JP7369915B2 - レーザ溶接装置及びそれを用いたレーザ溶接方法 - Google Patents

レーザ溶接装置及びそれを用いたレーザ溶接方法 Download PDF

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Description

本開示はレーザ溶接装置及びそれを用いたレーザ溶接方法に関する。
近年、ロボットに取り付けられたスキャナを介してレーザ光をワークに向けて照射することで高速に溶接を行うリモート溶接が広く行われている(例えば、特許文献1参照)。このスキャナには長焦点の集光レンズが搭載されている。
このようなスキャナを利用したリモート溶接では、レーザ光をワークの表面において三次元的に走査できるため、複雑な形状を有するワークの溶接を行うことができる(例えば、特許文献2,3参照)。また、レーザ光を三次元的に走査するだけでなく、レーザ光の焦点位置を周期的に制御する構成も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2006-187803号公報 特開2011-173146号公報 米国特許出願公開第2018/009060号明細書
ところで、レーザ光を三次元的に走査しながらワークの所定の領域をレーザ溶接する場合、レーザ光の焦点位置をワークの表面のみで補正する従来の方法では、溶接部の接合強度を確保する上で不足する場合がある。特に、ワークの溶接部位の形状が複雑であるとその傾向が顕著である。このようなことが起こると、溶接部位において所望の溶け込み形状が得られない部分を生じてしまい、接合強度を確保できないおそれがあった。また、溶接部位の外観がスパッタなどの発生によって損なわれ、溶接品質が低下するおそれがあった。
しかし、特許文献1~3に開示された従来の構成は、溶接部位の形状に応じたレーザ光の焦点位置制御について、何ら具体的に示していない。
本開示はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ワークの溶接部位の形状に応じて、溶け込み形状を制御可能なレーザ溶接装置及びそれを用いたレーザ溶接方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本開示に係るレーザ溶接装置は、レーザ光を発生させるレーザ発振器と、前記レーザ発振器で発生した前記レーザ光を伝送する光ファイバと、前記光ファイバの出射端に取付けられ、前記光ファイバから入射された前記レーザ光をワークに向けて照射するレーザ光出射ヘッドと、前記レーザ光出射ヘッドが取り付けられ、前記レーザ光出射ヘッドを所定の軌跡で移動させるマニピュレータと、前記レーザ光が前記ワークの表面で二次元的に、または三次元的に走査されるように前記レーザ光出射ヘッドを制御するコントローラと、前記レーザ光の焦点位置と前記ワークの溶け込み深さとが前記ワークの材質に関連付けられたデータを保存する記憶部と、を少なくとも備え、前記コントローラは、前記ワークにおける溶接部位の形状と前記データとに応じて、前記ワークに照射される前記レーザ光の焦点位置を変化させるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とする。
この構成によれば、ワークにおける溶接部位の形状に応じて、ワークの溶け込み形状を制御できる。また、ワークの接合強度を高めることができる。
本開示に係るレーザ溶接方法は、前記レーザ溶接装置を用いたレーザ溶接方法であって、前記レーザ光を二次元的に、または三次元的に走査しながら前記ワークに向けて照射して、前記ワークを溶接するレーザ溶接ステップを少なくとも備え、前記レーザ溶接ステップでは、前記ワークにおける溶接部位の形状に応じて前記レーザ光の焦点位置を変化させるとともに、前記ワークに溶融池及びキーホールを形成することを特徴とする。
この方法によれば、ワークにおける溶接部位の形状に応じて、ワークの溶け込み深さを制御できる。また、ワークの接合強度を高めることができる。
本開示のレーザ溶接装置及びレーザ溶接方法によれば、ワークにおける溶接部位の形状に応じて、ワークの溶け込み形状や溶け込み深さを制御できる。また、ワークの接合強度を高めることができる。
本開示の実施形態1に係るレーザ溶接装置の構成を示す模式図である。 レーザ光出射ヘッドの構成を示す断面模式図である。 ワークに形成された溶融池及びキーホールとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。 ワークに形成された溶融池及びキーホールとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。 レーザ光の焦点位置に対するワークの溶け込み深さとの関係とが関連付けられたテーブルである。 ワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。 ワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す別の模式図である。 本開示の実施形態2に係るワークの斜視図である。 本開示の実施形態2に係るワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。 本開示の実施形態3に係るワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。 本開示の実施形態4に係るワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。 本開示の実施形態5に係るワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
[レーザ溶接装置の構成]
図1は、本実施形態に係るレーザ溶接装置の構成の模式図を示し、レーザ溶接装置1000は、レーザ発振器100とコントローラ200と光ファイバ300とレーザ光出射ヘッド400とマニピュレータ500とを備えている。
レーザ発振器100は、図示しない電源から電力が供給されてレーザ光LBを発生させるレーザ光源である。なお、レーザ発振器100は、単一のレーザ光源で構成されていてもよいし、複数のレーザモジュールで構成されていてもよい。後者の場合は、複数のレーザモジュールからそれぞれ出射されたレーザ光を結合してレーザ光LBとして出射する。また、レーザ発振器100で使用されるレーザ光源あるいはレーザモジュールは、被溶接物であるワーク600の材質や溶接部位の形状等に応じて、適宜選択される。
