以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御システムを説明する。図1Aは本発明の実施形態による車両制御システムが搭載された車両の概略図、図1Bは車両制御システムの構成図である。
図1Aに示すように、車両1は、フロントエンジンフロントドライブ式(FF式)の車両である。エンジン10は、車両前側で横置きされており、エンジン10の車両左側には自動変速機20が配置されている。エンジン10からの出力は、自動変速機20を介して車輪(前輪)5に伝達され、これにより、車両1が走行するようになっている。なお、車両1は、車両後側の車輪(後輪)6を駆動するフロントエンジンリアドライブ式(FR式)の車両であってもよい。
<車両制御システムの構成>
本実施形態の車両制御システムSは、シフトバイワイヤ方式の自動変速機20と、自動変速機20と一体に構成されたパーキングロック装置21と、シフト操作部(シフトレバー)3と、液圧ブレーキ装置40と、電動パーキングブレーキ装置50と、ドアロックアクチュエータ60と、報知装置70と、各種検出センサ及び操作スイッチとを備えている。検出センサには、セレクターセンサSN1,ロッド位置センサSN2,勾配センサ(傾斜角センサ)SN3,ブレーキペダルセンサSN4,車速センサSN5,パーキングブレーキセンサSN6等が含まれる。また、操作スイッチには、車両電源スイッチ(IGスイッチ)SW1,パーキングスイッチSW2,ドア開閉スイッチSW3等が含まれる。
シフト操作部3は、車両1の車室内に配置されている。運転者は、シフト操作部3を操作することにより、所望のシフトレンジを選択することができる。シフトレンジには、「P」(パーキングレンジ)、「R」(後退レンジ)、「N」(ニュートラルレンジ)、「D」(ドライブレンジ)等が含まれる。セレクターセンサSN1は、シフト操作部3の操作によって選択されたシフトレンジを検出し、検出したシフトレンジを表す電気信号(シフトレンジ信号)をコントローラ100へ出力する。
自動変速機20は、エンジン10から駆動輪5へ動力を伝達する動力伝達経路22上に配置されている。自動変速機20は、シフトバイワイヤ方式である。このため、コントローラ100は、シフト操作部3においてPレンジ以外のシフトレンジ(Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ等)が選択されているとき、セレクターセンサSN1から受け取った電気信号に基づいて、自動変速機20へ作動信号を出力する。シフトバイワイヤ方式の自動変速機20は、コントローラ100から受け取った作動信号に応じてシフトレンジを切り替えるように構成されている。
パーキングロック装置21は、自動変速機20に一体に設けられている。パーキングロック装置21は、動力伝達軸23の動作(回転)を規制(ロック)することにより、駆動輪5が回転することを防止するように構成されている。動力伝達軸23は、自動変速機20と駆動輪5との間に設けられており、動力伝達経路22の一部を構成している。コントローラ100は、シフト操作部3においてPレンジからPレンジ以外のレンジにレンジ選択が変更されると、動力伝達軸23の動作(回転)が許容されるようにパーキングロック装置21へ作動信号を出力する。一方、コントローラ100は、Pレンジ以外からPレンジへレンジ選択が変更されると、動力伝達軸23の動作(回転)が規制(ロック)されるようにパーキングロック装置21へ作動信号を出力する。
液圧ブレーキ装置40は、運転者によるブレーキペダルの操作に応じて、油圧を利用して各車輪5,6に制動力を付与する。コントローラ100は、ブレーキペダルの操作量に応じて、液圧ブレーキ装置40が油圧を介して各車輪5,6に付与する制動力を調整するように構成されている。
電動パーキングブレーキ装置50は、所定の条件に応じて、電気モータを介してブレーキディスクに押圧力を付与することにより、後輪6に制動力を付与する。コントローラ100は、例えば、運転者がパーキングスイッチSW2を操作すると、電動パーキングブレーキ装置50に作動信号を出力する。電動パーキングブレーキ装置50は、作動信号に応答して、内部の電気モータを作動させることにより、後輪6に制動力を付与するように構成されている。
電動パーキングブレーキ装置50は、電動パーキングブレーキ装置50の作動状態を検出するパーキングブレーキセンサSN6を備えている。具体的には、パーキングブレーキセンサSN6は、ブレーキディスクへの押圧力を検出する荷重センサを含み、荷重センサにより検出された測定値であるブレーキ作動信号を出力する。ブレーキ作動信号は、後輪6へ付与している制動力に対応する。
ドアロックアクチュエータ60は、各車両ドアに設けられたドアロックを作動させる作動装置である。ドアロックアクチュエータ60は、コントローラ100からドアロック開作動信号を受け取るとドアロックを解錠し、ドアロック閉作動信号を受け取るとドアロックを施錠するように構成されている。
