインライン8上に設けられる糸目中心25に接続する。分岐ライン28は、特許請求の範囲の「接続部」に相当する。
分岐ライン28は、キール20の端部22において、分岐ライン26と分岐ライン27との間に接続されている(図1に示す符号28a)。分岐ライン28は、分岐ライン26に比べ弾性率が小さい、伸縮しやすい材料から形成されており、例えば、分岐ライン27と同じ材料から形成されている。分岐ライン28の自然長は、分岐ライン26の自然長に比べ短く、分岐ライン27に比べ長い。
本実施形態の飛行体2では、飛行中に翼部10に受ける風圧の変化に応じて、3本の分岐ライン26、27、28のそれぞれに順番に張力がかかる。具体的には、比較的低速の風を受けて飛行しているとき、飛行体2では、分岐ライン27のみにメインライン8とキール20との間の張力がかかる。風速が速くなり、分岐ライン27が張力によって伸びることで分岐ライン28の自然長と同じ程度の長さになると、分岐ライン28にも張力がかかるようになる。さらに、風速が速くなり、分岐ライン28が張力によって伸びることで分岐ライン26の自然長と同じ程度の長さになると、分岐ライン26に張力がかかるようになる。これにより、飛行体2では、飛行中の風速の変化に応じて、翼部10に対する糸目中心25の位置が変更されるため、飛行中の飛行体2は、風圧を受けて翼部10の迎角を受動的に変更することができる。
以上説明した、本実施形態の飛行体2によれば、糸目中心25と翼部10との間には、翼部10が受ける力に応じて弾性変形する分岐ライン27、28が配置されている。分岐ライン27、28が弾性変形すると、糸目中心25から翼部10の先端部15aまでの距離と、糸目中心25から翼部10の後端部15bまでの距離との比率が変更される。これにより、風の強さによって翼部10の迎角を変更することができる。したがって、翼部10に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体2の飛行の安定性を向上させることができる。
また、本実施形態の飛行体2によれば、翼部10が受ける力によって分岐ライン27が伸びたあと、分岐ライン28の伸びによって翼部10の迎角が調整される。さらに、分岐ライン28が伸びたあと、分岐ライン26によって翼部10の迎角が一定の角度で維持される。これにより、分岐ライン27、28のそれぞれの弾性率や長さを調整することで、翼部10の迎角を細かく調整することができる。これにより、飛行体2の飛行の安定性をさらに向上させることができる。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の飛行体3の側面図である。第3実施形態の飛行体3では、第1実施形態の飛行体1と比較して、分岐ラインを備えておらず、キールが弾性膜を有している点が異なる。
本実施形態の飛行体3は、翼部10と、キール30と、を備える。飛行体3は、1本のメインライン8を介して図示しない地上の設備に接続されている、シングルラインカイトである。なお、説明の便宜上、図8~図11では、図8に示す飛行前の飛行体3において、翼部10の先端部15aが向いている方向をx軸方向とし、飛行前の翼部10の膜体15を含む平面においてx軸に垂直な方向をy軸方向とし、x軸とy軸とに直交する方向をz軸方向とする。
キール30は、胴体袋部15nにおいて、本体部15mに接続する側と反対側に配置される。キール30は、略三角形状の膜体であって、胴体袋部15nから張り出すように形成されている(図8参照)。本実施形態では、キール30は、弾性膜31と、非弾性膜32とを備える。キール30は、飛行中の飛行体1の直進性を向上する。キール30は、特許請求の範囲の「接続部」に相当する。
弾性膜31は、キール30において、胴体袋部15nに接続されている膜体である。弾性膜31は、比較的弱い力で弾性変形する材料、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのエラストマーから形成されている。本実施形態では、弾性膜31は、図8に示すように、翼部10において先端部15aから後端部15bに向かうにしたがってz軸方向の長さ、すなわち、幅が広くなる略三角形状をなしている。弾性膜31は、特許請求の範囲の「第1の膜状部材」に相当する。
