JP7380655B2 - 鋼材およびその製造方法 - Google Patents
鋼材およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7380655B2 JP7380655B2 JP2021122036A JP2021122036A JP7380655B2 JP 7380655 B2 JP7380655 B2 JP 7380655B2 JP 2021122036 A JP2021122036 A JP 2021122036A JP 2021122036 A JP2021122036 A JP 2021122036A JP 7380655 B2 JP7380655 B2 JP 7380655B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel material
- steel
- slab
- content
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
そこで、熱間割れ対策についても鋭意検討を行った結果、粒子の硬度が高くかつ粒子の生成温度が低いV炭化物は、連続鋳造や熱間圧延における割れの発生には悪影響を与えにくく、従って、すべり摩耗性の向上と良好な熱間延性の両立に有効であることを見出した。
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧25 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%)
の関係式を満足するように、CおよびMn量を調整することが、優れた耐すべり摩耗性と優れた耐衝撃摩耗性とを兼備させるために、有効であることを新規に見出した。
1.質量%で、
C:0.10%以上2.50%以下、
Mn:8.0%以上45.0%以下、
P:0.300%以下、
S:0.1000%以下、
V:0.05%以上2.50%以下、
Al:0.001%以上0.500%以下、
N:0.5000%以下、
O(酸素):0.1000%以下
を含み、かつ、C、VおよびMnを、下記(1)式を満足する範囲にて含有し、残部がFe及び不可避不純物である成分組成と、
面積率で、オーステナイト相を90%以上かつV炭化物を0.1%以上含む組織と、
を有する鋼材。
記
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧25 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%)
C:0.10%以上2.50%以下、
Mn:8.0%以上45.0%以下、
P:0.300%以下、
S:0.1000%以下、
V:0.05%以上0.50%以下、
Al:0.001%以上0.500%以下、
N:0.5000%以下、
O(酸素):0.1000%以下
を含み、かつ、C、VおよびMnを、下記(1)式を満足する範囲にて含有し、残部がFe及び不可避不純物である成分組成と、
面積率で、オーステナイト相を90%以上かつV炭化物を0.1%以上含む組織と、
を有する鋼材。
記
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧25 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%)
Si:0.01%以上3.00%以下、
Cu:0.1%以上1.0%以下、
Ni:0.1%以上3.0%以下、
Cr:0.1%以上5.0%以下、
Mo:0.1%以上3.0%以下、
Nb:0.001%以上0.100%以下、
Ti:0.001%以上0.100%以下、
W:0.01%以上0.50%以下、
B:0.0003%以上0.1000%以下、
Ca:0.0003%以上0.1000%以下、
Mg:0.0001%以上0.1000%以下および
REM:0.0005%以上0.1000%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する、前記1または2に記載の鋼材。
前記鋳片は、質量%で、
C:0.10%以上2.50%以下、
Mn:8.0%以上45.0%以下、
P:0.300%以下、
S:0.1000%以下、
V:0.05%以上2.50%以下、
Al:0.001%以上0.500%以下、
N:0.5000%以下、
O(酸素):0.1000%以下
を含み、かつ、C、VおよびMnを、下記(1)式を満足する範囲にて含有し、残部がFe及び不可避不純物である成分組成に調整し、
前記熱延工程は、スラブ加熱温度を1000℃以上とし、圧延終了温度を800℃以上とし、
前記冷却工程は、800~400℃の温度範囲における滞留時間を300s以上とする、鋼材の製造方法。
記
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧ 25 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%)
前記鋳片は、質量%で、
C:0.10%以上2.50%以下、
Mn:8.0%以上45.0%以下、