例えば、ファイバレーザかディスクレーザ、あるいやYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザをレーザ光源とすることもできる。この場合、レーザ光LBの波長は、1000nm~1100nmの範囲に設定される。また、半導体レーザをレーザ光源あるいはレーザモジュールとしてもよい。この場合、レーザ光LBの波長は、800nm~1000nmの範囲に設定される。また、可視光レーザをレーザ光源あるいはレーザモジュールとしてもよい。この場合、レーザ光LBの波長は、400nm~800nmの範囲に設定される。
光ファイバ300は、レーザ発振器100に光学的に結合されており、軸心に図示しないコアを有し、コアの外周面に接してコアと同軸に図示しない第1クラッドが設けられている。コアと第1クラッドはそれぞれ石英を主成分とし、コアの屈折率が第1クラッドの屈折率よりも高くなっている。このため、レーザ発振器100で発生したレーザ光LBは、光ファイバ300の入射端に入射されて、コアの内部を出射端に向けて伝送される。また、第1クラッドの外周面には光ファイバ300を機械的に保護する皮膜または樹脂系の保護層(いずれも図示せず)が設けられている。
レーザ光出射ヘッド400は、光ファイバ300の出射端に取付けられており、光ファイバ300で伝送されたレーザ光LBをワーク600に向けて照射し、ワーク600がレーザ溶接される。
また、レーザ光出射ヘッド400は、レーザ光LBを二次元的に、または三次元的に走査してワーク600に向けて照射するように構成されており、レーザ光LBを走査する光走査機構424(図2参照)を有している。また、レーザ光出射ヘッド400は、ワーク600に向けて照射されるレーザ光LBの焦点位置を変化させるための焦点位置調整機構407(図2参照)を有している。レーザ光出射ヘッド400や光走査機構424や焦点位置調整機構407の構造の詳細や機能については後で述べる。
コントローラ200は、レーザ発振器100のレーザ発振を制御する。具体的には、レーザ発振器100に接続された図示しない電源に対して出力電流やオンオフ時間等の制御信号を供給することにより、レーザ発振制御を行う。
また、コントローラ200は、選択されたレーザ溶接プログラムの内容に応じて、レーザ光出射ヘッド400に設けられた光走査機構424及び焦点位置調整機構407の駆動制御を行う。さらに、コントローラ200は、マニピュレータ500の動作を制御する。
なお、レーザ溶接プログラムは、記憶部210に保存されている。記憶部210は、図1に示すように、コントローラ200の内部に設けられていてもよいし、コントローラ200の外部に設けられ、コントローラ200とデータのやり取りを可能に構成されていてもよい。また、記憶部210は、レーザ光LBの焦点位置とワーク600の溶け込み深さとがワーク600の材質に関連付けられたデータを保存している(図4参照)。
マニピュレータ500はコントローラ200に接続され、前述のレーザ溶接プログラムに応じて所定の軌跡を描くようにレーザ光出射ヘッド400を移動させる。なお、マニピュレータ500の動作を制御するコントローラ200を別に設けるようにしてもよい。
なお、以降の説明において、レーザ光出射ヘッド400から出射されるレーザ光LBの光軸と平行な方向をZ方向と、これと直交する方向をX方向と、X方向及びZ方向とそれぞれ直交する方向をY方向とそれぞれ呼ぶことがある。X方向とY方向とを面内に含むXY平面は、ワーク600の表面が平坦面である場合、当該表面と略平行でもよく、一定の角度を有してもよい。
なお、本願明細書において、「略平行」とは、各部材の加工公差や各部品の組立公差を含んで平行であるという意味であり、2つの面あるいは部材が厳密に平行な位置にあることまでを要求するものではない。同様に、「略直交」とは、各部材の加工公差や各部品の組立公差を含んで直交しているという意味であり、厳密に直交していることまでを要求するものではない。また、「略同じ」または「略同一」とは、各部品の製造公差や組立公差を含んで同じまたは同一という意味であり、厳密に比較対象となる両者が同じまたは同一であることまでを要求するものではない。また、「略同じ」または「略同一」とは、制御系の誤差を含んで制御対象の制御結果が同じまたは同一という意味にも用いられる。
[レーザ光出射ヘッドの構成]
図2は、本実施形態に係るレーザ光出射ヘッドの構成を示し、レーザ光出射ヘッド400は、コネクタ401と、レンズボディ402と、ボディケース408(第1のケース)と、シールドホルダ410と、ノズルユニット425(第2のケース)と、第1のサーボモータ411及び第2のサーボモータ418とを有している。なお、シールドホルダ410は、ノズルユニット425に対して着脱可能であるが、その他の構成については、複数が一体化されていても構わない。
レーザ光出射ヘッド400は、コネクタ401を介して光ファイバ300と接続されている。レーザ光LBは、光ファイバ300の出射端(図2に示す点Aに相当)から一定の角度で広がりながら、レーザ光出射ヘッド400内に出射される。レンズボディ402は、コリメートレンズ404と集光レンズ405とが収容されたレンズホルダ403を保持している。コリメートレンズ404は、光ファイバ300の出射端から出射されたレーザ光LBを平行化する。そして、コリメートレンズ404によって平行化されたレーザ光LBは、集光レンズ405によってワーク600の表面または内部で焦点を結ぶように集光される。レンズボディ402やレンズホルダ403は、光ファイバ300の出射端とコリメートレンズ404との光学的な位置関係を決定している。
コリメートレンズ404は、図示しないアクチュエータに連結されたスライダ406に保持されてレンズホルダ403に収容されている。アクチュエータは、図示では詳細の取付けと接続を省略するが、コントローラ200からの制御信号に応じて、スライダ406に保持されたコリメートレンズ404をレーザ光出射ヘッド400から出射されるレーザ光LBの光軸の方向、つまり、Z方向に移動させる。このことにより、ワーク600に照射されるレーザ光LBの焦点位置が変化する。なお、本願明細書において、コリメートレンズ404とスライダ406とアクチュエータ(図示せず)とを焦点位置調整機構407と呼ぶことがある。アクチュエータは、サーボモータでもよいし、他の種類のアクチュエータでもよい。応答性が高く、軽量かつ小型であるのが好ましい。
ボディケース408には、第1の回転機構420と、第1の平行板414と、第1のホルダ415とが設けられ、これらにより第1の光学ユニット422が構成される。第1の回転機構420は、第1のサーボモータ411(第1の駆動部)と、第1のタイミングベルト412(第1の伝達部材)と、第1のタイミングベルトプーリー413(第1の回転部材)と、で構成される。第1の平行板414は、両端がベアリングで保持された円筒状の第1のホルダ415内に固定されている。第1のホルダ415の外周面には第1のタイミングベルトプーリー413が設けられ、第1のホルダ415は第1のタイミングベルト412を介して第1のサーボモータ411によって回転される。具体的には、第1のホルダ415は、第1の回転軸を中心に回転され、第1の回転軸の方向は、レーザ光出射ヘッド400から出射されるレーザ光LBの光軸の方向、つまり、Z方向と同じである。