非弾性膜32は、弾性膜31において、胴体袋部15nに接続する側と反対側に配置される。非弾性膜32は、弾性膜31に比べ弾性率が大きい、弾性変形しにくい材料から形成されている略三角形状の膜体である。非弾性膜32の弾性膜31に接続する側とは反対側の端部は、メインライン8上の糸目中心35に接続される。糸目中心35は、特許請求の範囲の「起点部」に相当する。非弾性膜32は、特許請求の範囲の「第2の膜状部材」に相当する。
次に、本実施形態の飛行体3の飛行中の作用について説明する。飛行体3では、飛行中の風速の変化に応じて、翼部10に対する糸目中心35の位置が変更される。これにより、飛行体3は、飛行中に風圧を受けて翼部10の迎角を受動的に変更することができる。
図9は、低速の風を受けて飛行する本実施形態の飛行体3の模式図である。飛行体3は、比較的低速の風Wsを受けて飛行しているとき、メインライン8と翼部10との間の張力は、キール30にかかっている。このキール30にかかる張力は、弾性膜31を大きく伸ばすほどの力ではないため、飛行体3は、図8に示した飛行前の状態に近い状態で飛行する(図9参照)。このときの糸目中心35は、後述する高速の風を受けて飛行する飛行体3に比べ、翼部10に対して翼部10の後端部15b側に位置するため、翼部10の迎角αs3は、比較的大きくなる。
図10は、風速の変化による本実施形態の飛行体3の変化を説明する図である。図10では、飛行体3が受けている風の強さが徐々に強くなるときの飛行体3の変化を示している。飛行体3が受ける風速が速くなり(図10に示す風Wm)、風圧が強くなると、翼部10に作用する空気力が大きくなる。これにより、比較的弱い力で弾性変形する材料から形成されている弾性膜31が伸びる。本実施形態では、弾性膜31は、翼部10の先端部15a側から後端部15b側に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されているため、後端部15b側の伸びが先端部15a側の伸びに比べて大きくなる。これにより、図10に破線で示すように、弾性膜31の形状が変形し、キール30の形状が変形する。具体的には、キール30は、翼部10の先端部15a側に比べて後端部15b側の面積が拡大する。
図11は、高速の風を受けて飛行する本実施形態の飛行体3の模式図である。飛行体3は、図10で説明したように、キール30の面積が翼部10の先端部15a側より後端部15b側の方が大きくなるため、糸目中心35が翼部10に対して翼部10の先端部15a側に移動する。これにより、翼部10の迎角αh3は、迎角αs3に比べ小さくなる。
本実施形態では、図9において、糸目中心35から翼部10の先端部15aまでの距離を距離Lfs3とし、糸目中心35から翼部10の後端部15bまでの距離を距離Lbs3とすると、翼部10に対する糸目中心35の位置を(Lfs3/Lbs3)と表すことができる。また、図11において、糸目中心35から翼部10の先端部15aまでの距離を距離Lfh3とし、糸目中心35から翼部10の後端部15bまでの距離を距離Lbh3とすると、翼部10に対する糸目中心35の位置を(Lfh3/Lbh3)と表すことができる。本実施形態では、飛行体3は、(Lfs3/Lbs3)と(Lfh3/Lbh3)との比率を変更可能に構成されており、図9と図11との関係において、比率の関係は、以下の式(2)のようになる。
(Lfs3/Lbs3)>(Lfh3/Lbh3)・・・(2)
以上説明した、本実施形態の飛行体3によれば、糸目中心35と翼部10との間には、翼部10が受ける力に応じて弾性変形する弾性膜31が配置されている。弾性膜31が弾性変形すると、糸目中心35から翼部10の先端部15aまでの距離と、糸目中心35から翼部10の後端部15bまでの距離との比率が変更される。これにより、風の強さによって翼部10の迎角を変更することができる。したがって、翼部10に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体3の飛行の安定性を向上させることができる。