P:0.300%以下、
S:0.1000%以下、
V:0.05%以上0.50%以下、
Al:0.001%以上0.500%以下、
N:0.5000%以下、
O(酸素):0.1000%以下
を含み、かつ、C、VおよびMnを、下記(1)式を満足する範囲にて含有し、残部がFe及び不可避不純物である成分組成に調整し、
前記熱延工程は、スラブ加熱温度を1000℃以上とし、圧延終了温度を800℃以上とし、
前記冷却工程は、800~400℃の温度範囲における滞留時間を300s以上とする、鋼材の製造方法。
記
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧ 25 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%)
Si:0.01%以上3.00%以下、
Cu:0.1%以上1.0%以下、
Ni:0.1%以上3.0%以下、
Cr:0.1%以上5.0%以下、
Mo:0.1%以上3.0%以下、
Nb:0.001%以上0.100%以下、
Ti:0.001%以上0.100%以下、
W:0.01%以上0.50%以下、
B:0.0003%以上0.1000%以下、
Ca:0.0003%以上0.1000%以下、
Mg:0.0001%以上0.1000%以下および
REM:0.0005%以上0.1000%以下
のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する、前記4または5に記載の鋼材の製造方法。
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧ 25 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%)
の関係式を満足する範囲にて含有し、残部Fe及び不可避不純物である成分組成を有する。
まず、鋼材の成分組成の限定理由について説明する。なお、以下、成分組成に関する「質量%」は、特に断らない限り、単に「%」で記す。
Cは、オーステナイト相を安定化する元素であり、常温においてオーステナイト組織を得るために重要な元素である。このような効果を得るためには、0.10%以上のC含有を必要とする。すなわち、Cが0.10%未満では、オーステナイト相の安定度が不足し、常温において、十分なオーステナイト組織を得ることができない。一方、C含有量が2.50%を超えると、硬度が高くなり、母材の靱性が低下する。そのため、本発明では、Cは0.10%以上2.50%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは0.12%以上2.00%以下である。
Mnは、オーステナイト相を安定化する元素であり、常温においてオーステナイト組織を得るために重要な元素である。このような効果を得るためには、8.0%以上のMn含有を必要とする。すなわち、Mnが8.0%未満では、オーステナイト相の安定度が不足し、十分なオーステナイト組織が得られない。一方、Mn含有量が45.0%を超えると、オーステナイト相安定化の効果は飽和し、経済的に不利となる。そのため、本発明では、Mnは8.0%以上45.0%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは10.0%以上40.0%以下である。
Pは、結晶粒界に偏析して粒界を脆化させ、鋼材の靭性を低下させる作用を有する元素である。本発明では、Pはできる限り低減することが望ましいが、0.300%以下であれば許容できる。好ましくは0.250%以下である。なお、Pは、不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であり、少ないほど好ましいが、過度の低P化は、精錬時間の増加や精錬コストの上昇を招くため、Pは0.001%以上とすることが好ましい。
Sは、主として硫化物系介在物として鋼中に分散し、鋼の延性、靭性を低下させる元素である。そのため、本発明ではできるだけ低減することが望ましいが、0.1000%以下であれば許容できる。なお、好ましくは0.0800%以下である。Sは少ないほど好ましいが、過度の低S化は、精錬時間の増加や精錬コストの上昇を招くため、Sは0.0001%以上とすることが好ましい。
Vは、本発明において重要な元素であり、硬質な炭化物を形成して、オーステナイト組織の耐すべり摩耗性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るために、0.05%以上の含有を必要とする。一方、2.50%を超える含有は、熱間延性を低下させる。そのため、Vは0.05%以上2.50%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.30%以上2.00%以下である。
Alは、脱酸剤として有効に作用する元素であり、その効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、0.500%を超えて含有すると、熱間延性が低下する。そのため、Alは0.001%以上0.500%以下とする。なお、好ましくは0.003%以上0.300%以下である。
