JP7380301B2 - 液晶硬化物積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶硬化物層を含む、液晶硬化物積層体に関する。本発明はまた、液晶硬化物層を含む、液晶硬化物積層体の製造方法に関する。
液晶化合物を含む液晶組成物を硬化させて液晶硬化物とし、これを光学異方性を有するフィルムとして使用することが従来より行われている。例えば、配向規制力のある支持基材に液晶組成物を塗布して、液晶化合物を配向させた状態でこれを硬化させることにより、液晶硬化物のフィルムが得られる。このようなフィルムは、例えば円偏光分離、位相差板などの機能を発現しうることから、光学フィルムや加飾素材などの様々な用途に使用されうる。このようなフィルムは、通常機械的強度が弱いので、強度を補う基材の表面上に積層された状態で用いられる。液晶組成物の硬化に際して使用する支持基材は、その性質が、最終的な製品の使用目的と適合しない場合があり、また支持基材の表面で液晶組成物を硬化させて得られた液晶硬化物は、そのままでは支持基材への付着性が不十分であることが多い。そのため、液晶硬化物の層を、他の基材に転写することが行われる(例えば特許文献1)。
特開2019-188740号公報
特許文献1では、液晶硬化物層と支持基材とは、特定の接着層を介して貼合され、それにより高い付着性を得ている。従来技術において、そのような接着層を介さずに液晶硬化物層を支持基材に直接貼合した場合、十分な付着性が得られない。したがって、液晶硬化物層が支持基材に直接貼合され且つ十分な付着性を有する積層体はこれまで得られていない。一方、接着層はある程度の厚みを有し、また一般的に接着層は経時劣化を起こしやすいため、接着層を設けた場合、得られる積層体の厚みが不所望に増し、また積層体の耐久性が低下しうる。また、接着層を設けるための工程が必要となり、それによるコストが必要となる。
したがって、本発明の目的は、基材と液晶硬化物層とを有する液晶硬化物積層体であって、単純な構成を有し、耐久性が高く、厚みが薄い積層体を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、基材と液晶硬化物層とを有する液晶硬化物積層体であって、単純な構成を有し、耐久性が高く、厚みが薄い積層体を容易に製造しうる製造方法を提供することにある。
本発明によれば、下記が提供される。
〔1〕 基材Aと、前記基材Aの表面上に直接設けられた液晶硬化物層とを備える、液晶硬化物積層体であって、
前記液晶硬化物層は、重合性液晶化合物を配向させ、重合させてなる硬化物の層であり、
前記液晶硬化物層の、前記基材Aへの付着性が、JIS K5600-5-6による付着性試験における分類1以上の高さである、液晶硬化物積層体。
〔2〕 前記液晶硬化物層が、コレステリック規則性を有する樹脂の層である、〔1〕に記載の液晶硬化物積層体。
〔3〕 前記基材Aを構成する材料が、脂環式構造含有重合体を含む樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ガラス又はこれらの組み合わせである、〔1〕又は〔2〕に記載の液晶硬化物積層体。
〔4〕 基材Aと、基材Aの表面上に直接設けられた液晶硬化物層とを備える、液晶硬化物積層体の製造方法であって、
工程1:基材Bの表面上に、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、前記液晶組成物の層を形成する工程、
工程2:前記液晶組成物の層中の前記重合性液晶化合物を配向させる工程、
工程3:酸素を含む雰囲気下で、前記液晶組成物の層にエネルギー線を照射して、前記液晶組成物の層を硬化させ、液晶硬化物層とし、前記基材B及び前記液晶硬化物層を備える複層物を得る工程、及び
工程4:前記液晶硬化物層側の面と前記基材Aとが接する向きで前記複層物と前記基材Aとを圧着する工程
を、この順に含む製造方法。
〔5〕 前記工程4の後に、前記基材Bを前記液晶硬化物層から剥離する工程5をさらに含む、〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕 前記工程3で得られる前記複層物の、前記液晶硬化物層側の表面が、タック性を有する、〔4〕又は〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕 前記工程3における前記エネルギー線が紫外線であり、その照射量が100mJ/cm以上である、〔4〕~〔6〕のいずれか1項に記載の製造方法。
〔8〕 前記工程4の後に、前記液晶硬化物層にエネルギー線を追加照射する工程6をさらに含む、〔4〕~〔7〕のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明によれば、基材と液晶硬化物層とを有する液晶硬化物積層体であって、単純な構成を有し、耐久性が高く、厚みが薄い積層体を提供することができる。
本発明によればさらに、基材と液晶硬化物層とを有する液晶硬化物積層体であって、単純な構成を有し、耐久性が高く、厚みが薄い積層体を容易に製造しうる製造方法を提供することができる。特に、本発明の製造方法によれば、液晶硬化物層のタック性を利用しながら、液晶硬化物層における配向の乱れが抑制された、高品質の液晶硬化物積層体を、容易に製造することができる。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」、「メタクリル」、又はそれらの混合物を意味する。「(チオ)エポキシ」は、「エポキシ」、「チオエポキシ」、又はそれらの混合物を意味する。また、「イソ(チオ)シアネート」とは、「イソシアネート」、「イソチオシアネート」、又はそれらの混合物を意味する。
以下の説明において、接着層とは、接着剤の層であり、接着剤とは、別に断らない限り、狭義の接着剤(エネルギー線照射後、あるいは加熱処理後、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa~500MPaである接着剤)のみならず、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満である粘着剤をも包含する。
〔液晶硬化物積層体の概要〕
本発明の液晶硬化物積層体は、基材Aと、基材Aの表面上に直接設けられた液晶硬化物層とを備える。
〔基材A〕