また、本実施形態の飛行体3によれば、弾性膜31は、翼部10の先端部15a側に比べ後端部15b側の方が、幅が広くなっている。これにより、キール30における翼部10の後端部15b側は、翼部10が受ける力によって、翼部10の先端部15a側より伸縮しやすいため、糸目中心35から翼部10の先端部15aまでの距離と、糸目中心35から翼部10の後端部15bまでの距離との比率を変更することができる。したがって、風圧の変化による、翼部10に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体3の飛行の安定性を向上させることができる。
また、本実施形態の飛行体3によれば、弾性膜31は、翼部10の先端部15a側から後端部15b側に向かうにしたがって幅が広くなっており、翼部10が受ける力によって伸縮することができる範囲が比較的広い。これにより、弾性変形の繰り返しによる破損を抑制することができる。
また、本実施形態の飛行体3によれば、弾性膜31が伸縮することで、風の強さによって翼部10の迎角を変更することができる。これにより、翼部が複数の線状部材を介して係留される場合に比べ、線状部材どうしの絡まりも抑制することができる。
<第4実施形態>
図12は、第4実施形態の飛行体4の側面図である。第4実施形態の飛行体4では、第1実施形態の飛行体1と比較して、分岐ラインを備えておらず、キールがサブスパインを介して翼部に接続されている点が異なる。
本実施形態の飛行体4は、翼部10と、サブスパイン40と、キール50と、を備える。飛行体4は、1本のメインライン8を介して図示しない地上の設備に接続されている、シングルラインカイトである。なお、説明の便宜上、図12~図15では、図12に示す飛行前の飛行体4において、翼部10の先端部15aが向いている方向をx軸方向とし、飛行前の翼部10の膜体15を含む平面においてx軸に垂直な方向をy軸方向とし、x軸とy軸とに直交する方向をz軸方向とする。
サブスパイン40は、胴体袋部15nにおいて、本体部15mに接続する側と反対側に配置される棒状部材である。サブスパイン40は、メインスパイン11に沿うように、すなわち、x軸に沿うように配置されている。サブスパイン40の一端41は、翼部10の先端部15a側において、胴体袋部15nを介してメインスパイン11に固定されている。サブスパイン40の他端42は、図12に示すように、胴体袋部15nに固定されていない。サブスパイン40は、比較的弾性率が小さい材料から形成されており、比較的容易に弾性変形可能である。サブスパイン40は、特許請求の範囲の「支持部材」に相当する。
キール50は、サブスパイン40のz軸方向のマイナス側に配置されている膜体である。キール50のサブスパイン40側の端部は、x軸方向のプラス側からマイナス側にかけてサブスパイン40に接続されている。これにより、キール50は、サブスパイン40に支持されている。キール50は、メインライン8上の糸目中心55に接続される。キール50は、飛行中の飛行体4の直進性を向上する。糸目中心55は、特許請求の範囲の「起点部」に相当する。キール50は、特許請求の範囲の「膜状部材」に相当する。
次に、本実施形態の飛行体4の飛行中の作用について説明する。飛行体4では、飛行中の風速の変化に応じて、翼部10に対する糸目中心55の位置が変更される。これにより、飛行体4は、飛行中に風圧を受けて翼部10の迎角を受動的に変更することができる。
図13は、低速の風を受けて飛行する本実施形態の飛行体4の模式図である。飛行体4は、比較的低速の風Wsを受けて飛行しているとき、メインライン8と翼部10との間の張力は、サブスパイン40とキール50とにかかっている。この張力は、サブスパイン40を変形させるほどの力ではないため、飛行体4は、図12に示した飛行前の状態に近い状態で飛行する(図13参照)。このときの糸目中心55は、後述する高速の風を受けて飛行する飛行体4に比べ、翼部10に対して翼部10の後端部15b側に位置するため、翼部10の迎角αs4は、比較的大きくなる。