Nは、不純物として鋼中に不可避的に含有され、母材の延性、靱性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが望ましいが、0.5000%以下であれば許容できる。好ましくは0.3000%以下である。Nは、少ないほど好ましいが、過度の低N化は精錬時間の増加や精錬コストの上昇を招く。このため、Nは0.0005%以上とすることが好ましい。
Oは、不純物として鋼中に不可避的に含有され、酸化物等の介在物として鋼中に存在し、延性、靱性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが望ましいが、0.1000%以下であれば許容できる。好ましくは0.0500%以下である。Oは、少ないほど好ましいが、過度の低酸素化は、精錬時間の増加や精錬コストの上昇を招くため、Oは0.0005%以上とすることが好ましい。
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧25 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%)
の関係式を満足する範囲にて含有する必要がある。
上記した(1)式の左辺は、オーステナイト相の安定化度を表わし、左辺値が大きいほど、オーステナイト相の安定化度が高いことを意味する。すなわち、(1)式の左辺は、オーステナイト相の安定化に寄与する元素であるCの含有量とMnの含有量の和であり、各元素のオーステナイト安定化能を考慮して、オーステナイト安定化能に応じた係数を乗じている。なお、Cは、V炭化物として析出し、オーステナイト相の安定化に寄与しなくなった量を差し引いた有効含有量としている。
従って、C、VおよびMn含有量が、(1)式を満足しない場合、オーステナイト安定化度が不足し、常温で所望のオーステナイト組織が得られない。オーステナイト相の安定化度の観点から、(1)式の右辺値は30以上であることが好ましい。
Siは、脱酸剤として有効に作用するとともに、固溶して鋼材の高硬度化にも寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。Siが0.01%未満では、上記した効果を充分に得ることができない。一方、3.00%を超える含有は、延性および靭性を低下させる。このようなことから、含有する場合には、Siは0.01%以上3.00%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.05%以上2.50%以下である。
Cuは、固溶してあるいは析出して鋼材の強度向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超えて含有しても、その効果は飽和し、経済的に不利となる。そのため、含有する場合には、Cuは0.1%以上1.0%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.2%以上0.8%以下である。
Niは、鋼材の強度向上に寄与するとともに、靭性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超えて含有しても、その効果が飽和し経済的に不利となる。そのため、含有する場合には、Niは0.1%以上3.0%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.2%以上2.5%以下である。
Crは、鋼の強度向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、5.0%を超えて含有すると、その効果が飽和し経済的に不利となる。そのため、含有する場合には、Crは0.1%以上5.0%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは、0.2%以上4.5%以下である。
Moは、鋼の強度向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.1%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超えて含有すると、その効果が飽和し経済的に不利となる。そのため、含有する場合には、Moは0.1%以上3.0%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.2%以上2.5%以下である。
Nbは、炭窒化物として析出することで、鋼の強度向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、0.100%を超える含有は、熱間延性を低下させる。そのため、含有する場合には、Nbは0.001%以上0.100%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.005%以上0.080%以下である。