報知装置70は、車両1に設けられたスピーカ、ディスプレイ、報知灯等である。コントローラ100は、報知装置70を用いて、音,ディスプレイ表示,報知光によって、車両1の異常又は不具合を含む各種情報を運転者に報知することができる。
コントローラ100は、回路により構成されており、周知のマイクロコンピュータをベースとする制御器である。コントローラ100は、図1Bに示すように、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)としての1以上のマイクロプロセッサ100aと、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリ100bと、電気信号の入出力をする入出力バス等を備えている。例えば、コントローラ100は、ECU(Electronic Control Unit)及びTCM(Transmission Control Module)により構成される。
コントローラ100は、セレクターセンサSN1からシフトレンジ信号,ロッド位置センサSN2からロッド位置信号,勾配センサSN3から傾斜角信号,ブレーキペダルセンサSN4からペダル操作信号,車速センサSN5から車速信号,パーキングブレーキセンサSN6からブレーキ作動信号,車両電源スイッチSW1から電源ON信号,パーキングスイッチSW2からパーキング指令信号,ドア開閉スイッチSW3からドアロック開指令信号,ドアロック閉指令信号を受け取る。
シフトレンジ信号は、シフト操作部3により選択されたシフトレンジを表す。コントローラ100は、シフトレンジ信号に基づいて、自動変速機20のシフト変更処理や、パーキングロック装置21のロック作動/解除処理を実行する。
ロッド位置信号は、パーキングロック装置21内のパーキングロッド26の位置を示す。勾配センサSN3は、加速度センサを用いて路面の勾配角(又は、路面上の車両1の前後方向の傾斜角)を検出する。よって、傾斜角信号は、車両1の前後方向の傾斜角を表す。ペダル操作信号は、ブレーキペダルの操作量を表す。コントローラ100は、ペダル操作信号に基づいて、液圧ブレーキ装置40により適宜な制動力を車輪5,6に付与する。車速信号は、車両1の速度を表す。
ブレーキ作動信号は、電動パーキングブレーキ装置50により後輪6に付与されている制動力を表す。コントローラ100は、ブレーキ作動信号に基づいて、電動パーキングブレーキ装置50が所定の制動力を付与している作動状態であるか否かを検出することができる。なお、代替的に、パーキングブレーキセンサSN6が、電気モータの回転数を検出し、コントローラ100が、センサSN6から受け取った回転数を表す信号に基づいて、電動パーキングブレーキ装置50が作動状態であるか否かを検出してもよい。
電源ON信号は、車両電源スイッチSW1がON操作されていることを表す。運転者が車両電源スイッチSW1をON操作することにより、車両1が作動可能となる。すなわち、コントローラ100は、電源ON信号を受け取っている間は、電源コントローラとして、車両1の各電装部品に電力を供給する。一方、コントローラ100は、電源ON信号を受け取らない状態になると、電源コントローラとして、待機状態で作動する一部の電装品を除いて、車両1の各電装部品への電力供給を停止する。これにより、車両1は待機機能を除いて不作動となる。
パーキング指令信号は、運転者によりパーキングスイッチSW2が操作されていることを表す。コントローラ100は、パーキング指令信号に基づいて、電動パーキングブレーキ装置を作動させる。ドアロック開指令信号は、車両ドアロックの解錠指令を表し、ドアロック閉指令信号は車両ドアロックの施錠指令を表す。コントローラ100は、解錠指令に基づいて、車両1のドアロックを解錠し、施錠指令に基づいて、車両1のドアロックを施錠する。また、コントローラ100は、エンジン10の始動及び停止を制御する。
<パーキングロック装置の構成>
次に、図2及び図3を参照して、本発明の実施形態によるパーキングロック装置の具体的な構成について説明する。図2及び図3はパーキングロック装置の概略断面図である。特に、図2はロック状態にあるパーキングロック装置の概略断面図であり、図3は非ロック状態にあるパーキングロック装置の概略断面図である。
図2及び図3に示すように、パーキングロック装置21は、自動変速機20の変速機ケース(図示省略)の内部に配設されている。パーキングロック装置21は、動力伝達軸23をロック状態に維持するロック機構21Aと、ロック機構21Aをロック状態と非ロック状態との間で切り替えるアクチュエータ21Bと、を備えている。