図14は、風速の変化による本実施形態の飛行体4の変化を説明する図である。図14では、飛行体4が受けている風の強さが徐々に強くなるときの飛行体4の変化を示している。飛行体4が受ける風速が速くなり(図14に示す風Wm)、風圧が強くなると、翼部10に作用する空気力が大きくなる。これにより、容易に変形させることが可能なサブスパイン40が弾性変形する。具体的には、図14に示すように、サブスパイン40は、一端41がメインスパイン11に固定されたまま、しなることで、他端42が翼部10から離れるように変形する(図14参照)。これにより、サブスパイン40に接続されているキール50は、サブスパイン40の変形によって、翼部10の後端部15b側の端部51が翼部10から離れる。
図15は、高速の風を受けて飛行する本実施形態の飛行体4の模式図である。飛行体4は、図14で説明したように、サブスパイン40の変形によって、キール50における翼部10の後端部15b側の端部51が翼部10から離れる(図14参照)。これにより、糸目中心55が翼部10に対して風上側に移動するため、翼部10の迎角αh4は、迎角αs4に比べ小さくなる。
本実施形態では、図13において、糸目中心55から翼部10の先端部15aまでの距離を距離Lfs4とし、糸目中心55から翼部10の後端部15bまでの距離を距離Lbs4とすると、翼部10に対する糸目中心55の位置を(Lfs4/Lbs4)と表すことができる。また、図15において、糸目中心55から翼部10の先端部15aまでの距離を距離Lfh4とし、糸目中心55から翼部10の後端部15bまでの距離を距離Lbh4とすると、翼部10に対する糸目中心55の位置を(Lfh4/Lbh4)と表すことができる。本実施形態では、飛行体4は、(Lfs4/Lbs4)と(Lfh4/Lbh4)との比率を変更可能に構成されており、図13と図15との関係において、比率の関係は、以下の式(3)のようになる。
(Lfs4/Lbs4)>(Lfh4/Lbh4)・・・(3)
以上説明した、本実施形態の飛行体4によれば、糸目中心55と翼部10との間には、翼部10が受ける力に応じて弾性変形するサブスパイン40が配置されている。サブスパイン40が弾性変形すると、糸目中心55から翼部10の先端部15aまでの距離と、糸目中心55から翼部10の後端部15bまでの距離との比率が変更される。これにより、風の強さによって翼部10の迎角を変更することができる。したがって、翼部10に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができるため、飛行体4の飛行の安定性を向上させることができる。
また、本実施形態の飛行体4によれば、サブスパイン40は、翼部10の先端部15a側が翼部10に固定されており、翼部10が受ける力の大きさに応じて、翼部10の後端部15b側が翼部10から離れるように弾性変形する。これにより、糸目中心55から翼部10の先端部15aまでの距離と、糸目中心55から翼部10の後端部15bまでの距離との比率が変更することができるため、翼部10に作用する揚力や抗力の変化を風速に応じて制御することができる。したがって、飛行体4の飛行の安定性を向上させることができる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
[変形例1]
上述の実施形態では、飛行体1は、1本のメインライン8によって係留されるとした。しかしながら、飛行体1を係留する「線状部材」はこれに限定されない。ロープや糸など上空を飛行する飛行体1を係留できるものであればよく、材料は、繊維に限定されず金属製のワイヤなどであってもよい。また、メインラインの本数もこれに限定されない。1つの糸目中心が設けられていればよい。
[変形例2]
第1実施形態では、分岐ライン27の自然長は、分岐ライン26の自然長に比べ短いとした。しかしながら、長さの関係はこれに限定されない。分岐ライン27の自然長が分岐ライン26の自然長に比べ長くても、分岐ライン27のキール20との接続部27aが分岐ライン26のキール20との接続部26aよりも翼部10側にあり、分岐ライン26と分岐ライン27とが糸目中心25に接続していればよい。これにより、翼部10が受ける力に応じて分岐ライン27が伸縮することで、糸目中心25が翼部10の先端部15a側に移動することができるため、翼部10の後端部15bが持ち上がり、迎角を小さくすることができる。
[変形例3]
第2実施形態では、飛行体2は、3本の分岐ライン26、27、28を備えるとした。しかしながら、分岐ラインの本数はこれに限定されない。4本以上あってもよい。
[変形例4]
第3実施形態では、キール30は、1枚の弾性膜31と1枚の非弾性膜32とから構成されているとした。しかしながら、複数枚の弾性膜と複数枚の非弾性膜との組み合わせであってもよい、糸目中心35からキール30の前縁部を結ぶ直線上と、糸目中心35からキール30の後縁部を結ぶ直線上とを比較したとき、糸目中心35からキール30の後縁部を結ぶ直線上の方が弾性膜の比率が高ければよい。
[変形例5]
第3実施形態では、弾性膜31は、翼部10の先端部15a側から後端部15b側に向かうにしたがって幅が広くなるように形成されているとした。しかしながら、弾性膜の形状は、これに限定されない。弾性膜は、翼部10の後端部15b側の幅が、先端部15a側の幅より広ければよい。
[変形例6]
第4実施形態では、翼部10とキール50との間に配置されるサブスパイン40は、棒状部材であるとした。しかしながら、サブスパイン40は、棒状部材でなくてもよい。翼部10に沿って配置されており、一端が翼部10の先端部15a側に固定されており他端が胴体袋部15nに固定されておらず、離れていればよい。
[変形例7]
上述の実施形態では、翼部10は、フレキシブル翼のデルタカイトであって、複数のフレームと、薄膜の膜体15とを有するとした。しかしながら、翼部10の構成は、これに限定されない。リジット翼でもよい。また、グライダであってもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1,2,3,4…飛行体
8…メインライン
10…翼部
15a…(翼部の)前端部
15b…(翼部の)後端部
20,30,50…キール
25,35,55…糸目中心
26,27,28…分岐ライン
31…弾性膜
32…非弾性膜
s40…サブスパイン
A1…空気力

Claims (2)

  1. 線状部材によって係留される飛行体であって、
    風圧から揚力を発生させる翼部と、
    前記線状部材上に設けられる起点部と、前記翼部と、を接続する接続部と、を備え、
    前記接続部は、前記翼部が受ける力に応じて弾性変形する変形部を含んでおり、前記変形部の変形によって、前記起点部から前記翼部の一方の端部までの距離と、前記起点部から前記翼部の他方の端部までの距離との比率を変更可能に構成されており、
    前記接続部は、
    前記変形部としての第1の膜状部材であって、前記翼部の一方の端部側から他方の端部側にかけて前記翼部に接続される前記第1の膜状部材と、
    前記第1の膜状部材と前記起点部とを接続する第2の膜状部材と、を備え、
    前記第1の膜状部材は、前記第2の膜状部材の弾性率より小さい弾性率を有しており、
    前記第1の膜状部材の幅は、前記翼部の一方の端部側から他方の端部側に向かうにしたがって広くなる、
    飛行体。
  2. 線状部材によって係留される飛行体であって、
    風圧から揚力を発生させる翼部と、
    前記線状部材上に設けられる起点部と、前記翼部と、を接続する接続部と、を備え、
    前記接続部は、前記翼部が受ける力に応じて弾性変形する変形部を含んでおり、前記変形部の変形によって、前記起点部から前記翼部の一方の端部までの距離と、前記起点部から前記翼部の他方の端部までの距離との比率を変更可能に構成されており、
    前記接続部は、
    前記起点部に接続される膜状部材と、
    前記翼部の一方の端部側から他方の端部側まで前記翼部に沿って配置されており、前記膜状部材を支持する、前記変形部としての支持部材であって、前記翼部の一方の端部側が前記翼部に固定されている前記支持部材と、を備え、
    前記支持部材は、前記翼部が受ける力の大きさに応じて、前記翼部の他方の端部側が前記翼部から離れるように弾性変形する、
    飛行体。
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