Tiは、炭窒化物として析出し、鋼の強度向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、0.100%を超える含有は、熱間延性を低下させる。そのため、含有する場合には、Tiは0.001%以上0.100%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.005%以上0.080%以下である。
Wは、鋼の強度向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.50%を超える含有は、靱性を低下させる。そのため、含有する場合には、Wは0.01%以上0.50%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.02%以上0.45%以下である。
Bは、結晶粒界に偏析し、粒界強度の向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.0003%以上の含有を必要とする。一方、0.1000%を超えて含有すると、炭窒化物の粒界析出により靱性が低下する。そのため、含有する場合には、Bは0.0003%以上0.1000%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.0005%以上0.0800%以下である。
Caは、高温における安定性が高い酸硫化物を形成して、結晶粒界をピンニングし、とくに溶接部の結晶粒の粗大化を抑制し結晶粒を細かく維持して、溶接継手部の強度および靱性の向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.0003%以上の含有を必要とする。一方、0.1000%を超えて含有すると、清浄度が低下して鋼の靭性が低下する。そのため、含有する場合には、Caは0.0003%以上0.1000%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.0005%以上0.0800%以下である。
Mgは、高温における安定性が高い酸硫化物を形成して、結晶粒界をピンニングし、とくに溶接部の結晶粒の粗大化を抑制し結晶粒を細かく維持して、とくに、溶接継手部の強度および靱性の向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.0001%以上の含有を必要とする。一方、0.1000%を超えて含有すると、清浄度が低下して鋼材の靭性が低下する。そのため、含有する場合には、Mgは0.0001%以上0.1000%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.0005%以上0.0800%以下である。
REM(希土類金属)は、高温における安定性が高い酸硫化物を形成して、結晶粒界をピンニングし、とくに溶接部の結晶粒の粗大化を抑制し結晶粒を細かく維持して、溶接継手部の強度および靱性の向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.0005%以上の含有を必要とする。一方、0.1000%を超えて含有すると、清浄度が低下して鋼材の靭性が低下する。そのため、含有する場合には、REMは0.0005%以上0.1000%以下の範囲とすることが好ましい。なお、より好ましくは0.0010%以上0.0800%以下の範囲である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
本発明鋼材の組織は、耐衝撃摩耗性向上の観点からオーステナイト相を主とする。この耐衝撃摩耗性向上を実現するには、オーステナイト相を面積率で90%以上とする。オーステナイト相が、面積率で90%未満では、耐衝撃摩耗性が低下し、さらには、延性や靱性、加工性、溶接部(溶接熱影部)の靱性も低下する。そのため、組織中のオーステナイト相は、面積率で、90%以上とする。100%であってもよい。ここでいう「組織中のオーステナイト相」の割合は、介在物や析出物を除いた組織全体に対するオーステナイト相の割合(面積率)を示す。なお、オーステナイト相以外の組織は、面積率で合計10%未満の、フェライト相、ベイナイト組織、マルテンサイト組織、パーライト組織のうちの1種以上であってよい。
本発明では、基地中に硬質粒子であるV炭化物を分散させる。基地中に分散したV炭化物は砂や岩石成分によるすべり摩耗に対して抵抗となり、耐すべり摩耗性を向上させる作用を有する。このような効果を得るためには、V炭化物を、基地中に面積率で0.1%以上分散させる必要がある。このため、V炭化物の含有量は面積率で0.1%以上に限定した。好ましくは0.5%以上である。一方、V炭化物の含有量が5.0%を超えると熱間延性が低下するため、面積率で5.0%以下とするのが好ましい。
本発明鋼材の好ましい製造方法は、まず、電気炉、真空溶解炉等の常用の溶製炉により溶製したのち、鋳造して鋳片とする鋳造工程と、該鋳片を加熱する加熱工程と、前記加熱した鋳片を熱間圧延(熱間加工)して鋼材とする熱延工程と、得られた鋼材に冷却を施す冷却工程と、を実施する。このような工程により得られる鋼材としては、板状の鋼板、棒状の棒鋼、線状の線材、H形等の種々の断面形状の形鋼等がある。