ロック機構21Aは、動力伝達軸23に取り付けられたパーキングギヤ24と、パーキングギヤ24と係合するパーキングポール25と、を備えている。ロック機構21Aは、Pレンジにおいてパーキングギヤ24とパーキングポール25との係合により、動力伝達軸23の回転を拘束し(拘束状態)、一方、Pレンジ以外においてパーキングギヤ24とパーキングポール25とを非係合状態にすることにより、動力伝達軸23の回転を許容(非拘束状態)するように構成されている。
アクチュエータ21Bは、油圧式(液圧式)のアクチュエータである。アクチュエータ21Bは、拘束位置と非拘束位置との間で軸方向に移動するパーキングロッド26と、パーキングロッド26を軸方向に移動させるためのシリンダ31と、パーキングロッド26を軸方向の所定位置(拘束位置、非拘束位置)に保持する状態保持機構35と、パーキングロッド26の位置を検出するロッド位置センサSN2と、を備えている。なお、以下の説明において、パーキングロッド26の軸方向における、パーキングポール25側(図2及び図3では左側)をロック側と呼び、パーキングポール25と反対側(図2及び図3では右側)を非ロック側と呼ぶ。
シリンダ31は、円筒状のハウジングであり、内部に円筒状の空間であるシリンダ室31aを有する。シリンダ31の両端には封止部材32a,32bが取り付けられており、これら封止部材32a,32bは、シリンダ31の両側の開口を封止している。
パーキングロッド26は、ピストンロッド26aとプッシュロッド26bとが軸方向に連結された可動ロッドである。ピストンロッド26aは、アクチュエータ21Bによって拘束位置と非拘束位置との間で軸方向に移動可能に構成されている。ピストンロッド26aは、非ロック側の封止部材32aを貫通して、シリンダ室31a内を通って、ロック側の封止部材32bを貫通するように延びている。ピストンロッド26aは、シリンダ室31a内に嵌挿されたピストン26cに連結されている。
ピストン26cは、シリンダ室31aを2つの閉空間に区画している。区画された閉空間のうち、ピストン26cよりもロック側の閉空間は、オイルが供給される油圧室33である。一方、ピストン26cよりも非ロック側の閉空間には、ロッド付勢スプリング34が配置されている。ロッド付勢スプリング34は、圧縮コイルスプリングであって、一端が封止部材32aに当接し、他端がピストン26cに当接し、常時、封止部材32aに対してピストン26cをロック側に付勢している。
よって、油圧室33が油圧によって加圧されないと、ロッド付勢スプリング34の付勢力によって、ピストン26cはロック側へ押圧され、パーキングロッド26は拘束位置に移動する(図2参照)。一方、油圧室33が油圧によって加圧されると、ピストン26cは非ロック側へ押圧され、ロッド付勢スプリング34の付勢力に抗して、パーキングロッド26は非拘束位置に移動する(図3参照)。
油圧室33は、油路12を介してオイルポンプ11から加圧オイルの供給を受ける。オイルポンプ11は、本実施形態では、上記変速機ケース内に配設されて、自動変速機20の摩擦締結要素へ供給する油圧を生成するオイルポンプであり、エンジン10により駆動される。油路12には、油圧制御弁13が設けられている。油圧制御弁13は、コントローラ100からの作動信号に基づいて、油圧室33とオイルポンプ11とを連結して油圧室33を加圧する弁位置と、油圧室33からオイルを排出(ドレン)する弁位置とを切り替えるように構成されている。オイルポンプ11から供給されるオイルは、油圧制御弁13によって油圧が調整された後、油圧室33に供給される。すなわち、油圧室33の油圧は油圧制御弁13によって制御される。なお、油圧制御弁13は、例えばリニアソレノイドバルブなどである。本実施形態では、油圧制御弁13は、ソレノイドへの非通電時に油圧室33に加圧オイルが供給され、通電時に油圧室33からオイルが排出されるように構成されている。
プッシュロッド26bは、ブラケット30によって軸方向に移動可能に支持されており、非ロック側の端部にピストンロッド26aが連結され、ロック側の端部にパーキングカム29が設けられている。パーキングカム29は、ロック側への移動に伴って、パーキングポール25をパーキングギヤ24に向けて案内する役割を有している。このため、パーキングカム29は、拘束位置へ移動する際に、パーキングポール25(ポール押圧部25a)をパーキングギヤ24に向けて押圧するように、円柱体と円錐台とを組み合わせた形状をなしている。この円柱体のロック側の面に、ロック側に向かって縮径するように円錐台が取り付けられている。すなわち、パーキングロッド26が係合位置へ移動すると、パーキングポール25は、パーキングカム29の縮径部分に案内されて、ピン28周りに回動する。また、ブラケット30には、パーキングカム29の移動を案内するガイド38が設けられている。