さらに、ボディケース408には、第2の回転機構421と、第2の平行板416と、第2のホルダ409とが設けられ、これらにより第2の光学ユニット423が構成される。第2の回転機構421は、第2のサーボモータ418(第2の駆動部)と、第2のタイミングベルト419(第2の伝達部材)と、第2のタイミングベルトプーリー417(第2の回転部材)と、で構成される。第2の平行板416は、両端がベアリングで保持された円筒状の第2のホルダ409内に固定されている。第2のホルダ409の外周面には第2のタイミングベルトプーリー417が設けられ、第2のホルダ409は第2のタイミングベルト419を介して第2のサーボモータ418によって回転される。具体的には、第2のホルダ409は、第2の回転軸を中心に回転され、第2の回転軸の方向は、Z方向と同じ方向である。なお、本願明細書において、第1の光学ユニット422と第2の光学ユニット423とを総称して光走査機構424と呼ぶことがある。
そして、第1の光学ユニット422と第2の光学ユニット423とは、第1の回転軸の方向と第2の回転軸の方向とが同じであり、かつ、ボディケース408内において、対称に配置されている。すなわち、第1の回転軸および第2の回転軸に鉛直な面に対して対称に配置されている。図2では、第1の光学ユニット422と第2の光学ユニット423とは、上下に対称に配置されている。このように配置すると、第1のサーボモータ411と第2のサーボモータ418とが同じ方向に回転した場合、第1の平行板414の回転方向と第2の平行板416の回転方向とは逆になる。また、第1の平行板414を駆動する第1のサーボモータ411の回転方向を逆転させることにより、第1の平行板414の回転方向と第2の平行板416の回転方向とを同じ方向に回転させることも可能である。
なお、レーザ光出射ヘッド400の小型化と、レーザ光出射ヘッド400のレーザ照射範囲を広くする点から、第1の光学ユニット422と第2の光学ユニット423とは、第1の回転軸と第2の回転軸とが一致するように配置することが望ましい。また、第1の回転軸および第2の回転軸の方向は、光ファイバ300から入射された時のレーザ光LBの光軸の方向と同じであることが好ましい。さらには、第1の回転軸および第2の回転軸は、光ファイバ300から入射された時のレーザ光LBの光軸と一致することがさらに好ましい。
また、コリメートレンズ404と集光レンズ405とを通過したレーザ光LBは、第1の平行板414を透過する際に2度(第1の平行板414への入射時と第1の平行板414からの出射時)屈折する。これにより、第1の平行板414の板厚と、第1の回転軸に対する第1の平行板414の取り付け角度である第1の平行板414の傾斜角度と、第1の平行板414の屈折率によって定まる量だけ、レーザ光LBは平行にシフトする。すなわち、第1の平行板414に入射するレーザ光LBの光軸(第1の光軸)と、第1の平行板414を出射したレーザ光LBの光軸(第2の光軸)とは、方向が同じであり、位置がずれている。これは、同様の構成である第2の平行板416においても同様である。すなわち、第2の平行板416に入射するレーザ光LBの光軸(第2の光軸)と、第2の平行板416を出射したレーザ光LBの光軸(第3の光軸)とは、方向が同じであり、位置がずれている。本実施形態の第1の平行板414と第2の平行板416は、合成石英製であって、第1の回転軸(第2の回転軸)に対する傾斜角45°、屈折率は1.44963である。第1の平行平板414と第2の平行平板416の板厚tが決まると、レーザ光LBのシフト量が計算できる。例えば、t=13mmの場合、第1の平行板414を透過したレーザ光LBの光軸(第2の光軸)は、4.1mmだけシフトする。その後、レーザ光LBが第2の平行板416を透過する際にも同様に、レーザ光LBの光軸(第3の光軸)は4.1mmだけシフトする。従って、本実施形態におけるレーザ光LBの動作範囲は、半径が8.2mmの円内である。
なお、第1の平行板414及び第2の平行板416の板厚及び屈折率は、レーザ光LBの波長や、必要とされる加工条件等によって適宜変更することができ、その場合は、レーザ光LBの走査範囲も変更されうる。
本実施形態によれば、レーザ光LBの光軸を、もとの光軸の周りに所定の半径で回転させることができ、ワーク600に対して色々な形状、例えば、円弧状やらせん状や直線状にレーザ光LBを照射することができる。つまり、レーザ光出射ヘッド400は、コントローラ200からの制御信号によって、レーザ光LBをワーク600の表面で二次元的に、または三次元的に走査するように構成されている。
[レーザ溶接時のレーザ光の焦点位置制御について]
図3Aおよび図3Bは、ワークに形成された溶融池及びキーホールとレーザ光の焦点位置との関係を示し、図4は、レーザ光の焦点位置に対するワークの溶け込み深さとの関係とが関連付けられたテーブルを示す。なお、図3Aおよび図3Bにおいて、(a)図は、レーザ光LBの焦点がワーク600の表面近傍に位置する場合を、(b)図は、レーザ光LBの焦点がワーク600の内部に位置する場合をそれぞれ示す。
一般に、金属からなるワーク600をレーザ溶接する際、図3A図に示すように、レーザ光LBが照射された部分が加熱されて溶け込みを生じ、溶融池800が形成される。また、レーザ光LBが照射された部分では溶融池800を構成する材料の激しい蒸発が起こり、その反力で溶融池800の内部にキーホール810が形成される。
キーホール810が形成されると、レーザ光LBの大部分が、キーホール810の内壁面で複数回反射されながらキーホール810の内部に進入し、溶融池800に吸収される。キーホール810の内壁面で反射を繰り返すことにより、レーザ光LBが溶融池800に吸収される吸収率が向上してワーク600への入熱量が大きくなり、溶け込み深さが深くなる。また、ワーク600の材質または溶接条件によって異なり、量も少ないが、一部は、キーホール810の入口付近のキーホール壁によって反射され、反射されたレーザ光LBがキーホール810の中に入ることなく、その外へ反射されて損失となる。