本発明の好ましい製造方法として、まず、電気炉、真空溶解炉等の常用の溶製炉により溶製した溶鋼を鋳造して、上記した所定の成分組成を有する鋳片とする鋳造工程を行う。
ついで、得られた鋳片を加熱し、この加熱された鋳片に、熱間圧延(熱間加工)を施して所定形状の鋼材とする熱延工程を行う。この熱延工程において、スラブ加熱温度を1000℃以上とする。すなわち、スラブ加熱温度が1000℃未満では、スラブの鋳造後の冷却過程で析出していたV炭化物の再固溶が十分でないため、V炭化物が熱間圧延時の割れの原因となる。なお、スラブ加熱温度が1300℃を超えると、スケール生成量増加による歩留まり低下、製造コストの上昇が問題となるため、1300℃以下とすることが好ましい。より好ましくは、1030℃以上1250℃以下である。
加熱された鋳片に熱間圧延を施す工程に引続き、冷却工程において、V炭化物を析出させるために、800℃以下400℃以上の温度範囲の滞留時間が300s以上となる冷却を行う。
なお、冷却方法は前記滞留時間の条件を満足できるなら、自然放冷、ガス冷却、水冷却、炉等を用いた徐冷等、いずれの方法も適用できる。
なお、上記した温度は、いずれも鋼材の表面下1mm位置での温度である。
まず、真空溶解炉により、溶鋼を溶製し、鋳造して、表1に示す成分組成の鋳片(肉厚:200~350mm)を製造した。ついで、得られた鋳片を、表2に示す加熱温度に加熱する加熱工程と、加熱された鋳片に、表2に示す条件で熱間圧延を施し表2に示す板厚の鋼板(鋼材)とする熱延工程と、引続き、得られた鋼板に、表2に示す、800℃から400℃間の滞留時間となる冷却を施す冷却工程と、を順次行い、鋼材(鋼板)を得た。
得られた各鋼板の所定の位置から、観察面が、表面下1mmの位置となるように、組織観察用試験片を採取し、観察面を研削、研磨(鏡面)した。
採取した組織観察用試験片を用い、鏡面研磨された観察面について、後方散乱電子回折(EBSP)解析を行った。EBSP解析は、1mm×1mmの範囲を、測定電圧:20kV、ステップサイズ:1μmの条件で行い、得られたInverse Pole Figure(逆極点図)マップから、介在物、析出物を除いた組織(フェライト相、ベイナイト組織、マルテンサイト組織、パーライト組織、オーステナイト相)全体に対するオーステナイト相の割合(面積率)を算出した。
採取した組織観察用試験片を用いて、鏡面研磨された観察面について、走査型電子顕微鏡(SEM)のエネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いて、1mm×1mmの範囲を、加速電圧:15kV、ステップサイズ:1μmの条件で解析し、V炭化物を同定し、画像解析ソフトを用いて該V炭化物の総面積を測定し、V炭化物の面積率を算出した。なお、EDSの測定に際しては、原子分率でVを10at%以上、Cを30at%以上含む析出物をV炭化物としてカウントした。
鋼材の耐摩耗性は、主に表面の特性によって決まる。そこで、得られた鋼板の表面下1mmの位置が試験位置(試験面)となるように、摩耗試験片(厚さ10mm×幅25mm×長さ75mm)を採取した。なお、試験片の厚さは、鋼板厚さが10mmを超える場合には、減厚して厚さ10mmに調整した。鋼板厚さが10mm以下である場合には、試験位置(表面下1mm)の調整以上の減厚は行わなかった。
各鋼板から採取した上記摩耗試験片1を各3本ずつ同時に、図1に示す摩耗試験装置のドラム2内に装着して、衝撃摩耗試験を実施した。なお、試験片1は、試験面が摩耗材3と衝突する向きに装着した。また、摩耗試験の条件は、
ドラム回転速度:45rpm
試験片回転速度:600rpm
とした。なお、試験片回転数が10000回ごとに、摩耗材を入れ替えて試験し、試験片回転数が合計で50000回に達した時点で、試験を終了した。なお、摩耗材3としては、SiO2を90%以上含む石(円相当直径5~35mm)を使用した。なお、比較として、軟鋼板(SS400)から採取した摩耗試験片について、同様の摩耗試験を実施した。
各鋼板から採取した摩耗試験片1を、図2に示す摩耗試験装置に装着して、ASTMG-65の規定に準拠して、すべり摩耗試験を実施した。ここで、図2に示す摩耗試験装置は、ホッパー4内の摩耗材5を摩耗試験片6と回転するラバーホイール7との間に供給し、滑り摩耗を計測するものである。なお、符号8は摩耗試験片6をラバーホイール7側に押し付けるための錘である。
摩耗材(砂)5の流量:300g/min、
ラバーホイール7の回転数:200±10rpm、
荷重(錘8による):130±3.9N
とした。ラバーホイール7の回転数が2000回に達した時点で、試験を終了した。
そして、得られた摩耗量から、軟鋼板の摩耗量と各鋼板(試験鋼板)の摩耗量との比、(軟鋼板の摩耗量)/(各鋼板(試験鋼板)の摩耗量)を、耐すべり摩耗比として算出した。この耐すべり摩耗比が大きいほど、各鋼板の耐すべり摩耗性が優れていることを意味する。ここで、耐すべり摩耗比が、3.0以上である鋼材を優れた耐すべり摩耗性を有するとして合格と評価し、それ以外を不合格と評価した。