本発明の製造方法にて液晶硬化物積層体を製造する場合、基材Aの表面は、重合性液晶化合物を配向させる配向規制力を有する必要は無く、接着層のような高いタック性を有する必要も無い。したがって、基材Aの材料は、そのような表面の性能を付与しうるものに限定されない。そのため、基材Aの材料としては、製品である液晶硬化物積層体に所望の物性を与えうる材料を、幅広い選択肢から選択しうる。
基材Aの材料の具体例としては、脂環式構造含有重合体を含む樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ガラス及びこれらの組み合わせが挙げられる。中でも、光学的性質及び機械的性質に優れることから、脂環式構造含有重合体を含む樹脂が好ましい。脂環式構造含有重合体、及び樹脂の任意成分、及びそれらの割合等の、基材Aを構成する材料の具体例としては、特開2019-188740号公報に記載されるものが挙げられる。特に、脂環式構造含有重合体を含む樹脂の好ましい具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア」;JSR社製「アートン」;TOPAS ADVANCED POLYMERS社製「TOPAS」などのシクロオレフィンポリマー含有樹脂が挙げられる。アクリル樹脂のなかでは、光学的性質及び機械的性質に優れることから、特にポリメチルメタクリレート樹脂が好ましい。
基材Aはその表面に設けられた接着向上層を含むものであってもよい。その場合、接着向上層側の表面を、液晶硬化物層が設けられる表面としうる。
接着向上層の例としては、基材の表面に設けることで、基材と他の材料との接着剤を介した接着力を向上しうる層として既知の各種の層、及び、基材の表面に設けることで、基材とインキの層との接着力を向上しうる層として既知の各種の層が挙げられる。
接着向上層のより具体的な例としては、基材表面にコーティングした易接着層が挙げられる。基材Aとして用いうる、易接着層を備えたフィルムの例としては、各種の市販の、易接着層を設けたポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム基材が挙げられる。その具体例としては、コスモシャインA4100及びA4300(東洋紡製)、ルミラーU34(東レ製)、並びにダイアホイルO-100E及びT-600E(三菱ガス化学)が挙げられる。これらのフィルムに設けられた接着向上層は、固体状でかつタック性がないため、液晶硬化物層の表面が完全に硬化されている場合には基材Aと液晶硬化物層との間に十分な接着力は得られないが、本発明の製造方法を用いた場合には所望の接着力を得ることができる。
基材Aは、付着性向上のために、その液晶硬化物層を設ける側の表面に、表面処理を施したものであってもよい。かかる表面処理の具体例としては、コロナ処理、及び鹸化処理が挙げられる。例えば基材Aがトリアセチルセルロースのフィルムである場合、その表面を鹸化処理することが、付着性向上の観点から特に好ましい。
基材Aの厚みは、特に限定されず、用途に応じた所望の厚みとしうる。液晶硬化物積層体を光学部材として用いる場合、基材Aの厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。
〔液晶硬化物層〕
液晶硬化物層は、重合性液晶化合物を配向させ、重合させてなる硬化物の層である。具体的には、液晶硬化物層は、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を層の状態とし、層中の重合性液晶化合物を配向させ、重合させることにより形成しうる。
液晶組成物は、コレステリック液晶組成物であることが好ましい。コレステリック液晶組成物とは、当該液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物を配向させた場合に、重合性液晶化合物がコレステリック規則性を有した液晶相(コレステリック液晶相)を呈しうる組成物をいう。液晶組成物の層において分子が「コレステリック規則性を有する」とは、層中の分子が、以下に述べる特定の規則性を有することをいう。層内の分子がコレステリック規則性を有する場合、分子は、層内において、多数の分子の層をなす態様で整列する。それぞれの分子の層において、分子は、分子軸が一定の配向方向になるよう並ぶ。液晶組成物の層の内部のある第一の平面における配向方向に対して、当該第一の平面に重なる次の第二の平面における配向方向は、少し角度をなしてずれる。当該第二の平面にさらに重なる次の第三の平面における配向方向は、第二の平面における配向方向から、さらに少し角度をなしてずれる。このように、重なって配列している複数の平面において、当該平面中の分子軸の角度が順次ずれて(ねじれて)いく。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
液晶組成物としてコレステリック液晶組成物を用いると、液晶組成物の層を形成した場合に、当該層において重合性液晶化合物がコレステリック液晶相を呈しうる。よって、この液晶組成物を硬化させる際、重合性液晶化合物がコレステリック液晶相を呈した状態で重合するので、液晶硬化物層として、コレステリック樹脂層、即ちコレステリック規則性を有する樹脂の層を得うる。コレステリック規則性を有する樹脂の層は、コレステリック規則性を有し、且つそれ自体は非液晶性の層である。
コレステリック樹脂層は、通常、円偏光分離機能を有する。すなわち、右円偏光及び左円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ、他方の円偏光の一部又は全部を反射させる性質を有する。このような液晶硬化物層における反射は、円偏光を、そのキラリティを維持したまま反射する。
重合性液晶化合物としては、光重合性液晶化合物が好ましい。光重合性液晶化合物としては、それ自体、又はそれと重合開始剤との組み合わせが、エネルギー線を照射することによって重合しうるものを、任意に用いうる。中でも、コレステリック液晶組成物に好適に用いられる光重合性液晶化合物としては、1分子中に2つ以上の反応性基を有する棒状液晶化合物が好ましく、式(1)で表される化合物が特に好ましい。
3-C3-D3-C5-M-C6-D4-C4-R4 式(1)
式(1)において、R3及びR4は、反応性基であり、それぞれ独立して、(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。これらの反応性基を有することにより、液晶組成物を硬化させた際に、機械的強度の高い液晶硬化物層を得ることができる。