また、キーホール810は、溶融池800の表面に形成されたキーホール810の開口811から溶融池800の内部に向けて延びる開放空間であるため、図3B図に示すように、レーザ光LBの焦点位置をワーク600の表面から内部に、具体的には、キーホール810の内部に達するようにすると、キーホール810の内壁面に照射されるレーザ光LBのパワー密度が高くなって溶融池800に吸収される光量が増加し、図3A図に示す場合よりも溶け込み深さを深くすることができる。また、レーザ光LBの焦点位置をキーホール810の内部に達するようにすると、図3B図に示す場合よりもキーホール810の開口811を拡げられるため、キーホール810の内部にレーザ光LBがより到達しやすくなる。なお、レーザ光LBの焦点位置がワーク600の表面から内部にあった場合、キーホール810の開口811付近においてレーザ光LBが収束した形でキーホール810の奥に入るので、キーホール810の入り口付近のキーホール壁によって反射されにくくなり、溶融池800によって吸収される光量が増加することも溶け込み深さの増加につながる。
図4は、このような関係をさらに詳しく示したものであり、ワーク600の表面を基準として、その上方、つまり、ワーク600の外側にレーザ光LBの焦点位置が移動するにつれて、ワーク600の溶け込み深さは浅くなる。一方、ワーク600の表面を基準として、その下方、つまり、ワーク600の内部の所定位置までレーザ光LBの焦点位置が移動するにつれて、ワーク600の溶け込み深さは深くなる。これは、前述したメカニズムによる。なお、所定位置よりもワーク600の内部深くにレーザ光LBの焦点位置が移動すると、ワーク600の表面でのレーザ光LBのパワー密度が低下し、溶融池800の形成初期におけるワーク600に対する入熱量が減少する。このため、溶け込み深さはかえって浅くなる。
このように、キーホール810の内部に達するように、レーザ光LBの焦点位置をワーク600の表面から内部の所定位置まで移動させることで、ワーク600の溶け込み深さを深くすることができる。
また、ワーク600の材質やレーザ光LBの出力によって、図4に示す曲線の形状は変化する。このため、記憶部210には、ワーク600の材質やレーザ光LBの出力、また、レーザ光LBの波長に関連付けられて、レーザ光LBの焦点位置に対するワーク600の溶け込み深さがテーブル形式のデータとして保存されている。なお、図4において、説明をわかりやすくするために、グラフ形式でレーザ光LBの焦点位置に対するワーク600の溶け込み深さの変化を示したが、実際には、図4に示す曲線の各プロットがデータ形式でワーク600の材質等に関連付けられている。
ワーク600をレーザ溶接するにあたって、ワーク600における溶接部位の形状と図4に示すデータとに基づいて、レーザ光LBの焦点位置を変化させることで、溶接部位の形状に応じて適切にレーザ溶接が行えるとともに、ワーク600の接合強度を高めることができる。
次に、実際にワーク600をレーザ溶接する場合のレーザ光LBの焦点位置制御に関し、図面を用いて一例を説明する。
図5は、ワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図であり、図5の上側はワーク600を表面から見た図を、図5の下側はワーク600の断面をそれぞれ示す。図5の下側に示すように、ワーク600は第1の板材710と第2の板材720とが互いに重ね合わされた積層体であり、第1の板材710と第2の板材720は、ともに鋼板である。なお、鋼板でも、異なった材質または組成の鋼板でもよい。
また、図5の上側に示すように、レーザ光LBは、らせん状の軌跡TR1を描くようにして、ワーク600の表面、この場合は第1の板材710の表面に照射される。このようにすることで、所定の溶接部位に対して満遍なくレーザ光LBを照射できる。図5に示す例は、いわゆるスポット溶接に相当する。
また、図5の下側に示すように、らせん状の軌跡TR1の中央よりも周縁に近づくにつれて、焦点位置がワーク600の内部で深くなるようにコントローラ200が焦点位置調整機構407を駆動し、レーザ光LBがワーク600に照射される。また、これに応じて、溶融領域820は、その中央よりも周縁に近づくにつれて深くなっており、具体的には、溶融領域820の中央に対して周縁で数%~20%程度深くなっている。なお、溶融領域820は、溶融池800が冷却、固化された部分に対応している。
ワーク600の表面近傍にレーザ光LBの焦点位置を設定した後、所定の軌跡を描くようにレーザ光LBを走査しながらワーク600の所定の領域をレーザ溶接する場合、走査時に焦点位置がワーク600の表面からずれなくても、軌跡の周縁において溶融池800の熱量がその周辺におけるワーク600へ伝導されるので、溶け込みが浅くなりがちである。このような場合、軌跡の周縁でワーク600が十分に溶融せず、溶融領域820が周縁で浅くなり、第1の板材710と第2の板材720との間の接合強度が所望の基準を満足しなくなるおそれがある。
また、ワーク600の精度などによってレーザ光LBの焦点位置がワーク600の表面の上側にずれた場合、溶融池800が形成されてからの軌跡の周縁においてレーザ光LBのパワー密度が高いためにスパッタが発生する場合がある。このようなスパッタがワーク600の表面に付着すると、溶接部位の外観を損ね、溶接品質を低下させるおそれがあった。
一方、本実施形態によれば、前述したようにレーザ光LBの焦点位置を制御することで、ワーク600の溶け込み形状、ひいては、溶融領域820の断面形状を制御できる。図5に示す例では、溶融領域820の周縁を十分に深くでき、第1の板材710と第2の板材720との間の接合強度を高めることができる。また、レーザ光LBの焦点位置をワーク600の表面近傍からキーホール810の内部の所定位置までの範囲で変化させるため、上記したような火花が発生せず、スパッタの発生が抑制される。このことにより、溶接部位の外観を良好なものとし、溶接品質を高められる。
また、この方法は、スポット溶接に限らず、所定の方向に沿ってワーク600を連続的にレーザ溶接する場合にも適用できる。
図6は、ワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す別の模式図であり、図6の上側はワーク600を表面から見た図を、図6の下側はワーク600の断面をそれぞれ示す。ワーク600の構造やワーク600の溶融領域820の深さとレーザ光LBの焦点位置との関係は、図5に示す例と同じである。
図5では、いわゆるスポット溶接を行う場合を示しているのに対し、図6に示す例では、らせん状の軌跡TR1を描くようにレーザ光LBを走査しながら、所定の溶接方向に沿ってワーク600を連続的にレーザ溶接している。このことにより、ワーク600に連続した溶接ビード(図示せず)が形成される。なお、レーザ光出射ヘッド400からレーザ光LBを照射しながら、コントローラ200からの制御信号によってマニピュレータ500の先端を所定の溶接方向に沿って移動させることで、ワーク600に連続した溶接ビードが形成される。
図6に示す場合も、図5に示すのと同様に、ワーク600の溶融領域820の周縁を十分に深くでき、第1の板材710と第2の板材720との間の接合強度を高めることができる。また、上記したようなスパッタの発生を抑制でき、溶接品質を高められる。
なお、図5及び図6に示した例では、ワーク600の表面でらせん状の軌跡TR1を描くようにレーザ光LBを走査したが、特にこれに限定されず、前述したように、円弧状あるいはその他の形状を描くようにレーザ光LBを走査してもよい。走査された軌跡の中央よりも周縁において、焦点位置がワーク600の内部で深くなるようにレーザ光LBをワーク600に照射することで、第1の板材710と第2の板材720との間の接合強度を高めることができる。なお、以降の説明において、ワーク600の表面に走査されるレーザ光LBの種々の形状の軌跡を第1軌跡と呼ぶことがある。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るレーザ加工装置は、レーザ光LBを発生させるレーザ発振器100と、レーザ発振器100で発生したレーザ光LBを伝送する光ファイバ300と、光ファイバ300の出射端に取付けられ、光ファイバ300から入射されたレーザ光LBをワーク600に向けて照射するレーザ光出射ヘッド400と、レーザ光出射ヘッド400が取り付けられ、レーザ光出射ヘッド400を所定の軌跡で移動させるマニピュレータ500と、レーザ光LBがワーク600の表面で二次元的に、または三次元的に走査されるようにレーザ光出射ヘッド400を制御するコントローラ200と、を少なくとも備えている。
コントローラ200は、ワーク600における溶接部位の形状に応じて、ワーク600に照射されるレーザ光LBの焦点位置を変化させるようにレーザ光出射ヘッド400を制御する。
また、レーザ光出射ヘッド400は、レーザ光LBを走査するための光走査機構424とレーザ光LBの焦点位置を変化させるための焦点位置調整機構407とを有しており、コントローラ200は、光走査機構424の動作と焦点位置調整機構407の動作とをそれぞれ制御している。
レーザ溶接装置1000をこのように構成することで、ワーク600における溶接部位の形状に応じて、ワーク600の溶け込み形状、ひいては、溶融領域820の断面形状を制御して、ワーク600の接合強度を高めることができる。
光走査機構424は、レーザ光LBの光軸を第1の光軸から第2の光軸にシフトする第1の平行板414と、第1の平行板414を第1の回転軸を中心に回転させる第1のサーボモータ411(第1の駆動部)と、第2の光軸にシフトされたレーザ光LBの光軸を第3の光軸にシフトする第2の平行板416と、第2の平行板416を第2の回転軸を中心に回転させる第2のサーボモータ418(第2の駆動部)と、を有し、第1の回転軸の方向と第2の回転軸の方向とは同一であり、コントローラ200は、第1のサーボモータ411(第1の駆動部)と第2のサーボモータ418(第2の駆動部)とを制御して、第1の平行板414と第2の平行板416とをそれぞれ独立に、または連動して回転させることでレーザ光LBを走査している。
光走査機構424をこのように構成することで、種々の軌跡を描くようにレーザ光LBをワーク600の表面に照射させることができる。また、特許文献3に開示されるようなガルバノメーターを用いる場合に比べて、小型かつ軽量の光走査機構424を実現できる。
また、コントローラ200は、レーザ光LBの焦点位置をワーク600の表面からワーク600の内部の所定位置、具体的には、ワーク600に形成されたキーホール810の内部の所定位置までの範囲で変化させるようにレーザ光出射ヘッド400に設けられた焦点位置調整機構407を制御する。
このようにすることで、レーザ溶接中におけるスパッタの発生が抑制される。このことにより、溶接部位の外観を良好なものとし、溶接品質を高められる。
レーザ溶接装置1000は、レーザ光LBの焦点位置とワーク600の溶け込み深さとがワーク600の材質に関連付けられたデータを保存する記憶部210をさらに備えており、コントローラ200は、当該データとワーク600における溶接部位の形状とに応じて、ワーク600に照射されるレーザ光LBの焦点位置を変化させるようにレーザ光出射ヘッド400を制御する。
レーザ溶接装置1000をこのように構成することで、ワーク600の材質や溶接部位の形状に応じて適切にレーザ溶接が行えるとともに、ワーク600の接合強度を高めることができ、溶接品質を向上できる。
ワーク600は互いに重ね合わされた第1の板材710及び第2の板材720であり、コントローラ200は、レーザ光LBがワーク600の表面で前述の第1軌跡を描くようにレーザ光出射ヘッド400を制御するとともに、第1軌跡の中央よりも周縁において、レーザ光LBの焦点位置がワーク600の内部で深くなるようにレーザ光出射ヘッド400を制御する。
このようにすることで、溶接部位のサイズに合わせてレーザ光LBを照射できるとともに、第1の板材710と第2の板材720との間の接合強度を高めることができる。
また、コントローラ200は、第1軌跡を描くようにレーザ光LBを走査しながら、レーザ光出射ヘッド400が取り付けられたマニピュレータ500を所定の方向に沿って移動させる。
このようにすることで、ワーク600に連続した溶接ビードを形成できる。また、ワーク600の溶け込み形状を制御して、ワーク600の接合強度を高めることができる。
また、本実施形態に係るレーザ溶接方法は、レーザ溶接装置1000を用いたレーザ溶接方法であって、レーザ光LBを二次元的に、または三次元的に走査しながらワーク600に向けて照射して、ワーク600を溶接するレーザ溶接ステップを少なくとも備えている。
レーザ溶接ステップでは、ワーク600における溶接部位の形状に応じてレーザ光LBの焦点位置を変化させるとともに、ワーク600に溶融池800及びキーホール810を形成する。また、レーザ光LBの焦点位置をワーク600の表面からキーホール810の内部の所定位置までの範囲で変化させる。
このようにすることで、ワーク600における溶接部位の形状に応じて、ワーク600の溶け込み深さを制御して、ワーク600の接合強度を高めることができる。
なお、本実施形態において、2枚の板材710,720が互いに重ね合わせられた積層体のワーク600をレーザ溶接する例を示したが、重ね合わされる板材の枚数は特にこれに限定されず、3枚以上であってもよい。
(実施形態2)
実施形態1に示したレーザ溶接装置1000を用いて、種々の構造を有するワーク600に対してレーザ溶接を行うことで、溶接部位におけるワーク600の接合強度を高めることができる。
図7Aは、本実施形態に係るワークの斜視図を示す。すなわち、T型継手である。図7Bは、ワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図であり、図7Bの上側はワーク600を表面から見た図を、図7Bの下側はワーク600の断面をそれぞれ示す。なお、図7A,7Bにおいて、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態において、図7Aに示すように、ワーク600は、第1の板材710と第2の板材720とがT字形状に継ぎ合わされた継手形状をしている。なお、実施形態1と同様に、第1の板材710及び第2の板材720は、ともに鋼板である。なお、鋼板でも、異なった材質または組成の鋼板でもよい。また、第1の板材710と第2の板材720とは互いに厚さが同じであってもよいし、異なっていてもよい。このような構造のワーク600をレーザ溶接するにあたって、図7Bに示すように、コントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御して、らせん状の軌跡TR1を描くようにレーザ光LBを走査しながら、ワーク600の継手部分の表面にレーザ光LBを照射する。
この場合、実施形態1とは異なり、らせん状の軌跡TR1の周縁よりも中央において、焦点位置がワーク600の内部で深くなるようにレーザ光LBをワーク600に照射する。具体的には、継手部分の形状に応じてレーザ光LBの焦点位置を変化させており、継手部分の端部よりも中央において、焦点位置がワーク600の内部で深くなるようにレーザ光LBをワーク600に向けて照射している。
T型継手では、下の板材、この場合は第2の板材720の接合部付近において、できるだけその表面形状に影響を与えないよう溶接することが求められる場合がある。そのため、図7Bにおいては、らせん状の軌跡TR1の周縁よりもむしろ中央で、レーザ光LBの焦点位置がワーク600の内部で深くなるようにすることで、ワーク600の接合強度を確保すると共に、下の板材の表面形状に影響を与えないようにすることができる。
なお、図示しないが、図6に示すように、らせん状の軌跡TR1を描くようにレーザ光LBを走査しながら、レーザ光出射ヘッド400が取り付けられたマニピュレータ500を継手部分の長手方向に沿って移動させることで、継手部分全体に連続した溶接ビードを形成するようにしてもよい。この場合も、実施形態1に示すのと同様に、接合強度が高められ、外観が良好な溶接ビードを形成できる。また、下の材料の表面形状に影響を与えることがない。
(実施形態3)
図8は、本実施形態に係るワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。図8の上側はワーク600を表面から見た図を、図8の下側はワーク600の断面をそれぞれ示す。なお、図8において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示すように、ワーク600は、第3の板材730の端面と第4の板材740の端面とが互いに突き合わされた突き合わせ部分を有している。なお、突き合わせ部分において、レーザ光LBが照射される面を表面と呼ぶことがある。第3の板材730及び第4の板材740は、ともに鋼板である。なお、鋼板でも、異なった材質または組成の鋼板でもよい。第4の板材740の厚さは第3の板材730の厚さよりも厚くなっている。また、突き合わせ部分において、第3の板材730の表面と第4の板材740の表面とは略面一の位置にある。
このような構造のワーク600をレーザ溶接するにあたって、図8に示すように、コントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御して、らせん状の軌跡TR1を描くようにレーザ光LBを走査しながら、ワーク600の突き合わせ部分の表面にレーザ光LBを照射する。
この場合、らせん状の軌跡TR1が第3の板材730側の周縁から第4の板材740側の周縁に進むにつれて、焦点位置がワーク600の内部で深くなるようにコントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御する。
このようにすることで、板厚の異なる第3の板材730と第4の板材740との突き合わせ部分において、溶け落ちや溶け込み深さの不足等を生じることなく、ワーク600の溶融領域820の断面形状を制御でき、ワーク600の接合強度を高めることができる。
(実施形態4)
図9は、本実施形態に係るワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。図9の上側はワーク600を表面から見た図を、図9の下側はワーク600の断面をそれぞれ示す。なお、図9において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示すように、ワーク600は、第5の板材750の端面と第6の板材760の端面とが互いに突き合わされた突き合わせ部分を有している。なお、突き合わせ部分において、レーザ光LBが照射される面を表面と呼ぶことがある。第5の板材750及び第6の板材760は、ともに鋼板である。なお、鋼板でも、異なった材質または組成の鋼板でもよい。第6の板材760の厚さは第5の板材750の厚さよりも厚くなっている。また、第6の板材760の表面は、第5の板材750の表面よりもレーザ光出射ヘッド400に近い位置にある。
このような構造のワーク600をレーザ溶接するにあたって、図9に示すように、コントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御して、らせん状の軌跡TR1を描くようにレーザ光LBを走査しながら、ワーク600の突き合わせ部分の表面にレーザ光LBを照射する。
この場合、らせん状の軌跡TR1が第5の板材750側の周縁から突き合わせ部分の継目に進むまではレーザ光LBの焦点位置が第5の板材750の表面近傍に来るようにコントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御する。
一方、らせん状の軌跡TR1が突き合わせ部分の継目から第6の板材760側の周縁に進むにつれて、焦点位置がワーク600の内部で浅くなるようにコントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御する。
このようにすることで、板厚の異なる第5の板材750と第6の板材760との突き合わせ部分において、溶け落ちや溶け込み深さの不足等を生じることなく、ワーク600の溶融領域820の断面形状を制御でき、ワーク600の接合強度を高めることができる。
(実施形態5)
図10は、本実施形態に係るワークに照射されるレーザ光の軌跡及びワークの溶融領域の深さとレーザ光の焦点位置との関係を示す模式図である。図10の上側はワーク600を表面から見た図を、図10の下側はワーク600の断面をそれぞれ示す。なお、図10において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示すように、ワーク600は、第8の板材780の一部に第7の板材770が重ね合わされた重ね合わせ部分を有している。第7の板材770及び第8の板材780は、ともに鋼板である。なお、鋼板でも、異なった材質または組成の鋼板でもよい。第8の板材780の厚さは第7の板材770の厚さよりも厚くなっているように描いているが、その逆でもよい。
このような構造のワーク600をレーザ溶接するにあたって、図10に示すように、コントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御して、らせん状の軌跡TR1を描くようにレーザ光LBを走査しながら、ワーク600の重ね合わせ部分及び当該重ね合わせ部分に隣接する第8の板材780の所定の領域にレーザ光LBを照射する。
この場合、らせん状の軌跡TR1が第8の板材780側の周縁から重ね合わせ部分の端部に進むまではレーザ光LBの焦点位置が第8の板材780の表面近傍に来るようにコントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御する。
一方、らせん状の軌跡TR1が重ね合わせ部分の端部から第7の板材770側の周縁に進むにつれて、焦点位置がワーク600の内部で浅くなるようにコントローラ200がレーザ光出射ヘッド400を制御する。
このようにすることで、第7の板材770と第8の板材780との重ね合わせ部分において、溶け落ちや重ね合わせ部分での溶け込み深さの極端な不足等を生じることなく、ワーク600の溶融領域820の断面形状を制御でき、ワーク600の接合強度を高めることができる。
(その他の実施形態)
なお、実施形態1~5において、レーザ光LBの焦点位置を変化させるために、コントローラ200がレーザ光出射ヘッド400、具体的には焦点位置調整機構407の動作を制御する例を示したが、レーザ光LBの焦点位置を変化させる手法は特にこれに限られない。
例えば、コントローラ200がマニピュレータ500を駆動して、Z方向に沿ってレーザ光出射ヘッド400の全体を変位させることで、ワーク600に照射されるレーザ光LBの焦点位置を変化させるようにしてもよい。なお、この場合、レーザ光出射ヘッド400に設けられたアクチュエータを省略することも可能である。
また、実施形態2~5において、らせん状の軌跡TR1に限られず、レーザ光LBを前述した種々の軌跡(第1軌跡)を描くように走査できることは言うまでもない。
また、ワーク600の材質は鋼板以外の材料、例えば、アルミニウム合金またはチタン合金などの構造材料や、銅またはその合金などのような電気材料でもよい。また、互いに異なる材質の板材を重ね合わせ等した構造のワーク600であってもよい。ワーク600の材質に応じて、レーザ光LBの波長や出力が適宜選択され、また、図4に示したデータから、ワーク600の溶接部位の形状に応じて、レーザ光LBの焦点位置の制御範囲が適宜決定される。
なお、レーザ溶接プログラムに、ワーク600の材質やワーク600の溶接部位の形状に関連付けられて、レーザ光LBの焦点位置を変化させる手順や制御範囲が記述されていてもよい。その場合、図5に示すデータを記憶部210に別個に保存しなくてもよい。
また、レーザ光LBを走査させる機構は図2に示した構成に特に限定されず、他の構成であってもよい。例えば、従来の3軸ガルバスキャナを用いてレーザ光LBを走査するようにしてもよい。
本開示のレーザ溶接装置は、ワークの溶接部位の形状に応じて、溶け込み形状を制御できるため、種々の材質あるいは形状を有するワークを加工する上で有用である。
100 レーザ発振器
200 コントローラ
210 記憶部
300 光ファイバ
400 レーザ光出射ヘッド
404 コリメートレンズ
405 集光レンズ
406 スライダ
407 焦点位置調整機構
411 第1のサーボモータ(第1の駆動部)
412 第1のタイミングベルト(第1の回転部材)
413 第1のタイミングベルトプーリー(第1の伝達部材)
414 第1の平行板
416 第2の平行板
417 第2のタイミングベルトプーリー(第2の伝達部材)
418 第2のサーボモータ(第2の駆動部)
419 第2のタイミングベルト(第2の回転部材)
420 第1の回転機構
421 第2の回転機構
422 第1の光学ユニット
423 第2の光学ユニット
424 光走査機構
500 マニピュレータ
600 ワーク
710~780 第1~第8の板材
800 溶融池
810 キーホール
820 溶融領域
1000 レーザ溶接装置
LB レーザ光
TR1 らせん状の軌跡

Claims (15)

  1. レーザ光を発生させるレーザ発振器と、
    前記レーザ発振器で発生した前記レーザ光を伝送する光ファイバと、
    前記光ファイバの出射端に取付けられ、前記光ファイバから入射された前記レーザ光をワークに向けて照射するレーザ光出射ヘッドと、
    前記レーザ光出射ヘッドが取り付けられ、前記レーザ光出射ヘッドを所定の軌跡で移動させるマニピュレータと、
    前記レーザ光が前記ワークの表面で二次元的に、または三次元的に走査されるように前記レーザ光出射ヘッドを制御するコントローラと、
    前記レーザ光の焦点位置と前記ワークの溶け込み深さとが前記ワークの材質に関連付けられたデータを保存する記憶部と、を少なくとも備え、
    前記コントローラは、前記ワークにおける溶接部位の形状と前記データとに応じて、前記ワークに照射される前記レーザ光の焦点位置を変化させるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  2. 請求項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記レーザ光出射ヘッドは、前記レーザ光の焦点位置を変化させるための焦点位置調整機構を少なくとも有しており、
    前記コントローラは、前記焦点位置調整機構の動作を制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  3. 請求項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記コントローラは、前記マニピュレータを駆動して、前記レーザ光出射ヘッドから照射された前記レーザ光の光軸と平行な方向に沿って前記レーザ光出射ヘッドを変位させることで、前記ワークに照射される前記レーザ光の焦点位置を変化させることを特徴とするレーザ溶接装置。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記レーザ光出射ヘッドは、前記レーザ光を走査するための光走査機構をさらに有し、