得られた各鋼板の長手端部から500mmの位置から全幅分の組織観察用試験片を採取し、板幅方向×板厚方向面を研削、研磨(鏡面)した。そして、鋼板表層からの板厚方向の最大割れ深さを光学顕微鏡観察にて評価した。ここで、V炭化物を分散させていない通常の高マンガンオーステナイト鋼の最大割れ深さが5mm以下程度であることから、割れ深さが5mm以下であるものを、熱間割れに対して悪影響を与えていないものとみなして合格と評価し、それ以外を不合格と評価した。
上記した各評価結果を表2に示す。
(4)冷間曲げ加工性評価
得られた各鋼板から、全厚分の750×150mmサンプルを採取し、JIS Z2448(1996)に準拠して3点曲げ試験を実施した。なお、曲げ半径は1.5t(t:鋼板の板厚[mm])とし、3点曲げの外面側に鋼板の裏面側が来る向きで室温にて180°曲げを行った後、試験片表面の割れ発生の有無を目視で評価し、冷間曲げ加工性を評価した。
上記した各評価結果を表4に示す。
2 ドラム
3 摩耗材(石)
4 ホッパー
5 摩耗材(砂)
6 摩耗試験片
7 ラバーホイール
8 錘
Claims (6)
- 質量%で、
C:0.10%以上2.50%以下、
Mn:8.0%以上45.0%以下、
P:0.300%以下、
S:0.1000%以下、
V:0.05%以上2.50%以下、
Al:0.001%以上0.500%以下、
N:0.5000%以下および
O(酸素):0.1000%以下
を含み、かつ、C、VおよびMnを、下記(1)式を満足する範囲にて含有し、残部がFe及び不可避不純物である成分組成と、
面積率で、オーステナイト相を90%以上かつV炭化物を0.1%以上含む組織と、
を有する鋼材。
記
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧25(1.22-12.01×0.94/50.94)+16.3
……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%) - 質量%で、
C:0.10%以上2.50%以下、
Mn:8.0%以上45.0%以下、
P:0.300%以下、
S:0.1000%以下、
V:0.05%以上0.50%以下、
Al:0.001%以上0.500%以下、
N:0.5000%以下および
O(酸素):0.1000%以下
を含み、かつ、C、VおよびMnを、下記(1)式を満足する範囲にて含有し、残部がFe及
び不可避不純物である成分組成と、
面積率で、オーステナイト相を90%以上かつV炭化物を0.1%以上含む組織と、
を有する鋼材。
記
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧25(0.35-12.01×0.09/50.94)+28.3 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%) - 前記成分組成に加えてさらに、質量%で、
Si:0.01%以上3.00%以下、
Cu:0.1%以上1.0%以下、
Ni:0.1%以上3.0%以下、
Cr:0.1%以上5.0%以下、
Mo:0.1%以上3.0%以下、
Nb:0.001%以上0.100%以下、
Ti:0.001%以上0.100%以下、
W:0.01%以上0.50%以下、
B:0.0003%以上0.1000%以下、
Ca:0.0003%以上0.1000%以下、
Mg:0.0001%以上0.1000%以下および
REM:0.0005%以上0.1000%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する、請求項1または2に記載の鋼材。 - 溶鋼を溶製して鋳片とする鋳造工程と、該鋳片を加熱する加熱工程と、前記加熱した鋳片を熱間圧延して鋼材とする熱延工程と、前記鋼材に冷却を施す冷却工程と、を順次施す鋼材の製造方法であって、
前記鋳片は、質量%で、
C:0.10%以上2.50%以下、
Mn:8.0%以上45.0%以下、
P:0.300%以下、
S:0.1000%以下、
V:0.05%以上2.50%以下、
Al:0.001%以上0.500%以下、
N:0.5000%以下および
O(酸素):0.1000%以下
を含み、かつ、C、VおよびMnを、下記(1)式を満足する範囲にて含有し、残部がFe及び不可避不純物である成分組成に調整し、
前記熱延工程は、スラブ加熱温度を1000℃以上とし、圧延終了温度を800℃以上とし、
前記冷却工程は、800~400℃の温度範囲における滞留時間を300s以上とする、面積率で、オーステナイト相を90%以上かつV炭化物を0.1%以上含む組織を有する鋼材の製造方法。
記
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧30 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%) - 溶鋼を溶製して鋳片とする鋳造工程と、該鋳片を加熱する加熱工程と、前記加熱した鋳片を熱間圧延して鋼材とする熱延工程と、前記鋼材に冷却を施す冷却工程と、を順次施す鋼材の製造方法であって、
前記鋳片は、質量%で、
C:0.10%以上2.50%以下、
Mn:8.0%以上45.0%以下、
P:0.300%以下、
S:0.1000%以下、
V:0.05%以上0.50%以下、
Al:0.001%以上0.500%以下、