式(1)において、D3及びD4は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1個~20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1個~20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。
式(1)において、C3~C6は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-S-、-S-S-、-CO-、-CS-、-OCO-、-CH2-、-OCH2-、-CH=N-N=CH-、-NHCO-、-O-(C=O)-O-、-CH-(C=O)-O-、及び-CHO-(C=O)-からなる群より選択される基を表す。
式(1)において、Mは、メソゲン基を表す。具体的には、Mは、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類からなる群から選択された互いに同一又は異なる2個~4個の骨格が、-O-、-S-、-S-S-、-CO-、-CS-、-OCO-、-CH2-、-OCH2-、-CH=N-N=CH-、-NHCO-、-O-(C=O)-O-、-CH2-(C=O)-O-、及び-CH2O-(C=O)-等の結合基によって結合された基を表す。
前記メソゲン基Mが有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1個~10個のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、-O-R5、-O-C(=O)-R5、-C(=O)-O-R5、-O-C(=O)-O-R5、-NR5-C(=O)-R5、-C(=O)-NR5、または-O-C(=O)-NR5が挙げられる。ここで、R5及びRは、水素原子又は炭素数1個~10個のアルキル基を表す。R及びRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR6-C(=O)-、-C(=O)-NR6-、-NR6-、または-C(=O)-が介在していてもよい(ただし、-O-および-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6は、水素原子または炭素数1個~6個のアルキル基を表す。
前記「置換基を有してもよい炭素数1個~10個のアルキル基」における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個~6個のアルコキシ基、炭素原子数2個~8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3個~15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2個~7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2個~7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2~7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
また、前記の棒状液晶化合物は、非対称構造であることが好ましい。ここで非対称構造とは、式(1)において、メソゲン基Mを中心として、R3-C3-D3-C5-M-と-M-C6-D4-C4-R4とを対比すると、これらが異なる構造のことをいう。棒状液晶化合物として非対称構造のものを用いることにより、配向均一性をより高めることができる。
棒状液晶化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物(B1)~(B10)が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
Figure 0007380301000001
Figure 0007380301000002
液晶組成物が上述した棒状液晶化合物を含む場合、当該液晶組成物は、棒状液晶化合物に組み合わせて、配向助剤として、式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。
1-A1-B-A2-R2 (2)
式(2)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1個~20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数1個~20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、任意の結合基が介在していてもよい(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。
前記アルキル基及びアルキレンオキサイド基は、置換されていないか、若しくはハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。さらに、前記ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基は、炭素原子数1個~2個のアルキル基、及びアルキレンオキサイド基と結合していてもよい。
1及びR2として好ましい例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基が挙げられる。
また、R1及びR2の少なくとも一方は、反応性基であることが好ましい。R1及びR2の少なくとも一方として反応性基を有することにより、前記式(2)で表される化合物が硬化時に液晶硬化物層中に固定され、より強固な層を形成することができる。ここで反応性基とは、例えば、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びアミノ基を挙げることができる。
式(2)において、A1及びA2はそれぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキセン-1,4-イレン基、4,4’-ビフェニレン基、4,4’-ビシクロヘキシレン基、及び2,6-ナフチレン基からなる群より選択される基を表す。前記1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキセン-1,4-イレン基、4,4’-ビフェニレン基、4,4’-ビシクロヘキシレン基、及び2,6-ナフチレン基は、置換されていないか、若しくはハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個~10個のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換基で1つ以上置換されていてもよい。A1及びA2のそれぞれにおいて、2以上の置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