    前記コントローラは、前記光走査機構の動作を制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記コントローラは、前記レーザ光の焦点位置を前記ワークの表面から前記ワークの内部の所定位置までの範囲で変化させるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記ワークは互いに重ね合わされた複数の板材であり、
    前記コントローラは、前記レーザ光が前記ワークの表面で所定の第1軌跡を描くように前記レーザ光出射ヘッドを制御するとともに、前記第1軌跡の中央よりも周縁において、前記レーザ光の焦点位置が前記ワークの内部で深くなるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記ワークは互いに重ね合わされた複数の板材であり、
    前記コントローラは、前記レーザ光が前記ワークの表面で所定の第1軌跡を描くように前記レーザ光出射ヘッドを制御するとともに、前記第1軌跡の中央よりも周縁に近づくにつれて、前記レーザ光の焦点位置が前記ワークの内部で深くなるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記ワークは2つの板材がT字形状に継ぎ合わされた継手部分を有しており、
    前記コントローラは、前記レーザ光が前記ワークの継手部分の表面で所定の第1軌跡を描くように前記レーザ光出射ヘッドを制御するとともに、前記継手部分の端部よりも中央において、前記レーザ光の焦点位置が前記ワークの内部で深くなるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記ワークは第3の板材と前記第3の板材よりも厚い第4の板材とが互いに突き合わされてなるとともに、突き合わせ部分において前記第3の板材の表面と前記第4の板材の表面とが略面一であり、
    前記コントローラは、前記レーザ光が前記突き合わせ部分の表面で所定の第1軌跡を描くように前記レーザ光出射ヘッドを制御するとともに、前記第1軌跡が前記第3の板材側から前記第4の板材側に進むにつれて前記レーザ光の焦点位置が前記ワークの内部で深くなるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  10. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記ワークは第5の板材と前記第5の板材よりも厚い第6の板材とが互いに突き合わされてなるとともに、突き合わせ部分において前記第6の板材の表面が前記第5の板材の表面よりも前記レーザ光出射ヘッドに近い位置にあり、
    前記コントローラは、前記レーザ光が前記突き合わせ部分の表面で所定の第1軌跡を描くように前記レーザ光出射ヘッドを制御するとともに、前記第1軌跡が前記第5の板材側の周縁から前記突き合わせ部分の継目に進むまでは前記レーザ光の焦点位置が前記第5の板材の表面近傍である一方、前記第1軌跡が前記突き合わせ部分の継目から前記第6の板材側の周縁に進むにつれて、前記レーザ光の焦点位置が前記ワークの内部で浅くなるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  11. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記ワークは第8の板材の一部に前記第8の板材よりも薄い第7の板材が重ね合わされた重ね合わせ部分を有しており、
    前記コントローラは、前記レーザ光が前記重ね合わせ部分から前記第8の板材の表面にかけて所定の第1軌跡を描くように前記レーザ光出射ヘッドを制御するとともに、前記第1軌跡が前記第8の板材側の周縁から前記重ね合わせ部分の端部に進むまでは前記レーザ光の焦点位置が前記第8の板材の表面近傍である一方、前記第1軌跡が前記重ね合わせ部分の端部から前記第7の板材側の周縁に進むにつれて、前記レーザ光の焦点位置が前記ワークの内部で浅くなるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
  12. 請求項ないし11のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置において、
    前記コントローラは、前記第1軌跡を描くように前記レーザ光を走査しながら、前記レーザ光出射ヘッドが取り付けられた前記マニピュレータを所定の方向に沿って移動させることを特徴とするレーザ溶接装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置を用いたレーザ溶接方法であって、
    前記レーザ光を二次元的に、または三次元的に走査しながら前記ワークに向けて照射して、前記ワークを溶接するレーザ溶接ステップを少なくとも備え、
    前記レーザ溶接ステップでは、前記ワークにおける溶接部位の形状に応じて前記レーザ光の焦点位置を変化させるとともに、前記ワークに溶融池及びキーホールを形成することを特徴とするレーザ溶接方法。
  14. 請求項13に記載のレーザ溶接方法において、
    前記レーザ溶接ステップでは、前記レーザ光の焦点位置を前記ワークの表面から前記キーホールの内部の所定位置までの範囲で変化させることを特徴とするレーザ溶接方法。
  15. レーザ光を発生させるレーザ発振器と、
    前記レーザ発振器で発生した前記レーザ光を伝送する光ファイバと、
    前記光ファイバの出射端に取付けられ、前記光ファイバから入射された前記レーザ光をワークに向けて照射するレーザ光出射ヘッドと、
    前記レーザ光出射ヘッドが取り付けられ、前記レーザ光出射ヘッドを所定の軌跡で移動させるマニピュレータと、
    前記レーザ光が前記ワークの表面で二次元的に、または三次元的に走査されるように前記レーザ光出射ヘッドを制御するコントローラと、を少なくとも備え、
    前記ワークは互いに重ね合わされた複数の板材であり、
    前記コントローラは、前記レーザ光が前記ワークの表面で所定の第1軌跡を描くように前記レーザ光出射ヘッドを制御するとともに、前記第1軌跡の中央よりも周縁において、前記レーザ光の焦点位置が前記ワークの内部で深くなるように前記レーザ光出射ヘッドまたは前記マニピュレータを制御することを特徴とするレーザ溶接装置。
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