パーキングポール25は、概略、ロック側の基端部から非ロック側の先端部に向けて延びている。パーキングポール25の基端部には、支持部25cが形成されており、支持部25cが変速機ケースにピン28で回動可能に支持されている。これにより、パーキングポール25は、ピン28を中心としてパーキングギヤ24に接近する方向(係合方向;図2及び図3において時計回り方向)と、離反する方向(係合解除方向;図2及び図3において反時計回り方向)に揺動可能に構成されている。パーキングポール25の先端部には、パーキングカム29に押圧されるポール押圧部25aが形成されている。
パーキングギヤ24は、外周面に複数のギヤ溝24aを有する。支持部25cとポール押圧部25aとの間には、パーキングギヤ24のギヤ溝24aと係合可能な凸部25bが形成されている。また、ポール押圧部25aは、2本のパーキングポール付勢スプリング25d、25eによって、係合解除方向に付勢されている。パーキングポール付勢スプリング25d、25eは、捻りコイルスプリングである。パーキングポール付勢スプリング25dは、ロック側の端部がポール押圧部25aに当接しかつ非ロック側の端部が上記変速機ケースに当接している。一方、パーキングポール付勢スプリング25eは、ロック側の端部がポール押圧部25aに当接しかつ非ロック側の端部が後述するブラケット30に当接している。
パーキングポール25は、図2に示すように、パーキングロッド26がロック側の係合位置に移動したときには、ポール押圧部25aがパーキングカム29に押圧される。これにより、パーキングポール付勢スプリング25d、25eの付勢力に抗して、パーキングポール25がピン28周りに係合方向に回動し、パーキングポール25の凸部25bがパーキングギヤ24のギヤ溝24aと係合する。これにより、動力伝達軸23の回転が拘束されるので、駆動輪5の回転(すなわち、車両1の移動)が防止される。
一方、図3に示すように、パーキングロッド26が非ロック側の非係合位置に移動したときには、パーキングポール付勢スプリング25d、25eの付勢力によって、パーキングポール25がピン28周りに係合解除方向に回動し、凸部25bとギヤ溝24aとの係合が解除される。これにより、動力伝達軸23の回転が可能となるので、駆動輪5の回転(すなわち、車両1の移動)が可能となる。
状態保持機構35は、ストッパ35Aと、ソレノイドアクチュエータ35Bと、ピストンロッド26aに設けられた第1係合溝36及び第2係合溝37とを備えている。ストッパ35Aは、常時、ピストンロッド26aに向けてストッパ付勢スプリング(図示せず)によって付勢されている。ピストンロッド26aには、シリンダ31の外部位置に、ストッパ35Aと係合するための第1係合溝36,第2係合溝37が軸方向に離間して形成されている。第1係合溝36は、パーキングロッド26が係合位置(図2参照)に位置しているときにストッパ35Aと係合するように形成されている。一方、第2係合溝37は、パーキングロッド26が非係合位置(図3参照)に位置しているときにストッパ35Aと係合するように形成されている。なお、第1係合溝36及び第2係合溝37は、ピストンロッド26aの周方向全周に亘って形成されていてもよく、周方向の一部であって、ストッパ35Aが係合する部分のみに形成されていてもよい。
ソレノイドアクチュエータ35Bは、所謂プッシュ型であり、内部に駆動用のコイル等が配置されたソレノイド本体と、該コイル等によって電磁的に駆動される可動体とを備えている。ソレノイドアクチュエータ35Bは、コントローラ100からの作動信号を受けると駆動する。駆動時には、ストッパ付勢スプリングの付勢力に抗して、可動体が押し出され、ストッパ35Aをピストンロッド26aから離間する方向に移動させる。
常時は、ストッパ35Aは、ストッパ付勢スプリングによって、ピストンロッド26aに向けて付勢されている。よって、ソレノイドアクチュエータ35Bの不作動時において、ストッパ35Aは、パーキングロッド26が係合位置に位置しているときは第1係合溝36と係合し(図2参照)、パーキングロッド26が非係合位置に位置しているときは第2係合溝37と係合する(図3参照)。ストッパ35Aがいずれかの係合溝と係合しているときは、油圧室33への油圧の印加とは無関係に、パーキングロッド26は、現在の位置(拘束位置又は非拘束位置)に保持される。
一方、ソレノイドアクチュエータ35Bがコントローラ100の作動信号に応じて作動すると、ストッパ35Aがピストンロッド26aから離間した位置に保持されるので、パーキングロッド26は、軸方向に移動可能となる。パーキングロッド26が所定の位置(拘束位置又は非拘束位置)まで移動した後、ソレノイドアクチュエータ35Bが不作動状態になると、ストッパ35Aは、ストッパ付勢スプリングの付勢力によって、ピストンロッド26aに向けて移動し、第1係合溝36又は第2係合溝37と係合する。これにより、再びパーキングロッド26は、軸方向への移動が規制される。
ロッド位置センサSN2は、パーキングロッド26の非ロック側の端部の位置を検出するように構成されている。ロッド位置センサSN2は、磁気タイプの位置センサであって、略C字型構造の磁気センサ105aと、磁気センサ105aにおけるC字型構造の内部をスライド可能なスライダ105bとで構成されている。スライダ105bには、係合部105cが設けられており、この係合部105cがパーキングロッド26の非ロック側の端部と係合することで、スライダ105bとパーキングロッド26とが一体結合される。これにより、スライダ105bは、パーキングロッド26の軸方向の移動に合わせて、磁気センサ105aにおけるC字型構造の内部をスライドする。スライダ105bには、所定の磁気パターンが着磁されており、この磁気パターンを磁気センサ105aで検出して、スライダ105bの位置を検出することで、パーキングロッド26の位置が検出される。すなわち、ロッド位置センサSN2は、拘束位置(図2参照)と非拘束位置(図3参照)の間のパーキングロッド26の位置を表すロッド位置信号をコントローラ100へ出力する。
次に、図4を参照して、本実施形態の車両制御システムの制御処理について説明する。図4は、車両制御システムの制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、コントローラ100内のマイクロプロセッサ100aによって、メモリ100bに記憶されたプログラムに基づき、所定の周期で繰り返し実行される。
この制御処理は、運転者が車両1を停車し、エンジン10の作動を停止させ、車両1を駐車する際に行われる。まず、コントローラ100は、スイッチSW1~SW3、センサSN1~SN6からの信号を取得する(S11)。次いで、コントローラ100は、電源ON信号に基づいて、車両電源スイッチSW1がオフ操作されたか否かを判定する(S12)。コントローラ100は、車両電源スイッチSW1から電源ON信号を受け取らなくなると、車両電源スイッチSW1がオフ操作されたと判定する。
車両電源スイッチSW1がオフ操作された場合(S12:Yes)、コントローラ100は、ロッド位置信号に基づいて、パーキングロック装置21がロック状態(図2参照)にあるか否かを判定する(S13)。すなわち、コントローラ100は、ロッド位置信号に基づいて、パーキングロッド26が拘束位置に位置するか否かを判定する。一方、車両電源スイッチSW1がオフ操作されていない場合(S12:No)、コントローラ100は、処理を終了する。
パーキングロッド26が拘束位置にある場合(S13:Yes)、コントローラ100は、エンジン10を停止させ(S14)、電源コントローラとして、車両1の各電装部品への電力供給を停止し(S15)、処理を終了する。すなわち、停車後、運転者がシフト操作部3を操作してPレンジを選択し、パーキングロック装置21により動力伝達軸23及び車輪5が固定状態に維持されている場合、運転者による車両電源スイッチSW1のオフ操作に応答して、エンジン10は停止され、車両1は電源オフとなる。
一方、パーキングロッド26が拘束位置にない場合(S13:No)、コントローラ100は、パーキングロック装置21を非ロック状態からロック状態に切り替える処理を実行し(S16)、所定時間経過するまで待機する(S17)。具体的には、コントローラ100は、状態保持機構35によるパーキングロッド26の移動規制を解除し、油圧室33への加圧オイルの印加を停止し、パーキングロッド26が非拘束位置から拘束位置へ移動するのを待つ。
このため、コントローラ100は、ソレノイドアクチュエータ35Bに作動信号を出力し、ストッパ35Aとパーキングロッド26との係合を解除させるように、ストッパ35Aをパーキングロッド26から離れる方向に移動させる。そして、コントローラ100は、加圧オイルが油圧室33へ供給されず、且つ、油圧室33からオイルが排出されるように、油圧制御弁13の弁位置を切り替える。これにより、パーキングロッド26の軸方向への移動が許容される。したがって、非拘束位置(図3参照)に位置しているパーキングロッド26は、ロッド付勢スプリング34の付勢力によって、拘束位置へ向けて移動し始める。
所定時間の経過後、コントローラ100は、ステップS13と同様に、再度取得したロッド位置信号に基づいて、パーキングロック装置21がロック状態(図2参照)にあるか否かを判定する(S18)。パーキングロッド26が拘束位置にある場合(S18:Yes)、コントローラ100は、エンジン10を停止させ(S14)、車両1への電力供給を停止し(S15)、処理を終了する。このような処理は、停車後、運転者がシフト操作部3をPレンジに設定する操作をせずに、車両電源スイッチSW1をオフ操作した場合に行われる。よって、本実施形態では、停車後、運転者がシフト操作部3をPレンジに設定する操作をしなかった場合であっても、パーキングロック装置21が自動的に作動することより、車両1は停止状態に保持される。
一方、所定時間が経過しても、パーキングロッド26が拘束位置にない場合(S18:No)、コントローラ100は、傾斜角信号に基づいて、車両1の傾斜角θが所定の閾値角度θth以上(例えば、2度以上)であるか否かを判定する(S19)。
パーキングロック装置21を非ロック状態からロック状態に切り替える処理(S16)が実行されたにもかかわらず、パーキングロッド26が所定時間内に拘束位置に位置しないので、パーキングロック装置21は不具合状態にある。すなわち、本実施形態では、車両電源スイッチSW1のオフ操作に応答して(S12:Yes)、パーキングロック装置21が自動的に作動されるが(S16)、パーキングロッド26が拘束位置に移動しない(S18:No)。このような不具合状態は、例えば、パーキングロッド26が故障によりアクチュエータ21B内でスタックした状態である。このような不具合は、例えば、油圧システムから油圧室33内への金属粉の混入や、ソレノイドアクチュエータ35Bへの電力供給失陥に起因するストッパ35Aの係合が解除されなかったことにより生じ得る。
傾斜角θが閾値角度θth未満である場合(S19:No)、コントローラ100は、エンジン10を停止させ(S14)、電源供給を停止し(S15)、処理を終了する。このような処理は、不具合によりパーキングロック装置21がロック状態に切り替わらなかったが、車両1が勾配のない路面又は勾配の緩やかな路面に停車されたことにより、車両1が意に反して移動するおそれが低い場合に行われる。
一方、傾斜角θが閾値角度θth以上である場合(S19:Yes)、コントローラ100は、ブレーキ作動信号に基づいて、電動パーキングブレーキ装置50が作動状態であるか否か(すなわち、車輪6に既に所定の制動力を付与されている状態か否か)を判定する(S20)。電動パーキングブレーキ装置50が作動状態である場合(S20:Yes)、コントローラ100は、エンジン10を停止させ(S14)、電源供給を停止し(S15)、処理を終了する。このような処理は、車両1が傾斜した路面に停車され、且つ、不具合によりパーキングロック装置21がロック状態に切り替わらなかったが、運転者が電動パーキングブレーキ装置50を作動させていた場合に行われる。
一方、電動パーキングブレーキ装置50が作動状態でなかった場合(S20:No)、コントローラ100は、エンジン10の停止を禁止し(S21)、報知装置70を用いて、運転者に電動パーキングブレーキ装置50を作動させるように促す報知処理を行って(S22)、処理を終了する。
コントローラ100は、通常、車両電源スイッチSW1がオフ操作されると、エンジン10を停止させ、電源供給停止処理を実行する。しかしながら、パーキングロック装置21が故障しており(S18:No)、且つ、電動パーキングブレーキ装置50が作動していない(S20:No)という状況で、車両1が傾斜面に停止された場合(S19:Yes)、車両1は、路面の傾斜にしたがって、運転者の意に反して動き出すおそれがある。このため、本実施形態では、このような状況において、コントローラ100は、車両電源スイッチSW1がオフ操作されても(S12:Yes)、エンジン10の停止を禁止する。
これにより、本実施形態では、運転者は、車両1が固定状態でないことを認識することができる。さらに、本実施形態では、運転者は、電動パーキングブレーキ装置50を作動させるように報知装置70によって促されるので、運転者は、電動パーキングブレーキ装置50を確実に作動させることができる。コントローラ100は、ブレーキ作動信号に基づいて、電動パーキングブレーキ装置50が作動状態にあることを検出すると、エンジン10の停止禁止を解除する。よって、運転者がパーキングスイッチSW2を操作して電動パーキングブレーキ装置50を作動させた後、再度、車両電源スイッチSW1をオフ操作すれば(S12;Yes)、電動パーキングブレーキ装置50が作動しており(S20:Yes)、エンジン10の停止禁止が解除されているので、エンジン10が停止され(S14)、電源供給が停止される(S15)。
また、本実施形態の車両制御システムSにおいて、代替的に、エンジン10の停止を禁止した後(S21)、電動パーキングブレーキ装置50を作動させるように報知装置70が運転者を促す処理(S22)に代えて、コントローラ100が作動信号を送信して、電動パーキングブレーキ装置50を自動的に作動させるように構成してもよい。
また、本実施形態において、液圧ブレーキ装置40が、「ブレーキホールド機能」を有していてもよい。この場合、運転者がブレーキペダルを操作して液圧ブレーキ装置40によって車両1を停止させると、運転者がブレーキペダルから足を離しても、所定印加期間(例えば、1~3秒)だけ車両1が停止状態に維持される。このため、コントローラ100は、ブレーキペダルが操作されなくなった後に所定印加期間だけ液圧ブレーキ装置40が油圧を介して車輪5,6へ所定の制動力を付与し続けるように、液圧ブレーキ装置40の油圧ラインの制御弁を制御する。
そして、本実施形態において、コントローラ100は、ブレーキホールド機能の作動中に、パーキングロック装置21の不具合状態を検出し(S18:No)、且つ、電動パーキングブレーキ装置50がオフである場合(S20:No)、印加期間を延長する処理を実行してもよい。この場合、コントローラ100は、ブレーキ作動信号に基づいて、電動パーキングブレーキ装置50が所定の制動力を付与している作動状態にあることを検出するまで、印加期間を延長することができる。コントローラ100は、ブレーキ作動信号に基づいて、電動パーキングブレーキ装置50の作動状態を検出すると、ブレーキホールド機能の作動を停止させることができる。なお、傾斜角θが閾値角度θth以上である場合、及び/又は、傾斜角θが閾値角度θth未満である場合において、印加期間の延長処理を実行してよい。また、運転者は、報知装置70による報知に応答して、電動パーキングブレーキ装置50を作動させるために、パーキングスイッチSW2を操作することができる。
また、付加的に、不具合状態が検出されると(S18:No)、電動パーキングブレーキ装置50の作動が完了するまでは、運転者が降車することができないように、ドアロックの解錠を禁止してもよい。このため、コントローラ100は、ドア開閉スイッチSW3からドアロック開指令信号を受けても、ブレーキ作動信号に基づいて、電動パーキングブレーキ装置50が所定の制動力を後輪6に付与したことを検出するまでは、ドアロックアクチュエータ60へドアロック開作動信号を出力しないように構成することができる。これにより、電動パーキングブレーキ装置50による車両1の固定が完了するまでは、運転者の降車が禁止されるので、運転者が乗車していない状態で車両1が路面の傾斜にしたがって移動してしまうことを防止することができる。
また、付加的に、車両1が自動アイドリング停止機能を有する場合、不具合状態の検出に起因して、エンジン10の停止が禁止されるとき(S21)、エンジン10がその時点で停止していれば、自動的にエンジン10を再始動するように構成してもよい。すなわち、コントローラ100は、ステップS21においてエンジン10の停止を禁止する前に、自動アイドリング停止機能によりエンジン10が停止中か否かを判定し、停止中の場合は、エンジン10を再始動した後、エンジン10の停止を禁止する(S21)。この場合、運転者は、電動パーキングブレーキ装置50を作動させ、再度、車両電源スイッチSW1をオフ操作することにより、エンジン10を停止し、電源供給を停止させることができる。
なお、自動アイドリング停止機能は、車両1がアイドリング停止条件を満たす場合に、エンジン10を一時的に停止する機能である。具体的には、自動アイドリング停止機能では、運転者がブレーキペダルを操作して車両1が停止した場合に、エンジン10が停止される。その後、運転者がブレーキペダルから足を離すような解除操作を行うと、エンジン10が自動的に再始動される。
また、本実施形態では、車両1の傾斜角θの大きさを判定しているが、代替的に、パーキングロック装置21の不具合が検出された場合は(S18:No)、傾斜角θを判定することなく、電動パーキングブレーキ装置50を作動させるように構成してもよい。
次に、本実施形態の車両制御システムSの作用について説明する。
本実施形態では、車両制御システムSは、シフトバイワイヤ方式の自動変速機20と、ロック機構21A及びアクチュエータ21Bを有し、アクチュエータ21Bの可動ロッド(パーキングロッド26)を非拘束位置(図3参照)から拘束位置(図2参照)に移動させることにより、パーキングロッド26によりロック機構21Aを作動させて、車両1の車輪5に連結された動力伝達軸23の回転を拘束するパーキングロック装置21と、電動パーキングブレーキ装置50と、自動変速機20の所望の変速レンジを選択するための複数のシフトレンジ、及び、パーキングロック装置21を作動させるためのパーキングレンジの中から運転者の操作により1つの位置を選択可能なシフト操作部3と、運転者による操作によって車両1へ電源供給するための車両電源スイッチSW1と、車両1の前後方向の傾斜角を検出する傾斜角センサ(勾配センサSN3)と、運転者によるシフト操作部3の操作に基づいて、自動変速機20及びパーキングロック装置21を制御するコントローラ100と、を備え、コントローラ100は、電源供給を遮断するオフ位置に車両電源スイッチSW1が操作されると(S12:Yes)、車両1のエンジン10を停止させると共に(S14)、パーキングロック装置21に作動信号を出力し、パーキングロック装置21のパーキングロッド26を非拘束位置から拘束位置に移動させるように構成されており(S16)、コントローラ100は、車両電源スイッチSW1がオフ位置に操作されたにもかかわらずパーキングロッド26が拘束位置に移動しない不具合状態を検出し(S12:Yes、S18:No)、且つ、勾配センサSN3により検出された傾斜角が閾値角度θth以上である場合(S19:Yes)、エンジン10の停止を禁止する(S22)。
このように構成された本実施形態によれば、車両電源スイッチSW1がオフ操作されたにもかかわらず、エンジン10が停止しないことにより、運転者は、車両1の異常(特に、パーキングロック装置21の故障)が発生したことを認識することができる。これにより、本実施形態では、車両1が停止状態に維持されない状態で運転者が降車することを防止することができる。この場合、運転者は、電動パーキングブレーキ装置50を作動させることにより、車両1が路面の傾斜にしたがって意に反して動き出すことを防止することができる。
また、本実施形態において好ましくは、運転者によるブレーキペダルの操作に応じて、車両1の車輪5,6に制動力を印加する液圧ブレーキ装置40を更に備え、コントローラ100は、制動力の印加によって車両1が停止した場合、液圧ブレーキ装置40に所定印加期間だけ制動力の印加を維持させるように構成されており、さらに、コントローラ100は、所定印加期間においてパーキングロック装置21の不具合状態を検出した場合、電動パーキングブレーキ装置50の作動が完了するまで、液圧ブレーキ装置40に制動力の印加を維持させる。
このように構成された本実施形態では、電動パーキングブレーキ装置50を作動させるまでの間は、運転者がブレーキペダルから足を離しても、液圧ブレーキ装置40のブレーキホールド機能により車両1が停止状態に維持される。これにより、本実施形態では、車両1が路面の傾斜にしたがって意に反して動き出すことを防止することができる。
また、本実施形態において好ましくは、傾斜角θが閾値角度θth以上であり(S19:Yes)、且つ、パーキングロック装置21の不具合状態を検出した場合(S18:No)、車両1の停止に応答して自動アイドリング停止機能によりエンジン10が停止しているときは、コントローラ100は、エンジン10を再始動させる。
このように構成された本実施形態では、車両1が停止し自動アイドリング停止機能によってエンジン10が停止している場合において、車両1が傾斜路に停車されており且つパーキングロック装置21の不具合状態が検出されているときは、運転者が降車のために、車両電源スイッチSW1をオフ操作すると、停止していたエンジン10が再始動する。これにより、運転者は降車することができず、また、車両1に不具合があること(具体的には、パーキングロック装置21の不具合状態)を認識することができる。
また、本実施形態において好ましくは、パーキングロック装置21は、パーキングロッド26の位置を検出するロッド位置センサSN2を備え、コントローラ100は、ロッド位置センサSN2の検知信号に基づいて、パーキングロック装置21の不具合状態を検出する。このように構成された本実施形態では、パーキングロッド26の位置により、パーキングロック装置21の故障を確実に検出することができる。
また、本実施形態において好ましくは、パーキングロック装置21は、パーキングロッド26を非拘束位置に保持する状態保持機構35を備え、状態保持機構35は、作動信号に応答して所定期間だけパーキングロッド26の移動を許容するように構成されている。
このように構成された本実施形態では、状態保持機構35により、作動信号に応答してパーキングロッド26の移動が許容されるが、常時はパーキングロッド26の移動が車両1の安全のために規制される。このため、電源失陥により、状態保持機構35が正常に作動せずに、パーキングロッド26の移動が規制されてしまう場合が起こり得る。このため、本実施形態では、パーキングロック装置21が電源失陥により正常に作動しなかった場合であっても、運転者にその故障をエンジン10の停止禁止(さらには電源供給の継続)により認識させることができる。
また、本実施形態において好ましくは、コントローラ100は、パーキングロック装置21の不具合状態を検出した場合(S18:No)、電動パーキングブレーキ装置50の作動が完了するまでは、車両1のドアロックの解錠を禁止する。このように構成された本実施形態では、電動パーキングブレーキ装置50による車両1の固定が完了するまでは、運転者が車両ドアを開けて、降車することができない。これにより、本実施形態では、運転者が車内にいない状態での車両1の移動を確実に防止することができる。
また、本実施形態において好ましくは、コントローラ100は、エンジン10の停止を禁止した後、電動パーキングブレーキ装置50が作動した場合、エンジン10の停止の禁止を解除する。このように構成された本実施形態では、不具合状態において、エンジン10が停止した後、運転者が車両1から降車しても、電動パーキングブレーキ装置50が作動状態であれば、車両1が意に反して動き出すことは防止される。