N:0.5000%以下および
O(酸素):0.1000%以下
を含み、かつ、C、VおよびMnを、下記(1)式を満足する範囲にて含有し、残部がFe及び不可避不純物である成分組成に調整し、
前記熱延工程は、スラブ加熱温度を1000℃以上とし、圧延終了温度を800℃以上とし、
前記冷却工程は、800~400℃の温度範囲における滞留時間を300s以上とする、面積率で、オーステナイト相を90%以上かつV炭化物を0.1%以上含む組織を有する鋼材の製造方法。
記
25([C]-12.01[V]/50.94)+[Mn]≧30 ……(1)
ここで、[C]、[V]、[Mn]:各元素の含有量(質量%) - 前記鋳片は、前記成分組成に加えてさらに、質量%で、
Si:0.01%以上3.00%以下、
Cu:0.1%以上1.0%以下、
Ni:0.1%以上3.0%以下、
Cr:0.1%以上5.0%以下、
Mo:0.1%以上3.0%以下、
Nb:0.001%以上0.100%以下、
Ti:0.001%以上0.100%以下、
W:0.01%以上0.50%以下、
B:0.0003%以上0.1000%以下、
Ca:0.0003%以上0.1000%以下、
Mg:0.0001%以上0.1000%以下および
REM:0.0005%以上0.1000%以下
のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する、請求項4または5に記載の鋼材の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2020135346 | 2020-08-07 | ||
| JP2020135346 | 2020-08-07 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2022031163A JP2022031163A (ja) | 2022-02-18 |
| JP7380655B2 true JP7380655B2 (ja) | 2023-11-15 |
Family
ID=80325148
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2021122036A Active JP7380655B2 (ja) | 2020-08-07 | 2021-07-26 | 鋼材およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7380655B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR20250039198A (ko) * | 2023-09-13 | 2025-03-20 | 주식회사 포스코 | 강재 및 그 제조방법 |
Citations (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008528796A (ja) | 2005-01-21 | 2008-07-31 | アルセロールミタル・フランス | オーステナイト系鉄−炭素−マンガン金属鋼板の製造方法、およびこれにより製造される鋼板 |
| WO2016052397A1 (ja) | 2014-10-01 | 2016-04-07 | 新日鐵住金株式会社 | 高強度油井用鋼材および油井管 |
| JP2016196703A (ja) | 2015-04-02 | 2016-11-24 | 新日鐵住金株式会社 | 極低温用高Mn鋼材 |
| WO2017169811A1 (ja) | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 新日鐵住金株式会社 | 高強度鋼材およびその製造方法 |
| WO2019186906A1 (ja) | 2018-03-29 | 2019-10-03 | 日本製鉄株式会社 | オーステナイト系耐摩耗鋼板 |
| JP2019183203A (ja) | 2018-04-04 | 2019-10-24 | Jfeスチール株式会社 | 高Mn鋼およびその製造方法 |
| WO2020054553A1 (ja) | 2018-09-12 | 2020-03-19 | Jfeスチール株式会社 | 鋼材およびその製造方法 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH07107187B2 (ja) * | 1990-10-15 | 1995-11-15 | 新日本製鐵株式会社 | 応力腐食割れ感受性の小さい高Mn非磁性鋼 |
-
2021
- 2021-07-26 JP JP2021122036A patent/JP7380655B2/ja active Active
Patent Citations (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008528796A (ja) | 2005-01-21 | 2008-07-31 | アルセロールミタル・フランス | オーステナイト系鉄−炭素−マンガン金属鋼板の製造方法、およびこれにより製造される鋼板 |