1及びA2として特に好ましいものとしては、1,4-フェニレン基、4,4’-ビフェニレン基、及び2,6-ナフチレン基からなる群より選択される基が挙げられる。これらの芳香環骨格は脂環式骨格と比較して比較的剛直であり、棒状液晶化合物のメソゲンとの親和性が高く、配向均一性がより高くなる。
式(2)において、Bは、単結合、-O-、-S-、-S-S-、-CO-、-CS-、-OCO-、-CH-、-OCH-、-CH=N-N=CH-、-NHCO-、-O-(C=O)-O-、-CH2-(C=O)-O-、及び-CHO-(C=O)-からなる群より選択される。
Bとして特に好ましいものとしては、単結合、-O-(C=O)-及び-CH=N-N=CH-が挙げられる。
式(2)で表される化合物として特に好ましい具体例としては、下記の化合物(A1)~(A10)が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
Figure 0007380301000003
上記化合物(A3)において、「*」はキラル中心を表す。
(式(2)で表される化合物の合計重量)/(棒状液晶化合物の合計重量)で示される重量比は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上であり、好ましくは1以下、より好ましくは0.65以下である。前記の重量比を前記下限値以上にすることにより、液晶組成物の層において配向均一性を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、配向均一性を高くできる。また、液晶組成物の液晶相の安定性を高くできる。さらに、液晶組成物の屈折率異方性Δnを高くできるので、例えば、円偏光の選択反射性能等の所望の光学的性能を有する液晶硬化物層を安定して得ることができる。ここで、式(2)で表される化合物の合計重量とは、式(2)で表される化合物を1種類のみ用いた場合にはその重量を示し、2種類以上を用いた場合には合計の重量を示す。同様に、棒状液晶化合物の合計重量とは、棒状液晶化合物を1種類のみ用いた場合にはその重量を示し、2種類以上を用いた場合には合計の重量を示す。
また、式(2)で表される化合物と棒状液晶化合物とを組み合わせて用いる場合、式(2)で表される化合物の分子量が600未満であることが好ましく、棒状液晶化合物の分子量が600以上であることが好ましい。これにより、式(2)で表される化合物が、それよりも分子量の大きい棒状液晶化合物の隙間に入り込むことができるので、配向均一性を向上させることができる。
液晶組成物は、重合開始剤を含みうる。重合開始剤としては、紫外線等のエネルギー線によってラジカル又は酸を発生させうる化合物が使用しうる。照射の制御の容易性等の観点から、紫外線による重合を行える重合開始剤が特に好ましい。本発明の製造方法において、酸素による重合阻害を利用する観点からは、ラジカル重合開始剤が好ましい。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2-ジエトキシアセトフェノン、β-アイオノン、β-ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α-アミルシンナミックアルデヒド、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-クロロベンゾフェノン、pp’-ジクロロベンゾフェノン、pp’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6-メトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、アントラセンベンゾフェノン、α-クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1-クロルメチルナフタレン、並びに1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(o-ベンゾイルオキシム)]及び1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン1-(o-アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物が挙げられる。一方カチオン重合開始剤の具体例としては、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3-メチル-2-ブチニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル-(p-フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。また、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて、光増感剤又は重合促進剤としての三級アミン化合物を用いて、硬化性をコントロールしてもよい。
重合開始剤として、市販品を利用できる。市販品としては、「N-1414」、「N-1717」、「N-1919」、「PZ-408」、「NCI-831」、「NCI-930」(ADEKA社製);「イルガキュアー369」、「イルガキュアー907」、「イルガキュアー OXE 01」、「イルガキュアー OXE 02」、「イルガキュアー379 EG」(BASF社製);等が挙げられる。
液晶組成物は、更に、キラル剤、界面活性剤、及びその他の任意の成分を含みうる。これらの具体例及びその含有割合の例としては、例えば特開2019-188740号公報に例示されるものが挙げられる。
液晶硬化物層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.7μm以上、更に好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは7.0μm以下、更に好ましくは5.0μm以下である。液晶硬化物層の厚みが前記範囲の下限値以上であることにより、有効な光学特性を得ることができ、例えば液晶硬化物層を円偏光分離機能を有する層とする場合、選択反射帯域の円偏光を効果的に反射できる。さらに、液晶硬化物層の厚みが前記範囲の上限値以下であることにより、選択反射帯域以外の波長帯域の光の透過性を高められる。
液晶硬化物層を光学的用途に用いる観点から、液晶硬化物層は、曇りの無い透明な層であることが好ましい。具体的には、液晶硬化物層のヘーズを測定した場合、その値が2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがさらに好ましく、1.0%以下であることが最も好ましい。液晶硬化物中の分子の配向が不十分であるとヘーズが増加し、外観の透明さが損なわれうる。液晶硬化物積層体の製造方法として、本発明の製造方法を採用することにより、このようなヘーズの低い液晶硬化物層を有する液晶硬化物積層体を、容易に製造することができる。
〔付着性〕
本発明の液晶硬化物積層体において、液晶硬化物層は、基材Aの表面上に直接設けられる。直接とは、液晶硬化物層と基材Aとの間に、それら以外の層を介さないという意味であり、具体的には、液晶硬化物層及び基材Aは、それらの間に、接着層、又は液晶配向層等の、液晶硬化物層の形成に用いられる構造的な層を介さない。
本発明の液晶硬化物積層体における、液晶硬化物層の基材Aへの付着性は、JIS K5600-5-6による付着性試験における分類1以上の高さである。即ち、本発明の液晶硬化物積層体の基材Aと液晶硬化物層との付着性を、JIS K5600-5-6(1999)「付着性(クロスカット法)」に従い、分類0~分類5の6段階で評価した場合、分類0又は分類1に該当する結果となる。付着性はより好ましくは分類0の高さである。より具体的な試験方法は、本願実施例に記載の通りとしうる。
液晶硬化物層が基材Aの表面上に直接設けられる構造を有し、且つこのような高い付着性を有する液晶硬化物積層体は、これまで得られていなかった。本発明の液晶硬化物積層体は、このような液晶硬化物層と基材との直接の接触による高い付着性を有することにより、単純な構成を有しながら、耐久性が高く、厚みが薄い積層体とすることができる。
〔任意の構成要素〕
本発明の液晶硬化物積層体は、基材A及び液晶硬化物層に加えて、任意の構成要素を備えうる。
例えば、液晶硬化物積層体は、基材Aの、液晶硬化物層とは反対側の表面上に設けられた、追加の層を備えうる。かかる追加の層は、例えば、基材Aと共に液晶硬化物積層体の機械的強度を補う層であってもよく、液晶硬化物積層体にさらなる光学的機能を付加する層であってもよい。
また例えば、液晶硬化物積層体は、液晶硬化物層の、基材Aとは反対側の表面上に設けられた、追加の層を備えうる。かかる追加の層は、例えば、液晶硬化物層を保護する層としうる。かかる層は、後述する製造方法に用いる基材Bをそのまま用いてもよく、基材Bの剥離後に設けられた他の離型フィルムであってもよい。
〔液晶硬化物積層体の用途〕
本発明の液晶硬化物積層体は、液晶硬化物層の光学異方性を利用した光学部材として使用しうる。光学部材の具体的としては、円偏光分離フィルム、位相差板、光学的な効果を有する加飾素材等が挙げられる。
〔液晶硬化物積層体の製造方法〕
本発明の液晶硬化物積層体の製造方法は、基材Aと、基材Aの表面上に直接設けられた液晶硬化物層とを備える液晶硬化物積層体の製造方法であって、下記工程1~工程4をこの順に含む。
工程1:基材Bの表面上に、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、液晶組成物の層を形成する工程
工程2:液晶組成物の層中の重合性液晶化合物を配向させる工程
工程3:酸素を含む雰囲気下で、液晶組成物の層にエネルギー線を照射して、液晶組成物の層を硬化させ、液晶硬化物層とし、基材B及び液晶硬化物層を備える複層物を得る工程
工程4:液晶硬化物層側の面と基材Aとが接する向きで複層物と基材Aとを圧着する工程
本発明の液晶硬化物積層体の製造方法は、任意の工程として、下記工程5、工程6又はこれらの両方を含みうる。
工程5:工程4の後に、基材Bを液晶硬化物層から剥離する工程
工程6:工程4の後に、液晶硬化物層にエネルギー線を追加照射する工程
本発明の液晶硬化物積層体の製造方法によれば、液晶硬化物層が基材Aの表面上に直接設けられる構造を有し、且つ高い付着性(例えば、JIS K5600-5-6による付着性試験における分類1以上)を有する液晶硬化物積層体を、容易に得ることができる。
〔基材B〕
基材Bとしては、本発明の製造方法の実施に適した性質を有する、板状又はフィルム状の基材を適宜選択して使用しうる。基材Bを構成する材料としては、その表面において配向規制力を有し、且つ液晶組成物に対する耐久性を有する基材を適宜選択しうる。配向規制力を有することにより、重合性液晶化合物の配向方向を規制し、良好に配向した液晶硬化物層を得ることができる。液晶組成物に対する耐久性とは、具体的には、液晶組成物をその表面に塗布した際に液晶組成物を構成する溶媒等の成分により浸食される度合いが、本発明の製造方法の実施が可能な程度に低いことを意味する。基材Bは、単一の層からなってもよく、複数の層からなってもよい。
基材Bを構成する材料としては、基材Aを構成する材料として例示したもののうち、表面に配向規制力の付与が可能であり液晶組成物に対する耐久性を有するものを適宜選択して用いうる。具体的には、PET樹脂、脂環式構造含有重合体を含む樹脂等のプラスチック材料を用いうる。
基材Bは、その表面において、配向膜を有していてもよい。例えば基材Bは、上に述べたプラスチック材料と、その表面上に設けられた配向膜とを備える基材としうる。
工程1に先立ち、基材Bには、配向規制力付与及び表面濡れ性の改善等のための処理を行いうる。具体的には、ラビング処理、延伸処理等の配向規制力付与の処理を行いうる。
〔工程1及び工程2〕
工程1において用いる液晶組成物及びそれに含まれる重合性液晶化合物としては、上に述べたものを適宜採用しうる。特に、酸素による重合阻害が発生するものとして、ラジカル重合により重合が達成されるものが好ましい。具体的には、重合性液晶化合物及び任意成分としての重合開始剤として、ラジカル重合により重合反応が進行するものを適宜選択しうる。
工程1における塗布の様式の例としては、ワイヤーバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スライドコート法、及びエクストルージョンコート法が挙げられる。塗布により形成される液晶組成物の層の厚みは、製品たる液晶硬化物積層体における液晶硬化物層の厚みが所望の厚みとなるよう適宜調整しうる。
重合性液晶化合物の配向は、塗布後直ちに達成される場合は、工程2の具体的な操作は必要無いが、必要に応じて、液晶組成物の層の加熱等の工程を行いそれにより配向を達成してもよい。また例えば、液晶組成物が溶媒を含む場合は、工程2において加熱を行い、溶媒を揮発させることが好ましい。
〔工程3〕
工程3におけるエネルギー線の照射は、酸素を含む雰囲気下で行う。酸素を含む雰囲気下で照射を行うことにより、得られる液晶硬化物層の表面に、容易にタック性を付与することができる。この点について具体的に説明すると、基材B上に設けられた液晶組成物の層は、その一方の面が基材Bに接し、他方の面が露出し雰囲気中の気体に接する。ここで、液晶組成物として、その成分の重合が酸素により妨げられる性質を有するものを用い、且つ酸素を含む雰囲気下で照射を行うことにより、液晶組成物の層の、露出表面においてのみ重合が阻害される態様で、重合反応を達成することができる。その結果、得られる液晶硬化物層においては、その露出表面からの深さが浅い領域のみにおいて、重合度が低くタック性を有する部分が形成され、それよりも深い領域において、重合度が高く十分な硬度を有する部分が形成される。
工程3において用いるエネルギー線としては、光重合性液晶化合物の重合に適したものを適宜選択しうる。具体的には、可視光線、紫外線、及び赤外線等のエネルギー線を採用しうる。重合開始剤の利用が容易である観点及び照射の制御の容易性等の観点から、紫外線が特に好ましい。
工程3で紫外線を照射する場合における紫外線照射量は、100mJ/cm以上であることが好ましく、200mJ/cm以上であることがより好ましく、300mJ/cm以上であることが最も好ましい。紫外線照射量を前記下限以上とすることにより、工程4における液晶硬化物層中での分子の配向の乱れを抑制することができ、液晶硬化物層の白化及び色相むらの発生を抑制することができる。紫外線照射量の上限は、液晶硬化物層の表面に所望のタック性を維持しうる範囲としうる。また、照射量の上限は、生産性の観点から5000mJ/cm以下が好ましく、3500mJ/cm以下であることがより好ましい。
工程3の照射時の雰囲気中の酸素濃度は、液晶硬化物層の表面のタック性を保持しうる観点からは、1%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。また、容易に雰囲気を確保できる点からは空気中の酸素濃度、すなわち約21%が特に好ましい。上限は特に限定されず、例えば100%であってもよい。
工程3を実施する際には、液晶組成物の層及び硬化の結果形成される液晶硬化物層の温度を、所望の範囲に制御することが好ましい。かかる温度の制御を行うことにより、液晶硬化物層の表面における不所望な重合の進行を抑制し、液晶硬化物層の表面のタック性を保持することができる。具体的には、液晶組成物の層は、通常エネルギー線の照射により加熱されるので、冷却を行うことが好ましい。冷却により、15℃~30℃程度の温度を維持することが好ましい。より具体的には、水平に載置した板の上面に所定の温度の少量の水を張り、その上に基材B及び液晶組成物の層を含む複層物を、基材B側の面を下向きとするよう被せ、それにより、水の層を介して複層物を載置することにより、かかる冷却を達成することができる。また、別の態様として、所定の温度に制御されたロール表面に前記複層物を、基材B側の面が接するように密着させることによってもかかる冷却を達成することができる。
工程3の実施の結果、液晶組成物の層が硬化し液晶硬化物層となり、基材B及び液晶硬化物層を備える複層物が得られる。好ましくは、複層物の液晶硬化物層側の表面はタック性を有する。タック性の有無は、表面に指を押えつけてから離し、指紋の凹凸模様が残る場合はタック性あり、残らない場合はタック性無しと判定しうる。タック性の評価は、約24℃程度の常温にて行いうる。
〔工程4〕
工程4では、工程3で得られた基材B及び液晶硬化物層を備える複層物と、基材Aとを圧着する。圧着は、液晶硬化物層側の面と基材Aとが接する向きで行う。かかる圧着を行うことにより、液晶硬化物層のタック性を利用した、液晶硬化物層の基材Aへの付着を達成することができる。一方、工程3において、液晶硬化物層の、タック性を有する部分より深い領域では、重合度が高く十分な硬度を有する部分が形成されているので、圧着による、液晶硬化物層の変形及び層内の分子の配向の乱れ等の不所望な現象は抑制される。
工程4に先立ち、貼合面の一方又は両方に、表面処理を行いうる。表面処理の例としては、コロナ処理が挙げられる。表面処理を行うことにより、液晶硬化物層の、基材Aへの付着性をさらに向上させることができる。
工程4を行う際の温度は、特に限定されず、良好な圧着が達成される温度に適宜調整しうる。液晶硬化物層がタック性を有する場合、15℃~30℃程度の室温の温度範囲にて圧着を行いうる。また、液晶硬化物層のタック性が不十分である場合、加熱を行い、高い温度にて圧着を行い、それにより液晶硬化物層の基材Aへの良好な付着を達成してもよい。加熱の温度範囲は、基材A及び液晶硬化物層の著しい劣化が発生しない温度範囲にて適宜調整しうる。具体的には、好ましくは150℃以下としうる。
工程4の実施の結果、(基材B)/(液晶硬化物層)/(基材A)の層構成を有し、且つ液晶硬化物層が基材Aの表面上に直接設けられた態様の積層体が得られる。これをそのまま製品たる液晶硬化物積層体としてもよく、これをさらに任意の工程に供した後液晶硬化物積層体としてもよい。
〔任意の工程〕
任意の工程として、工程4の後に、基材Bを液晶硬化物層から剥離する工程5を行いうる。即ち、工程4で得られた(基材B)/(液晶硬化物層)/(基材A)の層構成を有する積層体から、基材Bを除去しうる。かかる工程の結果、(液晶硬化物層)/(基材A)の層構成を有する液晶硬化物積層体を得ることができる。
他の任意の工程として、工程4の後に、液晶硬化物層にエネルギー線を追加照射する工程6を行いうる。工程4の後にかかるエネルギー線の追加照射を行うことにより、工程4ではタック性による付着性の利益を享受しながら、製品たる液晶硬化物積層体においては十分な重合度を達成することができる。
工程5及び工程6の両方を実施する場合、工程6は、工程4の終了後のいずれの段階で実施してもよい。例えば、追加照射により液晶硬化物層の基材Aへの付着性が弱まる場合には、工程5を工程6の実施前に実施することにより、工程5の剥離の操作を容易に達成することができる。また例えば、工程6の実施前において、剥離の操作に対する液晶硬化物層の耐久性が不十分である場合は、工程6を工程5の実施前に実施して液晶硬化物層の強度を高めることにより、剥離の操作に対する液晶硬化物の耐久性を高めることができる。
工程6で紫外線を照射する場合における紫外線照射量は、100mJ/cm以上であることが好ましく、200mJ/cm以上であることがより好ましい。紫外線照射量を前記下限以上とすることにより、得られる液晶硬化物積層体の使用環境における耐久性を向上させることができる。例えば、液晶硬化物積層体の使用に際して、液晶硬化物層の、熱及び紫外線による劣化を抑制することができ、ひいては、液晶硬化物層の光学的特性及び外観を、長期間にわたり良好に保つことができる。照射量の上限は、生産性の観点から1000mJ/cm以下であることが好ましく、500mJ/cm以下であることがより好ましい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲から逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
〔評価方法〕
〔外観観察〕
液晶硬化物層に、斜め方向から照明を当てて観察し、曇りの有無を観察した。曇りが認められない場合は「曇りなし」と判定した。曇りが認められる場合は、その程度を観察した。実施例2の転写後の外観で認められた曇りの程度の場合、「僅かに曇りあり」と判定した。それより曇りの程度が高く、実施例1の転写後の外観で認められた曇りの程度の場合「少し曇りあり」と判定した。それより曇りの程度が高く、比較例6の転写後の外観で認められた曇りの程度の場合「曇りあり」と判定した。それより曇りの程度が高く、比較例2の転写後の外観で認められた曇りの程度の場合「激しい曇りあり」と判定した。
〔タック性〕
液晶硬化物層の表面(基材側とは反対側の、露出した面)に指を押えつけてから離した。指紋の凹凸模様が残らない場合はタック性「なし」と判定した。凹凸模様が残る場合は、その程度を観察した。実施例1の結果と同程度であった場合は「あり」とし、タック性があるものの実施例1の結果よりも明らかに低い場合は「僅かにあり」とした。タック性の評価は、約24℃において行った。
〔付着性〕
JIS K5600-5-6の「付着性-クロスカット法」に基づく、付着性の評価を行った。
液晶硬化物積層体が有する液晶硬化物層を、クロスカットガイドを使用して切断することにより、一辺が2mmの碁盤目(正方形の区画)を25個作製した。次いで、碁盤目を作製した積層体の部分に粘着テープを強く圧着させた。次いで、粘着テープの端を液晶硬化物積層体の面に対して60°(JIS K5600-5-6に規定される通り、全く折れ曲がっていない状態を180°、完全に折り畳んだ状態を0°と定義した場合の角度)の角度で引っ張ることにより粘着テープを一気に積層体から剥離させ、剥離面の状態を、下記の分類0~分類5の6段階で評価した。粘着テープとしては、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、商品名「CT405AP-24」、幅24mm)を用いた。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで,どの格子の目にもはがれがない。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜がカットの縁に沿って,及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って,部分的又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は目のいろいろな部分が,部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って,部分的又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に65%を上回ることはない。
分類5:分類4でも分類できないはがれ程度のいずれか。
〔実施例1〕
(1-1.液晶組成物)
重合性液晶化合物及びその他の成分を、表1に示す比率で混合し、温度約24℃で1時間撹拌して、均一な液晶組成物を得た。
Figure 0007380301000004
化合物(B5)としては国際公開第WO2009/041512号に記載された方法に従い製造したものを使用した。化合物(A10)としては特開平11-100575号公報に記載された方法に従い製造したものを使用した。
(1-2.工程1及び2)
基材Bとして、シクロオレフィンフィルム(商品名「ゼオノアZF16-100」、日本ゼオン製、厚み100μm、以下において同じ)を用意し、表面をラビング処理した。ラビング処理面の上に、(1-1)で得た液晶組成物を、番手6のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で3分間乾燥を行った。これにより、コレステリック液晶相に配向した状態の重合性液晶化合物を含む、液晶組成物の層を形成し、基材B及び液晶組成物の層を含む複層物1を得た。
(1-3.工程3)
SUS製の板を、水平に載置し、この上面に常温(約24℃)の少量の水を張った。その上に、複層物1を、基材B側の面が下向きとなるよう被せた。これにより、複層物1を、SUS板の面上に、水の層を介して載置した。
この状態で、液晶組成物の層に紫外線を照射した。照射は空気中で行った。照射光源としてはメタルハライドランプを使用した。照射は、上方から液晶組成物の層に、積算照度が100mJ/cmとなる条件で行った。これにより、液晶組成物の層を硬化させて液晶硬化物とし、基材B及び液晶硬化物層を備える複層物2を得た。
得られた複層物2の液晶硬化物層においては、重合性液晶化合物が、コレステリック液晶相を維持したまま重合し、その結果、液晶硬化物層は円偏光分離機能を有するコレステリック樹脂層となっていた。この時点での外観観察では、液晶硬化物層は、曇りの無い透明な層と評価された。液晶硬化物層の表面は、タック性を有していた。液晶硬化物層の厚みは1.6μmであった。
(1-4.工程4)
基材Aとして、別のシクロオレフィンフィルムを用意した。基材Aの一方の表面及び(1-3)で得た複層物2の液晶硬化物層側の表面をそれぞれコロナ処理した。これらの処理面が接する向きでこれらを重ね、常温(約24℃)下でゴム製ハンドローラーを用いて圧着した。これにより(基材B)/(液晶硬化物層)/(基材A)の層構成を有する複層物3を得た。
(1-5.工程5)
複層物3から、基材Bを剥離した。これにより、液晶硬化物層及び基材Aを備える、液晶硬化物積層体を得た。
得られた液晶硬化物積層体の、液晶硬化物層及び基材Aの付着性は分類0であった。この時点での外観観察では、液晶硬化物層は、少しの曇りが有る層と評価された。
〔実施例2~18〕
工程(1-3)における積算照度、及び基材Aの材質を、表2~表3に示す通り変更した以外は、実施例1と同じ操作により、液晶硬化物積層体の製造と、各工程における評価を行った。評価結果を表2~表3に示す。
〔比較例1〕
下記の変更点以外は、実施例1の(1-1)~(1-3)(即ち工程1~工程3)と同じ操作により、液晶硬化物層及び基材Bを備える複層物を得た。
・(1-3)において、照射を空気中では無く窒素雰囲気下で行った。
・(1-3)において、積算照度を450mJ/cmに変更した。
得られた複層物を、工程4~工程5を経ることなくそのまま、液晶硬化物積層体として、付着性及び外観の評価を行った。結果を表4に示す。
〔比較例2〕
下記の変更点以外は、実施例1の(1-1)~(1-3)と同じ操作により、液晶硬化物層及び基材Bを備える複層物を得た。
・(1-2)において、基材B表面のラビング処理の前に、基材B表面のコロナ処理を行った。
・(1-3)において、照射を空気中では無く窒素雰囲気下で行った。
・(1-3)において、積算照度を450mJ/cmに変更した。
得られた複層物を、工程4~工程5を経ることなくそのまま、液晶硬化物積層体として、付着性及び外観の評価を行った。結果を表4に示す。
〔比較例3〕
下記の変更点以外は、実施例1の(1-1)~(1-3)と同じ操作により、液晶硬化物層及び基材Bを備える複層物を得た。
・(1-2)において、基材B表面のラビング処理の後、液晶組成物の塗布の前に、基材B表面のコロナ処理を行った。
・(1-3)において、照射を空気中では無く窒素雰囲気下で行った。
・(1-3)において、積算照度を450mJ/cmに変更した。
得られた複層物を、工程4~工程5を経ることなくそのまま、液晶硬化物積層体として、付着性及び外観の評価を行った。結果を表4に示す。
〔比較例4~6〕
基材Bとして、PETフィルム(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡製、厚み100μm、片面に易接着層を有する)を使用した以外は、比較例1~3と同じ操作により、液晶硬化物層及び基材Bを備える複層物を得た。表面処理及び液晶組成物の層の形成は、PETフィルムの、易接着層を有しない側の面に行った。
〔比較例7〕
(1-3)において、照射を空気中では無く窒素雰囲気下で行った以外は、実施例2と同じ操作により、液晶硬化物積層体の製造と、各工程における評価を行った。評価結果を表4に示す。
〔比較例8〕
(1-3)において、照射を空気中では無く窒素雰囲気下で行った以外は、実施例3と同じ操作により、液晶硬化物積層体の製造と、各工程における評価を試みた。但し、(1-4)での圧着によって、液晶硬化物層が基材Aに付着しなかったので、液晶硬化物層及び基材Aを備える液晶硬化物積層体を得ることはできなかった。評価結果を表4に示す。
Figure 0007380301000005
Figure 0007380301000006
Figure 0007380301000007
COP:シクロオレフィンフィルム(商品名「ゼオノアZF16-100」、日本ゼオン製、厚み100μm)
PET:PETフィルム(商品名「コスモシャインA4100」、片面に易接着層を有する)実施例6、11及び16では、易接着層を有する面側に、液晶硬化物層を転写した。比較例4~6では、表面処理及び液晶組成物の層の形成は、PETフィルムの、易接着層を有しない側の面に行った。
アクリル:アクリル板(商品名「アクリライトE」、三菱レイヨン性、厚み2mm)
硝子:硝子板(ソーダ硝子)、厚み0.7mm
TAC:TACフィルム(商品名「TACPHAN PLC905GL」、LOHO製、厚み40μm)
実施例及び比較例の結果から明らかな通り、本発明の液晶硬化物積層体の製造方法により得られた本発明の液晶硬化物積層体は、接着層を介さず、厚みを薄くするのに有利な単純な構成を有しながら、耐久性が高いものとすることができる。また、製造の工程における、液晶硬化物層における曇りの発生を抑制することができ、その点で品質の高い液晶硬化物積層体の容易な製造が可能である。

Claims (4)

  1. 材Aと、基材Aの表面上に直接設けられた液晶硬化物層とを備える、液晶硬化物積層体の製造方法であって、
    工程1:基材Bの表面上に、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、前記液晶組成物の層を形成する工程、
    工程2:前記液晶組成物の層中の前記重合性液晶化合物を配向させる工程、
    工程3:酸素を含む雰囲気下で、前記液晶組成物の層に紫外線を照射して、前記液晶組成物の層を硬化させ、液晶硬化物層とし、前記基材B及び前記液晶硬化物層を備える複層物を得る工程、及び
    工程4:前記液晶硬化物層側の面と前記基材Aとが接する向きで前記複層物と前記基材Aとを圧着する工程
    を、この順に含み、
    前記工程3は、前記液晶組成物の層及び硬化の結果形成される液晶硬化物層の温度を、15℃~30℃に制御して実施し、かつ、前記紫外線の照射量が400mJ/cm 以上である、製造方法。
  2. 前記工程4の後に、前記基材Bを前記液晶硬化物層から剥離する工程5をさらに含む、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記工程3で得られる前記複層物の、前記液晶硬化物層側の表面が、タック性を有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記工程4の後に、前記液晶硬化物層にエネルギー線を追加照射する工程6をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
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Citations (8)

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