| WO2016052397A1 (ja) | 2014-10-01 | 2016-04-07 | 新日鐵住金株式会社 | 高強度油井用鋼材および油井管 |
| JP2016196703A (ja) | 2015-04-02 | 2016-11-24 | 新日鐵住金株式会社 | 極低温用高Mn鋼材 |
| WO2017169811A1 (ja) | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 新日鐵住金株式会社 | 高強度鋼材およびその製造方法 |
| WO2019186906A1 (ja) | 2018-03-29 | 2019-10-03 | 日本製鉄株式会社 | オーステナイト系耐摩耗鋼板 |
| JP2019183203A (ja) | 2018-04-04 | 2019-10-24 | Jfeスチール株式会社 | 高Mn鋼およびその製造方法 |
| WO2020054553A1 (ja) | 2018-09-12 | 2020-03-19 | Jfeスチール株式会社 | 鋼材およびその製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2022031163A (ja) | 2022-02-18 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP6750748B1 (ja) | 鋼材およびその製造方法 | |
| CN110546290B (zh) | 奥氏体系耐磨钢板 | |
| KR102453321B1 (ko) | 오스테나이트계 내마모 강판 | |
| JP6235221B2 (ja) | 低温靭性および耐水素脆性を有する耐磨耗厚鋼板およびその製造方法 | |
| JP6711434B2 (ja) | 耐摩耗鋼板およびその製造方法 | |
| JP5186809B2 (ja) | 加工性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法 | |
| JP7135464B2 (ja) | 耐摩耗厚鋼板 | |
| JP6217585B2 (ja) | 曲げ加工性及び耐衝撃摩耗性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法 | |
| JP7135465B2 (ja) | 耐摩耗厚鋼板 | |
| CN107354382A (zh) | 具有低温韧性的耐磨厚钢板及其制造方法 | |
| JP5217191B2 (ja) | 加工性に優れた耐磨耗鋼板およびその製造方法 | |
| JP2022031163A (ja) | 鋼材およびその製造方法 | |
| JP7135737B2 (ja) | オーステナイト熱延鋼板及びその製造方法、並びに耐摩耗性部品 | |
| JP6217586B2 (ja) | 曲げ加工性及び耐衝撃摩耗性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法 | |
| JP6164193B2 (ja) | 曲げ加工性及び耐衝撃摩耗特性に優れた耐摩耗鋼板およびその製造方法 | |
| JP2020193380A (ja) | 耐摩耗鋼板およびその製造方法 | |
| JP7239056B1 (ja) | 耐摩耗鋼板 | |
| JP5794077B2 (ja) | 強度および靭性に優れた機械構造用鋼材およびその製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220323 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230215 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230221 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230412 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20230509 |
|
| RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20230626 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230727 |
|
| A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20230810 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20231003 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20231016 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7380655 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |



